特許拒絶査定不服審判
2017-004050
電子部品
- 審判番号
- 2017-004050
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-267908外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月21日
- 審決日
- 2017年11月20日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社村田製作所
- 【請求人代理人】特許業務法人 楓国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-267908「電子部品」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月26日出願公開、特開2014-116383、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年12月7日の出願であって、平成28年6月17日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年8月19日に手続補正がされ、平成28年12月14日付け(発送日:平成28年12月20日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成29年3月21日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献1-6に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
請求項1,3-5について引用文献1,3,4
請求項6-9について引用文献1,3-6
請求項1-3について引用文献2-4
請求項6,7,10について引用文献2-6
引用文献一覧
1.特開2004-165288号公報
2.国際公開第2011/013508号
3.特開2005-197422号公報
4.特開2010-171441号公報
5.特開昭59-163887号公報
6.実願昭62-44725号(実開昭62-166640号)のマイクロフィルム
第3 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成28年8月19日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
外部基板に対する実装面を有している基板部と、
前記実装面に設けられているグランド電極と、
前記実装面に設けられている複数の端子電極と、
前記実装面を覆っているレジスト部と、
を備え、
前記レジスト部は、前記実装面を視て、前記グランド電極を露出させる複数の開口が縦横に配列されており、単一の実装用はんだが接合される第1のはんだ付け領域と、前記複数の端子電極を露出させる複数の開口が設けられており、複数の実装用はんだが接合される第2のはんだ付け領域と、を有しており、
前記グランド電極は、前記第1のはんだ付け領域の一部の開口に対向し、前記第1のはんだ付け領域の縁部分に沿って延設され、前記第1のはんだ付け領域の中心側に電極非形成部が隣接して設けられている縁側電極部、を有している、
電子部品。」
なお、本願発明2-10は、本願発明1を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、回路基板装置に関し、図面(特に【図1】、【図2】及び【図12】参照。)とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0025】
ここで、図1ないし図7は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、回路基板装置を高周波信号用のパッケージ部品に適用した場合を例に挙げて述べる。
【0026】
図中、1は後述のパッケージ部品4が実装されるマザーボードで、該マザーボード1は、例えば絶縁性の樹脂材料等により形成され、その表面側には、図2、図3に示す如く、例えば半田の濡れ性が良好な金属膜等を用いて後述の電極パッド2と環状ランド3とが設けられている。
【0027】
2はマザーボード1の表面側に設けられた複数の電極パッドで、該各電極パッド2は、パッケージ部品4の実装位置に対応する所定の位置に四角形の枠状に並んで形成され、例えばマザーボード1に搭載された高周波信号用の信号処理回路(図示せず)等に接続されている。
【0028】
3はマザーボード1の表面側に設けられた環状ランドで、該環状ランド3は、後述のリング状接続部13とほぼ等しい形状を有するリング状に形成され、各電極パッド2の内側に配置されている。
【0029】
