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特許拒絶査定不服審判

2019-008096

アイライナをパッケージングおよび塗布するためのデバイス

審判番号
2019-008096
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-529372外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年06月18日
審決日
2020年08月12日
公報発行日
2021年02月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A45D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-529372「アイライナをパッケージングおよび塗布するためのデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月 9日国際公開、WO2016/087523、平成30年 1月18日国内公表、特表2018-500973〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)12月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年(平成26年)12月2日 フランス国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 7月 7日  :翻訳文、手続補正書の提出 平成30年 8月14日付け:拒絶理由通知書 平成30年11月20日  :意見書、手続補正書の提出 平成31年 2月 7日付け:拒絶査定 令和 元年 6月18日  :審判請求書、手続補正書の提出 令和 元年 7月26日  :手続補正書(請求の理由の補正)の提出 第2 令和元年6月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和元年6月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「アイライナをパッケージングおよび塗布するためのデバイス(10)であって、 塗布されるべき前記アイライナを収容する容器(11)と、 前記容器に収容された前記アイライナを塗布するためのアプリケータチップ(20)であって、最高点を通過する可変幅を備える2つの対向する主ファセット(30)を有し、前記2つの主ファセット(30)は前記アプリケータチップの遠位端部(35)の方向に収束するアプリケータチップ(20)と、を備え、 前記主ファセット(30)は、それぞれ細長い輪郭を有し、横断面においてそれぞれが凸形状を有する2つの側方ファセット(40)によってお互いに接続されており、 前記側方ファセット(40)は、前記アプリケータチップの前記遠位端部(35)に向かって収束する遠位部分と、前記アプリケータチップの近位端部(23)に向かって収束する近位部分とを有し、 前記アプリケータチップ(20)は、前記2つの主ファセット(30)の間を通る第1の対称正中面(M1)に対して対称であり、 前記アプリケータチップ(20)は、前記2つの主ファセット(30)の中央をそれらの幅にわたって横切る第2の対称面(M2)に対して対称である、デバイス。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成30年11月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1,3,5,6の記載は次のとおりである。 ア 請求項1 「アイライナをパッケージングおよび塗布するためのデバイス(10)であって、 塗布されるべき前記アイライナを収容する容器(11)と、 前記容器に収容された前記アイライナを塗布するためのアプリケータチップ(20)であって、最高点を通過する可変幅を備える2つの対向する主ファセット(30)を有し、前記2つの主ファセット(30)は前記アプリケータチップの遠位端部(35)の方向に収束するアプリケータチップ(20)と、を備え、 前記主ファセット(30)は、それぞれ細長い輪郭を有し、側方ファセット(40)によって接続されており、 前記側方ファセット(40)は、前記アプリケータチップの前記遠位端部(35)に向かって収束する遠位部分と、前記アプリケータチップの近位端部(23)に向かって収束する近位部分とを有する、デバイス。」 イ 請求項3 「前記側方ファセット(40)は、横断面においてそれぞれが凸形状を有する、請求項1および2のいずれか一項に記載のデバイス。」 ウ 請求項5 「前記アプリケータチップ(20)は、前記2つの主ファセット(30)の間を通る第1の対称正中面(M1)に対して対称である、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。」 エ 請求項6 「前記アプリケータチップ(20)は、前記2つの主ファセット(30)の中央をそれらの幅にわたって横切る第2の対称面(M2)に対して対称である、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1を引用する請求項3をさらに引用する請求項5をさらに引用する請求項6に記載された発明(以下、「請求項1,3,5を引用する請求項6に記載された発明」という。)を特定するために必要な事項である「主ファセット(30)」について、2つの側方ファセット(40)によってお互いに接続されていることを限定するものであって、補正前の請求項1,3,5を引用する請求項6に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2007/110500号明細書(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、仮訳と仮訳中の下線は、当審で作成し付与した。 