特許拒絶査定不服審判
2016-019194
フィールドプログラマブルゲートアレイの性能を向上させるための装置および関連方法
- 審判番号
- 2016-019194
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-181065外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月22日
- 審決日
- 2017年12月04日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】アルテラ コーポレイション
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 分類
- P18 .121-WY (H01L) / P18 .537-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-181065「フィールドプログラマブルゲートアレイの性能を向上させるための装置および関連方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月 4日出願公開、特開2013- 46068、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の概要
本願は、平成24年8月17日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2011年8月19日、米国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 5月26日 審査請求
平成28年 5月18日 拒絶理由通知
平成28年 8月19日 意見書
平成28年 9月 1日 拒絶査定
平成28年12月22日 審判請求・手続補正書
平成29年 7月26日 拒絶理由通知(当審)
平成29年10月26日 意見書・手続補正書
第2 原査定の概要
原査定(平成28年9月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1ないし16に係る発明は、下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願の請求項17ないし20に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2007-538474号公報
2.特開2002-041160号公報
3.特開2007-067275号公報
第3 当審拒絶理由の概要
平成29年7月26日付けで当審より通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。
1 理由1(進歩性)について
本願の請求項1ないし20に係る発明は、下記の引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2007-538474号公報(当審注.原査定の引用文献1)
2.特開2007-201455号公報
3.特開2002-041160号公報(当審注.原査定の引用文献2)
4.特開2008-104215号公報
2 理由2(明確性)について
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)請求項1ないし20について
請求項1に「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対するプロセス、電圧、および温度の表示を提供するように適合された監視回路のセットと、」と記載されているが、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対する」との連文節(修飾部)が、「プロセス」のみを修飾しているのか、それとも「プロセス、電圧および温度」の全体を修飾しているのかが明確でない。
請求項1の「該少なくとも1つの回路に対するプロセス、電圧、および温度の該表示から該少なくとも1つの回路に対するボディバイアス値の範囲を導出するように適合されたコントローラと、」との記載、請求項12の「該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連するプロセス、電圧および温度についての情報を提供する監視信号を受信することと、」との記載、請求項17の「それぞれ、該FPGA内の第1および第2の回路に対するプロセス、電圧、および温度の表示を提供するように適合された第1および第2の監視回路と、」との記載、及び請求項17の「該第1および第2の回路に対するプロセス、電圧、および温度の該表示と、該第1および第2の回路に対する構成情報とから該第1および第2の回路に対するそれぞれのボディバイアス値の第1および第2の範囲を導出するように適合されたコントローラと、」との記載についても、上記と同様の点が指摘される。
また、請求項1を引用する請求項2ないし11、請求項12を引用する請求項13ないし16、及び請求項17を引用する請求項18ないし20についても、上記と同様の点が指摘される。
(2)請求項12ないし16について
請求項12に「少なくとも部分的にプロセス、電圧および温度についての該情報に基づいてボディバイアス値の範囲を決定することと、」と記載されているが、「プロセス、電圧および温度についての情報のうち、少なくとも一部に基づいてボディバイアス値の範囲を決定する」という意味であるのか、それとも、「少なくともプロセス、電圧および温度についての情報に基づいて、ボディバイアス値の範囲を決定する」という意味であるのかが明確でない。
請求項12を引用する請求項13ないし16についても、上記と同様の点が指摘される。
(3)請求項15及び16について
請求項15の「供給電圧ついての情報」なる記載の意味が不明である。
請求項15を引用する請求項16についても、上記と同様の点が指摘される。
(4)請求項17ないし20について
請求項17に「該ボディバイアス信号は、該第1および第2の回路の該ボディバイアス値のそれぞれの範囲内の値を有する、」と記載されているが、「該ボディバイアス信号」が「第1のボディバイアス信号」、「第2のボディバイアス信号」のいずれを指し示しているのかが不明確である。
請求項17を引用する請求項18ないし20についても、上記と同様の点が指摘される。
第4 本願発明
本願の請求項1ないし20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明20」という。)は、平成29年10月26日付け手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載される事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であって、
該FPGAは、
該FPGA内の少なくとも1つの回路に対するプロセスの表示と、該少なくとも1つの回路に対する電圧の表示と、該少なくとも1つの回路に対する温度の表示とを提供するように適合された監視回路のセットと、
該少なくとも1つの回路に対する該プロセスの表示と、該少なくとも1つの回路に対する該電圧の表示と、該少なくとも1つの回路に対する該温度の表示とから該少なくとも1つの回路に対するボディバイアス値の範囲を導出するように適合されたコントローラと、
該少なくとも1つの回路内の少なくとも1つのトランジスターにボディバイアス信号を提供するように適合されたボディバイアス生成器と