そして、パッケージ部品4をマザーボード1に実装するときには、後述の如くパッケージ部品4が環状ランド3とリング状接続部13とによって回転方向に位置合わせされ、各信号電極10,11が電極パッド2に接続される。また、この状態で環状ランド3とリング状接続部13とは、マザーボード1のグランド側に接続されるものである。
【0030】
4はマザーボード1に実装されるパッケージ部品で、該パッケージ部品4は、図5に示す如く、後述の基板5、回路部品8、信号電極10,11、リング状接続部13、カバー14等を含んで構成されている。
【0031】
5はパッケージ部品4の本体部分を構成する基板で、該基板5は、例えば絶縁性の樹脂材料等により四角形状に形成され、図5中のX軸およびY軸方向に延びる表面5A、裏面5Bと、これらの表面5Aおよび裏面5Bに対して垂直に延びる四辺の端面5Cとを有している。」
(2)「【0035】
10,11は基板5の裏面5B側に設けられた複数の信号電極で、該各信号電極10,11は、図2、図4に示す如く、例えば半田の濡れ性が良好な金属膜等にエッチング加工を施すことにより、後述のリング状接続部13と一緒に形成され、基板5の各端面5Cに沿って四角形の枠状に列設されている。また、各信号電極10,11は、基板5に設けられた複数のビアホール12を介して接続用パッド7と接続されている。
【0036】
そして、各信号電極10,11は、後述の半田15を用いてマザーボード1の各電極パッド2にそれぞれ衝合した状態で接続される。これにより、パッケージ部品4は、マザーボード1の所定位置に実装されるものである。」
(3)「【0039】
13は信号電極10,11よりも基板5の中央側に位置して裏面5B側に設けられたリング状接続部で、該リング状接続部13は、図4、図5に示す如く、例えば半田の濡れ性が良好な金属膜等からなり、基板5の中央(重心)付近を垂直に通る軸線O-Oを中心として円環状(リング状)に形成されている。
【0040】
そして、リング状接続部13は、マザーボード1の環状ランド3に衝合した状態で半田付けされ、環状ランド3を介してグランド側に接続されると共に、この半田付け時には、信号電極10,11と協働してパッケージ部品4の位置合わせを行うものである。」
(4)「【0069】
33はマザーボード1に実装されるパッケージ部品で、該パッケージ部品33は、図12に示す如く、第1の実施の形態とほぼ同様に、基板5、回路部品(図示せず)、信号電極10,11と、後述のリング状接続部34,35とを含んで構成されている。
【0070】
34は基板5の裏面5B側に設けられた第1のリング状接続部で、該第1のリング状接続部34は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば半田の濡れ性が良好な金属膜等からなり、中心Oを有するリング状に形成されている。
【0071】
35はリング状接続部34の内周側に位置して基板5の裏面5B側に設けられた第2のリング状接続部で、該第2のリング状接続部35は、金属膜等を用いてリング状接続部34よりも小径なリング状に形成され、このリング状接続部34と同心円状に配置されている。
【0072】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、例えば2個の環状ランド31,32およびリング状接続部34,35をそれぞれ同心円状に配置したので、パッケージ部品33の実装時には、リング状接続部34,35に接触する半田の接触面積を全体として大きくすることができる。
【0073】
これにより、半田の表面張力を大きくすることができるから、セルフアライメント効果によるパッケージ部品33の位置合わせをより正確に行うことができる。また、パッケージ部品33とマザーボード1側との接合面積を増やすことができるから、これらの接合強度を高めることができる。」
(5)「【0108】
また、各実施の形態では、例えば金属膜にエッチング加工等を施すことにより、信号電極10,11,57,58,77,78と、リング状接続部13,23,34,35,44,45,60,80とを形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば基板の裏面側に対して、金属膜と、この金属膜を覆うレジスト膜とを設け、このレジスト膜に所定の形状をもつ開口部を形成することにより、金属膜のうちレジスト膜の開口部の位置で露出した部位を用いて信号電極とリング状接続部とを構成してもよい。」
(6)上記記載事項(1)の「4はマザーボード1に実装されるパッケージ部品で、」(段落【0030】)との記載、上記記載事項(2)の「10,11は基板5の裏面5B側に設けられた複数の信号電極で、」(段落【0035】)との記載及び【図2】の図示内容から、「裏面5B」は、「マザーボード1」に対して実装される面であると認められる。
