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特許拒絶査定不服審判

2016-018817

表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法

審判番号
2016-018817
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-113230外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月15日
審決日
2017年06月06日
公報発行日
2017年07月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G01N)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-113230「表面欠陥検査装置及び表面欠陥検査方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月28日出願公開、特開2013-238560、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許出願: 平成24年5月17日 拒絶査定: 平成28年10月26日(送達日:同年同月31日) 拒絶査定不服審判の請求: 平成28年12月15日 手続補正: 平成28年12月15日 第2 原査定の概要 原査定(平成28年10月26日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.本願請求項1-3,5-8,10に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開平6-74728号公報 2.特開2000-121569号公報 第3 本願発明 本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成28年12月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 パイプ形状を含む丸棒の外周面の疵や汚れによる表面欠陥を検出する表面欠陥検査装置において、 該丸棒の軸の方向から、該軸から5度~45度の仰角を有して該丸棒の該外周面の検査点にレーザ光を照射するレーザ光源と、 該丸棒の外周面で反射した反射レーザ光を受光する複数の受光センサと、 該複数の受光センサが受光量に基づいて該表面欠陥を検出する表面欠陥検出手段とを備え、 該複数の受光センサが、該丸棒の外周の外縁に沿うように升目状に配置され、 該表面欠陥検出手段が、該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射したレーザ光の反射リングの位置を検出し、 該反射リングの位置にある該受光センサの受光量と、該反射リングの位置にある該受光センサに隣接する該受光センサの受光量との差が所定以上の場合、該差の部分を該表面欠陥による乱反射として、該表面欠陥を検出することを特徴とする表面欠陥検査装置。 【請求項2】 前記表面欠陥検出手段が、 前記反射リングが該反射リングの径方向に隣接する複数の受光センサ上に位置する場合、 該隣接する受光センサの受光量の合計値から、該受光センサの位置を検出すると共に、 該隣接する受光センサの受光量の合計値を、該反射リングの位置にある1つの該受光センサの受光量と見なすことを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置。 【請求項3】 前記表面欠陥検出手段が、前記丸棒の軸方向に所定距離離れた異なる前記検査点に順次レーザ光を照射し、それぞれの該検査点での前記反射リングの位置の前記複数の受光センサの受光量を比較することで、前記表面欠陥を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の表面欠陥検査装置。 【請求項4】 前記表面欠陥検出手段が、前記複数の受光センサのうちの同一の該受光センサの前記それぞれの検査点での受光量を比較し、前記表面欠陥を検出することを特徴とする請求項3記載の表面欠陥検査装置。 【請求項5】 パイプ形状を含む丸棒の外周面の疵や汚れによる表面欠陥を検出する表面欠陥検査装置において、 該丸棒の軸の方向から、該軸から5度~45度の仰角を有して該丸棒の該外周面の検査点にレーザ光を照射するレーザ光源と、 該丸棒の外周面で反射した反射レーザ光を受光する複数の受光センサと、 該複数の受光センサが受光量に基づいて該表面欠陥を検出する表面欠陥検出手段とを備え、 該複数の受光センサが、該丸棒の外周の外縁に沿うように升目状に配置され、 該表面欠陥検出手段が、該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射したレーザ光の反射リングの位置を検出し、 該反射リングの位置にある該受光センサの受光量と、該反射リングの位置ではない該受光センサの受光量との差が所定以下の場合、該差のない部分を該表面欠陥による乱反射として、該表面欠陥を検出することを特徴とする表面欠陥検査装置。 【請求項6】 パイプ形状を含む丸棒の外周面の疵や汚れによる表面欠陥を検出する表面欠陥検査方法において、 該丸棒の軸の方向から、該軸から5度~45度の仰角を有して該丸棒の該外周面の検査点にレーザ光を照射し、 該丸棒の検査点で反射した反射レーザ光を、該丸棒の外周の外縁に沿うように升目状に配置された複数の受光センサで受光し、 該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射した反射レーザ光の反射リングの位置を検出し、 該反射リングの位置にある該受光センサの受光量と、該反射リングの位置にある該受光センサに隣接する該受光センサの受光量との差が所定以上の場合、該差の部分を該表面欠陥による乱反射として、該表面欠陥を検出することを特徴とする表面欠陥検査方法。 【請求項7】 前記反射リングが、該反射リングの径方向に隣接する複数の受光センサ上に位置する場合、該隣接する受光センサの受光量の合計値から、該受光センサの位置を検出すると共に、 該隣接する受光センサの受光量の合計値を、該反射リングの位置にある1つの該受光センサの受光量と見なすことを特徴とする請求項6記載の表面欠陥検査方法。 