を含み、
該ボディバイアス信号は、該ボディバイアス値の範囲内の値を有する、FPGA。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回路は、プログラマブル論理を含む、請求項1に記載のFPGA。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回路は、プログラマブル相互接続を含む、請求項1に記載のFPGA。
【請求項4】
前記ボディバイアス信号は、前記少なくとも1つのトランジスターに適用される順方向ボディバイアスを引き起こす、請求項1に記載のFPGA。
【請求項5】
前記ボディバイアス信号は、前記少なくとも1つのトランジスターに適用される逆方向ボディバイアスを引き起こす、請求項1に記載のFPGA。
【請求項6】
前記コントローラは、ルックアップテーブルを用いて前記ボディバイアス値の範囲を導出するように適合されている、請求項1に記載のFPGA。
【請求項7】
プロセスの表示は、前記FPGAを製造するために使用される製造プロセスに関連する1つ以上のパラメータを含む、請求項1に記載のFPGA。
【請求項8】
温度の表示は、前記少なくとも1つの回路の少なくとも1つの温度を含む、請求項1に記載のFPGA。
【請求項9】
電圧の表示は、前記少なくとも1つの回路の電源電圧を含む、請求項1に記載のFPGA。
【請求項10】
前記電源電圧は、該電源電圧のDC成分を含む、請求項9に記載のFPGA。
【請求項11】
前記電源電圧は、該電源電圧のDC成分およびAC成分を含む、請求項9に記載のFPGA。
【請求項12】
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を動作させる方法であって、
該方法は、
該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連するプロセスについての情報と、該少なくとも1つの回路に関連する電圧についての情報と、該少なくとも1つの回路に関連する温度についての情報とを提供する監視信号を受信することと、
該プロセスについての情報と該電圧についての情報と該温度についての情報とに少なくとも基づいてボディバイアス値の範囲を決定することと、
該ボディバイアス値の範囲内の値を有するボディバイアス信号を生成することと、
該少なくとも1つの回路内の少なくとも1つのトランジスターに該ボディバイアス信号を適用することと
を含む、方法。
【請求項13】
前記監視信号は、前記FPGAを製造するために使用される半導体製造プロセスについての情報を提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記監視信号は、前記少なくとも1つの回路の少なくとも1つの温度についての情報を提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記監視信号は、前記少なくとも1つの回路の少なくとも1つの供給電圧についての情報を提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの供給電圧についての情報は、(a)該少なくとも1つの供給電圧のDC成分;(b)該少なくとも1つの供給電圧のAC成分;または(c)該少なくとも1つの供給電圧のDC成分およびAC成分を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であって、
該FPGAは、
該FPGA内の第1の回路および第2の回路に対するプロセスの表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する電圧の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する温度の表示とをそれぞれ提供するように適合された第1の監視回路および第2の監視回路と、
該第1の回路および該第2の回路に対する該プロセスの表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する該電圧の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する該温度の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する構成情報とから、該第1の回路および該第2の回路に対するボディバイアス値の第1の範囲および第2の範囲をそれぞれ導出するように適合されたコントローラと、
該第1の回路および該第2の回路内の少なくとも1つのトランジスターに第1のボディバイアス信号および第2のボディバイアス信号をそれぞれ提供するように適合されたボディバイアス生成器と
を含み、
該第1のボディバイアス信号および該第2のボディバイアス信号は、該第1の回路および該第2の回路の該ボディバイアス値のそれぞれの範囲内の値を有する、FPGA。
【請求項18】
前記第1のボディバイアス信号の値および前記第2のボディバイアス信号の値は、前記第1の回路および前記第2の回路についての構成情報にさらに基づく、請求項17に記載のFPGA。
【請求項19】
前記第1の回路および前記第2の回路のうちの少なくとも1つに対する前記構成情報は、該第1の回路および該第2の回路のうちの該少なくとも1つの動作速度についての情報を含む、請求項17に記載のFPGA。
【請求項20】
前記第1の回路および前記第2の回路のうちの少なくとも1つに対する前記構成情報は、該第1の回路および該第2の回路のうちの該少なくとも1つの電力消費についての情報を含む、請求項17に記載のFPGA。」
第5 引用文献及び引用発明
1 引用文献1の記載事項及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
本願の優先権主張の基礎となった出願の日(以下「本願の優先日」という。)前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であり、原査定の理由及び当審拒絶理由において「引用文献1」として引用された、特表2007-538474号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(当審注.下線は参考のために当審において付したものである。以下において同じ。)
ア「【0074】
図8は、所望のPLD回路網またはブロックの調整、プログラムまたは設定するために、発明の例示的実施形態に従うPLD内の回路のブロック図を示す。回路網は、ボディバイアスジェネレータ430、複数の構成メモリ(構成ランダムアクセスメモリ、すなわち、CRAM、またはその他のメモリのインプリメンテーション)セル438A~438D、複数のトランジスタ440A~440D、およびPLD回路445A~445Bを含む。
【0075】
ボディバイアスジェネレータ430は、一つ以上のボディバイアス信号435を生成し、それらの信号をトランジスタ440A~440Dに提供する。CRAMセル438A~438Dにあるデータの各々の一つに応答し、トランジスタ440A~440Dは、ボディバイアス信号435をPLD回路445A~445Bに提供する。PLD回路445A~445Bは、上記の、個別トランジスタ、トランジスタのグループ、回路ブロック回路などの回路でその回路のボディバイアスレベルを設定、プログラム、または調整することが所望される回路網を構成し得る。」
イ「【0093】
