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特許拒絶査定不服審判

2018-017564

ホイールリムジェネレータ

審判番号
2018-017564
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-081924
請求日
2018年12月28日
審決日
2020年01月20日
公報発行日
2020年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】箏風工程有限公司
  • 【請求人代理人】SK特許業務法人
  • 【請求人代理人】奥野 彰彦
  • 【請求人代理人】伊藤 寛之
審判長/審判官
  • 審判長 久保 竜一
  • 審判官 柿崎 拓
  • 審判官 長馬 望
分類
P18 .121-Z (H02K) / P18 .537-Z (H02K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017- 81924「ホイールリムジェネレータ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月15日出願公開、特開2018-182950〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この出願は、平成29年4月18日にされた外国語書面出願であって、平成29年4月26日に外国語書面の翻訳文が提出され、平成29年12月21日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年3月26日に意見書が提出されたが、平成30年8月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年12月28日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 本願発明 この出願の各請求項に係る発明は、願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなされた外国語書面の翻訳文の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 環状フレーム面と、スポークユニットと、回転軸線とを含むリムと、 外輪及び内輪からなり、前記内輪は前記環状フレーム面の2つのリムフランジの間に覆設されるベアリングと、 前記外輪に設置され、少なくとも1つの永久磁石及び前記回転軸線から偏位する重心を有するローターと、 前記環状フレーム面に設置され、前記ローターと共に少なくとも1つの磁路を形成させ、前記リムに追随して回転する場合、前記少なくとも1つの磁路中の定磁束及び変動磁束の2つの内の1つにより起電力を発生させる固定子とを備えることを特徴とするホイールリムジェネレータ。 第3 原査定(平成30年8月27日付け拒絶査定)の拒絶の理由 1.(サポート要件)この出願の請求項3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2.(進歩性)この出願の請求項1,4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された発明及び引用文献2に記載されたような周知の技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された発明、引用文献4に記載された発明及び引用文献2に記載されたような周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された発明、引用文献2に記載されたような周知の技術及び引用文献5に記載されたような周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された発明、引用文献6に記載された発明及び引用文献2に記載されたような周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された発明、引用文献7に記載された発明及び引用文献2に記載されたような周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.特開2012-065478号公報(本審決における「引用文献1」。) 引用文献2.特表2016-523757号公報(本審決における「引用文献2」。) 引用文献3.米国特許第4539497号明細書(本審決における「引用文献3」。) 引用文献4.特開昭61-196737号公報 引用文献5.特開2002-081455号公報 引用文献6.実願平03-061010号(実開平05-005501号)のCD-ROM 引用文献7.特開2004-090808号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1.引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に頒布された刊行物である、引用文献1には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付与した。以下、同様。)。 ア.「【0005】本発明はバッテリー容量不足と充電時間の短縮化を目的とするものである。」 イ.「【0007】ホイールの中央部外周に永久磁石群を均一に配置し図1-1、しっかりと固定したものをプラスチックなどの磁性化しない材質のカバーで覆う図2-3。そのカバー内側と磁石の間はスペースがあり、カバーには中心部に鉄など磁性化するものを使用していないコイル群をしっかりと取り付ける。図2-4 コイルと永久磁石の隙間は極めて狭く、より多くの電流がコイルに発生するようにする。