特許拒絶査定不服審判
2017-004903
活動量処理装置、活動量処理方法、及び、活動量処理プログラム
- 審判番号
- 2017-004903
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-148716外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月06日
- 審決日
- 2018年07月17日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-148716「活動量処理装置、活動量処理方法、及び、活動量処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 2月 1日出願公開、特開2018- 15316、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年7月28日の出願であって、同年9月26日付けで拒絶理由が通知され、同年12月1日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月20日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)されたところ、平成29年4月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において平成30年4月3日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年6月11日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年12月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.THE JAWBONE BLOG,[online],2014年11月 5日アーカイブ,[2016年9月26日検索],インターネット:<URL,https://web.archive.org/web/20141105174412/https://jawbone.com/blog/up3-wearable-heart-rate-monitor/>
B.登録実用新案第3159276号公報
C.特開2013-208287号公報(周知技術を示す文献)
D.特開2005-144042号公報(周知技術を示す文献)
E.米国特許出願公開第2013/0324889号明細書(周知技術を示す文献)
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願請求項1~3、6、7に係る発明は、以下の引用文献1~4に基づいて、また、本願請求項4及び5に係る発明は、以下の引用文献1~5に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.登録実用新案第3159276号公報(拒絶査定時の引用文献B)
2.「エムティーアイ information News Release ~医療・研究の現場と同じアルゴリズムで本格的な睡眠記録が可能に~ 活動量計『カラダフィット』と連携して「睡眠」を記録できる新たな専用アプリ登場!」、[online] URL: http://www.mti.co.jp/wp-content/uploads/pdf/pr/2014/pr_20140303_1.pdf、2014年3月3日(当審において新たに引用した文献)
3.特開2014-168492号公報(当審において新たに引用した周知技術を示す文献)
4.特開2015-150034号公報(当審において新たに引用した周知技術を示す文献)
5.特開2000-181533号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願請求項1から8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明8」という。)は、平成30年6月11日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1~8は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
活動量計で測定された、被験者の活動に応じた動きを示す時系列データを取得する取得部と、
前記時系列データを基に前記被験者の非活動時間帯における体位の情報を検出し、前記時系列データを時間軸と前記活動に応じた動きに対応する活動量軸とで表わされるグラフに可視化し、かつ、前記グラフの前記非活動時間帯に対応する領域に、前記検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能に可視化する処理部と、
を備え、
前記非活動時間帯は、不連続な複数の睡眠時間帯が特定された場合には、前記複数の睡眠時間帯を、連続して含む1つの時間帯であって、
