2020-002361
分光装置及び分光方法
- 審判番号
- 2020-002361
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-000067外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年02月21日
- 審決日
- 2020年11月09日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G01J) / P18 .537-WY (G01J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 26項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年1月4日の出願であって、令和元年10月29日付けで拒絶理由が通知され、同年12月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和2年1月7日付けで拒絶査定(原査定)がされたところ、これに対し、同年2月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、当審により同年8月5日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年9月11日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年1月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1 本願の請求項1ないし3、7及び8に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開昭62-177420号公報
2.特開2015-194359号公報
3.特開昭63-100644号公報
2 本願の請求項5ないし7に係る発明は、以下の点で明確でないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。
請求項5に記載された「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光は、前記偏光子に入射し、その後、前記第2ビームスプリッタに入射する」は、引用する請求項1で特定される、第1ビームスプリッタで分離された第1直線偏光及びそれに直交する第2直線偏光が、(第1及び第2直線偏光に分離されたまま)第2ビームスプリッタに入射することと整合しない。
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願請求項1、5、7及び8に係る発明は、以下の引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
4.特公昭52-34235号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、令和2年9月11日にされた手続補正で補正(以下「本件補正」という。)された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、3及び5は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタと、前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部と、前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部と、前記第1透過光及び前記第2透過光が入射する第1偏光子と、前記第1反射光及び前記第2反射光が入射する第2偏光子と、を備え、前記第1偏光子及び前記第2偏光子は、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の一方の振動方向に対する前記第1偏光子の透過軸の方向と、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の前記一方の振動方向に対する前記第2偏光子の透過軸の方向とが互いに直交するように配置されている分光装置。」
「【請求項3】光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタと、前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部と、前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部と、前記第1透過光及び前記第2透過光が入射する第1偏光子と、前記第1反射光及び前記第2反射光が入射する第2偏光子と、を備え、前記第1偏光子及び前記第2偏光子は、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の一方の振動方向に対する前記第1偏光子の透過軸の方向と、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の前記一方の振動方向に対する前記第2偏光子の透過軸の方向とが互いに同じ方向になるように配置されている分光装置。」
「【請求項5】光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタと、前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部と、前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部と、偏光子と、を備え、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光は、前記偏光子に入射し、その後、前記第2ビームスプリッタに入射し、前記第1干渉縞と前記第2干渉縞との平均を算出し、前記平均を示すデータをフーリエ変換する信号処理部を備える分光装置。」
なお、本願発明2及び4は、それぞれ本願発明1及び3を減縮した発明であり、本願発明6は、本願発明1ないし5を減縮した発明である。
そして、本願発明7ないし9は、それぞれ本願発明1、3及び5に対応する方法の発明であり、本願発明1、3及び5とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
また、本願発明1は本件補正前の請求項2に係る発明に相当し、本願発明3は本件補正前の請求項4に係る発明に相当し、本願発明5は本件補正前の請求項5を引用する請求項6に係る発明に相当する。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審において付加した。引用文献の記載において以下同様。)。
(引1-ア)第1頁右下欄10~12行
「 本発明は偏光干渉計に係り、特にフーリエ分光などの数学的処理に好適な差動形偏光干渉計に関する。」
(引1-イ)第2頁左上欄下から3行~左下欄13行