a「[0002] The present invention shares many features described in pending application Ser. No. 10/817,480. It concerns containers for housing and dispensing a cosmetic material which may be in liquid, gel or powder form. It includes applicators that operate in conjunction with a cosmetic control means for regulating the amount of cosmetic material that is carried from a reservoir in the dispenser housing to one's skin. Preferably, each use of an applicator results in the transfer of an amount of cosmetic that is suitable for an individual application. This is important in circumstances where a user is attempting to apply fine lines of cosmetic without the blurring effect of having a surplus of cosmetic on the applicator.」 (仮訳:[0002] 本発明は、係属中の米国特許出願第10/817480号に記載された多くの特徴を共有する。これは、液体、ゲルまたは粉末形態であってもよい化粧料を収容し、供給するための容器に関する。これは、供給容器のリザーバから皮膚に送られる化粧料の量を調整するための化粧材料制御器とともに動作するアプリケータを備えている。好ましくは、アプリケータの使用は、個々の用途に適した量の化粧料の移動を生じる。このことは、アプリケータ上に化粧料の余剰を有するぼかしの効果なしで、使用者が化粧料の微細なラインを付与しようとしている状況において重要である。) b「[0003] FIG. 1 is an exploded perspective view of a third embodiment of the invention. [0004] FIG. 2 is a cross-sectional view of a first embodiment of the invention.」 (仮訳:[0003] 図1は、本発明の第3の実施形態の分解斜視図である。 [0004] 図2は、本発明の第1の実施の形態の断面図である。) c「[0010] FIG. 5 is a cross-sectional view of a third embodiment of the cosmetic dispenser, which is also shown in FIG. 1. [0011] FIG. 6 is a cross-sectional view of a fourth embodiment of the cosmetic dispenser. [0012] FIG. 7 comprises four views of a tapered tip assembly used with the fourth embodiment shown in FIG. 6. [0013] FIG. 8 comprises three views of a spine structure used with the tapered tip assembly shown in FIG. 7. [0014] FIG. 9 is a side elevational view with a partial cross-section of the screened tube shown in FIG. 6.」 (仮訳:[0010] 図5は、化粧品ディスペンサーの第3の実施形態の断面図であり、図1にも示されている。 [0011] 図6は、化粧品ディスペンサーの第4の実施形態の断面図である。 [0012] 図7は、図6に示した第4の実施形態と供に使用されるテーパ先端アセンブリの4面図を含む。) [0013] 図8は、図7に示したテーパ先端アセンブリと共に使用される脊椎構造の3面図を含む。 [0014] 図9は、図6に示すスクリーニング管の部分断面図を含む側面図である。) d「[0027] With reference now to the drawings, FIG. 1 shows an exploded perspective view of the two main parts of the subject dispenser, namely, a cap 14 and a body 12. The cap and body are releasably connectable to enclose a cosmetic applicator means and a wiper/screen member. [0028] FIG. 2 shows a first embodiment 10 of the cosmetic dispenser of the invention comprising a hollow body or vial 12 having a closed end 17 and side walls 23 that define a cosmetic reservoir 50. The sidewalls extend upwardly to a reduced diameter body neck 13. The neck is