特許拒絶査定不服審判
2018-002977
パラメータ調整機能を有する射出成形機の温度制御装置
- 審判番号
- 2018-002977
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-076295外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年03月01日
- 審決日
- 2018年11月12日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (B29C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 76295「パラメータ調整機能を有する射出成形機の温度制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 9日出願公開、特開2015-196352、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年4月2日の出願であって、平成29年7月10日付けで拒絶理由が通知され、同年8月28日に意見書が提出されたが、平成30年1月26日付けで拒絶査定がされ、同年3月1日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成30年1月26日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開平7-125032号公報
2.特開2002-333594号公報
3.特開2014-46499号公報
4.特開平11-119841号公報
(以下、順に、「引用文献1」のようにいう。)
第3 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明(以下、順に「本願発明1」のようにいう。)は、平成30年3月1日に提出された手続補正書により適法に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次の事項により特定されるとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
被温度制御部を有する射出成形機において、
該被温度制御部の温度を検出する温度検出部と、
該被温度制御部の温度を操作する温度操作部と、
前記温度検出部により検出された温度と目標温度との偏差と、温度制御パラメータと、に基づいて前記温度操作部の操作により前記被温度制御部の温度を制御する温度制御部と、
該温度制御部の温度制御パラメータの調整部とを有する射出成形機の温度制御装置であって、
被温度制御部の種類を判定する種類判定部と、
被温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータを格納するパラメータ格納部と、
異常検出部とを有し、
該異常検出部は、
前記調整部による温度制御パラメータの調整完了後に、前記パラメータ格納部に格納されている被温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータから、前記種類判定部が判定した被温度制御部の種類に対応して読み出した基準温度制御パラメータと、前記調整部で調整した温度制御パラメータとを比較し、基準温度制御パラメータの値と調整した温度制御パラメータの値との差が異常検出閾値より大きい場合に異常を検出することを特徴とする射出成形機の温度制御装置。
【請求項2】
請求項1において、前記被温度制御部の種類を設定するための設定手段を有することを特徴とする射出成形機の温度制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記異常検出部が異常を検出した場合、
(a)アラームを発生させる
(b)異常を検出したことを表示する
(c)温度制御を停止する
(d)成形運転を停止する
(e)再度調整部による温度制御パラメータの調整を実行する
のうちいずれか1つ以上を行うことを特徴とする射出成形機の温度制御装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかにおいて、前記被温度制御部はシリンダー、ノズル、材料供給部、金型の何れかであり、前記温度操作部はヒーターまたは媒体によって温度を操作することを特徴とする射出成形機の温度制御装置。」
第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
1 引用文献1に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、「射出成形機におけるシリンダ温度制御装置」に関して、概ね次の記載(以下、「引用文献1に記載された事項」という。他の文献についても同様。)がある。
・「【請求項1】 温度調節器により射出シリンダの温度を設定温度に一致するようにPIDフィードバック制御する射出成形機におけるシリンダ温度制御装置において、温度検出手段により検出されたシリンダ温度が設定された上限・下限温度領域外になるとオートチューニング指令を出力する指令手段を設けると共に、前記温度調節器にはPIDパラメータをオートチューニングするPID調整手段を設け、前記指令手段からのオートチューニング指令を受けて、PIDパラメータをオートチューニングすることを特徴とする射出成形機におけるシリンダ温度制御装置。」
