特許判定
2019-600014
被包型側溝
- 審判番号
- 2019-600014
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 判定
- 出願番号
- 特願平8-83259
- 登録番号
- 特許第3718279号(P3718279)
- 請求日
- 2019年05月07日
- 審決日
- 2019年08月30日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 判定(属しない)
- 当事者
- 【請求人】平田 純一
- 審判長/審判官
- 審判長 森次 顕
- 審判官 住田 秀弘
- 審判官 秋田 将行
- 分類
- P12 . -ZB (E03F)
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
上記当事者間の特許第3718279号の判定請求事件について、次のとおり判定する。
結論
【結 論】
イ号図面及びその説明書に示す「被包型側溝」は、特許第3718279号発明の技術的範囲に属しない。
理由
【理 由】
第1 請求の趣旨と手続の経緯
本件判定請求の趣旨は、イ号図面及びイ号写真、並びに、その説明書に示すイ号物件の消音側溝又は、消音可変側溝は、特許第3718279号発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。
なお、上記「イ号図面及びイ号写真」及び「その説明書」は、それぞれ判定請求書に添付された「イ号物件(イ号図面・イ号写真)」及び「イ号物件 具体的構成態様 説明書」であって、また、上記「消音側溝又は消音可変側溝」は、同一物品の異なる名称を並記したものであって、「消音可変側溝」である。(令和元年7月11日の電話応対の応対記録)
本件特許に係る手続の経緯は、平成8年3月10日に出願され、平成17年9月9日に特許権の設定登録がなされ、平成27年11月4日に特許無効審判(無効2015-800202)が請求され、平成28年1月15日付けで訂正請求書が提出され、平成28年6月28日に訂正を認め請求不成立の審決(確定済み)がなされ、さらに平成29年1月30日に特許無効審判(無効2018-800010)が請求され、平成29年9月21日に請求不成立の審決(確定済み)がなされた。
そして、令和元年5月7日に(平成31年4月25日付け)本件判定請求が差出され、その後、当審より令和元年5月22日付けで審尋が送付され、同年6月26日に(同年6月23日付け)回答書が差出されたものである。
なお、本件判定請求は、被請求人が存在しないものであるが、その理由として、請求人は、令和元年6月23日付け回答書において、イ号物件の製造者や由来を特定できない旨、主張している。
第2 本件特許発明について
1 本件特許発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、無効2015-800202の審理において提出された平成28年1月15日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(なお、分説した構成要件及び記号A~Cは、判定請求書の請求人の主張のとおりである。)。
「A 断面凸状の曲面からなる当接部を有する側溝蓋と、
B1 前記側溝蓋で閉蓋可能な開口部を水平支持部材の上面の略中央に有し、
B2 前記開口部の端部に前記側溝蓋の当接部の曲面と略相似の断面凹状の曲面からなり、
B3 下端に沿って連続的に前記側溝蓋の前記当接部の下端部との間に所定の隙間を形成するためのせぎり部が形成された支持面を有するとともに、
B4 前記水平支持部材の両端辺から下方に垂直支持部材が夫々延設された
B5 側溝
C とを具備することを特徴とする被包型側溝。」
2 本件特許明細書及び図面の記載
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被包型側溝に関するものであり、特に、略逆U字型の形状を呈し、覆い被せるスタイルで側溝を構成する被包型側溝に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図6に示すような断面が略逆U字型の形状を呈した被包型側溝が知られている。図6は従来の被包型側溝を示す分解斜視図である。
