商標異議申立
2018-900215
アジル、アジャイル
- 審判番号
- 2018-900215
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 商願2017-080864
- 登録番号
- 6042644
- 請求日
- 2018年08月03日
- 審決日
- 2021年10月04日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社アーク
- 【異議申立人】今村 博明
- 【異議申立人】上池 睦
- 審判長/審判官
- 審判長 冨澤 美加
- 審判官 中束 としえ
- 審判官 杉本 克治
- 分類
- T1652.13 -ZC (W41) / T1652.25 -ZC (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法43条の3第2項商標法43条の3第4項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第10号、商標法第43条の3第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
登録第6042644号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。
結論
結 論
登録第6042644号商標の指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,情報管理システムに関する教育訓練研修,情報技術の使用に関する教育訓練研修,それらのコンピュータ・電気通信を利用して行う教育訓練,組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,プログラム・プロジェクト・ポートフォリオの管理及び作成のための教育訓練研修,コーチング(教育及び訓練),資格の認定及び付与の企画・運営並びにこれに関する情報の提供,資格検定試験並びに資格認定試験の企画・運営又は実施並びにこれに関する情報の提供,試験問題の作成,教育情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,ビジネス・事業戦略・科学・技術のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,その他のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,インターネット又はコンピュータネットワークを通じた通信端末を用いた書籍・雑誌の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・知識提供・教育訓練及び経営に関する書籍の制作(広告物を除く。),その他の書籍・雑誌・定期刊行物・冊子・カタログ及びその他の出版物の制作(広告物を除く。),教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),通信ネットワークを利用した音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),電気通信回線を通じて行う静止画像・動画像・音声付き静止画像・音声付き動画像・映像・電子出版物・教育情報の提供」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6042644号商標(以下「本件商標」という。)は、「Agile」の文字を標準文字で表してなり、平成29年6月19日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,情報管理システムに関する教育訓練研修,情報技術の使用に関する教育訓練研修,それらのコンピュータ・電気通信を利用して行う教育訓練,組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,プログラム・プロジェクト・ポートフォリオの管理及び作成のための教育訓練研修,コーチング(教育及び訓練),資格の認定及び付与の企画・運営並びにこれに関する情報の提供,資格検定試験並びに資格認定試験の企画・運営又は実施並びにこれに関する情報の提供,試験問題の作成,教育情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,ビジネス・事業戦略・科学・技術のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,その他のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,インターネット又はコンピュータネットワークを通じた通信端末を用いた書籍・雑誌の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・知識提供・教育訓練及び経営に関する書籍の制作(広告物を除く。),その他の書籍・雑誌・定期刊行物・冊子・カタログ及びその他の出版物の制作(広告物を除く。),教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),書画の貸与,録画済み磁気テープの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,ポジフィルムの貸与,ネガフィルムの貸与,おもちゃの貸与,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,通信ネットワークを利用した音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),電気通信回線を通じて行う静止画像・動画像・音声付き静止画像・音声付き動画像・映像・電子出版物・教育情報の提供,通訳,翻訳」並びに第16類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成30年4月19日に登録査定され、同年5月11日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
1 登録異議申立1の理由
登録異議申立人、今村 博明(以下「申立人1」という。)は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第41類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、証拠1ないし証拠3(以下、各証拠については、「証拠1」を「申立人1甲1」のように記載する。)を提出した。
