特許拒絶査定不服審判
2019-011058
ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法
- 審判番号
- 2019-011058
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-048989外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年08月21日
- 審決日
- 2020年03月24日
- 公報発行日
- 2020年05月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社SUBARU
- 【請求人代理人】特許業務法人青海特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (B60W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-48989「ハイブリッド車両の制御装置及びハイブリッド車両の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月23日出願公開、特開2016-168902、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月12日の出願であって、その手続は以下のとおりである。
平成30年9月28日(発送日:同年10月9日):拒絶理由通知書
平成30年12月3日 :意見書、手続補正書の提出
令和元年5月28日(発送日:同年6月4日) :拒絶査定
令和元年8月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
1.原査定の拒絶の概要
原査定(令和元年5月28日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。
「この出願については、平成30年9月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由2によって、拒絶すべきものです。
なお、意見書および手続補正書の内容を検討しましたが、理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
●理由(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-3、5、6
・引用文献等 1、2
本願の請求項1-3、5、6に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項 4
・引用文献等 1-3
本願の請求項4に係る発明は、引用文献1ないし3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
引用文献等一覧
1.特開2013-82367号公報
2.特開2012-56559号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2012-106616号公報」
2.平成30年9月28日付け拒絶理由通知書の概要
平成30年9月28日付け拒絶理由通知書の概要は以下のとおりである。
「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
●理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
・請求項 1-3、7、8
・引用文献等 1
請求項1ないし3、7及び8に係る発明は、引用文献1に記載されたものである。
あるいは、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
●理由2(進歩性)について
・請求項 4
・引用文献等 1
請求項4に係る発明は、引用例1記載されたものである。
あるいは、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項 5
・引用文献等 1、2
請求項5に係る発明は、引用文献1及び2に記載された発明
・請求項6
・引用文献等1-3
請求項6に係る発明は、引用例1ないし3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
引用文献等一覧
1.特開2013-82367号公報
2.特開2012-56559号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2012-106616号公報」
第3 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、令和元年8月21日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】
エンジンの燃料残量が所定値に到達するまで、バッテリーの電力による駆動力ではなくエンジンの駆動力のみを使用する第1のモードで車両を走行させるエンジン制御部と、