【0003】
図6に示すように、この被包型側溝の側溝50は、平面方向に略長方形の形状を呈する水平支持部材52と、この水平支持部材52の両端辺より各々に下方へ垂直に延設され、平面方向に略長方形の形状を呈する垂直支持部材53とで構成されている。水平支持部材52は一般道路を通過する自動車等による鉛直方向に加わる荷重に耐えるのに必要な強度と厚さを有しており、垂直支持部材53は水平支持部材52の受ける鉛直荷重に耐えるのに必要な強度と厚さを有している。
【0004】
水平支持部材52には、略中央に長方形の形状を呈し、幅方向に2つの垂直支持部材53の内側面に挟まれた部分まで開口された開口部54が設けられている。開口部54の幅方向両側部には、水平面55aと垂直面55bとで構成され側溝蓋60を支持する支持部55が形成されている。
【0005】
側溝蓋60は、略平面方向に長方形の形状を呈し、長さ方向の一端部の略中央に凹状の手掛部62が形成されている。水平支持部材52の開口部54の支持部55によって支持される当接部61は、水平面61aと垂直面61bとで構成されている。この側溝蓋60は、幅方向の両端辺が支持されたとき、一般道路を通過する自動車等による鉛直方向に加わる荷重に耐えるのに必要な強度と厚さを有している。
【0006】
つまり、この被包型側溝では、側溝蓋60の幅方向両端部の当接部61が開口部54の幅方向両端部の支持部55によって支持されており、当接部61の水平面61aが支持部55の水平面55aに、当接部61の垂直面61bが支持部55の水平面55aに各々当接している。即ち、側溝蓋60は着脱可能に開口部54を閉蓋しており、側溝蓋60の上面と側溝50の水平支持部材52の上面が略面一になっている。
【0007】
また、各々の垂直支持部材53の長さ方向の両端部には、断面凹状の目地溝53aが鉛直方向に水平支持部材52の上面まで延設されている。側溝50を隣接状態で連ねて施工した後、この目地溝53aにモルタル等が流し込まれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来の被包型側溝では、側溝蓋60を支持する側溝50の支持部55が水平面55a及び垂直面55bで構成されているとともに、側溝蓋60の当接部61も水平面61a及び垂直面61bで構成されていた。したがって、側溝蓋60は平面によって支持されるため、側溝蓋60及び側溝50を成形する際に生じる誤差等により、側溝蓋60ががたつくという問題が生じていた。つまり、成形する際に、側溝50においては、隣り合う水平面55aの平行精度に、側溝蓋60においては、下面の平行精度にどうしても誤差が生じていた。たとえ数mm程度の僅かな誤差であっても、側溝蓋60の上面を車両や人が通過すると、側溝蓋60はがたつき、騒音が発生していた。しかも、この騒音を発生しない精度の成形は、経済性を考慮した加工法では事実上不可能であった。
【0009】
また、仮に精度よく側溝50及び側溝蓋60を成形できたとしても、側溝50の支持部55の水平面55aには、土や小石等が溜り易く、人の手で清掃する必要があった。しかも、これらの土や小石等により、側溝蓋60ががたつくこともあり、騒音発生の原因になることもあった。
【0010】
そこで、本発明は、簡易な構成により、側溝蓋のがたつきを抑制し、騒音が発生しない被包型側溝の提供を課題とするものである。」
(2)「【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明をする。図1は本発明の第一実施形態である被包型側溝を示す分解斜視図、図2は図1の被包型側溝のX-X断面を示す断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態の被包型側溝は、側溝1と側溝蓋10とで構成されている。この被包型側溝の側溝1は、平面方向に略長方形を呈し、幅方向の両端辺が支持されたとき、一般道路を通過する自動車等による鉛直方向に加わる荷重に耐えるのに必要な強度と厚さを有する水平支持部材2と、この水平支持部材2の両端辺より各々に下方へ延設され、平面方向に略長方形を呈し、水平支持部材2の受ける鉛直荷重に耐えるのに必要な強度と厚さを有する垂直支持部材3とで構成されている。
【0015】
