2019-012398
ゲートウェイ装置
- 審判番号
- 2019-012398
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-024037外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年09月18日
- 審決日
- 2020年06月05日
- 公報発行日
- 2020年07月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社東芝
- 【請求人代理人】特許業務法人 志賀国際特許事務所
- 【請求人】東芝インフラシステムズ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 志賀国際特許事務所
- 分類
- P18 .561-WY (H04Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第159条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 21項目
第1 手続の経緯
本願は,平成28年2月10日の出願であって,平成31年2月18日付けで拒絶理由が通知され,平成31年4月26日に手続補正書が提出されたが,令和元年6月7日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,令和元年9月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和元年9月18日の手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
令和元年9月18日の手続補正(以下,「本件補正」という。)は,補正前の平成31年4月26日の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-4に記載された
「【請求項1】水処理設備の制御に用いられるデータを取得し,前記水処理設備の制御に用いられるデータを表す文字と,この文字に予め対応付けられたコードよりも短い固定ビット長の圧縮データとが対応付けられた変換テーブルに基づいて前記文字を前記圧縮データに変換し,前記圧縮データを含む指示データを生成する生成部と,前記水処理設備を制御するためのコントローラに前記指示データを送信する通信部と,を備えるゲートウェイ装置。【請求項2】前記生成部は,前記文字の組み合わせを表す文字列と前記圧縮データとが対応付けられた前記変換テーブルに基づいて前記文字列を前記圧縮データに変換し,前記圧縮データを含む指示データを生成する,請求項1に記載のゲートウェイ装置。【請求項3】前記通信部は,今回の送信先の前記コントローラから信号を取得できない場合,複数の前記コントローラのうち,前回の送信先とは異なる前記コントローラに前記指示データを送信する,請求項1に記載のゲートウェイ装置。【請求項4】前記通信部は,異なる通信端末から前記指示データを取得し,前記指示データを前記通信端末ごとに前記コントローラに送信する,請求項1に記載のゲートウェイ装置。」(以下,「補正前発明」という。)
を,
「【請求項1】水処理設備の制御に用いられるデータを取得し,前記水処理設備の制御に用いられるデータを表す文字と,この文字に予め対応付けられたコードよりも短い固定ビット長の圧縮データとが対応付けられた変換テーブルに基づいて前記文字を前記圧縮データに変換し,前記圧縮データを含む指示データを生成する生成部と,前記水処理設備を制御するためのコントローラに前記指示データを送信する通信部と,を備え,続きを表示(全12行)前記生成部は,前記圧縮データを含まない指示データを前記通信部が前記コントローラに送信する場合,前記水処理設備の制御に用いられるデータを前記コントローラが受信可能なサイズに分割し,前記通信部は,分割された前記制御に用いられるデータを含む指示データを,前記コントローラに順次に送信する,ゲートウェイ装置。【請求項2】前記生成部は,前記文字の組み合わせを表す文字列と前記圧縮データとが対応付けられた前記変換テーブルに基づいて前記文字列を前記圧縮データに変換し,前記圧縮データを含む指示データを生成する,請求項1に記載のゲートウェイ装置。【請求項3】前記通信部は,今回の送信先の前記コントローラから信号を取得できない場合,複数の前記コントローラのうち,前回の送信先とは異なる前記コントローラに前記指示データを送信する,請求項1に記載のゲートウェイ装置。【請求項4】前記通信部は,異なる通信端末から前記指示データを取得し,前記指示データを前記通信端末ごとに前記コントローラに送信する,請求項1に記載のゲートウェイ装置。」(以下,「補正後発明」という。)
に補正するものである。なお,下線は補正箇所を示す。
2.補正の適否
補正後発明の請求項1には,
「前記生成部は,前記圧縮データを含まない指示データを前記通信部が前記コントローラに送信する場合,前記水処理設備の制御に用いられるデータを前記コントローラが受信可能なサイズに分割し,前記通信部は,分割された前記制御に用いられるデータを含む指示データを,前記コントローラに順次に送信する」
