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特許拒絶査定不服審判

2020-001044

無線通信ネットワークにおける動き検出チャネルの動作方法

審判番号
2020-001044
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-564201
請求日
2020年01月24日
審決日
2020年08月25日
公報発行日
2020年10月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】コグニティヴ システムズ コーポレイション
  • 【請求人代理人】田中 伸一郎
  • 【請求人代理人】▲吉▼田 和彦
  • 【請求人代理人】須田 洋之
  • 【請求人代理人】大塚 文昭
  • 【請求人代理人】西島 孝喜
  • 【請求人代理人】上杉 浩
  • 【請求人代理人】近藤 直樹
  • 【請求人代理人】那須 威夫
  • 【請求人代理人】山崎 貴明
審判長/審判官
  • 審判長 佐藤 智康
  • 審判官 北岡 浩
  • 審判官 丸山 高政
分類
P18 .121-WY (G08B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018-564201「無線通信ネットワークにおける動き検出チャネルの動作方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月14日国際公開、WO2017/210773、令和元年10月24日国内公表、特表2019-530910、請求項の数(19)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)1月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年6月8日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成30年12月11日に手続補正書が提出され、令和元年6月4日付けで拒絶理由が通知され、同年9月10日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月19日付けで拒絶査定されたところ、令和2年1月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和元年9月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1-19に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2003-22488号公報 2.特開2016-19103号公報(周知技術を示す文献) 3.特開2016-21625号公報(周知技術を示す文献) 第3 本願発明 本願の請求項1-19に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明19」という。)は、令和元年9月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-19に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 無線ネットワークの方法であって、 第1の無線ネットワーク装置のモデムの動作によって、無線通信ネットワークにおいて無線通信チャネルの第1のサブセットで無線ネットワークトラフィックを通信するステップと、 前記第1の無線ネットワーク装置の前記モデムの動作によって、第2の無線ネットワーク装置によって空間を通って送信されて無線通信チャネルの第2のサブセットで受信される動き検出信号を受信するステップであって、前記無線通信チャネルの前記第2のサブセットは動き感知のために指定される、ステップと、 を含み、前記第2の無線ネットワーク装置によって送信される前記動き検出信号は各々、制御データ及び動きプローブを含み、前記動きプローブが各々、基準信号又はビーコン信号を含み、 前記方法が更に、 前記無線ネットワークトラフィックを通信し、前記動き検出信号を並行して受信するステップと、 前記第1の無線ネットワーク装置の前記モデムの動作によって、前記動き検出信号それぞれからの前記動きプローブを比較することによって前記空間における物体の動きを検出するステップと、 を含む、無線ネットワークの方法。 