特許拒絶査定不服審判
2019-010508
緩衝包装袋
- 審判番号
- 2019-010508
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-069124外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年08月08日
- 審決日
- 2020年03月24日
- 公報発行日
- 2020年05月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンエー化研
- 【請求人代理人】赤塚 正樹
- 分類
- P18 .121-WY (B65D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 69124「緩衝包装袋」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月 4日出願公開、特開2016-188098、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月30日の出願であって、令和元年5月8日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和元年8月8日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。
第2 本件補正の適否
本件補正は、本件補正前の明細書の段落【0022】を削除するものである。
段落【0022】は、本願明細書に添付した「図1」について、「図1は展開図につき平面的な状態を示しているが、実際には、空気供給路10とは反対側の端部22が空気供給路10に連接されており、空気密封部2は筒状をなしている。空気供給路10とは反対側の端部22が空気供給路10に連接されている箇所は、空気供給路10の周囲であれば、空気供給路10と空気密封部2(区画空気密封袋20)の連接部でもよく、その他の箇所でもよい。」と記載されていたところ、図1の展開図を組み立てた状態の斜視図である図3に示すとおり、空気供給路10と反対側の端部22が空気供給路10に連接されている状態にはならず、空気密封部2は筒状になってはいないから、この点、上記段落[0022]の記載は誤記であることが明らかである。
よって、本件補正は明らかに誤記である段落[0022]を削除するものであるから、特許法第17条の2第3項に違反するところはない。
したがって、本件補正は適法である。
第3 本願発明
上記第2に示したとおり、本件補正は明細書の記載についてしたものであって、特許請求の範囲を補正するものではないから、本願の特許請求の範囲の請求項1~3に係る発明(以下「本願発明1」等という。)は、本願の出願当初の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~3にそれぞれ記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
二重に重ね合わされたプラスチックフィルムの所要箇所をヒートシールすることで形成された緩衝包装袋であって、
一端に空気供給口を備えた空気供給路からなる空気導入部と、前記空気供給路に連接された互いに独立して区画された複数の区画空気密封袋からなる空気密封部と、前記空気供給路から前記複数の区画空気密封袋のそれぞれの内部に空気を導入可能に設置された複数の逆止弁とを有し、
前記空気密封部には、一方の側縁から他方の側縁に向かって前記複数の区画空気密封袋を横切るように、各区画空気密封袋の内部で空気の流通が可能な部分的ヒートシールを直線状に施すことで、互いに平行な5本の折り目が形成されており、
前記5本の折り目を、前記空気供給路側から順に、山折り、谷折り、山折り、谷折り、山折りに折りたたんだ状態で、前記空気密封部の両側縁全体をヒートシールすることで形成されたものであり、
前記5本の折り目により区分けされた空気密封部の6つの領域を、前記空気供給路側から、領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、及び領域Fとしたとき、領域Cと領域Dの境界となる折り目を山折りの状態から平面の状態にすることで、領域A及び領域Fを船縁部分の外側、領域B及び領域Eを船縁部分の内側、領域C及び領域Dを船首及び船尾が盛り上がった甲板部分とする船形の形状を形成可能な緩衝包装袋。
【請求項2】
領域A、領域B、領域E、及び領域Fの幅の最小値をW1、領域C及び領域Dの幅の最大値をW2としたとき、W1>W2である請求項1に記載の緩衝包装袋。
【請求項3】
領域A、領域B、領域E、及び領域Fの幅の最大値と最小値との差が30mm以下であり、領域C及び領域Dの幅の最大値と最小値との差が30mm以下である請求項1又は2に記載の緩衝包装袋。」
第4 原査定の理由の概要
(進歩性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
1. 理由1(進歩性)について
・本願発明1~3
・引用文献等1~3
・備考
