特許拒絶査定不服審判
2020-002166
シート供給装置およびシート供給方法
- 審判番号
- 2020-002166
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-084971
- 請求日
- 2020年02月18日
- 審決日
- 2020年09月15日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】リンテック株式会社
- 【請求人代理人】杉浦 正知
- 【請求人代理人】杉浦 拓真
- 審判長/審判官
- 審判長 森藤 淳志
- 審判官 久保 克彦
- 審判官 中村 一雄
- 分類
- P18 .121-Z (B65C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 84971「シート供給装置およびシート供給方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月 8日出願公開、特開2016-203999〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年4月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年2月7日付け :拒絶理由通知書
平成31年4月8日 :意見書、手続補正書の提出
令和元年7月2日付け :拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和元年9月6日 :意見書の提出
令和元年11月13日付け :拒絶査定
令和2年2月18日 :審判請求書の提出、同時に手続補正書の提出
第2 令和2年2月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年2月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2-4を削除し、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(本件補正後の請求項1)及び請求項5(本件補正後の請求項2)の記載を、次のとおり補正することを含むものである。(下線部は、補正箇所である。)
【請求項1】
「第1接着シートと、帯状の第1剥離シート又は帯状の第3剥離シートとの間に、第2接着シートが挿入された繰出対象物を繰り出す第1繰出手段と、
前記第1繰出手段で繰り出される前記繰出対象物から前記第1接着シートおよび前記第2接着シートを剥離する第1剥離手段と、
帯状の第2剥離シートの一方の面に前記第2接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第2原反を繰り出す第2繰出手段と、
前記第2繰出手段で繰り出される第2原反から前記第2接着シートを剥離する第2剥離手段とを備え、
前記第1繰出手段は、脱着手段を備え、
前記脱着手段は、前記第1剥離手段に対して前記繰出対象物の繰出方向上流側に配置され、帯状の第1剥離シートの一方の面に前記第1接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第1原反から当該第1接着シートを一旦剥離し、当該一旦剥離した第1接着シートを前記第1剥離シートまたは前記第3剥離シートに再仮着する構成とされ、
前記第2剥離手段は、前記脱着手段で再仮着される前記第1接着シートと前記第1剥離シートとの間、または、前記第1接着シートと前記第3剥離シートとの間に前記第2接着シートを挿入して前記繰出対象物を形成することを特徴とするシート供給装置。」
【請求項2】
「第1接着シートと、帯状の第1剥離シート又は帯状の第3剥離シートとの間に、第2接着シートが挿入された繰出対象物を繰り出す第1繰出工程と、
前記第1繰出工程で繰り出される前記繰出対象物から前記第1接着シートおよび前記第2接着シートを剥離する第1剥離工程と、
帯状の第2剥離シートの一方の面に前記第2接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第2原反を繰り出す第2繰出工程と、
前記第2繰出工程で繰り出される第2原反から前記第2接着シートを剥離する第2剥離工程とを含み、
前記第1繰出工程では、脱着工程を実施し、
前記脱着工程は、前記第1剥離工程が行われる前段で実施され、帯状の第1剥離シートの一方の面に前記第1接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第1原反から当該第1接着シートを一旦剥離し、当該一旦剥離した第1接着シートを前記第1剥離シートまたは前記第3剥離シートに再仮着し、
前記第2剥離工程において、前記脱着工程で再仮着される前記第1接着シートと前記第1剥離シートとの間、または、前記第1接着シートと前記第3剥離シートとの間に前記第2接着シートを挿入して前記繰出対象物を形成することを特徴とするシート供給方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和元年4月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1および請求項5の記載は次のとおりである。
【請求項1】