「 以下、本発明の一実施例を第1図により説明する。被測定光源10から出た光線11は、偏光軸16を有する偏光板15に入射する。偏光板15により偏光面が偏光軸16に平行となった光線は、ウオラストンプリズム20に入射する。ウオラストンプリズム20は結晶軸21,22が互に直交する2個の複屈接性(例えば水晶など)のプリズム25,26を接合して作られており、各プリズム中の屈接率は入射光線の偏光方向により異なるから、ウオラストンプリズム20を通過する光線の中心光軸の位置により、ウオラストンプリズム中の光学的距離が異なつて来る。この事は換言すると、プリズム25と26との接合面での屈接率の比が、偏光軸が結晶軸21に平行な光線と、結晶軸22に平行な光線では1以上と1以下となるから、一方の光線は例えば左方向に微か屈接し、他方の光線は右方向に屈接する。従つて、偏光板15の偏光軸16を結晶軸21(又は22)に対し45°傾けておけば、ウオラストンプリズム20中には、各結晶軸21,22に平行な2光線成分(振幅は45°偏光光線の各1/√2)が生じ、プリズム25,26の接合面付近から互に傾斜した、2個の波面を形成する事になる。この2個の傾斜波面が、結晶軸に対し45°の偏光軸36を有する第2の偏光板(検光子とも云う)35を通過すると、夫々の波面に対し共通の偏光成分を与える事となり、干渉現象を起す。この時現われる干渉縞はいわゆる等厚干渉縞であつて、波面が分離したウオラストンプリズム20の接合面附近に観測されるから、結像レンズ40に依つて、1次元撮像素子50の受光面に水平方向51に並んだ干渉縞52として結像される。1次元撮像素子としてはMOS型又はCCD(電荷結合素子)型のフォトダイオードアレイ(PDA)が適当であるが、イメージデイセクタチユーブなどであつても何等かわらない。」
(引1-ウ)第2頁右下欄12~15行
「 第1図における偏光板45は偏光軸16に対し直交した偏光軸46を有し、偏光板スライダ30を矢印31の方向に移動すれば、第2の偏光板の偏光軸を90°回転させる事ができる。」
(引1-エ)第3頁右上欄12行~右下欄下から5行
「 第4図は、本発明の他の一実施例であつて、偏光軸の回転のための機械的可動部分を含まないものである。第1図の偏光板スライダ30又はこれに相当する第2図の様な可動部材が無い代りに、第4図の結像レンズ40の後に2個の偏光板35,45が上下に並置され、その背後に2個のフオト・ダイオートアレイ(当審注:「ダイオートアレイ」は「ダイオードアレイ」の誤記と認める。)検知器50,57が上下に並置されている。ここで上下方向と云うのは、第1図,第4図の如くウオラストンプリズムの接合面が上下方向に伸び、等厚干渉縞52が水平方向51に出来る場合の垂直方向の事である。クロツク源55からの同一の駆動信号56を得て、検知器50,57は同時に走査され、2個のビデオ信号はそれぞれ増幅器60,86で増幅及びソンプルホールド(当審注:「ソンプルホールド」は「サンプルホールド」の誤記と認める。)され、干渉信号101,102となつて演算増幅器88の差動入力に印加される。演算増幅器88では、2信号101,102の差をアナログ演算して干渉図形信号103(第3図のグラフに対応)を出力する。この時両干渉信号の零光路差の位相が一致する様に、同じ素子位置(ビツト番号とも云う)となる様に検知器の固定位置を調整する必要があり、或いは、駆動信号56の一方に、検知器の空間ずれを補償する時間的遅延回路58を設ける必要がある。勿も、光電検出手段が2次元的撮像カメラである場合はこの必要は無い。次に第4図の方式で、第1図同様等厚干渉縞が得られる理由を説明する。ウオラストンプリズム20を出た互に偏光軸の直交する2個の光束は、傾斜した2個の波面を生み出し、結像レンズ40に入射する。ウオラストンプリズム20の内部には干渉縞は観測されないが、干渉を起状件が満たされた際に観測される干渉縞を生み出す2個の傾斜波面は存在しているのである。結像レンズ40の働きは、ウオラストンプリズム20内の干渉縞像を、検知器50,57の感光面に実像を結像させるものであり、干渉縞像を生み出す現因となつた2波面を収斂する2個の球面波に変換するものである。従つて実際に干渉縞像が観測されていなくても、干渉していない2個の球面波として検知器に向つて収斂し、検知器の直前に置かれた偏光板35又は45に依つて、両波面内な共通偏光成分に干渉が生じ、受光面と第1図の干渉縞52と同じものが結像する事になる。」
(引1-オ)第1図
「」
(引1-カ)第4図
「」
(2)引用文献1に記載された発明
上記(引1-ア)ないし(引1-カ)の記載から、引用文献1には、
「 被測定光源10から出た光線11が、偏光軸16を有する偏光板15に入射し、偏光板15により偏光面が偏光軸16に平行となった光線は、ウォラストンプリズム20に入射し、ウォラストンプリズム20は結晶軸21,22が互に直交する2個の複屈接性のプリズム25,26を接合して作られており、偏光板15の偏光軸16は結晶軸21(又は22)に対し45°傾けてあり、ウォラストンプリズム20中には、各結晶軸21,22に平行な2光線成分が生じ、プリズム25,26の接合面付近から互に傾斜した、2個の波面を形成し、ウォラストンプリズム20を出た互に偏光軸の直交する2個の光束は、傾斜した2個の波面を生み出し、結像レンズ40に入射し、結像レンズ40の後に2個の偏光板35,45が上下に並置され、その背後に2個のフォト・ダイオードアレイ検知器50,57が上下に並置されており、偏光板35は結晶軸に対し45°の偏光軸36を有し、偏光板45は偏光軸16に対し直交した偏光軸46を有し、偏光板35の偏光軸36を90°回転させたものであり、結像レンズ40は、ウォラストンプリズム20内の干渉縞像を、フォト・ダイオードアレイ検知器50,57の感光面に実像を結像させ、干渉縞像を生み出す現因となった2波面を収斂する2個の球面波に変換し、クロック源55からの同一の駆動信号56を得て、フォト・ダイオードアレイ検知器50,57は同時に走査され、2個のビデオ信号はそれぞれ増幅器60,86で増幅及びサンプルホールドされ、干渉信号101,102となって演算増幅器88の差動入力に印加され、演算増幅器88では、2信号101,102の差をアナログ演算して干渉図形信号103を出力する、差動形偏光干渉計。」
の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
なお、「ウオラストンプリズム」の表記として、一般的な表記である「ウォラストンプリズム」を用いた。
2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である引用文献2には、以下の記載がある。
(引2-ア)「【0001】
本発明は、生体計測・粉体計測・食品計測をはじめとする光学的散乱体に対する非破壊・非侵襲的な分光測定法とそれを効果的に実現する装置に関するものである。
本発明ではマルチチャンネル分光分析法を用いて吸光散乱計測を行い、光利用効率を向上させた高感度性を実現することで、装置性能の高速化や高い信号ノイズ比や低光量性において、装置性能を高めることを目的とする技術に関するものである。」
(引2-イ)「【0030】
(実施例1)
これらを組み合わせて本発明を実現するための光学系を図にて例示する。基本形はサバール板を用いたマルチチャンネルフーリエ変換分光器とするが、シェアリング干渉系であればそれぞれに同様の工夫を施すことができ、この形態によるものではない。この分光器では1段目の偏光素子が偏光子として、2段目の偏光素子が検光子として働く。図1は、2段目の偏光素子として上下に互いに直交する偏光板を利用して、上下の位相が逆転したインターフェログラムを同時形成する光学系である。試料から透過または拡散反射されてきた光を干渉計に導く際にバンドルファイバーを用いており、広い面積、厚い試料など3次元散乱体からの光でも、効率よくインターフェログラムが形成することが可能となる。この光導入方法については、他の例においても同様である。
