特許拒絶査定不服審判
2019-012321
超電導ケーブルの接続部
- 審判番号
- 2019-012321
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-019803
- 請求日
- 2019年09月17日
- 審決日
- 2020年12月02日
- 公報発行日
- 2021年01月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】昭和電線ケーブルシステム株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人鷲田国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 辻本 泰隆
- 審判官 ▲吉▼澤 雅博
- 審判官 脇水 佳弘
- 分類
- P18 .121-WY (H01B) / P18 .536-WY (H01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017- 19803「超電導ケーブルの接続部」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月16日出願公開,特開2018-129128,請求項の数(6)〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は,特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2017年(平成29年) 2月 6日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年10月 4日付け:拒絶理由通知書
平成31年 2月15日 :意見書,手続補正書の提出
平成31年 2月21日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成31年 4月12日 :意見書,手続補正書の提出
令和 1年 6月11日付け:拒絶査定(原査定)
令和 1年 9月17日 :審判請求書の提出
令和 2年 7月14日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由通知」という。)
令和 2年 9月23日 :意見書,手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和 1年 6月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1 この出願は,発明の詳細な説明の記載が,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
理由1 本願の請求項1-2に係る発明は,引用文献1に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができない。
理由2 本願の請求項1-6に係る発明は,引用文献1-2に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2015-207499号公報(当審において新たに引用した文献)
引用文献2 特開平10-126917号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は,令和 2年 9月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は,以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
芯材の周囲に円状に複数の超電導線材が巻き付けてなる超電導導体層と,
前記超電導導体層の外周に周方向で巻き付けられ,前記超電導導体層の前記複数の超電導線材のそれぞれに電気的に接続された周設用超電導線材と,
前記超電導導体層を囲むように配設され,前記周設用超電導線材が電気的に接合される筒状電極と,を有する超電導ケーブルの接続部であって,
前記超電導導体層と前記周設用超電導線材とが高融点半田で接合され,
前記超電導導体層と前記筒状電極とが前記高融点半田より低融点の低融点半田で接合されている,超電導ケーブルの接続部。」
なお,本願発明2-6は,本願発明1の構成を全て引用する従属請求項である。
第5 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
(1)令和 2年 7月14日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。以下同様である。)
「【請求項1】
芯材と,
前記芯材よりも外周側に螺旋状に巻き付けられ超電導線材からなる線材層を構成する複数本のテープ状の超電導線材と,
前記線材層を構成する前記超電導線材同士を短絡するテーブ状の短絡超電導線材と,を有する超電導ケーブル。」
「【0001】
本発明の実施形態は,超電導ケーブル,及び超電導機器に関する。」
「【0018】
<第1実施形態>
図1に第1実施形態としての超電導ケーブル1の部分断面略図を示す。
超電導ケーブル1は,ケーブルコア85と,このケーブルコア85を収納する金属製の断熱二重管84とを有している。