provided with outer threads 15. [0029] Secured to the inner surfaces of the neck is a wiper/screen member 44. As shown, this comprises an elongated tubular structure having a proximal end secured to the inner wall surfaces of the body neck 13. The distal end of the wiper/screen member comprises a wiper/screen opening 46 defined by wiper edges 47. Preferably, the wiper/screen member 44 has a longitudinal extent sufficient to locate the wiper opening 46 in the lower portion of the body proximate closed end 17. The wiper opening will have a configuration that will conform to the tip, or be smaller in one or more dimensions than the tip, so that a cosmetic material wiping and/or compression action will occur as the tip is withdrawn from reservoir 50.」 (仮訳:[0027] ここで図面を参照すると、図1は、主題のディスペンサーの2つの主要部品の分解斜視図であり、すなわち、蓋14と本体12とが示されている。蓋及び本体は、化粧品アプリケータ装置及びワイパ部材を囲むように解放可能に接続可能である。 [0028] 図2は、化粧料リザーバ50の範囲を規定する閉鎖端部17および側壁23を有する中空体またはバイアル12を含む本発明の化粧品ディスペンサーの第1の実施形態10を示している。側壁は、小さな外径の本体ネック13まで上方に延びている。ネック部は、外ねじ15が設けられている。 [0029] ネック部の内面に固定されたものは、ワイパ/スクリーン部材44である。図示のように、これは、本体ネック13の内壁面に固定された近位端を有する細長い管状構造を備えている。このワイパ/スクリーン部材の遠位端は、ワイパエッジ47によって画定されるワイパ/スクリーン開口部46を備える。好ましくは、ワイパ/スクリーン部材44は、閉鎖端17に近接した本体の下側部分内にワイパ開口部46の位置を特定するために十分な長手方向の広がりである。ワイパ開口部は、先端に一致するか、又は1以上の次元において先端より小さい構成を有し、先端がリザーバ50から引き出されるときに化粧料を拭き取り、および/または圧縮作用が生じることになる。) e「[0041] FIGS. 6-9 show an overall fourth cosmetic dispensing assembly 90. In this assembly, the third rod 82 and bore 86 are fitted with a reinforced tapered tip assembly 92. The tip assembly includes a stiffening spine 94 comprising a spine stem 96 and a spine head 98 overlaid with a tip cover 100. The spine head is a flattened structure having curved outer edges 99 that define an oval-shaped outline similar to an arrowhead. The spine stem 96 is dimensioned to fit within bore 86 and is secured thereto by adhesives, frictional engagement, or mechanical means. [0042] FIG. 7 depicts thin spine head 98 being overlaid with tip head cover 100. The cover has opposing flat side walls 102, which are interconnected by rounded corners 105 to opposing side panels 103. The side panels and side walls taper outwardly from an open back-end 106 (not shown), and then curve inwardly via side panels 103. The side panels and side walls taper forwardly and merge into a nose portion 104. Nose portion 104 is useful for drawing lines and for applying cosmetic materials in tight, hard to reach areas. Side walls 102 are useful for applications of cosmetic materials to broader areas. To assemble the tapered tip assembly 92, the open back-end 106 is pulled over spine head 