特許拒絶査定不服審判
2019-015949
両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池及びその製造方法
- 審判番号
- 2019-015949
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-107684外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月27日
- 審決日
- 2021年04月12日
- 公報発行日
- 2021年10月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】晶澳(▲揚▼州)太▲陽▼能科技有限公司
- 【請求人代理人】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
- 【請求人】晶澳太▲陽▼能有限公司
- 【請求人代理人】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (H01L) / P18 .537-WZ (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2018-107684「両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月22日出願公開、特開2018-186277〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月22日(パリ条約による優先権主張2013年9月25日、中国)に出願した特願2016-522185号(以下「原出願」という。)の一部を平成30年6月5日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成31年 4月25日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 7月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 7月29日付け:拒絶査定
令和 元年11月27日 :審判請求書の提出
令和 2年 9月 9日付け:拒絶理由通知書
令和 2年11月17日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明は、令和2年11月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりのものである(下線部は、補正箇所として、請求人が付したものである。)。
「【請求項1】
両面から光を受光及び吸収可能な、アルミニウムを含む局所裏面電界層を有する結晶シリコン太陽電池であって、
シリコン基板と、
前記シリコン基板のおもて面に設置されたエミッタ、反射低減のおもて面パッシベーション膜及びおもて面電極と、
前記シリコン基板の裏面に設置された裏面パッシベーション膜、局所裏面電界層及び裏面電極と、を備えており、
前記裏面パッシベーション膜上には孔又は溝が開けられ、前記孔又は溝が開けられた領域は線状アルミニウムペーストで被覆され、前記裏面パッシベーション膜はアルミニウムペーストで被覆されていない領域を有し、焼成後に孔又は溝が開けられた領域に前記局所裏面電界層が形成され、前記局所裏面電界層と前記裏面電極とが連通されており、
前記裏面電極が分段方式裏面電極であり、分段方式裏面電極の分離部分が前記線状アルミニウムペーストで被覆されており、前記線状アルミニウムペーストの幅W2は20~2000μmであり、隣接の両線状アルミニウムペースト間の距離P2は200~2000μmであることを特徴とする結晶シリコン太陽電池。」
第3 令和2年9月9日付けで通知した拒絶の理由
当審において、令和2年9月9日付けで請求項1について通知した明確性及び進歩性の拒絶の理由は、概ね以下のとおりである。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由2(明確性)について
・請求項 1