という記載がある。
(1)「前記圧縮データを含まない指示データを前記通信部が前記コントローラに送信する場合」について
本願の願書に最初に添付した明細書(以下,「当初明細書」という。また,特許請求の範囲又は図面と合わせて,「当初明細書等」ともいう。)の段落【0003】【0005】の
「【0003】しかしながら,ゲートウェイ装置は,指示データの書き込み要求が短時間に集中した場合には,指示データをコントローラに書き込んだ結果を一定時間内に通信端末に通知することができない場合があった。」
「【0005】本発明が解決しようとする課題は,指示データの書き込み要求が短時間に集中した場合でも,指示データをコントローラに書き込んだ結果を一定時間内に通信端末に通知することができるゲートウェイ装置を提供することである。」
の記載によれば,本発明は,
ゲートウェイにおいて,指示データの書き込み要求が短時間に集中した場合には,指示データをコントローラに書き込んだ結果を一定時間内に通信端末に通知することができない場合を解消するため,指示データの書き込み要求が短時間に集中した場合でも,指示データをコントローラに書き込んだ結果を一定時間内に通信端末に通知することができるゲートウェイを提供する
ことが目的であると理解される。
ここで,当初明細書段落【0040】-【0041】の
「【0040】送信の待ち時間(送信間隔)は,圧縮データを含まない指示データを通信部430が送信する場合,通信部430のキューに大量の指示データが貯まるので長くなる。送信の待ち時間は,例えば,0.2秒である。したがって,通信部430は,通信部430のキューに大量の指示データが貯まった場合には,一定時間内に通信端末3に応答を返せない場合がある。なお,通信端末3は,指示データの書き込みが正常である場合でも通信部430が一定時間内に応答を返せない場合には,指示データの書き込みがタイムアウトしたと判定することになる。【0041】通信部430は,生成部432が生成した圧縮データを含む指示データを送信することによって,圧縮データを含まない指示データを送信する場合と比較してコントローラ40との通信を短時間で完了することができる。したがって,通信部430は,指示データの書き込み要求が短時間に集中した場合でも,圧縮データを含む指示データを送信することによって,指示データをコントローラ40に書き込んだ結果を一定時間内に通信端末3に通知することができる。」
の記載によれば,
圧縮データを含まない指示データを送信する場合,キューに大量の指示データが貯まった場合には一定時間内に通信端末に応答を返せない場合がある一方,圧縮データを含む指示データを送信することによって,圧縮データを含まない指示データを送信する場合と比較してコントローラとの通信を短時間で完了することができるから,指示データの書き込み要求が短時間に集中した場合でも指示データをコントローラに書き込んだ結果を一定時間内に通信端末に通知することができる。
そうすると,「指示データの書き込み要求が短時間に集中した場合でも,指示データをコントローラに書き込んだ結果を一定時間内に通信端末に通知することができるように」するためには,「圧縮データを含むデータを送信する」ことが必要であり,「圧縮データを含まない指示データを送信する場合」には,「一定時間内に通信端末に応答を返せない場合がある」から,本発明の目的を達成しないといえる。
さらに,【0044】-【0070】に記載される「圧縮データを含まない指示データを送信する場合」の動作は,「圧縮データを含む指示データを通信部430がコントローラ40に送信する場合との比較のため」(【0044】)に記載されているのであって,【0070】に「一定時間内に受信応答信号を通信端末3-1に送信することができない場合がある。」と記載しているように,「圧縮データを含まない指示データを送信する場合」には,「指示データをコントローラに書き込んだ結果を一定時間内に通信端末に通知すること」ができない場合があることが理解される。
そして,当初明細書等の他の記載を参照しても,本発明が「圧縮データを含まない指示データを送信する場合」があることは記載も示唆もされていない。
つまり,当初明細書の記載によれば,本発明は,「圧縮データを含むデータを送信する」ことにより課題を解決するものであって,「圧縮データを含まない指示データを送信する場合」はない。
(2)「前記コントローラが受信可能なサイズに分割」「分割された前記制御に用いられるデータを含む指示データを,前記コントローラに順次に送信する」について
上記(1)に記載したように,本発明は「圧縮データを含むデータを送信する」ものであって,圧縮データを含むデータの送信は,当初明細書に,
「【0092】通信端末3-1は,上位システム2が指示データを送信した場合,ゲートウェイ装置43-1に指示データを送信する(ステップS101)。ゲートウェイ装置43-1は,圧縮データである96個の動作モードデータと圧縮データである96個の指示値データとから構成される制御データ(第1データから第192データまで)を含む指示データを,コントローラ40-1に送信する。ゲートウェイ装置43-1は,受信応答信号をコントローラ40-1から取得する(ステップS301)。」
