2019-012188
ベルト搬送装置、転写装置、及び画像形成装置
- 審判番号
- 2019-012188
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-204454外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年09月13日
- 審決日
- 2020年10月13日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】シャープ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 楓国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G03G) / P18 .537-WY (G03G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成26年10月3日を出願日とする出願であって、平成30年6月15日付けで拒絶理由が通知され、同年8月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月25日付けで拒絶理由が通知され、平成31年3月7日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和1年6月5日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して、同年9月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、令和2年6月1日付けで当審により拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年7月27日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和2年7月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】対向ローラを含む回転自在な複数のローラによって張架され、前記対向ローラの軸と直交する移動方向に沿って循環移動自在に構成された無端ベルトと、前記対向ローラと同軸上で且つ前記対向ローラの少なくとも一端側の端部に設けられ、前記対向ローラに対して独立して回転する円柱状の独立回転部材と、前記無端ベルトの裏面で前記一端側と同一側の端部に沿って突条に設けられ、かつ前記対向ローラの軸の中央側となる側面が前記独立回転部材の外側となる側面と対向する位置になるようにされたビートと、続きを表示(全22行)前記無端ベルトを挟んで前記対向ローラに対向配置された押え部材とを備え、前記独立回転部材及び前記ビートの互いに対向する側面は、前記対向ローラの軸方向に対して直交し、前記独立回転部材と前記ビートとの間の摩擦抵抗は、前記独立回転部材と前記対向ローラとの間の摩擦抵抗よりも高く、前記押え部材は、前記対向ローラの軸方向において、前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部のみに対して対向配置されたベルト搬送装置。【請求項2】前記独立回転部材は、前記対向ローラの軸方向から視て、前記対向ローラの直径よりも小さい直径の円形状を呈する請求項1に記載のベルト搬送装置。【請求項3】前記独立回転部材と前記対向ローラとの間には、低摩擦抵抗部材が設けられている請求項1又は請求項2に記載のベルト搬送装置。【請求項4】像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写装置において、請求項1~請求項3の何れかに記載のベルト搬送装置を備える転写装置。【請求項5】像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写装置において、請求項1に記載のベルト搬送装置を備え、前記押え部材は、前記無端ベルトの表面を清掃するためのクリーニング部材である転写装置。【請求項6】トナー像を担持する像担持体と、請求項4又は請求項5に記載の転写装置と、を備える画像形成装置。」
第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2004-46199号公報)には、次の事項が記載されている(なお、下線は当審において付したもので、以下同じである。また、改行を省略した箇所がある。)。