水平支持部材2には、略中央に長方形を呈し、幅方向に2つの垂直支持部材3の内側面に挟まれた部分まで開口された開口部4が設けられている。この開口部4の幅方向両側部には断面が凹状の曲面形状を呈し、側溝蓋10を支持する支持面5が形成されている。また、この支持面5の下端にはせぎり部5aが形成されている。
【0016】
側溝蓋10は略平面方向に長方形を呈し、幅方向の両端辺が支持されたとき、一般道路を通過する自動車等による鉛直方向に加わる荷重に耐えるのに必要な強度と厚さを有しており、長さ方向の一端部の略中央に凹状の手掛部12を形成されている。そして、側溝蓋10の幅方向両端部には、側溝1の支持面5と略同形状の相似形の凸状の曲面を呈した当接部11が形成されている。つまり、側溝蓋10の当接部11は曲面で側溝1の支持面5に当接状態で支持されることにより、側溝蓋10は側溝1の開口部4に着脱可能に嵌込装着される。そして、開口部4は水平支持部材2の上面と側溝蓋10の上面が略面一になった状態で側溝蓋10によって閉蓋される。
【0017】
側溝1の各々の垂直支持部材3には、長さ方向の両端部に断面形状が凹状の目地溝3aが鉛直方向に形成されており、この目地溝3aは水平支持部材2の上面まで延設されている。側溝1を隣接状態で連ねて施工した後、この目地溝3aにモルタル等が流し込まれる。
【0018】
すなわち、本実施形態の被包型側溝は、上記図6に示した従来の被包型側溝の側溝蓋60の当接部61の構造が水平面61a及び垂直面61bからなる平面によるものであったのに対して、図1及び図2に示すように側溝蓋10の当接部11の構造が断面凸状の曲面からなる点と、上記図6に示した従来の被包型側溝の側溝50の支持部55の構造が水平面55a及び垂直面55bからなる平面によるものであったのに対して、図1及び図2に示すように側溝1の支持面5の構造が断面凹状の曲面からなる点で大きく相違している。側溝1の支持面5の断面凹状の曲面は、側溝蓋10の当接部11の断面凸状の曲面と略相似である。つまり、この相違点が本実施形態の被包型側溝の特徴とするところである。」
(3)「【0026】
特に、本実施形態の被包型側溝は、断面凸状の曲面からなる当接部11を有する側溝蓋10と、この側溝蓋10で閉蓋可能な開口部4を水平支持部材2の上面の略中央に有し、開口部4の端部に側溝蓋10の当接部11の曲面と略相似の断面凹状の曲面からなる支持面5を有するとともに、水平支持部材2の両端辺から下方に垂直支持部材3が各々延設された側溝1とで構成されていることから、施工後に上面を車両等が通過しても、側溝蓋10ががたつくことがなく、騒音が発生しない。
【0027】
つまり、側溝蓋10を支持する支持面5の受ける力は支持面5が曲面であるために、側溝蓋10に作用する垂直荷重が側溝蓋10の当接部11から側溝1の支持面5を介して分散されて側溝1に伝達されるとともに、側溝蓋10と側溝1との密着性がよくなるため、側溝蓋10の上面に加わる力の不均衡によりがたつかず、騒音が発生しない。また、支持面5には平面部分がないために、小石、砂利、土等が堆積しにくく、堆積したときも非常に除去し易いので、側溝蓋10を装着するのに手間がかからない。しかも、この支持面5の下端にはせぎり部5aが形成されており、側溝蓋10の当接部11の下端部と側溝1の支持面5の下端部との間に所定の隙間が形成されるので、施工後には砂利、土等はこの隙間に集まり、側溝蓋10の当接部11と側溝1の支持面5とは面接触状態が維持される。更に、側溝蓋10に垂直荷重が作用した場合に、側溝蓋10と側溝1との接触面が曲面であるために、力線の作用方向が分散され、側溝蓋10及び側溝1にかかる負担が軽減され、耐用年数が延びる。
【0028】
すなわち、本実施形態の被包型側溝は、従来の被包型側溝の作用及び効果に加えて、側溝蓋10の上面を車両や人が通過しても、側溝蓋10ががたついて騒音が発生しないとともに、被包型側溝50の設置工事または保守点検等の場合に側溝蓋10を外した際には支持面5に小石、砂利、土等が堆積しにくく、堆積したときも非常に除去しやすい。」
(4)「【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明の被包型側溝は、水平支持部材の一部に穿設された開口部の側溝蓋を支持する支持面の形状が曲面であり、側溝蓋の当接部も曲面であることから、側溝蓋より受ける荷重は、分散されるとともに密着性がよくなるので、側溝蓋の上面を車両や人が通過するときに、がたついて騒音が発生することはない。なお、支持面には平面部分がないために、小石、砂利、土等が堆積しにくく、堆積したときも非常に除去しやすいので、側溝蓋を装着するのに手間がかからない。」