「第1接着シートと、帯状の第1剥離シート又は帯状の第3剥離シートとの間に、第2接着シートが挿入された繰出対象物を繰り出す第1繰出手段と、
前記第1繰出手段で繰り出される前記繰出対象物から前記第1接着シートおよび前記第2接着シートを剥離する第1剥離手段と、
帯状の第2剥離シートの一方の面に前記第2接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第2原反を繰り出す第2繰出手段と、
前記第2繰出手段で繰り出される第2原反から前記第2接着シートを剥離する第2剥離手段とを備え、
前記第1繰出手段は、前記第1剥離手段に対して前記繰出対象物の繰出方向上流側に配置され、帯状の第1剥離シートの一方の面に前記第1接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第1原反から当該第1接着シートを一旦剥離し、当該一旦剥離した第1接着シートを前記第1剥離シートまたは前記第3剥離シートに再仮着する脱着手段を備え、
前記第2剥離手段は、前記脱着手段で再仮着される前記第1接着シートと前記第1剥離シートとの間、または、前記第1接着シートと前記第3剥離シートとの間に前記第2接着シートを挿入して前記繰出対象物を形成することを特徴とするシート供給装置。」
【請求項5】
「第1接着シートと、帯状の第1剥離シート又は帯状の第3剥離シートとの間に、第2接着シートが挿入された繰出対象物を繰り出す第1繰出工程と、
前記第1繰出工程で繰り出される前記繰出対象物から前記第1接着シートおよび前記第2接着シートを剥離する第1剥離工程と、
帯状の第2剥離シートの一方の面に前記第2接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第2原反を繰り出す第2繰出工程と、
前記第2繰出工程で繰り出される第2原反から前記第2接着シートを剥離する第2剥離工程とを含み、
前記第1繰出工程は、前記第1剥離工程の前に前記繰出対象物の繰出方向上流側で行われ、帯状の第1剥離シートの一方の面に前記第1接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第1原反から当該第1接着シートを一旦剥離し、当該一旦剥離した第1接着シートを前記第1剥離シートまたは前記第3剥離シートに再仮着する脱着工程を含み、
前記第2剥離工程において、前記脱着工程で再仮着される前記第1接着シートと前記第1剥離シートとの間、または、前記第1接着シートと前記第3剥離シートとの間に前記第2接着シートを挿入して前記繰出対象物を形成することを特徴とするシート供給方法。」
2 補正の適否
(1) 本件補正前の請求項1についてする本件補正は、「第1繰出手段」が備える「脱着手段」が、「前記第1剥離手段に対して前記繰出対象物の繰出方向上流側に配置され、帯状の第1剥離シートの一方の面に前記第1接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第1原反から当該第1接着シートを一旦剥離し、当該一旦剥離した第1接着シートを前記第1剥離シートまたは前記第3剥離シートに再仮着する構成とされ」るものである点、構成を限定するものである。
(2) 本件補正前の請求項5についてする本件補正は、「第1操出工程」で実施する「脱着工程」が、「前記第1剥離工程が行われる前段で実施され、帯状の第1剥離シートの一方の面に前記第1接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第1原反から当該第1接着シートを一旦剥離し、当該一旦剥離した第1接着シートを前記第1剥離シートまたは前記第3剥離シートに再仮着」するものである点、構成を限定するものである。
(3) また、補正前の請求項1及び補正後の請求項1、並びに、補正前の請求項5及び補正後の請求項2のそれぞれに係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正の請求項1及び請求項5についてした補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明1」という。)及び本件補正後の請求項2に係る発明(以下「本件補正発明2」という。)のそれぞれが同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(4)本件補正発明1および本件補正発明2
本件補正発明1および本件補正発明2は、それぞれ上記1(1)に記載したとおりのものである。
(5)引用文献の記載事項
ア. 引用文献1
(ア) 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2002-347143号公報(平成14年12月4日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、2以上のラベルが積層された多重ラベルの製造方法およびその装置に関し、特に、たとえばICマウント済みのインレットをラベルに装着するなど盗難・万引き防止の機能性ラベルとして用いるに好適な、多重ラベルの製造方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、配送伝票、万引き防止、盗難防止などの機能性を有するラベルが、たとえば特開2000-334862などに提案されているが、印刷層と機能性を有する集積回路部分とを1つの平面に形成するには、粘着剤にチップサイズの穴を形成し、前記穴に非接触ICチップを嵌合する等、製造しにくくコスト高になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】それゆえに、この発明の主たる目的は、比較的製造が容易で、製造コストを抑えることができる、新規な多重ラベルの製造方法およびその装置を提供することである。・・・」
