商標異議申立
2019-900019
モンスターストライクスタジアム、モンスターストライク
- 審判番号
- 2019-900019
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2018-017801
- 登録番号
- 商標登録第6095541号(T6095541)
- 請求日
- 2019年01月17日
- 審決日
- 2019年12月27日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ミクシィ
- 【権利者代理人】橋本 千賀子
- 【権利者代理人】塚田 美佳子
- 【権利者代理人】大貫 絵里加
- 【異議申立人】モンスター エナジー カンパニー
- 【異議申立人代理人】柳田 征史
- 審判長/審判官
- 審判長 半田 正人
- 審判官 冨澤 美加
- 審判官 豊田 純一
- 分類
- T1652.271-Y (W41) / T1652.22 -Y (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項7号商標法4条1項15号商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
登録第6095541号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
登録第6095541号商標の商標登録を維持する。
理由
【理 由】
第1 本件商標
本件登録第6095541号商標(以下「本件商標」という。)は、「モンスターストライクスタジアム」の片仮名を標準文字で表してなり、第9類、第41類及び第42類に属する別掲に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成30年2月14日に登録出願、同年10月16日に登録査定され、同年11月2日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の3件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5984838号商標
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定役務:第41類に属する商標登録原簿に記載の役務
優先権主張:アメリカ合衆国 2016年10月19日
登録出願日:平成29年 4月14日
設定登録日:平成29年 9月29日
2 登録第5379390号商標
商標の構成:「MONSTER」(標準文字)
指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日:平成22年 7月 8日
設定登録日:平成22年12月24日
3 登録第5393681号商標
商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)
指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」
登録出願日:平成22年 7月 8日
設定登録日:平成23年 2月25日
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中第41類に属する全指定役務(以下「申立対象役務」という。)について、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第388号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標「MONSTER」(以下「申立人商標」という場合がある。)の著名性
(1)申立人による商標の使用
ア 申立人商標は、申立人が2002年に創設したエナジードリンク(エネルギー補給飲料)事業のブランド「MONSTER ENERGY」の基軸商標として2002年から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用しているものであり、同ブランドのエナジードリンク(以下「申立人商品」という場合がある。)は、2002年に米国で販売開始後、日本では2012年5月から販売を開始し、現在、日本を含む世界100以上の国及び地域で販売中である。
イ 申立人は、2002年以降、現在まで継続して、当該ブランドから発売された数多くの異なる種類のドリンクの個別商品名のすべてに「MONSTER」の文字を採択し、当該各種ドリンクの缶の正面に「MONSTER」の文字を特徴的なデザインの太字を用いて大きく目立つ態様で表示して使用している。
ウ 「MONSTER」を基調とする商標を用いた申立人のエナジードリンク事業の成功は、経済界でも高い評価を受けている(甲2~33、甲51~57、甲58の段落1~18)。
エ リニューアル製品及び季節限定製品を含め、現在までに国内発売された「MONSTER」エナジードリンクのシリーズは、
(ア)「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー 缶355ml)(甲5、甲7、甲12)
(イ)「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス 缶355ml)(甲6、甲7、甲14)
(ウ)「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」(モンスターアブソリュートリーゼロ 缶333ml)(甲10、甲13、甲15)
(エ)「MONSTER ENERGY M3」(モンスターエナジーM3 ワンウェイびん150ml)(甲59、甲61、甲101)
(オ)「MONSTER COFFEE」(モンスターコーヒー 缶250ml)(甲60、甲62)
(カ)「MONSTER ENERGY ULTRA」(モンスターウルトラ 缶355ml)(甲101~103、甲118)
