特許拒絶査定不服審判
2016-010918
画像診断に使用するために複数の異なる画像処理システムからの3次元画像データを重ね合わせるシステムおよび方法
- 審判番号
- 2016-010918
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-544734
- 請求日
- 2016年07月20日
- 審決日
- 2017年03月07日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ホロジック, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 審判長/審判官
- 審判長 福島 浩司
- 審判官 田中 洋介
- 審判官 信田 昌男
- 分類
- P18 .121-WZ (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-544734「画像診断に使用するために複数の異なる画像処理システムからの3次元画像データを重ね合わせるシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月21日国際公開、WO2012/082861、平成26年 2月27日国内公表、特表2014-504918〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月14日(パリ条約による優先権主張 平成22年12月14日 米国(US))を国際出願日とする外国語特許出願であって、平成27年8月26日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年4月22日付けで拒絶査定がなされた。
これに対して、平成28年7月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審において同年11月11日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年1月26日に意見書及び手続補正書が提出され、その後、同年2月9日に当審から電話応対による質問を行い、同日に請求人から電話応対による回答があったものである。
第2 本願発明
本願請求項1-18に係る発明は、平成29年1月26日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-18に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「 【請求項1】
患者の乳房の画像取得方法であって、
乳房を固定するステップ、および
乳房が固定されている間:
i.第1の撮像モダリティを用いて乳房の3次元画像を取得するステップであって、前記第1の撮像モダリティを用いて取得された前記乳房の前記3次元画像は、第1の座標空間を有する、ステップ;
ii.3次元体積中の関心領域を選択するステップであって、3次元体積中の関心領域(ROI)座標を特定するステップを含む、ステップ;
iii.第2の撮像モダリティを用いて乳房の複数の画像を取得するステップであって、前記第2の撮像モダリティを用いて取得された前記乳房の前記複数の画像は、前記第1の座標空間と異なる第2の座標空間を有する、ステップ;
iv.前記第2の座標空間の第2の座標データを取得するために前記第2の撮像モダリティのプローブの動きを追跡するステップであって、前記プローブの動きを追跡するステップは、前記第2の撮像モダリティにより前記乳房の前記複数の画像を取得する間に実行される、ステップ;
v.前記プローブの動きを追跡しながら、ナビゲーションシステムにより、前記第2の座標データを前記第1の座標空間に揃えるステップであって、前記ナビゲーションシステムは、前記第2の座標データを前記3次元画像に位置合わせするように、前記第2の撮像モダリティの前記プローブの視界の位置及び方向を変換するようユーザに指示するよう構成される、ステップ;
vi.前記プローブが前記3次元体積中の関心領域に入ると、前記第2の撮像モダリティを用いて前記関心領域の中の種々の深さにおいて複数の画像を取得するステップ;
を含む方法。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審の平成28年11月11日付け拒絶理由の概要は、次の理由を含むものである。
本願の請求項1-18に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特開2005-125080号公報(以下、「引用文献1」という。)に記載された発明、及び、優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特表2003-527880号公報(以下、「引用文献2」という。)、特表2007-515242号公報(以下、「引用文献3」という。)、特表2009-502347号公報(以下、「引用文献4」という。)、特表2008-518722号公報(以下、「引用文献5」という。)に記載された周知技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
1 引用文献1の記載事項
引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、参考のために当審が付与した。)。
(1) 「【0001】
