商標拒絶査定不服審判
2019-017761
ジャパニーズスパ、スパ、エスピイエイ
- 審判番号
- 2019-017761
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2018-076780
- 請求日
- 2019年12月27日
- 審決日
- 2021年10月08日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社クレドインターナショナル
- 【請求人代理人】辻田 朋子
- 【請求人代理人】下田 一徳
- 【請求人代理人】樋口 頼子
- 【請求人代理人】中川 慶太
- 審判長/審判官
- 審判長 小松 里美
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 青野 紀子
- 分類
- T18 .16 -Z (W44)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項6号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第6号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2018-76780拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標と手続の経緯
本願商標は、「JAPANESE SPA」の文字を標準文字で表してなり、第44類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成30年6月11日に登録出願、その後、本願の指定役務については、原審における令和元年5月20日受付の手続補正書により、第44類「美容,エステティック美容,美容情報の提供,マッサージ,アロマトリートメントによるリラクゼーションマッサージ,アロマテラピーを用いたマッサージの提供,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり」と補正されたものである。
なお、本願は、平成31年3月18日付けで拒絶理由の通知がされ、令和元年5月20日受付の意見書が提出され、同日付け手続補正書により、本願の指定役務は、上記のとおり補正されたが、同年9月26日付けで拒絶査定がされたものである。
これに対して、令和元年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『JAPANESE SPA』の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標を構成する欧文字の『JAPANESE』の表音である『ジャパニーズ』の片仮名は『日本式の』の意味を有し、また、『SPA』の表音である『スパ』の片仮名は「美顔・痩身・リラクゼーションなどのサービスを提供する施設」の意味を有する(いずれも「大辞林第三版」三省堂発行)ものであり、これらは、我が国の英語教育、本願の指定役務との関係では知られている文字であると認められ、当該文字は『日本式の美顔・痩身・リラクゼーションなどのサービスを提供する施設』程の意味合いを容易に認識させるものであり、これを本願の指定役務に使用しても、自他役務の識別標識としての機能を有するとはいえないことから、本願商標は需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲第1及び別掲第2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し、令和2年10月28日付け及び同3年6月10日付け証拠調べ通知書をもって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、令和2年10月28日付け証拠調べに対して、令和2年12月14日受付の意見書(以下「意見書1」という。)及び同月15日受付の手続補足書に添付された出願人(請求人)による陳述書(以下「陳述書」という。)により、要旨、以下(1)のとおり述べ、同3年6月10日付け証拠調べに対し、同3年7月16日受付の意見書(以下「意見書2」という。)により、要旨、以下(2)のとおりの意見を述べ、主張を立証する証拠として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)意見書1及び陳述書による主張の要旨
請求人は、1,500以上のホテルと提携し、ホテルの宿泊客の要求に応じて客室にエステティシャンが出向き、各種美容サービス(エステティック美容、ネイル施術、マッサージ等)を提供している。また、当サービスは、日本国内に留まらず、海外の有名ホテルとの連携も行っており、非常に注目度の高いものである。
請求人は、インバウンド事業の一環として、2014年より、日本独自のおもてなしの心と繊細な技術をテーマとした「JAPANESE SPA『庵スパ』」の提供を開始した。
しかしながら、海外では、勝手に「JAPANESE SPA」を名乗って美容サービスを提供していることがしばしば見受けられる。それらのサービスはいずれも、日本のおもてなし精神を理解していない者が、粗悪な美容サービスを提供しているため、日本のおもてなしの心や繊細な技術が、間違った形で広まってしまっている。
このような間違った文化が世界中に発信されることは、日本にとって非常に大きな悪影響を及ぼすものであり、ひいては健康障害を引き起こすことが危惧される。
請求人としては、一人でも多くの人に、真の日本のおもてなしの心と繊細な技術を知ってもらうことを願っている。そのため、世界にも知名度が出てきた当社が「JAPANESE SPA」の商標登録をし、それを正しいかたちで使用した上で、日本が誇る文化を世界中に広めていくことを望んでいる。
