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商標無効審判

2019-890054

ゴミサー、サー

審判番号
2019-890054
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2015-003819
登録番号
5769618
請求日
2019年09月20日
審決日
2021年06月09日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エスキー工機 株式会社
  • 【請求人代理人】齋藤 昭彦
  • 【請求人代理人】齋藤 博子
  • 【被請求人】株式会社 エイ・アイ・シー
  • 【被請求人代理人】錦織 淳
  • 【被請求人代理人】新阜 直茂
  • 【被請求人代理人】河野 誠
  • 【被請求人代理人】河野 生吾
  • 【被請求人代理人】楠 和也
審判長/審判官
  • 審判長 榎本 政実
  • 審判官 豊田 純一
  • 審判官 小俣 克巳
分類
T111 .22 -Y (W07) / T111 .25 -Y (W07) / T111 .271-Y (W07) / T111 .222-Y (W07)
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第4条第1項第10号、商標法第4条第1項第15号、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第1条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5769618号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5769618号商標(以下「本件商標」という。)は、「ゴミサー」の文字を標準文字で表してなり、平成27年1月19日に登録出願、第7類「生ゴミ処理機,液体肥料製造装置」を指定商品として、同年5月22日に登録査定、同年6月27日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する商標は、請求人が「生ゴミ処理機」について使用してきたとする「ゴミサー」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)である。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書及び審判事件弁駁書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第58号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 無効事由 本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。 2 請求の理由の要点 (1)業務用生ゴミ処理機の市場動向 業務用生ごみ処理機の市場規模は、食品リサイクル法が施行された2000年をピークに、2006年まで減少傾向が続き(甲7、甲8)、2007年から2017年まで生ごみ処理機の市場規模は横ばいの状態が続いている(甲9の1)。 ピーク時は生ごみ処理機の製造又は販売をする会社が国内に400ないし500社あるといわれてきたが、現在は大手電機メーカーが撤退し、中小メーカーが数えるほどしか残っていない(甲10)。 有力メーカーの累計納入台数は、1990年1月から2006年11月末時点において推計17,476台である(甲8)。2006年4月から11月の8か月間が610台であり(甲8)、2007年以降は横ばいの状態であることから(甲9の1)、月間納入台数を76台と仮定すると、2006年12月から2019年7月の152か月間の納入台数は、11,552台である。 したがって、市場全体の累計納入台数は、29,028台となり、30,000台程度と推計できる。 インターネット等で公表されている各社の販売実績を収集し、分析したところ、請求人によって開発された生ゴミ処理機「ゴミサー」は、発売当初から現在まで請求人によって製造され、請求人又はその販売代理店によって販売されているものであり、累計販売台数は、業界トップである。 なお、株式会社フロム工業(以下「フロム工業社」という。)の商品「業務用ディスポーザ・厨芥処理機」は、調理用の流し台の下部に接続している排水設備に直接取り付ける生ゴミ粉砕機(=ディスポーザ)であり、請求人が販売する生ゴミ処理機とは機能や用途が異なる製品である。 また、株式会社テクノウェーブ(以下「テクノウェーブ社」という。)は、2002年10月頃まで請求人が製造する生ごみ処理機を販売しており、テクノウェーブ社の「イーキューフ」に関する累積販売実績は、請求人が製造する生ごみ処理機に関する販売実績も含まれている。 (2)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、請求人が採択し使用している商標を、請求人と取引関係にある被請求人が不正の目的をもって、剽窃的に登録出願し登録したものであることは明白であって、被請求人による当該登録出願は、その経緯及び目的が社会的妥当性を欠くものであり、よって、本件商標は、商標法の精神に反し公正な秩序を乱すものであるから、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 ア 請求人について (ア)会社沿革 請求人の代表取締役は、昭和42年(1967年)に請求人の前身である「遠藤鉄工」を創業し、昭和60年(1985年)に株式会社に改組し、社名を「エスキー工機株式会社」とした(甲19)。 (イ)生ゴミ処理機の開発及び販売 平成2年(1990年)に生ゴミ処理機の開発を開始し、同4年(1992年)に生ゴミ処理機「ゴミサー」を製品化した(甲19)。 平成6年(1994年)度から山形県酒田市の小学校で導入が始まり、同9年(1997年)5月18日時点での累計販売実績は約370台となった(甲20)。 平成8年(1996年)に熊本ワシントンホテルに導入され、その後、ワシントンホテルチェーンが運営するホテルに順次導入された(甲21)。 平成11年(1999年)に累計販売実績が1,000台を突破し(甲19)、同17年(2005年)に累計販売実績が2,000台を超えた(甲4)。 令和元年(2019年)9月12日時点の累計販売実績は2,877台である(甲11)。 累計販売実績の第2位は、1,400台のフロム工業社である。 そうすると、遅くとも累計販売実績が2,000台を超えた平成17年(2005年)の時点から現在まで、生ゴミ処理機「ゴミサー」は、累計販売実績において業界トップを維持している。 (ウ)生ゴミ処理機に関する受賞歴 平成6年(1994年)に酒田市の新田産業振興基金を基にした奨励賞を受賞し(甲22)、同8年(1996年)に第21回発明大賞の考案功労賞を受賞した(甲23)。 平成12年(2000年)に山形県の環境やまがた大賞を環境技術研究開発分野で受賞した(甲24)。 (エ)生ゴミ処理機に関する知的財産権取得実績 平成5年(1993年)に請求人の代表取締役が引用商標「ゴミサー」の商標登録出願を行い、同11年(1999年)に登録された(甲2)。 その後、更新の手続きがされず、平成21年(2009年)6月18日に存続期間満了となり抹消された(甲25)。 平成5年(1993年)から同14年(2003年)まで請求人の代表取締役が生ごみ処理機に関する12件の特許出願を行い、同12年(2001年)に1件、同13年(2002年)に1件が登録され、更に、変更出願による意匠出願が同14年(2003年)に1件登録された(甲26~甲38)。 