本発明は、一般的に云えば、イメージングに関するものであり、より具体的には、異なる種類の画像において異常部(abnormality) を観察するためのシステム及び方法に関するものである。」
(2) 「【0010】
本発明のまた更に別の一面においては、異なる種類の画像において異常部を観察するための方法を提供する。本方法は、X線イメージング・システムを使用して対象物を走査して、対象物の少なくとも1つのX線画像を得る段階と、X線画像上のROIの座標を決定する段階であって、該ROIが異常部を含んでいる段階と、対象物の特定の領域を走査するために、超音波プローブ移動装置に命令してプローブを前記座標へ移動させる段階であって、該特定の領域が前記座標によって規定されている段階と、超音波イメージング・システムに命令して対象物の特定の領域を走査させて、少なくとも1つの超音波画像を得る段階とを含んでいる。」
(3) 「【0012】
図1は医用イメージング・システム12の絵画図である。模範的な実施形態において、イメージング・システム12は、超音波イメージング・システム14と、プローブ移動装置組立体16と、超音波プローブ18と、X線イメージング・システム及びトモシンセシス・イメージング・システム20のうちの少なくとも一方とを含んでいる。超音波イメージング・システム14とプローブ移動装置組立体16と超音波プローブ18とトモシンセシス・イメージング・システム20とは、イメージング・システム12内に動作上一体化されている。別の実施形態においては、超音波イメージング・システム14とプローブ移動装置組立体16と超音波プローブ18とトモシンセシス・イメージング・システム20とは、単一のイメージング・システム12内に物理的に一体化されている。
【0013】
図2は、トモシンセシス・イメージング・システム20の絵画図である。模範的な実施形態において、トモシンセシス・イメージング・システム20は、患者の乳房のような撮像対象物22を表す3次元データセットを作成するために使用される。システム20は、X線源のような放射線源24と、複数の投影角度28からのビューを収集するための少なくとも1つの検出器アレイ26とを含んでいる。詳しく述べると、システム20は、円錐形X線ビームを投射する放射線源24を含んでおり、該ビームは対象物22を通過して検出器アレイ26に衝突する。各角度28において得られたビューは、複数のスライス、すなわち検出器26に平行な平面(複数)30内に位置する構造を表す画像、を再構成するために使用される。検出器アレイ26は、乳房のような関心のある対象物22全体についての画像が作成されるように、行及び列に配列された複数の画素(図示せず)を持つパネルの形に製造される。」
(4) 「【0027】
患者は頭尾方向、内外(medial-lateral)方向及び斜位方向の位置のうちの少なくとも1つに位置決めして、乳房が圧迫パドル56と検出器26との間に位置決めされるようにする。一実施形態では、乳房23は、例えば、それに限定されないが、鉱油のような音響結合剤で僅かに覆う。次いで圧迫パドル56を使用することにより、レセプタクル100の手動制御及びレセプタクル100についての自動制御のうちの少なくとも一方を用いて適切な厚さまで乳房を圧迫する。
【0028】
次いで、標準的な2D及びトモシンセシス・モードのうちの少なくとも一方で動作するトモシンセシス・イメージング・システム20によりX線検査を行う。トモシンセシス・モードでは、X線管ハウジング108は、位置決め装置110とは独立に検出器26の上方で垂直に軸線を中心として回転する能力が得られるように変更される。一実施形態では、患者及び検出器26は固定し、X線管ハウジング108は回転させる。
【0029】
次いで、乳房のビューを少なくとも2つの投影角度28(図2参照)から取得することにより、関心のある容積の投影データセットを作成する。これらの複数のビューはトモシンセシス投影データセットを表す。次いで、収集された投影データセットを利用することにより、撮像される乳房23の3次元X線写真表現を表す第1の3次元データセット、すなわち、走査された乳房についての複数のスライスを作成する。放射線ビームが第1の投影角度112(図2参照)で放出されるように放射線源24を作動した後で、検出器アレイ26を使用してビューを収集する。次いで、線源24の位置を並進させることによってシステムの投影角度28を変更して、放射線ビームの中心軸線150(図2参照)が第2の投影角度114(図2参照)へ変更されるようにすると共に、乳房23をシステム20の視野内に留めるように検出器アレイ26の位置が変更されるようにする。放射線源24を再度作動して、第2の投影角度114についてビューを収集する。その後、同じ手順を任意の数の後続の投影角度28について繰り返す。
【0030】
一実施形態では、複数の角度28で放射線源24及び検出器アレイ26を使用して乳房の複数のビューを取得して、関心のある容積の投影データセットを作成する。別の実施形態では、一角度28で放射線源24及び検出器アレイ26を使用して乳房の単一のビューを取得して、関心のある容積の投影データセットを作成する。次いで、収集された投影データセットを利用することにより、走査された乳房について2Dデータセット及び第1の3次元(3D)データセットのうちの少なくとも一方を作成する。その結果得られるデータはコンピュータ48(図2参照)上の指定されたディレクトリに記憶させる。もしトモシンセシス走査が行われる場合、トモシンセシス・イメージング・システム20のガントリはその垂直位置へ戻すべきである。」