(5)【図1】
(6)【図2】
(7)【図3】
第3 イ号物件について
1 請求人によるイ号物件の特定
判定請求書の「6 請求の理由」の「(4)イ号物件の説明」において、以下のとおり、イ号物件を特定している。
「a 断面凸状の曲面からなる当接部を有する側溝蓋と、
b1 前記側溝蓋で閉蓋可能な開口部を水平支持部材の上面の略中央に有し、
b2 前記開口部の端部に前記側溝蓋の当接部の曲面と略一致する断面凹状の曲面からなり、
b3 下端に沿って連続的に前記側溝蓋の前記当接部の下端部との間に、前記側溝蓋の下端部に形成された回転防止用突起を係止させる切欠きが形成された支持面を有するとともに、
b4 前記水平支持部材の両端辺から下方に垂直支持部材が夫々延設された
b5 側溝
c とを具備することを特徴とする被包型側溝。」(下線は、判定請求書の記載のとおり付した。)
なお、判定請求書において、構成b3について、「下端に沿って連続的に前記側溝蓋の前記当接部の下端部との間に所定の隙間を形成するためのせぎり部が形成された支持面を有するとともに、」と説明する記載もあるが、請求人は上記のとおり特定することを認めている。(令和元年7月11日の電話応対の応対記録)
2 当審によるイ号物件の特定
(1)判定請求書に添付された「イ号物件(イ号図面及びイ号写真)」及び「イ号物件 具体的構成態様説明書」には、幾つかの物品が記載されているが、そのうち、主として「イ号物件(イ号図面及びイ号写真)」9頁の側溝蓋の図面及び12頁の敷設実施写真を参照し(令和元年7月11日の電話応対の応対記録)、上記1の請求人の主張する特定を元にして、イ号物件は、以下の(ア)~(オ)の構成を備えるものと認められる。
なお、イ号物件の側溝蓋は、長さ方向同一断面である。(令和元年7月11日の電話応対の応対記録)
。
(ア)略逆U字型の形状の側溝本体と側溝蓋からなる側溝である。
(イ)側溝蓋は、上面、下面、一対の長さ方向両側の端部及び一対の長さ方向に延びる側部からなる。
(ウ)両側部には、断面が斜め下方に凸状の曲面からなる湾曲部と、
該湾曲部の下端から略鉛直下方に延びる縦片と該縦片の下端に繋がる下面の端部によって構成された突起を有する。
(エ)側溝本体は、水平な上板と、上板の幅方向両端から下方に夫々延設された垂直な側板からなり、上板の上面の略中央に開口部を有し、開口部は側溝蓋で閉蓋可能である。
(オ)開口部の側板側には、断面が側溝蓋の湾曲部の曲面と略相似の斜め下方に凹状の曲面からなる曲面部と、
該曲面部の下端から略鉛直下方に延びる縦片と該縦片の下端から内方かつ若干下方に傾斜して延びる平面状の段部により該下端に沿って連続して構成され、上記突起を係止させる切欠きを有する。
(カ)側溝蓋の湾曲部は、側溝本体の曲面部に載置されている。
(2)上記(1)の(ア)~(カ)を本件特許発明の分説A~Cに合わせて整理すると、イ号物件は、分説A~Cに対応する分説a~cとして、以下のとおり特定されるものである。
a 上面、下面、一対の長さ方向両端の端部及び一対の長さ方向に延びる側部を有し、両側部には、断面が斜め下方に凸状の曲面からなる湾曲部と、湾曲部の下端から略鉛直下方に延びる縦片と該縦片の下端に繋がる下面の端部によって構成された突起を有する側溝蓋と、
b1 側溝蓋で閉蓋可能な開口部を水平な上板の上面の略中央に有し、
b2 開口部の側板側には、断面が側溝蓋の湾曲部の曲面と略相似の斜め下方に凹状の曲面からなり、
b3 側溝蓋の湾曲部が載置される曲面部と、該曲面部の下端から略鉛直下方に延びる縦片と該縦片の下端から内方かつ若干下方に傾斜して延びる平面状の段部により該下端に沿って連続的に構成され、上記突起を係止させる切欠きを有し、
b4 上板の幅方向両端から下方に垂直な側板が夫々延設された
b5 略逆U字型の側溝本体
c とを具備する側溝。
第4 請求人の主張について
請求人は、判定請求書において、本件特許発明の構成要件B3とイ号物件の構成b3との対比について、以下のとおり主張している。
(1)イ号物件の説明