請求項1では、「孔又は溝が開けられた領域は線状アルミニウムペーストで被覆され」と特定し、その後段では、「分段方式裏面電極の分離部分が線状アルミニウムペーストで被覆されており」と特定しているところ、後段の、分段方式裏面電極の分離部分を被覆する「線状アルミニウムペースト」には、「前記」との文言がないことから、後段の「線状アルミニウムペースト」が、前段の、孔又は溝が開けられた領域を被覆する「線状アルミニウムペースト」と同じものであるか否かが、不明である。
一応、「前記」との文言がないことから、別のものと解釈することが自然であるが、そうすると、更に後段の「前記線状アルミニウムペーストの幅W2は20~2000μm」との特定における「前記線状アルミニウムペースト」が、「孔又は溝が開けられた領域を被覆する線状アルミニウムペースト」を示すのか、「分段方式裏面電極の分離部分を被覆する線状アルミニウムペースト」を示すのかが不明となる。
●理由3(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1
<引用文献等一覧>
1.特開2007-214372号公報
2.国際公開第2013/014972号(周知技術を示す文献)
第4 当審の判断
1 理由2(明確性)について
請求項1では「分段方式裏面電極の分離部分が前記線状アルミニウムペーストで被覆されており、」と特定されている。
ここで、請求項1における他の特定事項から、上記特定における「線状アルミニウムペースト」とは、孔又は溝が開けられた領域に被覆されるものであって、幅W2は20~2000μmであり、200~2000μmの距離P2の間隔で配置されるもの、と認められるものである。
そうすると、このように特定される「線状アルミニウムペースト」が、上記の如く「分段方式裏面電極の分離部分を被覆する」ということは、どのような構造が特定されるのか不明である。
よって、請求項1に係る発明は、明確でない。
2 理由3(進歩性)について
(1)本願発明
本願の請求項1に係る発明は、上記1のとおり記載不備を含むものであるが、本願の【0084】及び図7の記載を参酌し、「分段方式裏面電極の分離部分が前記線状アルミニウムペーストで被覆されており」との特定は、「分段方式裏面電極の分離部分がアルミニウムペーストで被覆されており」との構成を意味すると解し、
また、請求項1の「溝が開けられ」及び「アルミニウムペーストで被覆され」との特定は、製造方法による特定であると認められるから、この特定は、ものの構成として、「溝が存在すること」及び「アルミニウムペーストが存在すること」を意味するものと解し、以下検討する。
<本願発明(再掲)>
「【請求項1】
両面から光を受光及び吸収可能な、アルミニウムを含む局所裏面電界層を有する結晶シリコン太陽電池であって、
シリコン基板と、
前記シリコン基板のおもて面に設置されたエミッタ、反射低減のおもて面パッシベーション膜及びおもて面電極と、
前記シリコン基板の裏面に設置された裏面パッシベーション膜、局所裏面電界層及び裏面電極と、を備えており、
前記裏面パッシベーション膜上には孔又は溝が開けられ、前記孔又は溝が開けられた領域は線状アルミニウムペーストで被覆され、前記裏面パッシベーション膜はアルミニウムペーストで被覆されていない領域を有し、焼成後に孔又は溝が開けられた領域に前記局所裏面電界層が形成され、前記局所裏面電界層と前記裏面電極とが連通されており、
前記裏面電極が分段方式裏面電極であり、分段方式裏面電極の分離部分が前記線状アルミニウムペーストで被覆されており、前記線状アルミニウムペーストの幅W2は20~2000μmであり、隣接の両線状アルミニウムペースト間の距離P2は200~2000μmであることを特徴とする結晶シリコン太陽電池。」
(2)引用文献の記載及び引用発明
ア 引用文献1
(ア)引用文献1に記載された事項
原出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2007-214372号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審にて付した。以下同じ。)。
「【0025】
<太陽電池の構造>
図1に示す本発明の太陽電池の一形態の断面図に基づいて、以下、その構造を説明する。」
「【0058】
(実施例1)
以下、図1、図7、図8に基づいて本実施例を説明する。
【0059】
テクスチャエッチングされた厚み150μm、125mm角のp型単結晶シリコン製の基板1の表面に、リンを含む塗布液を用い、900℃で10分間熱処理を行なうことにより、この基板1の受光面側に深さ約0.5μmのn型の拡散層2を形成した。同時に、厚さ80nmの酸化チタン膜を形成して反射防止膜3とした。