前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した場合に警告を発令する警告発令部と、
前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した後、前記バッテリーの電力によるモータの駆動力を使用する第2のモードで車両を走行させる電力走行制御部と、
を備え、
前記所定値は、前記エンジンの駆動力により所定距離だけ走行可能な燃料残量であり、
前記第1のモードでは、前記エンジンが発電機を駆動することによって発電した駆動力のみで前記モータを駆動して車両を走行させ、
前記第1のモードでは前記バッテリーの電力を消費することなく車両を走行させ、
エンジンの燃料残量が所定値に到達するまでの間に、前記第1のモードと前記第2のモードとが、前記車両のドライバーによって選択可能とされ、
前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した場合、前記バッテリーの電力による前記モータの駆動力を使用して車両を走行させるモード、前記エンジンの駆動力を使用して車両を走行させるモード、及び前記バッテリーの電力によるモータの駆動力と前記エンジンの駆動力の双方を使用して車両を走行させるモードのいずれかが前記ドライバーによって選択可能とされ、
前記ドライバーからのモード選択がある場合は、前記モード選択前のモードに拘わらず、前記ドライバーによって選択されたモードにより車両を走行させることを特徴とする、
ハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
エンジンの燃料残量が所定値に到達するまで、バッテリーの電力による駆動力ではなくエンジンの駆動力のみを使用する第1のモードで車両を走行させるステップと、
前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した場合に警告を発令するステップと、
前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した後、前記バッテリーの電力によるモータの駆動力を使用する第2のモードで車両を走行させるステップと、
を備え、
前記所定値は、前記エンジンの駆動力により所定距離だけ走行可能な燃料残量であり、
前記第1のモードでは、前記エンジンが発電機を駆動することによって発電した駆動力のみで前記モータを駆動して車両を走行させ、
前記第1のモードでは前記バッテリーの電力を消費することなく車両を走行させ、
エンジンの燃料残量が所定値に到達するまでの間に、前記第1のモードと前記第2のモードとが、前記車両のドライバーによって選択可能とされ、
前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した場合、前記バッテリーの電力による前記モータの駆動力を使用して車両を走行させるモード、前記エンジンの駆動力を使用して車両を走行させるモード、及び前記バッテリーの電力によるモータの駆動力と前記エンジンの駆動力の双方を使用して車両を走行させるモードのいずれかが前記ドライバーによって選択可能とされ、
前記ドライバーからのモード選択がある場合は、前記モード選択前のモードに拘わらず、前記ドライバーによって選択されたモードにより車両を走行させることを特徴とする、
ハイブリッド車両の制御方法。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1
原査定に引用され、本願出願前に頒布された引用文献1(特開2013-82367号公報)には、「電動車両の制御装置」に関して、図面(特に【図1】ないし【図4】を参照。)とともに以下の事項が記載されている(下線は、理解の一助のための当審が付与したものである。以下同様。)。
(1)引用文献1の記載事項
ア「【0014】この電動車両100は、走行モードとして、電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEV走行モード」という。)を有する。EV走行モードとは、強電バッテリ4に蓄えられた電力のみで駆動モータ3を駆動して走行しつつ、エンジン1は運転停止して発電を行わないモードである。一方、HEV走行モードとは、駆動モータ3を駆動源として走行しつつも、エンジン1により発電モータ2を駆動して発電を行うモードである。
【0015】エンジン1は、発電要求時、発電モータ2により始動され、完爆後、発電モータ2を駆動して発電する。そして、発電要求有り(HEVモード)から発電要求無し(EVモード)に移行すると、エンジン1と発電モータ2は停止する。
【0016】発電モータ2は、エンジン1に連結され、スタータモータ機能と発電機能を発揮するモータジェネレータである。スタータモータ機能は、エンジン1が停止状態で発電要求があったとき、強電バッテリ4の電力を消費し、エンジン1のクランキングに続いて点火させることによってエンジン1を始動するときに発揮される。発電機能は、エンジン1が駆動状態の場合、エンジン1から回転駆動パワーを受け、これを三相交流の電力に変換するときに発揮される。なお、発電モータ2で発電した電力は、詳細は後述するが、発電装置優先モードでは、駆動モータ3に向けて供給される。」