(7)上記記載事項(5)の「例えば基板の裏面側に対して、金属膜と、この金属膜を覆うレジスト膜とを設け、このレジスト膜に所定の形状をもつ開口部を形成することにより、金属膜のうちレジスト膜の開口部の位置で露出した部位を用いて信号電極とリング状接続部とを構成してもよい。」(段落【0108】)との記載及び【図12】の図示内容から、裏面5Bの金属膜にレジスト膜を設けた際、複数のリング状接続部34,35及び複数の信号電極10,11を露出させるための開口部は、それぞれ複数になるとともに、信号電極10,11の半田付けする領域とリング状接続部34,35の半田付けする領域は区別することができ、さらに、第1のリング状接続部34に対向する開口部は、リング状接続部34,35の半田付けする領域の開口部の一部であると認められる。
(8)【図12】から、第1のリング状接続部34は、中心O側に信号電極及びリング状接続部が形成されていない部分が隣接して設けられていることが見て取れる。
上記記載事項、認定事項及び図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明1]
「マザーボード1に対して実装される面である裏面5Bを有している基板5と、
前記裏面5Bに設けられているリング状接続部34,35と、
前記裏面5Bに設けられている複数の信号電極10,11と、
前記裏面5Bを覆っているレジスト膜と、
を備え、
前記レジスト膜は、前記裏面5Bを視て、前記リング状接続部34,35を露出させる複数の開口部があるリング状接続部34,35の半田付けする領域と、前記複数の信号電極10,11を露出させる複数の開口部が設けられており、複数の半田が接合される信号電極10,11の半田付けする領域と、を有しており、
前記リング状接続部34,35は、前記リング状接続部34,35の半田付けする領域の一部の開口部に対向し、前記リング状接続部34,35の半田付けする領域の縁部分に沿って延設され、前記リング状接続部34,35の半田付けする領域の中心O側に信号電極及びリング状接続部が形成されていない部分が隣接して設けられている第1のリング状接続部34、を有している、
パッケージ部品33。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面(特に[図2]及び[図6]参照。)とともに次の事項が記載されている。
(1)「[0051] <実施例3> 実施例3の電子部品10bについて、図6を参照しながら説明する。
[0052] 図6は、実施例3の電子部品10bの底面図である。実施例3の電子部品10bは、図6に示すように、実施例1と同じく、基板12の下面12tの周縁部に第1の端子16が形成され、基板12の下面12tの中央部にグランド電極18yが形成されている。
[0053] 実施例3の電子部品10bは、実施例1と異なり、グランド電極18yに、グランド電極18の中心18c及びその付近を含む1つの開口部18wが形成され、この開口部18w内に2つの第2の端子17u,17vが形成されている。クロスハッチングを付した第2の端子17uは孤立した端子であり、他の第2の端子17vは信号端子である。
[0054] このように1つの開口部18wの内側に複数の第2の端子17u,17vを形成すると、第2の端子17u,17v同士を接近させても、第2の端子17u,17vの間にグランド電極を形成する必要がないため、グランド電極18yと第2の端子17u,17vとの間の間隔を広くすることができる。そのため、電子部品10bを実装用基板に半田等で実装する際に、第2の端子17u,17vとグランド電極18yとが半田等により接続され、短絡(ショート)するのを防ぐことができる。
[0055] すなわち、実施例1のようにグランド電極の複数の開口部の内側にそれぞれ第2の端子電極を形成する場合には、第2の端子同士を接近させようとすると、第2の端子の間にグランド電極を形成する必要があるため、グランド電極と第2の端子との間の間隔を狭くする必要がある。これに対し、1つの開口部に複数の第2の端子を形成するようにすれば、第2の端子同士を接近させても、グランド電極と第2の端子との間の間隔を狭くしなくてもよい。」
(2)上記記載事項(1)の「基板12の下面12tの周縁部に第1の端子16が形成され、基板12の下面12tの中央部にグランド電極18yが形成されている。」(段落[0052])との記載、「電子部品10bを実装用基板に半田等で実装する際に、第2の端子17u,17vとグランド電極18yとが半田等により接続され、」(段落[0054])との記載、及び[図2]の図示内容より、「下面12t」は、実装用基板に対して実装される面であると認められる。
(3)[図6]からは、「一部16x,16y,16z」を除いた「信号端子である第1の端子16」は複数であることが見て取れる。
上記記載事項、認定事項及び図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明2]
「実装用基板に対して実装される面である下面12tを有している基板12と、
前記下面12tに設けられているグランド電極18yと、