【請求項8】 前記丸棒の軸方向に所定距離離れた異なる前記検査点に順次レーザ光を照射し、それぞれの該検査点での前記反射リングの位置の前記複数の受光センサの受光量を比較することで、前記表面欠陥を検出することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の表面欠陥検査方法。 【請求項9】 前記複数の受光センサのうちの同一の該受光センサの前記それぞれの検査点での受光量を比較し、前記表面欠陥を検出することを特徴とする請求項8記載の表面欠陥検査方法。 【請求項10】 パイプ形状を含む丸棒の外周面の疵や汚れによる表面欠陥を検出する表面欠陥検査方法において、 該丸棒の軸の方向から、該軸から5度~45度の仰角を有して該丸棒の該外周面の検査点にレーザ光を照射し、 該丸棒の検査点で反射した反射レーザ光を、該丸棒の外周の外縁に沿うように升目状に配置された複数の受光センサで受光し、 該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射した反射レーザ光の反射リングの位置を検出し、 該反射リングの位置にある該受光センサの受光量と、該反射リングの位置ではない該受光センサの受光量との差が所定以下の場合、該差のない部分を該表面欠陥による乱反射として、該表面欠陥を検出することを特徴とする表面欠陥検査方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。) 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、光線を送電線に照射することにより送電線に形成される照射像から送電線の素線切れを検出する送電線の素線切れ検出方法及びその装置に関する。」 「【0016】[実施例1]図2は本発明に係る素線切れ検出装置の第1実施例の正断面図である。図示するように、送電線7は多数の細い素線7aを撚り合わせて形成されており、この送電線7は図示しない例えば多数の鉄塔に沿って吊り下げられて設けられている。そして、送電線7に素線切れの有無を検査するために素線切れ検出装置が着脱自在に取り付けられる。この素線切れ検出装置は、シールドボックス状に形成されて暗箱となった本体1を有しており、この本体1は送電線7を本体内の前後方向に貫通させることにより取り付けられている。本体1内の前端部及び後端部には、それぞれ送電線7を挟持すると共にその回転軸が送電線7の長さ方向と直交するように取り付けられた車輪8、8が一対ずつ設けられており、本体1を送電線7に沿って前後方向に走行自在とするように構成されている。 ・・・ 【0019】また、本体1内には、送電線7と交差するようにスリット光を照射するダブルスリット光源系31と、この光源系31より送電線7に照射された光線の反射光を撮影する例えばテレビカメラのような撮像系5と、この撮像系5からの信号を適宜処理して結果を記録する信号処理系6とが設けられている。」 「【0022】信号処理系6は、伝達された画像信号を、A/D変換してデジタル信号にし、スリット像の形状を抽出し、これを細線化し、予め定められた標準値と比較して比較結果を記録するように構成されている。具体的には、図3に示すように、この信号処理系6は、テレビカメラ5からのアナログ信号よりなる画像信号をデジタル信号に変換するAD変換器12と、コンピュータや専用のデジタル信号処理装置で構成されデジタル信号からスリット像部分を2値化処理により抽出する2値化器13と、ソフトウェアまたは専用のハードウェアによりスリット像部分を細線化する細線化器14と、細線化器14の出力値と予め定められた標準値とを比較して素線の切断が存在するか否か判定する判定処理器14と、この処理器14からの結果を記録する記録器16とにより主に構成されている。」 「【0026】なお、・・・また、実施例においては、スリット光を発生させるために光源2、凸レンズ3及びスリット4よりなる光源系31を用いたが、これに限定されることなく、例えば光源系の光源としてスポット光の発生が可能なレーザ光源を使用し、振動装置に取り付けられた平板状の鏡にレーザ光源からのスポット光を当てるようにしても良い。これによれば、レーザ光源から発せられたスポット光は、振動装置によって高速に振動された鏡により反射されて送電線上を走査する。すなわち、レーザ光源から発せられた光は、あたかもスリット光のように送電線に照射されることになる。」 上記の記載から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「送電線の素線切れを検出する送電線の素線切れ検出装置において、 送電線7と交差するようにスポット光を照射するレーザ光源と、 送電線7に照射された光線の反射光を撮影する例えばテレビカメラのような撮像系5と、 この撮像系5からの信号を適宜処理して結果を記録する信号処理系6を構成し、素線の切断が存在するか否か判定する判定処理器14と を備える送電線の素線切れ検出装置。」 2.引用文献2について また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2の段落【0014】-段落【0015】、段落【0034】の記載からみて、当該引用文献2には、 「ロッド表面傷検査装置において、ロッドの軸方向に均一な照明光を照射できる照明用光源と、ロッド表面を撮像するCCDカメラとから構成され、ロッド円周方向に近接する画素間で濃淡値差が、予め設定した濃淡値差を越えた画素を、傷として検出するロッド表面傷検査装置。」 という技術的事項が記載されていると認められる。 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明は「送電線の素線切れを検出する」ものであるが、通常、送電線は丸い断面形状を有する丸状部材であるから、引用発明の「送電線の素線切れを検出する送電線の素線切れ検出装置」と、本願発明1の「パイプ形状を含む丸棒の外周面の疵や汚れによる表面欠陥を検出する表面欠陥検査装置」とは、「丸状部材の欠陥を検出する欠陥検査装置」である点で共通する。 