特許拒絶査定不服審判
2016-013123
遊びなし連結手段
- 審判番号
- 2016-013123
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-559239外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月01日
- 審決日
- 2017年08月07日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
- 【請求人代理人】三好 秀和
- 【請求人代理人】伊藤 正和
- 【請求人代理人】原 裕子
- 分類
- P18 .121-WY (F16B) / P18 .537-WY (F16B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-559239「遊びなし連結手段」拒絶査定不服審判事件〔2013年9月6日国際公開、WO2013/127992、平成27年5月14日国内公表、特表2015-513651、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2013年3月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年3月2日、ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成27年9月28日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の同年12月16日に手続補正されたが、平成28年5月27日付けで拒絶査定(発送日:同年5月31日、以下「原査定」という。)され、これに対し、同年9月1日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正され、その後、当審において平成29年3月14日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、その指定期間内の同年6月14日に手続補正されたものである。
第2 原査定の概要
本願の平成27年12月16日の手続補正により補正された下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1なしい10
・刊行物1ないし4
請求項1に係る発明と、刊行物1(段落【0046】ないし段落【0048】、図5a)ないし図7b))に記載された発明を対比すると支承面に当接するストッパ面の有無について明記がない点で相違し、その余の点で一致する。
レシーバー部6の端部がストップ32に当接している限りにおいて、ストッパ面と同様であり、さらに凹凸部を用いた連結手段の技術分野において、凹部の端面と凸部の端面を当接させるために凸部に端面を設けることは、従来周知の技術手段に過ぎない(刊行物2(図2の接合端面1a)、刊行物3(図8の側枠4)、刊行物4(図1の接合面35a)等参照)。
よって、上記刊行物2ないし4に記載された周知技術を、刊行物1に記載された発明に適用して、請求項1ないし10に係る発明のようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
刊行物等一覧
1.特表2010-528932号公報
2.特開2001-254712号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2004-332209号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2005-54814号公報(周知技術を示す文献)
第3 当審拒絶理由の概要
1 本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号又は同項第2号に規定する要件を満たしていない。
2 本願の平成28年9月1日の手続補正により補正された請求項1ないし9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
(1)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明は、刊行物Aに記載された発明及び刊行物Bに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)請求項2、3に係る発明について
請求項2,3に係る発明は、刊行物Aに記載された発明及び刊行物Bに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)請求項4ないし9に係る発明ついて
請求項4ないし9に係る発明は、刊行物Aに記載された発明及び刊行物B、Cに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
刊行物等一覧
A.特開2011-43209号公報
B.実願昭54-146229号(実開昭56-65212号)のマイクロ フィルム
C.特表2010-528932号公報 (原査定の刊行物1)
第4 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、平成29年6月14日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
開口(2.2)を介して末端継手(4)を可逆的に受容する受け口部品(2)を有する車両内装トリム部品の連結手段(1)であって、
