審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2018-008478

フレキシブル表示装置

審判番号
2018-008478
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-227525外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年06月20日
審決日
2019年09月24日
公報発行日
2019年11月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G09F) / P18 .537-WY (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-227525「フレキシブル表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年6月22日出願公開、特開2017-111435、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 この審判事件に関する出願(本願)は、2015年(平成27年)12月15日に大韓民国でされた特許出願に基づくパリ条約の優先権を主張して平成28年11月24日にされた特許出願である。そして、平成30年2月15日に特許請求の範囲についての補正(以下、「第1次補正」という。)がされたが、同年2月23日付けで拒絶査定(原査定)がされ、同年3月13日に査定の謄本が送達された。 これに対して、同年6月20日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に特許請求の範囲についての補正(以下、「請求時補正」という。)がされた。 その後、平成31年3月11日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月12日に特許請求の範囲についての補正(以下、「本件補正」という。)がされるとともに、意見書が提出された。 なお、第1次補正後の請求項の数は20であり、請求時補正後の請求項の数は18であり、本件補正後の請求項の数は16である。 第2 本願に係る発明 本願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明16」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項16に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 画像が表示される表示領域と画像が表示されない非表示領域を含み、前記非表示領域内に曲げることができるベンディング領域が具備された基板; 前記基板上の非表示領域に配置され、第1リンク配線および第2リンク配線を含むリンク配線; 前記基板上のベンディング領域に配置された第1バッファ層; 前記基板上のベンディング領域内で前記第1バッファ層上に配置され、前記ベンディング領域内において、前記リンク配線と接続されているベンディング接続配線; 前記基板のベンディング領域内で前記リンク配線と前記ベンディング接続配線との間に配置された第2バッファ層; 前記ベンディング領域に配置された第1コンタクトホール;および 前記ベンディング領域に配置された第2コンタクトホールを含み、 前記第1リンク配線は、前記第1コンタクトホールを通じて前記ベンディング接続配線の一端に接続されて、前記第2リンク配線は、前記第2コンタクトホールを通じて前記ベンディング接続配線の他端と接続されており、 前記ベンディング領域にベンディングモーメントが加えられたときに生じる引張応力と圧縮応力が相殺され、曲げ面に加えられる力が最小となる中立面が、前記ベンディング接続配線内に位置するように、前記ベンディング領域内に配置される各層の厚さが決定されている フレキシブル表示装置。 【請求項2】 前記ベンディング接続配線を取り囲み、前記基板のベンディング領域内で前記第1バッファ層と前記第2バッファ層との間に配置された無機膜層をさらに含む請求項1に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項3】 前記第1バッファ層は、前記無機膜層の真下に配置され、前記第2バッファ層は、前記無機膜層の真上に配置されることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項4】 前記第1バッファ層と前記第2バッファ層は、互いに同一の物質からなり、前記第1バッファ層と前記第2バッファ層は、同一の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項5】 前記第2バッファ層上に配置され、前記第2バッファ層よりも高い耐水性を有するマルチバッファ層をさらに含む請求項4に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項6】 GIP領域、前記表示領域及び前記非表示領域のうち少なくとも一つの領域に配置された遮光層がさらに備えられており、 前記表示領域に配置された遮光層は、前記表示領域に位置する薄膜トランジスタのアクティブ層に光が入射するのを防止するためのものであり、 前記ベンディング接続配線は、前記GIP領域の前記遮光層と同じ層に配置され、前記GIP領域及び前記表示領域に配置された前記遮光層と同一の物質からなることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項7】 前記第1リンク配線は、前記表示領域内で薄膜トランジスタの電極と接続され、前記ベンディング領域内で前記ベンディング接続配線の一端に接続され、 前記第2リンク配線は、前記非表示領域内でパッドと接続されて、前記ベンディング領域内で前記ベンディング接続配線の他端と接続される、請求項1に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項8】 前記第1リンク配線と前記第2リンク配線は、互いに平行に配列されていることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項9】 前記第2リンク配線に接続される駆動フィルムをさらに含み、 前記駆動フィルムは、前記基板に平行に配列されていることを特徴とする請求項7に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項10】 前記第1バッファ層と前記第2バッファ層は、ポリイミドからなる請求項1に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項11】 前記マルチバッファ層上に配置されたアクティブ層;及び 前記アクティブ層上に配置されたパッシベーション層をさらに含む請求項5に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項12】 画像が表示される表示領域と画像が表示されない非表示領域を含み、前記非表示領域内に曲げることができるベンディング領域が具備された基板; 表示領域内に配置され、第1層に位置した電極を含む薄膜トランジスタ; 前記非表示領域のベンディング領域内で前記薄膜トランジスタの電極を含む前記第1層の下に位置する第2層に配置されるベンディング接続配線; 