(1)「Agile」及び「アジャイル」は、主にソフトウェア開発に係る思想及びそれを具現化するマネジメント・開発手法の総称として、世界各地の17名の先進的ソフトウェア開発実践者が、2001年に「Manifesto for Agile Software Development(日本語訳:アジャイルソフトウェア開発宣言)」として参加者17名の署名つきで発表したものを指す(申立人1甲1)。
それを機に世界中で「Agile」に対する理解と取り組みが広がり、例えば、2009年時点で米国では採用されるソフトウェア開発手法の過半数を占める状況となっている(申立人1甲2)。
日本においても本件商標が登録される2018年(平成30年)5月11日以前である、2001年前後から一部のソフトウェア開発者が「Agile」に取り組みながら有志によるコミュニティを形成し、それを通じて勉強会やカンファレンスの開催、書籍の出版等を通して普及活動が行われてきた結果、「Agile」という用語はソフトウェア業界及び産業界一般において広く認識される名称となっている。
カンファレンスの一例として、2009年以降現在に至るまで毎年Agile Japanというカンファレンスが開催されており(申立人1甲3)、日本においてもソフトウェア開発業界のみならず広く産業界にまで「Agile」が認知される状況となっている。
また、書籍としては「アジャイルと規律~ソフトウエア開発を成功させる2つの鍵のバランス~(2004年 日経BP社)」、「アジャイルプロジェクトマネジメント(2005年 日経BP出版センター)」、「アジャイルな見積りと計画づくり~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~(2009年 マイナビ出版)」、「アジャイルサムライ--達人開発者への道(2011年 オーム社)」、「アジャイル開発とスクラム 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント(2013年 翔泳社)」、「わかりやすいアジャイル開発の教科書(2013年 SBクリエイティブ)」、「ハイブリッドアジャイルの実践(2013年 リックテレコム)」、「エンタープライズアジャイル革命(2015年 日経BP社)」、「今すぐ実践! カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント(2016年日経BP社)」、「アジャイルコーチング(2017年 オーム社)」、「アジャイルエンタープライズ(2018年 翔泳社)」等、国内において「Agile」及び「アジャイル」との名のつく書籍が固有ではない出版社、国内外問わず多くの著者により出版されている。
(2)このような状況を踏まえ、米国において2001年に17名の署名付きで発案・発表され、一般的に産業界で広く認知・使用されてきた用語である「Agile」及び「アジャイル」が、本件商標権者に帰属するという状況は、商標法第4条第1項第10号への違反と判断される。
2 登録異議申立2の理由
登録異議申立人、上池 睦(以下「申立人2」という。)は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第41類「情報管理システムに関する教育訓練研修,情報技術の使用に関する教育訓練研修,それらのコンピュータ・電気通信を利用して行う教育訓練,ソフトウェア及び開発手法に関するコーチング(教育及び訓練),ソフトウェア及び開発手法に関する資格の認定及び付与の企画・運営並びにこれに関する情報の提供,ソフトウェア及び開発手法に関する資格検定試験並びに資格認定試験の企画・運営又は実施並びにこれに関する情報の提供,ソフトウェア及び開発手法に関する試験問題の作成,ソフトウェア及び開発手法に関する教育情報の提供,ソフトウェア及び開発手法に関するセミナーの企画・運営又は開催,ソフトウェア及び開発手法のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,ソフトウェア及び開発手法に関する電子出版物の提供,ソフトウェア及び開発手法に関する書籍の制作,ソフトウェア及び開発手法に関する書籍・雑誌・定期刊行物・冊子・カタログ及びその他の出版物の制作」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであるとして、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(以下、各証拠については、「甲第1号証」を「申立人2甲1」のように記載する。)を提出した。
(1)本件商標について
ソフトウェア分野において、「Agile」の語は、「開発手法」を表示するものとして普通に使用されている事実がある(申立人2甲1、申立人2甲2)。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標をその指定役務中「情報管理システムに関する教育訓練研修,情報技術の使用に関する教育訓練研修,それらのコンピュータ・電気通信を利用して行う教育訓練,『コーチング(教育及び訓練),資格の認定及び付与の企画・運営並びにこれに関する情報の提供,資格検定試験並びに資格認定試験の企画・運営又は実施並びにこれに関する情報の提供,試験問題の作成,教育情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,セミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,電子出版物の提供,書籍の制作,書籍・雑誌・定期刊行物・冊子・カタログ及びその他の出版物の制作』のうちソフトウェア及び開発手法に関するもの」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に役務の質(内容)を表示した語と認識するにとどまるから、当該文字は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、かつ、上記以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがある。
(3) むすび
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきものである。
第3 取消理由の通知