「【0006】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施の形態である多重ラベルの構造を示す断面図解図であり、・・・図3は、この発明の一実施の形態である多重ラベルの製造装置を示す図解図である。この多重ラベル連続体10は、剥離シート12を含み、この剥離シート12の剥離剤層側主面には、ラベル14がその裏面に形成された粘着剤層16をもって、一定の間隔をおいて仮着されている。
【0007】各ラベル14は、第1のラベル18に第2のラベル20を積層してなる。第1のラベル18は、紙、合成樹脂シートなどのシート状体からなる第1ラベル基材22の裏面に、粘着剤を塗布してなる第1粘着剤層24が形成されている。第2のラベル20は、紙、合成樹脂シートなどの第2ラベル基材26の裏面に粘着剤を塗布してなる第2粘着剤層28が形成されるとともに、第2ラベル基材26の表面には、導電材によるコイルと対向する対向電極とを誘電体で隔壁し共振回路を構成したあるいは磁性体の板状あるいは棒状の機能体30が、静電容量、電磁波等によって万引き・盗難防止をする機能、たとえば検知する機能を妨げない合成樹脂シートまたはフィルム等からなる固定フィルム32で積層されている。あるいは、第2ラベル基材26の表面に、集積回路、ICチップとカーボン印刷によるアンテナ等が印刷等により積層形成してもよい。あるいはまた、その他の機能を有する素子や印刷等を形成してもよい。さらにまた、第1のラベル18に上記のような機能等を有する素子や印刷等を形成することもできる。
【0008】この多重ラベルの製造装置は、剥離シート12に一定の間隔をおいて仮着された複数の第1のラベル18を剥離し、第1のラベル18が剥離される前の前記剥離シート12の進行方向に近い方向に第1のラベル18を進行させるとともに、第1のラベル18が剥離された後、剥離シート12を前記第1のラベル18の進行方向とは異なる方向に向けて進行させるラベル剥離手段102を含む。
【0009】ラベル剥離手段102は、第1のラベル18の第1粘着剤層24と剥離シート12との界面において離間させる手段である剥離プレート104を含む。この剥離プレート104は、第1のラベル18が剥離される前、剥離シート12を移送する水平平面106を備え、この水平平面106に沿って水平の方向に送られてきた剥離シート12がその先端108において第1のラベル18の設けられている面とは反対側に急激に折り返されて進行方向を変えるように、断面鋭角に形成されている。そして、剥離シート12と第1のラベル18とは剥離プレート104の先端108において離間され、第1のラベル18のみ、その剛性によってそのまま略水平方向に直進する。
【0010】そして、剥離プレート104の先端108において折り返されて進行する前記剥離シート12の進行を妨げない位置において、前記第1のラベル18の第1粘着剤層24に向けて、第2のラベル20を臨ませ、第2のラベル20を構成する第2ラベル基材26の第2粘着剤層28が形成された面とは反対側の面において、前記第1のラベル18の第1粘着剤層24に第2のラベル20を接着する、ラベル接着手段120が設けられる。
【0011】ラベル接着手段120は、適宜な間隔をおいて複数の第2のラベル20が仮着された剥離シート40から第2のラベル20を1枚ずつ剥離し、第2のラベル20が剥離される前の前記剥離シート40の進行方向に近い方向に第2のラベル20を進行させるとともに、剥離シート40を前記第2のラベル20の進行方向とは異なる方向に向けて進行させ、第2のラベル20が剥離される第2ラベル剥離プレート122を含む。この第2ラベル剥離プレート122は、第2のラベル20が剥離される前において剥離シート40を移送する平面状移送面124を備え、剥離プレート122の平面状移送面124に沿って送られてきた剥離シート40が、剥離プレート122の先端126において第2のラベル20の設けられている面とは反対側に急激に折り返されて進行方向を変えることによって、剥離シート40と第2のラベル20とは離間され、第2のラベル20のみが、その剛性によってそのまま進行するように構成されている。第2のラベル20は、剥離プレート122によって剥離された後、第2のラベル20が剥離される前において剥離シート40が移送される平面状移送面124のほぼ延長線上に繰り出され、上方において前方に進行する第1のラベル18の第1粘着剤層24に向けて送り出される。
【0012】この剥離プレート122の平面状移送面124は、前記ラベル剥離手段102の剥離プレート104の水平平面106と略々鋭角をなすように構成され、第2のラベル20が第1のラベル18の裏面の第1粘着剤層24に最初に接着された後、そのまま第1のラベル18の前方への進行に従い、第2のラベル20が第1のラベル18の裏面側に送り出され、徐々に第1のラベル18の裏面の第1粘着剤層24面に接着されるように、ラベル接着手段120が構成されている。なお、前記ラベル剥離手段102、ラベル接着手段120における剥離プレート104、122の代わりに、たとえば、図5において示すように、剥離プレート先端付近の位置に剥離ロール140を設け、剥離ロール140を用いて剥離シート12、40の進行方向を変えることもできる。あるいはまた、その他の方法を用いて、剥離シートの進行方向を変えてもよい。