カバー両側は完全に固定せずにスライドする事と、下部に重りを付ける事によってホイール中心部は回転するが、カバーは常に静止状態を保つようにする。 このような構造で、永久磁石の回転が電磁誘導でコイル内に電気を発生させることができる。」 ウ.「【0010】図4は、一般的な電気自動車である。走行効率から一般的に6の前輪駆動車が多い。したがって13の後輪は補助的な役割であり、この後輪に7のホイール型発電機を取り付ける。14のバッテリーは電気自動車では大きな容積である。現状のバッテリー容量であれば走行距離を長くでき、同程度の走行距離でよければ、バッテリー個数を少なくすることが可能である。」 エ.前記記載事項イ.によると、ホイールは、中央部外周を含むといえる。 オ.前記記載事項イ.によると、カバーは、カバー両側が完全に固定されずにスライドし、ホイールが回転するのに対して常に静止状態を保つから、ホイールの中央部外周に対して回転自在に支持されているといえる。また、図2の図示内容を考慮すると、カバーは、ホイール2の中央部外周の左右両側から立ち上がる2つのフランジの間に設けられているといえる。すると、ホイール型発電機は、2つのフランジの間に設けられるカバーをホイールの中央部外周に対して回転自在に支持する部分を備えているといえる。 カ.前記記載事項イ.によると、カバーは、前記オ.に示した回転自在に支持する部分で回転し、電磁誘導で電気を発生させるコイルが取り付けられているといえる。また、永久磁石の回転により電磁誘導でコイル内に電気を発生させるため、カバーを静止状態に保つように、カバーの下部に重りが付いているといえる。すると、カバーは、前記回転自在に支持する部分で回転し、電磁誘導で電気を発生させるコイルが取り付けられ、下部に重りが付いているといえる。 キ.前記記載事項イ.によると、ホイール型発電機は、ホイールの中央部外周に固定され、ホイールが回転するときに回転し、電磁誘導でコイル内に電気を発生させる永久磁石を備えているといえる。 (2)引用発明 前記引用文献1の記載事項ア.~キ.及び図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「中央部外周を含むホイールと、 2つのフランジの間に設けられるカバーを前記中央部外周に対して回転自在に支持する部分と、 前記回転自在に支持する部分で回転し、電磁誘導で電気を発生させるコイルが取り付けられ、下部に重りが付ついている前記カバーと、 前記中央部外周に固定され、ホイールが回転するときに回転し、電磁誘導で前記コイル内に電気を発生させる永久磁石とを備えるホイール型発電機。」 2.引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に頒布された刊行物である、引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。 ア.「【0016】先ず図1を参照すると、符号1により本発明のホイールが全体として示されているが、このホイールは、よくあるようにリム1f、複数のスポーク1s及びハブ部1nを備えている。このホイール1は、車両のホイール支持体2(普通に複数のサスペンションアーム(Lenker)を介して車両に固定され、従って、車両に対して動かないと言える。)上に回転可能に支持されているハブ3に、自身のハブ部1nによりフランジ付けされている。この図1のさらなる詳細にはこれ以上立ち入る必要は(今のところは)ないのだが、手短に付言するとすれば、ホイール1のリム1f上に嵌着されたタイヤ4、このタイヤ4に空気を入れるためにリム1fに設けられたバルブ5、ホイール1とハブ3の間に位置するブレーキディスク6、及び図面の説明の前の箇所で最後に言及した、車両に対して固定されていると言えるカバーディスク7(カバーディスクは、ホイール1のリム深皿部(リムディスク)(Felgenschuessel)の内側に位置し且つその周縁部が内側のリムフランジ1hの略面内に位置するような形状とされている。)程度であろう。」 3.引用文献3の記載 原査定の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に頒布された刊行物である、引用文献3には、図面とともに、次の記載がある。 ア.「A vehicle mountable driveless electrical generator with a housing and structure mounted around an axle of a vehicle.」(第1欄第7行~第9行) [当審訳:車両の車軸の周囲に取り付けられたハウジングおよび構造を備えた車両搭載可能なドライブレス発電機] イ.「The inventive electrical generating system includes a generally toroidal housing 5 that can be passed over the end of axle end 8 to be mounted to the wheel structure, as shown in FIGS. 2 and 3.」(第2欄下から20行~下から17行) [当審訳:本発明の電気発電システムは、図2及び3に示すように、ホイール構造に取り付けられる軸端部8の端部の上を通過することができるほぼ環状のハウジング5を含む。] ウ.