2019-015324
ラベル投入装置
- 審判番号
- 2019-015324
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-205798外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月15日
- 審決日
- 2020年06月16日
- 公報発行日
- 2020年07月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ナベル
- 分類
- P18 .121-WY (B65C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1.手続の経緯
この出願(以下「本願」という。)は、平成27年10月19日の出願であって、その主な手続は以下のとおりである。
平成31年2月19日付け
拒絶理由通知
同年3月20日
意見書及び手続補正書の提出
令和元年6月13日付け
拒絶理由通知(最後)
同年8月1日
意見書の提出
同年10月7日付け
拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年11月15日
拒絶査定不服審判の請求
第2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1、2に係る発明は、平成31年3月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された以下の事項により特定されるものである。
なお、請求項1、2に係る発明を、以下それぞれ「本願発明1」等という。
「【請求項1】複数の卵が収容される平面視長方形の容器本体と、この容器本体の長辺側に設けられた連結部を軸として展開状態と閉塞状態との間で開閉可能であり、平板状の天壁と、この天壁の周縁に連続して形成された複数の側壁とを有する蓋体とを備えた容器に平面視長方形のラベルを投入するラベル投入装置であって、連結部から最も遠い側壁と天壁との境界部分にラベルの長辺を沿わすように、容器本体の長辺と直交する方向の力をラベルに加えて展開状態の蓋体にラベルを投入する放出手段を備えるラベル投入装置。【請求項2】放出手段が、容器本体の長辺と直交する方向に搬送される容器にラベルを投入する請求項1記載のラベル投入装置。」
第3.原査定の概要
原査定(令和元年10月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願発明1、2は、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2、3に記載された事項、及び周知技術に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.実願昭51-130681号(実開昭53-050766号)のマイクロフィルム
2.特開2014-159303号公報
3.特開2001-117493号公報
4.特開2001-278229号公報
第4.当審の判断
1.引用文献の記載事項
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(1)引用文献1
本願出願前に頒布された刊行物である引用文献1(実願昭51-130681号(実開昭53-050766号)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。
なお、記載箇所を行数で示す場合、空白行は数えないものとする。
ア.「2.実用新案登録請求の範囲
(1)水平に対し傾斜した状態でラベルを保持し、かつその状態でラベルの保持を解除するラベル保持手段を備えたラベル挿入装置。
(2)ラベルを保持する手段が、ラベルを挟持する上下互に接するベルトであつて、ラベル挟持方向が水平から傾斜方向へとねじれている実用新案登録請求の範囲第1項記載のラベル挿入装置。」
(明細書1ページ4行~11行)
イ.「本考案は、鶏卵パック等の透明容器内に産地,品質等を表示するラベルを入れて容器の外から見えるようにするに際し、容器内にラベルを挿入するためのラベル挿入装置に関するものである。
第4図は、・・・ラベルを水平方向にしたまま落下させるとラベルは空気抵抗でどこに落下するか予測できないので、落下高さを極力低くする必要があり、ラベル引出し装置がコンベア上を移送される卵に触れ、容器内での卵の入り方が乱れて蓋がし難くなる等のトラブルがあつた。