【0013】前記ラベル剥離手段102の剥離プレート104の先端との間において、第1のラベル18の進行方向における長さよりも短い間隔をおいて、ラベル再仮着手段130が設けられる。ラベル再仮着手段130は、第1のラベル18を剥離した後、剥離シート12を迂回させ、再び剥離シート12の剥離剤層側主面に第1のラベル18と第2のラベル20とが重層された状態で再仮着するように構成された再仮着プレート132を含む。再仮着プレート132は、その上面に水平平面状の再仮着平面134が形成され、再仮着プレート132の先端136が、前記ラベル剥離手段102の剥離プレート104の先端との間において、第1のラベル18の進行方向における長さよりも短い間隔をおいて、且つ再仮着平面134が略前記ラベル剥離手段102とほぼ同一の高さに位置するように設けられている。なお、前記ラベル再仮着手段130における再仮着プレート132の代わりに、たとえば、図5において示すように、再仮着プレート132の先端付近の位置に再仮着ロール142を設け、再仮着ロール142を用いて剥離シート50の進行方向を変えることもできる。
【0014】なお、この実施の形態においては、第1のラベル18が積層されたラベル連続体10から一旦第1のラベル18をラベル剥離手段102において剥離した後、再び同一の剥離シート12をラベル再仮着手段130に移送し、再び第1のラベル18と第2のラベル20とが重層された状態で再仮着するように、第1のラベル18が剥離される前に使用したものと同一の剥離シート12を利用しているが、ラベル再仮着手段130において再仮着する剥離シート12としては、図5に示すように、別の剥離シート50を準備して利用してもよい。あるいは、第2のラベル20が仮着されていた剥離シート40を利用することもできる。」
「
」
「
」
「
」
また、「第1のラベル18」と「ラベル14」とは、引用文献1の【図3】において、左側から右側へ運ばれるものであるから、引用文献1には、「第1のラベル18とラベル14とを送り出す手段」が記載されていることが理解できる。
そして、「第2のラベル20」も、引用文献1の【図3】において、上方へ運ばれるものであるから、引用文献1には、「第2ラベル20を送り出す手段」が記載されていることが理解できる。
(イ) 上記(ア)に示した摘記事項、図示された事項及び認定した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用物発明」という。)が記載されていると認められる。
「第1のラベル18と、帯状の剥離シート12との間に、第2のラベル20が挿入されたラベル14を繰り出す第1のラベル18とラベル14とを送り出す手段と、
帯状の剥離シート40の一方の面に第2のラベル20が所定の間隔をあけて仮着された第2のラベル20と剥離シート40を送り出す第2のラベル20を送り出す手段と、
前記第2のラベル20を送り出す手段で送り出される第2のラベル20と剥離シート40から前記第2のラベル20を剥離する第2ラベル剥離プレート122とを備え、
前記第1のラベル18とラベル14とを送り出す手段は、ラベル剥離手段102とラベル再仮着手段130を備え、
前記ラベル剥離手段102とラベル再仮着手段130は、帯状の剥離シート12の一方の面に前記第1のラベル18が所定の間隔を開けて仮着された剥離シート12と第1のラベル18から当該第1のラベル18を一旦剥離し、当該一旦剥離した第1のラベル18を前記剥離シート12に再仮着する構成とされ、
前記第2ラベル剥離プレート122は、前記ラベル剥離手段102とラベル再仮着手段130で再仮着される前記第1のラベル18と前記剥離シート12との間に前記第2のラベル20を挿入して前記ラベル14を形成する多重ラベルの製造装置。」
また、上記(ア)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用方法発明」という。)が、記載されていると認められる。
「第1のラベル18と、帯状の剥離シート12との間に、第2のラベル20が挿入されたラベル14を送り出す第1のラベル18とラベル14とを送り出す工程Aと、
帯状の剥離シート40の一方の面に第2のラベル20が所定の間隔をあけて仮着された第2のラベル20と剥離シート40を送り出す第2のラベル20を送り出す工程Bと、
前記第2のラベル20を送り出す手段で繰り出される第2のラベル20と剥離シート40から前記第2のラベル20を剥離する工程Cとを備え、
前記工程Aでは、工程Dを実施し、
前記工程Dは、帯状の剥離シート12の一方の面に前記第1のラベル18が所定の間隔を開けて仮着された剥離シート12と第1のラベル18から当該第1のラベル18を一旦剥離し、当該一旦剥離した第1のラベル18を前記剥離シート12に再仮着し、
前記第2ラベル剥離プレート122は、前記ラベル剥離手段102とラベル再仮着手段130で再仮着される前記第1のラベル18と前記剥離シート12との間に前記第2のラベル20を挿入して前記ラベル14を形成する多重ラベルの送り出し方法。」
イ. 引用文献2
