商標拒絶査定不服審判
2020-007782
- 審判番号
- 2020-007782
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2015-073608
- 請求日
- 2020年06月05日
- 審決日
- 2021年06月08日
- 公報発行日
- 2021年07月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】大日本除蟲菊株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T18 .16 -WY (W05)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、商標法第5条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
商願2015-73608拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を願書記載のとおりに記載して、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年7月31日に位置商標として登録出願されたものである。
その後、原審における平成28年11月28日付け、同29年3月29日付け、及び同30年1月22日付けの手続補正書により、最終的に、その商標の詳細な説明は、別掲2のとおりに、その指定商品は第5類「殺虫剤」と補正された。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、商標記載欄の記載及び商標の詳細な説明の記載から特定される。
ところで、商品の包装等においては、美感を発揮させるため、または需要者の注意を引く目的等で、出所を表示するための識別標識以外の装飾的な種々の文字、図形及び色彩が使用されている実情がある。
そして、本願商標を構成する図形は、容器の胴体の下半分において青色と白色の縦長三角形がそれぞれ交互に連続する図形からなるところ、上記実情があることから、本願商標をその指定商品に使用しても、単に美感を発揮する等のために装飾、模様等が施された商品の包装の一形態を表示するにすぎない。
そうすると、本願商標を、容器の胴体の下半分の位置に特定して使用しても、需要者、取引者は、包装パッケージの装飾的図柄として理解するにとどまり、自他商品の識別標識として機能し得ないから、本願商標は、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。
また、本願商標に係る使用期間、広告宣伝状況等を全体的に考察しても、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商標であることを認識することができるに至っているとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 当審の判断
(1)本願商標について
ア 本願商標は、別掲1及び別掲2のとおり、(ア)容器の胴体の下半分の周縁の位置に、(イ)青色の縦長三角形を上下に重ね、それを連続して横並び(それぞれの間には、それを上下逆にした状態の白色の図柄が表される。)したものであって、その下側は青色の帯となるようにした図柄を表してなる位置商標である。
そして、本願商標に係る図柄は、構成全体としては、同一形状の図柄を縦縞模様状に繰り返してなる幾何学模様との印象を与える構成よりなる。
イ そうすると、本願商標は、その構成及び位置に鑑みれば、商品の包装容器の模様と看取されるものであるが、請求人提出の甲第1号証ないし甲第89号証(枝番号を含む。)を踏まえて、当該模様及び位置が、その指定商品に係る需要者をして、何人か(請求人)の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かを、以下のとおり検討する。
(2)請求人による本願商標の使用実績について
ア 請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、1934年から「殺虫剤」である「キンチョール」(以下「請求人商品」という。)を製造、販売している(甲1)ところ、昭和45年(1970年)から、その容器には、本願商標に係る特徴(模様、位置)を備える図柄(容器の下部の周縁の位置に、青色の縦長三角形を上下に重ね、それを連続して横並びしたものであって、その下側は青色の帯となるようにした、縦縞模様状の幾何学模様を配する。)を採択(以下、当該図柄を容器に施した商品を「本件使用商品」という。)している(甲18の2)。
請求人商品は、上記以外の図柄を採択するものもあるが、1983年から2018年にかけての商品カタログによれば、少なくとも「キンチョール300ml」又は「キンチョール450ml」の容器に上記図柄が採択されている(甲1~甲13の2、甲30~甲41)。
(イ)殺虫剤の市場規模は、例えば1987年時点において、年間で660億円あり、そのうちハエ・カ用エアゾールの市場規模は155億円であるところ、当該市場内で請求人商品(本件使用商品を含む。)のシェアは60%である(甲43)。また、それ以降の年(1988年~2003年)においても、請求人商品の当該市場におけるシェアは60%から69%の間である(甲44~甲59)。
(ウ)請求人商品に係るテレビCMは、本件使用商品の発売以降も、継続的に全国各地で行われている(甲61)ところ、中には、本願商標に係る図柄を確認できる態様で、本件使用商品の容器を表示したCMがあることが確認できる(甲62、甲63の1~4、13~25)。
また、請求人商品に係る新聞広告は、本件使用商品の発売以降に、毎日新聞、朝日新聞、読売新聞等の全国紙を含む各種新聞において継続的に行われているところ、広告記事の中には、本願商標に係る図柄(色彩が確認できるものもある。)を確認できる態様で、本件使用商品の容器を表示したものがある(甲68~甲81)。
イ 判断
以上によれば、請求人は、殺虫剤の市場(ハエ・カ用エアゾール)において60%以上という高いシェアを誇る商品「キンチョール」(請求人商品)に、1970年から、本願商標に係る特徴(模様、位置)を備える図柄を容器デザインとして採択し、同デザインの本件使用商品を長期間(50年以上)にわたり継続して製造、販売しているもので、そのテレビCMや新聞広告等も、全国的な規模で、長期間にわたり継続して放映、掲載されている。
そうすると、本願商標(模様、位置)は、請求人商品(本件使用商品を含む。)の長期間、広範囲かつ大規模な販売実績や広告宣伝実績に鑑みると、その指定商品に係る我が国の需要者との間において、請求人又はその業務に係る商品との関連性を伴って記憶され、広く認識されるに至っているというべきである。
したがって、本願商標は、その指定商品に係る需要者をして、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえず、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(3)まとめ
以上を踏まえると、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しないから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消を免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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