図1において、光源(図示せず)からの入射光が試料(散乱体試料)に入射し、試料を透過した光(拡散反射した光であっても可能)は大口径光ファイバー(図では断面積の大きいバンドルファイバー)の入射端に入射し、出射端から出射した光は、集光レンズ・偏光子・サバール板・複合検光子・フーリエ変換レンズからなるシェアリング干渉光学系に入力され、アレイ検出器(二次元エリアセンサ)上に干渉縞を出現させ、アレイ検出器で検出生成されたインターフェログラムを信号処理手段(図示せず)で処理する。ここで、フーリエ変換レンズの焦点距離をfとすると、サバール板とフーリエ変換レンズの間隔、および、フーリエ変換レンズとアレイ検出器(二次元エリアセンサ)の間隔はいずれも焦点距離fに設定されており、2段目の偏光素子として上半分と下半分とで互いに直交する偏光板からなる複合検光子(図では上半分が0度偏光、下半分が90度偏光)を用いる。そうすると、偏光子を通過しサバール板で波面分割された光は、上下で互いに直交する偏光板からなる複合検光子を経てフーリエ変換レンズを通過し、アレイ検出器の上半分と下半分とで位相が逆転した干渉縞を出現させるので、上半分のアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラム(図では同位相インターフェログラム)と、下半分のアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラム(図では逆位相インターフェログラム)との差を取る(図示しない信号処理手段で行う)ことで、検出信号を2倍に高めかつバイアスノイズを除去することができる。
なお、アレイ検出器として二次元エリアセンサまたは複数段アレイセンサを用いたときは、上半分の二次元エリアセンサまたは複数段アレイセンサの水平方向のラインのセンサで生成された干渉縞を垂直方向に積算したインターフェログラムと、下半分の二次元エリアセンサまたは複数段アレイセンサの水平方向のラインのセンサで生成された干渉縞を垂直方向に積算したインターフェログラムとの間で前記差分信号処理を行なうとよい。」
(引2-ウ)「【0032】
(実施例3)
図3は、2段目の偏光素子に偏光ビームスプリッターを用いて、偏光分割を行いながらも光量を損なうこと無く、偏光ビームスプリッターでの透過方向および反射方向で位相が逆転したインターフェログラムを同時形成する光学系である。
図3の光学系で上記図1の光学系と異なる点は、2段目の偏光素子に偏光ビームスプリッターを用い、偏光ビームスプリッターで透過方向および反射方向で位相が逆転したインターフェログラムを同時形成するので、透過方向および反射方向にそれぞれフーリエ変換レンズ・アレイ検出器を備えている点が異なる。なお、図1、2では光学系を横から見た図で示していたが、図3では、説明をわかりやすくするため光学系を上から見た平面図として表している。また、サバール板とフーリエ変換レンズの光路長および前記フーリエ変換レンズと二次元エリアセンサの距離はフーリエ変換レンズの焦点距離fに等しい。図3の光学系では、偏光子を通過しサバール板で波面分割された光は、偏光ビームスプリッターで透過方向(図では90度偏光)と反射方向(図では0度偏光)とに偏光分割され、分割された光はそれぞれフーリエ変換レンズを通過し、それぞれのアレイ検出器上に互いに位相が逆転した干渉縞を出現させる。そこで、透過方向に設けたアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラムと、反射方向に設けたアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラムとの差を取る(図示しない信号処理手段で行う)ことで、図1、2の場合と同様に、検出信号を2倍に高めかつバイアスノイズを除去することができる。
なお、アレイ検出器として二次元エリアセンサを用いたときは、透過方向に設けた二次元エリアセンサの水平方向のラインのセンサで生成された干渉縞を垂直方向に積算したインターフェログラムと、反射方向に設けた二次元エリアセンサ水平方向のラインのセンサで生成された干渉縞を垂直方向に積算したインターフェログラムとの間で前記差分信号処理を行なうとよい。」
(引2-エ)【図3】
「」
(2)引用文献2に記載された発明
上記(引2-ア)ないし(引2-エ)の記載から、引用文献2には、
「 試料を透過した光は大口径光ファイバーの入射端に入射し、出射端から出射した光は、集光レンズ・偏光子・サバール板・2段目の偏光素子・フーリエ変換レンズからなるシェアリング干渉光学系に入力され、アレイ検出器(二次元エリアセンサ)上に干渉縞を出現させ、アレイ検出器で検出生成されたインターフェログラムを信号処理手段で処理する、マルチチャンネルフーリエ変換分光器であって、2段目の偏光素子に偏光ビームスプリッターを用い、偏光ビームスプリッターで透過方向及び反射方向で位相が逆転したインターフェログラムを同時形成するので、透過方向及び反射方向にそれぞれフーリエ変換レンズ・アレイ検出器を備えており、偏光子を通過しサバール板で波面分割された光は、偏光ビームスプリッターで透過方向(90度偏光)と反射方向(0度偏光)とに偏光分割され、分割された光はそれぞれフーリエ変換レンズを通過し、それぞれのアレイ検出器上に互いに位相が逆転した干渉縞を出現させ、信号処理手段で、透過方向に設けたアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラムと、反射方向に設けたアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラムとの差を取ることで、検出信号を2倍に高めかつバイアスノイズを除去することができる、マルチチャンネルフーリエ変換分光器。」
の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
3 引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献3には、以下の記載がある。
(引3-ア)第2頁右上欄下から4行~末行
「〔技術分野〕本発明は、磁気光学効果を利用して記録媒体に磁気的に記録された情報を再生する光磁気情報再生装置に関する。」
(引3-イ)第3頁右下欄下から3行~第4頁右上欄8行
「〔実施例〕以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。第1図および第2図は、本発明に基づく光磁気情報再生装置の第1実施例を示し、夫々第1図は光学系の概略構成図、第2図は信号処理回路の概略構成図である。第1図において、21は半導体レーザ、22はコリメータレンズ、12は偏光ビームスプリツタ、24は対物レンズ、26は光磁気記録媒体、271,272は検光子、28は集光レンズ、291,292はピンフオトダイオード等の増幅作用のない光検出器、30はハーフミラーでP偏光方向は紙面に平行、S偏光方向は垂直である。また、13,14は夫々検光子271,272を透過した光束を示し、この検出光束13,14は第2図のように光検出器291,292で各々光電変換され、負荷抵抗161,162を含む増幅器151,152によって電圧増幅された後、差動増幅器18で差分されて、端子14より再生信号として出力される。上記装置において、半導体レーザ21はP偏光光束を出射する。この出射光束は、コリメータレンズ22で平行光となり、偏光ビームスプリツタを透過して、対物レンズ24によって記録媒体26上に強度I0の光スポツトとして照射される。そして、記録媒体26で反射された光束は、該記録媒体26に磁気的に記録された情報に応じて偏光状態に変調を受け、再び対物レンズ24を通って偏光ビームスプリツタ12で反射し、集光レンズ28で収束光とされて、ハーフミラー30に導かれる。ハーフミラー30で反射及び透過された光束は、各々検光子271,272を通過し、強度変調されて光検出器291,292で受光される。」
(引3-ウ)第1図
「」
(2)引用文献3に記載された発明
上記(引3-ア)ないし(引3-ウ)の記載から、引用文献3には、