【0060】
次に受光面の所定の位置に銀ペーストをスクリーン印刷法により、塗布、150℃で2分間乾燥させ、650℃で焼成し、厚さ数10μmの表面電極7を形成した。
【0061】
次に、基板の裏面にスクリーン法により、図7に示すような魚骨型状のパターンでアルミニウムペーストを70μm塗布、150℃で2分間乾燥させ、750℃で焼成することで裏面電極5を形成し、同時にシリコン基板裏面の一部に、深さ約10μmのBSF層4が形成された。
【0062】
次に、基板の裏面にスクリーン法により、図8に示すようなパターンで低融点ペーストとしてはんだペーストを80μm塗布し、120℃で2分間乾燥させた。続いて基板1の裏面にプラズマCVD法を用いて厚さ50nmの酸化シリコン膜を形成してパッシベーション膜8を形成した。
【0063】
パッシベーション膜8形成後、220℃で4分間熱処理することではんだペーストが溶解し、その表面を覆ったパッシベーション膜8を砕いて一緒に混ざりこみながら膜を突き抜け、表面に露出し、60μmのペースト電極9を形成した。基板1の裏面からの電力取り出しは、ペースト電極9に直接インターコネクタをはんだ付けして接続した。」
「【図1】
」
「【図7】
」
「【図8】
」
(イ)引用文献1に記載された技術的な事項
上記(ア)より、引用文献1に記載された太陽電池は、以下の構成を有するものと認められる。
a 図7の記載から、「魚骨型状のパターン」は、いわゆる「線状のフィンガー電極」及び「バスバー電極」より形成される構成であることがみてとれる。
b ペースト電極9は、「低融点ペースト」を熱処理することで形成される電極であるところ、図8の記載より、当該ペースト電極9は、裏面電極5上に離散的に形成されている構成とみてとれる。
(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「太陽電池であって、
p型単結晶シリコン製の基板1の表面に、n型の拡散層2を形成し、酸化チタン膜を形成して反射防止膜3とし、受光面の所定の位置に表面電極7を形成し、
基板の裏面に魚骨型状のパターンでアルミニウムペーストを塗布、乾燥させ、焼成することで裏面電極5を形成し、同時にシリコン基板裏面の一部に、BSF層4が形成され、
魚骨型状のパターンは、線状のフィンガー電極及びバスバー電極より形成される構成であり、
裏面電極5上に、離散的に低融点ペーストを塗布し、
基板1の裏面に酸化シリコン膜を形成してパッシベーション膜8を形成し、
パッシベーション膜8形成後、熱処理することで、ペースト電極9を形成した、太陽電池。」
(3)対比
ア 引用発明の「基板1」は、「p型単結晶シリコン製」であるから、本願発明の「シリコン基板」に相当し、
引用発明の「太陽電池」は、「p型単結晶シリコン製の基板1」に形成されていることから、本願発明の「結晶シリコン太陽電池」に相当する。
イ 引用発明の「n型の拡散層2」は「p型単結晶シリコン製の基板1の表面」に形成されていることから、本願発明の「シリコン基板のおもて面に設置されたエミッタ」に相当する。
ウ 引用発明の「反射防止膜3」、「表面電極7」及び「パッシベーション膜8」は、それぞれ本願発明の「反射低減のおもて面パッシベーション膜」、「おもて面電極」及び「裏面パッシベーション膜」に相当する。
エ 引用発明の「BSF層4」は、「基板の裏面に魚骨型状のパターンでアルミニウムペーストを塗布、乾燥させ、焼成することで裏面電極5を形成し、同時にシリコン基板裏面の一部に」形成されるものであるから、本願発明の「アルミニウムを含む局所裏面電界層」に相当する。
オ 引用発明の「裏面電極5」は、「基板の裏面に魚骨型状のパターン」で形成された「アルミニウムペースト」であり、「線状のフィンガー電極」を備えるものであって、当該「線状のフィンガー電極」が形成される領域には「BSF層4」が形成されている。
一方、本願発明の「線状アルミニウムペースト」は、ものの構成としてみると、「シリコン基板」に形成された「局所裏面電界層」に接して配置される「線状アルミニウムペースト」である。
ここで、引用発明の「線状のフィンガー電極」と、本願発明の「線状アルミニウムペースト」との構成を対比してみれば、引用発明の「線状のフィンガー電極」は、本願発明の「線状アルミニウムペースト」に相当するといえる。
