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意匠拒絶査定不服審判

2017-010221

電線固定具用パッキン

審判番号
2017-010221
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2016-021894外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年07月07日
審決日
2017年11月14日
公報発行日
2018年01月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .4 -WY (H2-4)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法9条1号
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第9条第1項、意匠法第9条第1号
データ出所
審決公報(SGML)

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意願2016- 21894「電線固定具用パッキン」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 本願意匠 本願は,2016年(平成28年)10月6日の意匠登録出願であって, その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電線固定具用パッキン」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は意匠法第9条第1項に規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,2016年(平成28年)6月10日に出願され,その後,2017年(平成29年)2月24日に設定登録された,意願2016-12471号(意匠登録第1572513号)の意匠(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,意匠に係る物品を「鳥害防止具用の電線保持スペーサー」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載のとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠は,意匠に係る物品が「電線固定具用パッキン」であって,願書の意匠に係る物品の説明の記載によれば,「鳥の電線への飛来を防止するためにワイヤなどの索条を電線に沿って張架するための電線固定具に用いられる電線固定具用パッキンである」のに対し,引用意匠の意匠に係る物品は「鳥害防止具用の電線保持スペーサー」であって,願書の意匠に係る物品の説明の記載によれば,「電線の断面形状に関わらず電線を取り付けることのできる鳥害防止具用の電線保持スペーサー」であり,意匠に係る物品の表記は異なるが,いずれも,電線固定具に取り付けられ,電線の固定又は保持のために用いられる部品であるから,本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,共通する。 (2)両意匠の形態 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。(以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。) ア.共通点 基本的構成態様として, (ア)全体を,左側面視,略く字状に屈曲した略横長長方形板の上下端部中央をそれぞれ略矩形状に延出して,その根元近くを背面側に折り曲げて突出片とし,背面部中央に略円柱形状の突起を1つ設け,左右端部近傍に中央部の突起より高さの低い側面視,略矩形状の突起をそれぞれ1つずつ設けたものである点。 具体的な態様として, (イ)左側面視,略く字状に屈曲した略横長長方形板の態様について,屈曲角度がほぼ同じである点。 イ.相違点 具体的な態様として, (A)本願意匠は,略横長長方形板の正面及び左右側面全体に横向き細幅の突条を上下に等間隔に多数形成しているのに対し,引用意匠は,全体が平坦面である点, (B)全体の稜部の態様について,本願意匠は,全体を浅く面取りしているのに対し,引用意匠は,稜部に面取りは施されていない点, (C)突出片の折曲部の態様について,本願意匠は,湾曲状に折り曲げているのに対し,引用意匠は,鋭角に折り曲げている点, (D)背面部中央の突起の態様について,本願意匠は,略円柱形状の先端縁部を弧状に面取りし先端部中央に円形孔を穿設したものであるのに対し,引用意匠は,略円柱形状の先端縁部をテーパー状に面取りし,その下部に略円環状の突条を形成したものである点, (E)背面部の左右端部近傍の突起の態様について,本願意匠は,背面視が略コ字状の突起を,凹部を正対して配置したものであるのに対し,引用意匠は,略横長長方形板状の突起を,板面を正対して配置したものである点。 2.類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,形態については,以下のとおりである。 (1)共通点の評価 当該物品が使用される電線固定具は,両意匠の願書に添付した図面(使用状態を示す参考図)に表されるとおり,その形態はほぼ共通したものであるところ,共通点(ア)の態様は,電線固定具の下側の固定部に密着して取り付けるため,略横長長方形板の縦横の寸法や屈曲角度は電線固定具の形状に依拠したものであり,また,突出片の態様についても,上記固定部を2つの突出片で挟み込んで本物品の装着位置がずれないよう保持するため,機能上必然ともいえるものであり,さらに,背面部の態様についても,中央部の略円柱形状の突起を上記固定部に挿通することによって本物品の取付位置を定め,左右端部近傍の突起が上記の突出片と協働して位置ずれを起こさないよう保持するものであるから,これまた機能上の必然性が高いものといわざるを得ず,これらは両意匠の物品特性から生じる形態がもたらす共通点に過ぎないものであるから,共通点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。 また,具体的な態様としてあげた共通点(イ)の態様についても,上記固定部の態様にあわせて,隙間無く冠着するために角度を合わせて折り曲げたものであるから,共通点(ア)と同様,電線固定具の形状に依拠したものであって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものである。 (2)相違点の評価 相違点(A)の態様については,正面部及び左右側面部に横向き細幅の突条を上下に等間隔に多数形成したものである本願意匠の態様は,電線に接する面のみならず左右側面部にも突条を施したものであるから,需要者が使用する際,注目するものであり,全体が平坦面である引用意匠と比較すると,この相違点は,視覚的に大きく異なる印象を与えるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 次に,相違点(B)及び相違点(C)の態様については,全体を浅く面取りし,突出片の折曲部を湾曲状に折り曲げたものとした本願意匠の態様は,需要者に,全体として柔らかな印象を与えるのに対し,突出片の折曲部を鋭角に折り曲げ,面取りの無い引用意匠の態様は,角張った直線的な印象を与えるものであり,この相違点は,視覚的に異なる印象を与えるから,両意匠の類否判断に影響を及ぼすものである。 また,相違点(D)の態様については,共通点(ア)のとおり,ともに略円柱形状としたものであるが,より詳細に観察すると,両意匠は,先端縁部の態様,先端部中央に穿設された円形孔の有無,略円環状の突条の有無において明確に相違しており,この相違は,着脱する際に需要者が注目する部位であるから,無視することができないものであり,両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすものである。 さらに,相違点(E)の態様については,背面視形状を略コ字状の突起とした本願意匠の態様と,略横長長方形板状とした引用意匠の態様は,明らかに異なるものであり,背面部の突起全体としてみると,相違点(D)の突起の態様と相まって,需要者に異なる印象を与えるものであるから,両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすものである。 以上のとおり,相違点(A)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点(B)ないし(E)も両意匠の類否判断に影響を及ぼすものであるから,相違点全体が相まって両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 (3)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第9条第1号に規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないものとはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

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2017-010221

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