前記下面12tに設けられている複数の信号端子である第1の端子16と、
を備える、
電子部品10。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面(特に【図5】【図6】及び【図8】参照。)とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0033】
モジュール基板2の下面には、図1、図5及び図6に示すように、四角形状の1個の導体層7cで形成されている。四角形状の1個の導体層7cはその縁をソルダーレジストからなる絶縁膜5で被われている。絶縁膜5は1個の導体層7cの縁をその全周に亘って0.1mm以上の幅で覆っている。また、外部電極端子を形成する導体層7cの表面にはメッキ膜15が形成されている。メッキ膜15は、例えば、下層の第1メッキ膜15aと、この第1メッキ膜15a上に形成される第2メッキ膜15bとからなっている。例えば、導体層7cは、AgにPtを含むペーストを印刷し、かつ焼成して形成したものである。第1メッキ膜15aはNiであり、第2メッキ膜15bはAuである。
【0034】
電源端子や信号端子を形成する外部電極端子4が、モジュール基板2の縁に沿って、途中途切れるが一列に配列されている。また、図6に示すように、モジュール基板2の内側には外部電極端子となるグランド電極4fが複数設けられている。このグランド電極4fはモジュール基板2の下面に広い面積に亘って形成した導体層7cを絶縁膜5によって小分けに露出させてグランド電極4fとしたものである。グランド電極4fはモジュール基板2の縁にも部分的に設けられている。図6において、点線枠で囲まれた領域の外部電極端子4はグランド電極4fである。」
(2)「【0043】
図8は半導体装置1の実装状態を示す模式的断面図である。実装基板40の上面には、半導体装置1の外部電極端子4に対応して導体からなるランド41が設けられている。ランド41の表面には図示しないがメッキ膜が設けられている。半導体装置1は、外部電極端子4が半田45を介してランド41に機械的かつ電気的に接続されている。半田45は、例えば、鉛を含まない所謂鉛フリー半田である。実装基板40は、例えば、携帯電話機の実装基板である。」
(3)【図6】からは、グランド電極4fを露出させる複数の開口が縦横にあることと、点線枠で囲まれた領域であって、グランド電極4fが接合される半田付けの領域とが見て取れる。
(4)【図8】からは、グランド電極4fに接合される複数の半田45が見て取れる。
上記記載事項、及び図示内容を総合すると、上記引用文献3には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「ソルダーレジストからなる絶縁膜5は、グランド電極4fを露出させる複数の開口が縦横に配列されており、複数の半田45が接続される半田付けの領域を有する、半導体装置1。」
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面(特に【図3】参照。)とともに次の事項が記載されている。
「【0021】
図3(c)の矢印で示されたように、半田60cは加熱により溶融されて、グランド電極端子11内に形成された溝111aの中に流れ込んでいく。このとき、半田60cに含まれるフラックスがまず溝111aの中に流れ、フラックスの流れに追従して半田60cに含まれる錫や鉛の成分が溝111aに流れ込む。ここで、溝111aの底面(紙面上方の面)は絶縁材料で形成されているので、半田60cが溝111aの底面に付着し難い。このため、半田60cは溝111aの底面を滑るようにして流れ出るようなことなく、底面および4枚の側面に囲われた溝111aの内側に徐々に蓄積されていく。
【0022】
次に、溝111aの内側を一杯に満たすほどに半田60cが蓄積されると、更にグランド電極端子11の端部にまで半田60cが流れる。最終的には図3(d)に示されるような形状のフィレットが、高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部に形成される。そして、実装基板50を冷却すると、高周波装置1000が半田60b、60cにより、実装基板50の表面上に固定される(図3(d))。
【0023】
このように、高周波装置1000のグランド電極端子11内に半田60cを蓄積する溝111aを備えたので、半田60cが高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部から外側にはみ出すのを制限でき、半田60cにより隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。