【請求項2】 前記無線通信ネットワークは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を含み、前記第1の無線ネットワーク装置は、無線アクセスポイント(WAP)装置を含む、請求項1に記載の無線ネットワークの方法。 【請求項3】 前記無線通信ネットワークは、無線メッシュネットワーク(WMN)を含み、前記第1の無線ネットワーク装置は、無線アクセスポイント(WAP)装置を含む、請求項1に記載の無線ネットワークの方法。 【請求項4】 動きの検出に応答して、動き検出の表示を生成するステップを含む、請求項1に記載の無線ネットワークの方法。 【請求項5】 前記無線通信チャネルは、周波数チャネルを含む、請求項1に記載の無線ネットワークの方法。 【請求項6】 前記無線通信チャネルは、符号化チャネルを含む、請求項1に記載の無線ネットワークの方法。 【請求項7】 無線ネットワークモデムであって、 複数の無線通信チャネルで無線信号を通信するように構成された無線サブシステムと、 前記無線サブシステムに結合されたベースバンドサブシステムと、 を備え、 前記ベースバンドサブシステムが、 前記無線通信チャネルの第1のサブセットで前記無線サブシステムを介して他の無線ネットワーク装置に伝達される無線ネットワークトラフィックを無線通信ネットワークにおいて通信し、 前記他の無線ネットワーク装置によって空間を通って送信され、前記無線通信チャネルの第2のサブセットで前記無線サブシステムを介して受信される動き検出信号を受信する、 よう構成され、 前記無線通信チャネルの前記第2のサブセットは動き感知のために指定され、 前記他の無線ネットワーク装置によって送信される前記動き検出信号が各々、制御データ及び動き検出プローブを含み、前記動き検出プローブが各々、基準信号又はビーコン信号を含み、 前記ベースバンドサブシステムが更に、 前記無線ネットワークトラフィックを通信して前記動き検出信号を並行して受信し、 前記動き検出信号のそれぞれにおける前記動き検出プローブの比較に基づいて前記物体の動きを検出する、 ように構成される、無線ネットワークモデム。 【請求項8】 前記無線サブシステムは、無線周波数(RF)フロントエンド及び無線チップを含む、 請求項7に記載の無線ネットワークモデム。 【請求項9】 前記ベースバンドサブシステムは、デジタルベースバンドチップを含む、請求項7に記載の無線ネットワークモデム。 【請求項10】 前記ベースバンドサブシステムは、動きの検出に応答して動き検出の表示を生成するように構成される、請求項7に記載の無線ネットワークモデム。 【請求項11】 前記ベースバンドサブシステムは、前記動き検出の表示を前記無線通信ネットワークを介して他の装置に送るように構成される、請求項10に記載の無線ネットワークモデム。 【請求項12】 前記無線通信チャネルは、周波数チャネルを含む、請求項7に記載の無線ネットワークモデム。 【請求項13】 前記無線通信チャネルは、符号化チャネルを含む、請求項7に記載の無線ネットワークモデム。 【請求項14】 システムであって、 第1のモデムを含む第1の無線ネットワーク装置と、 第2のモデムを含む第2の無線ネットワーク装置とを備え、 前記第1の無線ネットワーク装置が、 無線通信ネットワークにおいて無線通信チャネルの第1のサブセットで無線ネットワークトラフィックを通信し、 無線通信チャネルの第2のサブセットで動き検出信号を送信するように構成され、前記動き検出信号が各々、制御データ及び動きプローブを含み、前記動きプローブが各々、基準信号又はビーコン信号を含み、 前記第1の無線ネットワーク装置が、さらに、 前記無線ネットワークトラフィックを通信し且つ前記動き検出信号を並行して送信するよう構成され、 前記第2の無線ネットワーク装置が、 動き感知のために指定される無線通信チャネルの前記第2のサブセットで前記動き検出信号を受信し、 送信される前記動き検出信号のそれぞれにおける前記動き検出プローブの比較に基づいて前記物体の動きを検出する、するように構成された、システム。 【請求項15】 前記無線通信ネットワークは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を含み、 前記第1の無線ネットワーク装置は、無線アクセスポイント(WAP)装置を含む、請求項14に記載の無線通信システム。 【請求項16】 前記無線通信ネットワークは、無線メッシュネットワーク(WMN)を含み、前記第1の無線ネットワーク装置は、無線アクセスポイント(WAP)装置を含む、請求項14に記載の無線通信システム。 