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商標拒絶査定不服審判

2019-002233

ツボプリン、ツボ

審判番号
2019-002233
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2017-097912
請求日
2019年02月19日
審決日
2020年02月14日
公報発行日
2020年05月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】フランツ株式会社
  • 【請求人代理人】鳥巣 実
審判長/審判官
  • 審判長 岩崎 安子
  • 審判官 小田 昌子
  • 審判官 石塚 利恵
分類
T18 .13 -Z (W30) / T18 .17 -Z (W30)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号商標法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項、特許法第150条第5項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

商願2017-97912拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 本願商標 本願商標は、「壷プリン」の文字を標準文字で表してなり、第30類「プリン,プリン風味の菓子及びパン」を指定商品として、平成29年7月24日に登録出願され、その後、本願の指定商品については、当審における同31年4月4日付け手続補正書により、第30類「壷を容器とするプリン」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は『壷プリン』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『壷』の文字は、『口が細くつぼまり胴のまるくふくらんだ形の容器。』を意味する『壺』の異体字を理解させ、『プリン』の文字は、『カスタード‐プディング』を理解させる語である。そして、プリンを取り扱う業界においては、壺を容器とする商品が一般的に流通している実情がうかがえ、そのような商品を『壺プリン』と称している実情も見受けられる。そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、当該商品が『壺を容器とするプリン』であること、すなわち、単に商品の品質を表したものと認識するにすぎない。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審においてした証拠調べ 審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、令和元年10月24日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。 4 証拠調べ通知に対する請求人の意見 請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、令和元年12月9日付け意見書を提出し、要旨以下のとおり、意見を申し立てた。 (1)本願商標は、敢えて正字体でない文字を使用した「壷プリン」の名称であるところ、証拠調べ通知書で提示するウェブサイトに、「壷プリン」の名称が使用されている例は一つもないため、これらの証拠は、本願商標には識別力がないとする証拠とはなり得ない。 (2)経済産業省の調査によれば、平成24年の工業統計及び平成26年の商業統計によれば、菓子を製造販売する事業所数は32,497であることがわかる。ここから証拠調べ通知書で提示された数をパーセンテージで示すと、「つぼプリン」はわずか0.015%に過ぎず、「容器+プリン」はわずか0.009%に過ぎない。このような微少な数をもって「つぼプリン」の名称が一般的に使用されていると認定するのは妥当な判断とは言えない。 (3)本願商標は、敢えて異質な「壷」の文字を「プリン」の前に隙間なく一体に構成して、インパクトの強い名称とすべく請求人が初めて創作したものである。また、請求人が販売する「壷プリン」は菓子業界において異例な程の売上数と売上額を記録し、数多のメディアにも取り上げられ周知性も獲得しているため、本願商標は、請求人の名称として十分に識別力を有することは明白である。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、前記1のとおり、「壷プリン」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中、「壷」の文字は、「口が細くつぼまり胴のまるくふくらんだ形の容器。」の意味を有する「壺」の文字の異体字として、「プリン」の文字は「カスタード‐プディング」の意味を有する語(いずれも「広辞苑第七版」(株式会社岩波書店)から引用。)として、我が国において広く親しまれているものである。 ところで、プリンは、柔らかく、形状を維持できないことから、通常は、容器に入れて販売されたり、提供されたりしているところ、本願の指定商品である「壷を容器とするプリン」を含むプリンを取り扱う業界においては、原審で示した用例(別掲1)のほか、別掲2(1)のとおり、プリンの容器として、壷型の容器が用いられ、このような壷型の容器に入れられたプリンが、「壺プリン」「つぼプリン」「ツボプリン」又は「壺プリン」の語を含む名称で表示され、一般に製造、販売されている例が少なくない。 