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特許拒絶査定不服審判

2020-004362

ラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリ自動化システム

審判番号
2020-004362
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-512777外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年04月02日
審決日
2020年10月19日
公報発行日
2020年12月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-512777「ラボラトリ試料分配システムおよびラボラトリ自動化システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月17日国際公開、WO2016/038014、平成29年 9月21日国内公表、特表2017-527804、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 13項目
【理 由】

第1 手続の経緯

本願は、2015年(平成27年)9月8日(パリ条約による優先権主張 2014年9月9日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成31年4月2日付けで拒絶理由が通知され、令和元年7月3日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月3日付けで拒絶査定されたところ、令和2年4月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 原査定の理由

原査定(令和元年12月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1 本願請求項1、4及び5に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2 本願請求項2に係る発明は、以下の引用文献1~3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特表2013-525232号公報

2.特開平3-65001号公報

3.省略

第3 本願発明

本願請求項1~5に係る発明(以下それぞれ請求項の番号に従って「本願発明1」などという。)は、令和元年7月3日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1は以下のとおりの発明である。

「  【請求項1】
1つまたは複数の試料容器(145)を運ぶようにそれぞれが構成され、かつ、少なくとも1つの磁気的に能動なデバイスをそれぞれが含む、複数の試料容器キャリア(140)と、
前記試料容器キャリア(140)を支持するように構成された搬送平面(110)と、
前記搬送平面(110)の下方に固定されて配置された複数の電磁アクチュエータ(120、160、161、162、163、164)であって、前記試料容器キャリア(140)に磁気的な駆動力を印加することにより前記搬送平面(110)の上面上の前記試料容器キャリア(140)を移動させるように構成された、複数の電磁アクチュエータ(120、160、161、162、163、164)と、
制御デバイス(150)と
を備え、
前記制御デバイス(150)が、対応する搬送経路(142)に沿って前記試料容器キャリア(140)が移動するように前記電磁アクチュエータ(120、160、164)を駆動することにより前記搬送平面(110)の上面上の前記試料容器キャリア(140)の前記移動を制御するように構成され、前記搬送経路(142)のそれぞれが、対応する終点電磁アクチュエータ(160)の上で終端し、
前記制御デバイス(150)が、前記終点電磁アクチュエータ(160)が、前記対応する搬送経路(142)の前記終端で前記対応する試料容器キャリア(140)に対して磁気的センタリング引力を印加するように、前記終点電磁アクチュエータ(160)を駆動するように構成される、ラボラトリ試料分配システム(100)において、
前記制御デバイス(150)が、前記終点電磁アクチュエータ(160)に隣接して配置された電磁アクチュエータ(161、162、163、164)が、前記対応する搬送経路(142)の前記終端で前記試料容器キャリア(140)に対して磁気的センタリング斥力を印加するように、そして、前記終点電磁アクチュエータ(160)の位置において、前記搬送平面(110)における前記磁気的センタリング斥力の和がゼロになるように、前記終点電磁アクチュエータ(160)に隣接して配置された全ての電磁アクチュエータ(161、162、163、164)を駆動するように構成され、前記磁気的センタリング引力および前記磁気的センタリング斥力が、前記磁気的な駆動力よりも大きいこと
を特徴とする、ラボラトリ試料分配システム(100)。」

なお、本願発明2~5の概要は以下のとおりである。

本願発明2~5は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引1ア)

