特許拒絶査定不服審判
2017-007612
窒素代謝微生物の活性化方法
- 審判番号
- 2017-007612
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-170041外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年05月29日
- 審決日
- 2018年08月13日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】一般財団法人電力中央研究所
- 【請求人代理人】村瀬 一美
- 分類
- P18 .113-WY (C12N) / P18 .121-WY (C12N) / P18 .536-WY (C12N) / P18 .537-WY (C12N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-170041「窒素代謝微生物の活性化方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月10日出願公開、特開2015-221051、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成22年9月1日を出願日とする特許出願である特願2010-195395号の一部を、平成27年8月31日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 6月 2日付け:拒絶理由通知書
平成28年 7月22日 :意見書の提出
平成28年 9月 9日付け:拒絶理由通知書
平成28年10月 5日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 2月24日付け:拒絶査定(原査定)
平成29年 5月29日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成29年 7月 4日 :手続補正書(方式)の提出
平成30年 5月 8日付け:拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知 」という。)
平成30年 7月 6日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成29年2月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項9に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である下記の引用文献1、2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2003-181456号公報
2.特開2008-054646号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
(理由1(A))
本願請求項1-4、9に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である下記の引用文献3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
(理由1(B))
本願請求項1-4、9に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である下記の引用文献4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
(理由2)
本願請求項1-9に係る発明は、本願出願前に頒布された刊行物である下記の引用文献1-5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(理由3)
本願請求項1-9に係る発明は、本願実施例で示された組み合わせ以外の窒素代謝微生物、酸化還元物質、電位の組み合わせによる窒素代謝微生物の活性化方法をも包含すると認められるところ、発明の詳細な説明には、実施例で示された条件以外に、どのような微生物に対して、どの酸化還元物質を用い、どの程度の電位を印可すれば窒素代謝微生物を活性化できるかについて具体的な記載はなく、本願出願時の技術常識を考慮しても実施例で示された条件以外の組み合わせを当業者が理解できるとは認められないため、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が本願請求項1-9に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
(理由4)
本願請求項1-9に係る発明は、窒素代謝微生物を選択的に且つ高濃度に処理槽等に存在させて機能させることができる窒素代謝微生物の活性化方法を提供することを課題とするものであるところ、発明の詳細な説明には、実施例で示された条件以外に、どのような微生物に対して、どの酸化還元物質を用い、どの程度の電位を印可すれば、前記課題を解決できるかについて具体的な記載はなく、本願出願時の技術常識を考慮しても、実施例で示された条件以外の組み合わせであって前記課題を解決できる微生物、酸化還元物質、電位の組み合わせを当業者が理解できるとは認められないため、本願請求項1-9に係る発明は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。
引用文献等一覧
