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商標拒絶査定不服審判

2020-000700

審判番号
2020-000700
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2016-048999
請求日
2020年01月17日
審決日
2022年03月28日
公報発行日
2022年08月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ナブテスコオートモーティブ株式会社
  • 【請求人代理人】中村 行孝
  • 【請求人代理人】朝倉 悟
  • 【請求人代理人】本宮 照久
  • 【請求人代理人】矢崎 和彦
  • 【請求人代理人】副田 圭介
審判長/審判官
  • 審判長 榎本 政実
  • 審判官 豊田 純一
  • 審判官 荻野 瑞樹
分類
T18 .13 -Z (W12) / T18 .17 -Z (W12)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、特許法第150条第5項、商標法第2条第1項、商標法第4条第1項第18号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2016- 48999拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 本願商標及び本願の手続きの経緯 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第12類「エマージェンシーリレーバルブ」を指定商品とし、平成28年5月2日に立体商標として登録出願されたものである。 本願は、平成28年11月16日付けで拒絶理由の通知がされ、同29年1月30日に意見書(以下「意見書1」という。)が提出され、本願の指定商品は、同日付け手続補正書により、第12類「リレーエマージェンシーバルブ(トレーラーの非常ブレーキ用バルブ)」に補正され、同年7月19日付け上申書(以下「上申書1」という。)、同年12月4日付け上申書(以下「上申書2」という。)、同30年6月20日付け上申書(以下「上申書3」という。)、同年7月6日付け上申書(以下「上申書4」という。)及び令和元年5月15日付け上申書(以下「上申書5」という。)が提出されたが、同年10月15日付けで拒絶査定がされたものである。 これに対して、令和2年1月17日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、「本願商標は、その指定商品「リレーエマージェンシーバルブ(トレーラーの非常ブレーキ用バルブ)」に採用し得る一形状を表したものと認識される立体的形状のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、提出された証拠を参照するも同条第2項に該当すると認めることはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)に対して、令和3年10月29日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。 第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨) 請求人は、上記第3の証拠調べ通知に対し、令和3年12月13日付け意見書(以下「意見書2」という。)を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べている。 1 本件職権に基づく証拠調べによって発見されたというトラックの部品(引例1~引例7(ただし、引例6は機械部品))は、いずれも、我が国の市場において「リレーエマージェンシーバルブ」として認識され、取引されているものではなく、本願商標とは容易に区別可能な外観を有している「リレーバルブ」にすぎないものである。 2 引例8は、製品の保証も受けられない個人輸入品であり、商取引の実情を考慮すれば、我が国のリレーエマージェンシーバルブの市場において流通している商品とはいいがたく、又、商品の外観も本件商品のそれとは異なっており、需要者は請求人の商品では無いと認識するものである。 3 以上から、証拠調べ通知で提示された引例がトラックの部品(リレーバルブ)に使用されているとしても、本願商標がこれらの商品と同じ商品として認識されてしまうために識別標識としては機能しない形態であるとか、本願商標は我が国において取引されている汎用品の形状にすぎないと認定される根拠となるものでは無いことは明らかである。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項第3号について (1)立体商標における商品の形状について 商標法は、商標登録を受けようとする商標が、立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても、所定の要件を満たす限り、登録を受けることができる旨規定する(商標法第2条第1項、同法第5条第2項参照)。 しかしながら、以下の理由により、立体商標における商品等の形状は、通常、自他商品の識別機能を果たし得ず、商標法第3条第1項第3号に該当するものと解される。 