(5) 「【0039】
図11は、異なる種類の画像において異常部152を観察するための一実施形態のシステム150である。システム150は、超音波イメージング・システム14と、超音波プローブ18と、プローブ移動装置組立体16と、イメージング・システム20と、中央コンピュータ130と、ワークステーション154及び156を含んでいる。ワークステーション154及び156の各々は、本書で述べる機能を実行するようにプログラムされており、また本書で用いる用語「ワークステーション」とは、当該技術分野でコンピュータと呼ばれている集積回路のみに限定されず、広義に、コンピュータ、コントローラ(制御装置)、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能な論理制御装置、特定用途向け集積回路及び他のプログラム可能な回路を表し、これらの用語は本書で相互に交換して使用される。患者は、例えばオイルのような音響結合剤で覆った乳房23がイメージング・システム20上で圧迫パドル56と検出器26との間に圧迫されて配置されるように位置決めされる。X線画像158を得るためにX線を乳房23に透過させ、X線画像158はワークステーション156上に表示される。ここで、異常部152のX線画像158は、超音波イメージング・システム14の表示装置、表示装置54、中央コンピュータ130の表示装置、又はワークステーション154の表示装置のような任意の表示装置で表示してよいことに留意されたい。その上、X線画像158は投影画像、又は上述のトモシンセシス収集法を使用して取得される画像であってよい。
【0040】
放射線医師又は技師のようなユーザにより、X線画像158上に関心領域(ROI)160を記入して、ユーザにとって疑わしく見える瘤塊の様な異常部を取り囲む。ROI(160)の形状には、例えば、長方形、正方形、円、楕円、多角形が挙げられる。代替実施形態では、CADアルゴリズムにより、閾値法を使用して異常部を取り囲むようにROI(160)を表示する。閾値法では、X線画像158を表示する画素の強度又はハウンスフィールド番号が閾値以上である場合、それらの画素はROI(160)に対応する画素として指定される。X線画像158を表示する画素の強度が閾値より低い場合、それらの画素はROI(160)の外側にある領域に対応する画素として指定される。ROI(160)に対応する画素は、異常部152を通過するX線が乳房23の残りの領域を通過するX線よりも異なる減衰量を持っているので異なる強度を持つ。更に別の代替実施形態では、米国特許第5133020号又は米国特許第5491627号に記載されている任意の様々な既知の2Dアルゴリズムが使用される。ROIの座標がワークステーション156と中央コンピュータ130との間のインターフェースを介して帰還される。
【0041】
超音波画像を得るために、前に述べたようにプローブ移動装置組立体16をイメージング・システム20に取り付け、プローブ18をプローブ移動装置組立体16のレセプタクル100に係合させる。音響シース又は結合用ゲル120を、図8に示されているように圧迫パドル56に適用する。ROI(160)の座標が中央コンピュータ130によってプローブ移動装置ソフトウエアに転送され、該ソフトウエアは上記座標に対応する圧迫パドル56上の位置に移動するように超音波プローブ18に命令し、超音波パラメータの選択と共に超音波イメージング・システム14を使用して超音波走査が実行される。一実施形態では、座標によって定められたROI(160)が超音波イメージング・システム14を使用して走査され、乳房23の他の領域は何ら走査されない。代替実施形態では、患者の乳房23の様な任意の部分が超音波イメージング・システム14を使用して走査される。
【0042】
ROI(160)を走査した後に得られる異常部152の超音波画像は、超音波イメージング・システム14のシネ・メモリ又はハードドライブから中央コンピュータ130を介して送られて、ワークステーション154で表示される。ここで、異常部152の超音波画像は、任意の表示装置で、例えば、超音波イメージング・システム14の表示装置、表示装置54、中央コンピュータ130の表示装置、又はワークステーション156の表示装置で表示してもよいことに留意されたい。一実施形態において、超音波画像はシネ・ループにおいて一度に一つずつROI(162)に表示される。ROI(162)の形状には、例えば、立方体、球又は楕円体のような3D形状が挙げられる。別の実施形態では、ワークステーション156上のX線画像158を、このX線画像158と超音波画像との比較のためにワークステーション154上にも表示する。別の実施形態では、異常部152の超音波画像をX線画像158に重畳して、ワークステーション154で表示する。更に別の代替実施形態では、超音波画像をワークステーション154で表示すると共に、X線画像158をワークステーション156で表示して、X線画像158と超音波画像とを比較するために両方のワークステーション154及び156を並べて配置する。ここで、ROI(160)のような幾つかの関心領域をX線画像158上で選択できることに留意されたい。これらの関心領域に対応するデータセットは、後で評価するために記憶させておくか、或いは患者が位置決めされ且つユーザが検査室に居る間に実時間で表示することも可能である。
【0043】