当審において、本件商標権者に対し、「本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第41類『技芸・スポーツ又は知識の教授,情報管理システムに関する教育訓練研修,情報技術の使用に関する教育訓練研修,それらのコンピュータ・電気通信を利用して行う教育訓練,組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,プログラム・プロジェクト・ポートフォリオの管理及び作成のための教育訓練研修,コーチング(教育及び訓練),資格の認定及び付与の企画・運営並びにこれに関する情報の提供,資格検定試験並びに資格認定試験の企画・運営又は実施並びにこれに関する情報の提供,試験問題の作成,教育情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,ビジネス・事業戦略・科学・技術のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,その他のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,インターネット又はコンピュータネットワークを通じた通信端末を用いた書籍・雑誌の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・知識提供・教育訓練及び経営に関する書籍の制作(広告物を除く。),その他の書籍・雑誌・定期刊行物・冊子・カタログ及びその他の出版物の制作(広告物を除く。),教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),通信ネットワークを利用した音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),電気通信回線を通じて行う静止画像・動画像・音声付き静止画像・音声付き動画像・映像・電子出版物・教育情報の提供』(以下「取消対象役務」という。)について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和3年5月10日付けで通知した。
第4 取消理由に対する商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由に対し、意見書及び回答書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、第1号証ないし第7号証を提出した。
1 意見書の要旨
(1)本件商標は、「Agile○○○○」ではなく、「Agile」であり、これは、取消理由通知書のとおり、「すばやい、機敏な」の意味を有する英単語である。
(2)「Agile」の吟味
weblio辞書をみると、「Agile」の主な意味は、「(動きが)機敏な、はしっこい、(・・・に)機敏で、はしっこくて、頭の回転の早い、機敏な、明敏な」とある。「明敏」は、あまり使わない言葉であり、インターネット検索で追加すると「頭の働きが、鋭く、すばやいこと。」とある。「Agile」について、品詞は「形容詞」、学習レベルは「レベル:12 英検:1級以上の単語」となっており、「大学上級程度」以上であり、高等教育でも履修することの少ない限られた単語となる。
(3)商標としての「Agile」の吟味
ア 「Agile」の意味は、「すばやい、機敏な」程度しか出てこないので、商標として識別力があるものである。
イ 英検1級の合格者数は、年間約2,500人とのことであり、「すばやい、機敏な」という意味を認識できる人は、国内では、極めて少ないといえ、限りなく造語に近いといえるから、「Agile」は、商標として識別力があるものである。
ウ 品詞は、形容詞であるから、名詞を代入して「すばやい○○○○」、「機敏な○○○○」と使用され、「○○○○」には、ほとんどすべての名詞を代入することが可能であるから、「Agile」は極めて抽象的、間接的であり、具体的、直接的には、何も示すことはないから、商標として識別力があるものである。
したがって、どの観点から見ても、「Agile」には商標として十分な識別力がある。
2 回答書の要旨
(1)「Agile」の一般の辞書の掲載
weblio辞書には「Agile」は、9種の辞書もリンクしながら7ページにわたり説明されているが、ソフトウェア開発への言及は、たった1項目のみにすぎない。
そして、その唯一言及している「Weblio英和対訳辞書」の該当項目のみにある「Weblio英和対訳辞書はプログラムで機械的に意味や英語表現を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。」の注意書きの意味は不明である。
(2)「Agile」及び「アジャイル」の文字について
ア 辞典等における「Agile(アジャイル)」の文字の意味について
取消理由通知で挙げている辞書は、コンピュータやビジネス関連の辞書である。一般の辞書は、広く用いられ、かつ一般的に広く使用されてから、用語を収録する傾向がある。
したがって、一般の辞書に収録された場合は、「アジャイル」という用語は広く用いられ、かつ一般的に広く使用されていると解されるが、コンピュータやビジネスの分野は、進歩が速いため、用語の普及度とは関係なく、目新しいものはとにかく速く収録しようとする傾向がある。
よって、コンピュータやビジネス関連の辞書に掲載されているからといって、広く用いられ、かつ一般的に広く使用されているということは乱暴すぎる。
事実、「実用日本語表現辞典」の「アジャイル経営」は、一時的なものですぐに消滅している。
したがって、広く用いられ、かつ一般的に広く使用されている実態どおりを表しているのは、weblio辞書の収録状況と考えるのが妥当であり、当該辞書で「Agile」は、7ページにわたり説明されているが、ソフトウェア開発への言及は1項目のみにすぎない。
イ 新聞における「アジャイル(Agile)」の文字の使用例について
(ア)新聞記事は、書籍とは異なり、与えられた紙面が狭いため、少しでも必要性のない言葉は記載しない、多くの人に広く用いられ、かつ一般的に広く使用されているものであれば、そもそも、ニュース性がないのであるから、記事にすることはない。まだ、多くの人に広く用いられておらず、かつ一般的に広く使用されていない黎明期にあると思うからこそ、「アジャイル」の説明や解説を加えざるを得なかったと考えるのが妥当である。
日経産業新聞、電気新聞、日刊工業新聞、日経産業新聞は、一般紙ではなく、業界の専門紙であり、一般人を対象とした新聞ではない。それでも上記新聞の引用記事5本がすべて、例外なく説明・解説付きである。「説明・解説をしなければ、読者に理解してもらえないと、すべての記者が考えていた」と考えるのが妥当である。すなわち、「アジャイル」が、いまだ黎明期にあり、「アジャイル」なる文字が広く使用されてはおらず、かつ一般的に広く使用されていないことの強い証拠である。
(イ)日経産業新聞(2012年5月10日)の各社の状況について吟味する。
システム開発は、大手の下に関連会社、その下に二次下請け、さらに多いときには五次、七次下請けが入る多重下請け構造であり、実際にシステム開発するのは末端の下請け企業であって、大手企業の要員が開発することはない。
各企業グループの要員数は、膨大で記事に記載された人数は、全体の極めて一部分であり、結果として、この記事の実態は、大手が関心を示したという程度にすぎない。
ウ ウェブサイトにおける「アジャイル(Agile)」の文字の使用例について