・「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、金型温度や外気温の変動および樹脂の剪断圧縮で生じる温度上昇等の外乱に関わりなく、常に安定した設定温度に射出シリンダを維持して射出成形作業を行うことのできる射出成形機におけるシリンダ温度制御装置を提供することにある。」
・「【0008】
【実施例】図1は本発明の一実施例の要部ブロック図である。図1において、符号33は固定プラテン,符号32は可動プラテン,符号39は射出シリンダ,符号38はスクリューであり、射出シリンダ39にはバンドヒータ34および温度検出手段としての熱電対37が設けられている。バンドヒータ34および熱電対37は射出シリンダ39の各部を個別に温度制御すべく長手方向に複数組設けられ、射出シリンダ39先端のノズル部にも同様にしてバンドヒータ35および熱電対36が設けられている。図1ではノズル部のバンドヒータ35の温度をPID制御する温度調節器43についてのみ示しているが、射出シリンダ39各部のバンドヒータ34および熱電対37に対しても同様の温度調節器43が個別に配備されている。」
(2)引用発明
引用文献1に記載された事項を整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「射出シリンダの温度を検出する温度検出手段と、
射出シリンダの温度を設定温度に一致するようにPIDフィードバック制御する温度調節器と、
温度検出手段により検出された射出シリンダのシリンダ温度が設定された上限・下限温度領域外になるとオートチューニング指令を出力する指令手段と、
前記温度調節器に設けられたPIDパラメータをオートチューニングするPID調整手段と、を設けた射出シリンダを有する射出成形機におけるシリンダ温度制御装置であって、
前記指令手段からのオートチューニング指令を受けて、PIDパラメータをオートチューニングする射出シリンダを有する射出成形機におけるシリンダ温度制御装置。」
2 引用文献2に記載された事項
引用文献2には、「ガルバノメータ制御装置及びレーザ加工装置」に関して、概ね次の記載がある。
・「【請求項1】 ガルバノメータのレーザ走査方向を2軸で制御するガルバノメータ制御装置において、
前記ガルバノメータの走査方向を補正する第1の補正手段と、前記ガルバノメータで反射されたレーザ光を被加工物に集光する光学系の光学特性を補正する第2の補正手段と、前記ガルバノメータに設けた位置センサからの信号をフィードバック信号としてPID制御するPID制御手段と、D/A変換手段と、A/D変換手段と、信号増幅手段とを少なくとも備え、
前記第1の補正手段と前記第2の補正手段と前記PID制御手段とが、デジタル回路で構成されていることを特徴とするガルバノメータ制御装置。
・・・(略)・・・
【請求項4】 前記デジタル回路内に、前記第1の補正手段、前記第2の補正手段及び前記PID制御手段のパラメータを管理するパラメータ管理テーブルを備え、該パラメータ管理テーブルが、前記ガルバノメータ制御装置の上位に設けたコントローラによって管理されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のガルバノメータ制御装置。
【請求項5】 前記デジタル回路内に、更に、前記PID制御手段に接続されるノッチ回路、フィードフォワード機能又はオブザーバ機能の少なくとも一を備え、該回路又は機能により前記ガルバノメータの共振振動が抑制されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のガルバノメータ制御装置。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を高精度かつ高速で走査するガルバノメータを制御するガルバノメータ制御装置及び該制御装置を備えたレーザ加工装置に関する。」
・「【0022】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を参照して本発明を詳細に説明する。本発明に係るガルバノメータ制御装置は、その好ましい一実施の形態において、レーザ光を2軸方向に反射するガルバノメータの反射方向を制御するガルバノメータ制御装置において、反射されたレーザ光を集光する光学系を構成するレンズの加工歪み補正する歪み補正部と、ガルバノメータの2軸間の直交度を補正する直交度補正部と、該2軸の直線性を補正するリニアリティ補正部と、ガルバノメータに設けた位置センサからの信号をフィードバック信号としてPID制御するPID制御ブロックとをデジタル回路で構成し、更に、各補正部及びPID制御ブロックからのパラメータ及びアラーム信号を管理するパラメータテーブルを設け、パラメータテーブルをガルバノメータ制御装置の上位に設けたコントローラによって管理することにより、ガルバノメータ制御装置の経時的変化や環境変化による影響を抑制し、安定した制御を可能にすると共に、制御装置の操作性や拡張性を向上させることができる。」