「 半導体レーザ21、コリメータレンズ22、偏光ビームスプリッタ12、対物レンズ24、光磁気記録媒体26、検光子271,272、集光レンズ28、増幅作用のない光検出器291,292、ハーフミラー30を備えた光磁気情報再生装置であって、半導体レーザ21はP偏光光束を出射し、この出射光束は、コリメータレンズ22で平行光となり、偏光ビームスプリッタ12を透過して、対物レンズ24によって記録媒体26上に強度I0の光スポットとして照射され、記録媒体26で反射された光束は、該記録媒体26に磁気的に記録された情報に応じて偏光状態に変調を受け、再び対物レンズ24を通って偏光ビームスプリッタ12で反射し、集光レンズ28で収束光とされて、ハーフミラー30に導かれ、ハーフミラー30で反射及び透過された光束は、各々検光子271,272を通過し、強度変調されて光検出器291,292で受光されて光電変換され、差動増幅器18で差分されて再生信号として出力される、光磁気情報再生装置。」
の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
4 引用文献4について
(1)当審拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献4には、以下の記載がある。
(引4-ア)第2欄4行
「 本発明は偏光干渉分光装置に関するものである。」
(引4-イ)第4欄10~39行
「 次に偏光干渉分光法について説明する。第3図は偏光干渉計の原理図であり、光源1、偏光板2、バビネ-ソレイユ補償板4a,4b,4c検光板3、検知器5よりなる。偏光板2にはバビネ-ソレイユ補償板の結晶軸に45°傾斜した面にだけ振動面を持つた直線偏光が通過する。検光板3は偏光板2と物理的に同一方向に傾斜している。バビネ-ソレイユ補償板は複屈折性を持つた単結晶で構成され、3個の結晶のうち4cのみが図示の矢印方向に可動となつており、また、4a,4b,4cの補償板の結晶軸方向は、第3図中の矢印にて示す方向となつている。光源1を出て偏光板2を通過した直線偏光はバビネ-ソレイユ補償板に対して常光線成分“O”と、常光線成分に対し直交する異常光線成分“E”の振動面を持つ二つのベクトル成分に分離される。・・・さて、バビネ-ソレイユ補償板を通過した互いに直交した振動面を持つ2つの光線は、検光板3上で1つに合成されて検知器に入り干渉信号となる。」
(引4-ウ)第5欄13行~第6欄9行
「 以下第4図の光学系統図を参照し、本発明を詳細に説明する。吸収測定用光源1からの入射光或いは図示されていない光軸の対物レンズ6a方向への延長上にある発光光源からの入射光は各々16a,6bならびに6a,8等の光学系を通つて、偏光板2バビネ-ソレイユ補償板4a,4b,4c及び検光板3より成る干渉計部に平行光束となつて入射し、可動結晶板4Cの移動により適当な光路差を与えられ、検光板3上で再び合成される。検光板3を出た振幅合成光は凹面鏡10あるいは集光レンズ16b,16c等によつて検知器5a,5b上に集光され、干渉出力となり電気信号に変換される。バビネ-ソレイユ補償板の可動結晶板4cは支持アーム11のような適当な支持機構を通して直線カム12に連結せられ、モーター14の回転運動が適当なギヤー系13を通して、直線カム12により直線運動に変換されて、可動結晶板4Cを矢印方向に駆動する。9は入射光束を適当な大きさに制限するために設けられた絞りである。さて、平面鏡7は可動となつており、その切り換えによつて光源1方向からの光と光軸上対物レンズ6a側からの光を干渉計部へ導びく事が出来る。光源1に例えば添素タングステン電球のような連続スペクトルを持つ光源を置き、15aに吸収測定試料を位置させ、適当な光学系6b,16a等により集光すれば、吸収測定を行なうことができる。一方対物レンズ6aによつて定まる適当な位置に置かれた発光試料からの発光測定は、平面鏡7を切り換えることにより、容易に可能となる。・・・レンズ8は干渉計部への入射光を平行光束に保つ為に設けられた凹レンズである。」
(引4-エ)第7欄13~36行
「 一方吸収測定は又、干渉計の出射側に置く事も出来る。第4図において、球面鏡10は可動であり発光スペクトル測定時あるいは試料15aによる吸収測定時は、干渉計出力を集光して検知器5aに導びくか、可動球面鏡10を回転すれば、干渉出力光は可動球面鏡10で反射することなく直進し、集光レンズ16b,16c,吸収測定試料15b、検知器5bへ導かれ試料15bの吸収スペクトルを得る。可動球面鏡10は、この他に測定波長領域に従つて検知器を切り換える為にも有用である。即ち、16b,15b,16cの代りに、適当な集光系を置き、お互いに異なつた波長領域に感度のある検知器5a,5b、例えば5aとしてPbsセル、5bとして光電子増倍管を使用すれば、可動球面鏡10の回転により、干渉計出力光を適宜夫々の検知器へ導くことができる。第7図は、本発明の他の実施例を示す。この例に於いては第4図における可動鏡10の代りに半透鏡10aを用いる事により、干渉計出力光を分割し、検知器5c及び5dへ導く。夫々の検知器出力も適当な方法で加算する事により波長領域によつて検知器を切り換えることなく両検知器の感度のある波長領域全体にて使用できるる。」
(引4-オ)第8欄21~24行
「(iv) 2つ以上の検知器が使用出来、容易な操作でそれらの切り換えが出来る。又、切り換え操作なく、2つの検知器を同時に使用し、両検知器の波長領域全体をカバーすることもできる。」
(引4-カ)第3図
「」
(引4-キ)第4図
「」
(引4-ク)第7図
「」
(2)引用文献4に記載された発明
上記(引4-ア)ないし(引4-ク)の記載から、引用文献4には、
「 偏光板2、バビネ-ソレイユ補償板4a,4b,4c及び検光板3よりなる干渉計部を有し、バビネ-ソレイユ補償板4a,4b,4cは複屈折性を持った単結晶で構成され、3個の結晶のうち4cのみが可動となっており、偏光板2にはバビネ-ソレイユ補償板の結晶軸に45°傾斜した面にだけ振動面を持った直線偏光が通過し、検光板3は偏光板2と物理的に同一方向に傾斜しており、光軸の対物レンズ6a方向への延長上にある発光光源からの入射光は、対物レンズ6a,レンズ8等の光学系を通って、偏光板2、バビネ-ソレイユ補償板4a,4b,4c及び検光板3よりなる干渉計部に平行光束となって入射し、偏光板2を通過した直線偏光はバビネ-ソレイユ補償板4a,4b,4cに対して常光線成分“O”と、常光線成分に対し直交する異常光線成分“E”の振動面を持つ二つのベクトル成分に分離され、可動結晶板4cの移動により適当な光路差を与えられ、互いに直交した振動面を持つ2つの光線は、検光板3上で再び合成され、干渉計出力光を半透鏡10aにより分割して、検知器5c及び5dへ導き、夫々の検知器出力を適当な方法で加算することにより、波長領域によって検知器を切り換えることなく両検知器の感度のある波長領域全体にて使用できる、偏光干渉分光装置。」
の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用発明1を主引用発明とした場合
ア 本願発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「入射し」た「偏光板15により偏光面が偏光軸16に平行となった光線」を「互に偏光軸の直交する2個の光束」として「出」す「ウォラストンプリズム20」は、本願発明1の「光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタ」に相当する。
(イ)引用発明1の「互に偏光軸の直交する2個の光束」のうちの一方の光束は、本願発明1の「第1直線偏光」に相当し、引用発明1の当該一方の光束の上半分及び下半分と、本願発明1の「第1透過光」及び「前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光」とは、それぞれ「第1直線第1部分光」及び「前記第1直線第1部分光の振動方向と同じ振動方向を有し光路の異なる第1直線第2部分光」で共通する。
(ウ)引用発明1の「互に偏光軸の直交する2個の光束」のうちの他方の光束は、本願発明1の「前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光」に相当し、引用発明1の当該他方の光束の上半分及び下半分と、本願発明1の「第2透過光」及び「前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光」とは、それぞれ「第2直線第1部分光」及び「前記第2直線第1部分光の振動方向と同じ振動方向を有し光路の異なる第2直線第2部分光」で共通する。