(キ)「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」(モンスターロッシ 缶355ml)(甲256、甲257、甲263、甲274)
(ク)平野歩夢コラボ缶「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー スペシャルデザイン缶355ml)(甲231、甲291、甲294、甲297~310)
(ケ)平野歩夢コラボ缶「MONSTER ENERGY ULTRA」(モンスターウルトラ スペシャルデザイン缶355ml)(甲231、甲291、甲294、甲297~310)
(コ)「MONSTER CUBA LIBRE」(モンスターキューバリブレ 缶355ml)(甲323~326)
である。
(2)広告及び販売促進活動
ア 申立人による当該エナジードリンクの広告及び販売促進活動は、世界の有名アスリート、レーシングチーム、スポーツ競技会、アマチュアスポーツ選手、音楽祭及びミュージシャンに対するスポンサー提供、スポーツ、音楽、コンピュータゲーム(eスポーツ)などの娯楽イベントの開催、米国ラスベガスの公共交通機関モノレールの「モンスター列車」の走行、これらのイベント開催などと関連して頻繁に実施されるエナジードリンク販売キャンペーン、各イベント会場におけるサンプル配布、2013年2月から2018年11月までの約5年9月の期間に国内で実施された販売プロモーションキャンペーンの応募当選者に対する様々な「モンスター限定グッズ」(MONSTERの頭文字「M」を象った爪の図柄[甲328、甲329]を付したTシャツ、帽子、ダウンジャケット、リストバンド、キーホルダー、ステッカー、ギター、バッグパック、エナジードリンク、クーラーボックス、冷蔵庫、自動車など総計75万点を超えるアイテム)の提供、「MONSTER」の文字を付したポスター、商品ネームプレート、チラシ、陳列棚、冷蔵庫などの店舗用什器の使用及び展示、遅くとも2013年から現在に至るまで約1~2月の頻度で定期的に発行されている新商品発売、懸賞キャンペーン・イベント開催情報などを掲載したプレスリリース、申立人ウェブサイト並びにソーシャルメディアを通じた情報発信を介して、2002年から現在まで世界規模で継統的に実施されている。
イ これらの広告物及び販売促進物には、「MONSTER」及びその音訳「モンスター」の文字が独立の商品出所識別標識として認識される態様で使用されてきた(甲7~17、甲34~57、甲58の段落19~136、甲59~91、甲101~133、甲136、甲137、甲138~168、甲225、甲226~274、甲279~296、甲323、甲324、甲335~352、別紙3)。
(3)申立人の使用に係る商品
申立人は、2002年から、アパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー、傘、ビデオゲーム等の「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品のカタログやオンラインショッピングサイトは、ブランド名及び個別商品名として「MONSTER」「Monster」の文字を単独で表示し、販売及び宣伝広告していることが認められる。これらのライセンス商品は、国内の実店舗のほか、オンラインショップや通信販売を介して国内の一般消費者にも販売されている(甲47、甲48、甲58の段落124~128及び137~138、甲92~100、甲134、甲135)。
(4)海外で製造された模倣品
「MONSTER」のライセンス商品の人気の高さに便乗し、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している(甲169~224、別紙2)。
(5)日本を含む世界115以上の国及び地域での商標出願
「MONSTER」の文字を世界規模での継続的使用に基づき、申立人は、エナジードリンク等の飲料製品及び上記ライセンス商品等について、引用各商標をはじめ、「MONSTER」の文字を基調とする様々な構成の商標について日本を含む世界115以上の国及び地域で商標出願し、登録を取得している(甲58、甲353~365、別紙1)。
(6)第三者による市場調査報告書
第三者による市場調査報告書やエナジードリンクの市場に関する記述によれば、2013年時点で申立人の「MONSTER」エナジードリンクの国内市場占有率は既に25%を超えており、それ以降も着実に売上を伸ばし、男子若年層を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、女性層にも知名度、人気を拡大している。また、実際の市場で申立人の「MONSTER」エナジードリンクは「モンスター」と呼ばれ、「モンスター」の表記で認知されている(甲311~322)。
(7)小括
以上の事柄に照らせば、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていた。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)前記1のとおり、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていた。
(2)本件商標は、「モンスターストライクスタジアム」の片仮名から構成され、外観が極めて冗長であることに加え、当該文字より生ずる称呼「モンスターストライクスタジアム」も冗長で一息に発音することは明らかに困難である。また、「モンスターストライクスタジアム」の文字は、辞書等に掲載されている成語ではないから、何ら既成の熟語的観念を生じさせない。
したがって、「モンスターストライクスタジアム」は、必ずしも常に全体が一体的な出所識別標識として認識されるものとはいえず、簡易迅速を旨とする取引界においては、一般の看者の注意、関心を最も強くひきつける語頭の「モンスター」の文字部分が出所識別標識として取引者、需要者を強く印象づけ、記憶に留まるというべきである。加えて、「モンスター」の文字部分は、外来語の「モンスター(monster)」として国民一般に広く親しまれている(甲387、甲388)。