「【0022】
図1は、異なるステーション20、21、22および23の間で容器10を搬送するシステム100の概略斜視図を示している。
【0023】
ステーション20~23は、医療用試料のための試料分析システムの異なるステーションであり得る。分析される試料、たとえば、血液または尿などの体液11(図2参照)は、ここでは、ストッパによって密閉された試料管10の形の容器に外部から供給され、試料管はドライブフリー容器キャリヤ30に収容される。ステーション20~23は、ここでは、この文脈において通常生じる機能を発揮する。たとえば、1つのステーションは、試料管からストッパを取り外すように機能することが可能であり、さらなるステーションは、分注目的で使用することが可能であり、さらなるステーションは、第一の試料分析を実行することが可能である。
続きを表示(全24行)
【0024】
示されるシステム100の目的は、異なるステーション20~23の間で試料管10を搬送することである。容器または試料管10は、最初、関連する容器キャリヤ30をともなうそれぞれの場合に、副領域51から形成される、搬送領域50の入力区域54に手動または機械的に配置される。その入力区域54から、試験管10または容器キャリヤ30は、システム100によって、ステーション20~23に搬送され、そこで適切に処理され、次に、副領域51により形成される出力区域56に搬送され、手動または機械的に搬送領域50から取り去られる。
【0025】
所定の最大期間内に分析されることとなる緊急試料の優先された処理のために、副領域51から形成された緊急入力区域55が存在する。そこでは、関連する容器キャリヤ30を伴う試料管10が配置され、その試料管は優先順位に基づいて処理される。
【0026】
システムは、たとえば処理コンピュータとしてPCの形で、容器キャリヤ30の搬送を制御する制御ユニット40(図3参照)と、格子状を基本に、同一の大きさを有する四角形の副領域または格子状領域51に分割され、容器キャリヤ30が移動可能に配列される搬送領域50と、複数の駆動手段とを備えている。複数の駆動手段のそれぞれの駆動手段は、それぞれの副領域51に割り当てられ、関連する容器キャリヤ30に駆動力を加えるように設計されている。搬送領域50は、完全に副領域51に分割されるが、ここでは、表現可能性の理由から、例示的な副領域のみに参照符号51が付されている。
【0027】
図3は、例示的な部分領域51および関連する駆動手段の概略上面図を示している。図3を参照すると、例示的な副領域51の下方に、強磁性コアを有さない4つのコイル60~63が配置され、コイルは、例示的な副領域51の関連する駆動手段を形成する。コイル60~63は、それらの巻回軸が四角形を形成するように配列され、四角形は、搬送領域50に、または、搬送領域50により形成される搬送領域平面に平行な平面内に位置している。さらなる副領域51に、対応する駆動手段またはコイルが割り当てられる。
【0028】
制御ユニット40は、磁場または駆動力を発生させるために、4つのコイル60~63のうち2つのそれぞれに電流を流す。
【0029】
図2を参照すると、容器キャリヤ30は、強磁性材料31または永久磁石でできた部分をその下部側に備えており、コイル60~63によって発生した磁場により、容器キャリヤ30に非接触式で駆動力が加えられる。
【0030】
コイル60~63の適度な励磁を通して、第一、第二、第三または少なくとも第四の方向に磁場または駆動力が発生する。同時に励磁されるコイルの対は、たとえば、コイル(60、63)、コイル(62、63)、コイル(61、62)およびコイル(60、61)により形成され、電流給電の極性を逆にすることにより、駆動力の方向を反転することが可能である。
【0031】
容器キャリヤ30を、たとえば、適度に発生する駆動力によって、副領域51から押すことが可能であり、および/または、隣接した副領域の駆動手段によって適度に発生する駆動力によって、隣接した副領域に引くことが可能である。単一の副領域の単一の駆動手段が、容器キャリヤ30の移動または駆動に作用することが可能であり、または、複数の副領域の複数の駆動手段が作用することが可能である。駆動手段は、同時に、容器キャリヤ30を減速させ、および/または、固定するように機能することが可能である。
【0032】
副領域51から形成され、ステーション20~23と隣接する副領域区域52は、ステーションへの搬送領域として、すなわち待機ラインとして機能する。副領域51から形成され、ステーション20~23の他方のサイドで隣接する副領域区域53は、ステーションへの優先搬送領域として、たとえば緊急試料の待機ラインとして機能する。
【0033】
すべての機能的な副領域区域52、53、54、55および56は、所定数の副領域51から形成される。」