また、特に、高周波装置1000のグランド電極端子11の溝111aの底面を絶縁材料で形成したことにより、半田60cを溝111aの底面に付着させることなく、半田60cを溝11aの内側に蓄積させることができる。この結果、更に効果的に、半田60cが高周波装置1000および実装基板50の電極端子11、51の端部から外側に、はみ出すのを制限でき、半田60cにより隣接する電極端子間が短絡されるのを低減できる。」
5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、図面(特に第2図参照。)とともに次の事項が記載されている。
「このように、隣接するランドは2条のパターンで接続されているので、例えば第2図(ロ)の如くに、ランド12のスルーホール4bがランド12の中心と大幅にずれてパターン71aの接続縁部に設けられ、パターン71aとランド12の接続が切断されても、パターン71bによってランド11とランド12との接続が切れることがない。」(第2ページ右上欄第19行-左下欄第5行)
6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、図面(特に第2図参照。)とともに次の事項が記載されている。
「金属パターン209の形状はハンダ付がうまくできる限りどの様な形状でも良く、円形あるいはストライプ状であっても良い。また金属パターン209は電気的に外部端子105と金属パターン209よりも大幅に細い線状のパターンによって接続される。」(第5ページ(368ページ)第15-20行)
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)引用発明1
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「マザーボード1」は、本願発明1の「外部基板」に相当し、以下同様に、「マザーボード1対して実装される面である裏面5B」は「外部基板に対する実装面」に、「基板5」は「基板部」に、「リング状接続部34,35」は「グランド電極」に、「信号電極10,11」は「端子電極」に、「レジスト膜」は「レジスト部」に、「開口部」は「開口」に、「リング状接続部34,35の半田付けする領域」は「第1のはんだ付け領域」に、「半田」は「実装用はんだ」に、「信号電極10,11の半田付けする領域」は「第2のはんだ付け領域」に、「中心O側」は「中心側」に、「信号電極及びリング状接続部が形成されていない部分」は「電極非形成部」に、「第1のリング状接続部34」は「縁側電極部」に、「パッケージ部品33」は「電子部品」に、それぞれ相当する。
したがって、本願発明1と引用発明1とは、
「外部基板に対する実装面を有している基板部と、
前記実装面に設けられているグランド電極と、
前記実装面に設けられている複数の端子電極と、
前記実装面を覆っているレジスト部と、
を備え、
前記レジスト部は、前記実装面を視て、前記グランド電極を露出させる複数の開口がある第1のはんだ付け領域と、前記複数の端子電極を露出させる複数の開口が設けられており、複数の実装用はんだが接合される第2のはんだ付け領域と、を有しており、
前記グランド電極は、前記第1のはんだ付け領域の一部の開口に対向し、前記第1のはんだ付け領域の縁部分に沿って延設され、前記第1のはんだ付け領域の中心側に電極非形成部が隣接して設けられている縁側電極部、を有している、
電子部品。」の点で一致し、以下の相違点1で相違する。
[相違点1]
本願発明1のレジスト部の第1のはんだ付け領域は、
「前記実装面を視て、前記グランド電極を露出させる複数の開口が縦横に配列されており、単一の実装用はんだが接合される第1のはんだ付け領域」であるのに対し、引用発明1のリング状接続部34,35の半田付けする領域は、このような構成を有しない点。
イ 判断
上記相違点1について検討する。
本願発明1は、レジスト部の「グランド電極を露出させる複数の開口が縦横に配列されており、単一の実装用はんだが接合される第1のはんだ付け領域」(以下、「前提構成」という。)においては「はんだフラッシュによる微小な欠陥は、実装用はんだ113の任意の位置に任意の進行方向で発生するが、底面電極104の対角線上では外部応力が大きく作用するので、底面電極104の対角線に沿った進行方向の微小な欠陥は、外部応力の作用で大きくなり、底面電極104の対角線上の端部近傍まで進行し易い。」(段落【0009】参照)という課題が生じるため、「グランド電極を露出させる複数の開口が縦横に配列され」た「第1のはんだ付け領域」に「縁側電極部」を有するという課題解決手段により、「はんだフラッシュが進行する方向を、第1のはんだ付け領域の縁に沿わせることができる。」(段落【0016】参照)という作用効果を奏するものである。
ここで、本願発明1と引用文献3に記載された技術的事項とを対比すると、引用文献3に記載された技術的事項の「ソルダーレジストからなる絶縁膜」は、本願発明1の「レジスト部」に相当し、以下同様に、「グランド電極4f」は「グランド電極」に、「半田45」は「実装用はんだ」に、「接続される」ことは「接合される」ことに、「半田付けの領域」は「はんだ付け領域」に、「半導体装置1」は「電子部品」に、それぞれ相当する。