1.特開2003-181456号公報(拒絶査定時の引用文献1)
2.特開2008-54646号公報(拒絶査定時の引用文献2)
3.特開2001-103960号公報
4.特開2006-55134号公報
5.佐藤宏、松本伯夫、電気による微生物の制御(その13)-環境微生物の菌叢に与える電子メディエータと酸化還元電位の効果-、電力中央研究所報告、2009.07.発行
第4 本願発明
本願の請求項1-7に係る発明は、平成30年7月6日提出の手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定されるものと認めるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
窒素代謝微生物としてのブルクホルデリア(Burkholderia)属の微生物と前記窒素代謝微生物の炭素源となる有機物とを含む培養液に対して、酸化還元物質としてアントラキノン2,6-ジスルホン酸を添加し、前記培養液に電極を浸して銀・塩化銀電極電位基準で+0.6V~+1.0Vの電位を印加しながら前記窒素代謝微生物を培養することを特徴とする窒素代謝微生物の活性化方法。」
第5 引用文献(下線は当審にて付した。)
1.引用文献1
当審拒絶理由の引用文献1には、以下の事項が記載されている。
(1-1)「【請求項1】硝酸、亜硝酸を含む廃水に、酸化還元が可能な人工的化学物質(メディエータ)及び脱窒菌を加え、電気化学的に還元したメディエータの還元力を用いて脱窒反応を行い、硝酸、亜硝酸を還元処理する生物電気化学的廃水処理方法。
【請求項2】隔膜により隔離された陰極槽に、硝酸、亜硝酸を含む廃水とメディエータと脱窒菌を含む陰極溶液を入れ、陽極槽に陽極溶液を入れ、陰極と陽極に電流を流すことにより、硝酸、亜硝酸を還元処理する請求項1に記載した生物電気化学的廃水処理方法。」
(1-2)「【0020】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。陰極溶液槽、陽極溶液槽ともに15 mlの容積を持った電気化学セル中に、陰極溶液として60 ppm-Nの硝酸イオンまたは亜硝酸イオン、120ppmの酢酸または0.5mMの2-hydroxy-1,4-naphthoquinone(HNQ)、そしてPseudomonas denitrificans(4×1010 cells)を50 mMのリン酸緩衝液に懸濁・溶解した10 mlの溶液を満たし、陽極溶液として同様のリン酸緩衝液10 mlを供給した。陰極として炭素繊維電極、陽極として白金電極を用いた。電気化学セルを30℃に一定になった恒温槽に入れ、窒素ガスを用いて陰極溶液を脱気しながら、Ag/AgCl参照電極に対して-0.7 Vの電位を陰極に印可した。陰極溶液中の硝酸、亜硝酸の濃度をHPLCを用いて測定した。」
2.引用文献2
当審拒絶理由の引用文献2には、以下の事項が記載されている。
(2-1)「【請求項1】
活性制御対象微生物を含む培養液に電極を浸漬し、この電極に電位を印加して前記培養液の酸化還元電位を前記活性制御対象微生物の至適範囲に制御し、前記活性制御対象微生物を選択的に活性化することを特徴とする微生物の活性制御方法。」
3.引用文献3
当審拒絶理由の引用文献3には、以下の事項が記載されている。
(3-1)「【請求項1】 チオバチラス属、シュードモナス属およびエセリチア属からなる群から選択される細菌を水素(H2 )および第二鉄イオン(Fe3+)を含有する培地中で嫌気的環境において培養すること、および該培養により生じる第一鉄イオン(Fe2+)を電気化学的に第二鉄イオン(Fe3+)に再生することを特徴とする嫌気的環境における細菌の電気培養方法。
・・・
【請求項3】 培養により生じた化学種の電気化学的な再生が培地の定電位電解により行われる請求項1または2記載の嫌気的環境における細菌の電気培養方法。」
(3-2)「【0007】本発明において使用される培地は、上記の電子供与体(H2 )および電子受容体(Fe3+)、さらには増殖に必要な炭素源、例えば二酸化炭素(CO2 )などを含有していれば、その他の成分は特に制限されず、培養する細菌の増殖に必要であり、かつ上記電子供与体・電子受容体の酸化・還元を阻害するなどの悪影響を与えないものであれば、含有し得ることはいうまでもない。」
4.引用文献4
当審拒絶理由の引用文献4には、以下の事項が記載されている。
(4-1)「【請求項1】
培養対象微生物が還元活性を有し且つ耐性のある物質を溶解させた培養液中で前記培養対象微生物を選択的に集積培養する際、前記培養対象微生物によって還元された前記物質を前記培養液中に浸した電極に電位を与えることで酸化反応を生じさせて再生しながら培養を行うことを特徴とする微生物の集積培養方法。
【請求項2】
前記培養液には有機物が含まれており、前記培養対象微生物は前記有機物を利用した発酵の過程で前記物質を還元することを特徴とする請求項1記載の微生物の集積培養方法。
・・・
【請求項5】
前記培養対象微生物はクロム還元菌であり、前記物質は六価クロムであり、前記クロム還元菌によって還元された三価クロムを六価クロムに再生しながら培養を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の微生物の集積培養方法。」
(4-2)「【0030】