98 until the cover is entirely overlying the spine head. The cover may remain in place due to its inherent resilience and/or it may be clamped or adhered in place. [0043] In the fourth embodiment 90, the wiper/screen member 44 and wiper opening 46 are replaced with a tapered closed-end screen structure 108. The screen structure comprises a screen tube 110 extending axially from screen collar 112 to a tapered nose portion 115 having a tube end 114. As best shown in FIG. 9, the nose portion is provided with nose openings shown as perforations 116 and slots 118. The number and orientation of perforations and slots, the geometry and area openings of each, function as cosmetic control means for regulating the amount of cosmetic material that moves from reservoir 50 to an applicator tip. The nose openings are predetermined to coordinate with the flow characteristics of the cosmetic material that is to be used with the selected dispenser. This coordination, in turn, will determine the amount of material that is entrained into and upon the tip head cover 100. It can be seen that the spine head 98, tip head cover 100 and nose portion 115 have corresponding cross-sectional shapes to facilitate a close engagement and effective flow of material from reservoir 50 to the applicator tip.」 (仮訳:[0041] 図6-9は第4番目の化粧料供給アセンブリ90を示す。このアセンブリでは、第3の棒82と孔86は、補強された先細り先端部組立体92が取り付けられている。先端部組立体は、先端カバー100で覆われた背柱棒96及び背柱ヘッド98を備える強化背骨部材94を備えている。背柱ヘッドは、矢じりに似た楕円形の外形を画定している曲線状の外側エッジ99を有する平坦化された構造である。背柱棒96が孔86内に嵌合するように寸法決めされ、接着剤、摩擦係合、又は機械的手段によりそこに固定される。 [0042] 図7は、先端カバー100と重ね合わされた薄い背柱(スパイン)ヘッド98を示している。カバーは、対向する平坦な側壁102を有し、それは対向するサイドパネル103に対して丸みを帯びた隅部105によって相互接続されている。サイドパネルと側壁は、開放した後部端部106(図示せず)から外方にテーパが付けられており、サイドパネル103を介して内側に湾曲している。サイドパネルと側壁は、前方にテーパが付けられているノーズ部分104に結合される。ノーズ部分104は、到達するのに窮屈で困難な領域に線を描画し、化粧料を塗布するのに有用である。側壁102は、より広い範囲に化粧料を塗布するのに有用である。先細り先端部組立体92を組み立てるために、カバーが完全に背柱ヘッドに横たわるまで、開放された後端106は、背柱ヘッド98上で引かれる。カバーは、その固有の弾性のために所定の位置に留まることができる、および/またはクランプ位置に接着してもよい。 [0043] 第4実施形態90では、ワイパ部材44とワイパ開口部46は、テーパが付けられた閉端部スクリーン構造108に置き換えられている。スクリーン構造はスクリーンカラー112から管端114を有するテーパ付きノーズ部分115へと軸方向に延在するスクリーン管110を備えている。図9に最も良く示すように、ノーズ部分は、穴116およびスロット118として示されているノーズ開口部が設けられている。穴およびスロットの数および配置、それらの幾何学的形状および開口面積は、リザーバ50からアプリケータ先端に化粧料の量を調節するための化粧料制御手段として機能する。ノーズ開口部は、選択されたディスペンサーと共に使用されるべき化粧材料の流動特性を調整するために予め設定されている。この調整は、先端ヘッドカバー100内に飛沫同伴される物質の量を決定するであろう。なお、背柱ヘッド98は、先端ヘッドカバー100とノーズ部分115は、リザーバ50からアプリケータ先端部への緊密な係合および有効な流れを容易にするために対応する断面形状を有していることがわかる。) f 引用文献1には、次のようなFig.1,Fig.2,Fig.6,Fig.7,Fig.9が記載されている。 (a)Fig.1 (b)Fig.2 (c)Fig.6及びFig.7 (d)Fig.9 g 上記aの記載から、引用文献1には、化粧料を収容及び皮膚に送るための発明について記載されているといえる。 