平成11年(1999年)に請求人の代表取締役が生ごみ処理機に関する1件の米国特許出願を行い、同12年(2000年)に登録された(甲38)。 イ 請求人が使用する商標について 請求人の代表取締役は、平成5年(1993年)に、指定商品「生ゴミ処理機」について、普通に用いられる方法で表示される引用商標「ゴミサー」の登録出願を行い、平成11年(1999年)に登録を受けている(甲2)。 請求人は、平成4年から現在まで継続して、片仮名「ゴミサー」を普通に用いられる方法で表示される引用商標(甲3、甲6の2)のラベルを付した生ごみ処理機の製造及び販売を行っている。生ごみ処理機本体の前面に付されるラベルは、緑字に大きく「ゴミサー」の文字と、「ゴミサー」よりも小さい「生ゴミ処理・消滅装置」の文字を白抜きで表したものである(甲6の1) 。 ウ 請求人と被請求人との関係について 被請求人によって配布されたパンフレット(甲40)や、被請求人によって公開されたウェブページ(甲41~甲43) に記載のとおり、被請求人が宣伝する生ごみ処理機「ゴミサー」は、請求人が製造元であり、被請求人は販売代理店である。 請求人は、顧客から生ごみ処理機「ゴミサー」を受注すると、請求人に「ゴミサー商談確認書/発注書」をFAXで送信し、請求人に製造及び配送を依頼する(甲44)。これに対して、請求人は、生ごみ処理機本体の前面に「ゴミサー」と「生ゴミ処理・消滅装置」の文字を含むラベル(甲6の1)を付し、指定された場所に配送する。被請求人は、平成8年(1996年)2月7日から令和元年(2019年)5月7日まで、請求人が製造する生ごみ処理機「ゴミサー」を販売し、累計販売実績は945台である(甲45)。請求人は、被請求人の他にも、多くの販売代理店(例えば、「帝人グループのエヌアイ帝人商事(大阪市中央区)」(甲4)や「アーク(新潟県大津市)」(甲19) を有するとともに、自らも直接販売を行っている。請求人が製造する生ごみ処理機「ゴミサー」の全累計販売実績は2,877台であるから(甲11) 、被請求人は、32.8%を販売しているにすぎない。 エ 被請求人の引用商標に関する認識について 被請求人は、パンフレット(甲40)やウェブページ(甲43)において、請求人が製造する生ごみ処理機「ゴミサー」の累計販売実績が業界一位であることを自認しており、引用商標「ゴミサー」の周知著名性を認識しているどころか、その周知著名性を自らの販売活動で利用している。 仮に、被請求人が「ゴミサー」を自らの商標と認識していたと主張する場合、被請求人の販売実績は945台しかないのであるから、被請求人のパンフレット(甲40)に記載されている「ゴミサーは全国2000台以上稼働中。」や、被請求人のウェブページ(甲43)に記載されている「ゴミサーは、発売から約25年、その処理方法・性能が認められ、おかげ様で保育園、老人ホーム、病院、食品工場、ホテル、官公庁、ファミレス、船舶、など全国、海外で約2,500台以上が稼動しています。」という文章における販売実績と整合性がない。 したがって、仮に、被請求人から「ゴミサー」を自らの商標と認識していたという主張がなされたとしても、その主張は、請求人が否定するまでもなく、自らが作成したパンフレット(甲40)やウェブページ(甲43)によって否定されるものである。 オ 被請求人の悪意について 被請求人は、平成27年(2015年)1月19日に本件商標を登録出願し、同年6月5日に登録を受けているところ(甲1)、請求人に対して、登録出願前に本件商標の登録出願を相談したり、登録出願後に本件商標の登録出願の経緯を説明したりするどころか、登録出願時から現在まで本件商標に関して一切連絡がなく、本件商標の登録を受けたことを請求人に秘匿している。 被請求人は、平成31年(2019年)3月12日から同月15日まで東京ビックサイトにて開催された「2019NEW環境展」に生ごみ処理機「ゴミサー」を出展し(甲46、甲47) 、パンフレット(甲40)を配布しているところ、その展示場において、被請求人の代表取締役は、請求人の代表取締役に対して、生ごみ処理機を他社に製造委託している旨を述べた(甲48)。 請求人の代表取締役は、令和元年(2019年)5月8日に被請求人の代表取締役の携帯電話及び被請求人の事務所に電話したが、被請求人の代表取締役が電話に出ることはなかった(甲48)。さらに、請求人の代表取締役は、令和元年(2019年)5月10日に被請求人の代表取締役あてに電子メールを送信し、生ごみ処理機を他社に製造委託するなら、引用商標「ゴミサー」の使用を許可しないことを伝え、令和元年(2019年)6月1日までにカタログやウェブページから「ゴミサー」の文字を抹消することを求めたが(甲48)、何ら返信がなかった。 請求人の代表取締役は、その後も何度となく被請求人の代表取締役に連絡や接触を試みたが、被請求人の代表取締役等から誠実な対応がなされなかったので令和元年(2019年)6月10日に被請求人の代表取締役あてに電子メールを送信し、その電子メールに添付の「今後の取引に関した提案書」の承諾を求め、承諾後に契約書とすることを伝えたが(甲49、甲50)、これに対しても何ら返信がなかった。 なお、「今後の取引に関した提案書」には、「甲(被請求人)は、商標名ゴミサーを、乙(請求人)に譲る」と記載されている(甲50)。これは、被請求人が無断で登録した本件商標に係る権利を請求人に譲渡することを包含するものである。 請求人は、令和元年(2019年)5月7日納入分を最後として(甲45)、被請求人を販売代理店とした生ごみ処理機「ゴミサー」の販売を見合わせている。 以上のとおり、被請求人は、請求人に無断で本件商標を登録出願し、登録を受けたのみならず、生ごみ処理機を他社に製造委託している旨を請求人に伝えた後は、請求人からの接触や連絡に対して不誠実な対応に終始している。 このような被請求人の対応は、他社に製造委託している生ごみ処理機の販売に目途が立つまでの時間稼ぎ、及び本件商標の登録日から5年が経過し、本件商標に関する一部の無効理由の除斥期間が経過するまでの時間稼ぎと強く推測される。 カ 商標法第4条第1項第7号該当性について 請求人は、平成4年(1992年)に製品化してから現在までの27年間という長期間にわたって継続的に、引用商標「ゴミサー」が付された生ゴミ処理機の製造及び販売を行い、遅くとも累計販売実績が2,000台を超えた平成17年(2005年)の時点から現在まで、累計販売実績において業界トップを維持している。 また、本件商標の登録出願日前までに、請求人は、生ごみ処理機「ゴミサー」について多数の受賞歴があり、本件商標の登録出願日前までに、請求人の代表取締役は、生ゴミ処理機「ゴミサー」に関する多数の知的財産権取得実績がある。 したがって、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日前から現在まで、請求人の業務に係る商品「生ごみ処理機」を表示するものとして、当該商品を取り扱う分野における取引者、需要者において、周知著名性をもって認識されていた。 そして、本件商標は、片仮名「ゴミサー」の標準文字であるから(甲1の1)、片仮名「ゴミサー」を普通に用いられる方法で表示される引用商標(甲2~甲6の2)と同一又は類似の商標であることは明らかである。 ところで、被請求人は、平成8年(1996年)から令和元年(2019年)5月7日まで、「株式会社エイ・アイ・シー」の商号をもって請求人の製品である生ごみ処理機「ゴミサー」の取次販売をしていた。 