「Refer now also to both FIGS. 6 and 7. The inventive system housing 5 is shaped like a toroid or doughnut, as mentioned above, and is formed of two pieces: a U-shaped housing outer wall 40; and a housing cover and mounting plate or wall 44. Outer wall 40 has a central or passage wall 42 having a passage dimensioned to accommodate an axle 8, or at least the end thereof. A ring bearing 46 is mounted on the inner surface of the passage wall 42, with the inner race 48 of the bearing affixed to the wall. A carrier bracket 54 for generator 52 is attached to the outer race 50 of the ring bearing. The electrical potential generator 52 and a transmitter 28 are mounted on bracket 54. The armature shaft 56 of generator 52 is aligned parallel to the axis of rotation of the ring bearing 46. The generator 52 and bracket 54 thus constitute a pendulum freely rotatable about the axis of rotation of the axle 8, and thus, during movement of the vehicle, will remain substantially stationary in the lower part of the housing. An internal ring gear 60 (best seen in FIG. 7), affixed to the housing cover plate 44 or outer wall 40, engages pinion 58 attached to the armature shaft 56. Rotation of the wheel 6 causes the entire housing 5 (and, hence, ring gear 60) to rotate about generator 52, driving gear 58 affixed to armature shaft 56, thereby generating electrical power.」(第3欄第35行~第59行) [当審訳:ここで、図6及び図7を参照する。本発明のシステムハウジング5は、上述したように環状またはドーナツ状に形成され、U字形ハウジング外壁40とハウジングカバーおよび取付けプレートまたは壁44との2つの部品から形成されている。外壁40は、軸8または少なくともその端部を収容するような寸法の通路を有する中央または通路壁42を有する。リングベアリング46が通路壁42の内面に取り付けられており、軸受の内輪48が壁に固定されている。リングベアリングの外輪50には、発電機52用のキャリアブラケット54が取り付けられている。発電機52および送信機28はブラケット54に取り付けられている。発電機52の電機子軸56は、リングベアリング46の回転軸に対して平行に配置されている。発電機52およびブラケット54は、したがって、車軸8の回転軸の周りで自由に回転可能な振り子を構成し、したがって、車両の移動中、ハウジングの下方部分において実質的に静止したままである。ハウジングカバープレート44または外壁40に固定された内部リングギヤ60(図7に最もよく示されている)は、アーマチュアシャフト56に取り付けられたピニオン58と係合する。ホイール6の回転は、ハウジング5全体(およびしたがってリングギア60)を発電機52の周りで回転させ、アーマチュアシャフト56に固定されたギア58を駆動し、それによって電力を生成する。] エ.「FIGS. 8 and 9 show a second embodiment of the invention, configured to provide an even more narrow profile than the embodiment of FIGS. 6 and 7. The housing 5 is again configured in toroidal form, and is disposed about the axle 8, as in the embodiments of FIGS. 6 and 7. Basically, the embodiment of FIGS. 8 and 9 provides a structure wherein the pancake armature 84 rotates with the wheel and the magnets 88 are stationary. More specifically, the housing 5 includes a rear U-shaped element 80, with a wall 42 forming a passage in its center and a housing cover 82, which are affixed together, forming a toroidal configuration or doughnut-shaped housing. A ring bearing 77 includes an outer race 78, affixed to the outer wall of element 80 and its inner race 76 affixed to the magnet