イ号物件は、本件特許発明の特徴及び効果と同じく、本件特許発明「せぎり部」に対応する、イ号物件「切欠き」が形成された支持面を有して、小石、砂利、土等が堆積しない形状を構成し、本件特許発明「略相似の断面凹状の曲面」に対応する、イ号物件「略一致する断面凹状の曲面」とした支持面の構造とし、垂直荷重を分散することで騒音を解消させることを特徴とした被包型側溝である。
(4頁下から4行~5頁2行)
(2)イ号物件の具体的構成態様の説明
<b3について> 第7頁
b3 下端に沿って連続的に前記側溝蓋の前記当接部の下端部との間に所定の隙間を形成するためのせぎり部が形成された支持面を有するとともに、
<解釈>
本件特許公報【符号の説明】では、10側溝蓋、11当接部、5支持面、5aせぎり部である。
イ号写真では「側溝蓋」が側溝蓋10に該当し、「側溝蓋の前記当接部」が当接部11に該当し、「当接部の下端部との間に所定の間隔を形成するためのせぎり部が形成」がせぎり部5aに該当し、「せぎり部が形成された支持面」が支持面5に該当する。
(7頁16~26行)
(3)本件特許発明とイ号物件の対比
本件特許発明とイ号物件の対応比較書(甲第1号証)の、第19頁~第24頁を用いて、次の通り対比表にして説明する。
(注意)表現(言い方)を置き換えているだけなので、完全一致◎とした。
本件特許発明とイ号物件の表現解釈の対比(置き換え部分)
本件特許発明 B2「略相似の断面凹状の曲面」 B3「せぎり部」
イ号物件 b2「略一致する断面凹状の曲面」 b3「切欠き」
業界では「せぎり部」「段差部」「切欠き部」「被接触部」と複数表現される。
(9頁14行~10頁5行)
(4)一致点・相違点の解釈(B3とb3の点 対比)
1、「下端に沿って連続的に前記側溝蓋の前記当接部の下端部との間に所定の隙間を形成するためのせぎり部が形成された支持面を有するとともに、」について
本件特許発明とイ号物件の双方は、対応比較図(甲第1号証第22頁)からも、双方共に「下端に沿って連続的に前記側溝蓋の前記当接部の下端部との間に所定の隙間を形成するためのせぎり部が形成された支持面を有する」ものであり、本件特許発明の「5支持面」と「5aせぎり部」及びイ号物件の「支持面5」と「せぎり部5a」で一致する。
また、「当接部の下端部との間に所定の隙間を形成する」について、本件特許発明の具体的構成態様説明書の実施態様1~4(第9頁~第14頁)及びイ号物件(イ号図面・イ号写真)基本的構成態様説明書(第12頁、第13頁)からも双方共に差異はなく、一致する。
2、本件特許発明の特徴部の、「5支持面」の曲面の「曲率」、及び、「5aせぎり部」の大きさ(深さ、長さ、幅等)の数値、並びに、開始位置を限定且つ制限していないことは、本件特許公報の通りであり、本件特許請求の範囲にあるイ号物件の構成は一致する。
3、イ号物件の表現につき、本件特許発明のB3「所定の隙間を形成する」と、イ号物件b3「前記側溝蓋の下端部に形成された」の表現に置き換えて解釈しても、対応比較図(甲第1号証第22頁)の通り、「所定の隙間を形成するためのせぎり部」であることに他ならず、本件特許発明とイ号物件の双方は一致する。
また、本件特許発明のB3「せぎり部」を、イ号物件のb3の「切欠き」の表現に置き換えて解釈しても、対応比較図(甲第1号証第22頁)の通り、「所定の隙間を形成するためのせぎり部(切欠き)」であることに他ならず、作用効果に差異はなく本件特許発明とイ号物件の双方は一致する。
B3「所定の隙間を形成するためのせぎり部」
b3「前記側溝蓋の下端部に形成された回転防止用突起を係止させる切欠き」
最高裁判例(平成6年(オ)第1083号判決、判決日:平成10年2月24日)で援用すれば、「均等」である。
(12頁下から3行~13頁下から3行)
なお、当審から送付した審尋において、均等論の適用を主張しているのかどうか不明である旨、指摘したところ、請求人から、本判定請求はイ号物件が本件特許発明(実施物件)に属するか否かが請求の趣旨であり、誤解を与える指摘箇所を以下の通り削除訂正し、「均等論の適用」は請求しない旨、及び、判定請求書13頁下から4~3行の「最高裁判決・・・『均等』である。」を削除する旨、回答書により回答があった。
第4 属否の判断
イ号物件が、本件特許発明の構成要件を充足するか否かについて検討する。
1 構成要件Aについて
構成aの「側溝蓋」は、構成要件Aの「側溝蓋」に相当する。
構成aの「両側部には、断面が斜め下方に凸状の曲面からなる湾曲部」は、構成b3で「曲面部」に「載置される」から、「曲面部」に当接しているといえるので、構成要件Aの「断面凸状の曲面からなる当接部」に相当する。
