特許拒絶査定不服審判
2017-013620
小道具
- 審判番号
- 2017-013620
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-172346外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年09月13日
- 審決日
- 2018年06月05日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社エース・マーチャンダイズ
- 【請求人代理人】高松 宏行
- 分類
- P18 .113-WY (A41D) / P18 .121-WY (A41D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-172346「小道具」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月 8日出願公開、特開2018- 35483、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月3日の出願であって、平成29年4月13日付けで手続補正がされ、同年6月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年9月13日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成29年6月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(新規性)この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<刊行物>
吉田照美 飛べ!サルバドール 第740回 2月1日、[online]、株式会社文化放送、2016年 2月 1日、吉田照美 飛べ!サルバドール、[2017年2月2日検索]、URL:http://www.joqr.co.jp/saru/2016/02/post-1425.html
第3 平成29年9月13日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)から下記(2)へと補正することを含むものである。
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
プルオーバー型の上衣の前身頃の裏地に人物の顔をかたどった像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられ、前記前身頃の表地に、前記像が有する目の位置を示す目印が設けられ、
前記目印は前記像の目の並び方向に延びており、前記目印の両端はそれぞれ前記像の輪郭と対応する位置にあることを特徴とする小道具。
【請求項2】
前記像は絵又は写真から成ることを特徴とする請求項1に記載の小道具。
【請求項3】
前記上衣がTシャツ、トレーナー、スウェット及びセーターのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の小道具。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
プルオーバー型の上衣の前身頃の裏地に人物の顔をかたどった像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられ、前記前身頃の表地に、前記像が有する目の位置を示す目印が設けられ、
前記目印は前記像の目の並び方向に延び、且つ前記像の目の並びの位置と合致した位置に設けられており、前記目印の両端はそれぞれ前記像の輪郭と対応する位置にあることを特徴とする小道具。
【請求項2】
前記像は絵又は写真から成ることを特徴とする請求項1に記載の小道具。
【請求項3】
前記上衣がTシャツ、トレーナー、スウェット及びセーターのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の小道具。」(下線は平成29年9月13日付けの手続補正書のとおり。)
2 補正の適否
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項乃至第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1乃至3に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
本願請求項1乃至3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明3」という。)は、平成29年9月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項3に記載された事項により特定される、上記「第3 1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」に記載したとおりのものと認める。
第5 引用刊行物等
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の2016年2月1日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献(吉田照美 飛べ!サルバドール 第740回 2月1日、[online]、株式会社文化放送、2016年 2月 1日、吉田照美 飛べ!サルバドール、[2017年2月2日検索]、URL:http://www.joqr.co.jp/saru/2016/02/post-1425.html)には、画像とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)2番目の画像から、左下の人物のTシャツが、前身頃の表地に、6個の星印が設けられ、6個の星印は水平方向に延びているTシャツであることが看取できる。
(2)3番目の画像から、Tシャツの前身頃の裏地に人物の顔をかたどった像が上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられているTシャツが看取できる。
(3)3番目の画像の直上には「秋山さんと言えば、体ものまね、梅宮辰夫さんのお面は忘れてしまわれましたが…」と、3番目の画像の直下には「Tシャツの裏面に!?」と記載されていることから、3番目の画像の秋山さんが着ているTシャツは、芸の小道具といえる。
上記(1)乃至(3)の記載から、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「Tシャツの前身頃の表地に、6個の星印が設けられ、6個の星印は水平方向に延び、
前身頃の裏地に人物の顔をかたどった像がTシャツの上下方向に対して倒立状態で設けられている、芸の小道具。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
そこで、本願発明1と引用発明とを対比すると、
ア 後者の「Tシャツ」、「前身頃の裏地」、「『Tシャツの上下方向に対して倒立状態で設けられている』『人物の顔をかたどった像』」、「前身頃の表地」、「6個の星印」、及び「芸の小道具」は、それぞれ、前者の「プルオーバー型の上衣」、「前身頃の裏地」、「『上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられ』た『人物の顔をかたどった像』」、「前身頃の表地」、「目印」、及び「小道具」に相当する。
イ 後者の「6個の星印」は、「前身頃の表地に」、「水平方向に延び」ているものであるから、前者の「目印」と、「並び方向に延び」ている点で共通する。
したがって、両者は、
「プルオーバー型の上衣の前身頃の裏地に人物の顔をかたどった像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられ、前記前身頃の表地に、目印が設けられ、
前記目印は並び方向に延びている小道具。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明1が、「前記像が有する目の位置を示す」目印が設けられ、前記目印は「前記像の目の」並び方向に延び、「前記像の目の並びの位置と合致した位置に設けられており、前記目印の両端はそれぞれ前記像の輪郭と対応する位置にある」小道具であるのに対し、引用発明は、そのようなものでない点。
(2)新規性についての判断
引用発明は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を具備していない。
したがって、本願発明1が、引用発明であるとすることはできない。
(3)進歩性についての判断(相違点についての判断)
引用文献に、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を示唆する記載はない。
また、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項を設計的事項といえる理由もない。
そして、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項により、「本実施の形態における小道具1では、プルオーバー型の上衣10の前身頃裏地11Bに人物の顔をかたどった絵又は写真から成る正面像21が上衣10の上下方向に対して倒立状態で設けられるとともに、前身頃表地11Aに、正面像21が有する目21Eの位置を示す目印Mkが設けられており、使用者30が、目印Mkを自分の目に合わせるように裾部11sを引き上げて左右の腋36,36を露出させる動作(上衣10を脱ぐ動作)を行うと、上衣10の前身頃11が裏返った状態で使用者30の頭部31の前方に位置し、使用者30の顔の前に、使用者30とは別人の顔等の正面像21が現れる。このため観衆は、使用者30の顔が突然他人の顔に変化したことに対して興趣を覚えるうえ、上衣10を脱ぐという行為から顔の変化が生じることにも意外性を感じて更なる興趣を覚える。このように本実施の形態における小道具1によれば、自分の顔を瞬時に別人の顔に変えてみせるにおいて、観衆の興趣をより一層高めることができる。」(【0019】参照。)という作用効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
2 本願発明2、及び3について
本願発明2、及び3は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、上記「1 (2)」と同様の理由により、本願発明2、及び3は、引用発明であるとすることはできない。また、上記「1 (3)」と同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
第7 原査定について
本願発明1は、上記「第6 1 (2)」、及び「第6 1 (3)」のとおり、引用発明であるとすることはできないし、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
本願発明2、及び3は、本願発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであり、上記「第6 1 (2)」、及び「第6 1 (3)」と同様の理由により、引用発明であるとすることはできないし、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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