また、上記dの記載及びFig.2から、Fig.2に記載された化粧料ディスペンサーの第1の実施形態10の中空体またはバイアル12には、化粧料が収容されているといえる。上記a及びdの記載から、この化粧料は、皮膚に送られるといえる。そして、Fig.6に参照番号12で示される第1の実施形態10の中空体またはバイアル12と同様の部材があることから、上記e及びFig.6に示される第4番目の化粧料供給アセンブリ90においても、皮膚に送られる化粧料を収容する中空体またはバイアル12を備えているといえる。 h 上記e及びFig.7の記載より、先端カバー100は、対向する側壁102を有している。また、この先端カバー100のノーズ部分104は、「到達するのに窮屈で困難な領域に線を描画し、化粧料を塗布するのに有用であ」り、また、上記eに(先端部組立体92の)「側壁102は、より広い範囲に化粧料を塗布するのに有用である」との記載があることから、化粧料を先端カバー100のノーズ部分104及び側壁102を介して、皮膚に送る(上記a参照。)ことが理解でき、上記gに示すように、この化粧料は、中空体またはバイアル12に収容されたものである。以上から、引用文献1には、中空体またはバイアル12に収容された化粧料を皮膚に送るための先端カバー100について記載されているといえる。 さらに、上記eの記載、及びFig.6、Fig.7より、側壁102は、先端カバー100が取り付けられる棒82の長手方向に対し直交する方向の幅が中間部で広く、両端部で狭くなっているといえ、2つの側壁102は、対向している。また、側壁102は、前方にテーパが付けられているノーズ部分104に結合されることから、先端カバー100の先端であるノーズ部分104において収束しているといえる。 i 上記e、及びFig.6、Fig.7の記載より、互いに対向する平坦な側壁102は、それぞれ棒82の長手方向に長く形成されているといえる。 また、上記eの記載より、側壁102は、「対向するサイドパネル103に対して丸みを帯びた隅部105によって相互接続されている」ものであり、Fig.7の右上図を参照すると、2つの対向する側壁102は、2つの対向するサイドパネル103と丸みを帯びた隅部105により接続されていることが看取でき、Fig.7の右下図を参照すると、各々のサイドパネル103と、その左右にある丸みを帯びた隅部105(当該Fig.7右下図には隅部の符号は示されていないが、Fig.7右下図の左右方向を左右として、サイドパネル103の左右に丸みを帯びた隅部があることは明らかである。)はあわせて、2つの対向する側壁102との間をそれぞれ相互接続しているといえる。さらに、Fig.7の右下図を参照すると、サイドパネル103とその左右の丸みを帯びた隅部105をあわせたものは、側壁102と左右の丸みを帯びた隅部105とが接続する面に対して凸形状となっていることが看取でき、Fig.7の右下図は、棒82の長手方向に直交する断面であることは明らかであるから、サイドパネル103と丸みを帯びた隅部105をあわせたものは、棒82の長手方向に直交する断面において凸形状を形成しているといえる。そうすると、引用文献1に記載された互いに対向する平坦な側壁102は、それぞれ棒82の長手方向に長く形成され、棒82の長手方向に直交する断面において凸形状を形成する2組のサイドパネル103と丸みを帯びた隅部105をあわせたものによって相互接続されている。 j 上記eの記載より、サイドパネル103は、前方にテーパが付けられているノーズ部分104に結合されることが示され、これとFig.6及びFig.7の記載より、サイトパネル103と隅部105は、先端カバー100のノーズ部分104に向かって収束する先端部と、先端カバー100の後部端部106に向かって幅が狭くなる部分とを有しているといえる。 k 前記iに示すように、互いに対向する平坦な側壁102は、互いに対向するサイドパネル103と丸みを帯びた隅部105によって接続している。そして、Fig.7の記載を合わせてみると、先端カバー100は、棒82の長手方向に直交する断面の形状が対向する2つの平坦な側壁102の間を通る面に対して対称であり、また、先端カバー100は、棒82の長手方向に直交する断面の形状が対向する2つの平坦な側壁102の中間をそれらの幅方向にわたって横切る面に対して対称である。 (イ)上記(ア)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「化粧料を収容および皮膚に送るための化粧料供給アセンブリ90であって、 皮膚に送られるべき前記化粧料を収容する中空体またはバイアル12と、 前記中空体またはバイアル12に収容された前記化粧料を皮膚に送るための先端カバー100であって、先端カバー100が取り付けられる棒82の長手方向に対し直交する方向の幅が中間部で広く、両端部で狭くなっている2つの対向する側壁102を有し、前記2つの側壁102は、前記先端カバー100の先端であるノーズ部分104において収束する先端カバー100と、を備え、 前記側壁102は、それぞれ前記棒82の長手方向に長く形成され、棒82の長手方向に直交する断面において凸形状を形成する2組のサイドパネル103と丸みを帯びた隅部105をあわせたものによって相互接続されており、 前記サイドパネル103と前記丸みを帯びた隅部105は、前記先端カバー100の前記ノーズ部分104に向かって収束する先端部と、前記先端カバー100の後部端部106に向かって幅が狭くなる部分とを有し、 前記先端カバー100は、棒82の長手方向に直交する断面の形状が対向する2つの平坦な側壁102の間を通る面に対して対称であり、 前記先端カバー100は、棒82の長手方向に直交する断面の形状が対向する2つの平坦な側壁102の中間をそれらの幅方向にわたって横切る面に対して対称である、化粧料供給アセンブリ90。」 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 本件補正発明の「アイライナ」は、化粧品の一種であるから、引用発明の「化粧料」は、本件補正発明の「アイライナ」と「化粧品」である点で共通する。 