前記第2層に位置する前記ベンディング接続配線と、前記第1層に位置する前記薄膜トランジスタの電極を互いに電気的に接続する、前記非表示領域に配置されたリンク配線; 第1バッファ層と第2バッファ層であって、前記ベンディング接続配線は、前記ベンディング領域内で前記第1バッファ層と前記第2バッファ層との間に配置される、第1バッファ層と第2バッファ層; 前記ベンディング領域に配置された第1コンタクトホール; 前記ベンディング領域に配置された第2コンタクトホール; 第1端および第2端を含む第1リンク配線であって、前記第1リンク配線の前記第1端は、前記薄膜トランジスタの電極と接続されて、前記第1リンク配線の前記第2端は、第1コンタクトホールを通じて前記ベンディング接続配線の第1端と接続される、第1リンク配線;および 第1端および第2端を含む第2リンク配線であって、前記第2リンク配線の前記第1端は、前記非表示領域内でパッドと接続されて、前記第2リンク配線の前記第2端は、第2コンタクトホールを通じて前記ベンディング接続配線の第2端と接続される、第2リンク配線を含み、 前記ベンディング領域にベンディングモーメントが加えられたときに生じる引張応力と圧縮応力が相殺され、曲げ面に加えられる力が最小となる中立面が、前記ベンディング接続配線内に位置するように、前記ベンディング領域内に配置される各層の厚さが決定されている フレキシブル表示装置。 【請求項13】 前記基板上で、前記第1バッファ層と前記第2バッファ層との間に配置された無機膜層をさらに含む請求項12に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項14】 前記第1バッファ層は、前記無機膜層の真下に配置され、前記第2バッファ層は、前記無機膜層の真上に配置されることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項15】 前記第1バッファ層と前記第2バッファ層は、互いに同一の物質からなり、前記第1バッファ層と前記第2バッファ層は、同一の厚さを有することを特徴とする請求項12に記載のフレキシブル表示装置。 【請求項16】 GIP領域、前記表示領域及び前記非表示領域のうち少なくとも一つの領域に配置された遮光層がさらに備えられており、 前記表示領域に配置された遮光層は、前記表示領域に位置する薄膜トランジスタのアクティブ層に光が入射するのを防止するためのものであり、 前記ベンディング接続配線は、前記GIP領域の前記遮光層と同じ層に配置され、前記GIP領域及び前記表示領域に配置された前記遮光層と同一の物質からなることを特徴とする請求項12に記載のフレキシブル表示装置。」 なお、本願発明2ないし本願発明11は、本願発明1の構成を全て含み、本願発明13ないし本願発明16は、本願発明12の構成を全て含む。 第3 原査定の理由の概要 (進歩性) 第1次補正後の請求項1ないし請求項5及び請求項7ないし請求項19に係る発明は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第1次補正後の請求項6及び請求項20に係る発明は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、第1次補正後の請求項1ないし請求項20に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2014-232300号公報 引用文献2:特表2012-518892号公報 引用文献3:特開2013-178525号公報 第4 当審拒絶理由の概要 1 理由1(サポート要件) 請求時補正後の請求項8に係る「フレキシブル表示装置」は、「ベンディング領域に配置された第1コンタクトホール」及び「ベンディング領域に配置された第2コンタクトホール」に加えてさらに「ベンディング領域に配置された少なくとも一つのコンタクトホール」を含んでいることになるが、そのようなことは、発明の詳細な説明に記載されていない。 そうすると、請求時補正後の請求項8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。請求時補正後の請求項8の記載を引用して記載された請求時補正後の請求項9に係る発明も、同様である。 したがって、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2 理由2(明確性) 請求時補正後の請求項6及び請求項18に係る発明は、以下に述べるとおり、明確でない。 したがって、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (1)請求時補正後の請求項6及び請求項18には、「遮光層」が「GIP領域、前記表示領域及び前記非表示領域のうち少なくとも一つの領域に配置され」るものであって、かつ「前記表示領域に位置する薄膜トランジスタのアクティブ層に光が入射するのを防止するための」ものである旨の記載がある。 しかし、「GIP領域」や「非表示領域」に配置された「遮光層」は、「前記表示領域に位置する薄膜トランジスタのアクティブ層に光が入射するのを防止する」ものではないから、前記記載は技術的に不合理であって、請求時補正後の請求項6及び請求項18に係る発明がどのようなものか明確でない。 (2)請求時補正後の請求項6には、「ベンディング接続配線は」「GIP領域に」「配置され」る旨の記載があるが、同項が記載を引用する請求時補正後の請求項1には、「ベンディング接続配線」は「ベンディング領域」に配置される旨の記載がある。 したがって、請求時補正後の請求項6の記載は、請求時補正後の請求項1の記載と矛盾しており、明確でない。 請求時補正後の請求項18の記載についても、同様のことがいえる。 第5 当審拒絶理由についての当合議体の判断 1 理由1(サポート要件) 本件補正により、請求時補正後の請求項8及び請求項9は削除された。 したがって、当審拒絶理由のうち、理由1は解消した。 2 理由2(明確性) 本件補正により、本件補正後の請求項6及び請求項16(請求時補正後の請求項6及び請求項18)は、以下に述べるとおり、明確になった。 したがって、当審拒絶理由のうち、理由2も解消した。 (1)本件補正により、本件補正後の請求項6及び請求項16(請求時補正後の請求項6及び請求項18)の「前記表示領域に位置する薄膜トランジスタのアクティブ層に光が入射するのを防止する」という記載は、「GIP領域」や「非表示領域」に配置された「遮光層」についてのものではなく、「表示領域に配置された遮光層」についてのものであることが明らかになった結果、技術的に不合理な点はなくなった。 (2)本件補正により、本件補正後の請求項6(請求時補正後の請求項6)には、「ベンディング接続配線は、前記GIP領域の前記遮光層と同じ層に配置され」る旨が記載されることになった結果、本件補正後の請求項6(請求時補正後の請求項6)の記載は、本件補正後の請求項1(請求時補正後の請求項1)の記載と整合するものとなった。 本件補正後の請求項16(請求時補正後の請求項18)の記載についても、同様である。 第6 原査定の理由についての当合議体の判断 1 引用文献に記載された発明等 (1)引用文献1 ア 引用文献1の記載 引用文献1には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。 