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商標取消審判

2018-300791

アルビレオ

審判番号
2018-300791
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2013-026270
登録番号
5610754
請求日
2018年10月18日
審決日
2021年08月05日
公報発行日
2022年02月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アルビレオ アーベー
  • 【請求人代理人】福田 秀幸
  • 【被請求人】株式会社 アルビレオ
  • 【被請求人代理人】塩見 明
審判長/審判官
  • 審判長 岩崎 安子
  • 審判官 板谷 玲子
  • 審判官 小田 昌子
分類
T132 .1 -Y (W44)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第50条第1項、商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第4号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5610754号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 1 本件商標 本件登録第5610754号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成25年4月9日に登録出願、第44類「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」を含む、第41類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年8月30日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成30年10月31日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成27年10月31日から平成30年10月30日までを以下「要証期間」という。 2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中、第44類「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」(以下「請求に係る指定役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由を要旨次のように述べた。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定役務中、請求に係る指定役務について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 ア 被請求人は、商標法第2条第3項の何号に基づいて商標の使用行為があったと主張するのか明らかにしていない。 イ 乙第1号証、乙第2号証の1、乙第3号証の2、乙第4号証の1及び乙第4号証の2について 乙第1号証、乙第2号証の1、乙第3号証の2、乙第4号証の1及び乙第4号証の2は、研修会、内覧会、講習会で「被請求人所属の歯科衛生士・ケアマネージャー」である「M.Y」の作成に係るパワーポイントの写しであるが、被請求人は「株式会社アルビレオ」であり、M.Yが株式会社アルビレオとして研修会、内覧会、講習会を行ったことは明らかにされておらず、それぞれのスライドに本件商標が表示されていることをもって、株式会社アルビレオが主体となった研修会、講習会であるとの理由にはならない。 ウ パワーポイントのスライド(乙1、乙2の1、乙3の2、乙4の1及び乙4の2)にそれぞれ本件商標が示されているが、単に形式的、名目的に表記されているにすぎない。 研修会や講習会(乙1、乙2の1、乙3の2、乙4の1及び乙4の2)は、第41類の「セミナーの企画・運営又は開催」に属する役務であり、本件商標は、第41類及び第44類の指定役務との関係において自他役務の識別標識としての機能を果たす態様で用いられたものではない。 