別の例として、PLD103自体内における変化、たとえば、PLD103の一つ以上の回路または領域における温度の変化、に応答して、ボディバイアスレベルを変更または調整し得る。図11は、発明の例示的実施形態に従うPLD内のボディバイアスレベルを修正するための回路配置を示す。
【0094】
回路配置は、一つ以上の温度センサ503、一つ以上の基準ソース512、減算器509、およびボディバイアスジェネレータ430を含む。温度センサ503は、PLD103内の一つ以上の領域、回路またはブロックにおける温度を感知し、温度信号506を減算器509に供給する。基準ソース512は、基準信号515を減算器509に供給する。基準信号515は、種々の温度レベルに対応する数値を有し得る。
【0095】
減算器509は、基準信号515を温度信号506から減じ、差信号518をボディバイアスジェネレータ430に供給する。差信号518は、PLD103の一つ以上のパーツにおける実際の温度と所望温度との間の差を構成し得る。
【0096】
差信号518に応答して、ボディバイアスジェネレータ430は、ボディバイアス信号435を生成する。ボディバイアスジェネレータ430は、PLD103の性能の種々の局面に影響するボディバイアス信号435を生成するために差信号518を使用し得る。たとえば、差信号518が、スレショルド温度または最大温度より低い温度を示す場合、ボディバイアスジェネレータ430は、PLD103内の一つ以上のトランジスタの閾値電圧を減少させる(および従って、性能の向上の原因となる)ボディバイアス信号を生成し得る。対照的に、差信号518が、安全レベルまたは最大レベルより高い温度レベルを示す場合、ボディバイアスジェネレータ430は、PLD103内の一つ以上のトランジスタの閾値電圧を増加させる(従って、性能の劣化にもかかわらず温度レベルの減少の原因となる)ボディバイアス信号を生成し得る。」
ウ「【0098】
図12は、発明の例示的実施形態において使用されるPLDにおけるボディバイアスレベルを調整、プログラムまたは設定する処理または技術の流れ図を示す。制御回路網136などの適切な回路網(または、回路網およびソフトウェアまたはファームウェアとの組み合わせ)を使用することによって、処理または技術をインプリメントし得る。
【0099】
処理は以下のとおり動作する。550において、PLDの所望の部分用の初期ボディバイアスレベルを設定またはプログラムする。その後、553で、PLDの性能手段を得る。本発明の記述からメリットを享受する当業者は理解するように、性能手段は、所定の動作に要する時間、消費電力、出力密度、スループット、オンチップセルフテスト結果などの幅広い様々の基準を含み得る。
【0100】
次に、556において、実際の性能手段が所望または指定の基準を満たすかどうかの判断のためチェックする。満たす場合、559において、処理は、ボディバイアスレベルをそのままにする。他方、実際の性能手段が所望または指定の基準を満たさない場合、562において、処理は、実際の性能手段と所望の性能手段との間の差を減少させるように新しいまたは更新されたボディバイアスレベルを調整、プログラム、または設定する。次に、処理は、553に戻り、実際の性能手段に対する新しいボディバイアスレベルの影響をチェックする。処理は、必要に応じ、無期限か所定の回数を継続し得る。
【0101】
性能手段(たとえば、動作速度、スループット、消費電力など)をチェックすることに加え、PLD内の一つ以上のパーツまたは回路の温度レベルをチェックし得る。図13は、温度レベルを考慮に入れ、ボディバイアスレベルを調整、プログラム、または設定する処理または技術の流れ図を示す。上記の通り、制御回路136などの適切な回路網(または、回路網およびソフトウェアまたはファームウェアとの組み合わせ)を使用することによって、処理または技術をインプリメントし得る。
【0102】
550において、処理は、PLD内の所望のトランジスタ、回路、ブロックなどの初期ボディバイアスレベルを設定、プログラム、または、調整する。553において、処理は、性能手段を得る。上記のとおり、性能手段は、幅広いパラメータまたは変数を含み得る。当業者が理解するように、性能手段の選択は、PLDがインプリメントする回路またはシステムのための設計よび性能仕様などの要因に依存する。
【0103】
その後、553Aにおいて、処理は、温度レベルを得る。上記のとおり、PLDの種々のパーツから一つ以上の温度レベルを得、チェックし得る。例示的実施形態において、任意の識別されたクリティカルパス、または、一般に、比較的に高消費電力および従って比較的に高温度レベルを有し得る任意の回路網から温度レベルを得られ得る。
【0104】
556Aにおいて、処理は、実際の性能手段が所望または指定の基準を満たすかどうかの判断のためチェックする。さらに、処理は、実際の温度レベルが所望または指定の基準を満たすかどうか(たとえば、実際の温度が所定の範囲内にあるかまたはスレショルドレベル以下に落ちるかどうか)の判断のためチェックする。
【0105】
559において、両方ともの条件が当てはまる場合、処理はボディバイアスレベルを不変のままにする。しかし、両方ともの条件が当てはまらない場合、562において、処理は、実際の性能手段と所望の性能手段との間の差および実際の温度レベルと所望または所定の温度レベルとの差を減らすように、新しいまたは更新されたボディバイアスレベルを調整、プログラム、または設定する。次に、処理は、553に戻り、実際の性能手段、および温度レベルに対する新しいボディバイアスレベルの影響をチェックする。処理は、必要に応じ、無期限か所定の回数を継続し得る。
【0106】
その他の実施形態において、PLDがインプリメントする回路またはシステムの動作環境に応答または依存して、ボディバイアスレベルを調整、プログラムまたは設定し得る。たとえば、通信ネットワークのコントローラまたはルータを実現するために、発明に従うPLDを使用すると仮定されたい。動作時、PLDは、コントローラまたはルータが動作する環境の条件または特性についての情報を得られ得る。」
エ「【0176】
一般に、必要に応じ、また、本発明の記述からメリットを享受する当業者は理解するように、発明コンセプトを、当業界で他の名前で公知の種々のプログラマブルロジック回路網またはICへ効果的に適用し得ることに注意されたい。そのような回路網は、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として公知のデバイスを含む。」
(2)引用発明1及び2
ア 引用発明1(物の発明)
上記(1)の引用文献1の記載及び当該技術分野における技術常識より、引用文献1には下記の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であって、
該FPGAは、
該FPGA内の一つ以上の回路における温度を感知し、温度信号506を減算器509に供給する一つ以上の温度センサ503と、
基準信号515を該温度信号506から減じ、差信号518をボディバイアスジェネレータ430に供給する減算器509と、
該差信号518に応答して、ボディバイアス信号435を生成し、該ボディバイアス信号435を、前記一つ以上の回路内のトランジスタ440A~440Dに提供するボディバイアスジェネレータ430と、
を含む、
FPGA。」
イ 引用発明2(方法の発明)
上記(1)の引用文献1の記載及び当該技術分野における技術常識より、引用文献1には下記の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を動作させる方法であって、