ア 「【0002】【従来の技術】電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置では、感光体ドラム等の潜像担持体上に形成された未定着トナー像を用紙等の記録媒体に転写して印刷画像を得る方式がとられる。前記未定着トナー像を記録媒体に転写する方式として、前記未定着トナー像を記録媒体に直接転写する方式と、潜像担持体上に形成された未定着トナー像を、ドラム状あるいは無端ベルト状のフィルム部材からなる中間転写体上に1次転写した後、該中間転写体上の未定着トナー像を改めて記録媒体上に2次転写して複写画像を得る方式とが知られている。【0003】図9は、ベルト状中間転写体を用いた画像形成装置の一例としてのカラープリンタの要部構成を示す模式図である。同図において、感光体ドラム等の潜像担持体(以下、「感光体ドラム」で代表して説明する)1の表面は帯電器2により所定の電荷で一様に帯電され、レーザー光Lの書き込み走査で第1色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体ドラム1の、A方向への回転で現像装置ユニット3の第1色の現像器との対向位置に至り、第1色の現像器でトナー現像される。感光体ドラム1はトナー像Tを担持してさらに回転する。・・・【0011】2次転写ロール6は、中間転写ベルト4に対して矢印C方向に当接・離間自在に設けられていて、記録紙Pの進入に合わせて当接し、排出にあわせて離間する。2次転写ロール6は2次転写の終了とともに待避位置に戻る。また、中間転写ベルト4に対向して配置されているクリーナ10も記録紙Pへ転写されなかったトナー像をクリ-ニングすべく、中間転写ベルト4に対して2次転写ロールP同様、当接・離間する。【0012】このような中間転写ベルトを用いたカラー画像形成装置では、該中間ベルト上で既に多重転写された合成トナー像(各色トナー像の重畳像)を記録媒体に一括で転写しているので、潜像担持体から直接記録媒体に各色のトナー像を順次転写する方式におけるトナー像間の位置ずれや画像乱れの発生を効果的に防止できるといった利点を有している。【0013】前記中間転写ベルト4は、駆動ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13およびテンションロール14により張架され、駆動ロール11により矢印B方向に搬送される。中間転写ベルト4には、該中間転写ベルト4が駆動ロール11等、各ロールの軸方向での位置を規制するための、リブおよびリブガイドからなる規制部材が設けられている。【0014】一方、前記駆動ロール11は、クリーナ10や2次転写ロール6による負荷がかかったときにも中間転写ベルト4がスリップしないように、表面に高摩擦材料の被覆層が形成されている。【0015】中間転写ベルト4の周回搬送に当たっては該中間転写ベルト4の周回方向の速度変動防止や、駆動ロール11等の軸方向での位置規制および中間転写ベルト4端部の破断防止の観点から、従来より各種の構成が提案されている。」
イ 「【0020】【発明が解決しようとする課題】・・・【0024】中間転写ベルトが破断するという問題点の発生メカニズムについて説明する。新品の駆動ロールと新品中間転写ベルトとの組み合わせは摩擦係数が高く、駆動ロールと中間転写ベルトとのグリップ力が大きい。したがって、中間転写ベルトを張架している各ロールのアラインメント(軸の平行度)がわずかに所定値から外れている場合でも、ベルトはウォークを起こしやすい。したがって、初期から数十サイクルの周回という短時間のうちにベルトは片側に移動し、リブとリブガイドが強いグリップ力によって突き当たる。【0025】ベルトが駆動ロールにかかる位置、および駆動ロールを通過するときの位置において、リブの側面には次のような力が働く。図10は駆動ロール11にかかっている中間転写ベルト4の断面図であり、図11は駆動ロール11と中間転写ベルト4の接触部の断面図である。両図において、中間転写ベルト4の裏面両端部には駆動ロール11の側端面に当接して該中間転写ベルト4のウォークを防止するためのリブ41が設けられている。【0026】中間転写ベルト4がウォークして駆動ロール11の側面に当接した場合、該中間転写ベルト4が駆動ロール11とかかり始める部分R1では、リブ41の側面には力F1が作用する。つまり、中間転写ベルト4が浮き上がって駆動ロール11に乗り上げるような力が作用する。一旦、浮き上がった中間転写ベルト4は駆動ロール11を外れる位置R2で浮き上がりはなくなる。【0027】図12は、浮き上がりが生じた場合の中間転写ベルト4の断面図である。中間転写ベルト4は力F1によって浮き上がらされると同時に、リブ41の側面に強い押しつけ力が作用するため、盛り上がり部分RUが生じる。この盛り上がり部分RUは、前記部分R2では解消する。すなわち、中間転写ベルト4の側端部には、駆動ロール11の付近で、一方向への変形と、その反対方向への変形が交互に発生し、応力集中と応力解放が繰り返されている。【0028】前記リブ41を駆動ロール11の側面に押しつける力は、前記グリップ力が大きいほど、またアラインメントが低下するほど大きくなり、中間転写ベルト4を浮き上がらせやすくなる。