断熱二重管84は,可撓性を有する。また,断熱二重管84は,内管84aと外管84cを有し,内管84aと外管84cの間には,真空断熱層84bが形成されており,外部からの熱の影響を排除する構造となっている。内管84aの内部には,冷媒流通用の間隙87をあけてケーブルコア85が収容されている。
【0019】
ケーブルコア85は,複数層構造を有しており,内側から順にフォーマ(芯材)81と,第1線材層6と,絶縁層82と,第2線材層7と,ケーブル安定化層86と,保護層83と,を有している。
フォーマ81は,金属製(例えば銅製)の撚線からなる。第1線材層6は,複数列のテープ状の超電導線材2がフォーマ81に螺旋状に巻きつけられて形成されている。第1線材層6の周囲には,絶縁層82が形成されており,絶縁層82の内側の層(第1線材層6)と外側の層(第2線材層7)とを絶縁している。第2線材層7は,第1線材層6と同様に,複数列のテープ状の超電導線材3が螺旋状に巻きつけられて形成されている。第2線材層7を構成する超電導線材3は,第1線材層6を構成する超電導線材2と同一の線材を用いても良く,また幅広のものを用いても良い。また,図1には,第1線材層6の超電導線材2と第2線材層7の超電導線材3との螺旋方向を一致させた例を示しているが,螺旋方向を互いに逆向きとしても良い。
ケーブル安定化層86は,導電性の金属からなり,ケーブルに流れる電流を安定化する役割を果たす。保護層83は,冷媒からケーブルコア85を保護する役割を果たす。
【0020】
本実施形態のテープ状の超電導線材2,3は,金属基材上に配向中間層,RE系超電導層,安定化層が形成されたRE123系酸化物超電導線材であり,その寸法は幅3~10mm,厚さ0.5mm程度である。また,ビスマス系の多芯構造の酸化物超電導線材を適用することもできる。
超電導線材2,3は,超電導ケーブル1において,内側に金属基材が配置され外側に安定化層が配置されるように螺旋巻きされている。
【0021】
本実施形態において,超電導線材2,3が螺旋状に巻きつけられて形成される線材層は,第1線材層6と第2線材層7との2層構造とされているが,これより多くの層を形成しても良い。また,第2線材層7の外周に絶縁層を介して超電導シールド層を形成しても良い。この場合超電導シールド層として,第1,第2線材層6,7の超電導線材2,3と同様の線材を,螺旋巻きして形成することができる。超電導シールド層を設けることで,超電導導体層に流れ得る電流によって発生する電磁界を打ち消して,電磁界による影響を超電導ケーブル1の外部に及ぼさないようにできる。
【0022】
第1線材層6の周囲には,第1短絡超電導線材4が巻きつけられて,第1短絡部10を形成している。
第1短絡超電導線材4は,その端部4a,4a同士が互いに突き合わされるように第1線材層6の周囲に巻きつけられている。第1短絡超電導線材4と,第1線材層6の超電導線材2とは,半田8を介して接続されている。
第1線材層6の超電導線材2は,内周側に基材,外周側に安定化層が配置されている。また,第1短絡超電導線材4は,第1線材層6の超電導線材2と同じ層構造及び幅の線材を用いることができ,安定化層側を内側にして巻きつけられている。第1短絡超電導線材4と超電導線材2とは,互いの安定化層同士が向き合って配置され,当該安定化層同士が半田8によって接合されている。
第1短絡部10において,第1線材層6を構成する複数の超電導線材2は,全て短絡されている。したがって,第1短絡部10は,並行して螺旋巻きされる複数の超電導線材2に流れる電流を均流化できる。
【0023】
第2線材層7の周囲には,第2短絡超電導線材5が巻きつけられて,第2短絡部11を構成している。第2短絡部11は,第1短絡部10に対して超電導ケーブル1の長さ方向の位置をずらして形成されている。第1,第2短絡部10,11が形成された部分の超電導ケーブル1は,第1,第2短絡超電導線材4,5の厚みだけ外径が太くなる。第1,第2短絡部10,11を超電導ケーブル1の長さ方向にずらして(異なる位置に)配置することで,超電導ケーブル1の外径が極端に太くなることがない。
【0024】
第2短絡超電導線材5は,第2線材層7の超電導線材3と同様の層構造及び幅を有している。第2短絡超電導線材5は,その端部5a,5a同士が互いに突き合わされるように第2線材層7の周囲に巻きつけられている。第2短絡超電導線材5は,第2線材層7の超電導線材3と同じ層構造及び幅の線材を用いることができる。また,第2線材層7を構成する超電導線材3と第2短絡超電導線材5とは,互いの安定化層同士が半田8により接合されている。
第2短絡部11によって,第2線材層7を構成する超電導線材3は全て短絡されて,各超電導線材3に流れる電流は均流化される。
【0025】
第1,第2短絡超電導線材4,5は,第1,第2線材層6,7の外周に半田8を介して接合されている。第1,第2短絡超電導線材4,5と超電導線材2,3との接合は,互いの線材同士が密着して行われる。したがって,半田8の厚みは非常に薄いもの(最大で数μm)となり,接続抵抗を低減することができる。さらに,線材同士を密着させているため,半田8の厚みは均一となり接続抵抗のばらつきを低減できる。加えて,半田8による接続抵抗が小さいために,接続抵抗のばらつきによる各線材に流れる電流の差は殆ど生じない。」
「【0030】
第1,第2短絡部10,11は,超電導ケーブル1の端部に設けられていることが好ましい。
