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商標無効審判

2018-890078

エムパウ、エムポー、パウ、ポー、ピイオオダブリュウ

審判番号
2018-890078
法域
商標
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
商願2015-113554
登録番号
商標登録第6053543号(T6053543)
請求日
2018年10月09日
審決日
2019年02月19日
公報発行日
2019年05月31日
結論
請求成立(無効)
当事者
  • 【請求人】香港▲ぱ▼拓遜科技有限公司
  • 【請求人代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
  • 【被請求人】東京天城 株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 早川 文宏
  • 審判官 平澤 芳行
  • 審判官 大森 友子
分類
T111 .18 -Z (W09)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項商標法46条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項、商標法第4条第1項第7号、商標法第4条第1項第19号、商標法第4条第1項第15号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の登録第6053543号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 登録第6053543号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。

理由

【理 由】 第1 本件商標 本件登録第6053543号商標(以下「本件商標」という。)は,「Mpow」の欧文字を横書きしてなり,平成27年11月5日に登録出願,第9類「写真機械器具,測定機械器具,電池」を指定商品として,同29年12月19日に登録査定,同30年6月22日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が,本件商標の登録の無効の理由として引用する商標は,次の1及び2のとおりであり(以下,それらをまとめて「引用商標」という。),いずれも請求人がスマートフォン用自撮り棒,ヘッドホン,照明装置などについて使用し米国及び我が国の需要者の間に広く認識されているとするものである。 1 「MPOW」の欧文字からなる商標(以下「引用商標1」という。) 2 別掲のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。) 第3 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第71号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,商標法第3条第1項柱書に違反し,また同法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第46条第1項第1号により,その登録は無効にされるべきものである。 2 具体的な理由 (1)請求人について 請求人(英文名称:MPOW TECHNOLOGY CO.,LIMITED)は,2015年(平成27年)2月2日に設立された中国法人(有限責任公司)であって(甲4),主に家庭用電化製品や附属品を専門に扱い,Bluetooth受信機からヘッドセットまで多彩な製品を提供している。また,請求人は,カリフォルニア,ロンドン,ベルリンにオペレーションセンターを有し,主に電子商取引サイト(以下「ECサイト」という。)の「Amazon」や小売店を通して,10か国以上の地域で商品を販売している(甲5)。 さらに,請求人は,引用商標2を使用した「Mpow」ブランドを展開しており,「スマートフォン用自撮り棒」,「ヘッドホン」及び「照明装置」などのスマートフォン関連商品及び家庭用電化製品を企画・販売している(甲6~甲8)。現在,当該「Mpow」ブランドの商品(以下「請求人商品」という。)は,ECサイトなどにおいて,その販売を確認できる(甲9~甲14)。 なお,請求人は,「深セン チエンハイ パートゥシュン ネットワーク アンド テクノロジー(英文名称:Shenzhen Qianhai Patuoxun Network&Technology)」(以下「深セン社」という。)と業務提携しており(甲15,甲16),ECサイト「Amazon」での請求人商品の販売を委託し,深セン社を介して,請求人商品を我が国においても流通させている。 (2)引用商標について 引用商標は,辞書等に掲載されていない造語であって,請求人の代表者がハウスマークとして使用するため,2012年(平成24年)に独自に考案したものである。 