イ「【0034】次に、電動車両100において駆動モータ3に対する電力供給制御に関する制御ロジックを説明する。なお、以下の説明においては、各コントローラ20、21、22、23、24を総称して、コントローラ31(制御装置)という。
【0035】上述のようにコントローラ31は、運転者の要求駆動力に応じて駆動モータ3を駆動させるが、この駆動モータ3を駆動させるための電力供給を、発電装置優先モードとバッテリ優先モードとの2通りのモードで行う。
発電装置優先モードは、図2に示すように、駆動モータ3により要求駆動力に応じた出力目標値に対し、駆動モータ3への電力供給を発電モータ2からの発電電力により賄うと共に、出力目標値(要求駆動力)に対して発電電力では不足する電力分を強電バッテリ4からの供給電力により補うモードである。
【0036】バッテリ優先モードは、これとは逆に、出力目標値(要求駆動力)に対し、駆動モータ3への電力供給を強電バッテリ4からの供給電力により賄うと共に、要求駆動力に対して強電バッテリ4からの供給電力では不足する電力分を発電モータ2による発電電力により補うモードである。」
ウ「【0040】 最初のステップS21では、燃料残量FEzaがあらかじめ設定された燃料閾値FEsetよりも少ないか否か判定する。そして、燃料残量FEzaが、燃料閾値FEsetよりも少ない場合は、ステップS22に進んでバッテリ優先モードと判定し、燃料残量FEzaが、燃料閾値FEset以上の場合は、ステップS23進んで発電装置優先モードと判定する。なお、燃料閾値FEsetは、図5(a)に示すように、燃料タンク14における残量が0となる直前(例えば、数L)の量に設定されている。なお、燃料残量FEzaが、燃料閾値FEsetよりも少なくなった場合は、給油を促す報知を、スピーカ29などを用いて行うのが好ましい。
【0041】(実施の形態1の作用)次に、実施の形態1の電動車両の制御装置の作用を説明する。(通常時(FEza≧FEset))燃料タンク14の燃料残量FEzaが極端に低下することなく燃料閾値FEsetよりも多い場合、コントローラ31のモード判定部では、発電装置優先モードが選択される。これは、図4において、ステップS21→S23の処理の流れに基づく。
【0042】この場合、コントローラ31は、発電装置としてのエンジン1を駆動させると共に発電モータ2を発電駆動させ、その発電した電力で駆動モータ3を駆動させて走行する。そして、このとき、運転者の要求駆動力に応じた出力目標値に対して、発電モータ2による発電量が不足している場合には、図2に示すように、その不足分が、強電バッテリ4から供給される。一方、出力目標値に対して、発電量が上回った場合、バッテリSOCに応じて、その超過分を強電バッテリ4に充電してもよい。」
エ「【0065】(実施の形態5)実施の形態5の電動車両の制御装置は、実施の形態2の変形例であり、図10に示すように、運転者の操作により電力供給モードを選択可能な切換スイッチ(モード選択スイッチ)32を備えている。この切換スイッチ32は、運転者が押すたびに選択されたモードが、発電装置優先モードとバッテリ優先モードで切り換わるようになっている。」
(2)引用発明
上記(1)の記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則り整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「エンジン1の燃料残量FEzaが燃料閾値FEsetより少なくなるまで、駆動モータ3への電力供給を発電モータ2からの発電電力により賄うと共に、不足する電力分を強電バッテリ4より補う発電装置優先モードで電動車両100を走行させるコントローラ31と、
前記エンジン1の燃料残量FEzaが前記燃料閾値FEsetよりも少なくなった場合に報知を行うスピーカ29と、
前記エンジン1の燃料残量FEzaが前記燃料閾値FEsetより少なくなった後、前記強電バッテリ4の供給電力による駆動モータ3の駆動力を使用するバッテリ優先モードで電動車両100を走行させるコントローラ31と、
を備え、
前記燃料閾値FEsetは、数Lであり、
前記発電装置優先モードでは、前記エンジン1が駆動モータ3を駆動することによって発電した駆動力で前記駆動モータ3を駆動して電動車両100を走行させる、
電動車両の制御装置。」
(3)引用文献1記載事項
引用文献1には、以下の事項も記載されている(以下「引用文献1記載事項」という。)。
「電動車両の制御装置において、運転者の操作により電力供給モードを選択可能な切り換えスイッチ32を備え、運転者が押すたびに選択されたモードが、発電装置優先モードとバッテリ優先モードで切り換わるようにされていること。」
2.引用文献2
原査定に引用され、本願出願前に頒布された引用文献2(特開2012-56559号公報)には、「ハイブリッド車両の制御装置」に関して、図面(特に【図3】を参照。)とともに以下の事項が記載されている。