と記載されるように,「圧縮データを含むデータを送信する」場合には,全てのデータを含む制御データを送信することが記載されているだけであって,制御データを「分割」することも,「分割された前記制御に用いられるデータを含む指示データ」を順次送信することも,いずれも記載されていない。
さらに,当初明細書の
「【0048】図2に示す伝文フォーマットでは,指示データは,第1データから第24データまでのデータ領域に,5バイトのデータを最大で24個含むことができる。生成部432は,120バイト(=5バイト×24)よりもサイズが大きい制御データを送信するには,制御データを分割して送信する。」
の記載によれば,「圧縮データを含まない指示データを送信する場合」に行う分割においても,分割は,「120バイトよりもサイズが大きい」場合になされることは理解できるものの,当該「120バイト」が「前記コントローラが受信可能なサイズ」であるとは記載されておらず,そもそも当初明細書には,「前記コントローラが受信可能なサイズ」がどのようなサイズであるかの記載はない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから,前記生成部が,「前記圧縮データを含まない指示データを前記通信部が前記コントローラに送信する場合,前記水処理設備の制御に用いられるデータを前記コントローラが受信可能なサイズに分割」することは,当初明細書等には記載がなく自明でもないから,本件補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであり,特許法第17条の2第3項の規定に適合しない。
3.結語
したがって,本件補正は,特許法第159条第1項において準用する同法第53条項の規定により,却下すべきものである。
第3 原査定の概要
原査定の概要は以下のとおりである。
1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
●理由1(特許法第29条第2項)について
・請求項 1,3-4
・引用文献等 1-4
・請求項 2
・引用文献等 1-5
<引用文献等一覧>
1.特開2004-341884号公報
2.米国特許出願公開第2002/0145545号明細書
3.特開2003-099282号公報
4.特開2006-272263号公報
5.特開平10-065551号公報
第4 本願発明1
本件補正は,上記「第2 補正却下の決定」のとおり却下されたので,本願の請求項1ないし4に係る発明は,上記「第2 補正却下の決定」に記載した「補正前発明」の請求項1ないし4に記載されたとおりのものであると認める(以下,それぞれ「本願発明1」,「本願発明2」等という。)。
第5 引用発明等
1.引用発明
原査定の理由に引用された特開2004-341884号公報(以下,「引用文献1」という。下線は当審が付与。)には,
「【0020】図7は,クライアント100とサーバ705間にゲートウェイサーバ704を介在させたクライアント・サーバ・システムにおいて,送受信データの流れを示す図である。このシステムでは,サーバ705とゲートウェイサーバ704はネットワーク709を介して接続され,ゲートウェイサーバ704とクライアント100はネットワーク708を介して接続されている。ゲートウェイサーバ704は,クライアント-サーバ間の中継装置として機能する計算機である。本例では,サーバ705とゲートウェイサーバ704の間の通信について,送信データのデータ圧縮を適用しないというインターオペラビリティ(相互運用性)を守るものとし,ゲートウェイサーバ704とクライアント100の間の通信についてはこのインターオペラビリティを守らなくてもよいものとし,データ圧縮を適用するものとする。また例えばネットワーク709は高速回線,ネットワーク708は低速回線で構成される。ここではサーバ705とゲートウェイサーバ704の間の通信は分散オブジェクトの通信プロトコルに従うものとし,ゲートウェイサーバ704とクライアント100の間の通信はHTTPプロトコルに従うものとする。サーバ705,ゲートウェイサーバ704及びクライアント100の間に送受信される電文は分散オブジェクトの仕様に従っている。【0021】クライアント100は,分散オブジェクトとして定められた仕様に従ったサーバ705向けの要求メッセージを含む送信電文702を作成する。送信電文702は,アプリケーション層のヘッダとボディ部から成る。次にクライアント100は,送信電文702をデータ圧縮した送信データ703を作成し,HTTPヘッダを付加してゲートウェイサーバ704へ送信する。ゲートウェイサーバ704は,送信データ703を受信し,元の送信電文702を復元する。次にゲートウェイサーバ704は,分散オブジェクトのプロトコルに従って送信電文702をサーバ705へ送信する。ボディ部の(送信)は,クライアント100からみた送信データを示す。【0022】次にサーバ705は,分散オブジェクトとして定められた仕様に従った応答データを含む受信電文706を作成してゲートウェイサーバ704へ送信する。ゲートウェイサーバ704は,この受信電文706を受信し,受信電文706をデータ圧縮した受信データ707を作成し,HTTPヘッダを付加してクライアント100へ送信する。クライアント100は,受信データ707を受信し,元の受信電文706を復元する。ボディ部の(受信)は,クライアント100からみた受信データを示す。」