「【0019】 図1に示すように、本願の第1実施形態に係るフレキシブル表示装置100は、基板101と、ゲートラインGL及びデータラインDLと、複数のパッドPDと、複数のリンクLKと、複数の絶縁膜102,103,104,及び105(図1には図示せず。後述の図2参照)と、を備えて構成されている。基板101は、表示領域AA、及び表示領域AAの外周であって、リンク領域LKA及びパッド領域PDAを有している非表示領域NAで定義される。基板101は、柔軟性材料で作られている。ゲートラインGL及びデータラインDLは、基板101上の表示領域AAに複数の画素領域PAが定義されるように、相互に交差する方向に形成されている。複数のパッドPDは、パッド領域PDAに形成される。複数のパッドPDは、ゲートラインGL及びデータラインDLのいずれか一つの信号ラインに駆動信号を供給するための外部回路が接続される。複数のリンクLKは、リンク領域LKAに形成される。複数のリンクLKは、複数のパッドPDのそれぞれと信号ラインGL,DLとを接続する。複数の絶縁膜102,103,104,105は、基板上の全面に形成される。複数の絶縁膜102,103,104,105は、導電層同士を絶縁させる。」 「【0021】 一例として、図2に示すように、フレキシブル表示装置100は、柔軟性材料で作られた基板101、基板101上の全面に形成されているバッファー膜102、及びバッファー膜102上の表示領域に形成されている複数の薄膜トランジスタTFT及び複数の発光素子ELを備えている。」 「【0028】 ゲート絶縁膜103は、バッファー膜102上の全面に活性層111を覆うように形成されている。ゲート電極113は、ゲート絶縁膜103上に、活性層111のチャンネル領域111aに少なくとも一部がオーバーラップするように形成されている。ゲート電極113は、ゲートラインGLに接続される。層間絶縁膜104は、ゲート絶縁膜103上にゲート電極113を覆うように形成されている。」 「【0031】 保護膜105は、層間絶縁膜104上にソース電極114aとドレイン電極114bを覆うように形成される。なお、図2には図示していないが、ゲートライン(図1のGL)がゲート電極113と共にゲート絶縁膜103上に形成されている。」 「【0039】 図1に示すように、非表示領域NAのいずれか一つの領域(NA1、図1で表示領域AAの周辺領域の右辺に相応)は、複数のパッドPDが配置されているパッド領域PDA、及びパッド領域PDAと表示領域AAとの間に形成されており、複数のリンクLKが配置されているリンク領域LKAを有している。また、一側領域NA1のうち、基板101の一辺に平行な一部領域は、パッドPDが基板101の背面に配置されるように折り曲がるベンディング領域BAとなっている。」 「【0041】 ここで、リンク領域LKAの少なくとも一部がベンディング領域BAとなるため、複数のリンクLKのそれぞれの一部はベンディング領域BA上に配置されるようになる。図1では、リンク領域LKの一部がベンディング領域BAになっているとしたが、これは例示に過ぎず、ベンディング領域BAはリンク領域LKAよりも広くなっていてもよい。 【0042】 図3に示すように、基板101のベンディング領域BAを折り曲げて、パッド領域PDAのパッド(図1のPD)が基板101の背面に配置されるようにする。 【0043】 ところで、バッファー膜102、ゲート絶縁膜103、層間絶縁膜104の内の少なくとも一つの絶縁材料として、無機絶縁材料が使われることがある。このような絶縁材料は、一般的に、基板101に使われる柔軟性材料に比べてより高い剛性を帯びる。よって、絶縁材料、特に、無機絶縁材料がベンディング領域BAに配置されていると、絶縁材料はベンディング領域BAが曲がるに従って曲げ応力を受ける。そのため、絶縁材料にクラックが発生する可能性がある。この絶縁材料のクラックがリンクLKにも伝達され、リンクLKの断線などの不良につながる原因となる。 【0044】 このように絶縁材料に加えられる曲げ応力によるリンクLKの断線不良を防止するには、ベンディング領域BAに配置される絶縁材料を最小化する必要がある。 【0045】 そこで、本願の第1実施形態に係るフレキシブル表示装置は、ベンディング領域BAに設けられる第1ベンディングホールをさらに備える。 【0046】 図4及び図5に示すように、フレキシブル表示装置100は、エッチング防止層106と、第1ベンディングホールBH1と、をさらに備えて構成されている。エッチング防止層106は、基板101上に非表示領域NAのうち少なくとも一つの領域NA1内に形成される。第1ベンディングホールBH1は、ベンディング領域BA内に形成される。ここで、第1ベンディングホールBH1は、バッファー膜102、ゲート絶縁膜103、層間絶縁膜104及び保護膜105を含む複数の絶縁膜のうち、リンクLKの下部に位置している少なくとも一つを貫通している。 【0047】 第1ベンディングホールBH1は、エッチング防止層106の少なくとも一部を露出させるように形成すればよい。このとき、層間絶縁膜104上に形成された各リンクLKは、第1ベンディングホールBH1により露出されたエッチング防止層106の少なくとも一部と直接接触することとなる。」 「【図1】 」 「【図2】 」 「【図3】 」 「【図4】 」 「【図5】 」 イ 引用文献1に記載された発明 引用文献1の前記アの記載によれば、以下のことが認められる。 (ア)引用文献1には、フレキシブル表示装置100が記載されている(【0019】)。 (イ)フレキシブル表示装置100は、基板101と、ゲートラインGLと、複数のパッドPDと、複数のリンクLKと、複数の絶縁膜102、103、104及び105とを備え(【0019】、図1、図2)、さらに、エッチング防止層106と、第1ベンディングホールBH1とを備える(【0046】、図4、図5)。 (ウ)基板101は、表示領域AAと非表示領域NAとで定義される(【0019】、図1)。そして、非表示領域NAは、パッド領域PDAと、パッド領域PDAと表示領域AAとの間に形成されるリンク領域LKAとを有し、リンク領域LKAの一部は、折り曲がるベンディング領域BAとなる(【0039】、【0041】、図1、図3)。 (エ)ゲートラインGLは、表示領域AAに形成される(【0019】、図1、図4、図5)。 (オ)複数のパッドPDは、パッド領域PDAに形成される(【0019】、図1、図4、図5)。 (カ)複数のリンクLKは、リンク領域LKAに形成され、複数のパッドPDのそれぞれとゲートラインGLとを接続し(【0019】、図1)、複数のリンクLKのそれぞれの一部は、ベンディング領域BA上に配置される(【0041】、図4、図5)。 (キ)一例として、絶縁膜102、103、104及び105は、基板101上の全面に形成されるバッファー膜102、バッファー膜102上の全面に形成されるゲート絶縁膜103、ゲート絶縁膜103上に形成される層間絶縁膜104、及び層間絶縁膜104上に形成される保護膜105である(【0021】、【0028】、【0031】、図2)。 (ク)エッチング防止層106は、基板101上に形成され、かつ、非表示領域NA内に形成される(【0046】、図4、図5)。 (ケ)第1ベンディングホールBH1は、ベンディング領域BA内に形成され、バッファー膜102、ゲート絶縁膜103、層間絶縁膜104及び保護膜105を含む複数の絶縁膜のうち、リンクLKの下部に位置している少なくとも一つを貫通して(【0046】)、エッチング防止層106の一部を露出させるように形成される(【0047】)。