該方法は、
温度センサ503が、該FPGA内の一つ以上の回路における温度を感知し、温度信号506を減算器509に供給することと、
減算器509が、基準信号515を該温度信号506から減じ、差信号518をボディバイアスジェネレータ430に供給することと、
ボディバイアスジェネレータ430が、該差信号518に応答して、ボディバイアス信号435を生成し、該ボディバイアス信号435を、前記一つ以上の回路内のトランジスタ440A~440Dに提供することと、
を含む、方法。」
2 引用文献2の記載事項
本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であり、当審拒絶理由において「引用文献2」として引用された、特開2007-201455号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア「【請求項1】
電源回路を有し、前記電源回路が供給する電力値と前記電源回路の電源効率値を用いて前記電源回路からの供給電圧を補正する手段を備えることを特徴とする半導体集積回路装置。
・・・
【請求項25】
前記電源回路が供給する電圧値は上限値及び下限値が設定されていることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項26】
前記上限値及び下限値は被電源供給回路からの情報で決定されることを特徴とする請求項25記載の半導体集積回路装置。
・・・
【請求項40】
前記電源回路の電力供給先は、半導体集積回路の基板電圧であることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。」
イ「【0069】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の構成を示すブロック図である。図1において、電池あるいはAC電源1Aから電源供給がなされ、DC電圧生成回路1Bにおいて直流電圧に整流され、電源回路1C及び電力検知補正回路1Dを介して被電源供給回路である半導体集積回路1Eに電圧が供給される。
【0070】
電源回路1Cには2つのレギュレータ回路11C及び21Cが内蔵されている。一般にDC電圧生成回路1Bと電源回路1Cはセットで1チップ化されているのが普通であるが、ここでは説明の都合上2つに分離している。
【0071】
電源回路1Cからは被電源供給回路である半導体集積回路1Eに電源電圧とPMOSもしくはNMOSの基板電圧が供給される。この場合、レギュレータ回路11Cから電源電圧が供給され、レギュレータ回路21CからPMOSの基板電圧が供給される。
【0072】
レギュレータ回路11Cは、最大値12Cと接地間を抵抗R1a及びR1bで分割した電位を基準電圧として、その基準電圧と同じ電圧値になるように半導体集積回路1Eに電圧を供給する。
【0073】
最大値12Cは、半導体集積回路1E内部の検知回路群において、信号線干渉による誤動作を検知するクロストーク検知回路、トランジスタのゲート耐圧を検知する耐圧検知回路、半導体集積回路内の温度を動的に検知する温度検知回路により決定された最大許容電圧値に設定される。
【0074】
検知回路群は上記以外でもあっても良いし、すべて備えていないといけない訳でもない。要は、最大値12Cは過剰電圧により半導体集積回路1Eが誤動作または破壊を起こすことを避けるための電圧値である。
【0075】
R1bは可変抵抗であり、基準電圧が最小電圧値を下回らないように抵抗値が制御される。その抵抗値は、半導体集積回路1E内部の検知回路群において、放射線によるソフトエラーを検知するソフトエラー検知回路、SRAMやドミノ回路やCMOS回路などのDCノイズマージンを検知するノイズマージン検知回路、低電圧で集積回路の動作が誤動作を起こすのを検知するフェイル検知回路、温度検知回路により決定される。
【0076】
要は、この最小電圧値は過小電圧により半導体集積回路1Eが誤動作を起こすことを避けるための電圧値である。半導体集積回路1Eの最大電圧と最小電圧が事前に分かっている場合は、R1bは可変抵抗でなくても良い。
【0077】
レギュレータ回路21Cは、最大値22Cと接地間を抵抗R2a及びR2bで分割した電位を基準電圧として、その基準電圧と同じ電圧値になるように半導体集積回路1Eに基板電圧を供給する。
【0078】
最大値22Cは、半導体集積回路1E内部の検知回路において、経年劣化を監視する劣化検知回路で決定された最大許容電圧値に設定される。
【0079】
検知回路は上記以外でもあっても良いし、すべて備えていないといけない訳でもない。要は、最大値22Cは過大電圧により半導体集積回路1Eが過剰な劣化を起こさないようにするための電圧値である。
【0080】
R2bは可変抵抗であり、基準電圧が最小電圧値を下回らないように抵抗値が制御される。その抵抗値は、半導体集積回路内の寄生バイポーラによる過電流を検知するラッチアップ検知回路により決定される。
【0081】
要は、この最小電圧値は半導体集積回路内に過電流を流すことを避けるための電圧値である。半導体集積回路1Eの最大電圧と最小電圧が事前に分かっている場合は、R2bは可変抵抗でなくても良い。
【0082】
ここで、基板電圧に印加する最大、最小の電圧値はPMOSの場合を説明した。NMOSでは最大、最小の電圧値を決定する検知回路は逆に接続される。また、NMOSの基板電圧を供給する場合は、最大値22Cとある負電圧間で抵抗R2a及びR2bで分割された電位を基準電圧とする。」
3 引用文献3の記載事項
本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であり、原査定の理由において「引用文献2」として引用され、当審拒絶理由において「引用文献3」として引用された、特開2002-041160号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0005】このような不都合を回避するために、IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL. 31, NO. 11, NOVEMBER 1996では、図8に示すように、MOS素子で構成されるCMOS半導体回路101に対するしきい値電圧制御回路102を提案している。
【0006】このしきい値電圧制御回路102は、温度検知回路103と、電源電圧変化検知回路104と、製造ばらつき検知回路105と、基板電圧制御回路106と、基板電圧発生回路107とを具える。
【0007】温度検知回路103は、温度T1についての情報を有する信号が入力されるとともに、それに応じた信号を基板電圧制御回路106に出力する。電源電圧変化検知回路104は、電源電圧変化S1についての情報を有する信号が入力されるとともに、それに応じた信号を基板電圧制御回路106に出力する。製造ばらつき検知回路105は、製造ばらつきM1についての情報を有する信号が入力されるとともに、それに応じた信号を基板電圧制御回路106に出力する。
【0008】基板電圧制御回路106には待機信号W1も入力される。基板電圧制御回路106は、入力された信号に基づいて、基板電圧発生回路107を制御するための信号を出力する。
【0009】基板電圧発生回路107は、CMOS半導体回路101のMOS素子の基板端子の電圧を加減して、MOS素子自体のしきい値電圧を動作時と待機時との2モードにおいて加減する。これによって、待機時の漏れ電流による電力損失が抑制される。」