ア 商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。 そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。 イ また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。 ウ さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる。 以上、知財高裁平成18年(行ケ)第10555号同19年6月27日判決、平成19年(行ケ)第10215号同20年5月29日判決及び平成22年(行ケ)第10253号同23年6月29日判決参照のこと。 (2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、構成上部に、一部に突起を有するドーム状カバーと、上部カバーの突起部分の下に、丸穴を有するカバーをドーム状カバーの左部、前部、右部の3点、下部カバーの丸穴部分の下及び右奥の2点をビスで固定した立体的形状よりなるところ、本願商標は、その指定商品である「リレーエマージェンシーバルブ」が取引される際の形状を表したものと認められる。 また、証拠調べで通知した別掲2のとおり、本願商標の立体的形状あるいはこれに類似する立体的形状が、請求人以外の者が取扱うトラックの部品(リレーバルブ)に使用されている事例があることが認められる。 そうすると、本願商標の立体的形状は、「リレーエマージェンシーバルブ」を含むトラックの部品について、機能に資することを目的として採用されたものと認められ、また、「リレーエマージェンシーバルブ」の形状として、取引者、需要者において、機能に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものであるから、それを超えて、上記形状の特徴をもって、商品の出所を識別する標識として認識させるものとはいえない。 してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「リレーエマージェンシーバルブ」の立体的形状を表したものと認識するにとどまり、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものと判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 本願商標の使用による自他商品の識別性について 請求人は、原審における意見書1及び上申書1ないし上申書5、当審における令和2年2月27日付け手続補正書(審判請求書における請求の理由を補充したもの)、同年8月21日付け審尋に対する同年10月5日付け回答書、同3年3月17日付け審尋に対する同年4月5日付け回答書及び意見書2において、「本願商標は、本願の指定商品の取引者、需要者が本願商標に接するときは、全国の取引者、需要者による評価のとおり、請求人に係るリレーエマージェンシーバルブであることを認識することができるものであり、使用による識別力が認められる商標となっている。よって、本願商標は、商標法第3条第2項に該当する。」旨主張しているが、その前提として、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであることは、前述1(2)のとおりである。 そこで、請求人の主張及び同人が提出した資料1ないし資料279を参照し、以下、本願商標の使用による自他商品の識別性(本願商標の商標法第3条第2項該当性)について検討する。 (1)商標法第3条第2項について 商標法第3条第2項が、同条第1項第3号等所定の商標であっても、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品(役務)であることを認識することができるものについては、商標登録を受けることができるとする趣旨は、特定人が、当該商標を、その者の業務に係る商品(役務)の自他識別標識として、永年の間、他人に使用されることなく、独占的排他的に継続使用した実績を有する場合には、当該商品(役務)に係る取引界においては、事実上、当該商標の当該特定人による独占的使用が事実上容認されているといえるので、他の事業者にその使用の機会を開放しておく公益上の要請が乏しくなるとともに、当該商標が、自他商品(役務)識別力を獲得したことにより、商標としての機能を備えるに至ったことによるものと解される(平成19年4月10日判決言渡、平成18年(行ケ)10450号 知的財産高等裁判第4部判決参照)。 そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかについて、前記判決に照らし、以下、判断する。 (2)請求人の主張について ア 請求人について 請求人は、2009年に設立された企業であり、2010年にナブテスコ株式会社の自動車カンパニーの事業を引き継いでいる。 請求人の前身は、1925年に設立された商用車用ブレーキ機器メーカーの「日本エヤーブレーキ株式会社」(以下「日本エヤーブレーキ社」という。)