よって、本件商標の構成においては、語頭の「モンスター」の文字部分が商品役務の出所識別標識として強い印象を取引者、需要者に与える。
(3)本件商標が使用される申立対象役務は、申立人が「MONSTER」を使用して提供しているコンピュータゲーム・ビデオゲームの競技会及びコンテスト(eスポーツの興行)の企画・運営又は開催、ロックコンサートなどの音楽の演奏の興行の企画・運営又は開催、ウェブサイトによる音楽ライブコンサート等の映像・画像の提供、映画又はテレビ放送番組の制作及びウェブサイトによる配給、娯楽用ビデオの制作、ウェブサイトによるこれらの娯楽情報の提供といった役務、さらにはeスポーツのプロチーム及びプレーヤー、ミュージシャンらに対するスポンサー提供活動、並びに、イベント関連キャンペーンの賞品として需要者に提供されているコンピュータゲームソフト、コンピュータゲーム用武器アイテムのダウンロード権、音楽ライブ鑑賞チケット、DVD(ビデオ録画済み媒体)と同一又は類似のものであり、あるいは、これらの申立人の商品及び役務と用途、効果及び需要者の範囲が一致ないし重複し、密接な関連性を有するものを多く含むものである。
(4)申立対象役務の需要者は一般消費者を含むから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
(5)小括
上記のとおり、本件商標が申立対象役務に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の使用に係る「MONSTER」をはじめとする「MONSTER」ファミリー商標又は申立人会社を想起連想し、申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
さらに、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所識別力を希釈化するものであり、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標が使用された場合、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力が希釈化するおそれが高い。
また、本件商標の使用は、申立人が当該商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものであるから、申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するため、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人商標の周知性について
証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人であるモンスター エナジー カンパニー(Monster Energy Company)は、米国の飲料メーカーであり、2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国において発売開始した(甲7、甲8)。
イ 日本国内での申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク製品の販売は、アサヒ飲料株式会社を通じて行われ、2012年3月15日付けのニュースリリースで、同社が、国内独占販売権の取得を公表し、「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)缶355ml」及び「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)缶355ml」の発売を発表し、2012年5月8日から販売を開始した(甲7)。
その後、2013年5月7日から「モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml」(甲10、甲13、甲15)、2014年8月19日から「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」(甲59)、2014年10月7日から「モンスターコーヒー 缶250g」(甲60)、2015年7月21日から「モンスター ウルトラ 缶355ml」(甲101、甲118)、2016年4月12日からリニューアルした「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」(甲127、甲129)、2016年5月17日からリニューアルした「モンスターカオス 缶355ml」(甲130)、2017年4月下旬にリニューアルした「モンスターアブソリュートリーゼロ」(甲253~255)、2017年6月27日に「モンスターロッシ 缶355ml」(甲256、甲257、甲274)、2017年12月上旬に、平野歩夢氏とのコラボ缶「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER ENERGY ULTRA」(平野歩夢コラボ缶355ml)(甲291)、2018年4月24日から「モンスター キューバリブレ 缶355ml」(甲323~326)が販売された。