holder 89. The pendulum weight 85 is affixed to the magnet holder 89. A centrally apertured pancake armature 84 is mounted on armature hub or holder 86, which in turn is fixedly mounted on the inner wall 42 of housing 5. The armature 84 is positioned to move between the magnets 88 and the flux return plate 90. The magnets 88 and holder 89, which are attached to the pendulum weight 85, remain substantially stationary while the housing 5 and the armature 84 rotate with the wheel to thereby generate an electromagnetic potential, as is well-known. Since the armature 84, transmitter 28 and cable 16 rotate with the housing 5, no electrical contact brushes or slip rings are necessary. The electrical loads, indicated at 91, can connect the electrical potential to the transmitter 28 and the associated electronic circuitry (not shown), which may be suitably mounted on the cover 82. The sensor cable 16 and the antenna 29 extend outwardly through suitable openings in the cover 82.」(第4欄第27行~第59行) [当審訳:図8,9は、本発明の第2の実施形態を示し、図6,7の実施形態よりさらにいっそう狭いプロフィールを提供するように構成されている。ハウジング5は、環状の形態で構成され、図6,7の実施例と同様に軸8の周りに配置されている。基本的には、図8,9の実施形態は、パンケーキ電機子84がホイールとともに回転し、磁石88が静止している構造を提供する。より具体的には、ハウジング5は、中央に通路を形成する壁42と、互いに固定されたハウジングカバー82とを備えた後方U字形要素80を含み、環状構造またはドーナツ形ハウジングを形成する。リングベアリング77は、要素80の外壁に固定された外輪78と、磁石ホルダ89に固定された内輪76とを有している。磁石ホルダ89には、振り子錘85が固定されている。中央に開口されたパンケーキ電機子84は、ハウジング5の内壁42に固定的に取り付けられたアーマチュアハブ又はホルダ86に取付けられている。電機子84は、磁石88と磁束リターンプレート90との間を移動するように位置決めされる。ハウジング5および電機子84がホイールと共に回転する間、振り子錘85に取り付けられた磁石88およびホルダ89は実質的に静止したままであり、それによって、周知のように電位が生成される。電機子84、送信器28及びケーブル16はハウジング5と共に回転するので、電気接点ブラシ又はスリップリングは不要である。91で示される電気負荷は、電位を送信機28及び関連する電子回路(図示せず)に接続することができ、この電子回路はカバー82に適切に取り付けられる。センサケーブル16およびアンテナ29はカバー82内の適当な開口部を通って外方に延びている。] オ.「FIG. 10 shows another embodiment of the system similar to the embodiment of FIGS. 8 and 9, and also utilizing a pancake armature. In this embodiment, the housing 5 is also configured as a toroid. The inner race 76 of ring bearing 77 is affixed to the passage wall 42 of the housing element 80. An armature hub 86 is secured to the rotatable outer race 78 of the bearing 77, the hub having a hub weight 85 affixed to a portion thereof, with the result that the pendulum action of the hub weight causes the armature hub 86 to remain stationary during rotation of the housing 5. A pancake armature 84 is affixed to the hub 86, and therefore remains stationary as the associated wheel and housing rotate. A ring-shaped magnet structure 88, consisting of a plurality of magnets contained within a flux return plate structure 90, causes a