さらに、別掲2(2)のとおり、壷型以外の形状の容器に入れられたプリンも販売されており、そのような場合には、プリンが入れられている容器(ジャム瓶や「バケツ」型の容器等)の名称を付して、「ジャム瓶プリン」「バケツプリン」等の名称で表示され、一般に製造、販売されている例がある。 そうすると、「壷プリン」の文字からなる本願商標をその指定商品である「壷を容器とするプリン」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、壷型の容器に入れられたプリンであること、すなわち、商品の品質を表したものとして理解、認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。 してみれば、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて 請求人は、本願商標は、仮に商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同条第2項の要件を具備するものであるから、登録されるべきものである旨主張し、証拠として甲第1号証ないし甲第9号証を提出しているので、以下検討する。 ア 本願商標と使用に係る標章との同一性について 本願商標は、上記(1)のとおり、「壷プリン」の文字を標準文字で表してなるものである。 他方、請求人が本願商標を使用しているとする商品は、素焼きの壷型容器の中に、生クリーム、カスタードプリン、キャラメルソースを3層に入れた洋菓子である(甲5。以下「使用商品」という。)ところ、使用商品を紹介する各種ウェブサイトにおいては、「神戸フランツ 神戸魔法の壷プリン(R)」(Amazon.co.jp)、「神戸魔法の壷プリン(R)」(Yahoo!ショッピング)、「神戸魔法の壷プリン(R)」(楽天市場)と表示されている(甲2)。 また、使用商品を紹介する各種雑誌においては、「神戸フランツ『神戸魔法の壷プリン』」(「FRIDAY」平成22年1月15日発行)、「神戸フランツ(兵庫)/神戸魔法の壷プリン」(「女性自身」2015年2月17日発売)、「“神戸フランツ”の『神戸魔法の壷プリン』」(「Oggi」2015年4月28日発行)、「神戸フランツの神戸魔法の壷プリン」(「まっぷる神戸 ’18」2017年12月5日発売)、「神戸魔法の壷プリン(R)」(「おとな旅プレミアム 神戸 ’19‐’20年版」発行年月日不明)等のように表示されているほか、使用商品が紹介されたとするテレビ番組において、そのテレビ画面には「魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」「神戸フランツの神戸魔法の壷プリン」と表示されている(甲4、甲5)。 そうすると、各種ウェブサイトや雑誌、テレビ等のメディアにおいて、使用商品は、「神戸フランツ 神戸魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」「魔法の壷プリン」などと表示されていることから、請求人が本願商標を使用しているとする使用商品について、本願商標「壷プリン」の文字と同一の標章がそれのみで使用されたことはないとみるのが相当である。 したがって、本願商標と請求人が使用する標章とは、同一性があるものとは認められない。 イ 使用期間及び使用地域 請求人は、2008年から、「神戸魔法の壷プリン」を正式名称とするプリンの販売を開始した(甲1)。 また、使用商品は、神戸市に所在する請求人店舗(8店)において販売されている(甲5)ほか、「Amazon.co.jp」、「Yahoo!ショッピング」及び「楽天市場」を通じた通信販売がされている(甲2)。 ウ 販売実績 請求人は、使用商品について、販売開始から現在に至るまで、計1817万3202個が販売されており、約67億2400万円の売上であるとしている(甲1)。 また、使用商品は、「Amazon.co.jp」における「プリンの売れ筋ランキング」において2位(2019年4月3日紙出力)、「Yahoo!ショッピング」における「プリンランキング」(更新日:4月2日)において1位(2019年4月3日紙出力)、「楽天市場」における「プリンランキング」(2019年3月27日更新、集計日:3月18日~3月24日)において1位(2019年4月3日紙出力)となっていることが認められる(甲2)。 エ メディアにおける紹介 使用商品は、上記アのとおり、各種雑誌(「FRIDAY」「女性自身」「Oggi」「まっぷる神戸 ’18」「おとな旅プレミアム 神戸 ’19‐’20年版」等)において紹介されているところ、そのほとんどの内容において、神戸(関西)の土産物の一として、又は各種プリンの一として、他社の商品とともに紹介されていることが認められる。また、使用商品が紹介されたとするテレビ番組においては、その内容の一部として、「全国50種類のプリンが集結」「ご当地プリン 人気TOP10」「話題のプリンBest5」などといった字幕と共に使用商品が紹介されていることはうかがえるものの、その全体の内容は明らかでない(甲5)。 なお、請求人は、使用商品について、販売開始時から現在に至るまで、280以上のメディアに掲載された実績があるとし、「メディア掲載履歴表」(甲4)を提出しているところ、当該一覧表によれば、2008年6月4日から2019年3月13日の期間に、各種雑誌、テレビ番組、ラジオ番組、ウェブサイト等において、使用商品が紹介されたことはうかがえるが、その具体的な内容は明らかでない。 