(ア)ソフトウェアの分野における「アジャイル(Agile)」の文字の使用例について
取消理由通知の(イ)ないし(オ)のウェブサイトすべてが、「アジャイル(Agile)」が、夜明け前、黎明期の状態にあることの証拠となっており、とても、「アジャイル」なる文字が、開発手法を表す用語として広く用いられ、かつ一般的に広く使用されているとはいえない。また、取消理由通知の(ア)は事典であるから、評価しない。
(イ)ソフトウェア以外の分野における「アジャイル(Agile)」の文字の使用例について
取消理由通知の(ア)ないし(ウ)のウェブサイトのすべてが、「アジャイル」は、コンピュータソフトウェアの分野において開発手法を表す文字として広く用いられていない、かつ一般的に広く使用されていないことを示す証拠となっている。また、取消理由通知の(エ)も、企業経営やマネジメントなどの分野で、広く使用されてはいないことを示している。
エ 「アジャイル(Agile)」に関するセミナー、研修、資格について
いずれも「アジャイル」なる文字が、開発手法を表す用語として広く用いられ、かつ一般的に広く使用されているという証拠とはいえず、むしろ、すべて黎明・夜明け前であることを示すものばかりとなっている。
オ 「アジャイル(Agile)」の文字を冠した書籍について
いずれも「アジャイル」なる文字が、開発手法を表す用語として広く用いられ、かつ一般的に広く使用されているという証左とはいえず、むしろ、すべて黎明期・夜明け前であることを示すものばかりとなっている。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反しているとはいえない。
第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)「Agile」及び「アジャイル」の文字について
職権による調査によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 辞典等における「Agile(アジャイル)」の文字の意味について
(ア)「ベーシック ジーニアス英和辞典」(2009年4月1日発行(第7刷)「株式会社大修館書店」)において、「agile」の項に「すばやい、機敏な」との記載がある。
(イ)「日経パソコン用語事典 2009年版」(2008年10月20日発行「日経BP社」)において、「アジャイルソフトウェア開発」の項に「さまざまな変化に迅速に対応できるようにソフトウェアを開発するための手法の総称。・・・アジャイルは本来『俊敏な』という意味。システム仕様の変更や機能追加などに、臨機応変に対応していく手法として考案された。」との記載がある。
(ウ)「最新標準パソコン用語事典2013-2014年版」(2013年4月1日発行「株式会社秀和システム」)において、「アジャイル agile」の項に「agileは『機敏な』という意味を持つ英語。ソフトウェア開発で、良いものをすばやく無駄なく作ることを重視する手法の総称である。」との記載がある。
(エ)「コトバンク ASCII.jpデジタル用語辞典」において、「アジャイル agile」の説明として、「『俊敏な』『すばやい』という意味の英単語で、要求仕様の変更などに対して、機敏かつ柔軟に対応するためのソフトウェア開発手法。・・・アジャイルでは、仕様や設計の変更があることを前提に開発を進めていき、徐々にすり合わせや検証を重ねていくというアプローチをとる。」との記載がある。
(https://kotobank.jp/word/アジャイル-348)
(オ)「実用日本語表現辞典」において、「アジャイル 英語:agile」の説明として、「アジャイル(Agile)とは、基本的には『機敏な』『すばしっこい』という意味の英語表現です。日本語の中では、『アジャイル開発』『アジャイルソフトウェア開発』といった言い方で、ソフトウェア開発の現場で用いられる手法・考え方を指す意味で用いられます。アジャイルソフトウェア開発は、ソフトウェアの機敏・俊敏・迅速・柔軟な推進を実現する開発手法の総称であり、そうした開発手法を駆使してソフトウェア迅速に機敏に開発していこうとする理念そのものです。」及び「『アジャイル』の語を含む用語として『アジャイル開発』『アジャイル型組織』『アジャイル経営』のような言い方が用いられる場合も多々あります。『アジャイル開発』は『アジャイルソフトウェア開発』の略であり同義語です。迅速に開発して改良を重ねていくという『アジャイル』の概念・発想の発祥といえます。『アジャイル型組織』は、アジャイルソフトウェア開発の考え方を取り入れた組織の在り方を指す言い方です。ソフトウェア開発の分野に限らず、異業種・異分野においてもアジャイルの概念が活用できる、という考え方が根底にあります。あるいは、アジャイルの理念を開発(作業)に留まらず組織のあるべき姿として捉え直した考え方であるとも言えるかもしれません。『アジャイル経営』も『アジャイル型組織』と同様。こちらは経営者の立場から、企業経営の観点において、アジャイルソフトウェア開発の考え方や理念を経営手法として活かそうとする在り方を指す言い方です。」との記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/Agile)
イ 新聞における「アジャイル(Agile)」の文字の使用例について
(下線は、合議体が付した。以下同じ。)
(ア)日経産業新聞(2012年5月10日)において、「アジャイル、大手も本腰、ソフト機能別に数週間で納入、NTTデータ、日本ユニシス。」の見出しの下、「NTTデータやNECなどIT(情報技術)大手が、『アジャイル(迅速)』と呼ぶ新たなシステム開発手法に本腰を入れ始めた。従来のように長期間かけてシステム全体を作り上げ、顧客に納入するのではなく、ソフトを機能別に数週間単位で開発して顧客に納入する仕組み。・・・アジャイルを活用したシステム開発は、企業や自治体が採用を始めている。・・NTTデータはアジャイル開発向けの開発ソフトを整備し、今年度から3年間かけて1千人の開発者を育成する。・・・NECは開発の手順やルールをまとめた『アジャイル開発ガイド』を昨年12月に社内公開した。12年4月にはアジャイル開発の適用を加速するため、グループ横断のタスクフォースを本社に設置。各部門から40人の技術者が参画した。・・・富士通は自社の製品開発でアジャイル開発を既に適用し、500人の技術者を擁する。今後は顧客向けシステム開発でもアジャイル開発を進めるとみられる。日本ユニシスはアジャイル開発に向いている開発言語『Ruby』を使ってアジャイル開発を進められる技術者を14年までに100人育成する。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は今年度中にアジャイル向けの開発手順の整備を終えて顧客向けシステム開発事業で使い始めた。