【請求項17】 前記第1のモデムは、第1の無線サブシステムと第1のベースバンドサブシステムとを含み、前記第1のベースバンドサブシステムは、 無線通信チャネルの前記第1のサブセットで前記第1の無線サブシステムを介して前記無線ネットワークトラフィックを通信し、 無線通信チャネルの前記第2のサブセットで前記第1の無線サブシステムを介して前記動き検出信号を送信する、 ように構成される、請求項14に記載の無線通信システム。 【請求項18】 前記第2のモデムは、 無線通信チャネルの前記第2のサブセットで前記動き検出信号を受信するように構成される第2の無線サブシステムと、 前記動き検出信号処理して前記物体の動きを検出するように構成される第2のベースバンドサブシステムと、 を含む、請求項17に記載の無線通信システム。 【請求項19】 前記第2の無線ネットワーク装置は、動き検出装置である、請求項1に記載の無線ネットワークの方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、無線LANシステムに係わり、より詳細には、家屋の外部からの侵入者の存在を報知する機能を備えた無線LANシステムに関する。」 【0002】 【従来の技術】従来、無線LANシステムには防犯機能がなく、同様な機能を備えた防犯システムとしては、例えば図4に示すブロック図の構成であった。この防犯システムは、家屋内の3つ部屋81のドア81aや雨戸81bに取付られた磁気センサ82により、家屋外からの侵入者(図示せず)が行なうドア81aや雨戸81bの開放を検知し、電話回線などの公衆回線網83を通じて、予め契約してある警備会社84に連絡する機能を有している。防犯装置の本体85は、各センサ82の状態を読み取るセンサ入力部85aと、異常があったときに警備会社84に連絡するためのモデム85bと、センサ入力部85aとモデム85bとを制御する制御部85cとで構成されている。 【0003】しかしながら、この防犯システムは防犯専用のシステムで、防犯装置の本体85も比較的高価であり、また、各センサ82を取り付けるためや配線86の引回しに工事が必要となり、賃貸の家屋では導入に問題があった。一方、近年ではパソコンやインターネットの普及により、家庭内の無線LAN(Local Area Network)が普及してきており、これを用いて安価な防犯機能を実現する方法が望まれていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は以上述べた問題点を解決し、防犯の機能を備えた無線LANシステムを提供することを目的としている。」 「【0019】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明による無線LANシステムを詳細に説明する。図1は本発明による無線LANシステムの一実施例を示す説明図である。この図は、家屋内に設けられた部屋3の平面図と、その内部に配置された各機器のブロック図が同時に記載されている。。無線LAN(Local Area Network)システムは、親局1と、同親局1との間で無線によりデータ伝送を行う子局2と子局8とからなり、ドアが設けられた3つの部屋3に、親局1または子局2、子局8が配置されている。部屋3cには親局1が、部屋3dには子局2が、また部屋3eには子局8が設置されており、部屋3cと部屋3dとの間にはドア3aが、また、部屋3dと部屋3eとの間にはドア3bが設けられている。また、親局1は、家屋外部からの侵入者(図示せず)の存在を知らせる警報発生部1aと、公衆回線網4に接続された機器との間で音声又はデータで通信する通信部1bと、各子局からのデータ伝送での受信信号レベルを検出する受信レベル検出部1cと、検出された受信レベルのデータを記憶するメモリ1dと、同メモリ1dに記憶させたデータを比較する比較部1eと、各子局と無線によるデータ伝送を行なう無線モデム1fとそのアンテナ1gと、これらを制御する制御部1hとで構成されている。この制御部1hは無線LANの機能とともに、後述する防犯の機能を制御しており、比較部1eでの結果をもとに監視の制御や各種の判断も行なう。また、警報発生部1aは、大きなサイレン音や警告音声を発生する音声発生機能や侵入情報(侵入場所、侵入時間や退散時間など)を電子メールのデータに作成するメール作成機能とを備えている。さらに、親局1は公衆回線網4を通して、予め契約している警備会社5やインターネットのプロバイダ6や住人(図示せず)が携帯している携帯端末、ここでは電子メール機能を備えた携帯電話7とつながっているため、警報発生部1aで発生した警告音声や電子メールをそれぞれの相手に送信することができる。