本考案はこのような場合、ラベルを所定箇所に100%確実に供給できる装置を提供しようとするものである。本考案はラベルを水平方向にしたまま落下させないで、ラベルを斜めにした状態で落下させると、ラベルはその傾斜の下方延長方向に確実に落下すると云う原理に基いている。」
(明細書2ページ2行~3ページ4行)
ウ.「パツク5は、コンベアベルト11に載置されてラベル挿入装置下方に輸送され、その輸送タイミングに合わせてカートリツジから水平に取出されたラベルは上記偏位置にあるプーリ10の作用で斜めに傾き、その儘の状態で上下ベルト3,4の挟持から離脱してコンベア11に対し斜め前方に落下し、第4図に示すように充填された鶏卵パツク上の所定箇所に確実に供給できることになり、ベルト3,4を極度に下の移送物品(卵)に近接させて架設する必要がない。」(明細書4ページ12行~5ページ2行)
エ.「
」
オ.「
」
カ.「
」
キ.「
」
ク.上記エ.~キ.の図示によれば、以下の事項が看取できる。
(ア)パツク5は平面視長方形である。
(イ)パツク5には、5個2列合計10個の鶏卵が収容されている部分と、鶏卵が収容されていない部分がある。
(ウ)ラベルは、平面視長方形である。
上記ア.~ク.によれば、引用文献1には、以下の発明(「引用発明1」という)が記載されている。
「5個2列合計10個の鶏卵が収容されている部分と鶏卵が収容されていない部分がある平面視長方形のパツク5に、水平に対し傾斜した状態で平面視長方形のラベルを保持し、かつその状態でラベルの保持を解除するラベル保持手段を備えた、ラベル挿入装置。」
(2)引用文献2
本願出願前に頒布された刊行物である引用文献2(特開2014-159303号公報)には、以下の記載(「引用文献2記載事項」という)がある。
ア.「【請求項1】
複数の卵を、その長軸を上下方向に沿わせ、卵の上端を突出させた状態で収容している容器本体と、
下方に開放し、上面と側面とからなる箱状に透視可能に形成され、前記側面の下端を前記容器本体の外周に重ねて前記容器本体の上方に配置されている上蓋と、
前記容器本体と前記上蓋とから構成された空間に置かれるラベルとを含む卵収容容器であって、
前記ラベルは、第1の平面および第2の平面を形成するように2つに折り曲げられており、
前記ラベルの第1の平面は、前記上蓋の上面と前記卵の上端との間に位置しており、
前記ラベルの第2の平面は、前記上蓋の側面と前記卵の側部との間に位置している、卵収容容器。」
イ.「【0031】
本発明の第1の実施の形態に係る卵収容容器1は、図1~4に示すように、卵Eが収容される容器本体2と、上蓋3とを備える。・・・
【0033】
卵収容容器1の上蓋3は、上面31と側周面32とから成る箱状に透視可能な材料により形成されている。本実施の形態において、上蓋3は、略直方体の箱状に形成されており、1つの上面31と、4つの側面からなる側周面32とから成る。・・・
【0034】
本実施の形態において、容器本体2および上蓋3は、四角形の外周20,30を有し、外周20の一の長辺20aと外周30の一の長辺30aとを結合してヒンジ部分とされている。これにより、上蓋3は、一の長辺20a(30a)の側をヒンジ部分として、枢軸的に回動し、開閉される。・・・」
ウ.「【0066】
また、上記の第1および第2の実施の形態に係るラベル封入方法において、図7に示すように、卵収容容器が開いた状態で、上蓋の中にラベルを配置し、ヒンジ部分を軸に卵収容容器を閉じることにより、ラベルを卵収容容器に封入してもよい。これにより、ラベル5は、第1および第2の平面51,52を、それぞれ、容器本体2に収容された卵Eの上端および側部に対応する位置におかれる。」
エ.「【図7】
」
2.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1を対比すると、引用発明1の「5個2列合計10個の鶏卵」は、本願発明1の「複数の卵」に相当し、以下同様に、「パツク5」は「容器」に、「ラベル挿入装置」は「ラベル投入装置」にそれぞれ相当する。
引用発明1の「パツク5」について、「鶏卵が収容されていない部分」は、最終的に「5個2列合計10個の鶏卵が収容されている部分」との境界線で折り曲げられて上蓋を構成する部分であることは明らかである。また、「5個2列合計10個の鶏卵が収容されている部分」をみると、平面視長方形の形状であることもまた明らかである。