(エ)引用発明1の「結像レンズ40」により「ウォラストンプリズム20内の干渉縞像」の「実像」が「感光面に」「結像さ」れる「上下に並置され」た「2個のフォト・ダイオードアレイ検知器50,57」と、本願発明1の「前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部」と「前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部」とは、「前記第1直線第1部分光及び前記第2直線第1部分光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部」と「前記第1直線第2部分光及び前記第2直線第2部分光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部」で共通する。
(オ)引用発明1の「上下に並置され」た「2個の偏光板35,45」と、本願発明1の「前記第1透過光及び前記第2透過光が入射する第1偏光子」と「前記第1反射光及び前記第2反射光が入射する第2偏光子」とは、「前記第1直線第1部分光及び前記第2直線第1部分光が入射する第1偏光子」と「前記第1直線第2部分光及び前記第2直線第2部分光が入射する第2偏光子」で共通する。
(カ)引用発明1の「偏光板15の偏光軸16は結晶軸21(又は22)に対し45°傾けてあり」、「偏光板35は結晶軸に対し45°の偏光軸36を有し、偏光板45は偏光軸16に対し直交した偏光軸46を有し、偏光板35の偏光軸36を90°回転させたものであ」ることは、本願発明1の「前記第1偏光子及び前記第2偏光子は、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の一方の振動方向に対する前記第1偏光子の透過軸の方向と、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の前記一方の振動方向に対する前記第2偏光子の透過軸の方向とが互いに直交するように配置されている」ことに相当する。
(キ)引用発明1の「差動形偏光干渉計」は、「ウォラストンプリズム20」で「2個の波面を形成」するものであるから、本願発明1の「分光装置」に相当する。
イ そうすると、本願発明1と引用発明1とは、
「 光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光は、第1直線第1部分光、及び前記第1直線第1部分光の振動方向と同じ振動方向を有し光路の異なる第1直線第2部分光となり、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光は、第2直線第1部分光、及び前記第2直線第1部分光の振動方向と同じ振動方向を有し光路の異なる第2直線第2部分光となり、前記第1直線第1部分光及び前記第2直線第1部分光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部と、前記第1直線第2部分光及び前記第2直線第2部分光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部と、前記第1直線第1部分光及び前記第2直線第1部分光が入射する第1偏光子と、前記第1直線第2部分光及び前記第2直線第2部分光が入射する第2偏光子と、を備え、前記第1偏光子及び前記第2偏光子は、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の一方の振動方向に対する前記第1偏光子の透過軸の方向と、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の前記一方の振動方向に対する前記第2偏光子の透過軸の方向とが互いに直交するように配置されている分光装置。」
の発明である点で一致し、次の点において相違する。
(相違点1)
前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光は、第1直線第1部分光、及び前記第1直線第1部分光の振動方向と同じ振動方向を有し光路の異なる第1直線第2部分光となり、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光は、第2直線第1部分光、及び前記第2直線第1部分光の振動方向と同じ振動方向を有し光路の異なる第2直線第2部分光となることについて、本願発明1においては、「第2ビームスプリッタ」を備え、それにより、「前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する」のに対し、引用発明1においては、空間的な上下位置の違いにより光路が異なるものであり、ビームスプリッタにより透過光と反射光に分離されるものではない点。
ウ 判断
(ア)上記相違点1について検討する。
a 引用発明2の「偏光ビームスプリッター」は、「透過方向(90度偏光)と反射方向(0度偏光)とに偏光分割」するものであり、「直線偏光を第1透過光(第2透過光)、及び前記第1透過光(第2透過光)の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光(第2反射光)に分離」する「第2ビームスプリッタ」に相当するものではない。
b 引用発明3の「ハーフミラー30」は、入射された偏光光束を「反射及び透過された光束」に分離するものであり、「反射及び透過された光束」の振動方向は同じであると認められる。
しかしながら、引用発明3は光磁気情報再生装置であり、「記録媒体26に磁気的に記録された情報に応じて偏光状態に変調を受け」た光束を検出することから、光束を空間的位置に基づいて分離することができないことから、「ハーフミラー30」を用いて光束を分離しているものと認められる。
してみると、引用発明1の「ウォラストンプリズム20を出た互に偏光軸の直交する2個の光束」を、引用文献3の「ハーフミラー30」を用いて透過光と反射光に分離するようにすることを動機付ける事情があるとはいえない。
c 引用発明4の「半透鏡10a」は、入射された干渉計出力光を透過光及び反射光に分離するものであり、透過光及び反射光の振動方向は同じであると認められる。
ここで、引用発明4は「夫々の検知器出力を適当な方法で加算することにより、波長領域によって検知器を切り換えることなく両検知器の感度のある波長領域全体にて使用できる」ようにするために、「干渉計出力光を半透鏡10aにより分割して、検知器5c及び5dへ導」いているものと認められる。
しかしながら、引用発明1は、既に2個のフォト・ダイオードアレイ検知器50,57を切り換えることなく使用できるものであり、引用発明4の「半透鏡10a」を用いて透過光と反射光に分離することにより、利用可能な光量が増加するなどの利点があるとも認められない。
してみると、引用発明1の「ウォラストンプリズム20を出た互に偏光軸の直交する2個の光束」を、引用文献4の「半透鏡10a」を用いて透過光と反射光に分離するようにすることを動機付ける事情があるとはいえない。
d そうすると、引用発明1において、引用発明2ないし4に基づいて、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者といえども容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)したがって、本願発明1は、引用発明1及び引用発明2ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)引用発明2を主引用発明とした場合