「MPOW」の文字の由来は,「match popular or wholesome」であり,引用商標2は,請求人の代表者が中国で著作権登記を行っている(甲17,甲18)。実際,引用商標は,請求人のウェブサイトや請求人商品について使用されている(甲19~甲21)。 また,本件商標と引用商標を比較すると,両商標は,アルファベットのつづりを同一とするものであり,その外観上の差異は商標の識別性に影響を与えるものではなく,またその構成上生じる「エムポウ」,「エムパウ」の称呼は共通するものであるから,社会通念上同一又は極めて類似するものといえる。 請求人は,請求人商品として,遅くとも2014年(平成26年)10月6日には,米国において,「ヘッドホン」を販売しており(甲22),その後,商品ラインアップを増やしながら,ECサイトを主な販売ルートとして,種々のスマートフォン関連商品・家庭用電化製品を世界中で販売している。より具体的には,我が国において,「Mpow」ブランドの,「スマートフォン用自撮り棒」は遅くとも2015年(平成27年)3月24日から(甲23),「ヘッドホン」は遅くとも2014年(平成26年)10月14日から(甲24),「照明装置」は遅くとも2015年(平成27年)7月3日から(甲25),それぞれECサイト「Amazon」で販売が開始された。ここで,当該「Amazon」上で販売者として表示されている「Patech」は,深セン社が運営するオンラインショップであり(甲26),上述のとおり,請求人は,深セン社を介して,請求人商品を市場に供給している。特に請求人商品中,「スマートフォン用自撮り棒」,「ヘッドホン」及び「照明装置」は,その機能性と優れたコストパフォーマンスから人気を博し,遅くとも2015年(平成27年)末頃には,米国及び我が国において,請求人の人気商品として定着している。 例えば,米国では,2015年(平成27年)8月3日から同年10月31日の短期間に,「Mpow」ブランドの,「スマートフォン用自撮り棒」が39,969個,「ヘッドホン」が49,471個,「照明装置」が4,444個販売された。また,我が国においても,2016年(平成28年)3月18日から2017年(平成29年)1月1日の期間に,「Mpow」ブランドの,「スマートフォン用自撮り棒」が4,226個,「ヘッドホン」が31,400個,「照明装置」が42,111個販売された。これに関連して,本件商標の登録出願前には,動画投稿サイトの「Youtube」において,請求人商品に関する多数のユーザー動画が投稿されており(甲27~甲29),2015年(平成27年)5月7日に公開された動画は,視聴回数が320,034回にのぼる(甲30)。 そのほかにも,ネット上には,本件商標の登録出願前に,請求人商品に関する多数のウェブサイト記事が投稿されている(甲31~甲33)。このように,請求人商品は,本件商標の登録出願前より,米国及び我が国における取引者,需要者から非常に注目されていたことが分かる。 また,請求人は,本件商標の登録出願前より,Twitter及びInstagramの公式アカウントにおいて,請求人商品について多くのツイートを投稿しており(甲34~甲40),主に米国の取引者,需要者に向けて,請求人商品を訴求させていた。 以上のように,請求人商品は本件商標の登録出願前から,ECサイトを介して米国及び我が国で販売され,人気を博しており,Youtube,Twitter及びInstagramを含むネットメディアにおいて注目を集めていた。そうすると,ネットでの取引が頻繁に行われる今日において,ネットメディアの影響力に鑑みれば,引用商標は,本件商標の登録出願時において,米国及び我が国における取引者,需要者の間では,少なくとも「スマートフォン用自撮り棒,ヘッドホン,照明装置」について,請求人の商標として広く知られていたと推認される。 なお,請求人は,2013年(平成25年)に「Mpow」ブランドを立ち上げて以降,商品ラインアップを増やしつつ,引用商標を現在に至るまで継続して使用している。特に当該「Mpow」ブランドの「照明装置」は,2016年(平成28年)上半期の日本Amazonランキングで大賞に輝いており(甲41),我が国の取引者,需要者の間で高い人気を得ている。また,Google及びYAHOO!JAPANのインターネット検索エンジンで「Mpow」を検索すると,その検索結果は,請求人商品が上位に表示され(甲42,甲43),その画像検索においても,請求人商品が多く表示される(甲44,甲45)。さらに,請求人の「Mpow」ブランドは,「Facebook」,「Twitter」,「YouTube」及び「Instagram」のウェブサイトにおいて公式アカウントが開設されており(甲46~甲49),ネットユーザーに対して,その商品を訴求させている。 加えて,請求人は,本件商標の登録出願前から,米国において,引用商標を登録している(甲2,甲3)。