(ア) 同じく原査定に引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開昭63-191734号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「(産業上の利用分野)
この発明はラベル貼付装置に関し、特にたとえば2枚重ねのラベルをワークピースに貼り付けるためのラベル貼付装置に関する。」(1ページ右下欄下から1行~2ページ左上欄3行)
「(発明が解決しようとする問題点)
このようなラベル貼付装置では、たとえば、印刷手段に対する第1のラベルの位置がずれた場合には、第1のラベルに正確に印刷層を形成することができないので、第1のラベルの位置を調整しなければならない。また、剥離手段に対する積層された第1のラベルおよび第2のラベルの位置がずれた場合には、積層されたラベルをワークピースに正確に貼付けることができないので、積層されたラベルの位置を調整しなければならない。さらに、ラベルの移送方向のサイズが変わった場合、ラベルの位置を調整しなければならない。
このような、ラベル貼付装置ではラベルを移送するには、支持台紙全体を保持手段で巻き取り、あるいは引き出しをしなければならなく、その微調整が容易ではなかった。したがって、このようなラベル貼付装置では、ラベルを位置決めするには、その調整が煩雑であった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、簡単にラベルを正確な位置に位置決めすることができる、ラベル貼付装置を提供することである。」(2ページ左下欄9行~右下欄9行)
「・・・この第2のラベル72(第2のラベル連続体78)は、ガイドローラ89を経て、前述の接合ローラ70aおよび70bの近傍に設けられた剥離器90に導かれる。この剥離器90によって、第2のラベル連続体78の剥離台紙80より第2のラベル72が剥離され、第2のラベル72のみが前記接合ローラ70aおよび70bの間に繰り出される。」(5ページ左上欄下から2行~右上欄6行)
「・・・この接合ローラ70aおよび70bの働きによって、第1のラベル20の表面に第2のラベル72が積層された状態で、次に設けられた第1のラベル剥離器130に送りこまれる。そして、この第1のラベル剥離器130によって、ラベル連続体16を構成する剥離台紙18より、第2のラベル72が積層された状態の第1のラベル20は、剥離台紙18より剥離されて、第1のラベル剥離器130の先端近傍に設けられた、真空吸引装置によりラベルを吸い付け、ブロアによってラベルを吹き付け被貼着体にラベルを貼り付ける、真空貼着器150に送りこまれる。」(6ページ右上欄10行~左下欄1行)
「したがって、保持リール14から引き出されたラベル連続体16の移送途次において、サーマルヘッド34の作用によって、第1のラベル20の主面に必要な印刷が施され、さらに移送されたラベル連続体16の第1のラベル20の主面に、第2のラベルの積層装置74の作用によって、保持リール76から引き出された第2のラベル72が積層され、第1のラベル剥離器130によって剥離台紙18から第1のラベル20が剥離される。そして、真空貼着器150の働きによって、その下方に設けられたベルトコンベヤ(図示せず)によって送られてきた被貼着体、たとえばダンボール箱の表面に、第2のラベル72が積層された状態の第1のラベル20が、接着される(第6頁左下覧下から7行目~右下欄7行)」
(イ)上記記載から、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「第1のラベル20の表面に第2のラベル72が積層された状態で、送り込み方向下流に設けられた第1のラベル剥離器130に送りこみ、剥離台紙18から第1のラベル20を剥離し、その下方に設けられたベルトコンベヤによって送られてきた被貼着体、たとえばダンボール箱の表面に、第2のラベル72が積層された状態の第1のラベル20を接着するラベル貼付装置。」
(6)対比及び検討
(6-1) 本件補正発明1について
ア.対比
本件補正発明1と引用物発明とを対比する。
本願発明と引用物発明とを対比すると、引用物発明の「第1のラベル18」、「剥離シート12」、「剥離シート50」、「第2のラベル20」、「ラベル14」、「第1のラベル18とラベル14とを送り出す手段」、「剥離シート40」、「第2のラベル20と剥離シート40」、「第2のラベル20を送り出す手段」、「第2ラベル剥離プレート122」、「ラベル剥離手段102とラベル再仮着手段130」、「剥離シート12と第1のラベル18」、「多重ラベルの製造装置」は、その機能又は構成からみて、それぞれ本願発明の「第1接着シート」、「第1剥離シート」、「第3剥離シート」、「第2接着シート」、「繰出対象物」、「第1繰出手段」、「第2剥離シート」、「第2原反」、「第2繰出手段」、「第2剥離手段」、「脱着手段」、「第1原反」、「シート供給装置」に相当する。
以上のことから、本件補正発明1と引用物発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「第1接着シートと、帯状の第1剥離シート又は帯状の第3剥離シートとの間に、第2接着シートが挿入された繰出対象物を繰り出す第1繰出手段と、
帯状の第2剥離シートの一方の面に前記第2接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第2原反を繰り出す第2繰出手段と、