ア 本願発明1と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2の「偏光子を通過しサバール板で波面分割された光」は、互に偏光軸の直交する2個の光であるといえるから、引用発明2の「波面分割された光」のうちの一方の光及び他方の光は、それぞれ本願発明1の「第1直線偏光」及び「前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光」に相当し、引用発明2の「偏光子を通過し」た光が入射し「波面分割された光」として出射する「サバール板」は、本願発明1の「光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタ」に相当する。
(イ)引用発明2の「サバール板で波面分割された光」を「透過方向(90度偏光)と反射方向(0度偏光)とに偏光分割」する「偏光ビームスプリッター」と、本願発明1の「前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタ」とは、「前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び第2反射光に分離する第2ビームスプリッタ」で共通する。
(ウ)引用発明2の「透過方向」の「インターフェログラム」を検出する「透過方向」に「備え」られた「アレイ検出器」は、本願発明1の「前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部」に相当する。
(エ)引用発明2の「反射方向」の「インターフェログラム」を検出する「反射方向」に「備え」られた「アレイ検出器」は、本願発明1の「前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部」に相当する。
(オ)引用発明2の「マルチチャンネルフーリエ変換分光器」は、本願発明1の「分光装置」に相当する。
イ そうすると、本願発明1と引用発明2とは、
「 光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び第2反射光に分離する第2ビームスプリッタと、前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部と、前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部と、を備えた、分光装置。」
の発明である点で一致し、次の点において相違する。
(相違点2)
第1干渉縞及び第2干渉縞を生成するための構成について、本願発明1においては、「第2ビームスプリッタ」が「直線偏光を第1透過光(第2透過光)、及び前記第1透過光(第2透過光)の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光(第2反射光)に分離」するものであり、それに伴い「前記第1透過光及び前記第2透過光が入射する第1偏光子と、前記第1反射光及び前記第2反射光が入射する第2偏光子と、を備え、前記第1偏光子及び前記第2偏光子は、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の一方の振動方向に対する前記第1偏光子の透過軸の方向と、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の前記一方の振動方向に対する前記第2偏光子の透過軸の方向とが互いに直交するように配置されている」のに対し、引用発明2においては、「第2ビームスプリッタ」が「透過方向(90度偏光)と反射方向(0度偏光)とに偏光分割」する「偏光ビームスプリッター」であって、透過光と反射光の振動方向は直交しており、それに伴い「第1偏光子」及び「第2偏光子」を備えていない点。
ウ 判断
(ア)上記相違点2について検討する。
a 引用発明1は、「第2ビームスプリッタ」に相当する構成を備えていない。
b 引用発明3の「ハーフミラー30」は、入射された偏光光束を「反射及び透過された光束」に分離するものであり、「反射及び透過された光束」の振動方向は同じであり、各々が「通過」する「検光子271,272」の透過軸の方向は直交していると認められる。
しかしながら、「偏光ビームスプリッター」により透過光と反射光との分離及び振動方向の選択の双方を行っている引用発明2において、「偏光ビームスプリッター」に代えて引用発明3の「ハーフミラー30」及び「検光子271,272」を採用することにより、構造を簡素化できるなどの利点があるとも認められない。
してみると、引用発明2の「偏光ビームスプリッター」に代えて、引用文献3の「ハーフミラー30」及び「検光子271,272」を採用することを動機付ける事情があるとはいえない。
c 引用発明4の「半透鏡10a」は、入射された干渉計出力光を透過光及び反射光に分離するものであり、透過光及び反射光の振動方向は同じであると認められる。
しかしながら、引用発明4は、「半透鏡10a」による透過光及び反射光のそれぞれが入射する、透過軸の方向が互いに直交する「第1偏光子」及び「第2偏光子」を備えていない。
してみると、引用発明2の「偏光ビームスプリッター」に代えて、引用文献4の「半透鏡10a」を採用することを動機付ける事情があるとはいえない。
d そうすると、引用発明2において、引用発明1、3及び4に基づいて、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者といえども容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)したがって、本願発明1は、引用発明2並びに引用発明1、3及び4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)引用発明4を主引用発明とした場合
ア 本願発明1と引用発明4とを対比する。
(ア)引用発明4の「常光線成分“O”と、常光線成分に対し直交する異常光線成分“E”の振動面を持つ二つのベクトル成分に分離され」、「互いに直交した振動面を持つ2つの光線」は、それぞれ本願発明1の「第1直線偏光」及び「前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光」に相当し、引用発明4の「偏光板2を通過した直線偏光」を「常光線成分“O”と、常光線成分に対し直交する異常光線成分“E”の振動面を持つ二つのベクトル成分に分離」し、「互いに直交した振動面を持つ2つの光線」とする「バビネ-ソレイユ補償板4a,4b,4c」は、本願発明1の「光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタ」に相当する。
(イ)引用発明4の「互いに直交した振動面を持つ2つの光線は、検光板3上で再び合成され」て振動面がそろった状態になるが、「互いに直交した振動面を持つ2つの光線」それぞれの成分が「検光板3」を透過して「半透鏡10a」に入射して透過光と反射光に分割されるといえるから、引用発明4の「互いに直交した振動面を持つ2つの光線」が「検光板3上で再び合成され」た「干渉計出力光を」「分割」する「半透鏡10a」は、本願発明1の「前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタ」に相当する。
(ウ)引用発明4の「干渉計出力光を半透鏡10aにより分割」された透過光として検出する「検知器5c」は、本願発明1の「前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部」に相当する。