そうすると、本願発明1と引用文献3に記載された技術的事項とは、「レジスト部は、グランド電極を露出させる複数の開口が縦横に配列されており、実装用はんだが接合されるはんだ付け領域を有する、電子部品。」
の点で一致するといえる。
しかしながら、前提事項のうち「単一の実装用はんだが接合される」点に関する事項は、引用文献3に記載されていない。
したがって、引用文献3に記載された技術的事項は、前提構成に関する事項を示唆するものではない。
また、引用文献4には、グランド電極端子11内に溝111aを形成し、そこに半田を蓄積することで、電極端子の端部から外側に半田がしみ出すのを制限することが記載されているが、前提構成に関する事項を示唆するものではない。
さらにまた、引用文献5-6にも、前提構成に関する事項は示唆されていない。
結局、引用文献3-6に記載された事項は、いずれも本願発明1の前提構成を有していないので、前記課題が生ずることがなく、前記課題解決手段を適用する動機付けがない。
そうすると、引用発明1を本願発明1における上記相違点1に係る構成とすることは、刊行物3-6に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献3-6に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものではない。
(2)引用発明2
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「実装用基板」は、本願発明1の「外部基板」に相当し、以下同様に、「実装基板に対して実装される面である下面12t」は「実装面」に、「基板12」は「基板部」に、「グランド電極18y」は「グランド電極」に、「信号端子である第1の端子16」は「端子電極」に、「電子部品10」は「電子部品」に、それぞれ相当する。
したがって、本願発明1と引用発明2とは、
「外部基板に対する実装面を有している基板部と、
前記実装面に設けられているグランド電極と、
前記実装面に設けられている複数の端子電極と、
を備える、
電子部品。」
の点で一致し、以下の相違点2で相違する。
[相違点2]
本願発明1の電子部品は、「前記実装面を覆っているレジスト部と、
を備え、
前記レジスト部は、前記実装面を視て、前記グランド電極を露出させる複数の開口が縦横に配列されており、単一の実装用はんだが接合される第1のはんだ付け領域と、前記複数の端子電極を露出させる複数の開口が設けられており、複数の実装用はんだが接合される第2のはんだ付け領域と、を有しており、
前記グランド電極は、前記第1のはんだ付け領域の一部の開口に対向し、前記第1のはんだ付け領域の縁部分に沿って延設され、前記第1のはんだ付け領域の中心側に電極非形成部が隣接して設けられている縁側電極部、を有している、」のに対し、引用発明2の電子部品10は、このようなレジスト部を有しない点。
イ 判断
本願発明1の上記相違点2に係る構成は、本願発明1の上記相違点1に係る構成と同一の構成を含むから、上記「(1)引用発明1」の「イ 判断」で、本願発明1の上記相違点1に係る構成について検討したことと同様に、引用発明2を本願発明1の上記相違点2に係る構成とすることは、刊行物3-6に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用発明2及び刊行物3-6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2.本願発明2-10について
本願発明2-10は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の上記相違点1に係る構成と同一の構成を有するから、上記「1.本願発明1について」の「(1)引用発明1」の「イ 判断」で検討したとおり引用発明1及び刊行物3-6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないし、上記「1.本願発明1について」の「(2)引用発明2」の「イ 判断」で検討したとおり引用発明2及び刊行物3-6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-10は、当業者が引用発明1及び刊行物3-6に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものではなく、引用発明2及び刊行物3-6に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものでもない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-004050