以上のとおり、被請求人の主張に係る商標の使用は商標法第2条第3項の商標の使用の要件を満たしたものではない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書及び回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)答弁の理由 ア 平成28年6月15日の使用事実(乙1) 被請求人は、「嚥下内視鏡検査とは」というテーマで常滑市ケアマネ部会研修会を行い、資料(乙1)を作成したところ、当該資料には、本件商標が使用されており、当研修会は、被請求人所属の歯科衛生士・ケアマネージャーのM.Yが講師を務め、受講生に対して、嚥下のメカニズムや嚥下障害、その検査に関する内容を資料に沿って講義するものである。当研修会は、受講者に対する医療情報の提供にあたり、被請求人が作成した資料に使用された本件商標は、「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」(以下、被請求人の答弁において「本件役務」という。)について使用されたといえる。 イ 平成29年1月12日の使用事実(乙2) 被請求人は、つしま歯科クリニックの依頼を受け、平成29(2017)年1月13日(金)から15日(日)にかけて、当クリニックの内覧会を実施した。被請求人は、その内覧会で用いられた資料(乙2の1)を作成し、当該資料には本件商標が使用されており、本件内覧会では、開業前の同院の内覧及び子供を対象とした歯科医業の体験イベント等が行われた(乙2の2)から、本件内覧会は医療情報の提供にあたり、被請求人が作成した資料に使用された本件商標は、本件役務について使用されたといえる。 ウ 平成29年8月3日の使用事実(乙3) 被請求人は、8月3日、10日の2日間にわたって、結生クリニックにて口腔ケア等の口腔外科に関する研修を行っており(乙3の1)、当該研修資料(乙3の2)も、被請求人が作成し、本件商標が使用されており、当該研修は、口腔外科に関するものであり、医療情報の提供及び歯科医業にも関連するものであるから、被請求人が作成した資料に使用された本件商標は、本件役務について使用されたといえる。 エ 平成30年3月以降の使用事実(乙4) 被請求人は、平成30年3月より「特別養護老人ホームしろやま」(以下、「しろやま」という。)にて口腔ケア等に関する講習会を定期的に行っており、当該講習会の資料(乙4)も、被請求人が作成し、本件商標が使用されており、当該講習会も、医療情報の提供及び歯科医業に関連するものにあたり、被請求人が作成した資料に使用された本件商標は、本件役務について使用されたといえる。 (2)審尋に対する回答(令和2年9月18日付け) ア 常滑市ケアマネ部会研修会について (ア)商取引性について 被請求人は、イベントの企画、設営、運営及び請負に関する業務、医療に対するコンサルタント業務等を業とする者(乙5)であり、常滑市のケアマネージャーを対象とした「常滑市ケアマネ部会」の嚥下内視鏡検査に関する研修会の企画設営等は、医療イベントのコンサルタント業務にあたり、被請求人の目的の範囲内にある。なお、当該研修会の講師を務めたM.Yは、被請求人の社員であり、また、被請求人と業務提携している「みんなの歯医者さん」でも歯科衛生士として勤務している者である。 そして、当該研修会にかかる業務委託料は、被請求人から「みんなの歯医者さん」に対する請求書(乙6)が発行されているように、研修会等の費用は医療機関や専門学校で人材獲得のために行われることが多く「リクルート代行業務」費目として請求されている。したがって、当該研修会についても、被請求人が、その収益を対価として行っており、商取引性が認められる。 (イ)「医療情報の提供」について 「医療」とは、人の健康の維持、回復、促進などを目的とした諸活動を指すところ、嚥下メカニズムや嚥下障害の知識、内視鏡検査のノウハウ知識は「医療」に該当し、当該研究会は、その情報の提供に該当する。 イ 内覧会について (ア)商取引性について 被請求人は、つしまスマイル歯科クリニック(以下、「つしま歯科」という。)が新規オープンするのに先立ち平成29年1月17日から19日の3日間内覧会を実施するため、つしま歯科の依頼を受けて、当該内覧会の企画設営をした。具体的には、被請求人は、同28年10月21日つしま歯科との間で内覧会業務等につき業務委託契約を締結する(乙7の1)とともに、内覧会企画設営の費用につき見積書(乙7の2)と請求書(乙7の3)を発行したから、当該内覧会の企画設営等は、被請求人にとって収益を対価としたものであり、商取引性が認められる。 (イ)「医療情報の提供」について 愛知県津島市における地域住民の歯の健康・治療を目的とする歯科医院開設を周知させる内覧会実施は、「医療情報の提供」に該当する。 