前記第2繰出手段で繰り出される第2原反から前記第2接着シートを剥離する第2剥離手段とを備え、
前記第1繰出手段は、脱着手段を備え、
前記脱着手段は、帯状の第1剥離シートの一方の面に前記第1接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第1原反から当該第1接着シートを一旦剥離し、当該一旦剥離した第1接着シートを前記第1剥離シートまたは前記第3剥離シートに再仮着する構成とされ、
前記第2剥離手段は、前記脱着手段で再仮着される前記第1接着シートと前記第1剥離シートとの間、または、前記第1接着シートと前記第3剥離シートとの間に前記第2接着シートを挿入して前記繰出対象物を形成することを特徴とするシート供給装置。」
<相違点1>
本件補正発明1は、「第1繰出手段で繰り出される前記繰出対象物から前記第1接着シートおよび前記第2接着シートを剥離する第1剥離手段」を有し、「前記脱着手段は、前記第1剥離手段に対して前記繰出対象物の繰出方向上流側に配置され」るのに対し、引用物発明は、そのような構成を備えたものであるか、明らかではない点。
イ. 検討
上記<相違点1>について、以下のとおり検討する。
上記(5)ア.に示した引用文献1の摘記事項及び認定事項によれば、引用文献1の従来の技術は「配送伝票、万引き防止、盗難防止などの機能性を有するラベル」(【0002】)であるから、引用文献1に記載された「ラベル14」は、「配送伝票」に用いることを意図するものであるといえる。そして、引用文献1の【図3】について「多重ラベル連続対10は、剥離シート12を含み、この剥離シート12の剥離剤層側主面には、ラベル14がその裏面に形成された粘着剤層をもって、一定の間隔をおいて仮着されている。」(【0006】)から、【図3】に図示された「ラベル再仮着手段130」上の「剥離シート12」に並んだ三つの「ラベル14」は、それぞれの「ラベル」一つが、上記「配送伝票」として用いることができるものであることが理解できる。
上記図示された「ラベル14」を、「配送伝票」として用いる際には、なんらかの手段で帯状の「剥離シート12」から個々の「ラベル14」を剥離させて、配送対象物に対して貼り付けることが必要であるから、引用物発明に、そのような「ラベル14」の剥離手段と配送対象物に「ラベル14」を貼り付ける手段を備えたものとすることの動機付けが存在するといえる。
そうすると、引用物発明において、<相違点1>に係る本願補正発明1の構成を備えたものとすることは、当該動機付けにしたがって、多重な積層体のラベルについての装置である点で共通する上記引用文献2記載事項を適用することで、当業者が容易になし得た事項である。そして配送対象物に「ラベル14」を貼り付けるのは、最終的に「剥離シート12」から「ラベル14」が剥離されるときであるから、<相違点1>に係る本願補正発明1の「脱着手段」を備える位置を、<相違点1>に特定される「上流」とすることは、当然に採用される構成であるにすぎない。
そして、本件補正発明1の奏する作用効果は、引用物発明及び引用文献2記載事項から当業者が予測し得る範囲内のものであるにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ. 小括
以上のとおりであるから、本件補正発明1は、引用物発明及び引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(6-2) 本件補正発明2について
ア.対比
本件補正発明2と引用方法発明とを対比する。
上記(6-1)ア.に示した本件補正発明1と引用物発明との対比に加えて引用方法発明の「工程A」、「工程B」、「工程C」、「工程D」、「多重ラベルの送り出し方法」は、それぞれ本願発明の「第1繰出工程」、「第2繰出工程」、「第2剥離工程」、「脱着工程」、「シートの供給方法」に相当する。
そうすると、本件補正発明2と引用方法発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「第1接着シートと、帯状の第1剥離シート又は帯状の第3剥離シートとの間に、第2接着シートが挿入された繰出対象物を繰り出す第1繰出工程と、
帯状の第2剥離シートの一方の面に前記第2接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第2原反を繰り出す第2繰出工程と、
前記第2繰出工程で繰り出される第2原反から前記第2接着シートを剥離する第2剥離工程とを含み、
前記第1繰出工程では、脱着工程を実施し、
前記脱着工程は、帯状の第1剥離シートの一方の面に前記第1接着シートが所定の間隔をあけて仮着された第1原反から当該第1接着シートを一旦剥離し、当該一旦剥離した第1接着シートを前記第1剥離シートまたは前記第3剥離シートに再仮着し、
前記第2剥離工程において、前記脱着工程で再仮着される前記第1接着シートと前記第1剥離シートとの間、または、前記第1接着シートと前記第3剥離シートとの間に前記第2接着シートを挿入して前記繰出対象物を形成するシート供給方法。」
<相違点2>
本件補正発明2は、「前記第1繰出工程で繰り出される前記繰出対象物から前記第1接着シートおよび前記第2接着シートを剥離する第1剥離工程」を有し、「前記脱着工程は、前記第1剥離工程が行われる前段で実施され」るのに対し、引用方法発明は、そのような構成を備えたものであるか明らかではない点。