なおプロバイダ6は、インターネット網(図示せず)を経由して警備会社5や携帯電話7と電子メールを送受信する機能がある。一方、子局2および子局8は、親局1とデータ伝送を行なう無線モデム2aとそのアンテナ2b、およびパソコン2cとから構成されている。 【0020】以上の構成において、つぎにその動作を説明する。このシステムは住人が在宅している場合には、通常の無線LANシステムとして機能しており、各子局から親局1を通してプロバイダ6との間で電子メールを送受信したり、親局1を介して子局2と子局8とがデータ伝送を行なったりしている。 【0021】次にこのシステムが備えている防犯機能の動作を図1、図2、図3を用いて説明する。この防犯機能を備えた無線LANシステム(以下防犯システムと呼称する)では、各子局から親局1へのデータ伝送において、親局1での受信レベルの変化を常に検出し、その受信レベルが変化したとき(住人が外出していれば通常あり得ない)に警報を発するように構成されている。また、受信レベルの変化を判断する判断手段としては、ドア3a、3bの開閉により大きくレベルが異なるのを検出する第一の判断手段と、侵入者(図示せず)の動きの小さなレベルの変化の回数を制御部1hでカウントし、複数回の変化を検出する第二の判断手段との2つの方法がある。 【0022】第一の判断手段では、ドアが閉まった状態、およびドアが開いた状態での、親局1における子局2の受信レベルと子局8の受信レベルを最初に測定する必要がある。図2(A)はドアが全て閉まった状態であり、各子局からの電波はドアまたは部屋の壁により減衰して親局1に受信される。このとき、制御部1hは、ドアの閉状態の受信レベルを受信レベル検出部1cで検出させ、検出した受信レベルのデータをメモリ1dに記憶させる。例えば、子局2のデータが60μV、子局8のデータが50μVであれば、それぞれの値を図3のように、”ドア3a、ドア3b共閉の場合”として各子局ごとに格納する。同様に、”ドア3a開、ドア3b閉の場合”、”ドア3a閉、ドア3b開の場合”、図2(B)に示すように”ドア3a、ドア3b共開の場合”をそれぞれ測定してメモリ1dに記憶させる。この値はある一時点での値であるため、当然、室内の湿度や温度などによる誤差を含んでいる。このため、ドアが開の場合と閉の場合とを区別するため、ドアが全て閉まった状態の値と、いずれか一つのドアが開いた状態で受信レベルが低い方の値との平均値を比較基準値としてメモリ1dに格納している。図3の例では、子局2の受信レベルにおいて、両方のドアが開の場合に90であり、全てのドア閉での値が60であるため、その平均値が75となる。また、子局8の受信レベルにおいて、どちらかのドア開で値が65であり、全てのドア閉での値が50であるため、その平均値が57.5となり、それぞれの値を比較基準値とする。 【0023】これにより、少なくとも一つのドアが開いた場合に、誤差を排除して確実に検出できる。また、以上説明した例や、次に説明する例での受信レベルは、各子局から送信される伝送データの電界強度を測定しているが、各子局から親局1に送信される伝送データの先頭に付加されるトレーニングシンボル区間にのみ検出するようにしてもよい。このトレーニングシンボル区間のデータはどの子局でも、またいつでも同じ内容の固定データであり、比較的安定した受信レベルを測定することができるため、測定精度を高めることができる。 【0024】以上のデータをメモリ1dに格納した後、例えば子局2から親局1に対して防犯システムの監視の開始指示を与える。これは比較部1eによる比較の開始を指示する比較開始データであり、これを受け取った制御部1hは子局2及び子局8に対して、定期的に所定の伝送データを親局1に送信する要求を発行し、これを受信した各子局は所定の伝送データを親局1に送信する。親局1では受信した所定の伝送データを受信した時に、受信レベル検出部で受信レベルを検出し、これとメモリ1dに記憶されている比較基準値とを比較部1eで比較し、比較基準値を越えたら警報発生部1aにより所定の警告音を発生させ、侵入者に警告を与える。同時に警報発生部1aでの警告音を、通信部1bから電話などの公衆回線網を介して警備会社5や携帯電話7に通報する。もしくは、警報発生部1aにより外部からの侵入を伝える電子メールを作成し、通信部1bから電話などの公衆回線網を介してインターネットのプロバイダ6に電子メールを送信し、プロバイダ6から警備会社5や携帯電話7に電子メールを転送してもよい。このように第一の判断手段を用いる方法は、ドアの開閉で家屋外部からの侵入を判断するため、誤動作が少ない方法であり、電波が通りにくいマンションなどの洋間に最適な方法である。 