前記処理部は、前記グラフを可視化する処理において、
前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、
前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化する、活動量処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記体位の情報を、前記グラフの前記非活動時間帯に対応する前記表示領域において、前記睡眠状態を示す情報よりも前記活動量軸の方向に小さい幅で可視化する第1の可視化態様と、
前記体位の情報を、前記グラフの前記非活動時間帯に対応する前記表示領域において、前記睡眠状態を示す情報よりも前記活動量軸の方向に大きい幅で可視化する第2の可視化態様と、
を選択的に切り替える、請求項1に記載の活動量処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記非活動時間帯に対応する前記表示領域を拡大する制御に応じて、少なくとも前記活動量軸のスケールを前記非活動時間帯における前記活動に応じた動きの大きさに応じたスケールに変更する、請求項1または2に記載の活動量処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記体位の情報を基に、前記非活動時間帯における前記異なる体位毎の比率を求め、前記異なる体位毎の比率を示す情報を更に可視化する、請求項1~3のいずれか1項に記載の活動量処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記体位の情報を基に、前記非活動時間帯における前記異なる体位毎の持続時間の累計時間を求め、前記異なる体位毎の前記累計時間を示す情報を更に可視化する、請求項1~4のいずれか1項に記載の活動量処理装置。
【請求項6】
前記非活動時間帯は、前記被験者が寝床につく時刻とは異なり前記被験者が入眠する時刻から、前記被験者が寝床から離れる時刻とは異なり前記被験者が覚醒する時刻までの睡眠時間に基づき特定される、請求項1~5のいずれか1項に記載の活動量処理装置。
【請求項7】
活動量計で測定された、被験者の活動に応じた動きを示す時系列データを取得し、
前記時系列データを基に前記被験者の非活動時間帯における体位の情報を検出し、前記時系列データを時間軸と前記活動に応じた動きに対応する活動量軸とで表わされるグラフに可視化し、かつ、前記グラフの前記非活動時間帯に対応する領域に、前記検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能に可視化すると共に、
前記非活動時間帯は、不連続な複数の睡眠時間帯が特定された場合には、前記複数の睡眠時間帯を、連続して含む1つの時間帯であって、
前記グラフを可視化する処理において、
前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、
前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化する、活動量処理方法。
【請求項8】
活動量計で測定された、被験者の活動に応じた動きを示す時系列データを取得し、
前記時系列データを基に前記被験者の非活動時間帯における体位の情報を検出し、前記時系列データを時間軸と前記活動に応じた動きに対応する活動量軸とで表わされるグラフに可視化し、かつ、前記グラフの前記非活動時間帯に対応する領域に、前記検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能に可視化すると共に、
前記非活動時間帯は、不連続な複数の睡眠時間帯が特定された場合には、前記複数の睡眠時間帯を、連続して含む1つの時間帯であって、
前記グラフを可視化する処理において、
前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、
前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化する、処理をコンピュータに実行させる、活動量処理プログラム。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
平成30年4月3日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(引1a)「【0019】
図1はSTトレンド、運動強度、姿勢及び体表面温度を併記した生体情報記録を示す実施例1に係る生体情報記録紙1である。この図1においては心電図情報としてSTトレンドのグラフが記載されている。図7は従来技術のホルター心電図のSTトレンドを表す生体情報記録紙7である。従来技術においても三軸加速度計を被験者が装着して、心電図測定時に対応する被験者の運動量、あるいは体位(又は姿勢)の情報を得ている。本願生体情報記録紙1には、被験者の運動量を表す代わりに運動強度(単位:MET)で表している。運動強度を用いたほうが心電図の解析が容易だからである。