クロム還元菌1としては、例えば表1に掲げるものがある。即ち、例えばShwanella、Pseudomonas、Sulfate reducing bacteria、Arthrobacter、Bacillus、Aerococcus、Micrococcus、Aeromonas、Thermoanaerobacter、Cellulomonas、Geobacter、Streptomyces、Escherichia、Enterobacterである。ただし、これらのクロム還元菌1に限るものではない。」
(4-3)「【実施例1】
【0039】
本発明により、クロム還元菌1を良好に培養できることを確認するための実験を行った。・・・
【0044】
陽極8に+1.0Vの電位を与えながら2週間にわたり培養を行った。その結果を図3に示す。2週間の培養でクロム還元菌1の濃度が初期状態の約3倍に増加したことを確認できた。本発明によってクロム還元菌1を培養できることを確認できた。なお、クロム還元菌1の数は、光学顕微鏡観察による菌数カウントによって計測した。」
5.引用文献5
当審拒絶理由の引用文献5には、以下の事項が記載されている。
(5-1)「これらのことから、電子メディエータを使用し酸化還元電位の制御を行う電気培養技術においては、電子メディエータとする物質も環境微生物の増殖や菌叢を大きく左右する要因であることが明確になり、電気培養技術は、電子メディエータと酸化還元電位の2つの要因により、微生物の増殖および菌叢を制御できる微生物培養技術として利用できる可能性が高いことが示された。」(第17頁左欄第10行~第18行)
第6 当審拒絶理由の理由1(A)について
1.引用発明
第5(3-1)、(3-2)に摘記した引用文献3の記載からみて、引用文献3には、次の発明が記載されていると認められる。
「シュードモナス属細菌を水素(H2 )、第二鉄イオン(Fe3+)及び炭素源を含有する培地中で嫌気的環境において培養すること、および該培養により生じる第一鉄イオン(Fe2+)を電気化学的に第二鉄イオン(Fe3+)に定電位電解により再生する嫌気的環境における細菌の電気培養方法。」
2.対比
本願明細書【0029】には「本発明では、窒素代謝微生物2として、亜硝酸還元能を有する亜硝酸還元微生物2a及び亜硝酸酸化能を有する亜硝酸酸化微生物2bの少なくともいずれか一方を培養液4に含ませる」と記載され、本願明細書【0030】には「亜硝酸還元能を有する微生物2aは、亜硝酸イオンを還元する能力を有する微生物であれば特に限定されるものではないが、亜硝酸イオンを窒素ガスに還元(脱窒)する能力を有する微生物が特に好適であり、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属、アリシクリフィルス(Alicycliphilus)属及びティシエレラ(Tissierella)属の微生物を用いることが好適である」と記載されていることから、引用文献3に記載された発明における「シュードモナス属細菌」は、本願発明の「窒素代謝微生物」に相当する。
また、本願明細書【0010】には、「活性化(生育促進、さらには機能向上)」と記載されていることからみて、本願発明における微生物の活性化は微生物の生育促進を含むと認められるところ、引用文献3に記載された発明は「培養方法」であるから、微生物の成育は促進されていると考えられるので、微生物の活性化方法に相当すると認められる。
よって、本願発明と引用文献3に記載された発明を対比すると、両者の一致点と相違点は次のとおりである。
【一致点】
「窒素代謝微生物と前記窒素代謝微生物の炭素源を含む培養液に対して、酸化還元物質を添加し、電位を印加しながら前記窒素代謝微生物を培養することを特徴とする窒素代謝微生物の活性化方法。」
【相違点1】
前者は、窒素代謝微生物としての「ブルクホルデリア(Burkholderia)属の微生物」を用いているのに対して、後者は、「シュードモナス属細菌」を用いている点。
【相違点2】
前者は、酸化還元物質として「アントラキノン2,6-ジスルホン酸」を用いているのに対して、後者は「鉄イオン」を用いている点。
【相違点3】
前者は、「+0.6V~+1.0V」の電位を印加しているのに対して、後者は印可する電位を特定していない点。
3.判断
本願発明と引用文献3に記載された発明は、上記2.のとおりの相違点を有するので、本願発明は、引用文献3に記載された発明ではなく、同様の理由により本願発明を引用する本願請求項2-7に係る発明も引用文献3に記載された発明ではない。
第7 当審拒絶理由の理由1(B)について
1.引用発明
第5(4-1)~(4-3)に摘記した引用文献4の記載からみて、引用文献4には、次の発明が記載されていると認められる。
「Pseudomonasが六価クロムを溶解させた有機物を含む培養液中で前記Pseudomonasを選択的に集積培養する際、前記Pseudomonasによって還元された前記物質を前記培養液中に浸した電極に+1.0Vの電位を与えることで酸化反応を生じさせて再生しながら培養を行うことを特徴とする微生物の集積培養方法。」
2.対比
第6の2.と同様の理由により、引用文献4に記載された発明における「Pseudomonas」は、本願発明の「窒素代謝微生物」に相当し、引用文献4に記載された発明は、微生物の活性化方法に相当すると認められる。
よって、本願発明と引用文献4に記載された発明を対比すると、両者の一致点と相違点は次のとおりである。
【一致点】
「窒素代謝微生物と前記窒素代謝微生物の炭素源を含む培養液に対して、酸化還元物質を添加し、+0.6V~+1.0Vの電位を印加しながら前記窒素代謝微生物を培養することを特徴とする窒素代謝微生物の活性化方法。」
【相違点1】