前記リブ41が駆動ロール11の側面に強く押しつけられると、前記応力集中と応力解放が繰り返されるだけでなく、ロールの側面からベルトのリブを介してベルトを駆動する力が伝わり、ロール表面からベルトを駆動する本来の駆動速度と必ずしも一致せず、それが歪みとなって応力の蓄積と中間転写ベルト4と駆動ロール11とのきしみ音になる。【0029】前記盛り上がり部分RUで応力集中と応力解放が繰り返され、さらにベルト端部の歪みが蓄積により、そのまま運転を続けると疲労による局部的な亀裂CRが起こる。この局部的な亀裂CRはやがて中間転写ベルト4全体の破断に至る(図13参照)。また、中間転写ベルト4端部に存在していたノッチNからも、容易に中間転写ベルト4全体の破断に至る危険性がある(図14参照)。・・・【0033】本発明は、上述の問題点を解消し、ウォークによってリブとロールとが当接する力によって像担持体である無端ベルトが変形をして破壊するということがない画像形成装置を提供することを目的とする。」
ウ 「【0036】【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明を適用したカラー画像形成装置を詳細に説明する。ここでは、図9に関して説明した構成や動作等を援用し、適宜図9を参照しつつ説明する。・・・【0040】このように、駆動ロール11が新品のときにはグリップ力が大きいため、中間ベルト4のウォークにより、中間転写ベルト4の側端部の繰り返し変形による損傷(図13,図14)が起きやすい。テンションロール14をゆるめてベルト張力を小さくすればグリップ力が落ちるので中間転写ベルト4の損傷は防止できるが、逆にグリップ力が小さすぎると、中間転写ベルト4上に重ねられる各色のトナーの色ずれが発生するという不具合がある。【0041】図7は、駆動ロール11の軸方向全域でのトータルグリップ力と色ずれとの関係を、ベルト張力をパラメータとして表した図である。ここで、トータルグリップ力とは、アイドルロール12と中間転写ベルト4とを固定しておき、その状態で駆動ロール4の軸にトルクメータを装着することによって測定した静止起動トルクをいう。ベルト張力を4kgfで使用する場合、画像形成装置全体の色ずれの許容値における中間転写ベルト4での負担分の許容値が、例えば、25μmであると、同図から、トータルグリップ力は6kgf以上でなければならないことがわかる。続きを表示(全15行)【0042】一方、上述のように、ベルト周回数が10kcs程度で駆動ロール11の汚れが飽和するため、少なくとも、ベルト周回数が10kcs程度以上の使用期間において、トータルグリップ力が6kgf以上になるように設定しなければならない。ベルト周回数が10kcs程度以上で大きいグリップ力を確保しようとすると、前記汚れが進んでいない初期使用状態においてトータルグリップ力は極めて大きくなり、ウォークによる中間転写ベルト4の変形を回避できない。中間ベルト4の破損は使用初期のグリップ力の大きい状態で発生している。【0043】そこで、本実施形態では、色ずれを少なくすることと、中間転写ベルト4の破損を防止することとを両立させるべく、次の対策をとった。すなわち、上述のように、駆動ロール11の軸方向端部でグリップ力Grが大きく、この現象は使用初期において特に顕著であることから、駆動ロール11の軸端付近では低摩擦化を施した。【0044】図8は、駆動ロール11および中間転写ベルト4の構成を示す要部断面図である。同図において、駆動ロール11は、ロール本体11aとその表面に被覆された高摩擦材料部分11bとからなる。この高摩擦材料部分11bは、クリーナ10や2次転写ロール6による負荷がかかったときにも中間転写ベルト4をスリップさせないために設けられている。前記ロール本体11aには、一例としてアルミニウムの管が使用され、高摩擦材料部分11bとしてはポリウレタンの被覆層(5~50μm:好ましくは25μm)が使用される。【0045】駆動ロール11の軸端にはリブガイド17が設けられている。リブガイド17は表面が滑らかで、摺動性の良好な樹脂材料、例えばポリアセタールを使用するのが好ましい。また、リブガイド17はロール本体11bの側面とは固着されていないで分離されいているのがよい。なお、リブガイドはアイドルロール12およびテンションロール14にも同様に設けられている。【0046】中間転写ベルト4はポリイミド系樹脂で構成され、その厚みを50~100μm、体積抵抗率が109~1012Ω・cm、表面抵抗率が1011~1013Ω/□に調整された半導電性フィルムである。この中間転写ベルト4は、その厚み、体積抵抗率、表面抵抗率が上記の値の範囲に入っている半導電性樹脂材料であれば、アクリル系樹脂、塩化ビニール系樹脂、あるいはポリカーボネート系樹脂等に抵抗安定化材料を含有させたものを使用できる。