・「【0029】ここで、各補正処理及び制御処理におけるパラメータは、上位コントローラ1から入出力ポート8を介して内部のパラメータ管理テーブル15を書き換えられるものとし、各処理で検出されたアラームは入出力ポート8を介して上位コントローラ1に出力されるようにしてもよい。
【0030】このように、本実施例のガルバノメータ制御装置16によれば、レンズの加工歪みの補正処理、2軸間の直交度の補正処理、各軸の直線性の補正処理、位置センサ入力信号13a、13bをフィードバック信号とするPID制御処理等の各種処理を行う回路と、各補正処理及び制御処理におけるパラメータを管理する管理テーブルとをデジタル制御回路2内に設けることにより、制御装置の経時的な変化や動作環境による特性の変動を抑制することができ、ガルバノメータの安定した制御が可能となる。更に、各処理のパラメータを上位コントローラ1から制御することによって、ガルバノメータの調整作業が容易となり、熟練者でなくても調整作業を簡便かつ確実に行うことができる。なお、本実施例では、デジタル制御回路2内に設ける補正機能として、レンズ歪み補正と直交度補正とリニアリティ補正を含む構成について記載したが、デジタル制御回路2内には上記以外の他の補正機能を設けることもできる。」
・「【0044】また、図12に示すように、各補正処理及び制御処理におけるパラメータを記憶、管理するパラメータテーブル15からパラメータを取得し、このパラメータと予め入力された値とを比較、演算し、該パラメータが最適値に収束するように自動的に制御するオートチューニング回路18等を設けることもできる。更に、このパラメータと予め入力された値とを比較し、差異が予め設定した値より大きいときアラームを出すようにするとともに、このアラーム情報をパラメータテーブル15で管理するようにしてもよい。」
・「 【図12】
」
3 引用文献3に記載された事項
引用文献3には、「加熱シリンダの選択装着が可能な射出成形機」に関して、概ね次の記載がある。
・「【請求項1】
内径の異なる加熱シリンダを選択的に装着して射出成形することができる射出成形機において、
前記射出成形機のコントローラには、装着可能な複数の種類の加熱シリンダに関する内径あるいは断面積が格納されたテーブルが設けられ、
前記加熱シリンダが取り付けられる射出成形機の本体には所定の識別手段が設けられ、前記加熱シリンダが装着されると、前記識別手段によって前記加熱シリンダの種類が識別され、前記テーブルから該当する内径あるいは断面積が読み出されて前記コントローラに設定されることを特徴とする射出成形機。」
・「【0006】
特許文献1に記載の射出成形機は、成形条件のデータとして樹脂充填量と単位時間当たりの樹脂充填量とを設定するようになっているので、成形条件出しの際には加熱シリンダの内径あるいは断面積を意識する必要がないし、一旦成形条件出しが完了したら内径の異なる加熱シリンダを交換しても、データを変更する必要がない。従って成形条件出しが容易にでき優れている。しかしながら問題点も見受けられる。具体的には、予めオペレータが操作して加熱シリンダの内径あるいは断面積をコントローラに設定しておかなければならない点があげられる。この設定を忘れたり間違っていると、内径や断面積が正しく設定されないことになり、結果的に樹脂充填量と単位時間当たりの樹脂充填量が変化して、射出装置や金型を傷める恐れがある。この問題は、内径の異なる加熱シリンダを適宜選定して取り付けることができる射出成形機の場合に生じやすい。つまり、加熱シリンダの交換だけをして、加熱シリンダの内径や断面積の設定をし忘れてしまう場合がある。
【0007】
本発明は、上記したような問題点を解決した、射出成形機を提供することを目的としており、具体的には、内径の異なる加熱シリンダを適宜選択して装着することができる射出成形機において、加熱シリンダの内径や断面積をオペレータが格別に設定する必要がなく、従って設定忘れや誤設定によって射出装置や金型を傷める恐れがない射出成形機を提供することを目的としている。また、成形条件出しが完了した後に加熱シリンダを交換する場合には、成形条件のデータをオペレータが変更する必要がない射出成形機を提供することも目的としている。」
・「【0011】
以上のように本発明によると、内径の異なる加熱シリンダを選択的に装着して射出成形することができる射出成形機において、射出成形機のコントローラには、装着可能な複数の種類の加熱シリンダに関する内径あるいは断面積が格納されたテーブルが設けられ、加熱シリンダが取り付けられる射出成形機の本体には所定の識別手段が設けられ、加熱シリンダが装着されると、識別手段によって加熱シリンダの種類が認識され、テーブルから該当する内径あるいは断面積が読み出されてコントローラに設定される。従って、加熱シリンダの内径や断面積をオペレータが格別に設定する必要がなく、自動的にコントローラに設定されることになる。そうすると労力がかからないし、設定忘れの恐れもない。そして誤った設定によって射出成形機を運転することがないので、射出装置や金型を傷める恐れがない。また他の発明によると、コントローラに設定されている複数の成形条件のうち、加熱シリンダの内径あるいは断面積に依存している成形条件は、加熱シリンダが装着されてコントローラに内径あるいは断面積が設定されると、自動的に変換されるように構成されているので、所定の加熱シリンダを装着して成形条件出しが完了していれば、その後加熱シリンダを他の種類に交換しても、成形条件は自動的に変換されるので、再度成形条件出しをする必要がないという効果が得られる。」