そうすると、本件商標を登録出願した平成27年(2015年)1月19日当時、引用商標が請求人の使用する商標として周知著名性を獲得していたことを被請求人が認識していたと強く推測されること、本件商標の登録出願を行うに際して請求人から承諾を得て承諾書を作成するなどの慎重な行動をするどころか、登録出願時から現在まで本件商標に関して一切連絡がないこと、生ごみ処理機を他社に製造委託している旨を請求人に伝えた後は、請求人からの接触や連絡に対して不誠実な対応に終始していることなどを総合すると、被請求人の本件商標の登録出願は、請求人の代表取締役が引用商標に係る商標権の更新登録を行わず、平成21年(2009年)6月18日に存続期間満了となり抹消され、その後も請求人が引用商標の商標登録をしていないことを奇貨として、従来から取引関係にある生ごみ処理機の取引において、不正に有利な立場を確保することを目的としてなされたと解され、剽窃したものといわざるを得ない。 甲第10号証によれば、現在の業務用生ごみ処理機の市場の一部は、15年ないし20年前に購入し、修理部品の入手困難や製品寿命のため買い替えを検討するユーザが担っている。一般に、業務用機械の買い替えにおいては、心理的及び金銭的なスイッチングコストを考慮し、他社に切り替えるよりも、同じ会社の製品を購入する傾向にあると考えられる。 そうすると、27年前から現在も継続して販売し、販売実績がトップクラスである請求人の生ごみ処理機「ゴミサー」は、製品寿命のための買い替え需要を最も取り込み易いことから、被請求人は、その買い替え需要を不正に独占するため、請求人以外の他社に生ごみ処理機を製造委託し、業界トップブランドである引用商標「ゴミサー」を横取りしようとしたと強く推測される。 したがって、本件商標の登録出願の経緯には、著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、公正な協業秩序を害するものであって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。 (3)商標法第4条第1項第10号について ア 引用商標の周知著名性について (ア)使用に係る商標及び商品について 請求人の使用に係る引用商標は、「ゴミサー」の文字を普通に用いられる方法で表示されるものであり、請求人の使用に係る商品は「生ごみ処理機」である。 (イ)使用開始時期について 請求人は、平成4年(1992年)に生ごみ処理機「ゴミサー」を製品化し、同時期に引用商標の使用を開始している。 (ウ)使用期間について 請求人は、平成4年(1992年)頃から引用商標の使用を開始し、現在まで約27年間継続して使用している。 (エ)使用地域について 請求人は、北海道から沖縄までの全都道府県において、引用商標が付された生ごみ処理機「ゴミサー」を販売している。 (オ)販売実績について 遅くとも累計販売実績が2,000台を超えた平成17年(2005年)の時点から現在まで、累計販売実績において業界トップを維持している。 (カ)広告宣伝の方法・回数について 生ごみ処理機「ゴミサー」は、地元紙のみならず、全国紙においても何度も記事になっている。特に、平成8年(1996年)に熊本ワシントンホテルに導入された頃から、新聞、雑誌、テレビなどの取材を数多く受けている。 また、酒田市の新田産業振興基金を基にした奨励賞、第21回発明大賞の考案功労賞、山形県の環境やまがた大賞を受賞している。 さらに、甲第5号証や甲第40号証のように、自社や販売代理店によって配布されるパンフレットや、甲第42号証や甲第43号証のように、自社や販売代理店によって公開されるウェブページによって、生ごみ処理機「ゴミサー」の広告宣伝が行われている。 (キ)業務用生ごみ処理機の取引形態の特殊性 甲第8号証の表3「需要部門別納入台数」によれば、業務用生ごみ処理機の主な販売先は、「学校」、「学校給食センター」、「幼稚園・保育園」、「病院」、「福祉施設」、「市場」、「外食産業」、「ホテル」、「スーパーマーケット・百貨店」、「コンビニエンスストア」、「オフィスビル」、「製造業(社員食堂)」、「食品工場」、「県庁舎など」、「自衛隊」、「廃棄物処理業者」及び「ゴルフ場」などであり、横のつながりが強い教育機関、医療機関及び行政機関などの公共機関や、フランチャイズを中心に店舗や施設を展開する業界がほとんどである。 そして、公共機関やフランチャイズを中心とする業界では、過去の実績が最も重要な宣伝文句である。これは、被請求人が作成したパンフレット(甲40)やウェブページ(甲43) においても裏付けられる。 また、現在の業務用生ごみ処理機の市場の一部は、15年ないし20年前に購入し、修理部品の入手困難や製品寿命のため買い替えを検討するユーザが担っているところ、27年前から現在も継続して販売し、販売実績がトップクラスである請求人の生ごみ処理機「ゴミサー」は、製品寿命のための買い替え需要を最も取り込み易い。 以上の業務用生ごみ処理機の取引形態の特殊性から、業界トップの累計販売実績を持つ「ゴミサー」は、広告宣伝に費用をかけなくても、既存顧客に対して誠実な対応を継続することによって、業界トップブランドとしての認知度を維持できると考えられる。 (ク)小括 以上を総合的に勘案すれば、引用商標は、本件商標の登録出願日前に、既に取引者、需要者間において周知著名となっており、その状態は、本件商標の登録査定時及び現在においても継続している。 イ 本件商標と引用商標の類否 本件商標は、「ゴミサー」の標準文字であるから(甲1の1)、普通に用いられる方法で表示された引用商標「ゴミサー」(甲2~甲6の2)と同一又は類似の商標である。 ウ 本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品との類否 本件商標の指定商品、第7類「生ゴミ処理機、液体肥料製造装置」(甲1の1)中、「生ゴミ処理機」は、引用商標の使用に係る商品「生ごみ処理機」(以下「使用商品」という。)と同一である。 エ 商標法第4条第1項第10号の該当性について 以上から、本件商標は、その登録出願前に周知著名となっていた引用商標と同一又は類似の商標であり、本件商標の指定商品中、「生ゴミ処理機」については、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第15号について 本件商標は、本件商標の指定商品中、「液体肥料製造装置」について、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。 ア 本件商標と引用商標の類似性の程度 本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であり、本件商標と引用商標の類似性は極めて高い。 イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度 引用商標は、本件商標の登録出願前から現在まで、「生ゴミ処理機」について請求人の業務に係る商品を表示するものとして周知著名性を獲得している。 また、「ゴミサー」は、請求人によって考案された造語であり、独創性が高い。 ウ 商品の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性 甲第7号証によれば、業務用生ごみ処理機の処理型式は、「バイオ式1 コンポスト型」、「バイオ式2 減容・消滅型A(無排水式)」、「バイオ式3 減容・消滅型B (排水処理式)」、「乾燥式」の4つに分類できる。 このうち、「バイオ式1 コンポスト型」は、生ごみの減容・減量化よりも肥料や飼料の製造を主目的とするものであるから、「肥料製造装置」でもある。 また、「バイオ式2 減容・消滅型A(無排水式)」においても、取り出した残さなどを堆肥などにリサイクルするケースもあることから、「肥料製造装置」も一緒に使用されることが考えられる。 このように、本件商標の指定商品「液体肥料製造装置」と、使用商品は、性質、用途又は目的において密接に関連する。 また、「バイオ式1 コンポスト型」は「肥料製造装置」でもあり、「バイオ式2 減容・消滅型A(無排水式)」は「肥料製造装置」と一緒に使用されることから、本件商標の指定商品「液体肥料製造装置」と、使用商品は、取引者及び需要者が共通する。 