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商標拒絶査定不服審判

2020-007850

ノーハラスメント

審判番号
2020-007850
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2018-124604
請求日
2020年06月08日
審決日
2023年03月14日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】一般財団法人全日本情報学習振興協会
  • 【請求人代理人】岩内 三夫
審判長/審判官
  • 審判長 豊田 純一
  • 審判官 杉本 克治
  • 審判官 小田 昌子
分類
T18 .16 -Z (W41)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項6号
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第6号、商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2018-124604拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「ノーハラスメント」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,検定試験の企画・運営又は実施及びこれらに関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,検定試験受験者へのセミナーの開催及びこれらに関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教材用書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),教材用ビデオ・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として、平成30年10月3日に登録出願されたものである。 本願は、令和元年9月3日付けで拒絶理由の通知がされ、同2年1月27日に意見書が提出されたが、同年3月3日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年6月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定は、本願商標は「ノーハラスメント」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「ノー」の文字は「無」などを意味する語であり、「ハラスメント」の文字は「優越した地位や立場を利用した嫌がらせ」を意味する語であるから、本願商標は構成全体として「ハラスメントのないこと」又は「ハラスメントをなくすこと」ほどの意味合いを容易に認識させ、また、インターネットの情報によると、「ノー」の文字と「ハラスメント」の文字の間に「・」を配した「ノー・ハラスメント」の文字が、「ハラスメントのないこと」又は「ハラスメントをなくすこと」のような意味合いで実際に使用されていることから、本願商標を本願の指定役務中、ハラスメントのない又はハラスメントをなくすことを内容とする役務に使用しても、前記意味合いを認識させるにとどまり、単に役務の質を表示するにすぎないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する旨、認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における審尋 本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、令和3年6月2日付け審尋(以下「審尋」という。)により、請求人に対し、別掲1ないし別掲3のとおりの事実を提示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する回答を求めた。 第4 当審における審尋に対する請求人の意見(要旨) 請求人は、上記第3の審尋に対し、令和3年10月18日付けの意見書(以下「当審意見書」という。)を提出し、要旨、以下の1及び2のとおりの意見を述べた。 1 「ノーハラスメント」は、人類史上の普遍的・共通的課題を端的に表示した造語であり、複数人によって構成される如何なる団体であろうとも、これらの理念を掲げることは至極当然のことであって、引用された各種インターネット記事は、この人類史上の普遍的・共通的課題について述べたものというべきであることから、企業等が掲載したことをもって、それが即「企業理念等」になるものではない。 2 企業理念とは、同種の企業間であっても他社とは差別化・区別化されたオリジナルな理念や価値観のことであって、「企業の特性や優位性を記述すること」であり、本願商標「ノーハラスメント」は、「企業の特性や優位性を記述すること」ではないことから、十分に登録適格性を具有し得るものである。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第6号該当性について (1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について 商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条)、商標の本質は、自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり、この自他商品の識別標識としての機能から、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは、同項第1号ないし第5号に例示されるような、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号、知財高裁平成24年(行ケ)第10323号判決参照)。 (2)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について 本願商標は、「ノーハラスメント」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲1のとおり、その構成中の「ノー」の文字は「(接頭辞的に)「非」「無」などの意。」を意味する語(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店発行)であって、例えば、「映画のフィルムなどで、削除した部分のまったくないこと。」を「ノーカット」、「何も注釈を加えることはない。何も言うことはない。」を「ノーコメント」、「袖のない衣服。袖なし。スリーブレス。」を「ノースリーブ」、「ネクタイをつけないこと。ノータイ。」を「ノーネクタイ」(いずれも前掲書)と記載するように、「ノー」の文字は「無」すなわち、「ないこと。存在しないこと。」の意味合いをもって、使用されている。 また、別掲1のとおり、本願商標の構成中の「ハラスメント」の文字は、「人を悩ますこと。地位や立場を利用した嫌がらせ。」を意味する語(前掲書)である。 そして、「ハラスメント」の文字は、「性にかかわって人間性を傷つけること。職場や学校などで、相手の意に反して、とくに女性を不快・苦痛な状態に追い込む性的なことばや行為。性的いやがらせ。」を「セクシャルハラスメント」、「職場で上司がその地位や権威を利用して部下に行ういじめや嫌がらせ。」を「パワーハラスメント」、「妊娠・出産した女性に対する、職場での差別や嫌がらせ。」を「マタニティハラスメント」、「言葉や態度などによる精神的な嫌がらせ・虐待。」を「モラルハラスメント」のように、「ハラスメント」の文字の前に、何らか文字を結合し、「○○ハラスメント」と表示することで、「ハラスメント」の内容等を特定する語と看取させることから、「ないこと。存在しないこと。」の意味合いを有する「ノー」の文字と「ハラスメント」の文字と結合した本願商標は、構成全体として、「ハラスメントのないこと」又は「ハラスメントをなくすこと」のような意味合いを容易に認識、理解させるものである。 また、別掲2に示すとおり、企業や団体等が、本願商標「ノーハラスメント」と同意の「ノー・ハラスメント」あるいはこれと同旨し得る語を、「地位や立場を利用した嫌がらせがないこと」という意味合いを表すものとして、あるいは、企業理念や経営方針等を表す際にも使用している事実があることが認められる。 さらに、別掲3のとおり、企業や団体等が「ハラスメント」についての「方針」、「指針」、「理念」、「宣言」等(以下「方針」等という。)を掲げ、それを公表し、その方針等において、「ハラスメント」の防止や「ハラスメント」をなくすことを明示していることが認められる。 そうすると、構成文字より「ハラスメントのないこと」又は「ハラスメントをなくすこと」ほどの意味合いを容易に認識させるにとどまる本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者に、「ハラスメントのないこと」又は「ハラスメントをなくすこと」という企業のあるべき姿や社員全員の意識改革を促すスローガンの一類型を表示したもの、すなわち、企業や団体、法人の理念・経営方針等を、普通に用いられる方法で表示したものとして認識、理解させるにすぎないことから、本願商標は、自他役務の識別力のない商標といえ、このような商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために商標としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。 2 請求人の主張について (1)請求人は、「ノーハラスメント」は、人類史上の普遍的・共通的課題を端的に表示した造語であり、複数人によって構成される如何なる団体であろうとも、これらの理念を掲げることは至極当然のことであって、引用された各種インターネット記事は、この人類史上の普遍的・共通的課題について述べたものというべきであることから、企業等が掲載したことをもって、それが即「企業理念等」になるものではない旨を主張する。 しかしながら、上記1(2)のとおり、本願商標の構成中の「ノー」の文字は「ないこと」の意味合いをもって使用され、「ハラスメント」の文字は、「人を悩ますこと。地位や立場を利用した嫌がらせ。」の意味を認識、理解させるにすぎないものであるから、本願商標「ノーハラスメント」は、構成全体として「ハラスメントのないこと」又は「ハラスメントをなくすこと」ほどの意味合いを容易に認識、理解させる語であって、これを特定の意味合いを有さない「造語」と判断するべき事情はなく、また、「人類の普遍的・共通的課題」を企業理念として掲げるケースは決して少なくないことからすると、「ハラスメントのないこと」又は「ハラスメントをなくすこと」を理解させるにとどまる「ノーハラスメント」は、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。 (2)請求人は 企業理念とは、同種の企業間であっても他社とは差別化・区別化されたオリジナルな理念や価値観のことであって、「企業の特性や優位性を記述すること」であり、本願商標「ノーハラスメント」は、「企業の特性や優位性を記述すること」ではないことから、十分に登録適格性を具有し得るものである旨を主張する。 しかしながら、企業理念は、一例として、「企業の特性や優位性を記述すること」であるとしても、企業のあるべき姿や社員全員の意識改革を促すスローガン等を示す場合にも掲げられるものであり、とりわけ、「ハラスメントのないこと」又は「ハラスメントをなくすこと」は、企業のあるべき姿や社員全員の意識改革を促すスローガンの一類型を表示したものと容易に認識できることから、「ノーハラスメント」は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としない商標に該当するものと判断するのが相当である。 (3)請求人の上記各主張は、いずれも採用することができず、また、その他の請求人の主張は、採用するべき事情はない。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-007850

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