【0025】以上の説明とは別の第二の判断手段を用いる例を説明する。第二の判断手段はドアの開閉に関係なく、侵入者の動きを検出する方法である。無線LANで使用する電波は、例えば5GHzの周波数帯を使用しており、電波の直進性が高い。従って親局1と各子局とを出来るだけ間隔を空けて配置してき(当審注:「配置しておき」の誤記と認める。)、その間で侵入者が動き回ると、電波が吸収されたり、されなくなったりして急激に受信レベルが変化する。しかし、一回のみの変化では他の要因、例えば突発的なノイズなどでも侵入者として認識してしまうため、この変化の回数を制御部1hでカウントしてメモリ1dに記憶させ、一定回数以上となったときに侵入者が存在すると判断することにより、他の要因による誤検出を排除する。まず侵入者がいない状態で、各子局の受信レベルを検出し、メモリ1dの比較受信レベルの項にそれぞれ格納する。例えば図2(B)のように両方のドアが開いていたとしたら、子局2、子局8にそれぞれ100、80が記憶される。つぎに子局2から親局1に対して防犯システムの監視の開始指示を与えると、制御部1hは定期的に各子局の受信レベルの検出を開始し、メモリ1dに格納されている受信レベルのデータと比較する。もし一致しなければメモリ1dに格納されている受信レベル変化回数をカウントアップする。一致すれば、現在の受信レベルのデータをメモリ1dに格納されている受信レベルのデータ(前回測定したデータ)に書き換える。変化回数が予め決められた時間内で指定の回数、例えば1分間に5回を越えたら侵入者ありと判断し、前述の第一の判断手段と同様に警告音の発生や警備会社5への通報、電子メールの送信などを行なう。なお、前述のように受信レベルは誤差を含んでいるため、メモリ1dに格納されている受信レベルのデータと比較する場合は、プラス方向及びマイナス方向の所定の誤差範囲を越えたものに対してのみ、カウントアップをするようにしている。このように第二の判断手段を用いる方法は、侵入者の動きを検出する方法であり、ドアの開閉状態に関係なく、現状の受信レベルを基準として検出するため、電波の通り易い木造の家屋や障子や襖で仕切られた和室に最適な方法である。また、比較の対象は前回の受信レベルのデータと今回の受信レベルのデータであるため、室内の湿度や温度の変化による誤差を受けないため、検出精度を高めることができる。」 図1は、次のとおりである。 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「家屋の外部からの侵入者の存在を報知する機能を備えた無線LANシステムにおける侵入者の動きを検出する方法であって、(【0001】、【0025】) 無線LANシステムは、親局1と、同親局1との間で無線によりデータ伝送を行う子局2と子局8とからなり、ドアが設けられた3つの部屋3に、親局1または子局2、子局8が配置され、(【0019】) 親局1は、家屋外部からの侵入者の存在を知らせる警報発生部1aと、公衆回線網4に接続された機器との間で音声又はデータで通信する通信部1bと、各子局からのデータ伝送での受信信号レベルを検出する受信レベル検出部1cと、検出された受信レベルのデータを記憶するメモリ1dと、同メモリ1dに記憶させたデータを比較する比較部1eと、各子局と無線によるデータ伝送を行なう無線モデム1fとそのアンテナ1gと、これらを制御する制御部1hとで構成され、(【0019】) 子局2および子局8は、親局1とデータ伝送を行なう無線モデム2aとそのアンテナ2b、およびパソコン2cとから構成され、(【0019】) このシステムは住人が在宅している場合には、通常の無線LANシステムとして機能しており、各子局から親局1を通してプロバイダ6との間で電子メールを送受信したり、親局1を介して子局2と子局8とがデータ伝送を行なったりしており、(【0020】) 親局1と各子局とを出来るだけ間隔を空けて配置しておき、その間で侵入者が動き回ると、電波が吸収されたり、されなくなったりして急激に受信レベルが変化することから、(【0025】) まず侵入者がいない状態で、各子局の受信レベルを検出し、メモリ1dの比較受信レベルの項にそれぞれ格納し、(【0025】) つぎに子局2から親局1に対して防犯システムの監視の開始指示を与えると、制御部1hは定期的に各子局の受信レベルの検出を開始し、メモリ1dに格納されている受信レベルのデータと比較し、(【0025】) ここで、受信レベルは、各子局から送信される伝送データの電界強度を測定しているが、各子局から親局1に送信される伝送データの先頭に付加されるトレーニングシンボル区間にのみ検出するようにしてもよく、(【0023】) もし一致しなければメモリ1dに格納されている受信レベル変化回数をカウントアップし、(【0025】) 変化回数が予め決められた時間内で指定の回数、例えば1分間に5回を越えたら侵入者ありと判断する、(【0025】) 方法。」 