前記末端継手(4)は、前記末端継手(4)と前記受け口部品(2)との連結状態において前記受け口部品(2)の支承面(2.1)に当接するストッパ面(5)に設けられ、
前記開口(2.2)は、軸方向の厚さ(X1)を有する径方向突出部(2.3)によって画定され、
前記末端継手(4)は、ケーブル(6)を介して前記ストッパ面(5)に締結され、
前記末端継手(4)と前記受け口部品(2)との連結状態において、前記ストッパ面(5)は、前記ケーブル(6)の引張力によって前記径方向突出部(2.3)の支承面(2.1)に当接する連結手段(1)。
【請求項2】
前記径方向突出部(2.3)の厚さ(X1)は、前記末端継手(4)と前記ストッパ面(5)との間隔(X1)に一致する、請求項1に記載の連結手段(1)。
【請求項3】
前記ケーブル(6)の長さ(X1)は、前記径方向突出部(2.3)の厚さ(X1)に一致する、請求項1又は2に記載の連結手段(1)。
【請求項4】
前記開口(2.2)の中には手段(3.1)が突出し、
前記手段(3.1)によって前記開口(2.2)の断面積(Q’)を変えることができる、請求項1から3のいずれか一項に記載の連結手段(1)。
【請求項5】
前記手段(3.1)は、前記受け口部品(2)の中に変位可能に設けられた摺動子(3)に設けられる、請求項4に記載の連結手段(1)。
【請求項6】
前記摺動子(3)は、前記開口(2.2)に向かって付勢される、請求項5に記載の連結手段(1)。
【請求項7】
前記ケーブル(6)は鋼鉄製ケーブルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の連結手段(1)。
【請求項8】
前記末端継手(4)は球状又は円筒状に構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の連結手段(1)。
【請求項9】
前記受け口部品(2)と前記末端継手(4)との連結を解放する手段を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の連結手段(1)。」
第5 刊行物
1 刊行物A
当審拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物A(特開2011-43209号公報)には、「トリムボードのクリップ組付構造、クリップ、およびクリップ組付方法」に関して、図面(特に、図1ないし図6)とともに、以下の事項が記載されている。
(1)「 【0038】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用ドアトリム10を示す図で、(a) は意匠面側すなわち車両の室内側を示す概略正面図、(b) は反対の裏面側を示す概略背面図、(c) は(b) におけるIC部を矢印A方向から見た斜視図である。この車両用ドアトリム10はトリムボードに相当するもので、合成樹脂材料にて一体成形されているとともに、ドアの内部(車室の外側)に位置する裏面12の外周縁部には、多数(図では8つ)のクリップ取付座14が一体に設けられており、そのクリップ取付座14にはそれぞれクリップ16が一体的に組み付けられる。そして、それ等のクリップ16がそれぞれ車両用ドアのインナパネル18(図3参照)に設けられた取付穴20に一体的に組み付けられることにより、車両用ドアトリム10がそのインナパネル18に一体的に固定される。インナパネル18は車体側部材に相当する。」
(2)「【0040】
図5において、クリップ16は中心線S上に第1突起部30と第2突起部32とを互いに反対向き、すなわち外側向きに備えているとともに、それ等の中間位置には前記クリップ取付座14に着座させられる大径フランジ状の第1着座部34、および前記インナパネル18に着座させられる大径フランジ状の第2着座部36が設けられており、合成樹脂材料にて一体に構成されている。第1突起部30は、クリップ取付座14に対する組付けが車両用ドアトリム10に対して略垂直な組付方向(図4(b) における上下方向)からの押し込みによって行なわれるように、その押し込み方向先端側から小径部40、小径部40よりも小径のくびれ部42、小径部40よりも大径の大径部44、および大径部44と前記第1着座部34との間の小径の組付部46が同心に設けられている。小径部40は、全体として先端側程小径のテーパ形状を成しているとともに、大径の基端側外周部は図5(b)の断面形状において滑らかな円弧形状を成しており、小径のくびれ部42に接続されている。大径部44には、くびれ部42に向かうに従って小径となるテーパ面44tが設けられている。また、組付部46は、所定の直径Dの円柱形状を成しており、図2に示すように大径部44と第1着部座34との間で前記クリップ取付座14の上端部分を弾性的に挟み込むことにより、そのクリップ取付座14に一定の姿勢で一体的に組み付けられるように、所定の長さ寸法を備えている。
【0041】
第2突起部32は、前記インナパネル18の取付穴20よりも大きな径寸法の円柱形状の基端部と、図5(b) の断面において滑らかな楕円形状を成すように突き出す紡錘形状の先端部とを備えているとともに、基端部と前記第2着座部36との間には取付穴20よりも小径のくびれ状の組付部48が設けられている。そして、図3に示すように第2突起部32の先端部から取付穴20内に挿入され、円柱形状の基端部が弾性変形しつつその取付穴20を通過させられることにより、組付部48にインナパネル18が位置させられ、第2突起部32と第2着座部36との間で弾性的にインナパネル18を挟圧することによりクリップ16、更には車両用ドアトリム10がインナパネル18に対して一体的に固定される。