(エ)引用発明4の「干渉計出力光を半透鏡10aにより分割」された反射光として検出する「検知器5d」は、本願発明1の「前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部」に相当する。
(オ)引用発明4の「偏光板2と物理的に同一方向に傾斜して」おり「互いに直交した振動面を持つ2つの光線」を「再び合成」する「検光板3」と、本願発明1の「前記第1透過光及び前記第2透過光が入射する第1偏光子」と「前記第1反射光及び前記第2反射光が入射する第2偏光子」であって、「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の一方の振動方向に対する前記第1偏光子の透過軸の方向と、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の前記一方の振動方向に対する前記第2偏光子の透過軸の方向とが互いに直交するように配置されている」「前記第1偏光子及び前記第2偏光子」とは、「検光子」で共通する。
(カ)引用発明4の「偏光干渉分光装置」は、本願発明1の「分光装置」に相当する。
イ そうすると、本願発明1と引用発明4とは、
「 光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタと、前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部と、前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部と、検光子と、を備えた、分光装置。」
の発明である点で一致し、次の点において相違する。
(相違点3)
検光子が、本願発明1においては、「前記第1透過光及び前記第2透過光が入射する第1偏光子」と「前記第1反射光及び前記第2反射光が入射する第2偏光子」であって、「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の一方の振動方向に対する前記第1偏光子の透過軸の方向と、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の前記一方の振動方向に対する前記第2偏光子の透過軸の方向とが互いに直交するように配置されている」「前記第1偏光子及び前記第2偏光子」であるのに対し、引用発明4においては、「偏光板2と物理的に同一方向に傾斜して」おり「互いに直交した振動面を持つ2つの光線」を「再び合成」する、「半透鏡10a」の前段に配置された「検光板3」である点。
ウ 判断
(ア)上記相違点3について検討する。
a 引用発明1の「偏光板35」及び「偏光板45」は、「第2ビームスプリッタ」により分離された透過光及び反射光が入射するものではないが、「偏光板45」の「偏光軸46」は、「偏光板35の偏光軸36を90°回転させたものであ」る。
しかしながら、引用発明4は、「夫々の検知器出力を適当な方法で加算することにより、波長領域によって検知器を切り換えることなく両検知器の感度のある波長領域全体にて使用できる」ようにするため、1つの干渉光を分割して検知器5c及び5dで検出するようにしているものである。
してみると、引用発明4の「検光板3」に代えて、引用発明1の偏光軸を90°回転させた関係にある「偏光板35」及び「偏光板45」、すなわち、位相反転させた干渉光を生じさせる2つの偏光板を採用することを動機付ける事情があるとはいえない。
b 引用発明2は、「偏光ビームスプリッター」が検光子の機能を備えたものであり、「第1偏光子」及び「第2偏光子」を備えていない。
c 引用発明3の「ハーフミラー30」は、入射された偏光光束を「反射及び透過された光束」に分離するものであり、「反射及び透過された光束」の振動方向は同じであり、各々が「通過」する「検光子271,272」の透過軸の方向は直交していると認められる。
しかしながら、引用発明4は、「夫々の検知器出力を適当な方法で加算することにより、波長領域によって検知器を切り換えることなく両検知器の感度のある波長領域全体にて使用できる」ようにするため、1つの干渉光を分割して検知器5c及び5dで検出するようにしているものである。
してみると、引用発明4の「検光板3」に代えて、引用発明3の透過軸が直交する「検光子271,272」、すなわち、位相反転させた干渉光を生じさせる2つの検光子を採用することを動機付ける事情があるとはいえない。
d そうすると、引用発明4において、引用発明1ないし3に基づいて、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者といえども容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)したがって、本願発明1は、引用発明4及び引用発明1ないし3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本願発明1のまとめ
本願発明1は、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明3について
(1)本願発明3と引用発明4とを対比すると、上記1(3)ア(ア)ないし(カ)の本願発明1と引用発明4との対比と同様のことがいえる。
(2)そうすると、本願発明3と引用発明4とは、
「 光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタと、前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部と、前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部と、検光子と、を備えた、分光装置。」
の発明である点で一致し、次の点において相違する。
(相違点4)
検光子が、本願発明3においては、「前記第1透過光及び前記第2透過光が入射する第1偏光子」と「前記第1反射光及び前記第2反射光が入射する第2偏光子」であって、「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の一方の振動方向に対する前記第1偏光子の透過軸の方向と、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の前記一方の振動方向に対する前記第2偏光子の透過軸の方向とが互いに同じ方向になるように配置されている」「前記第1偏光子及び前記第2偏光子」であるのに対し、引用発明4においては、「偏光板2と物理的に同一方向に傾斜して」おり「互いに直交した振動面を持つ2つの光線」を「再び合成」する、「半透鏡10a」の前段に配置された「検光板3」である点。
(3)判断
ア 上記相違点4について検討する。
(ア)引用発明1の「偏光板45」の「偏光軸46」は、「偏光板35の偏光軸36を90°回転させたものであ」り、「偏光板35の偏光軸36」の方向と「偏光板45」の「偏光軸46」の方向は同じではない。
また、引用発明1は、「第2ビームスプリッタ」により分離された光が「偏光板35」及び「偏光板45」に入射するものでもない。
(イ)引用発明2は、「偏光ビームスプリッターで透過方向(90度偏光)と反射方向(0度偏光)とに偏光分割」するものであり、透過軸の方向が互いに同じ方向になるように配置されている第1偏光子及び第2偏光子を備えていない。
(ウ)引用発明3の「ハーフミラー30」は、入射された偏光光束を「反射及び透過された光束」に分離するものであり、「反射及び透過された光束」の振動方向は同じであるが、各々が「通過」する「検光子271,272」の透過軸の方向は直交していると認められる。
(エ)そうすると、引用発明4において、引用発明1ないし3に基づいて、上記相違点4に係る本願発明3の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者といえども容易に想到し得たこととはいえない。