引用文献1に記載された発明において、引用文献3に記載された折り目から船形の形状を形成し、領域Cと領域Dの境界となる折り目を山折りの状態から平面の状態にして、引用文献2に記載された発明のような領域A及び領域Fを船縁部分の外側、領域B及び領域Eを船縁部分の内側、領域C及び領域Dを船首及び船尾が盛り上がった甲板部分とする船形の形状を形成して、本願発明1のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、引用文献1に記載された発明において、各領域の幅寸法を本願発明2及び3に特定されているように設定することは、設計的事項にすぎない
。
<引 用 文 献 等 一 覧>
1.欧州特許出願公開第02078684号明細書
2.国際公開第98/036978号
3.登録実用新案第3190035号公報
第5 当審の判断
1. 本願発明1について
(1) 引用文献1
引用文献1には、段落[0008]~[0011]、[0014]、[0018]~[0026]、[0034]、[0036]の記載、並びに、第1図~第3図、第7図及び第8図の図示があり、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「二重に重ね合わされたプラスチックフィルム(2a、2b)の所要箇所をヒートシールすることで形成された振動吸収エアシースであって、
一端に空気供給口(9a)を備えた空気供給路(9)と、空気供給路(9)に連接された互いに独立して区画された複数の区画空気密封袋(20)からなる空気密封部(2)と、空気供給路(9)から複数の区画空気密封袋(20)のそれぞれの内部に空気を導入可能に設置された複数の連設された逆止弁からなる逆止弁システム(4)とを有し、
空気密封部(2)には、一方の側縁から他方の側縁に向かって複数の区画空気密封袋(20)を横切るように、各区画空気密封袋(20)の内部で空気の流通が可能な部分的ヒートシールを直線状に施すことで、互いに平行な5本の折り目(21b、21b、20a、22b、22b)が形成され、
前記5本の折り目(21b、21b、20a、22b、22b)を、全て谷折りして、空気密封部(2)の両側縁全体をヒートシールすることで形成された振動吸収エアシース。」
(2) 対比・検討
本願発明1と引用発明とを対比すると、少なくとも、以下の相違点で両者は相違する。
<相違点>
本願発明1の「5本の折り目」は、「前記空気供給路側から順に、山折り、谷折り、山折り、谷折り、山折り」としたものであるのに対し、引用発明の「5本の折り目(21b、21b、20a、22b、22b)」全て谷折りである点。
そこで検討する。
引用文献1には、「緩衝壁(21、22)」を、それぞれ「5本の折り目(21b、21b、20a、22b、22b)」の全てで谷折りにして、物品(100)を収める収納空間(50)を、形成する旨記載されている。
ここで、引用発明において、「5本の折り目」(21b、21b、20a、22b、22b)の全てを谷折りとすることは、引用発明が保護する対象である物品(100)が収まる収納部空間(50)を形成するための必須の構成であるといえる。
そうすると、引用発明の、「5本の折り目」(21b、21b、20a、22b、22b)を、本願発明1に特定されるような山折りと谷折りとを組み合わせたものとすることは、引用発明において「収納空間50」を構成することができなくなることを意味するから、引用発明に上記相違点に係る本願発明1の構成を備えたものとすることの動機付けがあるとはいえず、むしろ阻害事由があるというべきである。
そして、引用文献2は、上記相違点に係る本願発明1の「折り目」の上記構成を設けることの記載はないし、示唆する記載もない。
引用文献3には容器の底面部に複数の山折りと谷折りを交互に形成することの記載(段落【0026】、【図5】)はあるものの、上記したように、引用発明に、上記相違点に係る本願発明の構成である折り目を備えたものすることは、動機付けがなく、むしろ阻害事由があるというべきであるから、引用発明に上記引用文献3に記載された事項を適用して、引用発明を上記相違点に係る本願発明の構成を備えたものとすることは、当業者が容易になし得た事項であるとはいえない。
(3) 作用・効果について
本願発明1は、上記相違点に係る構成を採用することで、「緩衝包装袋」を、「船首及び船尾が盛り上がった甲板部分とする船形の形状を形成可能」とすることができるので、例えばシリコンウェハキャリアのような、中央部に比べて底部の面積が小さいシリコンウェハキャリアを安定して運搬することができる、との格別な作用・効果を奏する。
(4) 小括
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
2. 本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、それぞれ本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明、並びに、引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないない。
第6 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明1~3は、引用発明、並びに、引用文献2及び引用文献3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、結論のとおり審決する。
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