図12は、異なる種類の画像において異常部を観察する方法を例示するためにXYZ及びX’Y’Z’座標系を示す。本方法は、超音波イメージング・システム14を使用して取得した超音波容積180内のデータのような容積測定3Dデータを、イメージング・システム20を使用して取得したデータのような平面182上の2D画像データに対して整合させる段階を含んでいる。超音波容積180のデータは、図12に示されているZ軸の方向に超音波プローブ18を一様に移動させることにより取得される。超音波プローブ18は、超音波容積180のデータを取得するために、超音波プローブ18の面を平面182に平行にして、平面182の1つの縁に平行に移動する。容積測定3Dデータの他の例としては、磁気共鳴イメージング(MRI)システム、コンピュータ断層撮影(CT)システム、ポジトロン・エミッション断層撮影(PET)システム、及びX線イメージング・システムを使用して取得されるデータが挙げられる。2D画像データの他の例としては、MRIシステム、CTシステム、PETシステム、及び超音波イメージング・システムを使用して取得されるデータが挙げられる。
【0044】
XYZは、イメージング・システム14を使用して得られる2DX線画像の平面182の座標系である。OはXYZ座標系の原点であり、Y=0は2DX線画像の平面182である。代替実施形態では、Y=nは2DX線画像の一平面であり、ここでnは実数である。X線源のような放射線源24はXYZ座標系内の点S=(q1 ,q2 ,q3 )に位置決めされる。X’Y’Z’は超音波イメージング・システム20を使用して患者を走査することによって得られる超音波容積180の局部座標系である。」
(6) 「【0054】
従って、異なる種類の画像において異常部を観察するためのシステム及び方法の技術的な効果は、プローブ移動装置組立体16を使用して異常部152を取り囲むROIを超音波プローブ18で操作することによって、X線画像158上の異常部152を3Dでより厳密に観察できることである。その上、異なる種類の画像において異常部を観察するためのシステム及び方法の別の技術的な効果は、マンモグラムで識別された任意の疑わしい領域を、患者が同じやり方で位置決めされた状態で、マンモグラムの数分以内に共整合した超音波走査により実時間で半自動的に撮像することである。このようなシステム及び方法の更に別の技術的な効果は、放射線医師がX線画像データ内の関心のある面領域と3D超音波データ内の関心のある対応する容積とを同時に分析することを可能にすることである。また、本書で述べたシステム及び方法はバイオプシーの誘導のために及び核医学において使用できることに留意されたい。更に、本書で述べたシステム及び方法は磁気共鳴イメージング(MRI)システムのような他のモダリティでも使用できることに留意されたい。その上、本書で述べたシステム及び方法は破損や亀裂を識別することのような非破壊イメージングにも適用できる。また更に、超音波イメージング・システム14及びトモシンセシス・イメージング・システム20は異なるベンダーによって供給されるものであってよい。」
(7) 図11には、以下の図面が示されている。
2 引用文献1に記載された発明の認定
上記1の記載事項を含む引用文献1の記載を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「異なる種類の画像において異常部を観察するための方法であって、
X線イメージング・システムを使用して対象物を走査して、対象物の少なくとも1つのX線画像を得る段階と、X線画像上のROIの座標を決定する段階であって、該ROIが異常部を含んでいる段階と、対象物の特定の領域を走査するために、超音波プローブ移動装置に命令してプローブを前記座標へ移動させる段階であって、該特定の領域が前記座標によって規定されている段階と、超音波イメージング・システムに命令して対象物の特定の領域を走査させて、少なくとも1つの超音波画像を得る段階とを含んでおり、
超音波イメージング・システム14とプローブ移動装置組立体16と超音波プローブ18とトモシンセシス・イメージング・システム20、中央コンピュータ130と、ワークステーション154及び156を含むシステム150を用い、
トモシンセシス・イメージング・システム20は、患者の乳房のような撮像対象物22を表す3次元データセットを作成するために使用され、患者は、乳房が圧迫パドル56と検出器26との間に位置決めされるようにされ、圧迫パドル56を使用することにより、適切な厚さまで乳房を圧迫し、次いで、トモシンセシス・イメージング・システム20によりX線検査を行い、関心のある容積の投影データセットを作成し、収集された投影データセットを利用することにより、撮像される乳房23の3次元X線写真表現を表す第1の3次元データセットを作成し、その結果得られるデータはコンピュータ48上の指定されたディレクトリに記憶され、トモシンセシス収集法を使用して取得されるX線画像158はワークステーション156上に表示され、
ユーザにより、X線画像158上に関心領域(ROI)160を記入して、異常部を取り囲み、
超音波画像を得るために、プローブ移動装置組立体16をイメージング・システム20に取り付け、プローブ18をプローブ移動装置組立体16のレセプタクル100に係合させ、ROI(160)の座標が中央コンピュータ130によってプローブ移動装置ソフトウエアに転送され、該ソフトウエアは上記座標に対応する圧迫パドル56上の位置に移動するように超音波プローブ18に命令し、超音波パラメータの選択と共に超音波イメージング・システム14を使用して超音波走査が実行され、座標によって定められたROI(160)が超音波イメージング・システム14を使用して走査され、乳房23の他の領域は何ら走査されないものであり、