ウ アサヒ飲料株式会社のニュースリリースには、申立人商品の発売及び販売と関連して、「アサヒ飲料 国内独占販売権取得!・・・『Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml』『Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml』・・・アサヒ飲料株式会社(本社 東京、・・・)は・・・エナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの日本国内における独占販売権を取得しました。」(甲7)、「・・・5月8日(火)から新発売したエナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの販売が好調・・・」(甲8)、「・・・『モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml』・・・本商品は・・・『モンスターエナジー』ブランドの中でも、・・・2番目に人気のあるカテゴリー、ダイエット系エナジーです。・・・」(甲10)、「2013年度の『モンスターエナジー』ブランドの販売数量は大変好調であり、『モンスターエナジー』『モンスターカオス』『モンスターアブソリュートリーゼロ』の3品で前年比150%となる237万箱を販売し・・・」(甲59)、「『モンスターエナジー』ブランドの販売は大変好調に推移しています。・・・本年は・・・『モンスターエナジーM3』、『モンスターコーヒー』をラインナップに追加・・・」(甲60)、「『モンスターウルトラ』をラインアップに加えることにより、・・・更に『モンスターエナジー』ブランドの強化を図ってまいります。」(甲101)の記載がある。
エ 申立人商品の容器の側面には、以下のような表示がある。
(ア)「MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)缶355ml」の容器には、3個の爪の様な図形(以下「爪図形」という。)の下に、「MONSTER」の文字(「O」の文字を貫く縦線が描かれている。以下同じ。)、その下に「ENERGY」の文字が表されている(甲14、甲17)。
(イ)発売当初の「MONSTER KHAOS(モンスターカオス)缶355ml」の容器には、爪図形の下に「MONSTER」の文字、その下に「KHAOS」の文字、その下に「ENERGY」及び「+果汁」の文字が表されている(甲14、甲17)。
また、2016年にリニューアル発売された同商品の容器には、上部に「KHAOS」の文字、その下に爪図形を配し、その下に「MONSTER」の文字、その下に「ENERGY」の文字が表されている(甲130)。
(ウ)「モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml」の容器には、爪図形の下に「MONSTER」の文字、その下に「ENERGY」の文字、その下に「ABSOLUTELY ZERO」の文字が表されている(甲13)。
(エ)「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」の容器には、爪図形の右横上に数字「3」を、爪図形の下に「MONSTER」の文字、その下に「ENERGY」の文字、その下に「M-3 SUPER CONCENTRATE」の文字が表されている(甲59、甲61)。
(オ)「モンスターコーヒー 缶250g」の容器には、爪図形の下に「COFFEE」の文字、その下に「MONSTER」の文字、その下に「COFFEE」、「+」及び「ENERGY」の文字が表されている(甲60、甲62)。
(カ)「モンスター ウルトラ 缶355ml」の容器には、爪図形の下に「MONSTER」の文字、その下に「ENERGY」の文字、その下に「ULTRA」の文字が表されている(甲101)。
オ 申立人商品の販売促進キャンペーン広告中の宣伝文句の中で、申立人商品の写真とともに、「モンスターを飲んで、Tスタンプを集めて・・・に会おう!」(甲63、甲64)、「モンスターの対象商品を2本ご購入につき・・・をプレゼント!」(甲79)、「モンスターを買ってギアを当てろ!」(甲113)、「モンスターを飲んで、激アツなグッズが当たる!」(甲159)、「モンスターを買ってUFC日本大会を観に行こう!」(甲162)などと表示される場合や、他方、上記と同様のキャンペーン広告中の宣伝文句の中には、「モンスターエナジーを飲んで・・・に行こう!」(甲63、甲64、甲143)、「モンスターエナジーを買ってギアを当てろ!」(甲236)、「モンスターエナジーを買ってペアチケットをゲットしろ!」(甲268)などと表示される場合がある。
カ 申立人商品は、我が国において、2012年5月の発売開始以降、2012年末までの約8か月で157万箱販売された(甲9)。
キ 申立人の最高経営責任者の宣誓供述書(甲58)によれば、申立人商品は、日本において、2012年5月の販売開始から2015年6月30日までの約3年間で、約2億3,600万缶の販売、総販売額は1億7,500万米ドル以上、日本円で170億円以上であるとされる。
ク 当該供述書(甲58)によれば、申立人は、2002年から現在まで、全世界における「MONSTER」エナジードリンクに関する広告・マーケティング及び販売促進活動のための経費として、総額30億米ドルを超える費用を支出している。
また、当該供述書(甲58)によると、申立人のマーケティング戦略は、従来の方法とは異なり、MONSTER商標及び爪図形を広めるための広告を、直接テレビやラジオで行わない方法とされ、マーケティング、広告及び販売促進活動に関する予算の多くを競技選手への支援及び競技大会やその他イベントへのスポンサー活動にあてている。
特に、申立人が、主要なターゲットとする若年成人層、主に男性が多くの時間を費やすインターネット上で、ネット配信されるイベントに対して、スポンサー活動及び促進活動を行っている。
なお、2012年5月及び6月、日本における「MONSTER」ブランド製品の販売開始を支援するため、例外的に、日本の主要テレビ局のテレビ広告枠を購入し、視聴者にウェブサイトで更なる情報を得るように促す広告を行い、この広告活動に約190万米ドルを支出したとされる。
ケ 申立人は、コンピュータゲーム・ビデオゲームの販売のための見本市・展示会やコンピュータゲーム競技会の開催などeスポーツ関連のイベント等、娯楽に関するイベントとタイアップしたエナジードリンクの販売キャンペーンにおいて、「MONSTER」の文字及び爪図形を継続的に使用している。