4 引用文献4の記載事項
本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であり、当審拒絶理由において「引用文献4」として引用された、特開2008-104215号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0028】
動作時の基板バイアス信号VBP、VBNの電位は特に限定しないが、回路ブロックCKTを高速動作させるためには、VBPには低い電圧(例えばVDDまたはそれ以下の電圧)を、VBNには高い電圧(例えばVSSまたはそれ以上の電圧)を印加すればよい。さらには、回路ブロックCKTに要求される動作速度に応じて、最適な電位を基板バイアス信号VBP、VBNに印加してもよい。図8や図11では回路ブロックCKTの中のインバータINVの構成例を示しているが、これはCMOS論理回路の典型例として示したに過ぎず、図1の回路ブロックに示したような情報保持回路を含む種々の回路に対して適用できることは言うまでない。特に基板バイアス制御において、MOSトランジスタの基板に印加する基板バイアス電圧の値を、プロセスや温度、電源電圧に応じて決定すれば、プロセスばらつきや温度・電源電圧変動を補償でき、VRTNをより小さな値にできる。」
5 引用文献5の記載事項
本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献であり、原査定の理由において「引用文献3」として引用された、特開2007-067275号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。
ア「【0071】
(第6の実施の形態)
図6は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体集積回路装置のブロック図を示している。
【0072】
この半導体集積回路装置では、LSI701の中に、MOSトランジスタの基板端子を電源およびグランドから分離した回路ブロック702A,702Bがあり、その回路ブロック702A,702B内に温度モニタ回路703A,703Bがそれぞれ配置されている。そして、LSI701の内部には、温度モニタ回路703A,703Bに対応して温度判定回路704A,704Bと基板バイアス発生回路705A,705Bとが配置されている。温度判定回路704A,704Bと基板バイアス発生回路705A,705Bは、の何れかはLSI701の外部に配置されていてもよい。
【0073】
温度モニタ回路703A,703Bは、信号線706A,706Bにより温度判定回路704A,704Bへ温度モニタ電圧を出力する。温度判定回路704A,704Bは、温度モニタ電圧に基づいて温度を判定し、信号線707A,707Bにより基板バイアス発生回路705A,705Bへ温度情報を出力する。そして、所定の基板バイアスを基板バイアス発生回路705A,705Bで発生し、基板バイアス配線708A,708Bを通して回路ブロック702A,702Bの基板へ印加する。
【0074】
上記のように、LSI701の内部の回路ブロックを2つ以上の回路ブロック702A,702Bに分け、それぞれに対応した温度モニタ回路703A,703B、温度判定回路704A,704B、基板バイアス発生回路705A,705Bを持っても良い。これにより、回路ブロック702A,702Bの違いによる内部温度の違いや、回路ブロック702A,702Bの特性仕上がりを反映し、各回路ブロック702A,702Bへ最適な基板バイアス電圧を印加することが可能であり、低リーク化効果を大きくすることができる。」
イ 【図6】
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明1との対比
ア 本願発明1と引用発明1は「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)」である点において共通する。
イ 引用発明1における「温度信号506」は「温度の表示」であるといえ、引用発明1における「温度センサ503」は「監視回路」であるといえる。
そうすると、本願発明1における「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対するプロセスの表示と、該少なくとも1つの回路に対する電圧の表示と、該少なくとも1つの回路に対する温度の表示とを提供するように適合された監視回路のセット」と、引用発明1における「該FPGA内の一つ以上の回路における温度を感知し、温度信号506を減算器509に供給する一つ以上の温度センサ503」は、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対する温度の表示を提供するように適合された監視回路のセット」である点において共通し、後述する相違点1において相違するといえる。
ウ 本願発明1における「該少なくとも1つの回路内の少なくとも1つのトランジスターにボディバイアス信号を提供するように適合されたボディバイアス生成器」と、引用発明1における「該差信号518に応答して、ボディバイアス信号435を生成し、該ボディバイアス信号435を、前記一つ以上の回路内のトランジスタ440A~440Dに提供するボディバイアスジェネレータ430」は、「該少なくとも1つの回路内の少なくとも1つのトランジスターにボディバイアス信号を提供するように適合されたボディバイアス生成器」である点において共通するといえる。
エ 以上から、本願発明1と引用発明1は、下記(ア)の点において一致し、下記(イ)の点において相違すると認める。
(ア)一致点
「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であって、
該FPGAは、
該FPGA内の少なくとも1つの回路に対する温度の表示を提供するように適合された監視回路のセットと、
該少なくとも1つの回路内の少なくとも1つのトランジスターにボディバイアス信号を提供するように適合されたボディバイアス生成器と
を含む、FPGA。」
(イ)相違点
・相違点1
本願発明1における「監視回路」は、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対するプロセスの表示」及び「該少なくとも1つの回路に対する電圧の表示」を提供するように適合されたものであるのに対し、引用発明1は、「監視回路」(温度センサ503)が、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対するプロセスの表示」及び「該少なくとも1つの回路に対する電圧の表示」を提供するように適合されたものであるとは特定しない点。
・相違点2
本願発明1は、「該少なくとも1つの回路に対する該プロセスの表示と、該少なくとも1つの回路に対する該電圧の表示と、該少なくとも1つの回路に対する該温度の表示とから該少なくとも1つの回路に対するボディバイアス値の範囲を導出するように適合されたコントローラ」を有し、かつ、「該ボディバイアス信号は、該ボディバイアス値の範囲内の値を有する」のに対し、引用発明1は、これらの構成を特定しない点。
(2)判断
相違点2について検討する。
引用文献2ないし5の記載事項は上記第5の2ないし5において摘記したとおりであって、相違点2に係る構成については、記載も示唆もされていない。
