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特許拒絶査定不服審判

2019-001154

PTP包装体

審判番号
2019-001154
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-261658
請求日
2019年01月29日
審決日
2020年03月12日
公報発行日
2020年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社UACJ
  • 【請求人代理人】山本 拓也
  • 【請求人】株式会社UACJ製箔
  • 【請求人代理人】山本 拓也
審判長/審判官
  • 審判長 千壽 哲郎
  • 審判官 関谷 一夫
  • 審判官 沖田 孝裕
分類
P18 .121-Z (A61J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-261658「PTP包装体」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月 7日出願公開、特開2016-120053〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年12月25日の出願であって、平成30年7月25日付けの拒絶理由通知に対し、同年9月28日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月19日付けで拒絶査定がされ、その後、平成31年1月29日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 平成31年1月29日提出の手続補正書による補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項3、4を削除する補正であって、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たす。そして、同条第3項及び第4項に規定する要件を満たすものであることは明らかである。 よって、本願の請求項1ないし2に係る発明は、平成31年1月29日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 薬剤を収容している複数個の薬剤収容凹部を、折り目を中央にして両側部に設けている容器本体と、この容器本体の上記薬剤収容凹部の開口側の面を封緘している蓋材とからなるPTP包装体であって、上記折り目から蓋材の両側部が背合わせ状に重なるように容器本体を二つ折りしていると共に、重なり合った容器本体の両側部を、上記蓋材の外周部に薬剤収容凹部を囲むようにして帯状に設けた粘着剤層からなる仮止め手段によって固定、保持していることを特徴とするPTP包装体。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1、2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2011-42392号公報 引用文献2:特開2013-173552号公報 第4 引用文献の記載事項 1 引用文献1 引用文献1には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えばプレススルーパック(PTP)入りの錠剤やカプセルなどを持ち歩く時に、内容物を簡単に保護できる内容物保護包装体に関する。 【背景技術】 【0002】 以下、従来の内容物を保護できるPTPについて説明する。従来、食品や医薬品等の錠剤やカプセル状の品の包装には、PTPがよく用いられる。これはPTPの多くが、指で押した時につぶれ易い合成樹脂容器に、アルミ箔主体の蓋を接着して封止しているので、容器を指で押せば、内容物が蓋を押し、簡単に蓋が破れ、容易に内容物を取り出すことができるからである。」 「【0010】 第一の実施例として、PTP包装物品が朝夕各一錠五日分用医薬品の例で説明すれば、錠剤は二列五行のPTP内に包装してある。錠剤の行間には簡単に切り離すための構造、この例ではミシン目や貫通しない切り込み線などで切り離し用脆弱部を設けている。行片側端部付近に係合用切り込み線を付け係合片としている。列間は最近では誤飲防止のため敢えて切り離し用脆弱部を設けていないので、ここに蓋が内側になるように折り曲げる事のできる、例えばミシン目や貫通しない切り込み線などで折り畳み線を入れる。折り畳むときは係合用切り込み線に行他方の対応端部を差し込む。手でPTPを折り曲げる時は、PTPを蓋が内側になるように折り曲げ、係合片側の端部を軽く容器側にしならせ係合片を浮かせ、行他方の対応端部を係止する。 ・・・ 【0012】 第二の実施例は、第一の実施例に対し行両側の端部付近に係合用切り込み線と、向きが逆の差し込み用切り込み線を設け各々係合片と差し込み片としている。折り曲げ時、係合片と差し込み片を蓋側に浮かせ、差し込み片を係合片の下に差込み係止する。」 「【発明の効果】 【0014】 以上説明したように、本発明に係る内容物保護包装体は、PTPに例えばミシン目や貫通しない切り込み線などで折り畳み線を入れておき、必要時には、蓋が内側になるように折り曲げ、折り畳み線から離れた端部付近に設けた係合用切り込み線に、行他方の対応端部、もしくは行他端付近に設けた対応差し込み片を差し込み脆弱な蓋を保護することで、内部が保護できる内容物保護包装体を提供する事で目的を達する。」 