4 引用文献4に記載された事項
引用文献4には、「ワークの熱圧着装置および熱圧着方法」に関して、概ね次の記載がある。
・「【請求項1】熱圧着ツールを加熱するヒータと、このヒータの温度をPID制御する温度制御部と、複数の異る熱圧着ツールを交換するツール交換手段と、前記熱圧着ツールのそれぞれに固有の温度制御パラメータを記憶する記憶部とを備えたことを特徴とするワークの熱圧着装置。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品などのワークを熱圧着するワークの熱圧着装置および熱圧着方法に関するものである。」
・「【0019】このような加熱プロファイルに則した温度制御を実現するため、温度制御部21でのPID制御において、指令温度を維持するのに最適なPIDパラメータを、熱圧着時の各温度ステップT1~T5ごとにそれぞれ予め設定し、記憶部25に電子部品6の種類および熱圧着ツール12の種類ごとに記憶させておく。ここで熱圧着ツール12を変えた場合にもPIDパラメータを変更するのは、熱圧着ツール12は種類によって形状や大きさが異り、熱圧着ツール12を変えれば圧着ヘッド11からの熱伝導や熱圧着ツール12からの放熱の条件も異ったものとなるからである。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。
引用発明における「射出シリンダ」は、本願発明1における「被温度制御部」に相当し、以下、同様に、「温度検出手段」は「温度検出部」に、「射出シリンダの温度を設定温度に一致するようにPIDフィードバック制御する温度調節器」は「温度を操作する温度操作部」及び「前記温度操作部の操作により前記被温度制御部の温度を制御する温度制御部」に、「PIDパラメータをオートチューニングするPID調整手段」は「該温度制御部の温度制御パラメータの調整部」に、それぞれ、相当する。
したがって、両者は、
「被温度制御部を有する射出成形機において、
該被温度制御部の温度を検出する温度検出部と、
該被温度制御部の温度を操作する温度操作部と、
前記温度操作部の操作により前記被温度制御部の温度を制御する温度制御部と、
該温度制御部の温度制御パラメータの調整部とを有する射出成形機の温度制御装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本願発明1においては、「温度制御部」が、「(前記)温度検出部により検出された温度と目標温度との偏差と、温度制御パラメータと、に基づいて(前記)温度操作部の操作により被温度制御部の温度を制御」しているのに対し、引用発明においては、どのように温度を制御しているのか不明である点。
<相違点2>
本願発明1においては、「被温度制御部の種類を判定する種類判定部」と、「被温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータを格納するパラメータ格納部」を有しているのに対し、引用発明においては、かかる発明特定事項を有していない点。
<相違点3>
本願発明1においては、「(前記)調整部による温度制御パラメータの調整完了後に、(前記)パラメータ格納部に格納されている被温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータから、(前記)種類判定部が判定した被温度制御部の種類に対応して読み出した基準温度制御パラメータと、前記調整部で調整した温度制御パラメータとを比較し、基準温度制御パラメータの値と調整した温度制御パラメータの値との差が異常検出閾値より大きい場合に異常を検出」する「異常検出部」を有しているのに対し、引用発明においては、かかる発明特定事項を有していない点。
(2)判断
事案に鑑みて、まず、相違点2及び3について検討する。
ア 相違点2について
引用文献2には、上記第4 2のとおり、「各補正処理及び制御処理におけるパラメータを記憶、管理するパラメータテーブル15からパラメータを取得」すること及び「このパラメータと予め入力された値とを比較、演算し、該パラメータが最適値に収束するように自動的に制御するオートチューニング回路18等を設けること」が記載されているが、「被温度制御部の種類を判定する」ことや「パラメータ格納部」に「温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータを格納する」ことは記載も示唆もされていない。