また,登録に至っていないものの,本件商標の登録出願前から,引用商標2について欧州連合体商標の登録出願をし(甲50),商標登録を図っている。さらに,本件商標の登録出願後ではあるが,請求人は,我が国を含む世界各国(日本,カナダ,メキシコ,スペイン,ブラジル,イタリア)において,引用商標を登録出願し商標登録を図っている。 (3)被請求人について 被請求人は,本件商標の原簿上,「東京天城株式会社」(住所は「東京都墨田区立花4-33-1」)と表示されているが(甲51),現在では社名及び住所が変わっており,正しくは「株式会社アースリボーン」(住所は「東京都江戸川区平井5-23-5-701」)である(甲52,甲53)。 被請求人は,社名が「東京天城株式会社」であった頃からネット通販によるEC事業を展開しており,例えば,オンラインショッピングモールの「楽天市場」に出店していた(甲52,甲54)。また,被請求人のHPによれば,現在でも被請求人はネット通販によるEC事業を行っており,パソコンやスマートフォン並びにこれらの周辺機器や生活雑貨品を販売していることがわかる(甲55)。そうすると,請求人が主にECサイトを通してスマートフォン関連商品や家庭用電化製品を販売していることから,被請求人と請求人とは,同種商品(スマートフォン関連商品及び家庭用電化製品)について同種の販売手法(ECサイトを利用した通信販売)を採用する点で,互いの事業が競合する関係にあるものと認められる。 また,被請求人はECサイト「Amazon」を利用したネット通販を行っているところ(甲56),当該「Amazon」上におけるスマートフォン関連商品及び家庭用電化製品の市場動向に相当程度の関心を持っていたはずであり,それを調査・把握していたと推測されることから,本件商標の登録出願時において,当該「Amazon」上で人気を博していた請求人商品についても,被請求人は予め知っていたものと推認される。 さらに,被請求人は,ECサイトの「楽天」,「Amazon」及び「Yahoo!JAPAN」においてオンラインショップを展開しているが(甲56),いずれのECサイトにおいても本件商標の使用は一切確認できない(甲57~甲59)。 ここで,特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で,過去に被請求人が旧名称の「東京天城株式会社」で行った商標登録出願を検索すると,本件商標を含む8件の商標が登録されている(甲60)。また,請求人が独自に調査したところ,そのうち本件商標,登録第5845233号商標,登録第5845237号商標及び登録第5845240号商標の4件については,実際にECサイト「Amazon」で流通している商品のブランドであって,被請求人とは何ら法律上又は経済上の関係性をうかがい知ることのできない他人の商標(甲61~甲64)であることが判明した。 加えて,被請求人は,過去に他人の商標をいわば先取り的に登録出願し,その登録後,当該他人に対する譲渡により利益を得ている(甲65~甲68)。 また,現在でも,中国の登録商標取引サイトにおいて,本件商標及び上記登録第5845233号商標の譲渡の申し入れを行っており(甲69,甲70),先取り的に登録出願して登録した商標を譲渡することで利得を得ることを画策している。 したがって,被請求人による本件商標の登録出願行為は,請求人に対して本件商標を買い取らせる目的を有していたか,上述した請求人との競合関係に鑑みれば,少なくとも請求人の商標使用を制限することにより事業上の優位性を得る目的を有していたものと推認される。この点に関して,本件商標は,その登録出願の際に周知であった引用商標と社会通念上同一又は極めて類似しており,引用商標は造語よりなるものであることから,本件商標が偶然に引用商標と一致したとは認め難い。そうすると,特許庁商標審査便覧42.119.03の規定の趣旨は本件においても妥当することから,同規定を類推する基礎が認められるため,同規定を類推適用して,上述した被請求人の目的(不正の目的)は推定されるものと思料する。 さらに付言すれば,被請求人は株式会社である「株式会社サイタステック」を代理人として本件商標の登録出願手続を行っていた(甲71)ところ,株式会社は対外的活動により利益を獲得し,その利益を構成員たる株主に分配することを目的としており(会社法105条2項参照),当然に営利企業と解され,その行為は商行為と推定されるから(会社法第5条,最判平成19年(受)第528号),当該「株式会社サイタステック」による本件商標の登録出願代理行為は,「他人の求めに応じて報酬を得て」行ったものと考えられるため,弁理士法第75条に違反する非弁行為と認められる。そうすると,被請求人は,弁理士法に違反する不法行為者を代理人とするなど,我が国の法秩序を乱す極めて悪質な性格さえもうかがわれる。 (4)無効理由の根拠法条への該当性 以上を踏まえつつ,以下,本件商標の無効理由の根拠法条への該当性について検討する。 ア 商標法第3条第1項柱書について 被請求人によって本件商標が使用されている事実は確認できない。