ROI(160)を走査した後に得られる異常部152の超音波画像は、超音波イメージング・システム14のシネ・メモリ又はハードドライブから中央コンピュータ130を介して送られて、ワークステーション154で表示され、XYZは2DX線画像の平面182の座標系であり、X’Y’Z’は超音波容積180の局部座標系である、XYZ及びX’Y’Z’座標系を用い、超音波イメージング・システム14を使用して取得した超音波容積180内のデータのような容積測定3Dデータを、イメージング・システム20を使用して取得したデータのような平面182上の2D画像データに対して整合させる段階を含み、
プローブ移動装置組立体16を使用して異常部152を取り囲むROIを超音波プローブ18で操作することによって、X線画像158上の異常部152を3Dでより厳密に観察できる、
方法。」
3 引用文献2の記載事項
引用文献2には、次の事項が記載されている(下線は、参考のために当審が付与した。)
(1) 「【0003】
【発明の分野】
本発明は、医療診断を行なうための装置に関し、医療インターベンションまたは治療処置を計画し行なうための装置に関する。特に、本発明は、インターベンション中に身体または身体体積中の標的を見るために複数の医療撮像システムを採用する誘導医療インターベンションまたは医療治療処置を行なうための装置に関する。」
(2) 「【0007】
本発明は、2つ以上の医療撮像装置の位置間の機械的拘束なしに、医療診断および処置において2つ以上の(超音波およびCTなどの)医療撮像システムを組合せるための方法および装置を含む。・・・」
(3) 「【0019】
超音波トランスデューサ18とCT走査ヘッド22との相対的位置を測定する役目を果たすために、位置測定要素28が、超音波トランスデューサ18に対して既知の固定された位置に取付けられる。取付は、トランスデューサ18に直接、またはエクステンション27を用いて、のいずれかであり得る。位置測定要素28は、超音波ビーム36が位置測定要素28に対して既知の固定された位置にあるように、超音波トランスデューサ18に対して較正される。そのような較正は、PCT出願PCT/IL98/00631に従って動作させることによって達成可能である。」
(4) 「【0037】
基準CTスキャン画像38からの超音波走査ビーム36のずれの量は、たとえば、ボックス60におけるように角度および距離の形で、側面図ボックス62の形で、および上面図、ボックス64の形で、オペレータに対して表示可能である。これにより、オペレータは、CTにより身体6をまず走査し、身体6中の少なくとも1つの標的8を識別し、所望のCTスライス\画像が見えるように超音波トランスデューサ18を位置決めすることが可能になる。」
(5) 「【0042】
図1に示すように、本発明に従って協調動作で超音波2およびCT4を動作させるために必要とされるステップのフローチャートである図4をここで参照する。ステップ90で、位置測定要素(PMC)28と30との相対的位置が測定される(図4)。(上に説明したように)位置測定要素30の代わりにまたはこれに加えて、位置測定要素32もしくは34または両者を使用することが可能である。ステップ92で、超音波走査平面/体積/画像36とCT走査平面/体積/画像38との相対的位置が計算される。ステップ92での計算は、超音波トランスデューサ18およびCTスキャナ22に対しての位置測定要素28および30(32、34)の較正に基づく(ステップ94)。ステップ94における計算は、同一人に譲渡された米国特許番号第5,647,373号に記載されるような、たとえば画像誘導インターベンションにおいて、任意選択ではあるが好ましい他の医療処置において使用されてもよい(ステップ96)。ステップ92における計算は、必要とされる位置に超音波トランスデューサ18を操作することを指示するために使用されてもよい。走査平面/体積間の相対的位置が計算されると、CTシステム4および超音波システム2からの画像は、任意選択であるが非常に好ましいステップ98において相関付けられかつまたは融合されてもよい。これは、従来の画像処理アルゴリズムおよび技術に従って行なうことができる。(それぞれ、超音波走査ビームおよびCT走査ビームからの)これらの画像を相関付けまたは融合させることにより、表示された超音波画像の画質が向上され得る。ステップ98から得られた、重ね合わされた画像/情報は、任意選択で、反復モードでステップ92の計算を改良するために使用されてもよい。ステップ98から得られた重ね合わされた画像/情報は、他の医療処置において(ステップ96)または超音波トランスデューサ18の操作を指示するために(ステップ120)使用されてもよい。」
(6) 「【0048】
図5bを参照すると、光学位置測定システムがこの発明の別の例示的な実施例に従って用いられる。先行の図面と同様の部品は同様の符号を有し、さらには説明されない。立体視電荷結合素子(CCD)カメラ84′は、第1の基準場所でアーム86′上に位置決めされる。位置測定要素28は、アーム88′によって超音波トランスデューサ18に装着されるLEDの集合28″を含み、位置測定要素30はアーム80″によってCT走査ヘッド22に装着されるLEDの集合30″を含む。LEDの集合28″の相対的位置は、CCDカメラ84′(第1の基準場所)に対して測定され、LEDの集合30″の相対的位置もまたCCDカメラ84′(第1の基準場所)に対して測定される。したがって以上の測定から、LEDの集合30″の相対的位置をLEDの集合28″に対して計算することができ、よって超音波走査ビーム32とCTスキャンビーム34との間の相対的位置を計算できる。」
