商標取消審判
2018-300722
- 審判番号
- 2018-300722
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2012-036490
- 登録番号
- 5545466
- 請求日
- 2018年09月13日
- 審決日
- 2023年05月30日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 却下
- 当事者
- 【請求人】ボースト ブランズ グループ, エルエルシー
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】黒川 朋也
- 【請求人代理人】魚路 将央
- 【請求人代理人】工藤 莞司
- 【請求人代理人】川島 麻衣
- 【被請求人】ウイリアム ポーター セントジョン 二世
- 【被請求人代理人】岩波 修
- 【被請求人代理人】吉澤 大輔
- 【被請求人代理人】秋元 正哉
- 審判長/審判官
- 審判長 矢澤 一幸
- 審判官 豊田 純一
- 審判官 小田 昌子
- 分類
- T131 .1 -X (W1828)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第56条第1項、特許法第135条、商標法第50条、商標法第63条第2項、特許法第181条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5545466号商標の商標登録取消審判事件についてされた令和2年5月12日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和2年(行ケ)第10113号、令和4年1月19日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求を却下する。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5545466号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成24年5月9日に登録出願、第18類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月21日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年10月3日である。
第2 当審の判断
1 令和2年(行ケ)第10113号判決について
令和2年(行ケ)第10113号判決の判示事項は、以下のとおりである。
(1)被告は、適式な呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、請求原因事実を争うことを明らかにしないものと認め、これを自白したものとみなす。
(2)商標法50条1項は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品等についての登録商標の使用をしていないときは、「何人も」その指定商品等に係る商標登録を取り消すことについて審判(以下「不使用取消審判」という。)を請求することができる旨を定めている。同項は、不使用取消審判の請求人資格について、平成8年法律第68号による改正前の商標法においては利害関係人に限られると解されていたのを、「何人も」請求することを明文化したものであると解される。
したがって、不使用取消審判の請求が、専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合等の特段の事情がない限り、当該請求が権利の濫用となることはないというべきである。
(3)前記(1)により擬制自白が成立した事実によれば、
ア 原告及び原告が設立したBoast,Inc.(以下「ボースト社」といい、原告及びボースト社を合わせて「原告ら」という。)は、昭和48年(1973年)に米国フロリダ州にて「BOAST」ブランド(以下「BOASTブランド」という。)の事業を立ち上げ、高級スポーツ衣類を、主として米国内のスポーツクラブ(ゴルフ、テニス、スカッシュ等)、カントリークラブ、リゾート施設、スポーツチーム、その他企業に販売してきたが、平成22年(2010年)にBranded Boast,LLC.(以下「ブランデッドボースト社」という。)に対し、米国内でのBOASTブランドに係る事業を売却し、これに伴い保有していたBOASTブランドに係る米国登録商標も同社に譲渡し、他方で、米国を除く日本その他のアジアの国におけるBOASTブランドに係る登録商標を引き続き保有し、米国を除くこれらの国々でBOASTブランドに係る事業を行う権利を留保していた、
イ その後、原告らとブランデッドボースト社との間で、米国及びその他の国でのBOASTブランド事業の取扱いに関する紛争を生じたが、平成27年(2015年)11月4日、フロリダ州南部地区連邦地方裁判所で、原告らは、「BOAST」の商号で「BOAST」商標を付した商品を米国外で自由に販売することができることを確認し、ブランデッドボースト社は、世界中で原告らによるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない旨を含む合意をした(以下、この合意を「本件和解契約」という。)、
ウ 被告は、平成29年(2017年)10月3日、ブランデッドボースト社より米国内のBOASTブランド事業を買収し、これに伴い同社が保有する米国のBOASTブランドに係る登録商標の移転を受けた、