エ 商標法第4条第1項第15号の該当性について 以上に照らし、「液体肥料製造装置」の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、「液体肥料製造装置」について、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第19号について 引用商標は、本件商標の登録出願前から現在まで、「生ゴミ処理機」について請求人の業務に係る商品を表示するものとして周知著名性を獲得している。 また、被請求人の本件商標の登録出願は、請求人が引用商標の商標登録をしていないことを奇貨として、従来から取引関係にある生ごみ処理機の取引において、不正に有利な立場を確保することを目的としてなされたと解され、剽窃したものである。 特に、被請求人は、製品寿命のための買い替え需要を不正に独占するため、請求人以外の他社に生ごみ処理機を製造委託し、業界トップブランドである引用商標「ゴミサー」を横取りしようとしたと強く推測されるものである。 したがって、本件商標は、被請求人が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものであり、仮に本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しないとしても、同項第19号に該当する。 4 答弁に対する弁駁における主張 (1)答弁書における求釈明について 被請求人は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号の適用について釈明を求めているので、これについて釈明する。 本件において、引用商標(甲2~甲6の2) の使用商品と本件商標(甲1) の指定商品「液体肥料製造装置」が非類似と判断された場合、本件商標の指定商品「生ゴミ処理機」については、商標法第4条第1項第10号が適用され、本件商標の指定商品「液体肥料製造装置」については、同項第15号が適用され得る。 また、本件において、引用商標の使用商品と本件商標の指定商品「液体肥料製造装置」が類似と判断された場合であっても、本件商標の指定商品「生ゴミ処理機」については、商標法第4条第1項第10号が適用され、本件商標の指定商品「液体肥料製造装置」については、同項第10号の適用に加えて予備的に同第15号が適用され得る。 このような事例として、例えば、無効2018-890096の審決(甲51) が挙げられる。 また、本件において、商標法第4条第1項第19号における不正の目的が認められた場合、同項第10号や同項第15号とともに、又は予備的に同項第19号の両方が適用され得る。 このような事例として、例えば、無効2019-890021の審決(甲52)が挙げられる。 したがって、本件において、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号の適用を主張する余地は、十二分に存在する。 なお、仮に、被請求人が、「本件で問題となっている『ゴミサー』なる商品は、被請求人がこれを販売するにあたり、『生ごみ処理機』としての用途と『肥料製造装置』としての用途を併用するものとして商品説明を行っている」ことを根拠として、商品「生ごみ処理機」と商品「液体肥料製造装置」が類似すると主張しているのであれば、この主張については争わない。 (2)答弁書における被請求人の主張に対する反論 ア 商標法第4条第1項第7号の該当性について (ア)本件商標の登録出願及び登録の経緯 被請求人は、本件商標の登録出願に際し、自らが出願人(のちの権利者)となり本件商標を登録する旨を請求人代表者に告知したと主張しているが、そのような事実はない。 また、請求人は、被請求人が出願人(のちの権利者)となる本件商標の登録出願及び登録について、明示的にも暗黙的にも容認していない。 さらに、本件商標の登録出願時から本件の審判請求に至るまで、本件商標に関して被請求人から一切連絡がない。 (イ)被請求人による本件商標の登録出願及び登録の目的 答弁書において、被請求人は、被請求人の代表者が、請求人の代表者に対して、「商標登録がないままでは、販売代理店である私どもはとても不安。お客様としても不安。なんとかしてほしい。」と強く抗議・要請したと述べている。 また、被請求人は、被請求人の代表者が、「今後も当社が安定した取引を顧客との間で続けていくためには、うち(被請求人)で本件『ゴミサー』を商標登録する」と苦渋の決断をしたとも述べている。 仮に、被請求人による本件商標の登録出願及び登録の目的が、本件商標に係る取引者及び需要者のために、商標「ゴミサー」について第三者による登録を防止するためであったのであれば、被請求人は、請求人から譲渡の申し出を含む提案書(甲49、甲50)の提示があった時に話し合いに応じ、請求人に本件商標を譲渡する代わりに、本件商標の登録出願及び登録に要した費用の支払いを請求人に要求すれば足りるはずであり、被請求人が本件商標の権利者の地位を維持することに固執する理由はないはずである。 ところが、被請求人は、話し合いに応じないばかりか、同種製品を開発・製造していた請求外テクノウェーブ社に「ゴミサー」の商標を付した生ゴミ処理機の製造を委託したというのである。請求人が製造し、「ゴミサー」の商標を付した生ごみ処理機を20数年の長きにわたり販売していた被請求人が、第三者が製造する生ゴミ処理機に「ゴミサー」の商標を付して販売すれば、取引者及び需要者において確実に出所の混同が生じる。商標は、商品の出所を表示する出所表示機能、品質を保証する品質保証機能及び広告宣伝機能を有しているところ、本件の生ゴミ製造機のように、一般消費者向けではなく、製品寿命も長い業務用機械の取引者及び需要者は、製品の品質を最も重視するため、出所の混同を生じさせることによって出所表示機能を阻害し、ひいては品質保証機能を阻害することは、取引者及び需要者に多大な不利益を生じさせることが明らかである。 以上によれば、あたかも本件商標に係る取引者及び需要者のために本件商標の登録出願及び登録を行ったという被請求人の説明は、被請求人の実際の言動と明らかに矛盾しており、不自然・不合理なものというべきである。 (ウ)被請求人による商標「ゴミサー」に係る出所の混同を生じさせる行為 請求人は、令和元年(2019年)5月7日納入分を最後として(甲45)、被請求人を販売代理店とした生ごみ処理機「ゴミサー」の販売を見合わせている。被請求人も、答弁書において、これを認めている。 しかしながら、被請求人は、被請求人が運営し、生ごみ処理機「ゴミサー」を宣伝するウェブページにおいて、令和元年(2019年)5月7日から現在に至るまで、生ごみ処理機「ゴミサー」の製造元が請求人であることを明記したままであることに加えて、生ゴミ製造機の製造を委託したという請求外テクノウェーブ社の名称については一切掲載していない(甲41~甲43、甲53~甲55)。 また、これらのウェブページに掲載されている生ゴミ処理機の写真は、全て請求人が製造した生ゴミ処理機「ゴミサー」を撮影したものである。 さらに、被請求人は、被請求人によって運営されている動画共有サービス「Youtube」(登録商標)のチャンネルにおいて、本件の審判請求書副本が被請求人に送達された後の令和元年(2019年)11月5日を公開日とし、請求人が製造した生ゴミ処理機「ゴミサー」(型式G35)の紹介動画を公開している(甲56)。そうすると、このウェブページや動画を閲覧した取引者や需要者は、同年5月7日から現在に至るまで、被請求人が販売する生ゴミ処理機「ゴミサー」の製造元が請求人であると誤認することは自明であり、被請求人は故意に出所の混同を生じさせている。 