よって、引用発明1の「パツク5」のうち「5個2列合計10個の鶏卵が収容されている部分」は、本願発明1の「複数の卵が収容される平面視長方形の容器本体」に相当する。
また、引用発明1の「パツク5」のうち「鶏卵が収容されていない部分」が上蓋であることは、「蓋体」の限りにおいて、本願発明1の「平板状の天壁と、この天壁の周縁に連続して形成された複数の側壁とを有する蓋体」と一致する。
そして、引用発明1の「パツク5」の「鶏卵が収容されていない部分」が、最終的に「5個2列合計10個の鶏卵が収容されている部分」との境界線で折り曲げられて上蓋を構成することは、本願発明1の「この容器本体の長辺側に設けられた連結部を軸として展開状態と閉塞状態との間で開閉可能であ」ることに相当する。
引用発明1の「ラベル保持手段」は、上記1.(1)ウ.によれば、ラベルが上下ベルト3,4の挟持から離脱すること、すなわちラベルの保持を解除することで、ラベルをパツク5上の所定箇所に確実に供給できるものである。
そうすると、引用発明1の「水平に対し傾斜した状態で平面視長方形のラベルを保持し、かつその状態でラベルの保持を解除するラベル保持手段」は、「展開状態の容器にラベルを投入する放出手段」の限りにおいて、本願発明1の「連結部から最も遠い側壁と天壁との境界部分にラベルの長辺を沿わすように、容器本体の長辺と直交する方向の力をラベルに加えて展開状態の蓋体にラベルを投入する放出手段」と一致する。
よって、本願発明1と引用発明1は、以下の点で一致する。
<一致点>
「複数の卵が収容される平面視長方形の容器本体と、この容器本体の長辺側に設けられた連結部を軸として展開状態と閉塞状態との間で開閉可能である蓋体とを備えた容器に平面視長方形のラベルを投入するラベル投入装置であって、展開状態の容器にラベルを投入する放出手段を備えるラベル投入装置。」
そして、本願発明1と引用発明1は、以下の点で相違する。
<相違点1>
蓋体について、本願発明1は、「平板状の天壁と、この天壁の周縁に連続して形成された複数の側壁とを有する蓋体」であるのに対して、引用発明1は、パツク5の鶏卵が収容されていない部分である点。
<相違点2>
放出手段について、本願発明1は、「連結部から最も遠い側壁と天壁との境界部分にラベルの長辺を沿わすように、容器本体の長辺と直交する方向の力をラベルに加えて展開状態の蓋体にラベルを投入する放出手段」であるのに対して、引用発明1のラベル保持手段は、水平に対し傾斜した状態で平面視長方形のラベルを保持し、かつその状態でラベルの保持を解除するものである点。
(2)相違点についての検討
<相違点1>における本願発明1の蓋体形状は、<相違点2>における本願発明1のラベル投入先である蓋体の「境界部分」と密接に関連するものであるから、二つの相違点をあわせて検討する。
ア.引用発明1の上蓋を構成する「鶏卵が収容されていない部分」をみると、上記1.(1)キ.に示されているように、鶏卵の上部形状に沿う凹凸形状を有するものであるから、上部の壁という意味での「天壁」や、側方の壁という意味での「天壁の周縁に連続して形成された複数の側壁」とが存在するとはいえるけれども、両者は滑らかで複雑な曲線で繋がっているから、その境界は定かでない。
すなわち、引用発明1の上蓋を構成する「鶏卵が収容されていない部分」は、本願発明1のような「平板状の天壁」を有しておらず、「側壁と天壁との境界部分」が定かでないものである。
イ.また、引用発明1におけるラベルの投入状態をみると、上記1.(1)キ.に示されているように、ラベルは「5個2列合計10個の鶏卵が収容されている部分」に投入されている。
すなわち、引用発明1のラベル保持手段は、本願発明1のように「蓋体にラベルを投入する」ものではない。
ウ.さらに、引用発明1のラベル保持手段は、上記1.(1)ウ.に示されているように、保持を解除することでラベルが落下するものである。
すなわち、引用発明1のラベル保持手段は、本願発明1のように「力をラベルに加えて」「ラベルを投入する」ものではない。
エ.そうすると、引用発明1は、上記ア.のとおり「側壁と天壁との境界部分」が定かでなく、上記イ.のとおり「蓋体にラベルを投入する」ものでもない上に、上記ウ.のとおり「力をラベルに加えて」「ラベルを投入する」ものではないから、引用発明1において、本願発明1のように「連結部から最も遠い側壁と天壁との境界部分にラベルの長辺を沿わすように、容器本体の長辺と直交する方向の力をラベルに加えて展開状態の蓋体にラベルを投入する」ことはできないものであるといわざるを得ない。