そして,被請求人には,請求人に対して本件商標を買い取らせる目的又は請求人の事業活動を阻害する目的が推認され,我が国の法秩序を乱す極めて悪質な性格さえもうかがえる。 そうすると,被請求人は,請求人の使用する引用商標ないし商号について登録出願し,登録された商標を収集しているにすぎないというべきであって,本件商標は,登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標に当たらない上,被請求人にはその使用意思も認められない。 ゆえに,本件商標は,商標法第3条第1項柱書に違反する。 なお,これと同旨の裁判例として,平成24年(行ケ)第10019号がある。 イ 商標法第4条第1項第7号について (a)本件商標は,造語である引用商標と社会通念上同一又は極めて類似するものである,(b)引用商標が請求人により種々のネットメディアを通じて広告されている状況において,被請求人が本件商標の登録出願を行っている,(c)被請求人は本件商標以外にも,他人の使用する商標の商標登録出願を行っている,(d)披請求人には,請求人に対して本件商標を買い取らせる目的又は請求人の事業活動を阻害する目的が推認され,我が国の法秩序を乱す極めて悪質な性格さえもうかがえる。 そうすると,本件商標は,不正な目的をもって剽窃的に登録出願されたものと認められるから,公序良俗に反することは明らかであり,商標法第4条第1項第7号に該当する。 ウ 商標法第4条第1項第19号について 引用商標は,本件商標の登録出願時において米国及び我が国における取引者,需要者の間で,少なくとも「スマートフォン用自撮り棒,ヘッドホン,照明装置」について請求人の商標として広く知られていたと推認され,本件商標は,引用商標と社会通念上同一又は極めて類似するものである。 また,被請求人による本件商標の登録出願行為には,請求人に対して本件商標を買い取らせる目的,又は請求人の商標使用を制限することにより事業上の優位性を得る目的が推定される。 したがって,本件商標は,その登録出願時において,我が国又は外国で周知の引用商標と同一又は類似する商標であって,不正の目的をもって使用するものと認められるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。 エ 商標法第4条第1項第15号について 引用商標は,本件商標の登録出願時において我が国における取引者,需要者の間で少なくとも「スマートフォン用自撮り棒,ヘッドホン,照明装置」についての請求人の商標として広く知られていたと推認され,本件商標は引用商標と社会通念上同一又は極めて類似するものである。 また,引用商標を構成する「MPOW」の文字は,請求人が独自に考案した造語であって,請求人の英文名称「MPOW TECHNOLOGYCO.,LIMITED」にも採用されており,引用商標は,請求人のハウスマークとして使用されるものである。 さらに,請求人は,主に家庭用電化製品や附属品を専門に扱い,Bluetooth受信機からヘッドセットまで多彩な製品を提供している。加えて,本件商標の指定商品は,請求人が専門に取り扱う家庭用電化製品と関連する商品であり,請求人と被請求人はいずれもECサイトを利用した通信販売によって商品を流通させていることから,ECサイトにおける家庭用電化製品又はこれに関連する商品の分野において,商品の需要者が共通する場合がある。 そうすると,本件商標の登録出願時において,被請求人によって本件商標が使用された場合には,その商品に接する取引者,需要者は,取引上要求される一般的な注意をもってしても,その商品が請求人の商品であるとか,請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し,商品の出所について混同を生ずる可能性は十分に予想され,需要者がその出所について混同を生じることは明らかである。 したがって,本件商標は,本件商標の登録出願時において,請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあり,商標法第4条第1項第15号に該当する。 (5)結び 以上述べたとおり,本件商標は,商標法第3条第1項柱書に違反し,同法第4条第1項第7号,同項第15号及び同項第19号に該当する。 第4 被請求人の答弁 被請求人は,請求人の主張に対し何ら答弁していない。 第5 当審の判断 1 商標法第3条第1項柱書について 商標法第3条第1項柱書は,商標登録要件として,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを規定するところ,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標,あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(知財高裁,平成24(行ケ)第10019号,同24年5月31日判決)。 