【0020】
しかし、従来技術の心電図である図7に示すように被験者の心電図測定時の運動強度、体位がホルター心電図のSTトレンドを表す生体情報記録紙7に記載されていないため、医療者は異常波形が被験者の身体的異常であるか又は他の要因による波形異常であるかを容易に判断できない。被験者が加速度計及び体表面温度計を装着していて、そこから情報を得ていたとしてもこれらの情報が一体に記載されていないため、他の記録と照らし合わす必要があり、医療者は異常波形の解析が煩雑となっている。
【0021】
一方、本願生体情報記録紙1は心電図測定時に対応した被験者の運動強度、体位(姿勢)がグラフに表されて併記されている。また、その時の体表面温度12もグラフに表されて併記されている。このため、医療者は異常波形が被験者の身体的異常であるか又は他の要因による波形異常であるかを容易に判断することができる。また、被験者はホルター心電計を装着している間の行動を記録する必要がない上に、本願生体記録紙を用いれば被験者の記す行動記録よりも正確な情報が得られる。」
(引1b)「【0026】
図4は睡眠時の心拍数、体位及び睡眠時体位の推移を併記した生体情報記録を示す実施例4に係る生体情報記録紙4である。心電図情報は心拍数のトレンド41であり、加速度情報は睡眠時の運動強度42、体位、体位の内訳及び睡眠時の重心移動の軌跡43である。睡眠時は安静状態でありノイズが少なく、狭心症のある型(例えば、異型狭心症)又は、ある種の不整脈は睡眠時の心電図波形で好適に発見できる。しかし、ノイズが全く無いわけではなく、被験者の寝返りや、睡眠時の体位等で心拍数は変化する。従って医療者は被験者の運動強度、睡眠時の体位及び体の重心の移動等を考慮に入れる必要がある。本願生体情報記録紙4はこれらのノイズを取り除いて医療者の正しい解析に資するものである。従来技術には本願生体情報記録紙4の例はない。」
(引1c)「図1
」
(引1d)「図4
」
(2)引用文献1に記載された発明
ア 上記(引1a)より、引用文献1には、「運動強度」及び「姿勢」を併記した生体情報記録を示す「生体情報記録紙1」であって、「三軸加速度計」を被験者が装着して、被験者の「運動量」、あるいは「体位(又は姿勢)」の情報を得、「生体情報記録紙1」には、被験者の「運動量」を表す代わりに「運動強度」(単位:MET)で表した「生体情報記録紙1」が記載されている点が理解できる。
イ 上記(引1b)より、引用文献1には、「睡眠時」の「体位」及び「睡眠時体位の推移」を併記した生体情報記録を示す「生体情報記録紙4」が記載され、該「生体情報記録紙4」の生体情報記録は、「睡眠時の運動強度42」、「体位」、「体位の内訳」及び「睡眠時の重心移動の軌跡43」を含む点が理解できる。
ウ 上記(引1a)より、上記(引1c)の図1は、「生体情報記録紙1」であり、この図1の中段下に、縦軸が「運動強度(MET)」であり、横軸が「時間軸」である「運動強度」の時系列データを視覚的に表した「運動強度」というグラフが記載されている点が見て取れる。そして、その下に、体位が、伏臥位、左側臥位、右側臥位、座位、立位及び仰臥位のいずれの体位であるかをバーで表示したグラフが記載されている点が見て取れる。そうすると、引用文献1には、「運動強度」の時系列データを時間軸と運動強度の軸とで表されるグラフに可視化し、検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能にグラフに可視化した点が記載されているといえる。
エ 上記(引1b)より、上記(引1d)の図4は睡眠時の体位及び睡眠時体位の推移を併記した生体情報記録を示す生体情報記録紙4であり、該図4には、上段に「運動強度」を、時間軸と「運動強度」を表す軸とで表されるグラフに可視化し、中段に体位が、伏臥、左側臥、右側臥及び仰臥のいずれの体位であるかをグラフに可視化し、下段左に、睡眠時体位の内訳として、伏臥、左側臥、右側臥及び仰臥のそれぞれの割合を円グラフに可視化した点が見て取れる。そうすると、引用文献1には、睡眠時体位の情報を異なる体位毎に区別可能に可視化し、睡眠時体位の体位毎の割合を円グラフに可視化した点が記載されているといえる。
オ 上記(引1c)より、図1に記載されたグラフは、横軸が示す時間の値から、全ての時間について可視化したグラフが記載されていることは明らかである。そして、上記エより、図4に記載されたグラフは、睡眠時におけるものであるから、図4は、図1のグラフのうち睡眠時間帯の部分を取り出し、別のグラフとしたものであり、結果として図1の睡眠時間帯に対応する領域を拡大したものであることは明らかである。
