意匠拒絶査定不服審判
2016-018707
エアーコンディショナー
- 審判番号
- 2016-018707
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-011867
- 登録番号
- 意匠登録第1579109号(D1579109)
- 請求日
- 2016年12月13日
- 審決日
- 2017年03月28日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ジョンソンコントロールズ ヒタチ エア コンディショニング テクノロジー(ホンコン)リミテッド
- 【請求人代理人】ポレール特許業務法人
- 審判長/審判官
- 審判長 温品 博康
- 審判官 須藤 竜也
- 審判官 江塚 尚弘
- 分類
- D18 .113-WY (D4-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015- 11867「エアーコンディショナー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【 結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【 理 由】
第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)5月28日に出願された,本意匠を意願2015-011865(意匠登録第1550216号)とする関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「エアーコンディショナー」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)
第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似する意匠)に該当するため,同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は,本願の出願日よりも前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,下記の意匠である。
【引用意匠】(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1522679号
(意匠に係る物品,エアーコンディショナー)の意匠
第3 当審の判断
1 両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,いずれも「エアーコンディショナー」であり,一致する。
(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
<共通点>
(A)全体を,側面視略D字の略横長角柱状のフロントケースと,その背面に設けた横長肉厚板状のバックケースからなる,略横長角柱状のエアーコンディショナーとし,
(B)フロントケースの左右両側面に,正面側及び底面側の縁部に沿った細帯状の区画部を設け,
(C)フロントケースの正面下方に,横幅全幅にわたって横長細帯状の暗調子部を設けて,その中央付近に3基のカメラを左右方向に並置し,
(D)フロントケースの正面下方から底面にかけて,左右にわずかな余地部を残し,前後二段で構成されたルーバー部を設け,前方側ルーバー部には左右方向に三分割したルーバーを配した点。
<相違点>
(ア)フロントケースの全体形状に関し,本願意匠は,奥行き寸法が比較的長く,正面側に垂直面が形成され,側面視において上下が略線対称形状であるのに対し,引用意匠は,奥行き寸法が比較的短く,正面側がわずかに膨らんだ凸曲面状であり,側面視において下側がわずかにすぼんだ形状である点,
(イ)フロントケースの左右両側面の形態に関し,本願意匠では,上面側の縁部に沿った細帯状の区画部が設けられているのに対し,引用意匠ではこうした区画部が設けられていない点,
(ウ)フロントケースの左右両側面の形態に関し,引用意匠では,区画部の縁に沿った略L字状又は略逆L字状の暗調子部が設けられているのに対し,本願意匠ではこうした暗調子部が設けられていない点,
(エ)ルーバー部の形状に関し,本願意匠では,後方側ルーバー部に左右方向に三分割したルーバーを配しているのに対し,引用意匠では,横長の1枚のルーバーを配している点。
2 両意匠の類否判断
上記1(1)のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,形態については以下のとおりである。
(1)共通点について
ア 共通点(A)及び(B)は,下記参考意匠1に見られるように,当該物品分野において公然知られた態様であって,需要者に対して新規な印象を与えるものではないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ 共通点(C)に関し,フロントケースの正面下方に,横幅全幅にわたって横長細帯状の暗調子部を設けて,その中央付近にカメラ等を配置した点は,下記参考意匠2(別紙第4の第2ページ上図に掲載された,ルームエアコンの意匠)に見られるように,当該物品分野において公然知られた態様であるから,需要者に対して新規な印象を与えるものではない。
また,3台のカメラを左右に並置した点は,細部に係るものであり,特段目をひく態様とはいえない。
したがって,共通点(C)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
ウ 共通点(D)は,ルーバーを閉じた状態ではさほど目立たないものであり,また,ルーバーを左右方向に三分割した態様や,ルーバー部を前後二段で構成した態様は,下記参考意匠3及び4に見られるように広く知られており,新規な印象を与えるものではないから,これらが相まって生じさせる美感を考慮しても,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
エ 上記アないしウのとおり,共通点(A)ないし(D)が両意匠の類否判断に与える影響はいずれも小さく,共通点全体があいまって生じさせる美感を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
【参考意匠1】(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1461988号
(意匠に係る物品,エアーコンディショナー)の意匠
【参考意匠2】(別紙第4の第2ページ上図参照)
電気通信回線の種類:インターネット
掲載確認日(公知日):2013年6月11日
特許庁検索日:2017年3月6日
掲載者:米国NPOインターネットアーカイブ
(該当ページの掲載者は価格.com)
表題:価格.comマガジン forウーマン 機能は?省エネ性は?各社のハイスペックモデルを徹底チェック 省エネ性がグンとアップ!2013年ルームエアコンカタログ
掲載ページのアドレス:http://web.archive.org/web/20130611003447/http://www.magazine.kakaku.com/mag/woman/kaden/id=1341/
意匠に係る物品:ルームエアコン
【参考意匠3】(別紙第5参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1113498号
(意匠に係る物品,エアーコンディショナー)の意匠
【参考意匠4】(別紙第6参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1389045号
(意匠に係る物品,エアーコンディショナー)の意匠
(2)相違点について
ア 相違点(ア)について検討する。
当該物品分野においては,エアーコンディショナーを壁面に設置した際の突出の程度や態様は需要者の大きな関心事であることから,相違点(ア)は需要者が特に注意をもって観察する部位に係るものである。
また,相違点(ア)に係る部位が意匠全体の中で占める割合は大きく,相違点(ア)は両意匠の骨格を形成するものであるから,視覚的印象に与える影響は大きい。
したがって,相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
イ 相違点(イ)及び(ウ)について検討する。
相違点(イ)及び(ウ)は,いずれも細部に係るものであるから,相違点(イ)及び(ウ)が単独で両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度にとどまるものである。
しかしながら,相違点(イ)及び(ウ)は,フロントケースの縁部に沿った部位に係るものであり,フロントケースの全体形状の相違をより一層強調するものであるといえる。
したがって,相違点(イ)及び(ウ)が相違点(ア)と相まって両意匠の類否判断に与える影響は,大きい。
ウ 相違点(エ)は,ルーバーを閉じた状態ではさほど目立たないものであり,また,ルーバーを左右方向に三分割した態様は,上記参考意匠3に見られるように広く知られており,新規な印象を与えるものではないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
エ 上記アないしウのとおり,相違点(エ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの,相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きく,相違点(イ)及び(ウ)が相違点(ア)と相まって両意匠の類否判断に与える影響も大きい。
(3)小括
上記1(1)のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するものの,両意匠の形態においては,上記2(1)エのとおり,共通点が両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し,上記2(2)エのとおり,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕(りょうが)し,両意匠は,視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。
第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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