コ 2016年3月31日付けアサヒ飲料株式会社のニュースリリース(甲129)において、「『モンスターエナジー』ブランドは、2002年にアメリカで発売され、現在アメリカをはじめ北米、南米、欧州、豪州、アジアなど世界158カ所の国・地域(2015年末時点)で販売されています。ブランド力とファッション性で世界中の若者からの圧倒的な支持を背景に、急成長しているエナジードリンクです。エナジードリンク市場は、『モンスターエナジー』などの海外ブランドの浸透により、最近では10代、20代が『炭酸の刺激を楽しみたい』や『気分転換』を目的に飲用する傾向があり、新たなライフスタイルが定着したことにより、過去5年で、1.5倍の市場規模へと拡大しています。」との記載がある。
サ 上記アないしコの認定事実によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人商品は、2012年5月の日本における販売開始以降、その販売額は、約3年間(2012年5月~2015年6月)で約170億円以上とされ、その販売期間は発売から本件商標の登録出願時までは約5年間程度と長期にわたるものではないが、ある程度継続した販売実績があることがうかがえる。
しかしながら、申立人はテレビなどの一般的なメディアを通じた広告宣伝はそもそも行わない方針であり、日本において特別に行われたとするテレビCMは、190万米ドルの費用が計上された旨述べるが、同業他社が実施する1ないし2か月程度のテレビCMの広告料の平均的な金額が把握できないため、その費用の多少について比較することはできず、また、テレビCMの放映期間も、1ないし2か月程度と非常に短期間である。
また、申立人が、継続的に行っているスポンサー活動や販売促進キャンペーンについては、日本における広告宣伝費が明らかではなく、その対象も、主に比較的若い世代が集まるようなイベントに限定されて、また、その他の宣伝広告活動も、若年層を対象としていることがうかがえる。
そうすると、申立人が行うテレビCM等の宣伝広告等を通じ、申立人商品に接する需要者層の範囲は、若年層が中心であると推認することができる。
(イ)日本で販売されている申立人商品の容器の側面には、概ね、爪図形が表示され、爪図形の下に「MONSTER」の文字、その下に「ENERGY」の文字が配置されている。そして、これら申立人商品は、各種の個別名称があるが、これらの商品を総称する際には、「モンスターエナジー」ブランドとされている。
(ウ)申立人商品の販売促進キャンペーン広告などの宣伝文句においては、申立人商品を「モンスター」と略称する場合はあるが、必ずしも統一的に使用されているものではない。
(エ)我が国における申立人商品の「清涼飲料」に対する市場占有率が確認できる証拠の提出等は確認することができない。
(オ)上記(ア)ないし(エ)を踏まえると、申立人商品の販売期間は比較的短いこと、幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じた広告宣伝の実績は乏しいこと、申立人商品の宣伝広告は主に若年層を対象としており、一般の「清涼飲料」の需要者、すなわち、老若男女を問わず広い世代の者に対して、申立人商品の宣伝広告が行われたことが不明であること、申立人は、申立人商品の宣伝広告の際、これを「モンスター」と称する場合や、「モンスターエナジー」と称する場合もあり、その宣伝広告の方法が一貫していないこと、その他、我が国における申立人商品の清涼飲料に対する市場占有率等も確認することができないこと等を総合的に判断すると、申立人商品は、本件商標の登録出願日前までには、その取引者や若い世代を中心とした需要者の間では、ある程度認知されていたということができても、幅広い需要者層を有する清涼飲料の分野一般においては、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
そして、申立人商品は、その容器に「MONSTER」及び「ENERGY」の各文字が比較的近接して表示されており、また、当該商品が「モンスターエナジー」ブランドと総称されている実情があることも踏まえると、申立人商品の獲得した上記認知度は、「Monster Energy」(モンスターエナジー)を中心とした「モンスターエナジー」ブランドのエナジードリンクとして、集合的に生じているというべきである。
なお、申立人商標である「MONSTER」の語は、宣伝文句などにおいて申立人又は申立人商品の略称として用いられる場合があるとしても、必ずしも統一的に使用されているものではなく、上記のとおり、「モンスターエナジー」ブランドと総称されることもあるものであり、また、申立人商品の認知度を紹介するインターネット記事情報においても、あくまで「モンスターエナジー」(MONSTERENERGY)(甲311、319)の認知度が紹介されており、申立人商標単独での認知度は示されていない。
そのため、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国の取引者、需要者において、申立人商品を表示する商標として、広く認識されているものということはできない。
(2)申立人商標の独創性について
申立人商標である「MONSTER」の文字は、「怪物。化物。」を意味する英語(広辞苑第六版[株式会社岩波書店])として、我が国において広く知られている既成の語であり、独創性が高いものとはいえない。
(3)本件商標と申立人商標との類似性の程度について
ア 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「モンスターストライクスタジアム」の片仮名を標準文字で表してなるところ、本件商標は、同じ書体で、横一列に書されているため、視覚上まとまりのよい印象を与えるものである。