また、上記(引1c)及び(引1d)より、図1の運動強度の縦軸のスケールは、「1-2」~「9以上」であり、図4の運動強度の縦軸のスケールは「1.」から「2.5」である点が見て取れるから、図4の運動強度のグラフは、図1のグラフから睡眠時間帯に対応する領域を拡大する際に、運動強度の軸のスケールを「1-2」~「9以上」から「1.」~「2.5」に変更したものであるといえる。そうすると、引用文献1には、睡眠時間帯に対応する領域を拡大する際に運動強度の軸のスケールを変更する点が記載されていると認められる。
カ 上記ウ及びエの可視化されたグラフの「生体情報記録紙1」及び「生体情報記録紙4」への出力は、何らかの「装置」により行われることは明らかである。そして、上記ウ及びエのグラフに可視化する処理及び上記オのスケールを変更する処理を行う「処理部」を、該「装置」が有していることも明らかである。
キ 以上アからカより、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「被験者が装着した三軸加速度計から運動量、あるいは体位(又は姿勢)の情報を得、
被験者の運動量を表す代わりに運動強度(単位:MET)で表した、運動強度及び姿勢を併記した生体情報記録を生体情報記録紙1に出力し、
睡眠時の運動強度42、体位、体位の内訳及び睡眠時の重心移動の軌跡43からなる、睡眠時の体位及び睡眠時体位の推移を併記した生体情報記録を生体情報記録紙4に出力する装置であって、
運動強度の時系列データを時間軸と運動強度の軸とで表されるグラフに可視化し、検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能なグラフに可視化し、
そして、睡眠時体位の情報を異なる体位毎に区別可能なグラフに可視化し、睡眠時体位の体位毎の割合を円グラフに可視化し、
睡眠時間帯に対応する領域を拡大する際に運動強度の軸のスケールを変更する処理部を有し、
運動強度の時系列データを時間軸と運動強度の軸とで表されるグラフと、検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能なグラフとを生体情報記録紙1に出力し、
運動強度の時系列データを時間軸と運動強度の軸とで表されるグラフと、睡眠時体位の情報を異なる体位毎に区別可能なグラフと、睡眠時体位の体位毎の割合を表した円グラフとを生態情報記録紙4に出力する装置」
2.引用文献2~5について
(1)引用文献2に記載された事項
平成30年4月3日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(引2a)「◆医療・研究現場で用いられる本格的アルゴリズムで睡眠を可視化!
不眠治療などの実際の医療現場では、眠りに関する患者への問診といった主観的な情報だけでなく、実際の睡眠状態を活動量計で計測した客観的なデータが、大変重要視されています。
こうした様々な背景をもとに、活動量計を使って、簡単に睡眠を記録できる専用アプリを開発しました。
まず、研究・医療機関向けの解析ソフトウェアの開発・販売などを多数手掛ける、キッセイコムテック(株)の協力のもと、同社の睡眠解析用ソフトウェアと同じように、2分ごとの体動データを24時間記録する方法をスマートフォンで実現しました。そして、睡眠中かどうかの判定には、(独)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・精神生理研究部 部長の三島和夫医師※とキッセイコムテック(株)が開発した睡眠・覚醒判定アルゴリズムを採用。医療や研究の現場でも利用されている方法で、より正確な睡眠の質がわかります。1日の生活リズムを可視化することで、生活習慣の改善を促します。」
(引2b)「
」
(2)引用文献2に記載された技術事項
ア 上記(引2a)に「実際の睡眠状態を活動量計で計測した客観的なデータが、大変重要視されています。」と記載され、「睡眠中かどうかの判定には、(独)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・精神生理研究部 部長の三島和夫医師※とキッセイコムテック(株)が開発した睡眠・覚醒判定アルゴリズムを採用」し「より正確な睡眠の質がわかります。」と記載されていることから、引用文献2には、活動量計で計測した「活動量」に基づき睡眠状態を判定する点が記載されていることが理解できる。
イ 上記(引2b)には、「活動量」が、時間軸と活動量を表す軸とでグラフ化されている点、及び、睡眠状態を示す帯が活動量を表すグラフの睡眠時間帯に対応する領域に表示されている点が見て取れる。
ウ 上記ア及びイより、引用文献2には、
「活動量計で計測した活動量に基づき睡眠状態を判定し、
活動量が、時間軸と活動量を表す軸とでグラフ化され、
睡眠状態を示す帯が活動量を表すグラフの睡眠時間帯に対応する領域に表示され」
ている点が記載されていると認められる。
(3)引用文献3に記載された事項
平成30年4月3日付けの拒絶の理由に引用された引用文献3の段落【0024】には、以下の事項が記載されている。
(引3a)「【0024】