【0042】
図4のクリップ取付座14は、車両用ドアトリム10に対して略垂直に一体的に立設された一対の爪部材50a、50bを備えている。爪部材50a、50bは、スライド型(寄せ型)等を用いて車両用ドアトリム10と一体成形されたもので、車両用ドアトリム10に対して略垂直な組付中心Oに対して対称的に構成されており、それぞれ車両用ドアトリム10の裏面12から略垂直に立ち上がる立板部54a、54bと、その立板部54a、54bの上端から互いに接近する方向へ略直角に曲げられた横板部56a、56bとを有し、断面が略L字形状を成している。そして、この横板部56a、56bの互いに近接する先端部分は、前記小径部40よりも小さい隙間gだけ互いに離間させられているとともに、車両用ドアトリム10側へ段差状乃至はクランク状に凹むように曲成されており、その段差状に凹んだ部分が係止爪58a、58bとして用いられる。図4の(c) に示す小径部40は、小径部40の最大径を表しており、隙間gは、その小径部40の最大径よりも小さい。」
(3)「【0048】
そして、このような車両用ドアトリム10の多数箇所のクリップ取付座14に対してそれぞれクリップ16を組み付ける場合、例えば図6に示す手順(組付方法)で行なうことができる。図6は、基本的な組付手順を説明する図で、図6(b) の仮組付工程では、矢印Aで示す組付方向へクリップ16を比較的小さな力で相対的に押圧することにより、矢印Bで示すように一対の爪部材50a、50bを弾性変形させて係止爪58a、58bを拡開させつつ小径部40が通過させられる。これにより、図6(c) に示す仮組付状態とすることができる。また、その仮組付状態から更に、(d) に示すように矢印Aで示す組付方向へクリップ16を大きな力で相対的に押圧することにより、矢印Bで示すように一対の爪部材50a、50bを大きく弾性変形させて係止爪58a、58bを拡開させつつ大径部44が通過させられる。これにより、図6(e) に示す本組付状態とすることができる。図6の(b) および(d) の両方の組付工程がエアシリンダや油圧シリンダ等を用いた組付装置を利用して自動的に行なわれるようにすることもできるし、総ての工程を作業者が手作業で行なうことも可能である。図6(b) の仮組付工程では手作業でクリップ16を多数のクリップ取付座14に一つずつ組み付け、図6(d) の本組付工程では、油圧シリンダ等を用いた組付装置を利用して自動的に組付作業が行なわれるようにしても良い。」
これらの記載事項及び図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物Aには、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「隙間gを介してクリップ16の大径部44を受容するクリップ取付座14を有する車両用ドアトリム10のクリップ組付構造であって、
前記大径部44は、前記大径部44と前記クリップ取付座14との組付状態において前記クリップ取付座14の横板部56a、56bの外面に当接する第1着座部34の着座面に設けられ、
前記隙間gは、軸方向の厚さを有する横板部56a、56bによって画定され、
前記大径部44は、組付部46を介して前記第1着座部34の着座面に締結され、
前記大径部44と前記クリップ取付座14との組付状態において、前記第1着座部34の着座面は、弾性によって前記横板部56a、56bの外面に当接するクリップ組付構造。」
2 刊行物B
当審拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物B(実願昭54-146229号(実開昭56-65212号)のマイクロフィルム)には、「係止具」に関して、図面(特に、第2図ないし第5図)とともに、以下の事項が記載されている。
(1)明細書7ページ5~7行
「この様に各構成される係入部材13と受部材14は適度の剛性と弾力性を有する熱可塑性合成樹脂を材料にして個別に各一体に成形される。」
(2)明細書8ページ6行~9ページ19行
「この様にして取付けられた両部材は化粧パネル13をバッフル板に止め付ける場合、上記係入部材の軸杆17を受部材の開口部に臨ませ、両殻体19a,19bによつて形成された筒内部に化粧パネルを押付けるようにして押込み、その先端部に設ける係止部16を弾性係止片20a,20bの各凹部22,23により形成される係入孔24内に押入れて係止させ、両部材を結合させることにより化粧パネルの取付けを行うことになる。
第5図は上記両部材13,14の結合状態を示したもので、軸杆17の押込みによつて係入孔24内に押込まれた係止部16は各弾性係止片20a,20bの凹部22,23によつて形成される該係入孔の内径より大径であるため弾性係止片を押し分けるようにして入り込み、入り込んだ状態では弾性係止片の反発を受けて圧締抱持されることになる。従つて、受部材に軸杆17を押込んで結合された係入部材はこの弾性係止片の締付けを伴う抱持力によつて摩擦係止し、その結合状態を維持することになり、化粧パネルの止め付けを確保することになる。そして、逆にこの弾性係止片の抱持力に抗して軸杆17を引き抜いた場合には弾性係止片が変形し、係止部16の通過を許すため受部材を破壊することなく係入部材を引き離すことができ、パネルの取脱しを行うことができる。
この様に本考案に係る係止具は係入部材と受部材の係脱が自由に行われ、且つこの係脱の際、両部材に無理な負担がかゝらずに行える利点があると共に、両部材の結合時には軸杆の係止部を弾性係止片の締付けによつて圧締し、抱持することから両者は一体に密着し、スピーカーボックスの振動を受けてもビリ付きを生ずることがない。」