で、1933年に我が国で初めてオイルブレーキを開発し、1937年に商用車用エアブレーキを開発し、1972年に商用車用エアドライヤーを開発するなど、永年に渡りトラックやバスなど商用車用のブレーキ機器の製造、販売を行っており、1992年に社名を「株式会社ナブコ」に、2004年に帝人製機株式会社と合併し「ナブテスコ株式会社」に変更している。 請求人である「ナブテスコオートモーティブ株式会社」は、すなわち、日本エヤブレーキ株式会社の事業を引き継いでいる。 イ 売上高 請求人は、国内自動車メーカーより高い評価を受けており、商用車用ブレーキ機器では、国内において90%ものトップシェアを誇る、我が国における商用車用ブレーキ機器のトップメーカーであり、年間の売上高は、127億4000万円(2018年度実績)で、年間売上高2946億2600万円(2018年度実績)を誇るモーションコントロール技術を中核技術とした大手機械メーカーであるナブテスコ株式会社のグループ会社であり、国内外に商品の流通ネットワークを有するものであると主張するが、この主張の裏付けとなる証拠は確認することができない。 ウ 本願商標について 本願商標は、請求人が、1970年6月に発売を開始した商用車用の非常ブレーキバルブの外観に係る立体商標であり、発売当初よりその形状を変更することなく、46年以上にわたり継続的に製造及び販売を行ってきた(資料2、資料3)。 エ 指定商品「リレーエマージェンシーバルブ」について 「リレーエマージェンシーバルブ」は、トラクタに牽引されるトレーラに装着されるエアブレーキ製品の一つであり、トレーラブレーキ作用の迅速化及びトラクタとの連結ホースが脱落又は破損した場合に、トレーラに非常ブレーキを掛け安全に停止させるために使用する商品であり、トレーラになんらかの異常が発生した場合に、非常ブレーキをかけるための役割を担っており、状況によっては人命を左右することにもなる商品性質上、信頼性を第一として取引されるミッションクリティカルな商品である。 オ 「リレーエマージェンシーバルブ」に対する評価について 我が国のトレーラメーカーは、トレーラ車両の製造に際して、「リレーエマージェンシーバルブ」を車両に組込む必要があるところ、人命に関わる非常ブレーキ用商品たる「リレーエマージェンシーバルブ」には極めて高い品質及び安全性能が要求される。 このような極めて高い品質及び安全性能への要求に対して、請求人は、1970年6月より、社内技術を結集し、本願商標に係る「リレーエマージェンシーバルブ」の提供を開始したものである。 製品の開発当初から、国内トレーラメーカー各社にその品質の高さ及び安全性能が認められることとなり、丁寧な商品説明と地道な営業活動を繰り返すことにより、現在では、全ての国内トレーラメーカーにおいて採用されるに至っている。 国内トレーラメーカーは、その選択肢として、外国製リレーエマージェンシーバルブを採用することが可能である状況にもかかわらず、請求人の製造する「リレーエマージェンシーバルブ」は、全ての国内トレーラメーカーに採用される商品となっているところ、この事実は、請求人の製造するリレーエマージェンシーバルブが品質・安全性能・価格において同等外国製品を遥かに凌駕するものであるとの評価そのものである(資料18~資料263)。 カ 需要者の商標の認識度調査の妥当性について 請求人は「需要者の商標の認識度を調査した評価書」(以下「評価書」という。)は、公平性・中立性があるものであり、本願商標に係る商品の市場における需要者・取引者の認識を示した資料であることを確信している。 「リレーエマージェンシーバルブ」は、一般消費者向けの商品ではなく、我が国のトレーラメーカーとトレーラ部品メーカーとの間で取引される、いわゆるBtoB取引に資される特殊商品である。このような特殊商品であるが故に、テレビ・新聞等のマスメディアによる広告により商品採用率が伸びるという性質のものではなく、トレーラメーカー各社への直接的な商品説明・働きかけにより初めて商品の採用が決定されるものである。 このような取引の実情により、需要者の認識度を図るに当たっては、一般消費者向けのアンケートの形態を取ることは事の性質上相応しくなく、需要者に個別にヒアリングを行うという方法により認識度を測らざるを得ない特殊な事情が存在するのである。 このような状況の下、請求人は、全国的に需要者へのヒアリング調査を行った上で資料21ないし資料263として評価書を提出したものであり、これらの評価書からは各評価者の恣意的な意図が完全に排除され、事実のみが述べられているものであり、反証等、何ら一切の根拠無しに評価書の内容が否定される所以はない。 キ 「リレーエマージェンシーバルブ」に化体した信頼について 請求人は、リレーエマージェンシーバルブを採用する国内トレーラメーカー各社から「前回納品されたリレーエマージェンシーバルブと同じものを同じ品質で提供してもらいたい」と期待されており、その期待に応えるべく、高い品質及び安全性能を維持することに注力し、商品の販売開始から約50年間に渡り、商品の安定的な供給に努めてきたものである。 約50年に渡る商取引の結果として、「リレーエマージェンシーバルブ」の取引の場面において、需要者たる国内トレーラメーカー各社は、その形態(商品外観)を目視確認することで商品の出所が識別される程に、その商品外観それ自体を頼りにして商品の出所を認識するに至っており、商品外観に基づき商品の品質が保証されていることを確認する状況となっている。 