また、引用文献3には、上記第4 3のとおり、「前記識別手段によって前記加熱シリンダの種類が識別され、前記テーブルから該当する内径あるいは断面積が読み出されて前記コントローラに設定される」ことによって、「所定の加熱シリンダを装着して成形条件出しが完了していれば、その後加熱シリンダを他の種類に交換しても、成形条件は自動的に変換されるので、再度成形条件出しをする必要がない」という効果を奏する「加熱シリンダの選択装着が可能な射出成形機」が記載されているが、「テーブル」から読み出すものは「内径あるいは断面積」であって、本願発明1のような「温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータ」ではないことから、引用文献3には、「パラメータ格納部」に「温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータを格納する」ことは記載も示唆もされていない。
他方、引用文献4には、上記第4 4のとおり、「温度制御部21でのPID制御において、指令温度を維持するのに最適なPIDパラメータを、熱圧着時の各温度ステップT1~T5ごとにそれぞれ予め設定し、記憶部25に電子部品6の種類および熱圧着ツール12の種類ごとに記憶させておく」という「ワークの熱圧着装置および熱圧着方法」が記載されており、「パラメータ格納部」に「温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータを格納する」ことを示唆する記載があるといえる。
しかし、「ワークの熱圧着」と「射出成形」とでは、具体的な成形内容が全く異なるものであるから、引用文献4に記載された事項を射出成形に関する発明である引用発明に適用する動機付けがあるとはいえない。
したがって、引用発明において、引用文献2ないし4に記載された事項に基づいて、相違点2に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
イ 相違点3について
引用文献2には、上記第4 2のとおり、「パラメータテーブル15からパラメータを取得し、このパラメータと予め入力された値とを比較、演算し、該パラメータが最適値に収束するように自動的に制御する」こと及び「更に、このパラメータと予め入力された値とを比較し、差異が予め設定した値より大きいときアラームを出す」ことが記載されている。
しかし、上記記載中の「予め入力された値」が何を指すのか、引用文献2の他の記載をみても明らかでないし、仮に「予め入力された値」が、本願発明1における「パラメータ格納部に格納されている被温度制御部の種類毎の基準温度制御パラメータ」に相当するとしても、上記記載によれば、「パラメータと予め入力された値とを比較し、差異が予め設定した値より大きいときアラームを出す」のは、「パラメータテーブル15からパラメータを取得し、このパラメータと予め入力された値とを比較、演算し、該パラメータが最適値に収束するように自動的に制御」した後ではなく、同時である。すなわち、本願発明1のように「調整部による温度制御パラメータの調整完了後に」「異常を検出する」ことは記載も示唆もされていない。
また、引用文献3には、上記第4 3のとおり、「所定の加熱シリンダを装着して成形条件出しが完了していれば、その後加熱シリンダを他の種類に交換しても、成形条件は自動的に変換されるので、再度成形条件出しをする必要がない」という「加熱シリンダの選択装着が可能な射出成形機」が記載されているが、本願発明1のように「調整部による温度制御パラメータの調整完了後に」「異常を検出する」ことは記載も示唆もされていない。
さらに、引用文献4には、上記第4 4のとおり、「温度制御部21でのPID制御において、指令温度を維持するのに最適なPIDパラメータを、熱圧着時の各温度ステップT1~T5ごとにそれぞれ予め設定し、記憶部25に電子部品6の種類および熱圧着ツール12の種類ごとに記憶させておく」という「ワークの熱圧着装置および熱圧着方法」が記載されているが、本願発明1のように「調整部による温度制御パラメータの調整完了後に」「異常を検出する」ことは記載も示唆もされていない。
したがって、引用発明において、引用文献2ないし4に記載された事項に基づいて、相違点3に係る発明特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
ウ 効果について
そして、本願発明1は、相違点2及び3に係る発明特定事項を有することにより、「射出成形機に新たにシリンダーを搭載した際や、搭載するシリンダーの種類を変更した際に、不適切な温度制御パラメータを用いて温度制御を行うことにより成形品の不良が発生することを防止することが可能となる。」(本願明細書の【0016】参照。)という、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された事項からは予測し得ない格別顕著な効果を奏するものである。
エ まとめ
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2ないし4について
請求項2ないし4は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、本願発明2ないし4は、本願発明1をさらに限定したものといえる。そして、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由を検討しても、その理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-002977