超電導ケーブル1の端部は,例えば電力を供給する発電装置が接続されている。超電導ケーブル1の端部とこのような発電装置との接続は,発電装置から延びる端子との半田接合で行われる。端子との半田接合において,超電導ケーブル1の第1,第2線材層6,7を構成する超電導線材2,3に対して,同じ接続抵抗で接続することは困難である。したがって,第1線材層6を構成する複数の超電導線材2,並びに第2線材層7を構成する複数の超電導線材3は,それぞれ異なる接続抵抗によって,発電装置と接続される。超電導線材2,3は,低温において抵抗値が0となるため,わずかな接続抵抗の差によって,流れる電流が大きく変わってしまう。
超電導ケーブル1の端部に第1,第2短絡部10,11を設けることで,超電導ケーブル1の端部の接続抵抗に起因する電流値の差による影響を,超電導ケーブル1の全域に亘って排除できる。」
「【図1】
」
(2)上記(1)から,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ケーブルコア85と,このケーブルコア85を収納する金属製の断熱二重管84とを有し,
断熱二重管84は,可撓性を有し,断熱二重管84は,内管84aと外管84cを有し,内管84aと外管84cの間には,真空断熱層84bが形成され,外部からの熱の影響を排除する構造となっており,内管84aの内部には,冷媒流通用の間隙87をあけてケーブルコア85が収容され,
ケーブルコア85は,複数層構造を有しており,内側から順にフォーマ(芯材)81と,第1線材層6と,絶縁層82と,第2線材層7と,ケーブル安定化層86と,保護層83と,を有し,
フォーマ81は,金属製(例えば銅製)の撚線からなり,第1線材層6は,複数列のテープ状の超電導線材2がフォーマ81に螺旋状に巻きつけられて形成され,第1線材層6の周囲には,絶縁層82が形成されており,絶縁層82の内側の層(第1線材層6)と外側の層(第2線材層7)とを絶縁し,第2線材層7は,第1線材層6と同様に,複数列のテープ状の超電導線材3が螺旋状に巻きつけられて形成され,第2線材層7を構成する超電導線材3は,第1線材層6を構成する超電導線材2と同一の線材が用いられ,
ケーブル安定化層86は,導電性の金属からなり,ケーブルに流れる電流を安定化する役割を果たし,
保護層83は,冷媒からケーブルコア85を保護する役割を果たし,
テープ状の超電導線材2,3は,金属基材上に配向中間層,RE系超電導層,安定化層が形成されたRE123系酸化物超電導線材であり,その寸法は幅3~10mm,厚さ0.5mm程度であり,
超電導線材2,3は,超電導ケーブル1において,内側に金属基材が配置され外側に安定化層が配置されるように螺旋巻きされ,
超電導線材2,3が螺旋状に巻きつけられて形成される線材層は,第1線材層6と第2線材層7との2層構造とされ,
第1線材層6の周囲には,第1短絡超電導線材4が巻きつけられて,第1短絡部10を形成し,
第1短絡超電導線材4は,その端部4a,4a同士が互いに突き合わされるように第1線材層6の周囲に巻きつけられ,第1短絡超電導線材4と,第1線材層6の超電導線材2とは,半田8を介して接続され,
第1線材層6の超電導線材2は,内周側に基材,外周側に安定化層が配置され,
第1短絡超電導線材4は,第1線材層6の超電導線材2と同じ層構造及び幅の線材を用いることができ,安定化層側を内側にして巻きつけられ,第1短絡超電導線材4と超電導線材2とは,互いの安定化層同士が向き合って配置され,当該安定化層同士が半田8によって接合され,
第1短絡部10において,第1線材層6を構成する複数の超電導線材2は,全て短絡され,第1短絡部10は,並行して螺旋巻きされる複数の超電導線材2に流れる電流を均流化でき,
第2線材層7の周囲には,第2短絡超電導線材5が巻きつけられて,第2短絡部11を構成し,
第2短絡超電導線材5は,第2線材層7の超電導線材3と同様の層構造及び幅を有し,第2短絡超電導線材5は,その端部5a,5a同士が互いに突き合わされるように第2線材層7の周囲に巻きつけられ,第2短絡超電導線材5は,第2線材層7の超電導線材3と同じ層構造及び幅の線材を用いることができ,第2線材層7を構成する超電導線材3と第2短絡超電導線材5とは,互いの安定化層同士が半田8により接合され,
第2短絡部11によって,第2線材層7を構成する超電導線材3は全て短絡されて,各超電導線材3に流れる電流は均流化され,
第1,第2短絡部10,11は,超電導ケーブル1の端部に設けられていることが好ましく,
超電導ケーブル1の端部は,例えば電力を供給する発電装置が接続され,超電導ケーブル1の端部とこのような発電装置との接続は,発電装置から延びる端子との半田接合で行われ,端子との半田接合において,超電導ケーブル1の第1,第2線材層6,7を構成する超電導線材2,3に対して,同じ接続抵抗で接続することは困難であり,第1線材層6を構成する複数の超電導線材2,並びに第2線材層7を構成する複数の超電導線材3は,それぞれ異なる接続抵抗によって,発電装置と接続され,超電導線材2,3は,低温において抵抗値が0となるため,わずかな接続抵抗の差によって,流れる電流が大きく変わってしまうところ,超電導ケーブル1の端部に第1,第2短絡部10,11を設けることで,超電導ケーブル1の端部の接続抵抗に起因する電流値の差による影響を,超電導ケーブル1の全域に亘って排除できる,