(7) 図1aには、以下の図面が示されている。
(8) 図5bには、以下の図面が示されている。
4 引用文献3の記載事項
引用文献3には、次の事項が記載されている(下線は、参考のために当審が付与した。)
(1) 「【請求項1】
医療用システムであって:
患者の体内に案内される医療用機器;
前記医療用機器の二次元X線画像を取得するためのX線取得手段;
前記医療用機器の三次元X線画像を取得するためのX線取得手段;
超音波プローブを用いて前記医療用機器の三次元画像データセットを取得するための超音波取得手段;
前記X線取得手段の基準において前記超音波プローブの位置決めを行うための手段;
三次元画像データセットにおいて前記医療用機器の周りの関心のある領域を選択する手段であって、前記超音波取得手段の基準において前記の関心のある領域の第一位置決めを規定する、手段;
超音波プローブの前記位置決めを用いて、X線取得手段の前記基準において前記関心のある領域の第二位置決めに、超音波取得手段の前記基準において前記関心のある領域の前記第一位置決めを変換するための手段;並びに
前記関心のある領域に含まれる三次元超音波データ及び前記二次元X線画像が前記第二位置決めを用いて結合される前記医療用機器のバイモーダルな表示を生成する且つ表示するための手段;
を有することを特徴とする医療用システム。」
(2) 「【0001】
本発明は、患者の体内に案内される医療用機器を有する医療用システム及び前記医療用機器を可視化するための手段に関する。本発明は又、前記システムにおいて用いられる方法に関する。本発明は、例えば、電気生理学的侵襲処置中に患者の心臓の内側にカテーテルを案内するためのアプリケーションに適用される。」
(3) 「【0023】
本発明に従ったシステムは、X線基準(O,x,y,z)の範囲内で超音波プローブ9を位置決めするための手段11と、3D超音波データセットにおける医療用機器の周りの関心のある領域を選択するため及び超音波取得手段のX線基準(O,x,y,z)の範囲内で関心のある領域の第一位置決めLOC1を与えるための手段12と、X線基準(O,x,y,z)の範囲内で関心のある領域の第二位置決めLOC2にX線基準(O,x,y,z)範囲内で関心のある領域の第一位置決めLOC1を変換するための手段13と、関心のある領域に含まれ且つ第二位置決めLOC2により位置決めされた3D超音波データと2DX線画像からのデータを組み合わせることによりバイモーダルな表示BIを生成するための手段とを更に有する。そのバイモーダルな表示BIはスクリーン15に表示される。
【0024】
図2を参照するに、プローブ位置決め手段11は、第一方法においては、当業者に周知である、超音波プローブ9に備えられているアクティブローカライザ16に基づいている。前記アクティブローカライザ16、例えば、RFコイルは、患者の体の下に位置付けられ且つ、例えば、患者用テーブルに一体化されているRF受信ユニット17にRF信号を送信するように意図されている。RF受信ユニットは、既知の基準、例えば、X線取得手段5の基準(O,x,y,z)における超音波プローブ9の位置を測定するための測定手段18に受信された信号を送信する。アクティブローカライザ16は二次元であり、超音波プローブの位置及びオリエンテーションの正確な測定が計算されるような方法で超音波プローブ9において位置付けられる必要があることに留意する必要がある。LEDベースの光学ローカライザが又、用いられることが可能であることに留意する必要がある。この第一方法の第一有利点は、その第一方法により超音波プローブの正確な位置決めを行うことができることである。その方法の第二有利点は、リアルタイムに実行され、それ故、臨床処置の間、トリガされることができることである。」
(4) 図2には、以下の図面が示されている。
第5 対比
1 本願発明と引用発明を対比する。
(1) 引用発明の「患者」の「乳房」における「異常部」を含む「X線画像」及び「超音波画像」を得る「方法」は、本願発明の「患者の乳房の画像取得方法」に相当する。
(2) 引用発明の「圧迫パドル56を使用することにより、適切な厚さまで乳房を圧迫」することは、本願発明の「乳房を固定するステップ」に相当し、引用発明の「圧迫パドル56」によって「乳房」が「圧迫」された状態は、本願発明の「乳房が固定されている間」に相当する。
(3) 引用発明の「トモシンセシス・イメージング・システム20」は、本願発明の「第1の撮像モダリティ」に相当し、引用発明の当該「トモシンセシス・イメージング・システム20」により「X線画像158」を得ることで、「撮像される乳房23の3次元X線写真表現を表す第1の3次元データセットを作成」することは、本願発明の「第1の撮像モダリティを用いて乳房の3次元画像を取得するステップ」に相当する。
そして、引用発明の「X線画像158上」に「記入」される「関心領域(ROI)160」は、「座標」で表されるものであって、「2DX線画像の平面182」と同様に、「XYZ」「座標系」で示されるものであることも明らかであるから、引用発明の「トモシンセシス・イメージング・システム20」で得られる「X線画像158」の当該「座標」空間は、本願発明の「第1の座標空間」に相当する。