「【0017】 内容物保護包装体1には容器本体2に蓋3が接着してあり、係合用切り込み線41が切り込んであり係合片42としている。この時蓋3が十分脆弱であり容易に係合片42を浮かす事ができれば、蓋3にまで切り込みを入れる必要は無い。容器本体2には内容物収納部21が設けてあり、ミシン目や貫通しない切り込み線などの切り離し用脆弱部22と、ミシン目や貫通しない切り込み線などの折り畳み線23が設けてある。 ・・・ 【0019】 図3は第二の実施例の斜め正面図であり、図1の第一の実施例に差し込み用切り込み線43と差し込み片44を加えてある。 【0020】 図4は図3の例を折り畳み線23で折り曲げ、浮かせた係合片42の下に差し込み片44を差し込んだ例の列側側面図である。係合片42と差し込み片44を浮かせて、係合片42の下に差し込み片44を差し込み係止し、脆弱な蓋3を保護することで容器内部が保護できる。」 続いて、図面の図示内容も参照しつつ、引用文献1の記載内容について検討する。 ア)【0010】の「錠剤は二列五行のPTP内に包装してある。」なる記載から、内容物保護包装体1は、二列五行のPTPの内容物保護包装体1であるといえる。 イ)内容物保護包装体1は、容器本体2と蓋3とからなる(【0017】)。また、容器本体2は、内容物収納部21を設けてあり、内容物収納部21は、医薬品の錠剤を収容している(【0010】、【0017】)。 さらに、【0002】の「蓋を接着して封止している」なる記載及び図4等の図示内容からみて、蓋3が、容器本体2の内容物収納部21の開口を封止していることも分かる。 ウ)図3及び図4からは、折り畳み線23が容器本体の行方向の中央に設けてあることが看取できるので、一列五行分の内容物収納部21は、折り畳み線23を中央にして容器本体の両側の部分にそれぞれ設けていることが分かる。 エ)内容物保護包装体1は、折り畳み線23で蓋3が内側になるよう折り曲げられる(【0014】)。また、図4には、蓋3が重なるように容器本体2が二つ折りされる状態が図示されると共に、二つ折りの結果、容器本体2も、折り畳み線23を中央にした両側の部分が重なる状態が図示されている。 オ)各行の両側端部付近には、それぞれ係合片42及び差し込み片44が設けられる(【0012】、【図3】)。また、折り曲げられて重なり合った容器本体2の両側の部分は、係合片42及び差し込み片44の係止により、保持される(【図4】)。 よって、以上を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 「医薬品を収容している一列五行分の内容物収納部21を、折り畳み線23を中央にして両側の部分に設けている容器本体2と、この容器本体2の上記内容物収納部21の開口を封止している蓋3とからなる二列五行のPTPの内容物保護包装体1であって、上記折り畳み線23で蓋3が内側になり重なるように容器本体2を二つ折りしていると共に、重なった容器本体2の折り畳み線を中央にした両側の部分を、各行の両側端部付近に設けられた係合片42及び差し込み片44の係止により保持する、PTPの内容物保護包装体1。」 2 引用文献2 引用文献2には、次の記載がある(下線は当審で付した。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、プレススルーパック包装体に関する。 ・・・ 【0004】 斯かるプレススルーパック包装体は、例えば、収容物として医薬用錠剤やサプリメント用カプセル等が包装され、収容部を外側から押すことにより上述のごとく収容物を取り出して使用することができる。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、斯かるプレススルーパック包装体は、不用意に収容部を押すと、意図せず収容物が取り出されるという問題がある。また、例えば収容物が所定の時間間隔を空けて定期的に使用するものであると、使用する時期を必ずしも明確に把握できないという問題がある。」 「【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明に係るプレススルーパック包装体は、内側空間に収容する収容物を開口を経て外側へ出すように形成され該開口が同方向を向くように配された複数の収容部と、該収容部の開口縁同士を互いにつなぐようにシート状に形成された基材部と、該基材部の一面側であって収容部の開口面側に配され前記収容部の開口を塞ぐようにシート状に形成された蓋材とを有する包装用本体を備え、前記収容部を外側から押すことにより前記収容物が前記蓋材を突き破って取り出されるように構成されたプレススルーパック包装体であって、 さらに、前記包装用本体の端縁部から連続するように延びるシート状のシート部材を備え、該シート部材は、前記包装用本体の蓋材側に折れ曲がるように構成され、収容物の使用時期を記入できる記入部を少なくとも片面側に有しており、 前記シート部材が折れ曲がることにより前記蓋材を覆っている閉状態と、前記シート部材が前記蓋材を覆っていない開状態とをとるように構成されていること特徴としている。 