(引1イ)図1

(引1ウ)図2

(引1エ)図3

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 医療用試料のための試料分析システムの異なるステーション20~23の間で、試料管10を容器キャリヤ30に収容して搬送するシステム100であって、
副領域51から形成される、搬送領域50の入力区域54から、容器キャリヤ30は、ステーション20~23に搬送され、そこで適切に処理され、次に、副領域51により形成される出力区域56に搬送され、
システム100は、複数の容器キャリヤ30の搬送を制御する制御ユニット40と、同一の大きさを有する四角形の副領域51に分割され、容器キャリヤ30が移動可能に配列される搬送領域50と、複数の駆動手段とを備え、複数の駆動手段のそれぞれの駆動手段は、それぞれの副領域51に割り当てられ、関連する容器キャリヤ30に駆動力を加えるように設計されており、
副領域51の下方に、強磁性コアを有さない4つのコイル60~63が配置され、コイル60~63は、副領域51の関連する駆動手段を形成し、コイル60~63は、それらの巻回軸が四角形を形成するように配列され、四角形は、搬送領域50により形成される搬送領域平面に平行な平面内に位置しており、
制御ユニット40は、磁場を発生させるために、4つのコイル60~63のうち2つのそれぞれに電流を流し、
容器キャリヤ30は、強磁性材料31でできた部分をその下部側に備えており、コイル60~63によって発生した磁場により、容器キャリヤ30に非接触式で駆動力が加えられ、
容器キャリヤ30を、適度に発生する駆動力によって、副領域51から押すことが可能であり、および/または、隣接した副領域の駆動手段によって適度に発生する駆動力によって、隣接した副領域に引くことが可能であり、単一の副領域の単一の駆動手段が、容器キャリヤ30の移動に作用することが可能であり、または、複数の副領域の複数の駆動手段が作用することが可能であり、駆動手段は、同時に、容器キャリヤ30を減速させ、および/または、固定するように機能することが可能であり、
副領域51から形成され、ステーション20~23と隣接する副領域区域52は、ステーションへの搬送領域として、すなわち待機ラインとして機能する、
システム100。」

2 引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引2ア)

「〔実施例〕
第1図はこの発明の一実施例の移動装置の基本的な構成を示す概念図であり、部屋10内での家具12の移動のための構成が示されている。床9には、複数の一次コイル11を二次元配列した一次コイル群8が配設される。そして移動対象物である家具12の下部には、前記一次コイル11とともにリニアモータを構成する複数の回転子12aが設けられている。一次コイル群8には、制御手段として設けた制御用計算機13からライン14,15を介して電流が与えられる。
家具12の移動に当たっては、家具12の下方に位置する一次コイル11に電流を流し、この一次コイル11と回転子12aとの間に斥力を生じさせ、家具12を浮上させる。そして、家具12の移動方向に位置する一次コイル11には、この一次コイル11と家具12の回転子12aとの間に引力が働くような電流を流す。この家具12の移動方向にある一次コイル11に流す電流の大小によって、家具12の移動速度の調整が可能である。このような、一次コイル群8の電流分布は制御用計算機13により制御される。
家具12の移動を停止させる場合には、家具12の下方に位置する一次コイル11の電流を弱め、残余の一次コイル11にはこれらの一次コイル11と家具12の回転子12aとの間に互いに強く反発し合う力が働くような電流を与える。その後家具12の移動が停止し、家具12の位置が安定したところで、家具12の下方に位置する一次コイル11の電流を零とし、さらに残余の一次コイル11の電流を止める。このようにして、家具12と一次コイル11との間の力が零となり、家具12が所定の位置に配置される。
家具12の移動方向などの指示は、制御用計算機13が備える図外の入力手段により行われ、この入力手段により入力された情報に基づいて、制御用計算機13は指示された移動方向などに対応した一次コイル群8の電流分布を設定する。すなわち、家具12の移動状況を目視しながら、入力手段から随時指示を与えることにより、家具12を所望の位置に移動させることができる。
このようなこの実施例の構成によれば、家具12の移動が人手によらずに行われるので、たとえ家具12が大きな重量を有している場合にも、この家具12を簡易にしかも安全に移動させることができる。しかも、人手によって移動させる場合のように作業者が通るスペースを考慮する必要がない。このようにして、たとえば家具12の配置替えなどが格段に容易に行われるようになる。」

(引2イ)第1図

したがって、上記引用文献2には次の技術的事項(以下「引用文献2の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。

「部屋10内での家具12の移動のための移動装置であって、
床9には、複数の一次コイル11を二次元配列した一次コイル群8が配設され、そして移動対象物である家具12の下部には、前記一次コイル11とともにリニアモータを構成する複数の回転子12aが設けられ、一次コイル群8には、制御手段として設けた制御用計算機13からライン14,15を介して電流が与えられ、
家具12の移動に当たっては、家具12の下方に位置する一次コイル11に電流を流し、この一次コイル11と回転子12aとの間に斥力を生じさせ、家具12を浮上させ、そして、家具12の移動方向に位置する一次コイル11には、この一次コイル11と家具12の回転子12aとの間に引力が働くような電流を流し、
家具12の移動を停止させる場合には、家具12の下方に位置する一次コイル11の電流を弱め、残余の一次コイル11にはこれらの一次コイル11と家具12の回転子12aとの間に互いに強く反発し合う力が働くような電流を与え、その後家具12の移動が停止し、家具12の位置が安定したところで、家具12の下方に位置する一次コイル11の電流を零とし、さらに残余の一次コイル11の電流を止め、このようにして、家具12と一次コイル11との間の力が零となり、家具12が所定の位置に配置される、
移動装置。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「試料管10」及び「複数の容器キャリヤ30」は、それぞれ、本願発明1の「試料容器(145)」及び「複数の試料容器キャリア(140)」に相当する。