また、引用発明の「収容」、「皮膚に送る」は、それぞれ、本件補正発明の「パッケージング」、「塗布する」に相当し、引用発明の「化粧料供給アセンブリ90」は、本件補正発明の「デバイス(10)」に相当する。そうすると、引用発明の「化粧料を収容および皮膚に送るための化粧料供給アセンブリ90」と、本件補正発明の「アイライナをパッケージングおよび塗布するためのデバイス(10)」とは、「化粧品をパッケージングおよび塗布するためのデバイス」である点で共通する。 引用発明の「皮膚に送られる」は、本件補正発明の「塗布されるべき」に相当し、引用発明の「中空体またはバイアル12」は、本件補正発明の「容器(11)」に相当するから、引用発明の「皮膚に送られるべき前記化粧料を収容する中空体またはバイアル12」と、本件補正発明の「塗布されるべき前記アイライナを収容する容器(11)」とは、「塗布されるべき化粧品を収容する容器」である点で共通する。 引用発明の「先端カバー100」は、本件補正発明の「アプリケータチップ(20)」に相当し、引用発明の「側壁102」は、本件補正発明の「主ファセット(30)」に相当する。本件補正発明の「最高点を通過する可変幅を備える2つの対向する主ファセット(30)」とは、請求項の記載上その意味するところが必ずしも明らかでないが、本願の発明の詳細な説明を参照すると、段落【0018】の「主ファセットはそれぞれ、卵形気味の(tend toward)輪郭、さらには卵形の輪郭を有し得る。」との記載、段落【0046】の「アプリケータ部22は、対向する2つの主ファセット30を有し、主ファセット30はそれぞれ、正面図において、稜線31によって画定される細長い、具体的には卵形の輪郭を有する。」との記載があることから、主ファセットの実施形態の一例として「卵形の輪郭」を有することが示され、本件補正発明における「最高点を通過する可変幅を備える」ことを「卵形の輪郭」に照らしてみると、「可変幅」とは長手方向に幅が変化することを意味し、「最高点を通過する」とは長手方向に幅が変化する途中にその幅が最高(最大)となる点が存在することを意味すると解されるから、引用発明の「先端カバー100が取り付けられる棒82の長手方向に対し直交する方向の幅が中間部で広く、両端部で狭くなっている2つの対向する側壁102」は、長手方向に幅が変化しており、長手方向に幅が変化する途中にその幅が最大となる点が存在するから、本件補正発明の「最高点を通過する可変幅を備える2つの対向する主ファセット(30)」に相当する。さらに、引用発明の「ノーズ部分104」は、本件補正発明の「アプリケータチップの遠位端部(35)」に相当する。したがって、引用発明の「前記中空体またはバイアル12に収容された前記化粧料を皮膚に送るための先端カバー100であって、先端カバー100が取り付けられる棒82の長手方向に対し直交する方向の幅が中間部で広く、両端部で狭くなっている2つの対向する側壁102を有し、前記2つの側壁102は、前記先端カバー100の先端であるノーズ部分104において収束する先端カバー100」と、本件補正発明の「前記容器に収容された前記アイライナを塗布するためのアプリケータチップ(20)であって、最高点を通過する可変幅を備える2つの対向する主ファセット(30)を有し、前記2つの主ファセット(30)は前記アプリケータチップの遠位端部(35)の方向に収束するアプリケータチップ(20)」とは、「容器に収容された化粧品を塗布するためのアプリケータチップであって、最高点を通過する可変幅を備える2つの対向する主ファセットを有し、前記2つの主ファセットは前記アプリケータチップの遠位端部の方向に収束するアプリケータチップ」である点で共通する。 引用発明の「側壁102は、それぞれ前記棒82の長手方向に長く形成され」ていることは、側壁102が細長い輪郭を有することになるから、本件補正発明の「主ファセット(30)は、それぞれ細長い輪郭を有し」ていることに相当する。引用発明の「サイドパネル103と丸みを帯びた隅部105をあわせたもの」は、側壁102を接続するから、本件補正発明の「側方ファセット(40)」に相当し、引用発明の「棒82の長手方向に直交する断面」は、本件補正発明の「横断面」に相当する。よって、引用発明の側壁102が「棒82の長手方向に直交する断面において凸形状を形成する2組の側壁102と丸みを帯びた隅部105によって相互接続されて」いることは、本件補正発明の主ファセット(3)が「横断面においてそれぞれが凸形状を有する2つの側方ファセット(40)によってお互いに接続されて」いることに相当する。 引用発明の「前記先端カバー100の前記ノーズ部分104に向かって収束する先端部」は、本件補正発明の「前記アプリケータチップの前記遠位端部(35)に向かって収束する遠位部分」に相当し、引用発明の「前記先端カバー100の後部端部106に向かって幅が狭くなる部分」は、本件補正発明の「前記アプリケータチップの近位端部(23)に向かって収束する近位部分」に相当する。したがって、引用発明の「前記サイドパネル103と前記丸みを帯びた隅部105は、前記先端カバー100の前記ノーズ部分104に向かって収束する先端部と、前記先端部組立体92の後部端部106に向かって幅が狭くなる部分とを有」することは、本件補正発明の「前記側方ファセット(40)は、前記アプリケータチップの前記遠位端部(35)に向かって収束する遠位部分と、前記アプリケータチップの近位端部(23)に向かって収束する近位部分とを有」することに相当する。 引用発明の「先端カバー100は、棒82の長手方向に直交する断面の形状が対向する2つの平坦な側壁102の間を通る面に対して対称であ」ることは、本件補正発明の「前記アプリケータチップ(20)は、前記2つの主ファセット(30)の間を通る第1の対称正中面(M1)に対して対称であ」ることに相当し、引用発明の「先端カバー100は、棒82の長手方向に直交する断面の形状が対向する2つの平坦な側壁102の中間をそれらの幅方向にわたって横切る面に対して対称である」ことは、本件補正発明の「アプリケータチップ(20)は、前記2つの主ファセット(30)の中央をそれらの幅にわたって横切る第2の対称面(M2)に対して対称である」ことに相当する。 