米国で生まれたアジャイル開発は10年ほど前に日本に持ち込まれた。すでにスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)向けのアプリ開発やネットサービス、小規模なソフト開発ではアジャイルが浸透しているが、主に中小のIT企業が活用していた。比較的に規模が大きなシステムでもアジャイルの利点が注目を集め始めたため、IT大手はこぞって開発要員の増強や技術強化に動き出した。経済産業省の外郭団体である情報処理推進機構(IPA)は日本のIT産業活性化に向け、日本でのアジャイル開発を成功させるためのワーキンググループを発足。活動期間は3年に及び、アジャイル開発に合った契約手法や、アジャイル開発の手順の整備などを続けている。・・・▼アジャイル(Agile)開発システムを短期間に開発する手法。全体を一気に作り上げるのではなく、機能ごとに企画・設計・プログラミング・テストを1~2週間で行い、その都度納入、段階的にシステムを仕上げる。開発中に顧客の要望が変化したり機能を追加・修正したりすることも可能。全体を一気に作り上げると一部の修正が全体に波及して修正に要する期間やコストが高くなるため、機能ごとに開発するアジャイル開発の方が開発期間やコストを抑えられるケースも多い。」との記載がある。
(イ)電気新聞(2015年10月21日)において、「[myテーマ]ソフトウェア技術者の育成」の見出しの下、「最近注目されているソフトウエア開発技術にアジャイル開発手法がある。アジャイルとはスピードを意味するのだが、この開発手法には仕様書を確定するという概念がない。開発者は皆、対等に議論し、議論の中からどんどん、プロトタイプソフトウエアを組んでいく。優秀なソフトウエアエンジニアだけの少数精鋭のチームで、議論の末にプログラムが開発されていくわけだから、ミスは徹底的に排除され信頼性は高くなるし、スピードも速い。」との記載がある。
(ウ)日刊工業新聞(2015年12月16日)において、「オージス総研、来月20日にアジャイル開発セミナー」の見出しの下、「オージス総研(大阪市西区・・・)2016年1月20日14時から東京本社(東京都港区)で、短期間でソフトウエアを開発できる『アジャイル開発』の導入を検討している企業向けの『ユーザーストーリー入門』セミナーを開く。定員は18人で参加無料。申し込みは同社ホームページで。」との記載がある。
(エ)日経産業新聞(2017年8月10日)において、「ANA流働き方改革、個人からチームへ新段階――見える化徹底、チャットで会議(日経BP専門誌から)」の見出しの下、「アジャイルに働く・・・一連の取り組みの先に見据えるのは、コミュニケーションや情報共有を迅速に行うことで素早く仕事の成果を出す『アジャイルな働き方』の実現だ。アジャイルとはIT用語の1つで、任意の開発プロジェクトを遂行する際、全体の厳密な設計はせず、おおまかな仕様をもとに小規模開発を短期間でどんどん重ねる手法を指す。」との記載がある。
(オ)日経産業新聞(2017年9月25日)において、「米ピボタルCEOに聞く、大企業、『迅速開発』意識を、自社でのIT構築を支援。」の見出しの下、「米ソフト開発支援ピボタル・ソフトウエアが日本で存在感を高めている。特に『アジャイル(迅速)開発』と呼ぶ短期間で開発する手法や、組織運営のコンサルティングの引き合いが強い。・・・▼アジャイル開発 迅速かつ柔軟に作業を進め、後から変更や機能追加がしやすい開発手法。システム全てを作ろうとせず、必要性が高い機能やシステムを選別し、ひとまず優先順位の高い部分から開発を進める。重要な部分から検証を進め、不具合を修正しながら品質を高めていく。変化の速い近年のIT(情報技術)ビジネスに対応するために不可欠な手法とされ、ベンチャー企業が活用している。」との記載がある。
ウ ウェブサイトにおける「アジャイル(Agile)」の文字の使用例について
(ア)ソフトウェアの分野における「アジャイル(Agile)」の文字の使用例について
a 2004年12月21日の日付の「ITmediaエンタープライズ」のウェブサイトにおいて、「情報システム用語事典 アジャイルソフトウェア開発」の見出しの下、「ソフトウェア要求仕様の変更などの変化に対して機敏な対応ができ、顧客に価値あるソフトウェアを迅速に提供することを目的とするソフトウェア開発方法論の総称。特に『アジャイルソフトウェア開発宣言』に合意しているもの、『アジャイルアライアンス』に参加しているものを指す。アジャイル(agile)とは『俊敏な』『機敏な』という意味で、軽量型(ライトウェイト)開発ともいう。」との記載がある。
(https://www.itmedia.co.jp/im/articles/0412/21/news093.html)
b 2014年12月5日の日付の「@IT atmarkIT」のウェブサイトにおいて、「アジャイル時代のプロジェクトマネジメント入門(2) 現代のプロマネが知っておきたいアジャイル開発の基礎知識まとめ」の見出しの下、「アジャイルとは」の項に「アジャイル(agile)を訳すと『機敏な』『素早い』をいう意味です。アジャイルでは『イテレーション』と呼ばれる期間ごとにクライアントにアプリケーションを提供しますが、このイテレーションの期間が一般的に2週間程度と従来の開発手法と比較し短く、文字通り『素早い』開発手法となっています。」との記載がある。
(https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1412/05/news044.html)
c 2016年6月22日の日付の「MONOist」のウェブサイトにおいて、「ハードウェアのアジャイル開発は可能か、開発効率を80%向上できた事例も」の見出しの下、「アジャイル開発は、ソフトウェア開発で広く導入されている開発手法である。従来は、仕様を固めてから、上流から下流までの工程を流していくウォーターフォール開発が中心だった。アジャイル開発では、短い期間で開発を反復しながら機能を追加していくので、ウォーターフォール開発が苦手な細かな仕様変更や機能追加などに対応しやすいといわれている。」との記載がある。
(https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1606/22/news049.html)
d 2016年6月28日の日付の「LNEWS」のウェブサイトにおいて、「日通情報システム/アジャイル開発チーム立ち上げ」の見出しの下、「ウルシステムズは6月28日、日通情報システムのアジャイル開発チーム立ち上げを支援したと発表した。日通情報システムは日本通運グループの情報サービス会社で、グループ企業の情報システムを開発、運用している。従来はシステムを新規に開発する際、ウォーターフォール型プロセスを採用してきたが、ユーザーの要求をより的確に汲み取り、価値あるシステムを短期間で実装するためアジャイル開発手法の導入を決め、ウルシステムズに支援を依頼した。」との記載がある。