イ したがって、本願発明3は、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本願発明4について
本願発明4は、本願発明3と同一の構成を備えるものであるから、本願発明3と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
5 本願発明5について
(1)本願発明5と引用発明4とを対比する。
ア 上記1(3)ア(ア)ないし(エ)及び(カ)の本願発明1と引用発明4との対比と同様のことがいえる。
イ 引用発明4の「検光板3」は、本願発明1の「偏光子」に相当する。
ウ 引用発明4の「互いに直交した振動面を持つ2つの光線は、検光板3上で再び合成され、 干渉計出力光を半透鏡10aにより分割し」は、本願発明5の「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光は、前記偏光子に入射し、その後、前記第2ビームスプリッタに入射し」に相当する。
エ 引用発明4は、「夫々の検知器出力を適当な方法で加算することにより、波長領域によって検知器を切り換えることなく両検知器の感度のある波長領域全体にて使用できる」ものであるから、本願発明5の「前記第1干渉縞と前記第2干渉縞との平均を算出し、前記平均を示すデータをフーリエ変換する信号処理部」と、「前記第1干渉縞と前記第2干渉縞とを示すデータをフーリエ変換する信号処理部」で共通する構成を備えているといえる。
(2)そうすると、本願発明5と引用発明4とは、
「 光を第1直線偏光、及び前記第1直線偏光の振動方向に直交する振動方向を有する第2直線偏光に分離する第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタと、前記第1透過光及び前記第2透過光によって生成される第1干渉縞を検出する第1検出部と、前記第1反射光及び前記第2反射光によって生成される第2干渉縞を検出する第2検出部と、偏光子と、を備え、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光は、前記偏光子に入射し、その後、前記第2ビームスプリッタに入射し、前記第1干渉縞と前記第2干渉縞とを示すデータをフーリエ変換する信号処理部を備える分光装置。」
の発明である点で一致し、次の点において相違する。
(相違点5)
前記第1干渉縞と前記第2干渉縞とを示すデータをフーリエ変換する信号処理部についえ、本願発明5においては、「前記第1干渉縞と前記第2干渉縞との平均を算出し、前記平均を示すデータをフーリエ変換する」のに対し、引用発明4においては、「夫々の検知器出力を適当な方法で加算する」点。
(3)判断
ア 上記相違点5について検討する。
(ア)引用発明1は、「フォト・ダイオードアレイ検知器50,57は同時に走査され、2個のビデオ信号はそれぞれ増幅器60,86で増幅及びサンプルホールドされ、干渉信号101,102となって演算増幅器88の差動入力に印加され、演算増幅器88では、2信号101,102の差をアナログ演算して干渉図形信号103を出力する」ものであって、「2信号101,102」の平均を演算して干渉図形信号103を出力するものではない。
(イ)引用発明2は、「信号処理手段で、透過方向に設けたアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラムと、反射方向に設けたアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラムとの差を取ることで、検出信号を2倍に高めかつバイアスノイズを除去することができる」ものであって、「透過方向に設けたアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラムと、反射方向に設けたアレイ検出器の水平方向のラインのセンサで生成されたインターフェログラムとの」平均を取るものではない。
(ウ)引用発明3は、「ハーフミラー30で反射及び透過された光束は、各々検光子271,272を通過し、強度変調されて光検出器291,292で受光されて光電変換され、差動増幅器18で差分されて再生信号として出力される」ものであって、「光検出器291,292で受光されて光電変換され」た信号の平均を再生信号として出力するものではない。
(エ)そうすると、引用発明4において、引用発明1ないし3に基づいて、上記相違点5に係る本願発明3の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者といえども容易に想到し得たこととはいえない。
イ したがって、本願発明5は、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
6 本願発明6について
本願発明6は、本願発明1、3又は5と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1、3又は5と同じ理由により、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
7 本願発明7ないし9について
本願発明7ないし9は、それぞれ本願発明1、3及び5に対応する方法の発明であり、本願発明1、3及び5に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1、3又は5と同様の理由により、引用発明1ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定について
1 理由1(特許法第29条第2項)について
上記第5で検討したとおり、本願発明1ないし9は、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1ないし3に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。
2 理由2(特許法第36条第6項第2号)について
(1)本願発明5は、「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光は、前記偏光子に入射し、その後、前記第2ビームスプリッタに入射」することを特定しているが、「偏光子」の透過軸が「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光」の一方の振動方向と一致することは特定していない。
そのため、「第2ビームスプリッタ」には、「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光」の双方の成分が入射するものと解される。
(2)したがって、「前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光は、前記偏光子に入射し、その後、前記第2ビームスプリッタに入射」することと、「前記第1ビームスプリッタから前記第1直線偏光として出射された直線偏光を第1透過光、及び前記第1透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第1反射光に分離し、前記第1ビームスプリッタから前記第2直線偏光として出射された直線偏光を第2透過光、及び前記第2透過光の振動方向と同じ振動方向を有する第2反射光に分離する第2ビームスプリッタ」とが整合しないとはいえない。
(3)よって、原査定の理由2を維持することはできない。
第7 当審拒絶理由について
当審拒絶理由の対象であった本件補正前の請求項1、5、7及び8は、それぞれ本件補正後の請求項1、5、6、及び、7ないし9に相当する。
そして、上記第5で検討したとおり、本願発明1及び5ないし9は、引用文献4に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-002361