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特許判定

2017-600049

ベビーキャリア

審判番号
2017-600049
法域
特許
審判種別
判定
出願番号
特願2013-144392外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年10月31日
審決日
2018年02月23日
公報発行日
2018年04月27日
結論
判定(属しない)
当事者
審判長/審判官
分類
P12 .1 -ZA (A47D)
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6130251号の判定請求事件について、次のとおり判定する。

結論

【結 論】 イ号図面及びその説明書に示す「ベビーキャリア」は、特許第6130251号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属しない。

理由

【理 由】 第1 請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書に示す製品(以下「イ号製品」という。)は、特許第6130251号発明の特許請求の範囲の請求項1の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。 第2 手続の経緯及び本件特許発明 1.手続の経緯 平成25年 7月10日 特許出願(特願2013-144392号、パリ条約による優先権主張2012年7月12日、SE) 平成29年 4月21日 特許登録 平成29年10月31日 本件判定請求書の提出 平成30年 1月26日 判定請求答弁書の提出(被請求人) 2.本件特許発明 本件判定請求では、請求人は本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明1」という。)についての判定を求めており、本件特許発明の構成、目的及び効果は、特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて以下のとおりである。 (1)本件特許発明の構成 本件特許発明1を分説すると次のようになる(以下「構成要件(A)」などという。)。 【請求項1】 (A)装着者の両方の肩部の回りに夫々延在すべく適合化されると共に相互に対して接続された各胸部ストラップ(11;11')と、胴部ベルト(12;12')と、前記各胸部ストラップ及び前記胴部ベルトに対して接続されたキャリア袋体(14;14')とを備えるベビーキャリア(1;1';1")であって、 (B)前記キャリア袋体はフロント・ピース(16;16')を備え、該フロント・ピースの下側部分(20;20')は前記胴部ベルトに対して接続されるというベビーキャリア(1;1';1")において、 (C)前記各胸部ストラップ(11;11')間の接続は、第一接続手段(30;30')であって各胸部ストラップ(11;11')のいずれからも着脱不能な一体片の接続ストラップとして形成された第一接続手段(30;30')により達成されるべく適合化され、 前記一体片の接続ストラップ(30;30')は、一体片で形成されると共に長手方向に調節可能である撓曲可能手段であり、 (D)前記一体片の接続ストラップは、夫々のストラップ・ループの側部部分に沿い配置された縁取り部(32')及び該縁取り部に対して嵌合し得る摺動シュー(34')により、夫々の胸部ストラップ(11;11')の長さの少なくとも一部に沿い調節可能に配置されて、前記一体片の接続ストラップのそれぞれの端部は、対応する前記摺動シューに対して確実に取り付けられ、 (E)夫々の胸部ストラップ(11;11')の第2部分(12;112')は、当該ベビーキャリアを装着者の胸部側と背部側との間で移動させるべく該ベビーキャリアが前記装着者の身体の上側部分の回りで回動されるのを許容すべく前記フロント・ピース(16;16')の中央部分(26;26')に対して接続されることから、当該ベビーキャリアの回動の一つの段階の間において、前記一体片の接続ストラップ(30;30')は、前記装着者の一方の肩部(S)上に延在し、且つ、該一体片の接続ストラップは、通常の場合においては各胸部ストラップにより担持される重量を担持することを特徴とする、ベビーキャリア(1;1';1")。 (2)本件特許発明の目的及び効果 本件特許明細書には、「当該ベビーキャリアが装着者の胸部側上に担持されているときに子供を該キャリア内に位置し、その後、子供が該キャリア内に安全に着座しているときに、該キャリアが、簡素であり且つ子供及び装着者に対して安全であるという様式で、装着者自身により背部側へと回動/移動され得る、というベビーキャリアを提供することが望ましかろう。」