カ 引用発明の「基板の裏面」は、「魚骨型状のパターン」で形成された「裏面電極5」と「パッシベーション膜8」とに覆われているところ、当該構成からみれば、裏面からの光も太陽電池へ入射可能であることは明らかである。
したがって、引用発明は、本願発明の「両面から光を受光及び吸収可能な」との特定を満たしているといえる。
キ 引用発明の「ペースト電極9」は、「裏面電極5上に、離散的に塗布」された「低融点ペースト」を「熱処理することで」形成したものであるから、その形状からみて、本願発明の「分段方式裏面電極」に相当するものであり、「シリコン基板の裏面に設置され」たものといえる。
ク 引用発明の「パッシベーション膜8」は、「アルミニウムペースト」により形成された「線状のフィンガー電極」を覆って形成される膜であるから、当該「パッシベーション膜8」には、「線状のフィンガー電極」に対応する箇所に、溝が存在すると解され、当該溝部分には、線状のアルミニウムペーストが存在するものである。
一方、上記2の(1)に説示のとおり、本願発明の「溝が開けられ」及び「アルミニウムペーストで被覆され」との特定は、製造方法による特定であり、ものの構成としては、「溝が存在すること」及び「溝部分にアルミニウムペーストが存在すること」を意味するものと解される。
したがって、引用発明の「パッシベーション膜8」は、本願発明の「裏面パッシベーション膜上に溝が開けられ」との構成を備え、「溝が開けられた領域は線状アルミニウムペーストで被覆され」との構成を満たすといえる。
ケ 引用発明の「ペースト電極9」は、「裏面電極5上に、離散的に」形成されていることから、「ペースト電極9」の分離部分には、「裏面電極5」が存在し、当該「裏面電極5」は、「アルミニウムペースト」により形成されたものである。
してみると、引用発明において、「ペースト電極9」の分離部分には、「アルミニウムペースト」が存在すると理解できる。
一方、本願発明の「分段方式裏面電極」の「分離部分」は、「前記線状アルミニウムペーストで被覆され」と特定されているところ、上記2の(1)に説示のとおり、当該特定は、「分離部分」に「アルミニウムペーストが存在すること」を意味するものと解される。
したがって、引用発明は、本願発明の「分段方式裏面電極の分離部分が前記線状アルミニウムペーストで被覆されており」との構成を備えているといえる。
コ 引用発明の「裏面電極5」は、「基板の裏面に魚骨型状のパターン」で、「アルミニウムペースト」により形成されたものであり、引用発明の「パッシベーション膜8」は、「基板1の裏面に酸化シリコン膜」により形成されたものである。
そして、「裏面電極5」の形状が「魚骨型状のパターン」であることに鑑みれば、「裏面電極5」と「パッシベーション膜8」とが接触している領域は、「パッシベーション膜8」の「全て」ではなく「一部」である理解できる。
言い換えれば、引用発明の「パッシベーション膜8」は、「裏面電極5(アルミニウムペースト)」と接触していない領域を有するということができる。
そして、上記2の(1)に説示のとおり、本願発明の「アルミニウムペーストで被覆され」との特定は、「アルミニウムペーストが存在すること」を意味するものと解されるから、引用発明は、本願発明の「前記裏面パッシベーション膜はアルミニウムペーストで被覆されていない領域を有し」との構成を有するといえる。
サ 引用発明の「BSF層4」は「アルミニウムペースト」を「焼成することで」「シリコン基板裏面の一部に」「形成され」る層であるから、本願発明の「焼成後に溝が開けられた領域に前記局所裏面電界層が形成され」との構成を満たすといえる。
シ 引用発明の「BSF層4」は「裏面電極5」を介して「ペースト電極9」と電気的に接続されている。
したがって、引用発明は、本願発明の「前記局所裏面電界層と前記裏面電極とが連通されている」との構成を満たしているといえる。
以上、ア~シのとおりであるから、本願発明と引用発明との「一致点」及
び「相違点」は、以下のとおりである。
<一致点>
「両面から光を受光及び吸収可能な、アルミニウムを含む局所裏面電界層を有する結晶シリコン太陽電池であって、
シリコン基板と、
前記シリコン基板のおもて面に設置されたエミッタ、反射低減のおもて面パッシベーション膜及びおもて面電極と、
前記シリコン基板の裏面に設置された裏面パッシベーション膜、局所裏面電界層及び裏面電極と、を備えており、