ウ 結生クリニックでの講習会について(乙3) (ア)商取引性について 当該講習会も、被請求人が「みんなの歯医者さん」からの委託を受けて、口腔ケアに関する幅広い知識や実用を身に付けてもらうために医療機関で行っているものであり、医療に関するコンサルタント業にあたり、当該講習会に係る業務委託料についても、被請求人から「みんなの歯医者さん」に対して「リクルート代行業務」費目(乙6)として請求されているから、当該講習会も、被請求人が収益を対価として行っており、その商取引性は明らかである。 (イ)「医療情報の提供」について 当該講習会は、口腔ケアに関する幅広い知識や実用を医療機関スタッフらに教授するものであり、「医療情報の提供」に該当する。 エ 「しろやま」での講習会について (ア)商取引性について 「しろやま」での講習会についても、上記ウ(ア)同様にその商取引性は認められる。 (イ)「医療情報の提供」について 当該講習会についても、上記ウ(イ)同様である。 オ パワーポイントのスライド(乙1、乙3の2、乙4の1及び2)に表示されている商標について、明確に確認できる証拠を提出する(乙8の1~4) カ 「常滑市ケアマネ部会」研修会の開催事実について 各ページ右上に、「2016/6/15」と印字されており(乙1)、平成28年6月15日に当該証拠が印刷使用されたこと、つまり、当該証拠が使用された研修会が開催されたことは合理的に推認でき、当該研修会に協力した「みんなの歯医者さん」のスタッフが作成した「みんなの歯医者さん 摂食嚥下療法担当部」とタイトルの付いたレジュメデータの更新日時は、当該研修会当日の「2016/06/15・・・」(乙9)となっているから、当該研修会は、平成28年6月15日に開催されたことが裏付けられる。 キ 内覧会の開催について つしま歯科の内覧会実施を知らせるチラシ(乙10)には、「2017年1月新規開院」、「1/13・・・」と記載されており、平成29年1月13日から15日の3日間内覧会が開催されたことが裏付けられ、被請求人からつしま歯科に対する請求書(乙7の3)に「内覧会終了後H29年1月23日までに・・・」と記載してあり、内覧会が被請求人の企画等のもとに行われたことも裏付けられる。 ク 購習会の開催について (ア)結生クリニックでの講習会について 結生クリニックから「先日8/3、10日と2日間にわたり研修していただき・・・」と記載されていること、また左上に「2017/08/14 MON 9:38」と印字され、この書面が平成29年8月14日(月)午前9時38分に、結生クリニックから「みんなの歯医者さん」へFAX送信されていることから、当該講習会が8月3日に開催されたことが推認できる(乙3の1)。 (イ)「しろやま」での講習会について 当該講習会は、被請求人が、「みんなの歯医者さん」の委託を受け、平成30年3月13日開催の「第1回」を皮切りに定期的に行っている。 そして、平成30年3月27日に「しろやま」から「みんなの歯医者さん」に送信されたFAX(乙11)では、「ご連絡事項」に「先日はありがとうございました。」と第1回の講習会の御礼をうかがわせるあいさつがあり、「第1回」での講習内容である「OHAT」について、「しろやま」でのOHAT評価表を作成していること、次回4月度の計画表を送信しており、今後継続的な講習会が開催されることをうかがい知ることができるから、平成30年3月13日に当該講習会が開催されたことが推認でき、同年6月の講習会も開催されたことが推認できる。 (ウ)研修会等(乙1、乙3、乙4)について 研修会やその資料等は、被請求人が「みんなの歯医者さん」に対する業務委託の一環として企画作成しており、その作成費用等の一切については、請求書にまとめて、「リクルート代行業務」として月々請求されている(乙6)から、「みんなの歯医者さん」からの委託を受けている研修会や講習会資料は、実際に作成されていることが推認できる。 (エ)配布資料(乙2の1)について 被請求人は、つしま歯科の委託を受けて、内覧会を開催し(乙7)、配布資料(乙2の1)は、御見積書の「イベント企画基本料」に含まれ、実際に作成されたことが裏付けられ、頒布については、見積書(乙7の2)から、配布資料(乙2の1)を必要とする者として、内覧会の内装業者や被請求人が用意した派遣スタッフらに配布したことが推認できる。 ケ 商標法第2条第3項各号該当性について (ア)乙第1号証、乙第3号証の2、乙第4号証の1及び2について 本件商標の使用は、本件商標が付されたパワーポイントを研修会等で映像として使用しているので同条項7号に該当し、これらパワーポイントはレジュメとして参加者らに配布されていることから、同条項6号にも該当する。 (イ)乙第2号証の1について 本件商標の使用は、本件商標が付されたパワーポイントをプリントアウトして内覧会設営スタッフらに配布したもので、同条項6号に該当する。 (ウ)乙第6号証について 被請求人は、「みんなの歯医者さん」から業務委託を受けて、保険請求業務、清掃業務、訪問診療予定作成やカルテの整理等の事務業務、研修会等を医療機関や専門学校等で行うリクルート代行業務等の医療業務全般を有償にて請け負っており、月ごとに請求書を発行し、当該請求書には、本件商標が使用されているので、同条項8号に該当する。 (エ)乙第12号証の1について 被請求人が、「みんなの歯医者さん」からの業務委託の一環として行っている歯科衛生士等を募集するチラシ(乙12の1)の地域住民宅へのポスティング業務に対する請求書であり、同条項8号に該当する。 (オ)乙第14号証の2について 被請求人の医療商品を紹介する広告のユーチューブ動画で、当該動画の最後に本件商標が使用されており、同条項7号、8号に該当する。 コ 乙第13号証及び乙第14号証の補足説明について 被請求人が開発販売した商品が平成26年2月15日に発売されたことを発信する同17日付ウェブ記事(乙13)であり、被請求人は「医薬品、医療用機材及び医療用消耗品の販売業務」を業とする者(乙5)であり、歯垢を取り除くための医療用商品はこれらに該当し、その販売行為につき、商取引性は明らかである。 そして、当該商品の紹介動画をユーチューブにアップすることは、その商品の発売を世間に周知させる行為であり、医療情報の提供にあたり、要証期間での再生について、被請求人代理人が、平成30(2018)年11月2日に当該動画を視聴した際のスクリーンショット(乙14)により、平成26年5月22日(乙15)にアップされ、平成30年11月2日の時点で350回再生されていたことから、アップ時から同日まで定期的に動画視聴されていたことが推測できる。 (3)審尋に対する回答(令和3年5月26日付け) ア M.Yが被請求人の社員である点について、被請求人及び「みんなの歯医者さん」より、M.Yが在籍して以降の賃金台帳・源泉徴収票(乙18、乙19)を提出する。なお、「みんなの歯医者さん」は被請求人代表(乙5)のK.Hが院長を務める歯科医院(乙20)であり、被請求人とは実質的に同一である。 また、書証の名宛人氏名が、いずれも「M.Y2」と記載されているが、M.Yが、改姓により「Y」姓から「Y2」姓に変わったのであり、同一人である。 イ 乙第21号証は、2018年3月13日付けのM.Y作成の「口腔機能維持管理にかかわる助言内容」と題する資料で、1枚目に「別紙特別養護老人ホームしろやま様第1回口腔衛生管理ミーティング『なぜ口腔衛生管理が必要か』会議資料を添付する。」とあり、同2枚目以降に乙第4号証の1と同一の資料が添付されているものである。添付の事実については、1枚目につき、左上端部にホッチキス止めがしてあること、それにより印刷時にめくれの跡(同2枚目、4枚目、6枚目の左上)が生じていること、同1枚目、2枚目、同4枚目、同6枚目は左端に、同3枚目、同5枚目は右端にファイリングの通し穴が付いていることから、一体となっている資料であると合理的に推認できる。また、乙第21号証は、同1枚目を表紙にして、同2枚目と同3枚目、同4枚目と同5枚目は、A3用紙1枚でプリントされており、半分に折られた状態(A4)で綴じられていた。 したがって、乙第21号証は、同日に行われた講習会の直前の打合せで使用されたものであり、その後の講習会で乙第4号証の1が使用されたことが推認される。 ウ 乙第22号証は、2018年6月12日付けのM.Y作成の「口腔機能維持管理にかかわる助言内容」と題する資料で、1枚目に「別紙会議資料を添付する。」とあり、同2枚目以降に乙第4号証の2と同一の資料が添付されている。乙第22号証は、同日に行われた講習会の直前の打合せで使用されたものであり、その後の講習会で乙第4号証の2が使用されたことが推認される。 乙第22号証についても、同1枚目の左上端部にホッチキス止めがしてあること、それにより印刷時にめくれの跡(2枚目、4枚目、6枚目の左上)が生じていること、同1枚目、同2枚目、同4枚目、同6枚目は左端に、同3枚目、同5枚目は右端にファイリングの通し穴が付いていることから、一体となっている資料であると合理的に推認できる。また、乙第22号証は、同1枚目を表紙にして、同2枚目と同3枚目、同4枚目と同5枚目は、A3用紙1枚でプリントされており、半分に折られた状態(A4)で綴じられていた。 したがって、乙第22号証は、同日に行われた講習会の直前の打合せで使用されたものであり、その後の講習会で乙第4号証の2が使用されたことが推認される。 