【0047】中間転写べルト4の内側つまり画像担持面裏側の両端にはリブ41,41が設けられている。これらリブ41,41の内側つまり駆動ロール11の軸方向中央寄りの面が駆動ロール11の両端にそれぞれ設けられた前記リブガイド17の端部に外方から当接して中間転写ベルト4の、駆動ロール11の軸方向での動きを規制するように機能している。中間転写ベルト4の外側つまり画像担持面の両端には該中間転写ベルト4端部の強度を増大させるための補強部材としてのテープ18,18が接合されている。テープの材質の一例として厚さ50~100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することができる。【0048】ここで、本発明の一実施形態を、図1を参照して説明する。図1は駆動ロール軸端部の拡大図である。この実施形態は、駆動ロール11の軸端付近では低摩擦化の一つとして、リブガイド17を駆動ロール11に対して独立的に回転可能に構成したものである。【0049】いま、リブガイド17が駆動ロール11と一緒に回動すると仮定すると、ベルトのリブ41はリブガイド17の側面と接触しているので、該リブ41は該リブガイド17の側面から駆動力を得ることになる。この時、リブ41が接触している箇所におけるリブガイド17の側面の回転速度は、駆動ロール11の周面の回転速度より小さいので、ベルト4の中央部と両端部とでは速度差が生じ、ベルト4に歪みが生じることになる。【0050】しかしながら、本実施形態では、リブガイド17は駆動ロール11に対して回転可能にされているので、ロールの側面からベルトのリブ41を介してベルト4を駆動させる力が断ち切られることになる。この結果、ベルト4は駆動ロールの周表面からのみ駆動されことになり、該ベルト4の端部に、速度差による歪みの蓄積が生ずるのを無くすことができる。このため、ベルト4に歪みが生じなくなり、ベルトへの応力ストレスが発生しなくなる。また、ベルトからきしみ音が発生しなくなり、ベルト4の端部における破損を防止または軽減できるようになる。【0051】また、前記テンションロール14にも、図1と同様に、その両側にリブガイドを設け、該リブガイドを回転可能にすると、前記駆動ロールの場合と同様の効果を得ることができる。なお、前記アイドルロール12、2次転写バックアップロール13にも、前記と同様のリブガイドを設けてもよい。【0052】このように、駆動ロール11と、少くともテンションロール14およびアイドルロール12の一方に、前記したリブガイドを設けた場合、該無端のベルト4を張架搬送するベルトユニット内で、これらのリブガイドは、各ロール11、14、および12の同一端側において、軸方向位置で、幅350mm当たり、0~0.5mmの範囲内に位置するようにするのが好適である。」
エ 【0011】、【0013】の記載を踏まえて図9を参照すると、図9からは、クリーナ10が中間転写ベルト4を挟んでアイドルロール12に対向する位置に配置されることが看て取れる。
オ 【0013】ないし【0015】の記載を踏まえて図9を参照すると、図9からは、中間転写ベルト4の周回搬送方向である矢印B方向が、アイドルロール12の軸と直交する方向であることが看て取れる。
カ 図9は次のとおりのものである。
キ 【0044】、【0045】の記載を踏まえて図8を参照すると、図8からは、リブガイド17が、駆動ロール11と同軸に設けられることが看て取れる。
ク 【0044】、【0045】、【0048】の記載を踏まえて図1、図8を参照すると、リブガイド17が駆動ローラ11と同軸に回転する部材であることに照らせば、断面図である図8において凸字状を呈するリブガイド17の立体形状は、駆動ロール11の軸方向中央側から外側に向けて長径の円柱部分と短径の円柱部分とがアイドルロール11と同軸に積み重なった形状であるものと認められる。
ケ 図1は、次のとおりのものである。
コ 図8は、次のとおりのものである。
(2)上記(1)の記載事項によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「駆動ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13およびテンションロール14により張架され、駆動ロール11によりアイドルロール12の軸と直交する方向に周回搬送される中間転写ベルト4と、中間転写ベルト4を挟んでアイドルロール12に対向する位置に配置され、中間転写ベルト4に対して当接・離間するクリーナ10と、を有するカラー画像形成装置であって、アイドルロール12の軸端には、表面が滑らかで、摺動性の良好な樹脂材料からなる、アイドルロール12の軸方向中央側から外側に向けて長径の円柱部分と短径の円柱部分とがアイドルロール12と同軸に積み重なった形状のリブガイドが設けられており、リブガイドはアイドルロール12に対して独立的に回転可能に構成されていて、アイドルロール12の側面からベルトのリブ41を介して中間転写ベルト4を駆動させる力が断ち切られることになり、中間転写べルト4の内側つまり画像担持面裏側の両端のそれぞれにはリブ41が設けられており、リブ41は内側つまりアイドルロール12の軸方向中央寄りの面がアイドルロール12の両端にそれぞれ設けられた前記リブガイドの端部に外方から当接して、中間転写ベルト4の、アイドルロール12の軸方向での動きを規制するように機能しており、中間転写ベルト4の外側つまり画像担持面の両端のそれぞれには該中間転写ベルト4端部の強度を増大させるための補強部材としてのテープ18が接合されており、テープ18は厚さ50~100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)である、カラー画像形成装置。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「アイドルロール12」は、本願発明1の「対向ローラ」に相当する。
イ 引用発明の「駆動ロール11」は、「中間転写ベルト4」を「張架」し、「周回搬送」するものであるから、「回転自在」なものと認められる。また、「アイドルロール12」、「2次転写バックアップロール13」および「テンションロール14」は、「駆動ロール11」とともに「中間転写ベルト4」を「張架」するものであるところ、回転不能なものであるとすると周回搬送される「中間転写ベルト4」との間で摩擦を生じて「中間転写ベルト4」の円滑な周回搬送を著しく妨げることになることに鑑みれば、これらが「回転自在」なものであることは明らかである。してみると、引用発明の「駆動ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13およびテンションロール14」は、本願発明1の「対向ローラを含む回転自在な複数のローラ」に相当する。
ウ 引用発明の「中間転写ベルト4」は、「駆動ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13およびテンションロール14により張架され」、「アイドルロール12の軸と直交する方向に周回搬送される」ものであるから、本願発明1の「対向ローラを含む回転自在な複数のローラによって張架され、前記対向ローラの軸と直交する移動方向に沿って循環移動自在に構成された無端ベルト」に相当する。
エ 引用発明の「リブガイド」は、「アイドルロール12の軸端」に設けられる、「アイドルロール12の軸方向中央側から外側に向けて長径の円柱部分と短径の円柱部分とがアイドルロール12と同軸に積み重なった形状」の、「アイドルロール12に対して独立的に回転可能に構成され」たものであるから、本願発明1の「前記対向ローラと同軸上で且つ前記対向ローラの少なくとも一端側の端部に設けられ、前記対向ローラに対して独立して回転する独立回転部材」に相当する。
オ 引用発明の「リブ41」は、「中間転写べルト4の内側つまり画像担持面裏側の両端のそれぞれ」に設けられ、かつ「内側つまりアイドルロール12の軸方向中央寄りの面」が「アイドルロール12の軸方向中央側から外側に向けて長径の円柱部分と短径の円柱部分とがアイドルロール12と同軸に積み重なった形状のリブガイド」の「端部に外方から当接」するものであるから、本願発明1の「前記無端ベルトの裏面で前記一端側と同一側の端部に沿って突条に設けられ、かつ前記対向ローラの軸の中央側となる側面が前記独立回転部材の外側となる側面と対向する位置になるようにされたビート」に相当する。
カ 引用発明の「カラー画像形成装置」は、「駆動ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13およびテンションロール14」によって「中間転写ベルト4」を張架し、「駆動ロール11」により「中間転写ベルト」を搬送するものであるところ、引用発明の「カラー画像形成装置」における、「駆動ロール11、アイドルロール12、2次転写バックアップロール13およびテンションロール14」によって「中間転写ベルト4」を張架し、「駆動ロール11」により「中間転写ベルト」を搬送する部分が、本願発明1の「ベルト搬送装置」に相当する。
キ 引用発明の「クリーナ10」は、「中間転写ベルト4を挟んでアイドルロール12に対向する位置に配置され、中間転写ベルト4に対して当接・離間する」ものであり、また、引用文献1の【0044】に記載されるように、中間転写ベルトにスリップをもたらすような負荷をかけるものであるから、本願発明1の「前記無端ベルトを挟んで前記対向ローラに対向配置された押え部材」に相当する。