ここで、図5を参照すると、第1ベンディングホールBH1は、具体的には、リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104を貫通していることが見て取れる。 (コ)複数のリンクLKは、層間絶縁膜104上に形成され、各リンクLKの一部は、第1ベンディングホールBH1により露出されたエッチング防止層106の一部と直接接触する(【0047】、図5)。 (サ)以上のことをまとめると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「表示領域AAと非表示領域NAとで定義される基板101であって、非表示領域NAは、パッド領域PDAと、パッド領域PDAと表示領域AAとの間に形成されるリンク領域LKAとを有し、リンク領域LKAの一部は折り曲がるベンディング領域BAとなる基板101と、 表示領域AAに形成されるゲートラインGLと、 パッド領域PDAに形成される複数のパッドPDと、 リンク領域LKAに形成され、複数のパッドPDのそれぞれとゲートラインGLとを接続し、それぞれの一部がベンディング領域BA上に配置される複数のリンクLKと、 基板101上の全面に形成されるバッファー膜102と、 バッファー膜102上の全面に形成されるゲート絶縁膜103と、 ゲート絶縁膜103上に形成される層間絶縁膜104と、 層間絶縁膜104上に形成される保護膜105と、 基板101上に形成され、かつ、非表示領域NA内に形成されるエッチング防止層106と、 第1ベンディングホールBH1とを備え、 第1ベンディングホールBH1は、ベンディング領域BA内に形成され、リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104を貫通して、エッチング防止層106の一部を露出させるように形成され、 複数のリンクLKは、層間絶縁膜104上に形成され、各リンクLKの一部は、第1ベンディングホールBH1により露出されたエッチング防止層106の一部と直接接触する フレキシブル表示装置100。」 (2)引用文献2 ア 引用文献2の記載 引用文献2には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。 「【0004】 LEDデバイスから光を放射するために、少なくとも一方の電極は透明である。透明電極は通常、酸化インジウムスズ(ITO)のような透明な導電性酸化物から形成される。しかしながら、透明な導電性酸化物は脆弱であり、応力が加えられるときにクラックが入るので、フレキシブルデバイスの場合に特に問題となる。クラックは電極の導電率を下げ、発光材料を劣化させる可能性がある。」 「【0006】 アクティブマトリックス制御素子を形成する1つの一般的な従来技術の方法は通常、シリコン等の半導体材料の薄膜をガラス基板上に堆積させ、次いでフォトリソグラフィ工程を通じて半導体材料をトランジスタ及びキャパシタに形成する。薄膜シリコンは、アモルファス又は多結晶のいずれかとすることができる。アモルファスシリコン又は多結晶シリコンから作製される薄膜トランジスタ(TFT)は、結晶シリコンウェハーにおいて作製される従来のトランジスタと比較して相対的に大きく、かつ性能が低い。…(中略)…フレキシブルへの応用例では、相対的に大きな薄膜構成材料は大きな応力を受けやすく、その応力が薄膜構成材料の性能を変更し、劣化させる。」 「【0015】 図1(断面図)及び図2(平面図)を参照すると、本発明の一実施形態において、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が、表示エリア21を有する基板10と、基板10よりも薄く、基板10の表面上に形成される接着層18とを備える。…(中略)…複数のチップレット20が、接着層18に接着され、各チップレット20は少なくとも1つの接続パッド24を有し、複数のチップレット20が表示エリア21内に分散配置され、接着層18の少なくとも一部18cがチップレット20上に延在する。複数のボトム電極12が表示エリア21内の接着層18上に形成され、各ボトム電極12は1つのチップレット20の接続パッド24に電気的に接続される。少なくとも1つの発光材料層14がボトム電極12上に形成され、少なくとも1つの発光材料層14上にトップ電極16が形成される。電極12、16及び少なくとも1つの発光材料層14は、接着層18よりも薄い発光ダイオード15、たとえば、有機発光ダイオード(OLED)を形成する。チップレット20は、接続パッド24を通してLED15のボトム電極12に電流を与え、少なくとも1つの発光材料層14を駆動して、光を放射する。チップレット20は、バスワイヤ28(図2)によって、チップレット20に接続される外部コントローラー26によって制御することができる。チップレット20の上側部分、接続パッド24からボトム電極12への電気的接続、及びLED15は、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の動作構成材料を形成する。 【0016】 接着層18よりも厚いカバー30がトップ電極16上に配置され、基板10に接着される。チップレット20の少なくとも一部、ボトム電極12、少なくとも1つの発光材料層14、及びトップ電極16が、構成要素10、18、20、12、14、16、30によって形成される構造の中立応力面に、又はその近くに配置され、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の曲げ半径は2cm未満である。基板及びカバーはフレキシブルにすることができる。…(中略)…ボトム電極12をパターニングして、図2に示される、個々に制御可能な発光ダイオードピクセル15を形成することができる。 【0017】 本発明のいくつかの実施形態では、トップ電極16と、トップ電極16上に形成される任意の層との間にバッファー層40を用いることができる。…(中略)…薄いチップレットほど、大きなフレキシビリティを与える。しかしながら、同時に、チップレットは、チップレット24内に集積回路22を構成するだけの十分な厚みを有しなくてはならない。 【0018】 中立応力面は、構成要素スタックが曲げられるときに応力を受けない平坦な構成要素のスタック内にある面である。平坦な構成要素のスタックは、その隣接する表面にわたって接着される。たとえば、基板に接着されるカバーが2つの平坦な構成要素のスタックを形成する。カバーの外側表面が凹形の形状を形成し、基板の外側表面が凸形の形状を形成するように(上面及び底面)、スタックが曲げられるとき、そのカバーは、凹形の曲面の方向に対して直交する横方向圧縮力を受け、基板は凸形の曲面の方向に対して直交する横方向引張力を受ける。言い換えると、基板が引っ張られるときに、カバーは圧縮される。その圧縮力は、カバーの外側表面において最も大きく、外側表面から離れるのに応じて0まで小さくなり、その後、その力は引張力になり、基板の外側表面まで増加する。そのスタックが反対方向に曲げられる場合には、逆のことが生じる。力が0である構成要素スタック内の点は、中立応力面を形成する。中立応力面は必ずしも平坦ではなく、その位置はスタック内の他の構成要素に依存することに留意されたい。しかしながら、曲げの方向又は量にかかわらず、通常、中立応力面は平坦な構成要素のスタック内の同じ場所を占めることになる。デバイスの曲げ半径は、デバイスが曲げられても動作し続けることができる最小曲率半径である。」 