オ.ここで、引用文献2には、上記1.(2)に示したとおり、平板状の上面31と、上面31の周縁に連続して形成された複数の側周面32とからなる上蓋3を備えた卵収容容器1にラベル5を配置する技術に関し、上蓋3にラベルを配置する点が記載されている。
しかしながら、引用文献2記載事項は、2つに折り曲げられたラベルであることが前提のものであって、どのような手段でラベルを配置するのか明記されておらず、また、連結部から最も遠い側壁と天壁との境界部分にラベルの長辺を沿わすように配置するか否かも明らかでない。
そうすると、引用発明1のラベル配置に関する構成について、引用文献2記載事項を適用したとしても、引用発明1は、平板状の上面を備えた上蓋に、2つに折り曲げられたラベルを配置する構成にとどまるものであり、依然として、本願発明1のように「連結部から最も遠い側壁と天壁との境界部分にラベルの長辺を沿わすように、容器本体の長辺と直交する方向の力をラベルに加えて展開状態の蓋体にラベルを投入する」ものとはならない。
カ.その他の文献をみても、引用文献3(特開2001-117493号公報)は吊り下げラベル製造に関する技術であり、引用文献4(特開2001-278229号公報)は係止爪への冊子挿入に関する技術であって、いずれも本願発明1のように「連結部から最も遠い側壁と天壁との境界部分にラベルの長辺を沿わすように、容器本体の長辺と直交する方向の力をラベルに加えて展開状態の蓋体にラベルを投入する」ものではない上に、引用発明1のラベル挿入装置との関連性も低いといわざるを得ないものである。
そして、引用発明1において、上記オ.のように引用文献2記載事項を適用した上で、さらに引用文献3、4のような構成を適用する動機付けもない上に、引用文献2記載事項のように2つに折り曲げられたラベルに力を加えて蓋体に投入する放出手段は、引用文献1~4のいずれにも記載されていない。
キ.また、本願発明1は、上記<相違点1>及び<相違点2>に係る構成が一体となって、
「ラベルLの先端側の縁L1を、連結部P2から最も遠い側壁P33と天壁P31との境界部分P30に向けて投入するので、連結部P2を中心に蓋体P3を回転動作させて閉じるという簡単な動作で、天壁P31と側壁P32の2面に沿ったラベルLを所望の位置に配置させることができる。」(段落【0043】)
「本実施形態の境界部分P30は、ラベルLを投入したときに、ラベルLの先端側の縁L1(長辺)が当接してラベルLの前後方向の動きをある程度規制するものである。そのため、ラベルLが蓋体P3内に投入されてから蓋体P3が閉められるまでの間、ラベルLが前後方向にずれることなく搬送することができるとともに、蓋体P3を閉めた際に所望の位置にラベルLを配置させることができる。」(段落【0044】)
という格別の効果を奏するものである。
ク.よって、引用発明1において、上記<相違点1>及び<相違点2>に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たものであるということはできない。
(3)以上のとおり、本願発明1は、引用発明1、引用文献2、3記載事項及び周知技術等に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
3.本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、更に限定するものであるから、本願発明2についても同様の理由により、引用発明1、引用文献2、3記載事項及び周知技術等に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
4.小括
以上のとおり、本願発明1、2は、原査定の理由により、引用発明1、引用文献2、3記載事項及び周知技術等に基いて、当業者が容易に 発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第5.むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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