ア「【0052】 図3は、車両1における電力および動力の第1伝達経路を示す。第1伝達経路においては、内燃機関101の動力により発電機103が発電した電力の全てが電動機107に供給されており、電動機107によって駆動輪129が駆動され、車両が走行する。以下、この第1伝達経路における車両1の運転モードを、シリーズモードと呼ぶ。尚、図3~10において、白矢印は電力の伝達を示し、黒矢印は動力の伝達を示す。」
イ「【0060】このように、車両1は、種々の運転モードで運転可能である。これらの運転モードは、蓄電器105のSOCや燃料残量、車両の要求出力等に応じて、ECU117によって切り替えられる。」
以上から、引用文献2の記載事項は以下のとおりといえる(以下「引用文献2記載事項」という。)。
「内燃機関101の動力により発電機103が発電した電力の全てが電動機107に供給されるシリーズモードで車両を走行させるECU111を備え、シリーズモードでは、内燃機関101の動力により発電機103が発電した電力の全てが電動機107に供給され駆動軸129を駆動し車両を走行させること。」
3.引用文献3
原査定に引用され、本願出願前に頒布された引用文献3(特開2012-106616号公報)には、「走行支援装置、走行支援方法、走行支援プログラム」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0050】 この点灯許可エリア46とは、各給油施設16にそれぞれ対応付けて設定されるエリアであって、各給油施設16よりも現在地35側に経路43に沿って設定されるエリアである。そのため、点灯許可エリア46は、同じ給油施設16に対して設定される場合であっても、該給油施設16に対する現在地35の方角や給油施設16までの経路43によって変化する。具体的には、給油施設16から現在地35側に所定距離だけ離れた地点から給油施設16までの経路43上の区間が点灯許可エリア46として設定される。なお、この所定距離としては、給油ランプ26が点灯した状態で給油施設16まで走行する際に利用者が不安を感じない程度の距離(例えば給油施設16から1~2km)が設定される。また、所定距離は、燃料の残量19が報知閾値T1となった時点から内燃機関13のみを用いて走行することが可能な距離以下に設定されることが好ましい。」
以上から、引用文献3の記載事項は以下のとおりといえる(以下「引用文献3記載事項」という。)。
「給油ランプ26が点灯した状態で給油施設16まで走行する際に利用者が不安を感じない程度の距離を所定距離として設定すること。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「燃料残量FEza」はその機能、構成及び技術的意義からみて前者の「燃料残量」に、以下同様に、「より少なくなる」は「到達する」に、「強電バッテリ4」は「バッテリー」に、「電動車両100」は「車両」に、「報知を行う」は「警告を発令する」に、「スピーカ29」は「警告発令部」に、「前記エンジン1の燃料残量FEzaが前記燃料閾値FEsetより少なくなった後、前記強電バッテリ4の供給電力による駆動モータ3の駆動力を使用するバッテリ優先モードで電動車両100を走行させるコントローラ31」は「電力走行制御部」に、「駆動モータ3」は「モータ」に、「バッテリ優先モード」は「第2のモード」に、「数L」は「所定距離だけ走行可能な燃料残量」に、「電動車両」は「ハイブリッド車両」に、それぞれ相当する。
また、後者の「エンジン1の燃料残量FEzaが燃料閾値FEsetより少なくなるまで、駆動モータ3への電力供給を発電モータ2からの発電電力により賄うと共に、不足する電力分を強電バッテリ4より補う発電装置優先モードで電動車両100を走行させるコントローラ31」は、前者の「エンジンの燃料残量が所定値に到達するまで、バッテリーの電力による駆動力ではなくエンジンの駆動力のみを使用する第1モードで車両を走行させるエンジン制御部」と、「エンジンの燃料が所定値に到達するまで、エンジンの駆動力を使用する特定のモードで車両を走行させるエンジン制御部」の限りにおいて一致する。
また、後者の「前記発電装置優先モードでは、前記エンジンが発電モータを駆動することによって発電した駆動力で前記駆動モータを駆動して電動車両100を走行させ」は、前者の「前記第1のモードでは、前記エンジンが発電機を駆動することによって発電した駆動力のみで前記モータを駆動して車両を走行させ」と、「特定のモードでは、前記エンジンが発電機を駆動することによって発電した駆動力で前記モータを駆動して車両を走行させ」の限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「エンジンの燃料残量が所定値に到達するまで、エンジンの駆動力を使用する特定のモードで車両を走行させるエンジン制御部と、
前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した場合に警告を発令する警告発令部と、
前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した後、バッテリーの電力によるモータの駆動力を使用する第2のモードで車両を走行させる電力走行制御部と、
を備え、
前記所定値は、前記エンジンの駆動力により所定距離だけ走行可能な燃料残量であり、