「【0023】 中立応力面は、それぞれが個々の応力係数を有する複数の層からなる接着されたスタック内の理論的な面である。…(中略)…中立応力面の位置は、材料及び層厚を選択することによって制御することができる。 【0024】 デバイス厚は、カバー及び基板を含む、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の全体の厚みと見なされる。中立応力面は概ね中立域の中心に位置し、中立域は、中立応力面のいずれかの側から延在する。用語「中立応力面に、又はその近くに(ある)」は中立域を指しており、「中立応力面に、又はその近くに」ある層は中立域内にある。…(中略)…本発明の一実施形態では、中立応力面は、トップ電極16及び少なくとも1つの材料層14が接触する場所(構成要素17)に位置する。 【0025】 フレキシブル基板上の無機構成要素は、クラック、スリップ又は層間剥離に起因する破損を生じる。チップレット20を接着層18内に配置し、接着層18の少なくとも一部18cがチップレット20の一部の上に延在することによって、スリップ及び層間剥離の問題は低減される。詳細には、接着層18(すなわち、18b)内にチップレット20を有することによって、スリップの問題が低減され、チップレット20が接着層18の表面に沿って摺動できないようになる。チップレット20の少なくとも一部の上に延在する接着層の部分18cを有することによって、層間剥離の問題が低減され、チップレット20は、接着層18から容易に剥離されないようになる。チップレット20の少なくとも一部、好ましくは上側部分(たとえば、接続パッド24)、さらに好ましくは表面を中立応力面に、又はその近くに配置することによって、クラックが低減される。接続パッド24及び配線接続が配置され、接続障害を最小限に抑えることが望ましいので、チップレット20の上側表面が特に対象となる。」 「【0028】 本発明の実施形態において、1つ又は複数の材料層14の下、又は上、又はその両方に封入層が形成される。既知のように、有機発光材料は水分によって悪影響を及ぼされる。それゆえ、1つ又は複数の発光層14への水分の透過率を小さくする封入層を使用することによって、ディスプレイの寿命が改善される。そのような封入層は通常、無機薄膜であり、非常に脆弱である。これらの封入層は、基板10及びカバー30において頻繁に用いられる。しかしながら、基板10及びカバー30は、本発明の一実施形態によれば、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が曲げられるときに最も大きな応力を受け、それゆえ、基板10及びカバー30内の任意の無機材料層は破損する可能性が高い。それゆえ、本発明の一実施形態では、封入層42及び44によってそれぞれ示されるように、接着層18上に、又はトップ電極16上に、無機封入層が設けられる。これらの位置では、封入層が受ける応力は小さく、それゆえ、屈曲応力に耐える可能性が高い。接着層18上に配置される封入層42は、スパッタリング、化学気相成長(CVD)又は原子層堆積(ALD)によって設けることができる。無機材料(二酸化シリコン等)をスパッタリングすることは或る程度の保護を与え、一方、化学気相成長は改善された性能を与える。しかしながら、原子層堆積は、水分透過に対して最も良好な保護を与える。封入層42は、層内に形成されると、をフォトリソグラフィ技法によってパターニングして、ビア19を形成することができ、該ビアを通して、ボトム電極をチップレット接続パッド24に接続することができる。」 「【0031】 フレキシブル基板10、接着層18、オプションのバッファー層40及びフレキシブルカバー30の材料及び厚みを注意深く選択し、適合させることによって、チップレット20の少なくとも一部、たとえば、接続パッド24が配置される表面、オプションの封入層42、ボトム電極12、少なくとも1つの発光材料層14、トップ電極16及びオプションの封入層44を、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の中立応力面に、又はその近くに配置することができる。…(中略)…フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が、たとえば、巻かれることによって応力を加えられるときに、不可欠な無機構成要素が受ける応力を大幅に削減することができる。」 「【図1】 」 「【図2】 」 イ 引用文献2に記載された事項 引用文献2の前記アの記載によれば、以下のことが認められる。 (ア)引用文献2には、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が記載されている(【0015】)。 (イ)フレキシブル放射ディスプレイデバイス1は、表示エリア21を有するフレキシブル基板10と、基板10の表面上に形成される接着層18とを備える(【0015】、【0016】)。 (ウ)複数のチップレット20が接着層18に接着され、表示エリア21内に分散配置される(【0015】)。 (エ)複数のボトム電極12が表示エリア21内の接着層18上に形成され、そのそれぞれがチップレット20の接続パッド24に電気的に接続され、発光材料層14がボトム電極12上に形成され、発光材料層14上にトップ電極16が形成され、ボトム電極12と発光材料層14とトップ電極16とが有機発光ダイオード15を形成する(【0015】)。 (オ)フレキシブルカバー30がトップ電極16上に配置され、基板10に接着される(【0016】)。 (カ)トップ電極16とトップ電極16上に形成される任意の層との間にバッファー層40が形成され(【0017】)、接着層18上又はトップ電極16上に無機封入層42及び無機封入層44が形成される(【0028】)。ここで、図1を参照すると、接着層18上に無機封入層42が形成され、トップ電極16上に無機封入層44が形成され、無機封入層44とフレキシブルカバー30との間にバッファー層40が形成されることが見て取れる。 (キ)チップレット20、封入層42、ボトム電極12、発光材料層14、トップ電極16及び封入層44は、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1の中立応力面又はその近くに配置することができる(【0031】)。そして、そのようにすることで、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が巻かれたときにこれらの要素が受ける応力を大幅に削減し、クラックを低減することができる(【0004】、【0006】、【0018】、【0024】、【0025】、【0031】)。 (ク)応力中立面の位置は、フレキシブル基板10、接着層18、バッファー層40及びフレキシブルカバー30の材料及び厚みを選択することによって制御することができる(【0023】、【0031】)。 (ケ)以上のことをまとめると、引用文献2には、以下の事項が記載されている。 