(https://www.lnews.jp/2016/06/i062807.html)
e 「東京工業大学 IT特別教育プログラム」のウェブサイトにおいて、「2016年7月5日 アジャイル開発とスクラム」の見出しの下、「今日は、産業技術大学院大学から・・・先生をお招きして、『アジャイル開発とスクラム』について学びました。・・・先生はアジャイル・コーチ、アジャイル・トレーナーで、企業でもコンサルをされるなど、現場の第一線で活躍されている先生です。まずは、『アジャイルとは?』という講義からスタート。アジャイル開発とは、単なる開発方法論ではなく、人々が ”協働する” 力を最大限に活かして、”価値のあるソフトウェア”を作り続けるための活動、およびその方法論である、という紹介がありました。」との記載がある。
(http://www.itpro.titech.ac.jp/pbl2016/detail_173.html)
(イ)ソフトウェア以外の分野における「アジャイル(Agile)」の文字の使用例について
a 2007年5月9日の日付の「@IT情報マネジメント」のウェブサイトにおいて、「アジャイル経営診断プロジェクト“万華鏡”-新たなビジネス創出のためのコラボレーションフレームワークのすすめ」の見出しの下、「現在、エム・イー・エルではメタジトリーとともに、アジャイル診断プロジェクト(コードネーム『万華鏡』)を進めています。・・・それで『戦略経営とは何か』ですが、この環境変化に対応するための戦略・システム・組織・企業風土のギャップをクローズするための一連の改革といえます。アジャイルを、このギャップをいち早くクローズするために短期間でシステム構築に対応させる動きだと定義付けると、アンゾフ博士が考えた戦略診断システムはアジャイル経営や『経営とITの融合』の部分でも使えるだろうと判断しました。」との記載がある。
(https://www.atmarkit.co.jp/im/cae/reports/0704/01.html)
b 2015年3月6日の日付の「ITmedia ビジネスONLINE」のウェブサイトにおいて、「より速く、より柔軟に 旧来のビジネスモデルからの脱却“アジャイル”経営を実現するには?」の見出しの下、「ビジネスにスピードを獲得するには何から手を付ければいいのか。ビジネスの現場に身を置いている人であれば『アジャイル(agile)』という言葉を耳にしたことがあるだろう。この言葉は『できるだけ速く、高い頻度で、変化に追随する』ことを良しとする概念で、特に顧客ニーズの変化が激しいITの開発現場で発展してきた。しかし現在では、ITに限らず企業のビジネス部門でも使われることが多い。そして、ビジネスにおいてアジャイルを実現するには、それらを妨げる経営および業務上の無駄をいかに排除するかが鍵となる。」との記載がある。
(https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1503/06/news010.html)
c 2017年1月2日の日付の「週刊BCN」のウェブサイトにおいて、「【2017年 年頭所感】日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ アジャイルであること」の見出しの下、「2017年のキーワードとして『アジャイルであること』を挙げる。よく柔軟でスピード感溢れた経営スタイルのことを『アジャイル経営』などと呼ばれるが、私はさらに踏み込んで仕事の仕方そのものがアジャイル的であるべきだと捉えている。・・・経営のみならず、日々の業務そのものをアジャイル的に進めていく時代がきている。」との記載がある。
(https://www.weeklybcn.com/journal/serial/detail/20170102_155843.html)
d 2017年12月15日の日付の「BtoBプラットフォーム業界ch」のウェブサイトにおいて、「シミックホールディングス株式会社 組織変更および人事異動に関するお知らせ」の見出しの下、「当社は、下記のとおり組織変更および人事異動を行いますので、お知らせいたします。 1.組織変更(2018年1月1日付) 医薬品業界の急激な環境変化に対応するアジャイル経営の定着ならびに2018年4月より開始予定である『Project Phoenix 3.0』の実施に向け、『社長室』を『事業戦略推進室』に改称し戦略機能の更なる強化を行います。」との記載がある。
(https://b2b-ch.infomart.co.jp/news/detail.page?IMNEWS1=815918)
エ 「アジャイル(Agile)」に関するセミナー、研修、資格について
(ア)「PMI日本支部」のウェブサイトにおいて、「アジャイルプロジェクトマネジメントの基礎 2015年1月28日」の見出しの下、「PMI日本支部主催のアジャイルPM研修を2015年1月28日(水)に東京にて開催致します。」の記載、及び「コースのねらい」の項には、「グローバル競争が激化する中、企業はイノベーション、スピード、適応による顧客価値創造が求められ、それを実現するツールであるアジャイルの重要性はますます高まっています。このコースでは、従来のウォーターフォール型と比較しながら、アジャイルの価値観・原則と効果、主なアジャイル方法論、アジャイル プロジェクト マネジメント、アジャイル ステークホルダーの役割、アジャイル プロジェクト マネジャーの役割とスキル、PMBOK(R)(○の中に「R」の文字を配してなる記号。)との関係、企業レベルのアジャイル導入に関わる不安や課題その対応方法、企業レベルのアジャイル導入の進め方、について学びます。」との記載がある。
(https://www.pmi-japan.org/event/open_seminar/pm/2014_10_31_agilepm_1501.php)
(イ)2015年2月2日の日付の「ワイクル株式会社」のウェブサイトにおいて、「アジャイル認定資格というもの」の見出しの下、「アジャイル関連の資格が多いようなので、どれだけあるか調べてみました。他にもあると思いますが、目立ったものは網羅できていると思います。」の記載とともに、「Agile Coaching Institute アジャイルコーチの資格。」及び「(追記)アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験」との記載がある。
(https://www.waicrew.com/2015/02/02/)