ク 引用発明の「リブガイド」が「アイドルロール12の軸方向中央側から外側に向けて長径の円柱部分と短径の円柱部分とがアイドルロール12と同軸に積み重なった形状」の部材であることを踏まえれば、引用発明の「リブガイド」の「リブ41」に対向する側の面は、「アイドルロール12」の軸方向に対して直交するものといえる。また、「リブガイドの端部に外方から当接」するものであるところの引用発明の『「リブ41」の「アイドルロール12の軸方向中央寄りの面」』も、「リブガイド」の「リブ41」に対向する側の面と同様に、「アイドルロール12」の軸方向に対して直交するものであるといえる。してみると、本願発明1と引用発明とは、「前記独立回転部材及び前記ビートの互いに対向する側面は、前記対向ローラの軸方向に対して直交」するものである点において共通する。
したがって、本願発明1と引用発明は、次の一致点において一致し、相違点1ないし3において相違する。
<一致点>
「対向ローラを含む回転自在な複数のローラによって張架され、前記対向ローラの軸と直交する移動方向に沿って循環移動自在に構成された無端ベルトと、前記対向ローラと同軸上で且つ前記対向ローラの少なくとも一端側の端部に設けられ、前記対向ローラに対して独立して回転する独立回転部材と、前記無端ベルトの裏面で前記一端側と同一側の端部に沿って突条に設けられ、かつ前記対向ローラの軸の中央側となる側面が前記独立回転部材の外側となる側面と対向する位置になるようにされたビートと、前記無端ベルトを挟んで前記対向ローラに対向配置された押え部材とを備え、前記独立回転部材及び前記ビートの互いに対向する側面は、前記対向ローラの軸方向に対して直交するベルト搬送装置。」
<相違点1>
本願発明1は、「前記独立回転部材と前記ビートとの間の摩擦抵抗は、前記独立回転部材と前記対向ローラとの間の摩擦抵抗よりも高」いものであるのに対し、引用発明はそのようなものであることが特定されない点。
<相違点2>
本願発明1の「押え部材」は、「前記対向ローラの軸方向において、前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部のみに対して対向配置された」ものであるのに対して、引用発明の「クリーナ10」はそのような配置にあることが特定されない点。
<相違点3>
本願発明1の「独立回転部材」は「円柱状」であるのに対し、引用発明の「リブガイド」は「アイドルロール12の軸方向中央側から外側に向けて長径の円柱部分と短径の円柱部分とがアイドルロール12と同軸に積み重なった形状」である点。
(2)相違点についての判断
ア 事案に鑑みて、相違点2について検討する。
イ 原査定の拒絶の理由において引用文献2として引用された特開2011-237586号公報(以下、単に「引用文献2」という。)には、中間転写ベルトの寄り防止機構として、駆動ローラ40の両端部に駆動ローラ40に対して回転自在なコロ100を設けるとともに、コロ100と駆動ローラ40の間に摩擦係数の小さい材料でできたスペーサを設けたものが記載されている(【0024】)が、上記相違点2に係る本願発明1の「前記押え部材は、前記対向ローラの軸方向において、前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部のみに対して対向配置された」との構成は、上記引用文献2にも記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
ウ そして、本願発明1は、上記相違点2に係る発明特定事項に相当する構成により、「ビート3が独立回転部材4に乗り上がることを抑制でき」(【0034】)つつ、「ビート3を対向ローラ25側に圧接しないので、ビート3を対向ローラ25側に圧接する場合よりも、ビート3の摩耗を抑制できる」(【0034】)との、引用発明にない有利な効果を具備したものであるから、引用発明において、クリーナ10とアイドルロール12及びリブガイドの位置関係を上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項のようにすることが、当業者が適宜なし得た設計的な事項ということはできない。
エ したがって、上記相違点1及び3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6も、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、平成31年3月7日に提出された手続補正書による補正後の請求項1、2、4-6に係る発明は、上記引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないというものであり、当該補正後の請求項3に係る発明は、上記引用文献1及び上記引用文献2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないというものである。