よって、イ号物件の構成aは、本件特許発明の構成要件Aを充足する。
2 構成要件B1について
構成b1の「開口部」、「水平な上板」は、それぞれ構成要件B1の「開口部」、「水平支持部材」に相当するから、イ号物件の構成b1は、本件特許発明の構成要件B1を充足する。
3 構成要件B2について
構成b2の「開口部の側板側」、「断面が側溝蓋の湾曲部の曲面と略相似の斜め下方に凹状の曲面」は、それぞれ構成要件B2の「開口部の端部」、「側溝蓋の当接部の曲面と略相似の断面凹状の曲面」に相当するから、イ号物件の構成b2は、本件特許発明の構成要件B2を充足する。
4 構成要件B3について
ア 構成b3の「曲面部」は、「側溝蓋の湾曲部が載置され」ているから、側溝蓋を支持しているといえるので、構成要件B3の「支持面」に相当し、上記1で検討したとおり、構成b3の「湾曲部」は、構成要件B3の「当接部」に相当する。
イ しかしながら、構成b3において係止される「突起」と「切欠き」についてみると、「突起」を構成する「縦片」と「下面の端部」は、それぞれ「切欠き」を構成する「縦片」と「段部」に対向しているものの、その係止という状態からみて、それら対向する部分の間には、何らかの目的、つまり本件特許明細書に記載されている「施工後に砂利、土等はこの隙間に集まり、側溝蓋10の当接部11と側溝1の支持面5とは面接触状態が維持される。」(上記第2の2(3)【0027】)のための十分な隙間が曲面部の下端に沿って連続的に存在するかどうか不明である。
よって、構成b3の「切欠き」には、構成要件B3の「前記当接部の下端部との間に所定の隙間を形成するためのせぎり部」に相当する構成を有しているかどうか不明である。
ウ 次に、構成b3の「突起」と「切欠き」の間に隙間が存在すると仮定したとしても、「切欠き」の「段部」についてみると、縦片を含め、縦片と段部からなる切欠きが湾曲部の曲面と略相似の曲面とはいえないから、「曲面部」の一部とみなすことはできず、「段部」は「曲面部」に形成されたものとはいえない。よって、構成b3の「段部」は、構成要件B3の「せぎり部」のように「支持面」に形成されたものではない。
また、構成b3の「段部」が、その形状にかかわらず「曲面部」の一部であったとして、かつ、その対向する「下面」との間に隙間が曲面部の下端に沿って連続的に存在するとしても、側溝蓋の「下面」は「湾曲部」の下端部ではないので、構成b3の「段部」は、構成要件B3の「せぎり部」のように「当接部の下端部との間に所定の隙間を形成するための」ものでもない。
エ 以上のことから、イ号物件の構成b3は、本件特許発明の構成要件B3を充足しない。
5 構成要件B4について
構成b4の「垂直な側板」、「幅方向両端」は、それぞれ構成要件B4の「垂直支持部材」、「両端辺」に相当するから、イ号物件の構成b4は、本件特許発明の構成要件B4を充足する。
6 構成要件B5について
イ号物件の構成b5「略逆U字型の側溝本体」は、本件特許発明の構成要件B5の「側溝」を充足する。
7 構成要件Cについて
イ号物件の構成cの「側溝」についてみると、「水平な上板」(構成b1)と「上板の幅方向両端から下方に」「夫々延設された」「垂直な側板」(構成b4)を有した「略逆U字型の側溝本体」(構成b5)を具備している。
これに対し、本件特許発明の構成要件Cの「被包型側溝」について、本件特許明細書には、「略逆U字型の形状を呈し、覆い被せるスタイルで側溝を構成する被包型側溝に関するものである。」(第2の2(1)【0001】)と記載されている。
してみると、構成要件Cの「被包型側溝」と、イ号物件の「側溝本体」つまり、構成cの「側溝」とは、同じ略逆U字型であるから、構成cの「側溝」は「被包型側溝」といえる。
よって、イ号物件の構成cは、本件特許発明の構成要件Cを充足する。
第5 むすび
以上のとおり、イ号物件の構成a、b1、b2、b4、b5及びcは、それぞれ本件特許発明の構成要件A、B1、B2、B4、B5及びCを充足するものの、構成b3は、構成要件B3を充足しないから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
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2019-600014