「表示エリア21を有するフレキシブル基板10と、 基板10の表面上に形成される接着層18と、 接着層18上に形成される無機封入層42と、 接着層18に接着され、表示エリア21内に分散配置される複数のチップレット20と、 表示エリア21内の接着層18上に形成され、それぞれがチップレット20の接続パッド24に電気的に接続される複数のボトム電極12と、ボトム電極12上に形成される発光材料層14と、発光材料層14上に形成されるトップ電極16とから形成される有機発光ダイオード15と、 トップ電極16上に形成される無機封入層44と、 無機封入層44上に形成されるバッファー層40と、 バッファー層40上に配置され、フレキシブル基板10と接着されるフレキシブルカバー30とを備える フレキシブル放射ディスプレイデバイス1において、 チップレット20、封入層42、ボトム電極12、発光材料層14、トップ電極16及び封入層44をフレキシブル放射ディスプレイデバイス1の中立応力面又はその近くに配置すると、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が巻かれたときにこれらの要素が受ける応力を大幅に削減し、クラックを低減することができ、 中立応力面の位置は、フレキシブル基板10、接着層18、バッファー層40及びフレキシブルカバー30の材料及び厚みを選択することによって制御することができる。」 (3)引用文献3 引用文献3には、以下の記載がある。 「【0069】 次に、基板上に導電膜を形成し、パターニングを施すことにより走査線102を形成する。走査線102としては、導電型を付与する不純物元素がドープされたpoly-SiやWSiX(X=2.0~2.8)、Al、Ta、W、Cr、Mo等の導電性材料及びその積層構造を用いることができる。本実施例では、WSiX(膜厚:100nm)/poly-Si(膜厚:50nm)の積層構造の高い遮光性を持つ導電性材料により所定の間隔で走査線102を形成した。」 「【図3】 」 2 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。 ア 引用発明の「表示領域AA」、「非表示領域NA」及び「基板101」は、それぞれ本願発明1の「画像が表示される表示領域」、「画像が表示されない非表示領域」及び「基板」に相当する。 イ 前記アを踏まえると、引用発明の「表示領域AAと非表示領域NAとで定義される基板101」は、本願発明1の「画像が表示される表示領域と画像が表示されない非表示領域を含」む「基板」に相当する。 ウ 引用発明の「折り曲がるベンディング領域BA」は、本願発明1の「曲げることができるベンディング領域」に相当する。 エ 引用発明の「基板101」は、「非表示領域NA」が「リンク領域LKA」「を有し、リンク領域LKAの一部は折り曲がるベンディング領域BAとなる」から、「非表示領域NA」内に「折り曲がるベンディング領域BA」を具備することになる。 したがって、引用発明の「非表示領域NAは、パッド領域PDAと、パッド領域PDAと表示領域AAとの間に形成されるリンク領域LKAとを有し、リンク領域LKAの一部は折り曲がるベンディング領域BAとなる基板101」は、前記アないしウを踏まえると、本願発明1の「前記非表示領域内に曲げることができるベンディング領域が具備された基板」に相当する。 オ 引用発明の「複数のリンクLK」は、「リンク領域LKAに形成され、複数のパッドPDのそれぞれとゲートラインGLとを接続し、それぞれの一部がベンディング領域BA上に配置される」ものである。 ところで、「ゲートラインGL」は、「表示領域AAに形成され」るものであり、「複数のパッドPD」は、「パッド領域PDAに形成され」るものであり、「リンク領域LKA」は、「パッド領域PDAと表示領域AAとの間に形成される」ものである。 そうすると、引用発明の「複数のリンクLK」は、「リンク領域LKA」の「表示領域AA」側から「パッド領域PDA」側までにわたって延びていることになる。 ここで、「リンク領域LKAの一部は」、「ベンディング領域BAとな」っており、「第1ベンディングホールBH1」は、「ベンディング領域BA内に形成され、リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104を貫通して、エッチング防止層106の一部を露出させる」ものである。 そして、引用発明の「複数のリンクLK」は、「層間絶縁膜104上に形成され、各リンクLKの一部は、第1ベンディングホールBH1により露出されたエッチング防止層106の一部と直接接触する」ものである。 以上のことを総合すると、引用発明の「複数のリンクLK」は、「層間絶縁膜104上に形成され」て「リンク領域LKA」の「表示領域AA」側に延びる第1の部分と、「リンク領域LKAの一部」である「ベンディング領域BA」で「第1ベンディングホールBH1により露出されたエッチング防止層106の一部と直接接触する」第2の部分と、「層間絶縁膜104上に形成され」て「リンク領域LKA」の「パッド領域PDA」側に延びる第3の部分とに分けられることになる(引用文献1の図5参照)。 カ 引用発明の「リンク領域LKAに形成され、複数のパッドPDのそれぞれとゲートラインGLとを接続し、それぞれの一部がベンディング領域BA上に配置される複数のリンクLK」のうち、前記オで述べた第1の部分と第3の部分と合わせたものは、「非表示領域NA」が「リンク領域LKA」「を有」すること及び前記ア及びイを踏まえると、本願発明1の「前記基板上の非表示領域に配置され、第1リンク配線および第2リンク配線を含むリンク配線」に相当する。 キ 引用発明の「基板101上に形成され、かつ、非表示領域NA内に形成されるエッチング防止層106」は、「基板101」が「非表示領域NA」内に「折り曲がるベンディング領域BA」を具備すること(前記エ)及び「第1ベンディングホールBH1」が「ベンディング領域BA内に」「エッチング防止層106の一部を露出させるように形成され」ることから、「非表示領域NA」の中でも少なくとも「ベンディング領域BA」内には形成されることが明らかである。 したがって、引用発明の「基板101上に形成され、かつ、非表示領域NA内に形成されるエッチング防止層106」は、本願発明1の「前記基板上のベンディング領域に配置された第1バッファ層」に相当する。 ク 引用発明の「リンク領域LKAに形成され、複数のパッドPDのそれぞれとゲートラインGLとを接続し、それぞれの一部がベンディング領域BA上に配置される複数のリンクLK」のうち、前記オで述べた第2の部分は、本願発明1の「前記基板上のベンディング領域内で前記第1バッファ層上に配置され、前記ベンディング領域内において、前記リンク配線と接続されているベンディング接続配線」に相当する。 ケ 引用発明の「リンク領域LKAに形成され、複数のパッドPDのそれぞれとゲートラインGLとを接続し、それぞれの一部がベンディング領域BA上に配置される複数のリンクLK」のうち、前記オで述べた第1の部分、第2の部分及び第3の部分は、「複数のリンクLK」を便宜上3つの部分に分けたものであるから、第1の部分が第2の部分の一端と接続されていること、及び、第2の部分の他端が第3の部分と接続されていること(逆に言えば、、第3の部分が第2の部分の他端と接続されていること)は当然である。 このことは、前記カ及びクを踏まえると、本願発明1の「前記第1リンク配線は、」「前記ベンディング接続配線の一端に接続されて、前記第2リンク配線は、」「前記ベンディング接続配線の他端と接続されて」いることに相当する。 (2)一致点及び相違点 前記(1)の対比の結果をまとめると、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 ア 一致点 「画像が表示される表示領域と画像が表示されない非表示領域を含み、前記非表示領域内に曲げることができるベンディング領域が具備された基板; 前記基板上の非表示領域に配置され、第1リンク配線および第2リンク配線を含むリンク配線; 前記基板上のベンディング領域に配置された第1バッファ層; 前記基板上のベンディング領域内で前記第1バッファ層上に配置され、前記ベンディング領域内において、前記リンク配線と接続されているベンディング接続配線を含み、 前記第1リンク配線は、前記ベンディング接続配線の一端に接続されて、前記第2リンク配線は、前記ベンディング接続配線の他端と接続されている フレキシブル表示装置。」 イ 相違点 (ア)相違点1 本願発明1は、「前記基板のベンディング領域内で前記リンク配線と前記ベンディング接続配線との間に配置された第2バッファ層」、「前記ベンディング領域に配置された第1コンタクトホール」及び「前記ベンディング領域に配置された第2コンタクトホール」を含み、「前記第1リンク配線は、前記ベンディング接続配線の一端に接続されて」いることが「前記第1コンタクトホールを通じて」行われており、「前記第2リンク配線は、前記ベンディング接続配線の他端と接続されて」いることが「前記第2コンタクトホールを通じて」行われているのに対し、 引用発明は、「ベンディング領域BA内に形成され、リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104を貫通して、エッチング防止層106の一部を露出させるように形成され」る「第1ベンディングホールBH1」を備え、「リンク領域LKAに形成され、複数のパッドPDのそれぞれとゲートラインGLとを接続し、それぞれの一部がベンディング領域BA上に配置される複数のリンクLK」の第1の部分と第2の部分との接続及び第2の部分と第3の部分との接続(本願発明1の「前記第1リンク配線は、前記ベンディング接続配線の一端に接続されて」いること及び「前記第2リンク配線は、前記ベンディング接続配線の他端と接続されて」いることに相当する。)がいずれも「第1ベンディングホールBH1」を通じて行われる点。 (イ)相違点2 本願発明1は、「前記ベンディング領域にベンディングモーメントが加えられたときに生じる引張応力と圧縮応力が相殺され、曲げ面に加えられる力が最小となる中立面が、前記ベンディング接続配線内に位置するように、前記ベンディング領域内に配置される各層の厚さが決定されている」のに対し、 引用発明は、「ベンディング領域BA」(本願発明1の「ベンディング領域」に相当する。)内に配置される各層(具体的には「基板101」、「エッチング防止層106」、「複数のリンクLK」の第2の部分及び「保護膜105」)の厚さが特定されていない点。 (3)相違点1についての判断 引用発明が相違点1に係る本願発明1の構成を備えるようにするには、少なくとも、「リンク領域LKAに形成され、複数のパッドPDのそれぞれとゲートラインGLとを接続し、それぞれの一部がベンディング領域BA上に配置される複数のリンクLK」の第1の部分と第2の部分との接続及び第2の部分と第3の部分との接続を、いずれも「第1ベンディングホールBH1」を通じて行う代わりに、第1の部分と第2の部分との接続及び第2の部分と第3の部分との接続のうち、一方を「第1コンタクトホール」を通じて、他方を「第2コンタクトホール」を通じて、それぞれ行うようにしなければならない。 引用発明の「第1ベンディングホールBH1」は、「ベンディング領域BA内に形成され、リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104を貫通して、エッチング防止層106の一部を露出させるように形成され」るから、引用文献1の図4及び図5からも見て取れるように、「リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104」は、「ベンディング領域BA内」の「第1ベンディングホールBH1」の全域にわたって除去され、その結果、「各リンクLKの一部は、第1ベンディングホールBH1により露出されたエッチング防止層106の一部と直接接触」している。 これに対し、「第1ベンディングホールBH1」に代えて、「第1コンタクトホール」及び「第2コンタクトホール」を形成した場合、「ベンディング領域BA内」に2つの穴を形成する以上、それら2つの穴(すなわち、「第1コンタクトホール」及び「第2コンタクトホール」)の間の領域では、「バッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104」を除去しないことになる。それらを除去すれば、「第1コンタクトホール」と「第2コンタクトホール」とが合わさって1つの穴になってしまうから、そもそも、「第1コンタクトホール」及び「第2コンタクトホール」を形成することにならないからである。 ところで、引用発明は、「絶縁材料に加えられる曲げ応力によるリンクLKの断線不良を防止するには、ベンディング領域BAに配置される絶縁材料を最小化する必要がある」ことから、「ベンディング領域BAに設けられる第1ベンディングホールをさらに備える」ようにしたものである(引用文献の【0044】、【0045】)。換言すれば、引用発明は、絶縁材料に加えられる曲げ応力によってリンクLKの断線不良が発生するという課題を、ベンディング領域BAに配置される絶縁材料、すなわち、「リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104」を除去するという手段によって解決したものである。 そのような引用発明において、「リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104」を除去しないことになれば、課題を解決することができなくなり、引用発明の意義が失われることは明らかである。したがって、引用発明にそのような変更を加えることには阻害要因があるというべきである。 そして、引用文献2にも引用文献3にも、そのような阻害要因を乗り越えてまで、引用発明において「リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104」を除去しないようにすることは、記載も示唆もされていない。 すなわち、引用文献2に記載された事項(前記1(2)イ(キ))は、「フレキシブル放射ディスプレイデバイス1」を構成する「チップレット20、封入層42、ボトム電極12、発光材料層14、トップ電極16及び封入層44をフレキシブル放射ディスプレイデバイス1の中立応力面又はその近くに配置すると、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が巻かれたときにこれらの要素が受ける応力を大幅に削減し、クラックを低減」でき、「中立応力面の位置は、フレキシブル基板10、接着層18、バッファー層40及びフレキシブルカバー30の材料及び厚みを選択することによって制御」できることを示唆するものの、これは、引用発明において「リンクLKの下部に位置しているバッファー膜102、ゲート絶縁膜103及び層間絶縁膜104」を除去しないようにすることを意味するものではない。 また、引用文献3には、配線に遮光性を持たせることが記載されているにすぎない。 したがって、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2及び引用文献3に記載された事項とに基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできない。 (4)本願発明1についてのまとめ 前記(3)のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 3 本願発明2ないし本願発明11 本願発明2ないし本願発明11は、いずれも本願発明1の構成を全て含むから、少なくとも本願発明1と引用発明との相違点1及び相違点2(前記2(2)イ(ア)及び(イ))で引用発明と相違する。 そして、前記2(3)のとおり、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2及び引用文献3に記載された事項とに基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、相違点1に係る本願発明2ないし本願発明11の構成も同様である。 したがって、本願発明2ないし本願発明11は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 4 本願発明12ないし本願発明16について 本願発明12は、「前記ベンディング領域に配置された第1コンタクトホール」及び「前記ベンディング領域に配置された第2コンタクトホール」を備え、さらに、「前記第1リンク配線の前記第2端は、第1コンタクトホールを通じて前記ベンディング接続配線の第1端と接続される」及び「前記第2リンク配線の前記第2端は、第2コンタクトホールを通じて前記ベンディング接続配線の第2端と接続される」という構成を備えており、相違点1に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えているといえる。 そして、前記2(3)のとおり、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2及び引用文献3に記載された事項とに基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、相違点1に係る本願発明1の構成に対応する本願発明12の構成も同様である。 したがって、本願発明12は、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 本願発明13ないし本願発明16は、本願発明12の構成を全て含むから、本願発明12と同様に、引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。 5 原査定の判断について 原査定は、第1次補正後の請求項10及び請求項19に係る発明について、コンタクトホールの数及び配置は配線の電気的接続を考慮しながら当業者が適宜設定し得る設計事項であると判断した。ここで、第1次補正後の請求項10に係る発明は、相違点1に係る本願発明1の構成を備える発明であり、第1次補正後の請求項19に係る発明は、相違点1に係る本願発明1の構成に対応する本願発明12の構成を備える発明である。 しかし、前記2(3)のとおり、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2及び引用文献3に記載された事項とに基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできない。そして、請求時補正の結果、本願発明1は、相違点1に係る構成を備えるものとなり、本願発明12は、相違点1に係る構成に対応する構成を備えるものとなった。 したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願は拒絶をするべきものであるということはできない。 また、他に、本願は拒絶をするべきものであるとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2018-008478

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決87件(エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド)
  • 2025-002450拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)表示装置
    同じ当事者: エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
  • 2025-010852拒絶査定不服審判 / 2026-07-01 / 原査定取消(特許/登録すべき)薄膜トランジスタ基板及びそれを含む表示装置
    同じ当事者: エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
  • 2024-011908拒絶査定不服審判 / 2026-06-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)表示装置
    同じ当事者: エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
  • 2024-015536拒絶査定不服審判 / 2026-04-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)装置
    同じ当事者: エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
  • 2024-006710拒絶査定不服審判 / 2026-03-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)フレキシブル表示装置及びフレキシブル表示装置の製造方法
    同じ当事者: エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)266件(121・G09F、537・G09F)
  • 2025-002464拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)ディスプレイ保持装置及びコンソールシステム
    共通の審決分類: 121・G09F、537・G09F
  • 2024-006710拒絶査定不服審判 / 2026-03-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)フレキシブル表示装置及びフレキシブル表示装置の製造方法
    共通の審決分類: 121・G09F、537・G09F
  • 2024-007640拒絶査定不服審判 / 2026-01-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)表示装置
    共通の審決分類: 121・G09F、537・G09F
  • 2024-013160拒絶査定不服審判 / 2025-11-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ローラブルディスプレイを有する電子デバイス
    共通の審決分類: 121・G09F、537・G09F
  • 2023-008895拒絶査定不服審判 / 2025-06-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)フレキシブルディスプレイ用の交換可能なカバーレンズ
    共通の審決分類: 121・G09F、537・G09F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存