日本特有の伝統的な食文化である「和食」は、2013年に無形文化遺産の登録が認められた。日本の繊細な技術は、世界に誇るべきものであり、自国で守っていく必要がある。
日本の未来のためにも、「JAPANESE SPA」の商標登録を認めていただけるようお願い申し上げる。
(2)意見書2による主張の要旨
請求人は、現在、三菱地所横浜ロイヤルパークにてランドマークスパ、ヒルトンお台場など全国海外とホテルスパを30店舗展開、大型温泉温浴施設を全国5カ所で運営しているスパ総合企業である。
出願人は、2014年より、日本独自のおもてなしの心と繊細な技術をテーマとした新サービス「JAPANESE SPA 庵スパ」の提供を開始し、現在、国内外のラグジュアリーホテル内に複数店舗を展開している(甲1)。
スパの文化自体が海外発祥ということもあり、アロマオイルなどのスパ用プロダクトは、ほとんど日本で作られておらず、一般的なスパではヨーロッパやアジアなどの海外製品を使い、トリートメントの手法も西洋式である。
しかしながら、請求人は「日本の製品を使って、日本の技術、そして日本のおもてなしの心を提供したい」と考え、「庵 SPA」のサービスを確立した。今治タオルや信楽焼の茶器ほか、小物類にも日本の上質な伝統工芸をちりばめ、セラピストの制服も着物をイメージしたものにするなど、徹底して「純日本」を追求している。
請求人は、2020年2月に、アメリカ、ニューヨークに日系初のジャパニーズスパをオープンし(甲2)、本年2021年7月には台湾台北市の「ホテルメトロポリタン台北」内(甲3)、8月にはベトナムダナン市にある商工中金と三日月ホテルの大型高級ホテル「ダナン三日月ジャパニーズリゾーツ&スパ」内にジャパニーズスパをオープンする予定である(甲4)。
現段階で、スリランカにもオープン予定が決まっており、今後も海外に「JAPANESE SPA」を作っていく上で、上記のような他者の使用が広がり、請求人が伝えようとする日本独自のサービスに支障をきたす可能性がある。
日本と何ら関係のない他者のサービスと、請求人の提供する日系企業による本格的なジャパニーズスパの混同を生じさせないためにも、早期に本願商標「JAPANESE SPA」の登録が必要である。
証拠調べ通知書にて提示されたウェブサイト上での使用の実情は知っているが、いずれも広告宣伝文句等として「JAPANESE SPA」や「日本式スパ」を使用しているものと思料する。
一方で、請求人の「JAPANESE SPA」は、前述のとおり、日本のおもてなし文化、これは、単なるこころづかいだけでなく、言葉、礼儀、姿勢全てを極めたサービスであり、「日本らしさ」に特化した唯一のサービスである。これら日本ならではのオリジナリティを追求したサービスは他になく、「JAPANESE SPA」や「日本式スパ」を単に使用している他者とは明瞭に識別できるものである。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「JAPANESE SPA」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標は、「JAPANESE」の文字と「SPA」の文字の間に1文字分の空白を有しており、「JAPANESE」の文字と「SPA」の文字とを結合したものと容易に認識できるものである。
そして、別掲第1に記載のとおり、本願の指定役務を取り扱う分野において、「SPA」及び「SPA」を片仮名で表した「スパ」と称する施設において、本願の指定役務が提供されていることが確認できるものであり、また、別掲第2に記載のとおり、本願の指定役務を取り扱う分野において、「JAPANESE SPA」の文字や当該文字に通じる「日本式スパ」の文字等が、スパ施設において提供されるサービスの宣伝文句等を表示するものとして、実際に使用されていることがうかがえる。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務に使用した場合、本願商標に接する需要者は、これを、スパ施設において提供されるサービスの宣伝文句の一つとして認識すると判断するのが相当であって、自他役務の識別標識として認識される商標とはいえないものである。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、請求人の「JAPANESE SPA」は、日本ならではのオリジナリティを追求したサービスであり他にないから、他者の「JAPANESE SPA」や「日本式スパ」とは明瞭に識別できると主張する。
しかしながら、請求人の主張する取引の実情を裏付ける証拠の提出はなく、請求人の使用する「JAPANESE SPA」の文字のみが、他者のものと識別できるとする根拠も何ら認めることもできない。
また、請求人は、世界にも知名度を有する請求人が本願商標の登録をし、それを正しい形で使用した上で、日本が誇る文化を世界中に広めていくことを望んでいる旨を主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第6号は、識別力のない商標は、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品・役務の識別力を欠くために、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解されるもの(平成21年(行ケ)第10270号参照)であるところ、前記(1)のとおり、本願商標が、自他役務を識別する標識として認識されないものである。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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