このように被請求人が出所の混同を生じさせる理由は、業界トップブランドである引用商標「ゴミサー」に化体した信用及び顧客吸引力に便乗して不正な利益を得るためと強く推測される。 そして、被請求人は、令和元年(2019年)5月7日から現在までの間に、生ゴミ処理機「ゴミサー」を実際に販売している(甲57、甲58)。 甲第57号証には、請求人は、令和元年(2019年)10月に、業務用生ごみ処理機を、福岡県、奈良県、三重県、群馬県及び東京都で設置したと記載されている。 また、甲第58号証には、令和元年(2019年)12月に、業務用生ごみ処理機を、飲食店、社員食堂及びスーパーで先月設置したと記載され、甲第58号証には、堆肥型、乾燥型からの買い替え注文も多く頂いていると記載されている。 そうすると、被請求人は、生ごみ処理機の買い替え需要を不正に独占するため、請求人以外の他社、すなわち請求外テクノウェーブ社に生ごみ処理機を製造委託し、業界トップブランドである引用商標「ゴミサー」を不正に使用して出所の混同を生じさせ、不正な利益を上げているといわざるを得ない。 (エ)まとめ 上記(ア)ないし(ウ)と被請求人の答弁書における主張を総合的に勘案すると、被請求人による本件商標の登録出願及び登録は、近い将来、被請求人の販売代理店という関係の解消を考えていた請求人が、業界トップブランドである引用商標「ゴミサー」に係る商標権を自ら取得しておき、被請求人との関係の解消後、引用商標「ゴミサー」に化体した信用及び顧客吸引力に便乗して不正な利益を得ることを正当化するために行われたものということができる。 そして、被請求人は、現実に、請求外テクノウェーブ社が製造した生ごみ処理機に商標「ゴミサー」を付して販売し、出所の混同を生じさせ、不正な利益を上げている。 このような被請求人の目的と経緯に鑑みれば、被請求人による本件商標の登録出願及び登録は、請求人が製造する生ごみ処理機の販売代理店という立場における信義則違反となるのみならず、生ごみ処理機に係る取引者及び需要者の利益を害するものであって、適正な商道徳に反し、著しく社会的妥当性を欠く行為である。 そして、被請求人を権利者とする本件商標に係る商標権の維持を認めることは、公正な取引秩序の維持の観点からみても不相当であって、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」という商標法の目的(商標法第1条)にも反する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当する。 イ 商標法第4条第1項第10号の該当性について (ア)商品「生ごみ処理機」と商品「肥料製造装置」の類似性 被請求人が、商品「生ごみ処理機」と商品「肥料製造装置」が類似すると主張するのであれば、この主張については争わない。 (イ)各社の年間販売台数の推移 被請求人は、乙第2号証に基づいて、2007年ないし2019年の年間販売台数が平均60台であると主張している。 実際には、請求人の生ごみ処理機「ゴミサー」の年間販売台数は、2007年ないし2012年では60台未満の年がほとんどであり、2013年以降では70台以上であるものの、被請求人が主張する台数は、概数としては大きな誤りではないと認める。 そして、請求外テクノウェーブ社の販売台数は、2013年が12台、2014年が15台、2015年が11台、2016年が9台、2017年が18台となっており、請求外スターエンジニアリング株式会社(以下「スターエンジニアリング社」という。)の販売台数は、2013年が6台、2014年が12台、2015年が12台、2016年が13台、2017年が13台である。 審判請求書の表1には、請求外テクノウェーブ社や請求外スターエンジニアリング社以外にも企業が掲載されているが、請求外フロム工業社の商品「業務用ディスポーザ・厨芥処理機」は、請求人が販売する生ごみ処理機とは機能や用途が異なり、請求外日立ホーム&ライフソリューション株式会社は2004年に製造・販売を終了しているため、いずれも近年の年間販売台数を比較する対象として適当ではない。 また、請求外SINKA・JAPAN株式会社の年間販売台数については詳細な情報がないが、累積販売実績から推測すると、多くとも請求外テクノウェーブ社の年間販売台数と同程度と推測できる。 そうすると、請求人以外の競合他社は、本件商標が登録出願された前々年の平成25年(2013年)から、販売台数が比較可能な平成29年(2017年)までの間において、多くとも年間20台程度しか販売していないのに対し、請求人は、被請求人が主張する販売台数によって比較したとしても、競合他社の3倍を販売していることになる。 (ウ)まとめ 以上によれば、請求人の生ごみ処理機「ゴミサー」の販売実績は、審判請求書の表1に示すように、累計販売台数において競合他社を圧倒しているのみならず、少なくとも本件商標が登録出願された前々年以降の年間販売台数においても競合他社を圧倒している。 さらに、甲第11号証及び乙第1号証の「県別納入台数表」に示すとおり、請求人の生ごみ処理機「ゴミサー」は、北海道から沖縄までの全都道府県において販売されている。 したがって、引用商標は、本件商標の登録出願前から現在まで、請求人の業務に係る商品「生ごみ処理機」を表示するものとして周知著名性を獲得している商標である。 また、本件商標と引用商標は同一又は類似の商標であることは自明である。 そうすると、本件商標は、本件商標の指定商品のうちの「生ゴミ処理機」について商標法第4条第1項第10号に該当する。 また、商品「生ごみ処理機」と商品「液体肥料製造装置」が類似であれば、本件商標は、本件商標の指定商品のうちの「液体肥料製造装置」についても商標法第4条第1項第10号に該当する。 ウ 商標法第4条第1項第15号の該当性について 引用商標は、本件商標の登録出願前から現在まで、請求人の業務に係る商品「生ごみ処理機」を表示するものとして周知著名性を獲得している商標である。 また、本件商標と引用商標とは同一又は類似の商標であることは自明である。「ゴミサー」は、請求人によって考案された造語であり、引用商標は独創性が高い。被請求人も主張するとおり、同一の装置で「生ごみ処理機」と「肥料製造装置」の両方の用途を併用できるのであるから、商品「生ごみ処理機」と商品「液体肥料製造装置」の関連性は非常に高い。 さらに、被請求人は、現実に商標「ゴミサー」について出所の混同を生じさせている。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 エ 商標法第4条第1項第19号の該当性について 引用商標は、本件商標の登録出願前から現在まで、請求人の業務に係る商品「生ごみ処理機」を表示するものとして周知著名性を獲得している商標である。 また、本件商標と引用商標とは同一又は類似の商標であることは自明である。 さらに、被請求人は、現実に本件商標「ゴミサー」を不正の利益を得る目的をもって使用している。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 5 結論 以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当する。 第4 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第29号証を提出した。 1 請求人の主張についての求釈明 (1)商標法第4条第1項第15号の法条適用について 本号では、「第10号から前号までに掲げるものを除く」と規定され,一般にこの号を適用するにあたっては,商標の同一ないし類似性と、使用商品の同一ないし類似性とがともに存する場合は除くものと解されている。 この点、請求人は「生ごみ処理機」の用途以外にも「肥料製造装置」として用いられることを根拠にこの号の適用を正当化しようとしていると思われる。 