3 刊行物C
原査定及び当審拒絶理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物C(特表2010-528932号公報)には、「特に衝突稼動型ヘッドレストを持つ車輌シート上の伝送手段のための結合/開放装置および車輌シート」に関して、図面(特に、図1、図3、図5ないし図7)とともに、以下の事項が記載されている。
(1)「【0041】
ボウデンケーブル16の芯4の第一のセグメント3は、ヘッドレスト11から中空の保持バー12を通して案内され、エンドフィッティング2が保持バー12から突き出し下がっている。保持バー12の下方端上の穴あきストッパー17(図1参照)はよって、エンドフィッティング2を保持バー12の他の側に保持する。」
(2)「【0046】
図5は、発明による結合および/または開放装置の更なる実施形態を示す。装置1は、レシーバー部分6中に図5aで挿入され、レシーバー部分6のレシーバー開口部5の断面を縮小する拡張10を有するスライダー8によってそこでその位置に保持される、エンドフィッティング2を持つ、セグメント3、本ケースではボウデンケーブルの芯を有する。ばね9によって、スライダー8は開口部5の方向に予め張力をかけられている。スライダー8はしかも、本ケースでもボウデンケーブルの芯である第二のセグメント7に接続されており、それはその右手端にロッキングピン24を有し、それは静止ベアリング表面23上に支持されており、よってセグメント7の経路を左に限定する。しかも、装置1もまた、静止ベアリング表面20上のその左手端に支持され、その右手端とレシーバー部分6のハウジング上の突起と協調し、よってレシーバー部分を静止ベアリング22に対して押し付ける、ばね21を有している。もしセグメント3がここで十分に引っ張られると、レシーバー部分は左に動き、両ばね9と21は引っ張られる。スライダー8はロッキングピン14によってその元の位置に留まる。レシーバー部分6とスライダー8の間の相対的な運動により、スライダーに接続された拡張10がレシーバー開口部5の外に動き出るので、エンドフィッティング2がレシーバー開口部5の外に滑り出し得て、それは図5bに示されている。エンドフィッティング2がレシーバー部分6から開放されるやいなや、ばね9と21はスライダー8および/またはレシーバー部分6を図5aに示される位置に強制する。もしセグメント7が引っ張られれば、スライダー8はレシーバー部分6に対して右に動く一方、レシーバー部分6は動かない。結果として、スライダーに接続された拡張10がレシーバー開口部5の外に動き出るので、エンドフィッティング2がレシーバー開口部5の外に滑り出し得る。
【0047】
図6は、図5による実施形態を実質的に示し、本パートではベアリング20、22、23もばね21も存在しない。セグメント3と7の間の張力がばね9のばね力を超えるやいなや、スライダー8はレシーバー部分6内で右に動くので、拡張10がレシーバー開口部5を開ける。本パートでは、レシーバー部分6はベアリング34に載せられるが、これはそうでなくてはならないものではない。
【0048】
図7は、発明による結合および/または開放装置の更なる実施形態を示す。本ケースでは、セグメント3にばね30が設けられ、それは2つのストップ31と32の間に位置し、ストップ31はセグメント3に固定的に接続されており、ストップ32はセグメント3上にずらし可能に配置されている。接続を作成するために、エンドフィッティング2はレシーバー部分6のレシーバー開口部5に挿入され、このケースでは強制され、よってスライダー8を右へと強制するので、レシーバー開口部5が完全に開かれ、エンドフィッティング2がレシーバー部分6に受け取られ得る。エンドフィッティング2がレシーバー部分6中に位置するやいなや(図7b)、スライダー8は、それにその元の位置(図7a)までレシーバー開口部5の方向に予め張力をかける、図示されないばねによって跳ね返り、スライダー上に配置された突起10が部分的に開口部5をブロックするので、エンドフィッティング2が突起6”の背後に引っかかり、セグメント3と結合装置1の間に固定された接続が作成される。エンドフィッティング2のレシーバー部分6への挿入の間、ばね30は張力がかけられるので、エンドフィッティングはいつも突起6”にのしかかり、スライダー8に対して押さず、ノイズは発生されない。セグメント3と結合および/または開放装置1の間の接続は、スライダー8が右へと動かされることによって、開放される。結果として、拡張10が開口部5を完全に開き、ばね30に予め張力をかけることによって、エンドフィッティング2がレシーバー部分6の外に跳ね出るので、接続は開放される。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「クリップ16の大径部44」は前者の「末端継手(4)」に相当し、以下同様に、「隙間g」は「開口(2.2)」に、「クリップ取付座14」は「受け口部品(2)」に、「車両用ドアトリム10」は「車両内装トリム部品」に、「クリップ組付構造」は「連結手段(1)」に、「組付状態」は「連結状態」に、「横板部56a、56b」は「径方向突出部(2.3)」に、「横板部56a、56bの外面」は「支承面(2.1)」に、「第1着座部34の着座面」は「ストッパ面(5)」にそれぞれ相当する。
また、後者の「組付部46」と前者の「ケーブル(6)」とは、「締結手段」という限りで共通する。
したがって、両者は、
「開口を介して末端継手を受容する受け口部品を有する車両内装トリム部品の連結手段であって、