また、引用発明の「容器キャリヤ30は、強磁性材料31でできた部分をその下部側に備えており、コイル60~63によって発生した磁場により、容器キャリヤ30に非接触式で駆動力が加えられ」ることから、ここでの「強磁性材料31でできた部分」は、本願発明1の「少なくとも1つの磁気的に能動なデバイス」に相当する。

よって、引用発明の「試料管10を」「収容した搬送する」ようにそれぞれが構成され、かつ、「強磁性材料31でできた部分を」それぞれが「備え」る、「複数の容器キャリヤ30」は、本願発明1の「1つまたは複数の試料容器(145)を運ぶようにそれぞれが構成され、かつ、少なくとも1つの磁気的に能動なデバイスをそれぞれが含む、複数の試料容器キャリア(140)」に相当する。

イ 引用発明の「容器キャリヤ30が移動可能に配列される」「搬送領域50により形成される搬送領域平面」は、本願発明1の「前記試料容器キャリア(140)を支持するように構成された搬送平面(110)」に相当する。

ウ 引用発明の「副領域51に分割され」た「搬送領域50」の「副領域51の下方に」「配置され」た「コイル60~63」から「形成」される複数の「駆動手段」は、本願発明1の「前記搬送平面(110)の下方に固定されて配置された複数の電磁アクチュエータ(120、160、161、162、163、164)」に相当する。

また、引用発明の「コイル60~63によって発生した磁場により、容器キャリヤ30に非接触式で駆動力が加えられ」、「容器キャリヤ30の移動に作用する」ことは、本願発明1の「前記試料容器キャリア(140)に磁気的な駆動力を印加することにより前記搬送平面(110)の上面上の前記試料容器キャリア(140)を移動させるように構成された」ことに相当する。

よって、「副領域51に分割され」た「搬送領域50」の「副領域51の下方に」「配置され」た「コイル60~63」から「形成」される複数の「駆動手段」であって、「コイル60~63によって発生した磁場により、容器キャリヤ30に非接触式で駆動力が加えられ」、「容器キャリヤ30の移動に作用する」、複数の「駆動手段」は、本願発明1の「前記搬送平面(110)の下方に固定されて配置された複数の電磁アクチュエータ(120、160、161、162、163、164)であって、前記試料容器キャリア(140)に磁気的な駆動力を印加することにより前記搬送平面(110)の上面上の前記試料容器キャリア(140)を移動させるように構成された、複数の電磁アクチュエータ(120、160、161、162、163、164)」に相当する。

エ 引用発明の「複数の容器キャリヤ30の搬送を制御する制御ユニット40」は、本願発明1の「制御デバイス(150)」に相当する。

オ 引用発明の「制御ユニット40」が、「副領域51から形成される、搬送領域50の入力区域54から」、「副領域51から形成され、ステーション20~23と隣接する副領域区域52」まで、「容器キャリヤ30の搬送を制御する」ことは、本願発明1の「前記制御デバイス(150)が、対応する搬送経路(142)に沿って前記試料容器キャリア(140)が移動するように前記電磁アクチュエータ(120、160、164)を駆動することにより前記搬送平面(110)の上面上の前記試料容器キャリア(140)の前記移動を制御するように構成され、前記搬送経路(142)のそれぞれが、対応する終点電磁アクチュエータ(160)の上で終端」することに相当する。

カ 引用発明の「制御ユニット40」が、「ステーション20~23と隣接する副領域区域52」で「駆動手段」を「容器キャリヤ30を」「固定するように機能」させることは明らかであるから、引用発明は、本願発明1の「前記制御デバイス(150)が、前記終点電磁アクチュエータ(160)が、前記対応する搬送経路(142)の前記終端で前記対応する試料容器キャリア(140)に対して磁気的センタリング引力を印加するように、前記終点電磁アクチュエータ(160)を駆動するように構成される」ことに相当する構成を備えている。