また、本件商標の構成文字全体から生じる「モンスターストライクスタジアム」の称呼は、やや冗長ではあるものの、全体をよどみなく一連に称呼することができるものである。
さらに、本件商標の構成中の「モンスター」の片仮名が、「怪物。化け物。」の意味を有する平易な英語「MONSTER」の音訳を、「ストライク」の片仮名が、「野球で、投手の投球が所定の範囲(打撃姿勢にある打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間のラインを上限とし、膝頭ひざがしらの下部のラインを下限とする本塁上の空間)をバウンドしないで通るもの。また、空振り・ファウル・チップなども同様に扱う。」等の意味を有する平易な英語「Strike」(広辞苑第六版[株式会社岩波書店])の音訳を、「スタジアム」の片仮名が、「観覧席を備えた運動競技場。野球場・陸上競技場など。」の意味を有する平易な英語「Stadium」(広辞苑第六版[株式会社岩波書店])の音訳を表したものと認識されるものであるとしても、これらの文字を結合した「モンスターストライクスタジアム」の片仮名が、特定の意味を有する熟語や既成の語と認識し得るとはいえないことから、本件商標は、直ちに特定の観念を認識させるものとはいえない。
したがって、本件商標は、構成全体として不可分一体の造語を表してなるものと看取、理解されるものであり、その構成文字に相応する「モンスターストライクスタジアム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 申立人商標について
申立人商標は、「MONSTER」の欧文字を表してなるところ、当該文字は「怪物。化物。」の意味を有する平易な英語である。
そうすると、申立人商標は、「モンスター」の称呼及び「怪物。化物。」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と申立人商標との比較
本件商標「モンスターストライクスタジアム」と申立人商標「MONSTER」とは、「モンスターストライクスタジアム」は片仮名で表され、「MONSTER」は欧文字で表されていることから、外観において、明らかな差異がある。
また、本件商標から生ずる「モンスターストライクスタジアム」の称呼と申立人商標から生ずる「モンスター」の称呼とは、「ストライクスタジアム」の音の有無において、明らかな差異があるため、これらを一連に称呼するときは、それぞれを容易に聴別できるものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、申立人商標は、「怪物。化け物。」の観念を生じるものであるから、両商標は、観念において、相紛れるおそれがない。
そうすると、本件商標と申立人商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても明らかに異なるものといえるから、これらを同一又は類似の商品及び役務について使用する場合であっても、互いに誤認、混同するおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)申立対象役務と申立人商品との関連性について
申立対象役務は、教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動に関する役務であり、清涼飲料の一種である申立人商品は、その需要者層の一部が重複するとしても、申立対象役務の用途と申立人商品の用途、申立対象役務の提供場所と申立人商品の販売場所とに直接的な関連性はない。
また、申立対象役務の提供者と申立人商品の製造者も密接的な関連性を有するとはいえない。
(5)出所の混同のおそれについて
申立対象役務と申立人商品とは、その需要者層の一部が重複する場合があるとしても、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商標は、申立人商品を表示する商標として周知、著名とはいえず、また、上記(2)のとおり、独創性が高いものとはいえない上、上記(3)のとおり、本件商標とは、別異の商標であり、上記(4)のとおり、
申立対象役務の用途と申立人商品の用途、申立対象役務の提供場所と申立人商品の販売場所とに直接的な関連性はないことから、申立対象役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標を申立対象商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人商標を連想又は想起するとは考え難い。
そうすると、本件商標は、これを申立対象役務について使用しても、その取引者及び需要者をして、当該役務が申立人の業務に係る役務であると誤信させるおそれがある商標ではなく、また、当該役務が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る役務であると誤信させるおそれがある商標ともいえないから、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じるおそれがある商標ではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないところ、その商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない等、その出願経緯などに公序良俗に反するおそれがあることを具体的に示す証拠の提出もない。
その他、本件商標の登録が公序良俗を害するとすべき理由を見いだすことができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、申立対象役務について、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号のいずれにも該当せず、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2019-900019