4 当審の判断 (1)被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実を認めることができる。 ア 乙第4号証の1は、平成30年3月13日開催の講習会で使用された資料とするものであるところ、その1ページないし5ページの右上に「2018/3/13」の記載、1ページの1枚目のスライドの右上に、別掲2のとおりの図形及び右側に黒色で「ALBIREO」と赤色で「(株)アルビレオ」の文字を二段に配した構成からなる標章(以下「使用商標」という。なお、使用商標を明確に確認できる証拠として、乙8の3が提出されている。)が表示されており、「特別養護老人ホームしろやま様/第1回口腔衛生管理ミーティング『なぜ口腔衛生管理が必要か』」の表題の下、「歯科衛生士・ケアマネージャー」としてM.Y(氏名。以下同じ。)の記載がある。 また、2枚目以降のスライドには、口腔ケア(口腔衛生管理)の必要性や施設内の入居者の口腔内の状況を把握するためのOHATという評価方法を含む口腔ケア(口腔衛生管理)の具体的な実施方法や実施体制等を内容とする記載があり、5ページの最後のスライドの下部に「資料作成 株式会社アルビレオ」の記載がある。 さらに、本件商標権者(被請求人)が行った内覧会で配布されたとする資料(乙2の1)に「株式会社アルビレオ/M.Y」の記載がある。 上記及び本件商標権者(被請求人)の主張を合わせみれば、乙第4号証の1の資料の作成者は、本件商標権者(被請求人)であり、M.Yは、本件商標権者(被請求人)の社員であると認めて差しつかえない。 したがって、2018年(平成30年)3月13日に「しろやま」における口腔ケア(口腔衛生管理)に関する講習会において、本件商標権者(被請求人)が同人作成の資料に使用商標を表示し、当該資料を用いたことが推認できる。 イ 乙第5号証は、被請求人の「履歴事項全部証明書」であるところ、「目的」の欄に「35.医療、介護に関する情報処理サービス業務並びに情報提供サービス業務」、「役員に関する事項」の欄に「代表取締役」としてK.H(氏名。以下同じ。)の記載があることから、被請求人は、医療、介護に関する情報の提供等を目的とする企業であり、K.Hは被請求人の代表者であることが認められる。 ウ 乙第11号証は、FAX送信用紙(写し)であり、当該FAX送信用紙の1ページの上部に、「2018/03/27火 09:31 介護老人福祉施設 しろやま」のFAX送信履歴、「社会福祉法人来光会 介護老人福祉施設しろやま」、送信先「みんなの歯医者さん Y(審決注:M.Yの姓。以下同じ)様」、要件「OHAT 評価表、4月度口腔ケア・マネジメント計画書の件」、発信日時「平成30年3月27日(火)」、ご連絡事項「いつもお世話になっております。先日はありがとうございました。OHAT評価表を作成いたしました。併せて、しろやま4月度の口腔ケア・マネジメント計画書も送信いたします。」の記載、2ページに「口腔ケア・マネジメント計画書」の表題の下、「2.口腔ケアの実施目標」として、高リスクの入居者の口腔内状態の確認と評価を行い、口腔内の衛生を保つ。口腔内の衛生を保つケアを専門職の助言のもと実施し、口腔機能が低下するリスクの軽減に努める。」、「3.具体的方策」として「歯科衛生士と連携を図り、事例検討等を実施。助言のもと介護職員が口腔ケアを実施していく。」の記載があり、3ページないし6ページには、当該介護施設の入所者の口腔内状態の確認状況と思われる記載がある。 そうすると、2018年(平成30年)3月27日に、「しろやま」から「みんなの歯医者さん」の「Y」宛てに、講習会のお礼の言葉とともに、当該施設の職員により、講義資料(乙4の1)に基づくOHAT評価表、施設内の入居者に対する口腔ケアの実施目標、具体的方策を内容とする計画書が送付されていることが認められる。 エ 乙第20号証は、「みんなの歯医者さん」のスクリーンショット(写し)であるところ、院長挨拶の記事の抜粋部分に「院長 歯学博士」として K.H、「院長略歴」として、「平成20年 みんなの歯医者さんを開院」の記載があることから、K.Hは、「みんなの歯医者さん」の院長であることが認められ、「みんなの歯医者さん」の職員も、本件商標権者(被請求人)の社員であるといえる。 オ 乙第21号証は、平成30年3月13日開催の講習会の打合せで使用されたとする資料であり、表紙に「2018年3月13日」、「口腔機能維持管理にかかわる助言内容」、「歯科医師・歯科衛生士 M.Y」、「施設名:特別介護老人ホームしろやま」、「別紙 特別養護老人ホームしろやま様/第1回口腔衛生管理ミーティング『なぜ口腔衛生管理が必要か』会議資料を添付する。」