キ 引用発明の「医療用試料のための試料分析システムの異なるステーション20~23の間で、試料管10を容器キャリヤ30に収容して搬送するシステム100」は、本願発明1の「ラボラトリ試料分配システム(100)」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。

(一致点)

「 1つまたは複数の試料容器(145)を運ぶようにそれぞれが構成され、かつ、少なくとも1つの磁気的に能動なデバイスをそれぞれが含む、複数の試料容器キャリア(140)と、
前記試料容器キャリア(140)を支持するように構成された搬送平面(110)と、
前記搬送平面(110)の下方に固定されて配置された複数の電磁アクチュエータ(120、160、161、162、163、164)であって、前記試料容器キャリア(140)に磁気的な駆動力を印加することにより前記搬送平面(110)の上面上の前記試料容器キャリア(140)を移動させるように構成された、複数の電磁アクチュエータ(120、160、161、162、163、164)と、
制御デバイス(150)と
を備え、
前記制御デバイス(150)が、対応する搬送経路(142)に沿って前記試料容器キャリア(140)が移動するように前記電磁アクチュエータ(120、160、164)を駆動することにより前記搬送平面(110)の上面上の前記試料容器キャリア(140)の前記移動を制御するように構成され、前記搬送経路(142)のそれぞれが、対応する終点電磁アクチュエータ(160)の上で終端し、
前記制御デバイス(150)が、前記終点電磁アクチュエータ(160)が、前記対応する搬送経路(142)の前記終端で前記対応する試料容器キャリア(140)に対して磁気的センタリング引力を印加するように、前記終点電磁アクチュエータ(160)を駆動するように構成される、ラボラトリ試料分配システム(100)。」

(相違点)

本願発明1では、「前記制御デバイス(150)が、前記終点電磁アクチュエータ(160)に隣接して配置された電磁アクチュエータ(161、162、163、164)が、前記対応する搬送経路(142)の前記終端で前記試料容器キャリア(140)に対して磁気的センタリング斥力を印加するように、そして、前記終点電磁アクチュエータ(160)の位置において、前記搬送平面(110)における前記磁気的センタリング斥力の和がゼロになるように、前記終点電磁アクチュエータ(160)に隣接して配置された全ての電磁アクチュエータ(161、162、163、164)を駆動するように構成され、前記磁気的センタリング引力および前記磁気的センタリング斥力が、前記磁気的な駆動力よりも大きい」のに対し、引用発明では、このような特定がされていない点。

(2)相違点についての判断

上記相違点について検討すると、「第4」の「2」における引用文献2の技術的事項は、「家具12の移動を停止させる場合」の制御であり、停止させた後の制御ではない。それに対して、上記相違点に係る本願発明1の構成は、「終点電磁アクチュエータ(160)の位置において、前記搬送平面(110)における前記磁気的センタリング斥力の和がゼロになるように、前記終点電磁アクチュエータ(160)に隣接して配置された全ての電磁アクチュエータ(161、162、163、164)を駆動するように構成され、前記磁気的センタリング引力および前記磁気的センタリング斥力が、前記磁気的な駆動力よりも大きい」ことを含み、「試料容器キャリア(140)」を「終点電磁アクチュエータ(160)の位置」に停止させた後に保持するための制御であるから、引用文献2の技術的事項とは、制御する目的も制御する態様も異なるものである。

また、上記相違点に係る本願発明1の構成、とりわけ、「終点電磁アクチュエータ(160)の位置において、前記搬送平面(110)における前記磁気的センタリング斥力の和がゼロになるように、前記終点電磁アクチュエータ(160)に隣接して配置された全ての電磁アクチュエータ(161、162、163、164)を駆動するように構成され、前記磁気的センタリング引力および前記磁気的センタリング斥力が、前記磁気的な駆動力よりも大きい」ことが、本願優先日前に周知技術であるという証拠はない。

そして、本願発明1は、「試料容器キャリア(140)」を「終点電磁アクチュエータ(160)の位置」に安定的に保持できるという効果(段落【0019】など)を奏するものである。

したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2の技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2~5について

本願発明2~5(本願発明3は、原査定で拒絶の対象になっていない)は、上記相違点に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2の技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1~5は、当業者が引用発明及び引用文献2の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-004362

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