しかしながら、本件で問題となっている「ゴミサー」なる商品は、被請求人がこれを販売するにあたり、「生ごみ処理機」としての用途と「肥料製造装置」としての用途を併用するものとして商品説明を行っている。 したがって、本件においては、予備的にせよ、同号の適用を主張する余地はない。 (2)商標法第4条第1項第19号の主張について 本号についても「前各号に掲げるものを除く」と規定されており、同一又は類似商標であって、かつ同一又は類似商品についての使用が問題となる本件については、予備的にせよ、本号もまた適用を論ずる余地がない。 2 周知著名性について (1)請求人と被請求人の取引開始経緯 ア 取引開始の経緯 請求人により「ゴミサー」の製造・販売が開始された当初の頃は、たとえ山形県ないし庄内地域に限られていたにせよ、一定程度将来性が期待されていたことは事実である。 そのため、被請求人も本件「ゴミサー」に注目し、平成8年(1996年)初めから請求人の製造する「ゴミサー」の販売代理店としてこれを販売するに至ったものである(乙4)。 イ 本件「ゴミサー」の販売体制と売上推移 被請求人が本件「ゴミサー」の販売を開始したころから約10年間程度は、被請求人以外の販売代理店が他にも相当程度存在していた。 ところが、平成11年(1999年)の年間販売台数281台をピークに、本件「ゴミサー」の販売数は次第に減少していった(乙1、乙2)。 その原因は必ずしも明確ではないが、他にも同種製品が多数開発され、競争力を次第に失っていたこと、請求人の経営状態が絶えず破綻状態にあり、販売代理店との関係が悪化していったこと等が原因であったと推測される。 (2)請求人は、被請求人の信用供与(融資)と販売能力に全面的に依存することにより企業としての存続が可能であったこと ア 被請求人のたび重なる信用供与(融資)について 請求人は、被請求人との販売代理店取引を開始してしばらく経過した平成16年(2004年)頃から、売り上げが次第に減少していったためか資金繰りに窮し、しばしば被請求人に資金的支援を求めるようになった(乙6)。 その方法は、商品代金の前払いの要求、直接的な融資(貸金)の無心などであった(乙6、乙7)。 そして、このようなことが長期にわたって続いた(乙7~乙26)。 被請求人は、本件「ゴミサー」の将来性に期待し、請求人との取引を開始したことでもあり、このような理不尽な「無心」にもやむを得ず応じてきた。 イ この10年間余はほとんど被請求人のみが本件「ゴミサー」を一手に販売していること 本件「ゴミサー」の販売は平成11年(1999年)の281台をピークに次第に減少し、平成18年(2006年)にはかろうじて100台を販売するにとどまったのである。 そのため、平成19年(2007年)から10数年余にわたって、被請求人が本件「ゴミサー」を一手に販売する体制へと移行したのである。かかる経緯をまず端的に示すのが請求人自身の手によって作成された乙第1号証である。 この1頁目には、請求人による本件「ゴミサー」の販売が急速に落ち込み、被請求人の販売体制に全面的に依存するようになっていった経緯が、折れ線グラフによって赤裸々に示されている。 また、請求人と被請求人の販売代理店契約が解消されるに至った平成31年(2019年)初めに至るまでの売上実績の推移を示す乙第2号証によっても、このことが明瞭に読み取れる。 ウ 被請求人による新たな販路の確保について このように、請求人は、この10年間余り、従前存した被請求人以外の販売代理店がことごとく離反・離脱する一方、他方で自らの力によっては全くといってよいほど本件「ゴミサー」を販売することが出来なかった。 被請求人は、請求人との販売代理店契約を結んで以降、20数年の長きにわたり、一貫して本件「ゴミサー」の販路拡大に尽力してきた。 本件審判請求書に記載されている「学校給食センター」及び「幼稚園・保育園」等とは、全て被請求人の関係先ないしその縁故を通じて新たに拡大された販路である。 乙第5号証にわざわざ「私立保育園向けの販売においては、株式会社エイ・アイ・シーが販売元として、販売を行っています。」と特記されているのは、かかる経緯によるものである。 エ 周知著名性の欠如 このように、請求人が本件「ゴミサー」を開発・製造し始めた当初の頃は、請求人の地元である庄内地方や山形県内においてそれなりに将来性を期待されていたとはいうものの、その後まもなく売上は次第に減少し、かつ低迷していったのである。 今日に至るまで、年間60台の販売台数をかろうじて維持できたのは、ひとえに被請求人の能力とそれを駆使した被請求人の営業努力の賜物である。 したがって、本件「ゴミサー」は商標法第4条第1項第10号の要求するような「周知著名性」を有するなどとはいえない。 なお、本件については、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号について論ずる余地はない。 3 公序良俗違反について (1)請求人による本件商標の更新手続の懈怠 請求人が自認するように、本件商標は、請求人がその更新手続きを怠ったため、平成21年(2009年)6月18日に存続期間満了により抹消された。 被請求人は、このことを請求人によって全く知らされていなかったため、この事実を知らなかった。 (2)本件商標の登録抹消を被請求人が知った経緯 平成25年ないし同26年頃、被請求人の得意先・販売先である請求外「株式会社はなふさ」の代表者から被請求人に対し、何故か「『ゴミサー』の商標登録はなされているのか?」との問い合わせがあった。 被請求人は、当然のことながら「商標登録されているはず」と即座に回答した。 ところが、同氏は、「実は登録されていない」と指摘した。 (3)登録抹消をめぐる請求人と被請求人のやり取り 驚愕した被請求人の代表者は、直ちに請求人代表者に対し、「商標登録の更新をしていないんですよネ」、「そんなひどい話はあり得ないこと」と強く抗議するとともに、「直ちに商標登録するよう」に求めた。 ところが、請求人の代表者は、これに対し、「わかっているけどお金がない」、「今、会社はとても苦しい」及び「そういう(商標登録の)必要性はない」などと述べた。あまりの対応に、被請求人の代表者は、「商標登録がないままでは、販売代理店である私どもはとても不安。お客様としても不安。なんとかしてほしい。」と強く抗議・要請した。 すると、請求人の代表者は、「そんなことあなたには関係ない」、「あなたにそんなこと言われる必要性はない」などと主張したのである。 (4)被請求人はやむを得ず自ら本件「ゴミサー」を商標登録 このように、請求人の代表者が不誠実な対応をとったため、被請求人の代表者は請求人の代表者に対し「これでは私どもの商売がやっていけない」、「今後も当社が安定した取引を顧客との間で続けていくためには、うち(被請求人)で本件『ゴミサー』を商標登録する」と苦渋の決断をし、その旨を請求人の代表者に告知した。 他方で、生ごみ処理機の市場においては、新たなライバル商品がどんどん誕生しつつあった。 被請求人は、このままでは、せっかく被請求人の力で開拓した市場において,安定した取引を継続することは出来ないと考え、やむを得ず自らの負担で自らの商標登録の手続をとったのである。 (5)請求人はその後も何も対応せず 上記のような経緯から明らかなように、請求人は平成27年6月5日の被請求人による本件商標の登録の事実を十二分に知っており、少なくともこれを容易に知り得た。 しかるに、請求人は、「お金がない」ことを理由に、これを容認し、請求人に対し何の異議も述べていない。 請求人の提出した甲第49号証における「請求人の提案」の中に、「甲(被請求人)は、商標名ゴミサーを,乙(請求人)に譲る」と明記されているのは、請求人が被請求人による本件商標の登録を法的に無効などと主張できないことを、請求人自身、明確に認識していたからである。 (6)商標法第4条第1項第7号の適用について したがって、被請求人による本件商標の登録が「公序良俗に反し無効」ということは,あり得ない。 請求人の本件審判請求におけるかかる主張こそ、「公序良俗に反する」主張である。 (7)本件審判請求の真相 被請求人は、請求人が被請求人に対し甲第48号証及び甲第49号証に見られるような理不尽な要求を始めたので、請求人の製造する生ごみ処理機の販売を従来どおり継続することは困難であると考えるに至った。 そこで、同種製品を開発・製造していた請求外テクノウェーブ社に「ゴミサー」の商標を付した生ゴミ製造機の製造を委託するに至った。 それを知った請求人は、これまでの自らの対応の不実さを顧ず、本件審判請求にいたったというのが真相である。 なお、請求外テクノウェーブ社は、以前から本件と同種商品である生ゴミ処理機を、自らの正当な権利として製造・販売していた。 これに対し,請求人が、テクノウェーブ社の製造・販売する生ゴミ処理機は請求人会社の製品の偽造品であるなどとウェブサイト上で誹謗中傷したため、同社は請求人に対し訴訟を提起して信用毀損による損害賠償等を求めた。 この請求は、裁判所によって認容された(乙3)。 このように、請求人は、別件においても権利濫用的な主張をしているばかりか、そもそも本件生ゴミ処理機自体、格別特許法の保護を受ける性質のものでないことが明らかである。 4 結論 以上、 いかなる観点からしても、請求人の本件審判請求に理由のないことは自明というべく、直ちにこれを棄却すべきものである。 第5 当審の判断 請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理し、判断する。 1 引用商標の周知著名性について 請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 (1)請求人は、昭和42年に「遠藤鉄工」として創業し、同60年に株式会社に改組し、社名を「エスキー工機株式会社」に変更した(甲19)。 (2)請求人は、平成2年に生ゴミ処理機の開発を開始し、同4年に引用商標「ゴミサー」を使用した生ゴミ処理機(以下「請求人商品」という。)を製品化し、同6年度に、山形県酒田市の小学校で導入が始まり、同8年に熊本ワシントンホテルに導入され、その後ワシントンホテルチェーンが運営するホテルに順次導入され、同9年5月18日時点での累計販売実績は約370台、同11年には累計販売実績が1,000台を突破し、同17年に累計販売実績が2,000台を超え、令和元年9月12日時点の累計販売実績は2,877台である(甲4、甲11、甲19~甲21)。 (3)請求人商品は、平成6年に酒田市の新田産業振興基金を基にした奨励賞を受賞し、同8年に第21回発明大賞の考案功労賞を受賞、同12年に山形県の環境やまがた大賞を環境技術研究開発分野で受賞した(甲22~甲24)。 (4)請求人商品は、平成9年5月1日付け山形新聞及び同17年11月11日付け日刊工業新聞の記事に取り上げられている(甲3、甲4)。 (5)請求人や請求人商品の販売代理店によって配布されるパンフレットやウェブサイトによって、請求人商品の広告宣伝が行われている(甲5、甲40、甲42、甲43)。 (6)しかしながら、請求人が提出した請求人商品のパンフレット(甲5)は、平成29年に作成されたものであり、本件商標の登録出願時又は登録査定時に、同内容のパンフレットが存在していたのかが不明であり、同パンフレットの頒布先は明らかではない。 また、請求人商品に関して、平成9年5月1日付け山形新聞及び同17年11月11日付け日刊工業新聞の記事(甲3、甲4)に掲載されていたことは認められるものの、同日以降、請求人商品に関する新聞記事が掲載されたことは確認できず、請求人の提出による平成19年4月1日付け「月刊廃棄物4月号」及び同年5月1日付け「月刊廃棄物5月号」(いずれも株式会社日報アイ・ビー発行)(甲7、甲8)を参照しても、請求人商品に関する記事や広告は掲載されておらず、その他、請求人は、「月刊廃棄物」等の廃棄物処理装置を専門に取扱う雑誌や書籍において、請求人商品に関する記事や広告が掲載されていることを証明する証拠を提出していない。 さらに、請求人商品の我が国における市場占有率(シェア)等の事実や請求人商品の宣伝広告の頻度や宣伝広告の費用等、宣伝広告の規模等の事実を裏付ける具体的な証拠の提出もない。 そうすると、請求人が提出した全証拠によっては、引用商標の客観的な事実に基づく周知著名性を判断することができないため、引用商標の周知著名性の程度を推し量ることができない。 したがって、引用商標が我が国において、請求人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。 2 本件商標と引用商標の類否について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「ゴミサー」の文字を標準文字で表してなるものところ、「ゴミサー」の文字は、辞書等に載録がないものであって、かつ、当該文字が、我が国において、特定の意味合いを有する語として親しまれている等の特段の事情は存在しない。 したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「ゴミサー」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、上記第2のとおり、「ゴミサー」の文字からなる商標であり、その構成文字に相応して、「ゴミサー」の称呼を生じるものであり、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との比較 本件商標と引用商標とを比較すると、本願商標と引用商標は、上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、いずれも、「ゴミサー」の構成文字を同じくするものであり、「ゴミサー」の称呼を生じるものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念が生じないため、観念において比較することができないとしても、その構成文字を同じくすることから、外観が類似し、また、「ゴミサー」の称呼を共通にすることから、互いに相紛れるおそれのある類似する商標といえる。 3 本件商標の指定商品と引用商標の商品「生ゴミ処理機」(以下「使用商品」という。)との関連性、需要者の共通性について 本件商標の指定商品中、「生ゴミ処理機」と引用商標の使用商品とは、同一の商品であるから、密接な関連性を有する商品であり、需要者の範囲も共通にするものである また、本願商標の指定商品中、「液体肥料製造装置」は、液体肥料を製造することを目的とする商品であり、一方、使用商品は、廃棄物処理を目的とする商品であるから、これらは、密接な関連性を有する商品とはいえず、また、需要者の範囲を共通にするとはいえないものである。 4 本件商標の登録出願の経緯及び不正の目的の有無について (1)請求人及び被請求人の主張からすると、本件商標のと登録出願の経緯は、以下のとおりである。 ア 請求人の代表取締役は、平成5年12月7日に、商標「ゴミサー」、指定商品を第7類「生ごみ処理機」とする登録出願を行い、同11年5月10日に登録査定、同年6月18日に設定登録(登録第4284828号)された。 その後、登録第4284828号商標は、請求人が存続期間の更新申請を行わなかったため、平成22年3月10日に、同21年6月18日に遡ってその登録が抹消された(甲2、甲25)。 イ 被請求人は、上記アの事実を、引用商標の商標権の抹消後、4年以上経過した後に知った。 そして、請求人商品の販売代理店でもある被請求人は、請求人商品の取り引きを行う際に、支障を来すおそれがあるため、平成27年1月19日に、商標「ゴミサー」(標準文字)、指定商品を第7類「生ごみ処理機」とする本件商標の登録出願を行い、同年5月22日に登録査定、同年6月5日に設定登録(登録第4284828号)された(甲1)。 