オ その他 請求人は、検索エンジン「Google」を用いて「壷プリン」の語を検索した結果(甲3。検索日不明)を示して、当該結果は、使用商品が「壷プリン」として需要者に認識されていることを裏付けるものである旨主張するが、検索結果として列記されたウェブページのタイトル及びスニペット(検索キーワードが含まれるテキストの抜粋等)の多くにおいて、使用商品は、「神戸フランツ 神戸魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン(R)」「魔法の壷プリン」「神戸フランツの壷プリン」などと表示されている。 カ 小括 上記アないしオによれば、請求人は、本願の指定商品である「壷を容器とするプリン」について、2008年以降現在に至るまで、「神戸魔法の壷プリン」の文字を継続して使用しているとはいえるが、各種ウェブサイトや雑誌、テレビ等のメディアにおいて、使用商品は、「神戸フランツ 神戸魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」「魔法の壷プリン」などと表示されていることに照らすならば、「壷プリン」の文字がそれのみで使用されていると認めることはできない。 そうすると、使用商品は、2008年以降、請求人店舗やインターネットショッピングモールを通じて販売され、その累計個数が1800万個を超えており、また、様々なメディアで紹介されているとしても、需要者は、「神戸フランツ」「神戸魔法の壷プリン」「魔法の壷プリン」との表示により、商品の出所が請求人であることを認識していると認められ、「壷プリン」の標章のみによって、その出所が請求人であると認識しているとは認めることはできない。 したがって、本願商標は、その指定商品である「壷を容器とするプリン」について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえないから、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。 (3)請求人の主張について ア 請求人は、本願商標について、正字体の「壺」の文字ではなく、敢えて「壷」の文字を使用した「壷プリン」の名称は、インパクトの強い名称とすべく請求人が初めて創作した造語であり、証拠調べ通知書で提示するウェブサイトに、「壷プリン」の名称が使用されている例は一つもないため、これらの証拠は、本願商標には識別力がないとする証拠とはなり得ない旨主張する。 しかしながら、「壺」の文字及び「壷」の文字は、いずれも、「口が細くつぼまり胴のまるくふくらんだ形の容器。」の意味を有する同義の語として、本願の指定商品の取引者、需要者に認識されているというべきであり、たとえ、本願商標の構成中の「壷」の文字が、「壺」の文字の異体字であるとしても、商品「壷を容器とするプリン」について使用される本願商標について、これに接する需要者が、商品の品質を表したとの認識と別異の認識をするとはいい難く、また、別異の認識をするといったような事情は見いだせない。 したがって、上記請求人の主張は、採用することはできない。 イ 請求人は、本願商標からは「壺の容器に入ったプディング」「深くくぼんだプディング」「味のツボを押さえたプディング」等の複数の意味が生じ得るものであり、複数の意味合いの1つに品質表示的として「壺の容器に入ったプディング」といったイメージを与える可能性があったとしても、それは間接的な印象であって暗示に過ぎないものであり、本願商標が直接的に商品の品質として使用されているものではない旨主張する。 しかしながら、壷型の容器に入れられたプリンを「壺プリン」「つぼプリン」「ツボプリン」と称する例が多数存在する事実は、需要者が、商品「壷を容器とするプリン」に使用される本願商標「壷プリン」の文字に接した場合、「壷型の容器に入れられたプリン」であると容易に認識することにつながるものであるといえる。 したがって、上記請求人の主張は、採用することはできない。 ウ 請求人は、使用商品の購入者によるブログ等記事(甲6)、「食べログ」及び「じゃらん」のウェブサイトにおける請求人店舗への購入者による書き込み(甲7)、「フェイスブック」の投稿(甲8)や「インスタグラム」の投稿(甲9)を提示して、使用商品について「壷プリン」の名称を用いて多数書き込みがされていることから、需要者において「壷プリン」の名称が広く浸透していることは明らかである旨主張する。 しかしながら、購入者による投稿記事において、使用商品について単に「壷プリン」と記載されているものも見受けられる一方、「壷プリン」の記載の前後に、「神戸フランツの壷プリン」「魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」との表示や、販売店である「神戸フランツ」の名称が併記されているものもある。加えて、これらの個別の投稿記事は、飽くまで購入者個人の感想を示すにすぎず、一般需要者における認識の程度を客観的に示すものではないこと明らかであるから、これら個別の投稿記事等をもとに、一般需要者層における認識の程度を推し量ることはできない。 したがって、上記請求人の主張は、採用することはできない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものとも認められないから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-002233

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