すなわち、請求人の製造するリレーエマージェンシーバルブからは商品の品質及び安全性能が予期される状況となっており、本願商標に係る「リレーエマージェンシーバルブ」の形態に信頼が化体して、立体商標として機能するに至っているものである。 ク 本願商標の登録出願の理由について 請求人は、「リレーエマージェンシーバルブ」が、人命をも左右するミッションクリティカルな商品である一方、商品の外観からは請求人の提供する品質が期待されてしまう程の状況であることを認識している。 このような状況は、すなわち、品質保証されていない単なる外形コピー品が市場に出回るような自体が発生した場合、商品形態から品質を期待して同型リレーエマージェンシーバルブを購入した者の人命・財産が危機にさらされる状況であることを意味している。 請求人は、このような商品外形だけを頼りとしてリレーエマージェンシーバルブを購入してしまう社会的リスクを認識した上で、国内トレーラメーカーはもとよりトレーラメンテナンス事業者、最終的なトレーラ使用者及び社会一般の人々の人命・財産を保護せんがために、立体商標制度を活用することを決断し、立体商標の登録出願に至ったものである。 ケ 経済産業省の調査統計資料等 経済産業省の調査統計資料によると、1997年から2016年までのトレーラの生産台数は、1997年7,680台、1998年5,151台、 1999年4,509台、2000年5,897台、2001年5,237台、2002年3,972台、2003年4,749台、2004年7,411台、2005年8,012台、2006年7,385台、2007年7,241台、2008年9,912台、2009年3,118台、2010年4,635台、2011年5,774台、2012年5,420台、2013年5,564台、2014年6,328台、2015年6,634台、 2016年7,172台である(資料7~資料11)。 また、一般社団法人日本自動車車体工業界の資料によると、2016年度7,680台、2017年度8,487台、2018年度8,723台である(資料266-1)。 コ トレーラの製造事業者について 我が国において製造されるトレーラの製造事業者は、一般社団法人日本自動車車体工業会(資料12)のトレーラ部会(資料13)の正会員となっている15社である。 請求人は、毎年、我が国におけるトレーラ生産台数の2倍以上のリレーエマージェンシーバルブを製造しており、トレーラ製造事業者は、全て請求人の取引先である。 また、請求人が調査した限りでは、新規製造されるトレーラの9割以上に、請求人が製造販売する本願商標に係るに係るリレーエマージェンシーバルブが使用されている状況であることが判明している。 日本トレクス株式会社のリレーエマージェンシーバルブの点検・整備に関する資料(資料15)、日本フルハーフ株式会社のリレーエマージェンシーバルブ凍結防止処理に関する資料(資料16)では、リレーエマージェンシーバルブとしては請求人の製造販売に係るリレーエマージェンシーバルブが表示されており、これら企業において通常採用されているリレーエマージェンシーバルブが、請求人の製造販売に係る商品であることを示している。 なお、トレーラ製造事業者が共通の点検用マニュアルとして使用している一般社団法人日本自動車車体工業会が2017年3月に更新したトレーラサービスニュース「No.3 リレーエマージェンシーバルブの点検、保守、整備について」(資料17)にも、請求人の製造販売するリレーエマージェ ンシーバルブが表されており、上記のトレーラ製造事業者で採用しているリレーエマージェンシーバルブが請求人の製造販売に係るものであることを示している。 サ 販売台数の詳細について 本願商標に係るリレーエマージェンシーバルブの第一次卸先(当社製品を取り扱う第一次商社)となっているナブテスコサービス株式会社の協力を得て、我が国における、リレーエマージェンシーバルブの正確な販売数(販売先毎の詳細な販売数)を確認した。 「リレーエマージェンシーバルブの販売台数」の集計結果(資料264)によれば、2016年1月1日から同年12月31日まで15,093台 、2017年1月1日から同年12月31日まで15,340台、2018年1月1日から同年12月31日まで15,077台が販売された。 また、請求人のリレーエマージェンシーバルブが、確かにトレーラ製造・保守・修理事業者へ納品されたことを裏付ける資料を提出する(資料265、資料266)。 シ 広告や営業の状況について 請求人は、本願商標に係るリレーエマージェンシーバルブを新聞広告やテレビCMといったマスメディア広告に頼った営業ではなく、請求人やナブテスコサービス社をはじめとする協力会社の地道な営業活動・実物を用いた商品説明により、本件商品を日本全国へ紹介・展開してきた。 その結果、現在では、国内におけるほぼ全てのトレーラに採用されるに至っており、マスメディア広告に頼った広告の必要性は無くなっている状況にある。 請求人の営業担当者が請求人製品について、カタログによる商品説明を行う場面があるため、リレーエマージェンシーバルブを含む当社製品を掲載したカタログを年間500部ほど使用している(資料268及び資料269)。 ス まとめ 本願商標は、指定商品との関係で、他の代替可能な立体的形状が存在するものであり、立体商標として登録される可能性が一律的に否定されるものではない。 