(ウ)2017年2月10日の日付の「Agile」のウェブサイトにおいて、「アジャイル検定レベル1試験『一般受験スタートキャンペーン』の御案内」の見出しの下、「今年2月13日(月)より、アジャイル検定レベル1試験がどなたでも受験可能となる。スタートキャンペーンとして、先着100名様に新刊『アジャイル検定 公式テキスト』をプレゼントいたします。」の記載、及び「開催日時」として、「東京・代々木」は「3月24日(金)」、「4月 4日(火)」、「大阪・心斎橋」は「2月24日(金)」、「3月 7日(火)」及び「4月26日(水)」との記載がある。
(http://agilecert.org/news/campaign20170210/)
(エ)「株式会社インプレス」のウェブサイトにおいて、「アジャイル開発/Scrum基礎講座2017 受講生募集 2017年4月度」、「2017/4/7(金)▲4/28(金)全4回 東京・神保町」の見出しの下、講座の内容を紹介する記載がある。
(https://academy.impress.co.jp/event/scrum201704/timetable.html)
(オ)「SHIFT」のウェブサイトにおいて、「【セミナー】『アジャイル開発セミナー』のご案内(6/8)」の見出しの下、「株式会社SHIFTでは、アジャイル開発にご興味のある方や、実際にアジャイル開発に取り組んでいる方々を対象にしたSHIFTプライベートセミナー『アジャイル・DevOps実践に必要なこと』を下記の通り開催いたします。」及び「株式会社SHIFT主催プライベートセミナー 『アジャイル・DevOps実践に必要なこと ~取り組み事例をもとに~』 ■日時:2017年6月8日(木) 16:00~17:00(受付開始15:45)」との記載がある。
(https://www.shiftinc.jp/news/news-2353/)
(カ)「UMTP/JAPAN 特定非営利法人UMLモデリング推進協議会」のウェブサイトにおいて、「アジャイル開発事例セミナー(2017-12-13)開催案内」の見出しの下、「名称 アジャイル開発事例セミナー」、「日程 2017年12月13日(水)/15時00分~17時30分(受付開始14時40分)」との記載がある。
(https://umtp-japan.org/event-seminar/7164)
オ 「アジャイル(Agile)」の文字を冠した書籍について
(ア)「SB Creative」のウェブサイトにおいて、「アジャイルソフトウェア開発の奥義 第2版 オブジェクト指向開発の神髄と匠の技」、「発売日 2008年07月01日(火)」の記載とともに、上記表題の書籍の画像が掲載されている。
(https://www.sbcr.jp/product/4797347784/)
(イ)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「アジャイルサムライ-達人開発者への道-Tankobon Softcover -July 16,2011」の記載とともに、上記表題の書籍の画像が掲載され、「マスターセンセイと学ぶアジャイル開発の道 動くソフトウェアを素早く開発するための『アジャイルソフトウェア開発手法』を、実際に導入するにはどうすればよいかを、豊富な図を使い親しみやすい言葉で解説しています。経験豊かな著者が具体的なノウハウをまとめた本書は、アジャイル開発を導入したいと考えている組織や人のための『現場のマニュアル』として役立ってくれることでしょう。」との記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/4274068560/)
(ウ)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「アジャイル開発とスクラム~顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント Tankobon Softcover -January 18,2013」の記載とともに、上記表題の書籍の画像が掲載され、「日本生まれ、米国育ち! 注目のソフトウェア開発手法『スクラム』!本書は、企業の経営層に向けて、ソフトウェアの開発手法アジャイルとその手法の1つである『スクラム』を体系的に解説するものである。また、スクラムはソフトウェア開発のみならず、組織や企業活動、企業経営全体にまで適用できることを示し、この手法を取り入れ、ビジネスと一体となってソフトウェアを開発する組織や、その組織に息を吹き込む、新しいタイプのリーダーシップ像について考える。」との記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/4798129704/)
(エ)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「図解でわかるアジャイル・プロジェクト マネジメント (SCC Books 389)Tankobon Softcover - June 30,2016」の記載とともに、上記表題の書籍の画像が掲載され、「PMBOKガイド監訳責任者が贈るアジャイル・プロジェクトマネジメント解説書の決定版!」との記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/4886472486/)
(オ)「東京都立産業技術大学院大学」のウェブサイトには、「本学・・・特任准教授らが翻訳した『アジャイルコーチング』が発刊されました。(2017年1月21日)」の見出しの下、「本学 enPiTプログラム担当・・・特任准教授と・・・委員が共訳した『アジャイルコーチング』が、オーム社から2017年1月21日に発刊されました。」「[基本情報]アジャイルなコーチング手法を学ぼう。ソフトウェア開発手法の一つである『アジャイル開発』。本書は、アジャイル開発を実践するチームにおけるコーチ(プロジェクトチームメンバーの指導者)のあり方について、実用的な側面から解説したRachel Davies and Liz Sedley, “Agile Coaching”(The Pragmatic Programmers, LLC 2009)の翻訳書です。チームを改善するためのヒントや効果的なミーティングの方法などを実践的に解説しています。」との記載がある。
(https://aiit.ac.jp/NEWS/notice/20170121.html)
(カ)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「アジャイル検定公式テキスト アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験 レベル1対応 Tankobon Softcover - February 15,2017」の記載とともに、上記表題の書籍の写真が掲載され、「アジャイル開発手法の基礎から実務の知まで体系的にわかる アジャイル開発のスキルを客観的な尺度で分析・判定するのが、アジャイル技術者検定試験(正式名称:アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験)です。」との記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/dp/4865940871/)