2.引用文献2及び引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。 「【0018】 無線LANアクセスポイント装置AP1は、無線通信部10と、送信権獲得部20と情報管理部30と、制御部40とを備える。無線通信部10は、アンテナを介して無線レームの送受信を行うために、直交周波数分割多重変調方式で生成される信号の送受信行う。送信権獲得部20は、送信権を獲得する。情報管理部30は、情報管理を行う。御部40は、無線LANアクセスポイント装置AP1の全体の処理動作を統括して制御する。 【0019】 また、無線通信部10は、図3~図8に示すように使用可能な周波数チャネル上で使用可能な周波数帯域幅よりも狭い帯域幅で構成されるサブチャネル上で送受信される複数の異なる信号に対して個別に送受信処理を行うことが可能である。なお、BSS(basic service set)内の無線LAN端末がフレームを送信する際に、必ず含めるサブチャネルのことをプライマリチャネル(primary channel)と呼ぶ。一方、周波数チャネルに含まれるその他のサブチャネルのことをセカンダリチャネル(secondary channel)と呼ぶ。 【0020】 例えば、図3~図8に示すように無線LANアクセスポイント装置AP1が80MHz帯域幅まで利用可能なとき、20MHz帯域幅のサブチャネルが4つ存在し、うち1つはプライマリチャネル、残り3つはセカンダリチャネルとなる。ここでは、チャネル1(ch.1)がプライマリチャネルであり、チャネル2、3、4(ch.2、3、4)がセカンダリチャネルであるものとする。無線通信部10はこの4つのサブチャネルに対してフレームの送受信が可能である。または、当該無線LANシステムで利用される周波数リソースブロック単位でのフレーム送受信が可能である。同様に送信権獲得部20、情報管理部30、制御部40は周波数チャネルに含まれる複数の各サブチャネルに対して制御を行い、情報を管理する。」 また、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。 「【0023】 図1は、本発明の無線LANシステムの構成例を示す。 図1において、本発明の基地局1と他の基地局2は、互いの電波を検知できる範囲に存在し、それぞれ配下の端末3,4と通信する。ここで、本発明の基地局1は、端末3に対してプライマリチャネル(1ch)で管理フレームを送信する期間に、セカンダリチャネル(2~4ch)でデータフレームを送信する機能を有する。他の基地局2は、本発明の基地局1と同じ機能を備えていてもよいし、端末4に対してプライマリチャネル(1ch)で管理フレームを送信しているときは、セカンダリチャネル(2~4ch)でデータフレームを送信しない従来の基地局であってもよい。」 上記引用文献2及び引用文献3の記載によれば、本願出願当時、次の事項が周知であったといえる。 「無線LANにおいて、アクセスポイント装置(基地局)と端末間で、プライマリチャネルとセカンダリチャネルを同時に使用して通信する」技術(以下、「周知技術」という。)。 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明は、「親局1と、同親局1との間で無線によりデータ伝送を行う子局2と子局8とからなり、ドアが設けられた3つの部屋3に、親局1または子局2、子局8が配置され」た「無線LANシステム」における「侵入者の動きを検出する方法」であるから、「無線ネットワークの方法」に含まれる。 イ 引用発明の「無線LANシステム」では、「住人が在宅している場合には」、「各子局から親局1を通してプロバイダ6との間で電子メールを送受信したり、親局1を介して子局2と子局8とがデータ伝送を行なったり」するから、引用発明の「親局1」は、無線ネットワーク装置といえる点で本願発明1の「第1の無線ネットワーク装置」に対応する。また、引用発明の「親局1」は、「各子局と無線によるデータ伝送を行なう無線モデム1fとそのアンテナ1g」を通じて「各子局」と「無線によるデータ伝送」を行うものであるところ、当該「無線によるデータ伝送」が「無線通信チャネル」を通じて行われることは当業者に自明である。 