超電導ケーブル1。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の段落0019及び図1を参照すると,引用文献2には「円筒状であるパイプ部12と板状の突起部14とからなり,パイプ部12には2つの孔16aおよび16bが形成され,これらのうち1つははんだを流し込むための孔として働き,もう1つははんだを流し込む際の空気抜きの孔として働く,超電導ケーブル導体にはんだ付けされる端子部材10。」が記載(以下,「引用文献2記載事項」という。)されていると認められる。
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。
ア 引用発明の「テープ状の超電導線材2」,「フォーマ81」が,それぞれ,本願発明1の「超電導線材」,「芯材」に相当することは明らかである。
そして,引用発明の「複数列のテープ状の超電導線材2がフォーマ81に螺旋状に巻きつけられて形成され」る「第1線材層6」は,本願発明1の「芯材の周囲に円状に複数の超電導線材が巻き付けてなる超電導導体層」に相当する。
イ 引用発明の「第1短絡超電導線材4」は,「第1線材層6の周囲には,第1短絡超電導線材4が巻きつけられて,第1短絡部10を形成し」,「第1短絡部10において,第1線材層6を構成する複数の超電導線材2は,全て短絡され,第1短絡部10は,並行して螺旋巻きされる複数の超電導線材2に流れる電流を均流化でき」るから,本願発明1の「前記超電導導体層の外周に周方向で巻き付けられ,前記超電導導体層の前記複数の超電導線材のそれぞれに電気的に接続された周設用超電導線材」に相当する。
ここで,引用発明において,「第1短絡超電導線材4と超電導線材2とは,互いの安定化層同士が向き合って配置され,当該安定化層同士が半田8によって接合され」ているから,「前記超電導導体層と前記周設用超電導線材とが」「半田で接合され」ているといえる。
ウ 引用発明の「超電導ケーブル1」は,本願発明1の「超電導ケーブル」に対応する。
ここで,引用発明において,「超電導ケーブル1の端部は,例えば電力を供給する発電装置が接続され,超電導ケーブル1の端部とこのような発電装置との接続は,発電装置から延びる端子との半田接合で行われ」るところ,「超電導ケーブル1の端部に第1,第2短絡部10,11を設けることで,超電導ケーブル1の端部の接続抵抗に起因する電流値の差による影響を,超電導ケーブル1の全域に亘って排除できる」ものであるから,「第1短絡部10」が設けられている「超電導ケーブル1の端部」は,「超電導ケーブルの接続部」であるといえる。
エ したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「芯材の周囲に円状に複数の超電導線材が巻き付けてなる超電導導体層と,
前記超電導導体層の外周に周方向で巻き付けられ,前記超電導導体層の前記複数の超電導線材のそれぞれに電気的に接続された周設用超電導線材と,
前記超電導導体層と前記周設用超電導線材とが半田で接合されている,超電導ケーブルの接続部。」
(相違点)
本願発明1は,「超電導ケーブルの接続部」が,「前記超電導導体層を囲むように配設され,前記周設用超電導線材が電気的に接合される筒状電極」を有し,「前記超電導導体層と前記周設用超電導線材とが高融点半田で接合され,前記超電導導体層と前記筒状電極とが前記高融点半田より低融点の低融点半田で接合」すると特定されているのに対して,引用発明は,「超電導ケーブル1の端部」が,そのような構成を有していない点。
(2)相違点についての判断
ア 引用文献1には,「半田8」の融点について,何ら特定されていない。
また,引用文献2記載事項には,「パイプ部12」(本願発明1の「筒状電極」に対応すると認められる。)の孔に「はんだ」を流し込むことにより,超伝導ケーブル導体にはんだ付けされる端子部材が記載されているが,「はんだ」の融点について,何ら特定されていない。
すると,上記相違点に係る本願発明1の,「前記超電導導体層と前記周設用超電導線材とが高融点半田で接合され,前記超電導導体層と前記筒状電極とが前記高融点半田より低融点の低融点半田で接合」するという構成は,上記引用文献1及び引用文献2には記載されておらず,また,当該構成が,本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって,引用発明において,相違点に係る本願発明1の構成を想到することは,当業者であれば容易になし得たものであるとはいえない。
イ 以上から,本願発明1は,当業者であっても引用発明及び引用文献2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-6について
本願発明2-6は,本願発明1の全ての構成要素を備える従属請求項であり,上記相違点に係る本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定について
令和 2年 9月23日にされた手続補正により,発明の詳細な説明の記載は,特許法36条4項1号に規定する要件を満たすものとなった。
したがって,原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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