magnetic flux to interact with the windings of the pancake armature 84. Thus, during rotation of the housing 5, the magnet structure also rotates and a voltage is induced in the windings of the armature 84. Importantly, the pancake armature 84 comprises a disc-shaped cylinder, with an enlarged central aperture to accommodate housing 5. Armature 84 has a large outside diameter which obtains a high peripheral speed to interact with the toroidal-shaped multipole magnet structure 88, having magnets which are mounted to have a similar peripheral diameter. In contrast to known pancake armature structures, armature 84 is not mounted on a shaft and may be considered as "driveless".」(第4欄第60行~第5欄第20行) [当審訳:図10は、図8,9の実施形態と同様のシステムの別の実施形態を示し、パンケーキ型電機子を利用する。この実施形態では、ハウジング5はまた、環状に構成される。リングベアリング77の内輪76は、ハウジング要素80の通路壁42に固定されている。アーマチュアハブ86は、ベアリング77の回転可能な外輪78に固定され、ハブはその一部に固定されたハブ重量85を有し、その結果、ハブ重量の振り子作用により、ハウジング5の回転中にアーマチュアハブ86が静止状態に維持される。パンケーキ型電機子84がハブ86に固定されているので、関連するホイールとハウジングが回転するにつれて固定されたままである。磁束戻り板構造90内に収容された複数の磁石からなるリング状磁石構造体88は、磁束をパンケーキ電機子84の巻線と相互作用させる。したがって、ハウジング5の回転中に、磁石構造体も回転し、電機子84の巻線に電圧が誘起される。重要なことに、パンケーキ型電機子84は、ハウジング5を収容するための拡大された中央開口部を備えた円盤状の円筒を備えている。電機子84は、環状多極磁石構造88と相互作用するために高い周速を得る大きな外径を有し、これは同様の周直径を有するように取り付けられた磁石を有する。公知のパンケーキ電機子構造とは対照的に、電機子84はシャフトに取り付けられておらず、「駆動なし」と考えることができる。] 第5 対比 以下、本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「中央部外周」及び「ホイール」は、それぞれ本願発明の「環状フレーム面」及び「リム」に相当する。また、引用発明の「ホイール」はその機能からみて、回転軸線周りに回転するものであることは明らかであり、回転軸線を備えているといえるから、引用発明の「中央部外周を含むホイール」と本願発明の「環状フレーム面と、スポークユニットと、回転軸線とを含むリム」とは、「環状フレーム面と、回転軸線とを含むリム」である点において共通する。 引用発明の「2つのフランジの間に設けられるカバーを前記中央部外周に対して回転自在に支持する部分」と、本願発明の「外輪及び内輪からなり、前記内輪は前記環状フレーム面の2つのリムフランジの間に覆設されるベアリング」とは、「回転自在に支持する部分」である点において共通する。 引用発明の「カバー」は、本願発明の「ローター」に相当する。また、引用発明の「カバー」は「重り」が下部に付いているから、その重心が回転軸線から偏位していることは明らかである。そして、先に検討したことを踏まえれば、引用発明の「前記回転自在に支持する部分で回転」することと、本願発明の「前記外輪に設置され」ることとは、「前記回転自在に支持する部分で回転」する点で共通する。すると、引用発明の「前記回転自在に支持する部分で回転し、電磁誘導で電気を発生させるコイルが取り付けられ、下部に重りが付いている前記カバー」と、本願発明の「前記外輪に設置され、少なくとも1つの永久磁石及び前記回転軸線から偏位する重心を有するローター」とは、「前記回転自在に支持する部分で回転し、少なくとも1つの起電力を発生させるための一方の電磁素子及び前記回転軸線から偏位する重心を有するローター」である点で共通する。 引用発明の「前記中央部外周に固定され、ホイールが回転するときに回転し、電磁誘導で前記コイル内に電気を発生させる永久磁石」は、カバーとの間に磁路を形成するといえるから、引用発明の「前記中央部外周に固定され、ホイールが回転するときに回転し、電磁誘導で前記コイル内に電気を発生させる永久磁石」と、本願発明の「前記環状フレーム面に設置され、前記ローターと共に少なくとも1つの磁路を形成させ、前記リムに追随して回転する場合、前記少なくとも1つの磁路中の定磁束及び変動磁束の2つの内の1つにより起電力を発生させる固定子」とは、「前記環状フレーム面に設置され、前記ローターと共に少なくとも1つの磁路を形成させ、前記リムに追随して回転する、起電力を発生させるための他方の電磁素子」である点で共通する。 