この点に関し、上記第5の2ア及びイに摘記したとおり、引用文献2の【請求項25】には、電源回路が供給する電圧値は上限値及び下限値が設定されていることが記載され、【請求項26】には、前記上限値及び下限値は被電源供給回路からの情報で決定されることが記載され、【請求項40】には、電源回路の電力供給先が半導体集積回路の基板電圧であることが記載され、段落【0078】ないし【0081】には、半導体集積回路に供給する基板電圧の最大値を、半導体集積回路内部において経年劣化を監視する劣化検知回路で決定された最大許容電圧値に設定することが記載されている。しかしながら、引用文献2に記載された発明において、電源回路が供給する「電源電圧」又は「基板電圧」の範囲(上限値及び下限値)を、「回路に対する電圧」に基づいて導出する動機付けは存在せず、また、引用文献2には、「『ボディバイアス値』(基板電圧とソース電圧の差)の範囲を導出する」ことは記載も示唆もされていない。したがって、引用発明1に対して引用文献2に記載された発明を適用することによって相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2ないし11について
本願発明2ないし11は、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1が引用発明1及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本願発明2ないし11は、引用発明1及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明12について
(1)本願発明12と引用発明2との対比
ア 本願発明12と引用発明2は「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を動作させる方法」である点において共通する。
イ 引用発明2における「温度信号506」は「温度についての情報を提供する監視信号」であるといえる。
また、引用発明2における「温度センサ503が、該FPGA内の一つ以上の回路における温度を感知し、温度信号506を減算器509に供給すること」は、「減算器509が、温度信号506を受信すること」であるといえる。
そうすると、本願発明12における「該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連するプロセスについての情報と、該少なくとも1つの回路に関連する電圧についての情報と、該少なくとも1つの回路に関連する温度についての情報とを提供する監視信号を受信すること」と、引用発明2における「温度センサ503が、該FPGA内の一つ以上の回路における温度を感知し、温度信号506を減算器509に供給すること」は、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連する温度についての情報を提供する監視信号を受信すること」である点において共通し、後述する相違点3において相違するといえる。
ウ 引用発明2における「ボディバイアスジェネレータ430が、該差信号518に応答して、ボディバイアス信号435を生成し、該ボディバイアス信号435を、前記一つ以上の回路内のトランジスタ440A~440Dに提供すること」は、後述する相違点4を除き、本願発明12の「該少なくとも1つの回路内の少なくとも1つのトランジスターに該ボディバイアス信号を適用すること」に相当するといえる。
エ 以上から、本願発明12と引用発明2は、下記(ア)の点において一致し、下記(イ)の点において相違すると認める。
(ア)一致点
「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を動作させる方法であって、
該方法は、
該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連する温度についての情報を提供する監視信号を受信することと、
該少なくとも1つの回路内の少なくとも1つのトランジスターにボディバイアス信号を適用することと
を含む、方法。」
(イ)相違点
・相違点3
本願発明12は、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連するプロセスについての情報」及び「該少なくとも1つの回路に関連する電圧についての情報」を提供する「監視信号」を受信するのに対し、引用発明2は、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連するプロセスについての情報」及び「該少なくとも1つの回路に関連する電圧についての情報」を提供する「監視信号」を受信するとは特定しない点。
・相違点4
本願発明12は、「該プロセスについての情報と該電圧についての情報と該温度についての情報とに少なくとも基づいてボディバイアス値の範囲を決定すること」及び「該ボディバイアス値の範囲内の値を有するボディバイアス信号を生成すること」を含むのに対し、引用発明2は、これらの構成を特定しない点。
(2)判断
相違点4について検討する。
引用文献2ないし5の記載事項は上記第5の2ないし5において摘記したとおりであって、相違点4に係る構成については、記載も示唆もされていない。
この点に関し、上記第5の2ア及びイに摘記したとおり、引用文献2の【請求項25】には、電源回路が供給する電圧値は上限値及び下限値が設定されていることが記載され、【請求項26】には、前記上限値及び下限値は被電源供給回路からの情報で決定されることが記載され、【請求項40】には、電源回路の電力供給先が半導体集積回路の基板電圧であることが記載され、段落【0078】ないし【0081】には、半導体集積回路に供給する基板電圧の最大値を、半導体集積回路内部において経年劣化を監視する劣化検知回路で決定された最大許容電圧値に設定することが記載されている。しかしながら、引用文献2に記載された発明において、電源回路が供給する「電源電圧」又は「基板電圧」の範囲(上限値及び下限値)を、「(少なくとも一つの回路に関連する)電圧についての情報」に基づいて導出する動機付けは存在せず、また、引用文献2には、「『ボディバイアス値』(基板電圧とソース電圧の差)の範囲を導出する」ことは記載も示唆もされていない。したがって、引用発明2に対して引用文献2に記載された発明を適用することによって相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
よって、相違点3について検討するまでもなく、本願発明12は、引用発明2及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本願発明13ないし16について
本願発明13ないし16は、本願発明12をさらに限定したものであるから、本願発明12が引用発明2及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本願発明13ないし16は、引用発明2及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
5 本願発明17について
(1)本願発明17と引用発明1との対比
ア 本願発明17と引用発明1は「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)」である点において共通する。
イ 引用発明1における「温度信号506」は「温度の表示」であるといえ、引用発明1における「温度センサ503」は「監視回路」であるといえる。