また、引用発明の「送電線7と交差するようにスポット光を照射するレーザ光源」と、本願発明1の「該丸棒の軸の方向から、該軸から5度~45度の仰角を有して該丸棒の該外周面の検査点にレーザ光を照射するレーザ光源」とは、「丸状部材の軸の方向から仰角を有して、該丸状部材の外周面にレーザ光を照射するレーザ光源」である点で共通する。 次に、引用発明の「テレビカメラ」は画像を撮像するものであって、複数の受光センサを有しているといえるから、引用発明の「送電線7に照射された光線の反射光を撮影する例えばテレビカメラのような撮像系5」と、本願発明1の「該丸棒の外周面で反射した反射レーザ光を受光する複数の受光センサ」とは、「丸状部材の外周面で反射した反射レーザ光を受光する複数の受光センサ」である点で共通する。 次に、引用発明の「この撮像系5からの信号を適宜処理して結果を記録する信号処理系6を構成し、素線の切断が存在するか否か判定する判定処理器14」と、本願発明1の「該複数の受光センサが受光量に基づいて該表面欠陥を検出する表面欠陥検出手段」とは、「該複数の受光センサが受光量に基づいて該欠陥を検出する欠陥検出手段」である点で共通する。 また、テレビカメラの複数の受光センサは通常縦横に整列して配置されており、これは本願発明1において「該複数の受光センサが、該丸棒の外周の外縁に沿うように升目状に配置され」る点と、「該複数の受光センサが、該丸状部材の外周の外縁に沿うように升目状に配置され」る点で共通する。 してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「丸状部材の欠陥を検出する欠陥検査装置において、 丸状部材の軸の方向から仰角を有して、該丸状部材の外周面にレーザ光を照射するレーザ光源と、 丸状部材の外周面で反射した反射レーザ光を受光する複数の受光センサと、 該複数の受光センサが受光量に基づいて該欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、 該複数の受光センサが、該丸状部材の外周の外縁に沿うように升目状に配置される 該欠陥を検出することを特徴とする欠陥検査装置。」 (相違点) 相違点1:本願発明1は、「パイプ形状を含む丸棒」の「外周面の疵や汚れによる表面欠陥を検出する」のに対し、引用発明は「送電線」の「素線切れ」という欠陥を検出するものである点。 相違点2:本願発明1は、「該丸棒の軸の方向から、該軸から5度~45度の仰角を有して該丸棒の該外周面の検査点に」レーザ光を照射するのに対し、引用発明は「送電線7と交差するように(仰角を有して)スポット光を照射」するものの、その軸からの角度は特定されていない点。 相違点3:本願発明1においては「該表面欠陥検出手段が、該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射したレーザ光の反射リングの位置を検出」するのに対し、引用発明においてはそのような反射リングの位置は検出されない点。 相違点4:本願発明1においては「該反射リングの位置にある該受光センサの受光量と、該反射リングの位置にある該受光センサに隣接する該受光センサの受光量との差が所定以上の場合、該差の部分を該表面欠陥による乱反射として、該表面欠陥を検出する」のに対し、引用発明においてはそのような検出は行われない点。 (2)相違点についての判断 本願発明1の内容に鑑み、上記相違点3について検討する。 相違点3に係る本願発明1の「該表面欠陥検出手段が、該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射したレーザ光の反射リングの位置を検出」するという構成は、引用文献2にも記載されておらず、また周知でもない。 引用文献2には、「ロッド表面を撮像するCCDカメラ」の「ロッド円周方向に近接する画素間で濃淡値差が、予め設定した濃淡値差を越えた画素を、傷として検出する」という技術的事項が記載されているものの、これは「レーザ光の反射リングの位置を検出」するものではない。またそもそも、引用文献1,2のいずれにも、反射光がリングを形成するようにした構成に関する記載も示唆も認められない。 したがって、上記相違点1,2,4について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明5について 本願発明5も、上記相違点3に係る本願発明1の「該表面欠陥検出手段が、該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射したレーザ光の反射リングの位置を検出」するという構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3.本願発明6,10について 本願発明6,10は、それぞれ本願発明1,5に対応する方法の発明であり、上記相違点3に係る本願発明1の「該表面欠陥検出手段が、該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射したレーザ光の反射リングの位置を検出」することに対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 4.本願発明2-4,7-9について 本願請求項2-4,7-9は、本願請求項1または6を直接または間接的に引用するものであるから、本願発明2-4,7-9はいずれも「該表面欠陥検出手段が、該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射したレーザ光の反射リングの位置を検出」するという上記相違点3に係る本願発明1の構成と同一、もしくはそれに対応する構成を備えるものである。したがって、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定について 本願発明1-3,5-8,10は「該表面欠陥検出手段が、該升目状に配置された複数の受光センサのそれぞれの受光量から、該丸棒の外周面で反射したレーザ光の反射リングの位置を検出」するという事項、もしくはそれに対応する事項を有しており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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