表示される睡眠データは特に限定されず、入眠時刻、睡眠深度、寝返り時刻、覚醒時刻、起床予定時刻などから適宜選択することができる。中でも、就床時刻と併せて入眠時刻を、起床時刻と併せて起床予定時刻を表示することは、ユーザーが入眠に要した時間、起床に要した時間を知ることができるので好ましい。このように、ユーザーが自身の睡眠について関心を持つ情報を提供することは睡眠リズムを改善させることに役立つ。」
(4)引用文献4に記載された事項
平成30年4月3日付けの拒絶の理由に引用された引用文献4の段落【0077】~【0079】には、以下の事項が記載されている。
(引4a)「【0077】
期間Cは、寝床に入ってから体動回数の減少に伴い脈拍数も減少している。期間Cの間で、体動回数は無くなる部分では、脈拍数は緩やかに減少中である。期間Cの状態は、寝床に入ってから安静にしているが覚醒状態であるため、脈拍数は下がりきっていない。尚、期間Cの使用者の状態が覚醒状態であることは、同時に測定しているPSG検査の出力結果に基づいた脳波の発生状況によっても確認されている。
【0078】
このように、従来方法では、安静にしている覚醒状態のような期間Cを含めた状態も睡眠状態として判定していた。本実施形態においては、参照脈拍数Pt1と基礎脈拍数Pbとの差分が睡眠閾値Tws未満になった時点(時刻t1)を睡眠状態と判定することで、期間Cのような安静にしている覚醒状態を除外して、睡眠状態を抽出することができている。
【0079】
睡眠状態から覚醒状態に遷移する判定においては、従来方法では、時刻tboutまでを睡眠状態と判定しているのに対し、本実施形態では、時刻t2において睡眠状態から覚醒状態に遷移したと判定している。時刻t2から時刻tboutまでの期間は、実際の使用者の行動においても目覚めた後から寝床から出るまでの期間であり、覚醒状態である。睡眠状態から覚醒状態に遷移する判定においても、覚醒状態を除外して睡眠状態の期間とすることができている。尚、時刻t2と寝床から出た時刻tboutとの差は、時刻t1と時刻tbinとの差よりも短い期間となっているが、これは典型的な生活例において睡眠状態から覚醒状態に遷移後、寝床から出るまでの時間が短いためにこのような結果として現れている。」
(5)引用文献5に記載された事項
平成30年4月3日付けの拒絶の理由に引用された引用文献5の特許請求の範囲の請求項1には、以下の事項が記載されている。
(引5a)「【請求項1】 時系列データのトレンドグラフ表示を行なうトレンドグラフ表示装置において、
前記時系列データの最大値と最小値とを求める最大最小手段と、
この最大最小手段の最大値と最小値とから、表示倍率を求める表示倍率手段と、
この表示倍率手段の表示倍率で、前記時系列データのトレンドグラフ表示を行う表示手段とを有することを特徴とするトレンドグラフ表示装置。」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「三軸加速度計」は、本願発明1の「活動量計」に相当する。そして、引用発明1は、「被験者が装着した三軸加速度計から運動量、あるいは体位(又は姿勢)の情報を得」ており、その情報は「生体情報記録紙1」及び「生体情報記録紙4」には時系列データとしてグラフ化されているから、引用発明1は、「被験者が装着した三軸加速度計から」時系列データを取得しているといえる。そして、引用発明1は、「生体情報記録紙1」及び「生体情報記録紙4」において「運動強度」を表しているが、「運動強度」は「活動強度」といえ、その「活動強度」が「活動量」のデータから算出されることは明らかであるから、引用発明1は、被験者の活動に応じた動きを示すデータを取得する取得部を有しているといえる。そうすると引用発明1と本願発明1とは、「活動量計で測定された、被験者の活動に応じた動きを表す時系列データを取得する取得部」を有している点で共通する。そして、引用発明1の装置は、上記のとおり「活動量」を処理することにより情報をグラフ化する装置であるから、引用発明1の「装置」は、本願発明1の「活動量処理装置」に相当する。
(イ)引用発明1の「生体情報記録紙4」には、「睡眠時」の「体位」が出力されているから、引用発明1は、「睡眠時」の「体位」を検出しているといえる。また、引用発明1の「睡眠時」と本願発明1の「非活動時間帯」とは、いずれも「体位情報検出時間帯」であるといえる。そうすると引用発明1の「処理部」と本願発明1の「処理部」とは、「被験者の体位情報検出時間帯における体位の情報を検出」する点で共通する。
(ウ)引用発明1の「処理部」は、「運動強度の時系列データを時間軸と運動強度の軸とで表されるグラフに可視化」する。そして、引用発明1の「運動強度」は、上記(ア)で検討したとおり「活動量」のデータから算出されるものであるから、引用発明1の「運動強度の軸」は、「前記活動に応じた動きに対応する活動量軸」であるといえる。そうすると、引用発明1の「処理部」と、本願発明1の「処理部」とは、「前記時系列データを時間軸と前記活動に応じた動きに対応する活動量軸とで表わされるグラフに可視化」する点で共通する。