の記載があり、1ページないし5ページに乙第4号証の1と同一の内容の資料が記載されている。 そうすると、講習会に先立ち、「しろやま」とM.Yが、乙第4号証の1と同一の内容の資料を用いて事前打合せをしていたことが推認できる。 (2)判断 上記(1)によれば、以下のとおり判断することができる。 ア 使用商標について 本件商標は、別掲1のとおり、図形及びその右側に水色で「ALBIREO」と「(株)アルビレオ」の文字を二段に配した構成からなるところ、「しろやま」において開催された「口腔ケア(口腔衛生管理)」についての講習会資料(乙4の1)に表示された使用商標は、別掲2のとおり、本件商標と色彩が異なるものの、その構成態様は同一のものであることから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。 イ 使用役務について 上記(1)イのとおり、本件商標権者(被請求人)は、医療、介護に関する情報の提供等の業務を目的とする企業であるところ(乙5)、上記(1)ア及びオのとおり、本件商標権者(被請求人)の社員であるM.Yは、「しろやま」との事前打ち合わせを踏まえ、2018年(平成30年)3月13日に「しろやま」の職員を対象として、入所者の口腔ケア(口腔衛生管理)の必要性、口腔ケア(口腔衛生管理)の具体的な実施方法及び実施体制等を内容とした「口腔ケア(口腔衛生管理)」についての講習会を行ったことが推認できるものである(乙4の1、乙21)。 そして、上記(1)ウのとおり、当該講習会終了後の同月27日に、「しろやま」から「Y」宛てに講習会のお礼の言葉及び当該施設職員による、講義資料(乙4の1)に基づく施設内の入居者に対する口腔ケアの実施目標、具体的方策を内容とする計画書がFAXで送信されている(乙11)ことからすれば、「Y」と「M.Y」は、同一人物であり、本件商標権者(被請求人)の社員であるから、本件商標権者(被請求人)は、当該施設職員に対して、実際に「口腔ケア(口腔衛生管理)に関する医療情報の提供」を行ったことが推認できるものである。 そうすると、本件商標権者(被請求人)は、講習会を通じて、当該施設職員に対して、本件審判の請求に係る指定役務中「医療情報の提供」に含まれる「口腔ケア(口腔衛生管理)に関する医療情報の提供」を行っていたということができる。 ウ 使用者及び使用時期について 上記(1)アのとおり、使用商標が表示された講習会資料(乙4の1)の資料作成者として本件商標権者(被請求人)の名称が記載され、講師のM.Yは、本件商標権者(被請求人)の社員であることから、本件商標権者(被請求人)が、当該講習会を行ったことが推認できる。 また、上記イのとおり、本件商標権者(被請求人)は、講習会を通じて、「しろやま」の職員に対して「口腔ケア(口腔衛生管理)に関する医療情報の提供」を行っていたことから、本件商標の使用者は、本件商標権者(被請求人)であるといえる。 本件商標権者(被請求人)が、使用商標を表示した資料(乙4の1)を用いて、口腔ケア(口腔衛生管理)に関する医療情報の提供を行ったのは、2018年(平成30年)3月13日であって、当該日付は、要証期間内である。 エ 小括 上記アないしウからすれば、本件商標権者(被請求人)は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務「医療情報の提供」に含まれる「口腔ケア(口腔衛生管理)に関する医療情報の提供」を行い、当該役務の提供に当たり使用商標を表示した資料を用いたものというのが相当であり、これは、「口腔ケア(口腔衛生管理)に関する医療情報の提供」の役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為と認められる使用行為であって、商標法第2条第3項第4号に該当する商標の使用である。 (3)まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者が、本件審判の請求に係る指定役務中「医療情報の提供」に含まれる「口腔ケア(口腔衛生管理)に関する医療情報の提供」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。 したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条第1項の規定により取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。

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