したがって、引用発明の「トモシンセシス・イメージング・システム20」により「乳房」の上記「X線画像158」を得ることは、本願発明の「i.第1の撮像モダリティを用いて乳房の3次元画像を取得するステップであって、前記第1の撮像モダリティを用いて取得された前記乳房の前記3次元画像は、第1の座標空間を有する、ステップ;」に相当する。
(4) 引用発明の「X線画像158上に関心領域(ROI)160を記入して、異常部を取り囲み」、「ROI(160)の座標」を得ることは、本願発明の「ii.3次元体積中の関心領域を選択するステップであって、3次元体積中の関心領域(ROI)座標を特定するステップを含む、ステップ;」に相当する。
(5) 引用発明の「超音波イメージング・システム14」は、本願発明の「第2の撮像モダリティ」に相当する。
また、引用発明の「超音波イメージング・システム14」で取得する「少なくとも1つの超音波画像」は、「超音波容積180内のデータのような容積測定3Dデータ」を示すものであるから、複数の画像で構成されるものであることは明らかである。
そして、引用発明の「超音波容積180の局部座標系」「X’Y’Z’」は、「2DX線画像の平面182の座標系」「XYZ」とは異なるものであるから、本願発明の「前記第1の座標空間と異なる第2の座標空間」に相当する。
したがって、引用発明の「超音波イメージング・システム14」を用いて、「乳房」の上記「超音波画像」を取得することは、本願発明の「iii.第2の撮像モダリティを用いて乳房の複数の画像を取得するステップであって、前記第2の撮像モダリティを用いて取得された前記乳房の前記複数の画像は、前記第1の座標空間と異なる第2の座標空間を有する、ステップ;」に相当する。
(6) 引用発明の「超音波イメージング・システム14」が備える「超音波プローブ18」は、本願発明の「第2の撮像モダリティのプローブ」に相当する。
また、引用発明の「プローブ移動装置組立体16」及び「プローブ移動装置ソフトウエア」は、「超音波プローブ18」を「ROI(160)の座標」に移動させ、「超音波走査を実行」するものであるから、本願発明の「ナビゲーションシステム」に相当する。
そして、引用発明の「超音波プローブ18」を移動させることは、当該「超音波プローブ18」による超音波の照射可能範囲を移動させることに他ならず、これはプローブの視界の位置を変換するものといえる。
したがって、引用発明の当該「プローブ移動装置組立体16」及び「プローブ移動装置ソフトウエア」により、「超音波プローブ18」を移動させることと、本願発明の「v.前記プローブの動きを追跡しながら、ナビゲーションシステムにより、前記第2の座標データを前記第1の座標空間に揃えるステップであって、前記ナビゲーションシステムは、前記第2の座標データを前記3次元画像に位置合わせするように、前記第2の撮像モダリティの前記プローブの視界の位置及び方向を変換するようユーザに指示するよう構成される、ステップ;」とは、「v.ナビゲーションシステムにより、前記第2の撮像モダリティの前記プローブの視界の位置を変換するよう構成される、ステップ;」という点で共通する。
(7) 引用発明の「超音波イメージング・システム14」が、「超音波プローブ18」を「ROI(160)の座標」に「移動」して「超音波走査が実行され」、「乳房23の他の領域は何ら走査されないもの」であることと、本願発明の「vi.前記プローブが前記3次元体積中の関心領域に入ると、前記第2の撮像モダリティを用いて前記関心領域の中の種々の深さにおいて複数の画像を取得するステップ;」とは、「vi.プローブが前記3次元体積中の関心領域に入ると、前記第2の撮像モダリティを用いて前記関心領域の画像を取得するステップ;」という点で共通する。
2 以上のことから、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
「患者の乳房の画像取得方法であって、
乳房を固定するステップ、および
乳房が固定されている間:
i.第1の撮像モダリティを用いて乳房の3次元画像を取得するステップであって、前記第1の撮像モダリティを用いて取得された前記乳房の前記3次元画像は、第1の座標空間を有する、ステップ;
ii.3次元体積中の関心領域を選択するステップであって、3次元体積中の関心領域(ROI)座標を特定するステップを含む、ステップ;
iii.第2の撮像モダリティを用いて乳房の複数の画像を取得するステップであって、前記第2の撮像モダリティを用いて取得された前記乳房の前記複数の画像は、前記第1の座標空間と異なる第2の座標空間を有する、ステップ;
v.ナビゲーションシステムにより、前記第2の撮像モダリティの前記プローブの視界の位置を変換するよう構成される、ステップ;
vi.プローブが前記3次元体積中の関心領域に入ると、前記第2の撮像モダリティを用いて前記関心領域の画像を取得するステップ;
を含む方法。」
(相違点1)
本願発明は、「iv.前記第2の座標空間の第2の座標データを取得するために前記第2の撮像モダリティのプローブの動きを追跡するステップであって、前記プローブの動きを追跡するステップは、前記第2の撮像モダリティにより前記乳房の前記複数の画像を取得する間に実行される、ステップ;」を有するものであるのに対して、引用発明は、そのような構成を有しない点。
(相違点2)