そうすると、本願発明17における「該FPGA内の第1の回路および第2の回路に対するプロセスの表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する電圧の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する温度の表示とをそれぞれ提供するように適合された第1の監視回路および第2の監視回路」と、引用発明1における「該FPGA内の一つ以上の回路における温度を感知し、温度信号506を減算器509に供給する一つ以上の温度センサ503」は、「該FPGA内の回路に対する温度の表示を提供するように適合された監視回路」である点において共通し、後述する相違点5において相違するといえる。
ウ 本願発明17における「該第1の回路および該第2の回路内の少なくとも1つのトランジスターに第1のボディバイアス信号および第2のボディバイアス信号をそれぞれ提供するように適合されたボディバイアス生成器」と、引用発明1における「該差信号518に応答して、ボディバイアス信号435を生成し、該ボディバイアス信号435を、前記一つ以上の回路内のトランジスタ440A~440Dに提供するボディバイアスジェネレータ430」は、「回路内の少なくとも1つのトランジスターにボディバイアス信号を提供するように適合されたボディバイアス生成器」である点において共通し、後述する相違点6において相違するといえる。
エ 以上から、本願発明17と引用発明1は、下記(ア)の点において一致し、下記(イ)の点において相違すると認める。
(ア)一致点
「フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であって、
該FPGAは、
該FPGA内の回路に対する温度の表示を提供するように適合された監視回路と、
回路内の少なくとも1つのトランジスターにボディバイアス信号を提供するように適合されたボディバイアス生成器と
を含む、FPGA。」
(イ)相違点
・相違点5
本願発明17は、「第1の回路」及び「第2の回路」のそれぞれについて、「プロセスの表示」、「電圧の表示」及び「温度の表示」を提供するように適合された、「第1の監視回路」及び「第2の監視回路」を含むのに対し、引用発明1は、「監視回路」(温度センサ503)が、「第1の回路」及び「第2の回路」のそれぞれについて設けられるとは特定せず、また、「監視回路」(温度センサ503)が、「プロセスの表示」及び「電圧の表示」を提供するとは特定しない点。
・相違点6
本願発明17は、「ボディバイアス生成器」が「第1の回路」に対して「第1のボディバイアス信号」を提供し、「第2の回路」に対して「第2のボディバイアス信号」を提供するのに対し、引用発明1は、「ボディバイアス生成器」(ボディバイアスジェネレータ430)が、「第1の回路」に対して「第1のボディバイアス信号」を提供し、「第2の回路」に対して「第2のボディバイアス信号」を提供するとは特定しない点。
・相違点7
本願発明17は、「該第1の回路および該第2の回路に対する該プロセスの表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する該電圧の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する該温度の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する構成情報とから、該第1の回路および該第2の回路に対するボディバイアス値の第1の範囲および第2の範囲をそれぞれ導出するように適合されたコントローラ」を有し、かつ、「該第1のボディバイアス信号および該第2のボディバイアス信号は、該第1の回路および該第2の回路の該ボディバイアス値のそれぞれの範囲内の値を有する」のに対し、引用発明1は、これらの構成を特定しない点。
(2)判断
相違点7について検討する。
引用文献2ないし5の記載事項は上記第5の2ないし5において摘記したとおりであって、相違点7に係る構成については、記載も示唆もされていない。
この点に関し、上記第5の2ア及びイに摘記したとおり、引用文献2の【請求項25】には、電源回路が供給する電圧値は上限値及び下限値が設定されていることが記載され、【請求項26】には、前記上限値及び下限値は被電源供給回路からの情報で決定されることが記載され、【請求項40】には、電源回路の電力供給先が半導体集積回路の基板電圧であることが記載され、段落【0078】ないし【0081】には、半導体集積回路に供給する基板電圧の最大値を、半導体集積回路内部において経年劣化を監視する劣化検知回路で決定された最大許容電圧値に設定することが記載されている。しかしながら、引用文献2に記載された発明において、電源回路が供給する「電源電圧」又は「基板電圧」の範囲(上限値及び下限値)を、「回路に対する電圧の表示」に基づいて導出する動機付けは存在せず、また、引用文献2には、「『ボディバイアス値』(基板電圧とソース電圧の差)の第1の範囲及び第2の範囲を導出する」ことは記載も示唆もされていない。したがって、引用発明1に対して引用文献2に記載された発明を適用することによって相違点7に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
よって、相違点5及び6について検討するまでもなく、本願発明17は、引用発明1及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 本願発明18ないし20について
本願発明18ないし20は、本願発明17をさらに限定したものであるから、本願発明17が引用発明1及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本願発明18ないし20は、引用発明1及び引用文献2ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
7 対比・判断のまとめ
上記1ないし6のとおり、本願発明1ないし20は、引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定の理由についての判断
上記第6の7のとおり、本願発明1ないし20は、引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、本願発明1ないし20は引用文献1、3及び5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許を受けることができないとした原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
第8 当審拒絶理由について
1 理由1(進歩性)について
上記第6の7のとおり、本願発明1ないし20は、引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、本願発明1ないし20は引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許を受けることができないとした当審拒絶理由の「理由1」によっては、本願を拒絶することはできない。
2 理由2(明確性)について