しかしながら、令和2年7月27日に提出された手続補正書により補正された請求項1における、上記相違点2に係る本願発明1の「前記押え部材は、前記対向ローラの軸方向において、前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部のみに対して対向配置された」という事項は、上記「第4 1(2)」において検討したとおり、上記引用文献2にも記載されておらず、引用発明を当該事項を備えた構成とすることが当業者が適宜なし得たことともいえないから、本願発明1ないし6は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審では、平成31年3月7日に提出された手続補正書により補正された請求項1の「前記押え部材は、前記無端ベルトの移動方向に直交する幅方向を基準として、前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部において前記無端ベルトに当接する」との記載について、「対向ローラ」及び「独立回転部材」は、「無端ベルト」の構成要素ではないため、「前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部において」との語句によって「無端ベルト」における場所を特定することはできないから、上記記載において、押え部材が無端ベルトのどこに当接するものか不明であるとの拒絶の理由を通知したが、令和2年7月27日に提出された手続補正書による補正により、「前記押え部材は、前記対向ローラの軸方向において、前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部のみに対して対向配置された」と補正され、「対向ローラ」及び「独立回転部材」によって「無端ベルト」における場所を特定しようとする記載を有しないものとなったため、この拒絶の理由は解消した。
(2)当審では、平成31年3月7日に提出された手続補正書により補正された請求項1の「前記押え部材は、前記無端ベルトの移動方向に直交する幅方向を基準として、前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部において前記無端ベルトに当接する」との記載について、押え部材の無端ベルトへの当接が、「独立回転部材の一部のみ」であるものに限定されるものか、押え部材の無端ベルトへの当接が「独立回転部材の全域」であるものをも包含されるのかが明らかでないとして、拒絶の理由を通知したが、令和2年7月27日に提出された手続補正書による補正により、「前記押え部材は、前記対向ローラの軸方向において、前記対向ローラの全域及び前記独立回転部材の一部のみに対して対向配置された」と補正され、押え部材が「独立回転部材の一部のみ」に対して対向配置されることが明らかとなったため、この拒絶の理由は解消した。
(3)当審では、平成31年3月7日に提出された手続補正書により補正された請求項5には、「像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写装置において、請求項1に記載のベルト搬送装置を備え、前記押え部材は、前記無端ベルトである転写装置の表面を清掃するためのクリーニング部材である転写装置。」と記載されているが、「請求項1に記載のベルト搬送装置」は、「無端ベルト」、「独立回転部材」、「ビート」及び「押え部材」を備えるものであるところ、「転写装置」が「無端ベルト」等を備える「ベルト搬送装置」を備えるものであることと、「転写装置」が「ベルト搬送装置」の構成要素である「無端ベルト」であることの両方を同時に満たすことはできず、請求項5の記載は不合理であるとの拒絶の理由を通知したが、令和2年7月27日に提出された手続補正書による補正により、「像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写装置において、請求項1に記載のベルト搬送装置を備え、前記押え部材は、前記無端ベルトの表面を清掃するためのクリーニング部材である転写装置」と補正され、「転写装置」が「ベルト搬送装置」の構成要素である「無端ベルト」であることが特定されなくなり、上記不合理が解消されたため、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし6は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
また、当審が通知した記載不備に係る拒絶の理由は補正により解消した。
したがって、原査定の理由及び当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-012188