また、原審において認定されているとおり、(ア)製造販売開始時から長年にわたり商品形態が変更されずに製造されており、(イ)我が国において新規製造され、流通している国産トレーラのほぼ全てに請求人に係る商品が採用されていること、(ウ)請求人に係る商品は、毎年、新規生産される国産トレーラの約2倍販売されており、新規トレーラ用及び修理・保守用にそれぞれ流通している状況にあることに鑑みても、本願商標が請求人による約半世紀に渡る継続的な使用の結果として、商品の出所を識別する標識として機能するものとなっている。 したがって、本願商標に対して商標法第3条第2項の規定が適用されるべきである。 (3)商標法第3条第2項の該当性について 上記(2)からすると、請求人は、トラックやバスなど商用車用のブレーキ機器の製造、販売を行っていること、請求人は、1970年6月に発売を開始した商用車用の非常ブレーキバルブの外観に係る本願商標の立体的形状を採用し、継続的に製造及び販売を行ってきたこと、本願商標が使用される「リレーエマージェンシーバルブ」は、トラクタに牽引されるトレーラに装着されるエアブレーキ製品の一つであり、その性質上、信頼性を第一として取引される商品であること、請求人が国内トレーラメーカー各社に対し実施した、請求人の取扱いに係る商品の需要者が、請求人が実施したアンケートに回答していること、「リレーエマージェンシーバルブの販売台数」が、2016年1月1日から同年12月31日まで15,093台、2017年1月1日から同年12月31日まで15,340台、2018年1月1日から同年12月31日まで15,077台であることは、請求人提出証拠から確認できる。 しかしながら、請求人が主張するトレーラーの生産台数と請求人の「リレーエマージェンシーバルブ」の販売数量は必ずしも一致するものではない。 また、請求人は、国内自動車メーカーより高い評価を受けており、商用車用ブレーキ機器では、国内において90%ものトップシェアを誇る、我が国における商用車用ブレーキ機器のトップメーカーであり、年間の売上高は、127億4000万円(2018年度実績)で、年間売上高2946億2600万円(2018年度実績)である旨主張するが、この主張の裏付けとなる証拠は確認することができない。 さらに、請求人が実施したアンケートは、請求人の顧客に対して行われたものであり、また、当該アンケート用紙には、事前に「長期間かつ継続的に商品をご採用頂いているところ、貴社ご関係者様が上記形態の商品に接した場合には、弊社の製造する「リレーエマージェンシーバルブ」の形態として認識される状況にあることを評価して頂きたく、お願い申し上げます。」等の記載があり、アンケートの回答者は、日付、会社名及び役職名を記載するのみで回答できる形式になっているため、客観的な判断がなされたものであるのか確認することができず、また、請求人商品の品質を評価したものとも考えられるため、必ずしも、本願商標の立体的形状が、周知性を有しているとの客観的な証拠とはなり得ない。 さらにまた、宣伝広告の手段は、商品カタログが中心であり、また、宣伝広告の費用等は明らかではない。 加えて、本願商標の指定商品との関係で、本願商標の立体的形状と同一又は類似する形状のトラックの部品(リレーバルブ)が、請求人以外の者(社)によって実際に使用されていることからすると、本願商標の立体的形状は、「永年の間、他人に使用されることなく、独占的排他的に継続使用した実績を有する場合」に該当するとはいい難いものである。 そうすると、本願商標は、請求人が、その指定商品に使用したことにより、請求人の取り扱う商品を表示するものとして、当該商品の需要者、取引者の間において広く認識されているものとは認められない。 3 請求人の主張について (1)請求人は、「証拠調べによって発見されたというトラックの部品は、いずれも、我が国の市場において「リレーエマージェンシーバルブ」として認識され、取引されているものではなく、本願商標とは容易に区別可能な外観を有している「リレーバルブ」にすぎない。」旨主張する。 しかしながら、「リレーエマージェンシーバルブ」は、トラックの部品に該当するものであり、「リレーバルブ」とは異なる商品であると認識しなければならない特段の事情は存在しないものであり、本願商標の立体的形状は、請求人以外の者(社)が、リレーバルブの立体的形状に使用していることが認められるものである。 (2)請求人は、「本願商標は、本願の指定商品の取引者、需要者が本願商標に接するときは、全国の需要者、取引者による評価のとおり、請求人に係るリレーエマージェンシーバルブであることを認識することができるものであり、使用による識別力が認められる商標となっている。よって、本願商標は、商標法第3条第2項に該当する。」旨主張する。 しかしながら、上記2(3)のとおり、本願商標は、請求人が、その指定商品に使用したことにより、請求人の取り扱う商品を表示するものとして、当該商品の取引者、需要者の間において広く認識されているものとは認められないと判断するのが相当である。 (3)請求人の上記(1)及び(2)の主張は採用できない。 その他、請求人の主張は、採用すべき事情はない。 4 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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