【0009】 本発明に係るプレススルーパック包装体は、前記シート部材が包装用本体の蓋材側に折れ曲がり蓋材を覆っている閉状態をとるように構成されている。従って、前記閉状態においては、不用意に収容部を押したとしても、収容物の飛び出しをシート部材によって防止できる。 一方、前記開状態においては、収容物の取り出しが前記シート部材によって妨害されず、容易に収容物を取り出すことができる。 また、前記シート部材が、各収容物の使用時期を記入できる記入部を有しているため、各収容物の使用時期を記入部に記入することにより、収容物の使用時期を把握できる。」 「【0056】 前記プレススルーパック包装体10は、閉状態を維持するように前記包装用本体1の一部と前記シート部材2の一部とを仮止めする仮止部3を備えていることが好ましい。 前記仮止部3は、図2及び図5に示すように、複数備えられていてもよい。 【0057】 前記仮止部3は、具体的には例えば、閉状態のプレススルーパック包装体10における包装用本体1とシート部材2との間に配された粘着剤を有し、該粘着剤により包装用本体1の一部とシート部材2の一部とを互いに粘着するように構成されている。 【0058】 前記粘着剤は、比較的弱い粘着力を有している。従って、プレススルーパック包装体10は、粘着剤により仮止めされている包装用本体1とシート部材2とが、比較的弱い力により仮止めを解除できるように構成されている。仮止めが解除されると、プレススルーパック包装体10は、上記の閉状態が解除され、上記の開状態となり得る。 なお、仮止め解除後でも粘着力を有し続ける粘着剤を採用することにより、いったん開状態となった包装体10を再び閉状態とし、該粘着剤により包装用本体1の一部とシート部材2の一部とを仮止めすることができる。これにより、再び閉状態となった包装体10を閉状態のまま維持させることができる。 【0059】 前記仮止部3としては、例えば、加熱により包装用本体1とシート部材2とを互いに接着するホットメルト接着剤を有するもの、包装用本体1又はシート部材2の少なくともいずれか一方に付着された粘着テープを有し上記の閉状態にて包装用本体1とシート部材2との間に配されて両者を仮止めできるように構成されたものなども採用することができる。」 上記「包装用本体1とシート部材2との間に配された粘着剤」(【0057】)の記載及図5の図示内容によれば、粘着剤は、包装用本体1の蓋材1cの表面及びシート材2の表面に配されているものといえるので、以上を総合すれば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。 「収容物として医薬用錠剤が包装され、シート部材が包装用本体の蓋材側に折れ曲がり蓋材を覆っている閉状態をとるように構成されているプレススルーパック包装体であって、 閉状態を維持するように前記包装用本体の一部と前記シート部材の一部とを仮止めする仮止部を備え、 前記仮止部は、蓋材の表面とシート部材の表面とに配された粘着剤である、プレススルーパック包装体。」 第5 対比 本願発明と引用発明1とを対比する。 ア)引用発明1の「医薬品」は、用語の意味、機能等からみて、本願発明の「薬剤」に相当し、以下同様に、「一列5行分の」は「複数個の」に、「内容物収納部21」は「薬剤収容凹部」に、「折り畳み線23」は「折り目」に、「両側の部分に設けている」は「両側部に設けている」に、「容器本体2」は「容器本体」に、「内容物収納部21の開口を封止している」は「薬剤収容凹部の開口側の面を封緘している」に、「蓋3」は「蓋体」に、「二列五行のPTPの内容物保護包装体1」は「PTP包装体」に、「蓋3が内側になり重なる」は「蓋材の両側部が背合わせ状に重なる」に、「重なった容器本体2の折り畳み線23を中央にした両側の部分」は「重なり合った容器本体の両側部」に、それぞれ相当する。 イ)引用発明1における「各行の両側端部付近に設けられた係合片42及び差し込み片44の係止」が、解除可能かつ再係止可能な仮止め用の係合であることは、その構造からみて明らかである。 また、引用発明1の「各行の両側端部付近」は、内容物保護包装体1における外周部分の一部といえることから、本願発明の「外周部」に相当する。 よって、引用発明1の「各行の両側端部付近に設けられた係合片42及び差し込み片44の係止により保持する」は、“PTP包装体の外周部に設けた仮止め手段によって固定、保持している”という点で本願発明の「蓋材の外周部に薬剤収容凹部を囲むようにして帯状に設けた粘着剤層からなる仮止め手段によって固定、保持している」と共通する。 以上によれば、本願発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 薬剤を収容している複数個の薬剤収容凹部を、折り目を中央にして両側部に設けている容器本体と、この容器本体の上記薬剤収容凹部の開口側の面を封緘している蓋材とからなるPTP包装体であって、上記折り目から蓋材の両側部が背合わせ状に重なるように容器本体を二つ折りしていると共に、重なり合った容器本体の両側部を、PTP包装体の外周部に設けた仮止め手段によって固定、保持しているPTP包装体。 (相違点) 仮止め手段が、本願発明では、「蓋材の外周部に薬剤収容凹部を囲むようにして帯状に設けた粘着剤層からなる」のに対し、引用発明1では、互いに係止する係合片42及び差し込み片44であって、「蓋材の外周部に薬剤収容凹部を囲むようにして帯状に設けた粘着剤層」ではない点。 