(エ)引用発明1の「処理部」は、「睡眠時体位の情報を異なる体位毎に区別可能なグラフに可視化」するから、本願発明1の「処理部」と、「前記検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能に可視化する」点で共通する。
(オ)以上、(ア)~(エ)より、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点で一致し、次の相違点で相違する。
<一致点>
「活動量計で測定された、被験者の活動に応じた動きを示す時系列データを取得する取得部と、
前記被験者の体位情報検出時間帯における体位の情報を検出し、前記時系列データを時間軸と前記活動に応じた動きに対応する活動量軸とで表わされるグラフに可視化し、かつ、前記検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能に可視化する処理部と、
を備える、活動量処理装置。」
<相違点1>
「前記被験者の体位情報検出時間帯における体位の情報」が、本願発明1は、「前記時系列データを基に」「検出」されているのに対し、引用発明1は、そのような特定がない点。
<相違点2>
体位情報検出時間帯が、本願発明1は、「非活動時間帯」であり「不連続な複数の睡眠時間帯が特定された場合には、前記複数の睡眠時間帯を、連続して含む1つの時間帯」としたものであるのに対し、引用発明1は、「睡眠時間帯」であり、「不連続な複数の睡眠時間帯が特定された場合には、前記複数の睡眠時間帯を、連続して含む1つの時間帯」とするような特定がない点。
<相違点3>
「前記検出した体位の情報を異なる体位毎に区別可能に可視化」することが、本願発明1は、検出した「非活動時間帯の体位の情報」を「時間軸と前記活動に応じた動きに対応する活動量軸とで表わされる」「前記グラフの前記非活動時間帯に対応する領域」に可視化することであるのに対し、引用発明1は、睡眠時の体位を別のグラフとして可視化することである点。
<相違点4>
「前記処理部」における「前記グラフを可視化する処理」が、本願発明1は、「前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化」しているの対し、引用発明1は、そのような処理が特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討すると、相違点4に係る本願発明1の「前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化」するという構成は、上記引用文献2~5には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1、引用文献2~5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2~6について
本願発明2~6も、本願発明1の「前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化」する構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2~5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明7及び8について
本願発明7及び8は、本願発明1の「活動量処理装置」を、それぞれ「活動量処理方法」及び「活動量処理プログラム」としたものであって、いずれも本願発明1の「前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化」する構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2~5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定についての判断
平成30年4月3日付けの補正により、補正後の請求項1~8は、「前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化」するという技術的事項を有するものとなった。当該「前記非活動時間帯に対応する表示領域に、睡眠領域と覚醒領域と前記睡眠領域および前記覚醒領域以外の空白領域とを含む睡眠状態を示す情報を、前記時系列データに基づき可視化し、前記時系列データのうち、前記空白領域に対応し、かつ、前記睡眠領域と前記覚醒領域以外の時系列データを、前記グラフの前記空白領域に可視化」するという構成は、原査定における引用文献A~Eには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1~8は、当業者であっても、原査定における引用文献A~Eに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-004903