エ 被告は、平成29年(2017年)12月頃、原告に対し、原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取りを打診し、 平成30年(2018年)2月15日付けで、原告らとの間で、上記商標の買取り交渉を目的として、秘密保持・不使用契約を締結した上、上記商標の買取りについて協議をしていたが、合意に至らず、同年3月以降、協議は中断していた、
オ 被告は、平成30年(2018年)9月、特許庁に対し、本件商標を含む、原告が保有するBOASTブランドに係る日本の4つの登録商標について、不使用取消審判請求(以下「本件審判請求」という。)をした、
以上の各事実が認められる。
上記各事実によれば、被告は、ブランデッドボースト社を買収した後、本件審判請求に及ぶ直前まで、原告との間で、原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取りについて協議をしていたが、協議中断の数か月後に本件審判請求に及んだものである。
こうした経緯に加え、被告は、本件審判請求における手続において、原告が、「2017年10月3日、請求人は、ブランデッドボースト社より、同社の「BOAST」ブランド事業を買収し、同社が保有する米国「BOAST」登録商標の移転を受けた(乙1)。したがって、請求人は、被請求人が保有する日本「BOAST」登録商標に干渉しない義務を含む、本件和解契約に基づく義務を履行する責任を負う」、「また、請求人は、本件和解契約に基づき、日本「BOAST」登録商標に係る被請求人の権利に対する干渉を行ってはならない義務を負う」旨主張したのに対して、具体的に弁駁していないことは記録上明らかであり、また、本訴における原告による同旨の主張についても反論していないことからすると、被告は、ブランデッドボースト社から米国内における「BOAST」事業を買収するに際して、原告らと同社との間では、同社が、世界中で原告らによるその他の登録により保護される原告らの商号権及び商標権を妨害しない旨の本件和解契約に基づく義務を負担しており、上記買収により被告も同義務を履行する責任を負うことを認識しながら、これを前提として、原告との間で、原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取り交渉をしていたものと認められる。
そうすると、被告は、原告との間で、原告が保有する本件商標を含む日本及びその他の国のBOASTブランドに係る登録商標の買取り交渉が頓挫するや否や、原告らが保有する商標権を妨害してはならない旨の上記義務に反することを知りながら、本件商標の取消しを求めて本件審判請求に及んだものと認めるのが相当である。
したがって、本件審判請求は、金銭的負担をすることなく本件商標を使用することを企図し、取消審判制度が何人も申し立てることができることに藉口して、専ら被請求人(原告)を害する目的でしたものと認められるから、権利の濫用に当たるものというべきである。
(4)以上によれば、原告主張の取消事由は理由があるから、これと異なる本件審決の判断は取り消されるべきである。
2 審決取消判決の拘束力について
本件商標に係る商標登録取消審判事件(以下「本件審判事件」という。)についてされた令和2年5月12日付け審決に対し、上記1のとおり、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(令和2年(行ケ)第10113号、令和4年1月19日判決言渡)があり、当該審決取消判決(以下「本件審決取消判決」という。)は、同年5月23日に確定した。
そして、商標登録取消審判事件に係る取消訴訟において、審決取消判決が確定したときには、審判官は、商標法第63条第2項で準用する特許法第181条第2項の規定に従い、当該審判事件についてさらに審理を行い、審決をしなければならないところ、再度の審理ないし審決には、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、当該審決取消判決の拘束力が及ぶ。
3 当審の判断
上記2に照らせば、本件審判事件の再度の審理ないし審決には、令和2年(行ケ)第10113号判決の拘束力が及ぶものである。
本件審判事件の審決は、互いの商標に係る権利等について妨害しないことを含む当事者間の本件和解契約の存在を認定しつつも、本件審判請求が専ら被請求人を害することを目的としていると認められる事情を見いだせないことを理由に、請求人による本件審判請求につき権利濫用を否定し、不使用取消審判制度趣旨及び登録商標の不使用を理由に登録商標を取り消す旨判断した。
これに対し、本件審決取消判決は、上記1のとおり、本件審判請求は、被告(請求人)が、本件和解契約に基づく義務を履行する責任を負うことを認識し、これに反することを知りながら、取消審判請求が何人も申し立てることができることに藉口して、専ら原告(被請求人)を害する目的でしたものと認められるから、権利の濫用に当たるというべきである旨判示した。
そして、上記2のとおり、本件審判事件の審理ないし審決においては、本件審決取消判決の拘束力が及ぶ以上、請求人(被告)による本件審判請求は、本件和解契約に基づく義務を履行する責任を負うことを認識し、これに反することを知りながら、取消審判請求が何人も申し立てることができることに藉口して、専ら被請求人(原告)を害することを目的としていると認められ、信義則違反又は権利の濫用に当たるというべきであるから、不適法な請求として却下すべきである。
以上のとおり、本件審判請求は、不適法な請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下すべきである。
4 まとめ
以上のとおり、本件審判請求は、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により却下することとし、結論のとおり審決する。
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