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「Agile」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「すばやい、機敏な」の意味を有する英語であり、上記(1)に挙げた「アジャイル(Agile)」の文字の使用状況を併せてみれば、本件商標の登録査定時(平成30年4月19日)において、「アジャイル(Agile)」の文字は、コンピュータソフトウェアの分野においては、要求仕様の変更などに対して、機敏かつ柔軟に対応するための開発手法を表す語として広く用いられ、これに関するセミナー、講習会等が開催され、資格試験が行われ、書籍が多数発行されていること、また「アジャイル(Agile)」の文字は、コンピュータソフトウェア以外においても、上記考え方を取り入れたものを意味する語として、企業経営やマネジメントなどの分野において、広く使用されていたことが認められる。
そうすると、「Agile」の文字を標準文字で表してなる本件商標をその指定商品及び指定役務中、取消請求役務に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「要求仕様の変更などに対して、機敏かつ柔軟に対応するためのソフトウェア開発手法及び上記考え方を取り入れた企業経営やマメジメント等」を内容とする役務であることを表示したものと看取、理解するにすぎないものというのが相当である。
したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、取消請求役務に使用されるときは、提供に係る役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)商標権者の主張について
商標権者は、「Agile」は、「すばやい、機敏な」の意味を有する英単語であり、商標として識別力を有するものである及びコンピュータやビジネス関連の辞書に掲載されているからといって、広く用いられ、かつ一般的に広く使用されているということは乱暴すぎる旨主張し、また、取消理由通知の使用例は、いずれも「Agile」及び「アジャイル」の語が一般的に広く使用されていることを示すものではなく、黎明・夜明け前であることを示す証拠である旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁,判例時報927号233頁参照。)。この趣旨に照らせば、登録査定時において、当該商標が指定役務の質等を表すものと、取引者、需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、取引者、需要者にその役務の質等を表すものと認識される可能性があり、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには、その商標は、同号に該当するものと解するのが相当である。
そして、「Agile」の文字が、本件商標の登録査定時に、取消請求役務の分野において、役務の質(内容)を表示したものと取引者、需要者に広く認識されているものであることは、上記(2)のとおりである。
そうすると、上記商標権者の主張は、妥当なものとはいえず、上記判断を覆すに足りるものではない。
(4)小括
したがって、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第41類「取消対象役務」について、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 その他の取消理由について
商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」と規定されているところ、申立人1の主張及び提出に係る証拠によっては、「Agile」及び「アジャイル」の文字を、誰がいかなる指定商品又は指定役務に使用し、需要者の間に広く認識されているかを判断するに足りる証拠は見いだせない。
したがって、本件商標の指定商品及び指定役務中、第41類「全指定役務」は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,情報管理システムに関する教育訓練研修,情報技術の使用に関する教育訓練研修,それらのコンピュータ・電気通信を利用して行う教育訓練,組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,プログラム・プロジェクト・ポートフォリオの管理及び作成のための教育訓練研修,コーチング(教育及び訓練),資格の認定及び付与の企画・運営並びにこれに関する情報の提供,資格検定試験並びに資格認定試験の企画・運営又は実施並びにこれに関する情報の提供,試験問題の作成,教育情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,ビジネス・事業戦略・科学・技術のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,その他のセミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営・開催に関する助言・指導及び情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,インターネット又はコンピュータネットワークを通じた通信端末を用いた書籍・雑誌の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・知識提供・教育訓練及び経営に関する書籍の制作(広告物を除く。),その他の書籍・雑誌・定期刊行物・冊子・カタログ及びその他の出版物の制作(広告物を除く。),教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),通信ネットワークを利用した音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),電気通信回線を通じて行う静止画像・動画像・音声付き静止画像・音声付き動画像・映像・電子出版物・教育情報の提供」については、商標法第3条第1項第3号に該当し、その登録は同条の規定に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
しかしながら、本件異議申立てに係るその余の指定役務については、取り消す理由がないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-900215