(段落【0004】)、及び「子供が当該ベビーキャリア内に着座している間に、装着者の胸部側から背部側へ、及び、その逆へと、子供及び装着者の双方に対して安全な様式で該ベビーキャリアを回動/移動することを可能とするベビーキャリアを達成するに在る。」(段落【0005】)と記載されていることから、「子供がベビーキャリア内に着座している間に、装着者の胸部側から背部側へ、及び、その逆へと、子供及び装着者の双方に対して安全な様式で該ベビーキャリアを簡素な構造で回動/移動すること」を目的とし、「子供がベビーキャリア内に着座している間に、装着者の胸部側から背部側へ、及び、その逆へと、子供及び装着者の双方に対して安全な様式で該ベビーキャリアを簡素な構造で回動/移動することを可能とする」という効果を奏するものである。 第3 当事者の主張の概要 1.請求人の主張の概要 イ号図面及びその説明書に示す製品は、本件特許発明1の「構成要件(C)の「一体片」の接続ストラップ」、「構成要件(D)の「縁取り部」に対して嵌合し得る摺動シュー」、及び「構成要件(E)の「接続ストラップは、通常の場合においては各胸部ストラップにより担持される重量を担持する」」を充足しない。その他の構成要件は充足する。 したがって、イ号図面及びその説明書に示す製品は、本件特許発明1の技術的範囲に属さない。 なお、請求人は、均等論について主張していない。 2.被請求人の主張の概要 被請求人は、請求人の主張に対して、何ら主張していない。 答弁の趣旨として、「イ号図面及びその説明書に示す製品に関して、請求人に対して訴訟を提起することを予定している。なお、判定は行政サービスの一種であり、判定の結果に法的拘束力のないことに留意下さい。」との記載がある。 第4 イ号製品 イ号製品は、イ号図面及びその説明書により、以下の事項が看取できる。 1.イ号図面及びその説明書の1枚目下から3行~1行、及び図2、図4(a)より、装着者の両方の肩部の回りに夫々延在すべく適合化されると共に相互に対して接続された各肩ベルト部(40)と、腰ベルト(20)と、前記各肩ベルト部(40)及び前記腰ベルト(20)に対して接続された乳幼児把持部(30)とを備えるベビーキャリアであること。 2.イ号図面及びその説明書の2枚目1行~3行、及び図2、図4(a)より、前記乳幼児把持部(30)は本体部(10)を備え、該本体部(10)の下側部分は前記腰ベルト(20)に対して接続されるというベビーキャリアであること。 3.イ号図面及びその説明書の2枚目4行~14行、及び図2、図3より、前記各肩ベルト部(40)間の接続は、肩ベルト調整部(50)によりなされ、肩ベルト部(40)に配設されたスライドベルト(55、56)のいずれからも着脱不能な接続ストラップとして形成された肩ベルト調整部(50)により達成されるべく適合化されていること。 4.イ号図面及びその説明書の2枚目4行~14行、及び図2、図3、図4(a)(b)より、前記肩ベルト調整部(50)は、連結差込具(53)を取り付けた左肩ベルト調整部(51)、及び連結受具(54)を取り付けた右肩ベルト調整部(52)からなり、連結差込具(53)は連結受具(54)に接続され、左肩ベルト調整部(51)と右肩ベルト調整部(52)との長さが調節可能である撓曲可能手段であること。 5.イ号図面及びその説明書の2枚目4行~14行、及び図2、図3、図4(a)(b)より、前記肩ベルト調整部(50)は、夫々の肩ベルト部(40)の幅広面に沿い配置されたスライドベルト(55、56)及び該スライドベルト(55、56)に取り付けられたバックル(59)により、夫々の肩ベルト部(40)の長さの少なくとも一部に沿い調節可能に配置されて、前記肩ベルト調整部(50)のそれぞれの端部は、対応する前記バックル(59)に対して確実に取り付けられていること。 6.イ号図面及びその説明書の2枚目15行~18行、及び図2、図3より、各肩ベルト部(40)は、左肩に掛ける左肩ベルト部と調節ベルトと、右肩に掛ける右肩ベルト部と調節ベルトとからなり、夫々の肩ベルト部(40)の調節ベルトは、前記本体部(10)の中央部分に対して接続されており、肩ベルト部(40)は、当該ベビーキャリアを装着者の胸部側と背部側との間で移動させるべく前記本体部(10)に対して接続され、当該ベビーキャリアの回動の一つの段階の間において、前記肩ベルト調整部(50)は、前記装着者の一方の肩部上に延在しているベビーキャリアであること。 上記「1.」~「6.」の事項からみて、イ号製品の構成を、本件特許発明1の構成要件の分説と対応するように分説すると、イ号物品は次の構成を具備するものである(以下「構成(a)」などという。)。 (a)装着者の両方の肩部の回りに夫々延在すべく適合化されると共に相互に対して接続された各肩ベルト部(40)と、腰ベルト(20)と、前記各肩ベルト部(40)及び前記腰ベルト(20)に対して接続された乳幼児把持部(30)とを備えるベビーキャリアであって、 (b)前記乳幼児把持部(30)は本体部(10)を備え、該本体部(10)の下側部分は前記腰ベルト(20)に対して接続されるというベビーキャリアにおいて、 (c)前記各肩ベルト部(40)間の接続は、肩ベルト調整部(50)によりなされ、肩ベルト部(40)に配設されたスライドベルト(55、56)のいずれからも着脱不能な接続ストラップとして形成された肩ベルト調整部(50)により達成されるべく適合化され、 前記肩ベルト調整部(50)は、連結差込具(53)を取り付けた左肩ベルト調整部(51)、及び連結受具(54)を取り付けた右肩ベルト調整部(52)からなり、連結差込具(53)は連結受具(54)に接続され、左肩ベルト調整部(51)と右肩ベルト調整部(52)との長さが調節可能である撓曲可能手段であり、 (d)前記肩ベルト調整部(50)は、夫々の肩ベルト部(40)の幅広面に沿い配置されたスライドベルト(55、56)及び該スライドベルト(55、56)に取り付けられた摺動具(59)により、夫々の肩ベルト部(40)の長さの少なくとも一部に沿い調節可能に配置されて、前記肩ベルト調整部(50)のそれぞれの端部は、対応する前記摺動具(59)に対して確実に取り付けられ、 (e)各肩ベルト部(40)は、左肩に掛ける左肩ベルト部と調節ベルトと、右肩に掛ける右肩ベルト部と調節ベルトとからなり、夫々の肩ベルト部(40)の調節ベルトは、前記本体部(10)の中央部分に対して接続されており、肩ベルト部(40)は、当該ベビーキャリアを装着者の胸部側と背部側との間で移動させるべく前記本体部(10)に対して接続され、当該ベビーキャリアの回動の一つの段階の間において、前記肩ベルト調整部(50)は、前記装着者の一方の肩部上に延在しているベビーキャリア。 第5 対比・判断 1.本件特許発明1の各構成要件とイ号製品の各構成との対比・判断 (1)構成要件(A)について イ号製品の「装着者」、「肩部」、「肩ベルト部(40)」、「腰ベルト(20)」、「乳幼児把持部(30)」、及び「ベビーキャリア」は、その構造、機能、作用からみて、本件特許発明1の「装着者」、「肩部」、「胸部ストラップ(11;11')」、「胴部ベルト(12;12')」、「キャリア袋体(14;14')」、及び「ベビーキャリア(1;1';1")」に相当する。 したがって、イ号製品は構成要件(A)を充足する。 (2)構成要件(B)について イ号製品の「本体部(10)」、及び「本体部(10)の下側部分」は、その構造、機能、作用からみて、本件特許発明1の「フロント・ピース(16;16')」、及び「フロント・ピースの下側部分(20;20')」に相当する。 したがって、イ号製品は構成要件(B)を充足する。 (3)構成要件(C)について イ号製品の「肩ベルト調整部(50)」、「接続ストラップ」、及び「撓曲可能手段」は、その構造、機能、作用からみて、本件特許発明1の「『第一接続手段(30;30')』、及び『接続ストラップ(30;30')』」、「接続ストラップ」、及び「撓曲可能手段」に相当する。 また、イ号製品の「肩ベルト調整部(50)」は、左肩ベルト調整部(51)、及び右肩ベルト調整部(52)からなり、左肩ベルト調整部(51)と右肩ベルト調整部(52)との長さが調節可能であるから、「肩ベルト調整部(50)」は、「長手方向に調節可能」といえる。 そして、本件特許発明1は、構成要件(C)に特定されたとおり、「第一接続手段(30;30')」は、「一体片の接続ストラップとして形成された」、及び「一体片で形成される」と特定されている。ここで、「一体片」に関して、本件特許明細書には「ストラップ30'は、一体片で形成されたストラップ30'であり、すなわち、それは、何らかの種類の着脱可能な手段により2つの部分へと分離されなくてもよい。」、「ストラップ30'が、夫々の胸部ストラップ11'から着脱可能ではなく、且つ、2つの部分へと分離可能でもない、ということが相当に重要である。」(段落【0017)】と記載され、また、一般に「一体」とは、一つになって分けられない関係にあること、「片」とは、ひときれ、きれはしを意味することから、「一体片」とは、一つになって分けられないひときれと解される。 一方、イ号製品は、構成(c)に特定されたとおり、肩ベルト調整部(50)は、連結差込具(53)を取り付けた左肩ベルト調整部(51)、及び連結受具(54)を取り付けた右肩ベルト調整部(52)からなり、連結差込具(53)は連結受具(54)に接続されるものであって、つまり肩ベルト調整部(50)を構成する左肩ベルト調整部(51)、及び右肩ベルト調整部(52)は、それぞれに取り付けられた連結差込具(53)と連結受具(54)とにより、着脱自在となっているから、「一体片」とはいえない。 したがって、イ号製品は構成要件(C)を充足しない。 (4)構成要件(D)について イ号製品の「摺動具(59)」は、その構造、機能、作用からみて、本件特許発明1の「摺動シュー(34')」に相当する。 本件特許発明1の「縁取り部」とは、本件特許明細書をみても具体的な記載や示唆はなく、また、一般に「縁取り」とは、物のへりに彩りをしたり、細工を施したりすることから、「縁取り部」とは、物のへりに細工を施したりする部位と解される。 一方、イ号製品の「肩ベルト部(40)」は、幅広面を備えるベルトであるから、当然縁は存在するが、その縁に細工を施しているものではない。してみると、イ号製品は、「縁取り部」を備えるものではない。 また、本件特許発明1の「胸部ストラップ(11;11')」は、構成要件(A)に特定されているように、装着者の肩部の回りに延在し、キャリア袋体(14;14')に接続されたものであり、そして、構成要件(D)に特定されているように、ストラップ・ループの側部部分に沿い配置された縁取り部(32')に対して嵌合し得る摺動シュー(34')により、胸部ストラップ(11;11')の長さの少なくとも一部に沿い調節可能に配置されているから、「ストラップ・ループ」とは、「胸部ストラップ(11;11')」により形成される輪、環であると解される。 してみると、イ号製品の「肩ベルト部(40)」は、装着者の肩部の回りに延在し、乳幼児把持部(30)に接続されたものであるから、「ストラップ・ループ」を形成しているといえる。 ところで、本件特許発明1は、構成要件(D)に特定されたとおり、「一体片の接続ストラップ」、及び「(ストラップ・ループの側部部分に沿い配置された)縁取り部に対して嵌合し得る摺動シュー(34')」と特定されている。 一方、イ号製品は、上記(3)のとおり、「肩ベルト調整部(50)」は、「一体片」とはいえないし、また上記のとおり、「肩ベルト部(40)」は、「縁取り部」を備えていないし、そして構成(c)に特定されたとおり、「摺動具(59)」は、肩ベルト部(40)の幅広面に沿い配置されたスライドベルト(55、56)に取り付けられたものであって、肩ベルト部(40)の縁取り部に対して取り付けられた(嵌合し得る)ものではない。 したがって、イ号製品は構成要件(D)を充足しない。 (5)構成要件(E)について イ号製品の「調節ベルト」は、その構造、機能、作用からみて、本件特許発明1の「(胸部ストラップ(11;11')の)第2部分(12;112')」に相当する。 また、イ号製品は、構成(c)に特定されたとおり、夫々の肩ベルト部(40)の調節ベルトは、前記本体部(10)の中央部分に対して接続されており、肩ベルト部(40)は、当該ベビーキャリアを装着者の胸部側と背部側との間で移動させるべく前記本体部(10)に対して接続されているから、「夫々の肩ベルト部(40)の調節ベルトは、ベビーキャリアを装着者の胸部側と背部側との間で移動させるべく該ベビーキャリアが前記装着者の身体の上側部分の回りで回動されるのを許容すべく前記本体部(10)の中央部分に対して接続される」といえる。 イ号製品は、ベビーキャリアを装着者の胸部側、または背部側に配置した通常の場合、「肩ベルト部(40)」は、構成(a)に特定されているように、装着者の肩部の回りに延在し、本体部(10)に接続されているから、ベビーキャリアにかかる重量は、各肩ベルト部(40)により担持されることは明らかであり、当該ベビーキャリアを装着者の胸部側と背部側との間で移動させる場合、当該ベビーキャリアの回動の一つの段階の間において、前記肩ベルト調整部(50)のみが、前記装着者の一方の肩部上に延在していることになり、この状態では、ベビーキャリアにかかる重量は、前記肩ベルト調整部(50)により担持されることになる。してみると、イ号製品は、「ベビーキャリアの回動の一つの段階の間において、肩ベルト調整部(50)は、装着者の一方の肩部上に延在し、且つ、該肩ベルト調整部(50)は、通常の場合においては各肩ベルト部(40)により担持される重量を担持する」といえる。 しかしながら、イ号製品は、上記(3)のとおり、「肩ベルト調整部(50)」は、「一体片」とはいえない。 したがって、イ号製品は構成要件(E)を充足しない。 (6)小括 上記(1)~(5)に示すように、イ号物件は本件特許発明1の構成要件(A)、及び(B)は充足するものの、本件特許発明1の構成要件(C)、(D)、及び(E)を充足するものとすることはできない。 したがって、イ号製品は、本件特許発明1の技術的範囲に属さない。 第5 むすび よって、イ号製品は、本件特許発明1の技術的範囲に属さない。 以上のとおりであるから、結論のとおり判定する。

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2017-600049

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