【図7】
の記載があるから,引用文献1には,
「クライアント100とサーバ705間にゲートウェイサーバ704を介在させたクライアント・サーバ・システムにおいて,サーバ705とゲートウェイサーバ704はネットワーク709を介して接続され,ゲートウェイサーバ704とクライアント100はネットワーク708を介して接続され,ネットワーク709は高速回線,ネットワーク708は低速回線で構成され,サーバ705は,分散オブジェクトとして定められた仕様に従った応答データを含む受信電文706を作成してゲートウェイサーバ704へ送信し,ゲートウェイサーバ704は,この受信電文706を受信し,受信電文706をデータ圧縮した受信データ707を作成し,HTTPヘッダを付加してクライアント100へ送信するクライアント・サーバ・システム」(以下,「引用発明」という。)
が記載されている。
2.技術事項1
原査定の理由に引用された米国特許出願公開第2002/0145545号明細書には,「各英数字に8ビットを使用しているASCIIコードについて,ファイルが6文字だけで構成されている場合に,固定長エンコードでは,6つのアルファベットをエンコードするには3ビットが必要であること」(以下,「技術事項1」という。)が記載されている。
3.技術事項2
原査定の理由に引用された特開2003-099282号公報には,「水処理設備の監視制御装置が,監視制御機器11の追加などによる障害発生時に,直前の状態を収集可能とすること」(以下,「技術事項2」という。)が記載されている。
4.技術事項3
原査定の理由に引用された特開2006-272263号公報には,「注水ポンプ20aがGW30を介してホストコンピュータ24と接続されているネットワークにおいて,土壌浄化装置1の薬剤を注入する注水井戸のポンプの制御を遠隔で行うこと」(以下,「技術事項3」という。)が記載されている。
第6 対比・判断
1.対比
本願発明1と引用発明とは
(相違点1)
生成部に関し,本願発明1は,「水処理設備の制御に用いられるデータ」を取得し,「前記水処理設備の制御に用いられるデータを表す文字」を「この文字に予め対応付けられたコードよりも短い固定ビット長の圧縮データとが対応付けられた変換テーブルに基づいて前記文字を前記圧縮データに変換」するのに対し,引用発明は,「応答データを含む受信電文」を受信し,「データ圧縮した受信データ」を作成する点。
(相違点2)
通信部に関し,本願発明1は,「前記水処理設備を制御するためのコントローラ」に「前記圧縮データを含む指示データ」を送信するのに対し,引用発明は,「クライアント」に「データ圧縮した受信データ」にHTTPヘッダを付加して送信する点。
で相違する。
2.相違点についての判断
相違点1及び2を合わせて検討する。
ゲートウェイ装置が,取得したデータの「水処理設備の制御に用いられるデータを表す文字」を「圧縮データに変換」し,「前記水処理設備を制御するためのコントローラ」に送信することは引用発明に記載されておらず,そのほかの引用文献にも記載されていない。
また,本願出願日前において周知技術であるともいえない。
したがって,相違点1及び2について当業者が引用発明,引用文献2-4に記載された技術事項1-3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえないから,本願発明1は,当業者が引用発明,引用文献2-4に記載された技術事項1-3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また,本願発明3-4は,本願発明1をさらに限定したものであるので,本願発明1と同様に,当業者が引用発明,引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
また,本願発明2は,本願発明1をさらに限定したものであるので,本願発明1と同様に,当業者が引用発明,引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
第7 むすび
以上のとおり,本願発明1,3-4は,当業者が引用発明,引用文献2-4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではなく,かつ,本願発明2は,当業者が引用発明,引用文献2-5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないから,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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