前者は、窒素代謝微生物としての「ブルクホルデリア(Burkholderia)属の微生物」を用いているのに対して、後者は、「Pseudomonas」を用いている点。
【相違点2】
前者は、酸化還元物質として「アントラキノン2,6-ジスルホン酸」を用いているのに対して、後者は「六価クロム」を用いている点。
3.判断
本願発明と引用文献4に記載された発明は、上記2.のとおりの相違点を有するので、本願発明は、引用文献4に記載された発明ではなく、同様の理由により本願発明を引用する本願請求項2-7に係る発明も引用文献4に記載された発明ではない。
第8 当審拒絶理由の理由2について
1.引用発明
第5の(1-1)、(1-2)に摘記した引用文献1の記載からみて、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。
「硝酸、亜硝酸を含む廃水に、2-hydroxy-1,4-naphthoquinone(HNQ)及びPseudomonas denitrificansを加え、電気化学的に還元したHNQの還元力を用いて脱窒反応を行い、硝酸、亜硝酸を還元処理する生物電気化学的廃水処理方法であって、隔膜により隔離された陰極槽に、硝酸、亜硝酸を含む廃水とHNQとPseudomonas denitrificansを含む陰極溶液を入れ、陽極槽に陽極溶液を入れ、-0.7 Vの電位を陰極に印可して陰極と陽極に電流を流すことにより、硝酸、亜硝酸を還元処理する生物電気化学的廃水処理方法。」
2.対比
引用文献1に記載された発明の「Pseudomonas denitrificans」は、硝酸、亜硝酸を還元するものであるから、本願発明の「窒素代謝微生物」に相当する。
よって、本願発明と引用文献1に記載された発明を対比すると、両者の一致点と相違点は次のとおりである。
【一致点】
「窒素代謝微生物を含む培養液に対して、酸化還元物質を添加し、電位を印加しながら前記窒素代謝微生物を培養することを含む方法。」
【相違点1】
前者は、窒素代謝微生物としての「ブルクホルデリア(Burkholderia)属の微生物」を用いているのに対して、後者は、「Pseudomonas denitrificans」を用いている点。
【相違点2】
前者は、培養液に「炭素源となる有機物」を含むのに対して、後者は、その旨特定されていない点。
【相違点3】
前者は、酸化還元物質として「アントラキノン2,6-ジスルホン酸」を用いているのに対して、後者は「2-hydroxy-1,4-naphthoquinone(HNQ)」を用いている点。
【相違点4】
前者は、「+0.6V~+1.0V」の電位を印加しているのに対して、後者は、「-0.7V」の電位を印可している点。
【相違点5】
前者は、微生物の「活性化方法」であるのに対して、後者において、微生物が活性化したか否かは示されていない点。
3.判断
上記相違点1、3について検討すると、ブルクホルデリア属の微生物を、アントラキノン2,6-ジスルホン酸を含む培養液において、電位を印可しながら培養することは引用文献1-5には記載されておらず、本願出願前の周知技術であるとはいえない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明は、引用文献1-5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、同様の理由により本願発明を引用する本願請求項2-7に係る発明も引用文献1-5に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第9 当審拒絶理由の理由3について
本願明細書の実施例においては、ブルクホルデリア属の微生物を含む培養液に対して、酸化還元物質としてアントラキノン2,6-ジスルホン酸を添加し、+0.6Vの電位を印可しながら培養することで、ブルクホルデリア属の微生物が活性化することが示されており、本願明細書【0043】の記載などから、電位が+0.6V~+1.0Vであれば当該微生物は活性化するものと、当業者は理解できる。
よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が本願請求項1-7に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないとはいえない。
第10 当審拒絶理由の理由4について
上記第9で述べた理由と同様の理由により、本願請求項1-7に係る発明は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであるとはいえない。
第11 原査定について
平成30年7月6日に提出された手続補正書により、請求項1は、窒素代謝微生物が「ブルクホルデリア(Burkholderia)属の微生物」に限定され、酸化還元物質が「アントラキノン2,6-ジスルホン酸」に限定され、印可する電位が「+0.6V~+1.0V」に限定されたところ、上記第8で述べたとおり、ブルクホルデリア属の微生物を、アントラキノン2,6-ジスルホン酸を含む培養液において、電位を印可しながら培養することは引用文献1-5には記載されておらず、本願出願前の周知技術であるとはいえないから、本願発明は、引用文献1、2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第12 むすび
以上のとおり、当審が通知した拒絶理由や原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-007612