イ. 検討
上記<相違点2>について検討する。
上記(6-1)イ.に示したように、引用文献1の【図3】に図示された「ラベル再仮着手段130」上の「剥離シート12」に並んだ三つの「ラベル14」は、それぞれの「ラベル」一つが、上記「配送伝票」として用いることができるものであることが理解できる。そして、引用物発明と同様に、引用方法発明においても、そのような「ラベル14」の剥離手段と配送対象物に「ラベル14」を貼り付ける工程を備えたものとすることの動機付けが存在するといえる。
そうすると、引用方法発明において、<相違点2>に係る本願補正発明2の構成を備えたものとすることは、当該動機付けにしたがって、多重な積層体のラベルについての方法である点で共通する上記引用文献2記載事項に係る方法を適用することで、当業者が容易になし得た事項である。そして配送対象物に「ラベル14」を貼り付けるのは、最終的に「剥離シート12」から「ラベル14」が剥離されるときであるから、<相違点2>に係る本願補正発明1の「脱着工程」を実施する位置を、<相違点2>に特定される「前段」とすることは、当然に採用される構成であるにすぎない。
そして、本件補正発明2の奏する作用効果は、引用方法発明及び引用文献2記載事項から当業者が予測し得る範囲内のものであるにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ.小括
以上のとおりであるから、本件補正発明2は、引用方法発明及び引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(4) まとめ
したがって、本件補正発明1及び本件補正発明2は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明Aについて
(1)本願発明A
令和2年2月18日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成31年4月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明A」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
(2)原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2002-347143号公報
引用文献2:特開昭63-191734号公報
(3)引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
(4)対比・判断
本願発明Aは、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明1から、「脱着手段」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明Aの発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明1が、前記第2の[理由]2(6)、(6-1)に記載したとおり、引用物発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明Aも、引用物発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 本願発明Bについて
(1)本願発明B
令和2年2月18日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年4月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項5に係る発明(以下「本願発明B」という。)は、その請求項5に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
(2)原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項5に係る発明は、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2002-347143号公報
引用文献2:特開昭63-191734号公報
(3)引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
(4)対比・判断
本願発明Bは、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明2から、「脱着工程」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明Bの発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明2が、前記第2の[理由]2(6)、(6-2)に記載したとおり、引用方法発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明Bも、引用方法発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1及び5に係る発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-002166