前記裏面パッシベーション膜上には溝が開けられ、前記溝が開けられた領域は線状アルミニウムペーストで被覆され、前記裏面パッシベーション膜はアルミニウムペーストで被覆されていない領域を有し、焼成後に溝が開けられた領域に前記局所裏面電界層が形成され、前記局所裏面電界層と前記裏面電極とが連通されており、
前記裏面電極が分段方式裏面電極であり、分段方式裏面電極の分離部分が前記線状アルミニウムペーストで被覆されている結晶シリコン太陽電池。」
<相違点>
本願発明は、「線状アルミニウムペーストの幅W2は20~2000μmであり、隣接の両線状アルミニウムペースト間の距離P2は200~2000μmである」のに対して、引用発明では、魚骨型状の「裏面電極5」において、電極の幅や間隔が、不明である点。
(4)判断
上記相違点について、本願発明の「線状アルミニウムペースト」は、いわゆる「フィンガー電極」と呼称される電極と解され、太陽電池の表面を覆いつつ光を透過する機能を奏する電極である。
そして、当該「フィンガー電極」は所定の幅と間隔をもって設計されるものであるところ、電極の幅に起因する電気抵抗や、電極の幅及び間隔に起因する受光量に鑑みて、当該所定の幅と間隔は設計されるものである(必要であれば、下記文献1~4参照のこと)。
したがって、上記相違点は、当業者が適宜なし得る設計的な事項が特定されるに過ぎず、その数値範囲も通常の範囲であって格別のものではない。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術から、当業者が容易になし得たものである。
<周知技術を示す文献>
・文献1:国際公開第2013/014972号
「また、フィンガー部23の幅は流れる電流の大きさ、フィンガー部23の厚さ等に応じて適宜決定され、例えば、50μm~100μmとされる。また、フィンガー部23のピッチは、例えば、0.5mm~3mmであることが好適である。」([0024])
・文献2:特開2000-188414号公報
「上記した集電極5(9)は、図7に示すように、幅が1.5mm程度のバスバー5aに幅200μm程度のフィンガーライン5b、5bが1mm間隔でバスバー5aと直交する方向に設けられている。」(【0009】)
・文献3:特開2000-252492号公報
「フィンガー20の幅L1(図2参照)は約20μmで、各フィンガー20の間隔は650μmとされている。」(【0021】)
・文献4:特表2013-509695号公報
「ライン幅は80μmで、フィンガー間の間隔は1.7mmである。」(【0050】)
(5)審判請求人の主張について
審判請求人は、令和2年11月17日に提出された意見書において、
ア 請求項1の「線状アルミニウムペースト」を「前記線状アルミニウムペースト」に補正したことにより、明確性の不備は解消した旨(第2頁の2-2「理由2について」の(1))、
イ 引用文献1には、裏面からも受光することにより、光電変換効率を向上させるという技術思想は記載されていない旨(第2頁の2-3「理由3について」の第2頁~第3頁にかけて)、
ウ 引用文献1には、「線状アルミニウムペーストの幅W2は20~2000μmであり、隣接の両線状アルミニウムペースト間の距離P2は200~2000μmである」との構成も記載されていない旨(第2頁の2-3「理由3について」の第3頁)、
を主張している。
しかしながら、以下のとおりであるから、審判請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。
上記アについて、上記1のとおり、明確性の不備は解消していない。
上記イについて、上記(3)カのとおり、引用発明の裏面電極5は魚骨形状であるから、光が入射可能な領域を有しており、当該領域は、薄い(実施例では50nm)パッシベーション膜8で覆われるのみである。
したがって、引用発明は、シリコン基板の裏面から「光を受光及び吸収可能」な構成を備えるものといえる。
上記ウについて、上記(4)のとおり、当業者が適宜なし得る設計的な事項が特定されるに過ぎず、その数値範囲も通常の範囲であって格別のものではない。
第4 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、原出願の優先日にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-015949