2 事実認定 請求人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査(請求人ホームページ,米国特許商標庁ホームページ,インターネット検索 ほか)によれば次の事実が認められる。 (1)請求人は,香港に所在する,家庭用電化製品や附属品を専門に取り扱う法人であり,同人の取り扱う商品は多様な流通ルートを通じ10か国以上の地域において入手可能である(甲4,甲5)。 (2)請求人のホームページ(英文)には,引用商標2(これと同一と認められる構成の商標を含む。)とともに,「スマートフォン用自撮り棒」,「ヘッドホン」及び「照明装置」の写真(画像)や説明などが掲載されている(甲5~甲8,職権調査)。 (3)米国において請求人は,引用商標2について,指定商品を第9類「携帯電話用ワイヤレスヘッドセット,ワイヤレスヘッドホン,ワイヤレススピーカー,など」(審決注:参考訳)とする登録商標を保有している(甲3,職権調査)。 (4)我が国において,引用商標2が付されたヘッドセットが2014年(平成26年)10月14日から,同じく玄関ライトが2015年(平成27年)7月3日から,ECサイト「Amazon」で,それぞれ取扱いが開始され,それら商品が掲載されたウェブページには商品の写真(画像)が掲載され,商品説明には「Mpow」の文字が記載されている(甲24,甲25,甲41)。 また,商品名に「Mpow」の文字が記載された「スマートフォン用自撮り棒」は,2015年(平成27年)3月24日から,該「Amazon」で取扱いが開始された(甲23)。 (5)本件商標権者(平成29年6月に「株式会社アースリボーン」に名称変更)は,輸入販売事業,輸出販売事業,EC事業などを行う法人であり(甲53~甲55),ECサイト「楽天」,「Amazon」及び「YAHOO」を介したオンラインショップを展開しているが,現在まで本件商標を使用していることは確認できない(甲56~甲59,職権調査)。 (6)本件商標と認められる商標が,中国の商標取引サイトにおいて,販売する商標として掲載されている(甲69)。 3 本件商標と引用商標の類否 本件商標は,上記第1のとおり,「Mpow」の文字からなり,平成27年11月5日に登録出願されたものである。 他方,引用商標1は,上記第2の1のとおり,「MPOW」の欧文字からなるものであり,及び引用商標2は,別掲のとおりの構成からなるものであって容易に「MPOW」の欧文字をややデザイン化したものと認識されるものである。 そうすると,本件商標と引用商標は,大文字と小文字,デザイン化の有無の差異はあるものの,「Mpow(MPOW)」のつづりを共通にするものであるから類似の商標であること明らかである。 また,「Mpow(MPOW)」の欧文字は,特定の意味を有しない造語と認められるものである。 4 商標法第3条第1項柱書違反 上記2及び3によれば,<1>請求人は引用商標を「スマートフォン用自撮り棒」,「ヘッドホン」及び「照明装置」などに使用していること,<2>引用商標は我が国において本件商標の登録出願の日前からECサイト「Amazon」に掲載されていたこと,<3>本件商標と引用商標は類似の商標であること,<4>引用商標は造語であること,<5>本件商標権者は輸入販売事業,輸出販売事業,EC事業などを行い,ECサイト「Amazon」などを介したオンラインショップを展開していること,<6>本件商標権者が現在まで本件商標を使用したことが確認できないこと,<7>本件商標と認められる商標が中国の商標取引サイトにおいて販売する商標として掲載されていること,が認められる。 これらの事情を総合すると,本件商標権者は,他人(請求人)が引用商標を使用していることを知ったうえで,引用商標と明らかに類似する本件商標を販売し利益を得る目的又は当該他人の業務を妨害する目的で登録出願したものであって,本件商標をその指定商品に使用をしている,又は将来使用する意思を有するとは認められないと判断するのが合理的である。 そして,本件商標権者は請求人の主張に対し何ら答弁していない。 そうすると,本件商標は,少なくともその登録査定時において,本件商標権者が現に自己の業務に係る商品又は役務について使用をしている商標にも,将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標にも当たらず,本件商標の登録は,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に関して行われたものとは認められず,商標法第3条第1項柱書に違反するといわなければならない。 5 むすび 以上のとおり,本件商標の登録は商標法第3条第1項柱書に違反してされたものであるから,他の無効理由について検討するまでもなく,同法第46条第1項の規定に基づき無効にすべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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