そうすると、引用発明の「無線通信チャネル」は「無線通信チャネルのサブセット」ではないものの、引用発明の「無線モデム1f」及び「無線によるデータ伝送」は、それぞれ本願発明1の「第1の無線ネットワーク装置のモデム」及び「無線ネットワークトラフィックを通信する」ことに相当し、本願発明1と引用発明とは、「第1の無線ネットワーク装置のモデムの動作によって、無線通信ネットワークにおいて無線通信チャネルで無線ネットワークトラフィックを通信するステップ」を有する点で共通するといえる。 ウ 引用発明は、「侵入者がいない状態」で検出した「各子局からのデータ伝送での受信信号レベル」と、「子局2から親局1に対して防犯システムの監視の開始指示を与え」た後、「定期的」に検出される「各子局の受信レベル」とを「比較」することによって、「親局1と各子局との間で侵入者が動き回」ったことを検出し、「侵入者ありと判断」するものである。そして、上記イも踏まえれば、引用発明の「各子局からのデータ伝送での受信信号」は、引用発明の「無線モデム1f」によって受信される「空間を通って無線通信チャネルで受信される信号」ということができる。 しかし、引用発明が「比較」する「受信レベル」は、「各子局から送信される伝送データの電界強度を測定」したものであって、「各子局から親局1に送信される伝送データの先頭に付加されるトレーニングシンボル区間にのみ検出するようにしてもよ」いものであるところ、「トレーニングシンボル区間」のデータは、伝送データの先頭に付加されるプリアンブル部分のデータであるといえるから、本願発明1の「制御データ及び動きプローブを含」む「動き検出信号」の「制御データ」に対応するデータである。 また、引用発明が、「トレーニングシンボル区間」ではなく、伝送データの電界強度を比較するものであるとしても、引用文献1の「このトレーニングシンボル区間のデータはどの子局でも、またいつでも同じ内容の固定データであり、比較的安定した受信レベルを測定することができるため、測定精度を高めることができる。」(【0023】)の記載も考慮すれば、「トレーニングシンボル区間」ではない場合に「比較」の対象となるデータは、「いつでも同じ内容の固定データ」であるとはいえないから、本願発明1の「動きプローブ」に相当するものではない。 そうすると、引用発明では、「空間を通って無線通信チャネルで受信される信号」が、「第2の無線ネットワーク装置」によって送信される、「動き検知のために指定される」「無線通信チャネルの第2のサブセットで受信される動き検出信号」ではない点、及び当該信号を「無線ネットワークトラフィック」の通信と「並行して受信する」ことについて特定がない点は別として、本願発明1と引用発明とは、「前記第1の無線ネットワーク装置の前記モデムの動作によって、空間を通って送信されて無線通信チャネルで受信される信号を受信するステップ」を含む点で共通する。 また、引用発明が「比較」の対象とするデータは、「動き検出信号それぞれからの動きプローブ」ではないものの、本願発明1と引用発明とは、「前記第1の無線ネットワーク装置の前記モデムの動作によって、前記受信される信号を比較することによって前記空間における物体の動きを検出するステップ」を含む点で共通する。 上記ア~ウより、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「無線ネットワークの方法であって、 第1の無線ネットワーク装置のモデムの動作によって、無線通信ネットワークにおいて無線通信チャネルで無線ネットワークトラフィックを通信するステップと、 前記第1の無線ネットワーク装置の前記モデムの動作によって、空間を通って送信されて無線通信チャネルで受信される信号を受信するステップと、 を含み、 前記方法が更に、 前記第1の無線ネットワーク装置の前記モデムの動作によって、前記受信される信号を比較することによって前記空間における物体の動きを検出するステップと、 を含む、無線ネットワークの方法。」 (相違点1) 「空間を通って送信されて無線通信チャネルで受信される信号」が、本願発明1では、「第2の無線ネットワーク装置」によって送信される、「動き感知のために指定される」「無線通信チャネルの第2のサブセットで受信される動き検出信号」であり、「前記動き検出信号は各々、制御データ及び動きプローブを含み、前記動きプローブが各々、基準信号又はビーコン信号を含」むのに対し、引用発明では、「先頭にトレーニングシンボル区間」が「付加され」た「各子局から親局1に送信される伝送データ」である点。 (相違点2) 本願発明1では、「前記動き検出信号それぞれからの前記動きプローブ」を比較することによって物体の動きを検出するのに対し、引用発明では、「各子局から親局1に送信される伝送データ」の「先頭に付与されるトレーニングシンボル区間」のデータ、又は、「各子局から親局1に送信される」「いつもで同じ内容の固定データ」であるとはいえない「伝送データ」を比較することによって検出するものである点。 (相違点3) 本願発明1では、無線通信チャネルが、「無線通信チャネルの第1のサブセット」及び「無線通信チャネルの第2のサブセット」であり、「無線通信チャネルの第1のサブセット」で「無線ネットワークトラフィックを通信し」、「無線通信チャネルの第2のサブセット」で「動き検出信号を並行して受信する」のに対し、引用発明では、無線通信チャネルが「無線通信チャネルのサブセット」ではなく、「侵入者がいない状態」における「各子局からのデータ伝送での受信信号」を、無線ネットワークトラフィックの通信とは別の無線通信チャネルで「並行して受信する」ことについて特定がない点。 (2)相違点についての判断 相違点1について検討する。 本願発明1は、要するに、空間に設置された無線ネットワーク装置の一方(「第2のネットワーク装置」)から、「動き感知のために指定される」無線通信チャネルで、「各々、制御データ」及び特定の「動きプローブ」を含む「動き検出信号」を送信し、空間に設置された他の無線ネットワーク装置(「第1のネットワーク装置」)で、当該「動き検出信号」を受信して、「動きプローブ」の比較により物体の動きを検出することにより、無線ネットワーク側で空間における物体の動きを検出するものである。そして、無線ネットワーク装置間の「無線通信チャネルの第2のサブセット」による「動き検出信号」の送受信は、「無線通信チャネルの第1のサブセット」による「無線ネットワークトラフィック」の「通信」と「並行して」行われる。 これに対し、引用発明は、無線ネットワーク側の「親局1」が、「子局」から送信される「先頭にトレーニングシンボル区間」が「付加され」た「伝送データ」を受信し、その受信レベルの比較により物体の動きを検出するものであり、引用文献2又は引用文献3には、引用発明の「子局」を、無線ネットワーク側の装置である「第2の無線ネットワーク装置」に置き換えることや、引用発明の「子局」から「各々、制御データ」及び特定の「動きプローブ」を含む「動き検出信号」を受信することについては、記載も示唆もなく、これらが周知の技術であると認められるその他の根拠もない。 よって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 更に検討を進めて、仮に、引用発明が、「子局」から送信される伝送データに限らず、無線ネットワーク側の他の「無線ネットワーク装置」から送信される伝送データの受信レベルを比較することを含み、かつ、引用発明に上記引用文献2-3に記載された周知技術を適用して「プライマリチャネルとセカンダリチャネルを同時に使用して通信する」こと(請求項1の「無線通信チャネルのサブセット」で通信を行うことに相当。)が容易になし得るとしても、更に、他の「無線ネットワーク装置」から、「動き感知のために指定される」無線通信チャネルのサブセットで、「制御データ及び動きプローブを含み、前記動きプローブが各々、基準信号又はビーコン信号を含」む「動き検出信号」を受信することを当業者が容易に想到し得るとまではいえない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-6、本願発明19について 本願発明2-6、本願発明19も、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明7-13について 本願発明7-13は、本願発明1に対応する「無線ネットワークモデム」の発明であり、上記相違点1に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4.本願発明14-18について 本願発明14は、本願発明1に対応する「システム」の発明であり、本願発明15-18は、本願発明1に対応する「無線通信システム」の発明であり、いずれも上記相違点1に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1-19は、当業者が引用発明及び引用文献2-3に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-001044

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