(1)当審拒絶理由の2.(1)において、請求項1に「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対するプロセス、電圧、および温度の表示を提供するように適合された監視回路のセットと、」と記載されているが、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対する」との連文節(修飾部)が、「プロセス」のみを修飾しているのか、それとも「プロセス、電圧および温度」の全体を修飾しているのかが明確でなく、また、請求項1の「該少なくとも1つの回路に対するプロセス、電圧、および温度の該表示から該少なくとも1つの回路に対するボディバイアス値の範囲を導出するように適合されたコントローラと、」との記載、請求項12の「該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連するプロセス、電圧および温度についての情報を提供する監視信号を受信することと、」との記載、請求項17の「それぞれ、該FPGA内の第1および第2の回路に対するプロセス、電圧、および温度の表示を提供するように適合された第1および第2の監視回路と、」との記載、及び請求項17の「該第1および第2の回路に対するプロセス、電圧、および温度の該表示と、該第1および第2の回路に対する構成情報とから該第1および第2の回路に対するそれぞれのボディバイアス値の第1および第2の範囲を導出するように適合されたコントローラと、」との記載についても、同様の理由により明確でない旨が指摘された
これに対し、平成29年10月26日付けの手続補正により、請求項1の「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対するプロセス、電圧、および温度の表示を提供するように適合された監視回路のセットと、」との記載が、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に対するプロセスの表示と、該少なくとも1つの回路に対する電圧の表示と、該少なくとも1つの回路に対する温度の表示とを提供するように適合された監視回路のセットと、」に補正されたことによって、「少なくとも1つの回路に対する」との文節が、「プロセス」、「電圧」及び「温度」の全てを修飾していることが明確となった。
また、同手続補正により、請求項1の「該少なくとも1つの回路に対するプロセス、電圧、および温度の該表示から該少なくとも1つの回路に対するボディバイアス値の範囲を導出するように適合されたコントローラと、」との記載が、「該少なくとも1つの回路に対する該プロセスの表示と、該少なくとも1つの回路に対する該電圧の表示と、該少なくとも1つの回路に対する該温度の表示とから該少なくとも1つの回路に対するボディバイアス値の範囲を導出するように適合されたコントローラと、」に補正され、請求項12の「該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連するプロセス、電圧および温度についての情報を提供する監視信号を受信することと、」との記載が、「該FPGA内の少なくとも1つの回路に関連するプロセスについての情報と、該少なくとも1つの回路に関連する電圧についての情報と、該少なくとも1つの回路に関連する温度についての情報とを提供する監視信号を受信することと、」に補正され、請求項17の「それぞれ、該FPGA内の第1および第2の回路に対するプロセス、電圧、および温度の表示を提供するように適合された第1および第2の監視回路と、」との記載が、「該FPGA内の第1の回路および第2の回路に対するプロセスの表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する電圧の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する温度の表示とをそれぞれ提供するように適合された第1の監視回路および第2の監視回路」に補正され、請求項17の「該第1および第2の回路に対するプロセス、電圧、および温度の該表示と、該第1および第2の回路に対する構成情報とから該第1および第2の回路に対するそれぞれのボディバイアス値の第1および第2の範囲を導出するように適合されたコントローラと、」との記載が、「該第1の回路および該第2の回路に対する該プロセスの表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する該電圧の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する該温度の表示と、該第1の回路および該第2の回路に対する構成情報とから、該第1の回路および該第2の回路に対するボディバイアス値の第1の範囲および第2の範囲をそれぞれ導出するように適合されたコントローラと、」に補正されたことによって、「・・・に対する」又は「・・・に関連する」との文節が、「プロセス」、「電圧」及び「温度」の全てを修飾していることが明確となった。
よって、当審拒絶理由の2.(1)に記載した拒絶の理由は、解消した。
(2)当審拒絶理由の2.(2)において、請求項12に「少なくとも部分的にプロセス、電圧および温度についての該情報に基づいてボディバイアス値の範囲を決定することと、」と記載されているが、「プロセス、電圧および温度についての情報のうち、少なくとも一部に基づいてボディバイアス値の範囲を決定する」という意味であるのか、それとも、「少なくともプロセス、電圧および温度についての情報に基づいて、ボディバイアス値の範囲を決定する」という意味であるのかが明確でない旨が指摘された。
これに対し、平成29年10月26日付けの手続補正により、請求項12の「少なくとも部分的にプロセス、電圧および温度についての該情報に基づいてボディバイアス値の範囲を決定することと、」との記載が、「該プロセスについての情報と該電圧についての情報と該温度についての情報とに少なくとも基づいてボディバイアス値の範囲を決定することと、」に補正され、記載の意味が明確となった。
よって、当審拒絶理由の2.(2)に記載した拒絶の理由は、解消した。
(3)当審拒絶理由の2.(3)において、請求項15の「供給電圧ついての情報」なる記載の意味が不明である旨が指摘された。
これに対し、平成29年10月26日付けの手続補正により、請求項15の「供給電圧ついての情報」との記載が、「供給電圧についての情報」に補正され、記載の意味が明確となった。
よって、当審拒絶理由の2.(3)に記載した拒絶の理由は、解消した。
(4)当審拒絶理由の2.(4)において、請求項17に「該ボディバイアス信号は、該第1および第2の回路の該ボディバイアス値のそれぞれの範囲内の値を有する、」と記載されているが、「該ボディバイアス信号」が「第1のボディバイアス信号」、「第2のボディバイアス信号」のいずれを指し示しているのかが不明確である旨が指摘された。
これに対し、平成29年10月26日付けの手続補正により、「該ボディバイアス信号は、該第1および第2の回路の該ボディバイアス値のそれぞれの範囲内の値を有する、」との記載が、「該第1のボディバイアス信号および該第2のボディバイアス信号は、該第1の回路および該第2の回路の該ボディバイアス値のそれぞれの範囲内の値を有する、」に補正され、「該第1のボディバイアス信号」および「該第2のボディバイアス信号」が指し示しているものが明確となった。
よって、当審拒絶理由の2.(4)に記載した拒絶の理由は、解消した。
(5)以上のとおり、当審拒絶理由の「2.理由2(明確性)について」に記載した拒絶の理由は、いずれも解消した。
したがって、当審拒絶理由の「理由2」によっては、本願を拒絶することはできない。
第9 結言
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-019194