第6 判断 1 引用発明1、2の組み合わせについて 引用発明1における仮止め手段を、仮止めという機能を実現する範囲で適宜に具体化することは、当業者による通常の創作能力の発揮といえるところ、引用文献2には、上記「第4」の「2」の引用発明2が記載されている。 引用発明1、2は、薬剤を収容しているPTP包装体という発明の属する技術分野においても、また、蓋材を覆う手段を仮止めし、薬剤が不測に離脱することを防止するという発明の課題においても共通するものであることから、引用発明1において、仮止め手段である係合片42及び差し込み片44に代えて、同じく仮止め手段である引用発明2の粘着剤を適用すること、即ち、二行五列のPTP包装体における各係合片42と各差し込み片44のそれぞれの位置毎に対応付けて粘着剤層を蓋材に設けることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 ここで、粘着力に基づく「固定、保持」力が、粘着剤を設ける領域の大きさに依存することは技術的に自明であり、また、引用文献2には、「包装用本体1又はシート部材2の少なくともいずれか一方に付着された粘着テープを有し上記の閉状態にて包装用本体1とシート部材2との間に配されて両者を仮止めできる」(【0059】)と、粘着剤をテープ状ないし帯状とすることも示唆されていることを踏まえると、引用発明1に粘着剤を適用するに当たり、必要とされる「固定、保持」の安定性を考慮しつつ、点在する多数の粘着剤層につきその領域を拡張して「帯状」とすること、また、適切な粘着力を付与するために「蓋材の外周部に薬剤収容凹部を囲むように」設けることは、いずれも当業者が適宜になし得た程度のことである。 2 効果について 本願明細書に記載された「PTP包装体を幼児が不用意に手にしても仮止め手段による固定を解除して容器本体を展開することが困難であり、さらに、容易に破ることができる蓋材が二つ折りした容器本体の両側部間に介在して外部に露出することなく隠蔽された状態を保持しているので、蓋材を破って凹部内から薬剤を取り出して誤飲するのを確実に防止することができる。」(【0013】)、「PTP包装体を挟圧するような外力が作用しても、蓋材を介して対向する凹部内の薬剤が、互いに二つ折りした蓋材を介して押し合うことになって蓋材が破損する虞れが殆どなく、凹部内からの薬剤の飛び出しを阻止することができる。」(【0014】)、「薬剤を服用する際に、二つ折りした容器本体における重なり合った両側部の仮止め手段による固定を解除する操作を必要とするので、この操作によって薬剤を服用したことの確認が可能となる。」(【0016】)という本願発明の効果は、【0026】の「仮止め手段5を構成している上記粘着剤層5a、5aの層着部分は図4に示すように、薬剤収容凹部3から外側の蓋材2の外周部に薬剤収容凹部列を囲むようにして帯状に設けているが、蓋材2の四方の隅角部の面に層着しておいてもよく、或いは、蓋材2の両側部における薬剤収容凹部3以外の部分の面に点在状に装着しておいてもよい。」の記載からみて、粘着剤層を設ける領域の形状に依らないものといえることから、本願発明の奏する明細書記載の効果は、引用発明1及び2から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものとはいえない。 このような明細書記載の効果に加え、請求人は審判請求書において、「本願の請求項1に係る発明においては、上記のように重なり合った容器本体の両側部を、蓋材の外周部に薬剤収容凹部を囲むようにして帯状に設けた粘着剤層からなる仮止め手段によって固定、保持しているので、固定力が比較的強くなって容易に剥離する虞れをなくすることができる(以下「効果ア」という。)と共に、PTP包装体の薬剤収容凹部を上記折り目に直交する方向に分断しても分断した両側部には必ず粘着剤層が存在することになり、折り目を介して連設している容器本体の両側部同士をこの粘着剤層によって二つ折り状態に確実に保持しておくことができる(以下「効果イ」という。)」などの主張をしているので、続いて検討する。 効果アに関し、「固定力」が粘着剤層を設けた領域の大きさに依存することは技術的に自明な事項にすぎないのであるから、「固定力が比較的強くな」るという効果アが、粘着に関する技術常識を有する当業者にとって予測し得ない効果であるとはいえない。 また、効果イに関し、「PTP包装体の薬剤収容凹部を上記折り目に直交する方向に分断して」使用することを前提とする主張は、特許請求の範囲に基づく主張とはいえないが、そもそも引用発明1では、「係合片42及び差し込み片44」が「各行の両側端部付近に設けられ」ているのであるから、PTP包装体の薬剤収容凹部を折り目に直交する方向に分断しても、折り目を介して連設している容器本体の両側部同士を仮止め手段によって確実に保持しておくことができること自体は、引用発明1も備える作用効果にすぎないのであるから、効果イも、引用発明1及び2から当業者が予測し得る範囲内のものであって、格別なものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-001154

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