前記末端継手は、前記末端継手と前記受け口部品との連結状態において前記受け口部品の支承面に当接するストッパ面に設けられ、
前記開口は、軸方向の厚さを有する径方向突出部によって画定され、
前記末端継手は、締結手段を介して前記ストッパ面に締結され、
前記末端継手と前記受け口部品との連結状態において、前記ストッパ面は、前記径方向突出部の支承面に当接する連結手段。」
で一致し、次の点で相違する。
〔相違点1〕
本願発明1は、末端継手(4)を「可逆的に」受容するのに対し、
引用発明は、大径部44を「可逆的に」受容するか否か不明である点。
〔相違点2〕
本願発明1は、締結手段が「ケーブル(6)」であって、ストッパ面(5)は、「前記ケーブル(6)の引張力によって」径方向突出部(2.3)の支承面(2.1)に当接するのに対し、
引用発明は、締結手段が「組付部46」であって、第1着座部34の着座面は、弾性によって横板部56a、56bの外面に当接する点。
そこで、各相違点について検討する。
(1)相違点1について
刊行物Bの「軸杆17の押込みによって係入孔24内に押込まれた係止部16は各弾性係止片20a,20bの凹部22,23によって形成される該係入孔の内径より大径であるため弾性係止片を押し分けるようにして入り込み、入り込んだ状態では弾性係止片の反発を受けて圧締抱持されることになる。」(前記第5の2(2))との記載及び「逆にこの弾性係止片の抱持力に抗して軸杆17を引き抜いた場合には弾性係止片が変形し、係止部16の通過を許すため受部材を破壊することなく係入部材を引き離す」(同)との記載からみて、刊行物Bには、受部材14が係止部16を可逆的に受容すること記載されている。
そして、刊行物Aには、一対の爪部材50a、50bが弾性変形して大径部44を受容することが記載されているから、引用発明において、刊行物Bに記載された事項を参酌して、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2)相違点2について
刊行物Aには、「クリップ16は・・・クリップ取付座14に着座させられる大径フランジ状の第1着座部34、および前記インナパネル18に着座させられる大径フランジ状の第2着座部36が設けられており、合成樹脂材料にて一体に構成されている。」(段落【0040】)との記載及び「図3に示すように第2突起部32の先端部から取付穴20内に挿入され、円柱形状の基端部が弾性変形しつつその取付穴20を通過させられる」(段落【0041】)との記載がある。
これらの記載からみて、クリップ16は弾性変形な合成樹脂材料にて一体に構成されているから、引用発明の組付部46は弾性変形な合成樹脂材料からなるものである。
また、刊行物Bには、「係入部材13と受部材14は適度の剛性と弾力性を有する熱可塑性合成樹脂を材料にして個別に各一体に成形される。」(前記第5の2(1))との記載がある。
この記載からみて、刊行物Bの係入部材13の軸杆17は、適度の剛性と弾力性を有する熱可塑性合成樹脂からなるものである。
また、刊行物Cには、エンドフィッティング2をボウデンケーブルからなるセグメント3の一端に連設し、セグメント3の他端をヘッドレスト11に連設することが記載されているが(前記第5の4(1))、他端を当接面に締結することについての記載はない。
そうすると、引用発明において、「組付部46」を刊行物B、Cに記載された事項を参酌してケーブルとし、その引張力によって当接させて、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
(3)小括
したがって、本願発明1は、引用発明及び刊行物B、Cに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、それぞれ本願発明1と同様に、引用発明及び刊行物B、Cに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 まとめ
以上のとおり、本願発明1ないし9は、引用発明及び刊行物B、Cに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、当審では、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号及び同項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知した。
しかしながら、平成29年6月14日の手続補正により請求項1ないし9の記載は、前記「第4」のとおり補正されたので、この拒絶の理由は解消した。
第7 原査定についての判断
平成29年6月14日の手続補正により補正された請求項1に係る発明は、「前記末端継手(4)は、ケーブル(6)を介して前記ストッパ面(5)に締結され、前記末端継手(4)と前記受け口部品(2)との連結状態において、前記ストッパ面(5)は、前記ケーブル(6)の引張力によって前記径方向突出部(2.3)の支承面(2.1)に当接する」との事項を備えるものとなっており、上記のとおり、当該事項は、刊行物AないしCに記載されておらず、また、原査定において引用された前記刊行物1及び周知技術を示す文献として引用された前記刊行物2ないし4にも記載されていない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし9は、いずれも、引用発明、刊行物B、Cに記載された事項、及び刊行物1ないし4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-013123