「ナビゲーションシステム」について、本願発明は、「v.前記プローブの動きを追跡しながら、ナビゲーションシステムにより、前記第2の座標データを前記第1の座標空間に揃えるステップであって、前記ナビゲーションシステムは、前記第2の座標データを前記3次元画像に位置合わせするように、前記第2の撮像モダリティの前記プローブの視界の位置及び方向を変換するようユーザに指示するよう構成される、ステップ;」を有するものであるのに対して、引用発明は、そのような構成を有しない点。
(相違点3)
「前記第2の撮像モダリティを用いて前記関心領域の画像を取得するステップ」について、本願発明は、「関心領域の中の種々の深さにおいて複数の画像」を取得するものであるのに対して、引用発明は、そのような構成を有するものか不明である点。
第6 相違点の検討
1 (相違点1)及び(相違点2)について
画像診断の技術分野において、X線撮像モダリティと超音波撮像モダリティを用い、両モダリティで同一部位を観察する際に、超音波プローブに発光手段等の位置測定要素を設け、超音波画像を取得する間に、当該位置測定要素をカメラ等の測定手段で測定することによって超音波プローブの位置(動き)を追跡し、この位置のデータを用いてX線画像と超音波画像を位置合わせすること、及び、X線画像と超音波画像を位置合わせし、重ねた画像に基づいて、ユーザーに超音波プローブの操作を指示することは、引用文献2(上記第4の3の摘記事項を参照)に記載されているようによく知られた技術であるし、超音波プローブを機械的に操作するか手動で操作するかは当業者が適宜選択することであるから、引用発明において、超音波プローブを手動で操作すること、及び、超音波プローブの位置を正確に求め、X線画像のROIに対する超音波プローブの位置を精度良く位置合わせするために、引用文献2に記載された技術を採用し、超音波プローブに位置測定要素を設け、超音波画像を取得する間に、これを測定手段で測定することで当該位置測定要素の位置(第2の座標空間の第2の座標データ)を正確に把握し、当該超音波プローブの動きを追跡しながら、X線画像の座標系(XYZ座標系)に超音波プローブの位置座標(X’Y’Z’座標系のプローブの位置座標)を位置合わせして、当該X線画像のROIに当該超音波プローブの位置及び方向を誘導するようユーザーに指示することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
したがって、引用発明において、引用文献2に記載された技術を採用し、上記(相違点1)及び(相違点2)に関する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、引用文献3(上記第4の4の摘記事項を参照)に記載されているように、画像診断の技術分野において、X線撮像モダリティと超音波撮像モダリティを用い、両モダリティで同一部位を観察する際に、超音波プローブに発光手段等の位置測定要素を設け、超音波画像を取得する間に、当該位置測定要素を測定手段で測定することによって超音波プローブの位置(動き)を追跡し、この位置のデータを用いてX線画像と超音波画像を位置合わせすることは従来周知である。そして、超音波プローブを機械的に操作するか手動で操作するかは当業者が適宜選択することであるし、超音波プローブの位置及び方向を誘導するようユーザーに指示することも当業者が適宜為し得たことであるから、引用発明において、引用文献3に記載された技術を採用し、超音波プローブに位置測定要素を設け、当該超音波プローブの動きを追跡し、当該超音波プローブの位置及び方向を誘導するようユーザーに指示することは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、引用発明において、引用文献3に記載された技術を採用し、上記(相違点1)及び(相違点2)に関する構成とすることも、当業者が容易に想到し得たことである。
2 (相違点3)について
超音波撮像の技術分野において、撮像される1枚の超音波画像は、通常、超音波プローブによる超音波照射方向の2次元情報としての断層画像であることが技術常識であるところ、本願発明の「種々の深さにおいて複数の画像を取得する」ことについて、本願明細書の記載(段落[0044]等)及び上記技術常識を参酌すれば、「深さ」というのは超音波照射方向とは異なる方向であることが明らかである。当審はこの点について、平成29年2月9日に電話応対により請求人に質問し、同日に請求人より、「種々の深さ」は、「種々の異なる面」の意である旨の回答を得ている。
したがって、明細書の記載、上記技術常識、及び、請求人の回答を総合すれば、本願発明の「種々の深さにおいて複数の画像を取得する」ことは、「種々の異なる面において複数の画像を取得する」ことと同じ意味と解することができる。
そして、引用発明は、「ROI(160)」を含む「容積測定3Dデータ」としての「超音波容積180」を検査しようとするものであるから、2次元情報としての断層画像を、異なる面について複数枚取得する必要があることは明らかである。
したがって、引用発明において、ROIの中の種々の異なる面において複数の画像を得ること、すなわち上記(相違点3)の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 効果について
そして、本願発明の奏する作用効果は、引用文献1-3に記載された事項に基づいて当業者が予測し得る程度のものであって、格別のものとは認められない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-010918