以上のことから、本件補正発明と引用発明は、次の[一致点]で一致し、[相違点]で相違する。 [一致点] 「化粧品をパッケージングおよび塗布するためのデバイスであって、 塗布されるべき前記化粧品を収容する容器と、 前記容器に収容された前記化粧品を塗布するためのアプリケータチップであって、最高点を通過する可変幅を備える2つの対向する主ファセットを有し、前記2つの主ファセットは前記アプリケータチップの遠位端部の方向に収束するアプリケータチップと、を備え、 前記主ファセットは、それぞれ細長い輪郭を有し、横断面においてそれぞれが凸形状を有する2つの側方ファセットによってお互いに接続されており、 前記側方ファセットは、前記アプリケータチップの前記遠位端部に向かって収束する遠位部分と、前記アプリケータチップの近位端部に向かって収束する近位部分とを有し、 前記アプリケータチップは、前記2つの主ファセットの間を通る第1の対称正中面に対して対称であり、 前記アプリケータチップは、前記2つの主ファセットの中央をそれらの幅にわたって横切る第2の対称面(M2)に対して対称である、デバイス。」 [相違点] 本件補正発明は、「アイライナ」をパッケージングおよび塗布するためのデバイス(10)であって、塗布されるべき前記「アイライナ」を収容する容器(11)と、前記容器に収容された前記「アイライナ」を塗布するためのアプリケータチップ(20)を備えたデバイスであるのに対し、引用発明は、化粧料を収容および皮膚に送るための化粧料供給アセンブリであり、化粧料を収容する中空体またはバイアル12と化粧料を皮膚に送るための先端カバー100について記載されているものの、この化粧料がアイライナであることまでは、特定されていない点。 (4)判断 以下、[相違点]について検討する。 引用文献1の記載をみると、上記「(2)ア(ア)e」に示すように「ノーズ部分104は、到達するのに窮屈で困難な領域に線を描画し、化粧料を塗布するのに有用である。側壁102は、より広い範囲に化粧料を塗布するのに有用である。」と記載されていることから、引用発明は、ノーズ部分104と側壁102とを使い分けて、線を描画したり、広い領域を描画するものと理解できる。 本願の優先日前において、化粧料としてのアイライナ、及びこのアイライナを塗布するためのデバイスは、例を挙げるまでもなく当業者に知られていた周知技術であり、このアイライナを塗布する際に、細い線を塗布したり、これよりやや太い線まで、使用者が任意の太さでアイライナを容易に塗布することができる必要があることも、また周知事項である。 これらのことから、引用発明は、アイライナとして用いることを想定している発明であるといえ、少なくとも引用発明の化粧料を本件の優先日前における周知技術であるアイライナとし、上記相違点に係る本件補正発明の構成を得ることは当業者が容易になしえた事項であるといえる。 審判請求人は、引用文献1のFig.7に示される装置(化粧料供給アセンブリ90)に関し、「対面する2つの主ファセット(102)を有」しているとした上で、「2つの主ファセット(102)は、「ファセット(105、rounded corners)、ファセット(103、side panels)、ファセット(104、nose portion)という複数のファセットによって接続され」、さらに、「側方ファセット(103)は平面であり、横断面において凸形状を有して」いない旨を主張する。 しかしながら、引用発明の丸みを帯びた隅部105とサイドパネル103をあわせたものが本件補正発明の「側方ファセット」に相当することは、前記したとおりである。 また、審判請求人の上記主張は、換言すると、本件補正発明の「側方ファセット」が1つのファセット(面)であるのに対し、引用発明の「サイドパネル103と丸みを帯びた隅部105をあわせたもの」は、「サイドパネル103」というファセット(面)と「丸みを帯びた隅部105」というファセット(面)とからなっており、1つのファセット(面)ではない点で両者が異なることを主張していると考えられる。 しかしながら、本願の図5を参照すると、側方ファセット40は、中央部分の略平面部とその両端の主ファセット30に向かう傾斜面とを備えており、かかる図5は本件補正発明のアプリケータチップの一実施形態として示されたものであるから、本件補正発明の側方ファセットには、このような複数の面を備えた側方ファセット40も包含していることは明らかであり、そうであれば、引用発明のようなサイドパネル103と丸みを帯びた隅部105をあわせたものも本件補正発明の側方ファセットに含まれると解される。 よって、審判請求人の主張は採用することができない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和元年6月18日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成30年11月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1(上記第2 2(2)ア参照)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、本件補正前の請求項3,5,6において、さらに特定された事項及び「主ファセット(30)」について、「2つの側方ファセット(40)によってお互いに接続されて」いる発明特定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-008096

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