前記特定のモードでは、前記エンジンが発電機を駆動することによって発電した駆動力で前記モータを駆動して車両を走行させる、
ハイブリッド車両の制御装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
「エンジンの燃料が所定値に到達するまで、エンジンの駆動力を使用する特定のモードで車両を走行させるエンジン制御部」を備え、「前記特定のモードでは、前記エンジンが発電機を駆動することによって発電した駆動力でモータを駆動して車両を走行させ」る構成に関して、本願発明1は、「エンジンの燃料残量が所定値に到達するまで、バッテリーの電力による駆動力ではなくエンジンの駆動力のみを使用する第1のモードで車両を走行させるエンジン制御部」を備え、「前記第1のモードでは、エンジンが発電機を駆動することによって発電した駆動力のみでモータを駆動して車両を走行させ、第1のモードではバッテリーの電力を消費することなく車両を走行させる」構成であるのに対して、引用発明は、「エンジン1の燃料残量FEzaが燃料閾値FEsetより少なくなるまで、駆動モータ3への電力供給を発電電力により賄うと共に、不足する電力分を強電バッテリ4より補う発電装置優先モードで電動車両100を走行させるコントローラ31」を備え、「前記発電装置優先モードでは、前記エンジンが発電モータを駆動することによって発電した駆動力で駆動モータを駆動して電動車両100を走行させる」構成であり、「発電装置優先モード」は、エンジンによる駆動のみで車両を走行させるのではなく「不足する電力分を強電バッテリ4より補う」構成となっている点。
[相違点2]
本願発明1は「エンジンの燃料残量が所定値に到達するまでの間に、前記第1のモードと前記第2のモードとが、前記車両のドライバーによって選択可能」とされる構成を備えているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
[相違点3]
本願発明1は「前記エンジンの燃料残量が前記所定値に到達した場合、前記バッテリーの電力による前記モータの駆動力を使用して車両を走行させるモード、前記エンジンの駆動力を使用して車両を走行させるモード、及び前記バッテリーの電力によるモータの駆動力と前記エンジンの駆動力の双方を使用して車両を走行させるモードのいずれかが前記ドライバーによって選択可能とされ、前記ドライバーからのモード選択がある場合は、前記モード選択前のモードに拘わらず、前記ドライバーによって選択されたモードにより車両を走行させる」構成を備えているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項である「エンジンの燃料残量が所定値に到達するまで、バッテリーの電力による駆動力ではなくエンジンの駆動力のみを使用する第1のモードで車両を走行させるエンジン制御部」を備える構成は、引用発明において、引用文献1記載事項ないし引用文献3記載事項を参酌しても当業者が容易に想到できるものではない。
また、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項は、周知、慣用の技術でもない。
上記相違点3について検討すると、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項である「エンジンの燃料残量が所定値に到達した場合」に、3つのモードが「ドライバーによって選択可能」とされる構成についても、引用発明において引用文献1記載事項ないし引用文献3記載事項を参酌しても当業者が容易に想到できるものではない。
また、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、周知、慣用の技術でもない。
そして、本願発明1は、上記相違点1及び3に係る発明特定事項により、発明の詳細な説明の段落【0039】ないし【0041】に記載されているように、バッテリーの電力消費を最小限に抑えることができ、給油・給電時間を最短にすることができるという格別な作用効果を奏する。
したがって、上記相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献1記載事項ないし引用文献3記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2について
本願発明2は、本願発明1を方法の発明として記載されたものであり、本願発明1の発明特定事項を方法の発明として実質的に全て含むものである。
したがって、本願発明2は、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献1記載事項ないし引用文献3記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1及び2は、当業者が引用発明及び引用文献1記載事項ないし引用文献3記載事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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