ウ 被請求人は、本件商標の登録査定後も、請求人商品の販売代理店を継続し、令和元年5月7日まで請求人商品の販売を行っていた(請求人の主張)。 そして、請求人に対し、商標「ゴミサー」の請求人商品への使用の差し止めを行った等、請求人に対し、不利益を生じさせる事実が認められないことや、請求人が提出した全証拠によっては、被請求人が不正の目的をもって、剽窃的に本件商標の登録出願し、登録したものであるとは認められないものである。 エ 上記アないしウからすると、被請求人による本件商標の登録出願の経緯が、著しく社会的妥当性を欠くものとはいえない。 (2)被請求人の本件商標の登録出願及び登録が、不正の目的であるか否かについて 上記4(1)のとおり、被請求人による本件商標の登録出願の経緯が、著しく社会的妥当性を欠くものとはいえない。 また、被請求人は、本件商標の商標権について権利を濫用し、請求人に対し、不当に請求人商品の使用の差し止めや損害賠償請求等を行ったような事実はなく、また、請求人が提出した全証拠によっては、被請求人が、本件商標を不正の利益を得る目的、又は請求人に損害を加える目的等の不正の目的をもって使用するものというべき事情も見いだせないものである。 (3)まとめ 以上のとおり、被請求人が、本件商標を登録出願し、登録した行為は、著しく、社会的妥当性を欠くものではなく、また、被請求人が、本件商標を不正の利益を得る目的、又は請求人に損害を加える目的等の不正の目的をもって、本件商標を登録出願し、登録したものとは認められない。 5 商標法第4条第1項第10号該当性について 商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」と規定している。 そして、上記1のとおり、引用商標が、我が国において、請求人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。 そうすると、本件商標と引用商標とが互いに類似するものであり、本件商標の指定商品中「生ゴミ処理機」と引用商標の指定商品「生ゴミ処理機」とが同一の商品であるとしても、本件商標は、同号の適用要件を欠くものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 6 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知著名性について 上記1のとおり、引用商標が、我が国において、請求人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものである。 (2)本件商標と引用商標との類似性の程度について 上記2のとおり、本願商標と引用商標とは、いずれも特定の観念が生じないため、観念において比較することができないとしても、これらの外観が類似し、「ゴミサー」の称呼を共通にすることから、互いに相紛れるおそれがある類似する商標といえることからすれば、類似性の程度は高いといえるものである。 (3)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との関連性、需要者の共通性について 上記3のとおり、本件商標の指定商品中、「生ゴミ処理機」と引用商標の指定商品「生ゴミ処理機」とは、同一の商品であるから、密接な関連性を有する商品であり、需要者の範囲も共通にするものである。 また、本願商標の指定商品中、「液体肥料製造装置」は、液体肥料を製造する目的の商品であり、一方、引用商標の指定商品「生ゴミ処理機」は、廃棄物処理を目的とする商品であるから、これらは、密接な関連性を有する商品とはいえず、また、需要者の範囲を共通にするとはいえないものである。 (4)出所の混同のおそれについて 上記(1)ないし(3)のとおり、引用商標が、我が国において、請求人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものであり、本件商標と引用商標とは、類似性の程度が高く、本件商標の指定商品中、「生ゴミ処理機」と引用商標の指定商品「生ゴミ処理機」とは、同一の商品であるから、密接な関連性を有する商品であり、需要者の範囲も共通にするものであるとしても、本願商標の指定商品中、「液体肥料製造装置」と引用商標の指定商品「生ゴミ処理機」とは、密接な関連性を有する商品とはいえず、また、需要者の範囲を共通にするとはいえないものである。 そうすると、本件商標は、本件商標の権利者である被請求人が、これをその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が請求人あるいは請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 7 商標法第4条第1項第7号該当性について 請求人は、「本件商標の登録出願の経緯には、著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、公正な協業秩序を害するものであって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。」旨を主張する。 しかしながら、上記4(1)のとおり、被請求人による本件商標の登録出願の経緯について、著しく社会的妥当性を欠くものとはいえない。 また、他に、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないというべき事情は見いだせず、かつ、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる証拠も発見することができない。 そうすると、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 8 商標法第4条第1項第19号該当性について 請求人は、「引用商標は、本件商標の登録出願前から現在まで、請求人の業務に係る商品『生ごみ処理機』を表示するものとして周知著名性を獲得している。また、被請求人は、現実に本件商標『ゴミサー』を不正の利益を得る目的をもって使用している。」旨を主張する。 しかしながら、本件商標と引用商標とは、上記6のとおり、類似性の程度が高く、本件商標の指定商品中「生ゴミ処理機」と引用商標の指定商品「生ゴミ処理機」は、密接な関連性を有し、その需要者の範囲を共通にするとしても、引用商標は、我が国において、請求人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識され、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知著名性を獲得していたとは認められないものであるから、本件商標に接する需要者が引用商標を連想又は想起させるものではない。 また、上記4(2)のとおり、被請求人が、本件商標を不正の利益を得る目的、又は請求人に損害を加える目的等の不正の目的をもって、本件商標を登録出願し、登録したものとは認められない。 そうすると、本件商標は、その登録出願時において、引用商標を認識した上で、かかる商標の周知著名性に便乗し、不当に利益を得る等の目的、あるいは、請求人に損害を加える目的等の不正の目的をもって使用するものというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 9 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-890054

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