引用発明の「ホイール型発電機」は、本願発明の「ホイールリムジェネレータ」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、 「環状フレーム面と、回転軸線とを含むリムと、 回転自在に支持する部分と、 前記回転自在に支持する部分で回転し、少なくとも1つの起電力を発生させるための一方の電磁素子及び前記回転軸線から偏位する重心を有するローターと、 前記環状フレーム面に設置され、前記ローターと共に少なくとも1つの磁路を形成させ、前記リムに追随して回転する、起電力を発生させるための他方の電磁素子とを備えるホイールリムジェネレータ。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] リムについて、本願発明は、「スポークユニット」を含むのに対し、引用発明はこのような事項を含むか明確でない点。 [相違点2] 回転自在に支持する部分について、本願発明は、「外輪及び内輪からなり、前記内輪は前記環状フレーム面の2つのリムフランジの間に覆設されるベアリング」を備え、ローターが「外輪に設置され」るのに対し、引用発明は、カバーが中央部外周に対して回転自在に支持されているものの、どのような手段により支持されているのか不明である点。 [相違点3] 起電力を発生させるための電磁素子について、本願発明は、ローターに「永久磁石」を有し、環状フレーム面に「前記リムに追随して回転する場合」、「起電力を発生させる固定子」を設置するのに対し、引用発明は、カバーにコイルを取り付け、中央部外周に永久磁石を固定する点。 [相違点4] 起電力の発生について、本願発明は、「前記少なくとも1つの磁路中の定磁束及び変動磁束の2つの内の1つによ」るのに対し、引用発明は、そのようなものであるか明確でない点。 第6 判断 (1)相違点について 以下、前記相違点について判断する。 [相違点1]について ホイールにスポークユニットを備えることは、引用文献2の段落【0016】、図1,図4に記載されているように、この出願の出願前から周知の事項である。 そうすると、引用発明のホイール型発電機におけるホイールに、前記周知の事項にならい、スポークユニットを設け、本願発明の前記相違点1に係る発明特定事項とすることに格別の困難性はない。 [相違点2]について 引用文献3には、前記第4 3.のウ.~オ.によると、車両のホイールに取り付けられる発電機において、ホイール6の回転時に、ホイール6とともに回転するハウジング5と、実質的に静止したままとなる部材(図6,図7の実施例では発電機52及びブラケット54、図8,図9の実施例では、磁石88及び磁石ホルダ89、図10の実施例では、パンケーキ型電機子84及びアーマチュアハブ86)との間に、内輪及び外輪から構成されるリングベアリングを設ける点が記載されている。また、回転運動が生じる種々の機械において、回転部分の摩擦を低減し、回転自在に支持するための手段として、内輪及び外輪から構成されるベアリングを用いることは、例示するまでもなく、この出願の出願前から周知の事項である。 そして、引用発明と引用文献3に記載された事項とは、ともに車両のホイールに取り付けられる発電機に関するものであり、技術分野が共通する上、引用発明の「回転自在に支持する部分」と、引用文献3に記載された事項の「リングベアリング」とは、ともにホイールの回転時に、ホイールとともに回転する部材と、実質的に静止したままとなる部材とをスライドさせるものであり、作用、機能が共通するものである。 また、引用発明の課題は、電気自動車等のバッテリー容量不足を改善し、また、充電時間の短縮化を図ること(引用文献1の段落【0005】等参照。)と解されるが、このような課題を解決するためには、当然、発電機の効率向上が考慮され、当業者であれば、引用発明における「回転自在に支持する部分」の摩擦の低減が、発電機の効率向上に寄与することも、当然、把握できるから、引用発明は、「回転自在に支持する部分」の摩擦を低減するという課題を内在しているといえる。一方、引用文献3に記載された事項のリングベアリングは、前記したように周知の事項でもあり、摩擦を低減するために用いられることが知られているから、引用発明において、「回転自在に支持する部分」の摩擦を低減するために、この「回転自在に支持する部分」に、引用文献3に記載された内輪及び外輪から構成されるリングベアリングを採用することは、当業者が容易に想到し得たものである。 その際、引用発明の配置からみて、「回転自在に支持する部分」の中央部外周側に内輪が設置されることになるから、この内輪は中央部外周と一体に設けられることになる。さらに、引用発明のカバーが、2つのフランジの間に設けられていることを考慮すると、カバーと中央部外周との間に設けられるリングベアリングの内輪は、中央部外周の2つのフランジの間に覆設されることとなる。 同様に、その際、引用発明の配置からみて、カバー側に外輪が設置されることになるから、カバーは外輪に設置されるともいうことができる。 そうすると、引用発明に、引用文献3に記載された事項を適用し、本願発明の前記相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。 [相違点3]について 引用文献3の図8,図9の実施例では、可動側に電機子84を設け、静止側に磁石88を設けており、一方、図10の実施例では可動側に磁石88を設け、静止側に電機子84を設けているように、電磁誘導により起電力を発生させる永久磁石及びコイルのうち、どちらを可動側に設け、どちらを静止側に設けるかは、当業者が任意に選択し得るものである。 そうすると、引用発明において、永久磁石及びコイルを、それぞれ中央部外周及びカバーのどちら側に設けるかは、当業者が任意に選択し得るものであるといえ、カバーに永久磁石を設け、中央部外周にコイルを設けることにより、本願発明の前記相違点3に係る発明特定事項とすることに格別の困難性はない。 [相違点4]について 本願発明は、「前記少なくとも1つの磁路中の定磁束及び変動磁束の2つの内の1つによ」り起電力を発生するものであり、この磁路中の「定磁束」及び「変動磁束」について、明細書の発明の詳細な説明には、「【0024】いわゆる均一で不変な磁場とは、環状ローター2上の磁極(Magnet、 即ち磁性体部材21)及び環状固定子1の磁性伝導コア(Magnetism-conducting core、電流導体巻きコイル11内に被覆される)の間の磁路空隙が不変に保持され、これにより前記磁性伝導コアの横断面も環状固定子1の円周方位の変化により変化されないことを意味する。このような磁路により、最適化された薄板状(Thin sheet alike)の空隙が永久的に保持され、磁気抵抗(Magneticresistance)が可能な限り最小値に維持され、磁束が自然に可能な限り最大値となり、ローターの磁極と固定子の磁性伝導コアとの間の磁気引力も不変に維持される。【0025】仮に直径0.2mmの細い導線が横断面の矩形を呈する前記磁性伝導コアに1層巻かれ、且つ環状ローター2及び前記磁極の横断面も矩形となる。前記薄板状の空隙の厚さが1mmである場合、磁極とコイルとの間の間隔は0.8mmとなる。よって、定磁束発電方式の1つは、細い導線が固定子全周に1層または極わずかの層に巻かれる高圧低電流形式である。従来の設計方式では、多くは前記磁性伝導コアに間隔が等しい中心角の多くの導線埋め込み溝(Winding slot)が設置され、相対的に低圧大電流形式の変動磁束発電方式となる。」と記載されており、これによると、「定磁束」とは、導線を埋め込むスロットを有さず、環状ローター2上の磁極との間の磁路隙間が均一なものとなる環状固定子1の磁性伝導コアと、当該環状ローター2上の磁極との間の磁束を意味し、「変動磁束」とは、導線を埋め込むスロットを有する環状固定子1の磁性伝導コアと、環状ローター2上の磁極との間の磁束を意味する。 そして、引用発明のコイルがスロットに埋め込まれるものであるのか否かは、明確ではないが、回転電機に設けるコイルをスロットに埋め込むものも、埋め込まないものも、例示するまでもなく、この出願の出願前からともに周知の事項である。 すると、引用発明のコイルを、前記周知の事項にならって構成し、起電力を生じさせるための2つの電磁素子の間の磁束を定磁束又は変動磁束とし、本願発明の前記相違点4に係る発明特定事項とすることに、格別の困難性はない。 また、本願発明は、「前記少なくとも1つの磁路中の定磁束及び変動磁束の2つの内の1つによ」り起電力を発生するものであり、磁路中の磁束が、「定磁束」と「変動磁束」とのうちのどちらかであることを特定しているのみである。一方、引用発明の永久磁石とカバーとで形成する磁路中の磁束も、「定磁束」と「変動磁束」とのうちのどちらかではあるといえ、そうすると、この[相違点4]は、実質的な相違点ではないともいえる。 (2)請求人の主張について ア.請求人は、審判請求書において、「市販される最大のセダン(sedan)及びSUVのホイールリムは一律に一体成形されるため、取り外し不可能である。回転ベアリングの内輪も1つ以上の部材は組み合わせられていない。この2点は疑いの余地のない現実であり、タイヤのリムフランジ(rim flange)の外径をベアリングの内径よりも大きくしなければならないため、D1、D2、及びD3を統合するという願望も実現不能である。」旨、主張しているが、ホイールリムが一律に一体成形されずに、取り外し可能であることや、回転ベアリングの内輪の数は、本願発明において特定されていないから、請求人のこの主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものとはいえない。 イ.請求人は、審判請求書において、「ベアリングの摩擦トルク及びその平均外径の3乗の比例に制限されるため、ベアリング関連分野に習熟する技術者ならば効率が低下することを熟知しており、D1、D2、及びD3を統合することは、TPMSのわずか数ワット(Watt)の電力需要のためにすぎないと認めるのか、或いは、応用範囲が厳しく制限されても、市場において十分な需要があると判断しているのか疑問が残る。」旨、主張しているが、ベアリングの摩擦トルクや、その平均外径は、本願発明において特定されていないから、請求人のこの主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものとはいえない。 ウ.請求人は、審判請求書において、「ベアリングの平均外径が大きくなるほど、最高回転速度は低くなる。上記の例においてCSED160は1280rpmであるが、現代の運輸の需要に対応するにはとてもではないが十分と言い難い。ベアリングの寿命には他にも制限がある。ホイールリムにおいて、ベアリングの平均外径が大きくなるほど、回転素子の寿命も短くなる。さらには、最低負荷の要求もあり、明細書の図1でも満足させることは不可能であり、セラミックボールベアリングに変更しても不可能である。」旨、主張しているが、ベアリングの平均外径は、本願発明において特定されていないから、請求人のこの主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものとはいえない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (3)本願発明の作用効果について 本願発明の作用効果については、引用発明、引用文献3に記載された事項及び前記周知の事項から当業者が予測できる範囲のものである。 第7 むすび したがって、本願発明は、引用発明、引用文献3に記載した事項及び前記周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含するこの出願は、この出願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-017564

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