特許拒絶査定不服審判
2016-008904
サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法
- 審判番号
- 2016-008904
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-089110外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月15日
- 審決日
- 2017年06月26日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G11B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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特願2011- 89110「サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月12日出願公開、特開2012-221539〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年4月13日の出願であって、平成27年2月13日付けで拒絶理由が通知され、同年4月20日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成27年12月16日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成28年3月10日付けで拒絶査定されたところ、同年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1-12に係る発明は、平成28年2月18日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1から12までに記載された事項により特定されるものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された、次の事項により特定されるものである。
「 【請求項1】
金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された配線層と、前記配線層上に形成されたカバー層と、を有するサスペンション用基板であって、
前記配線層は、記録再生用素子に接続する端子部を有する記録再生用配線層を備え、
前記端子部には、めっき部が形成され、
前記めっき部が、前記端子部の先端面および上面を覆うように形成されており、
前記端子部における前記めっき部の厚さが、前記カバー層の厚さよりも大きいことを特徴とするサスペンション用基板。」
第3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された、特開2010-40115号公報(平成22年2月18日公開。以下「引用文献」という。)には、図面とともに、次のとおりの記載がある(なお、下線は当審において付したものである。)。
(1)「【0012】
図1において、この回路付サスペンション基板1は、ハードディスクドライブの磁気ヘッド23(図2の仮想線)を実装するスライダ24(図2の仮想線)が搭載される金属支持基板2に、磁気ヘッド23とリード・ライト基板などの外部基板(図示せず)とを接続するための導体パターン4が一体的に形成されている。
金属支持基板2は、実装される磁気ヘッド23を磁気ディスク(図示せず)と相対的に走行させながら、磁気ヘッド23と磁気ディスクとの微少な間隔を維持するために設けられている。金属支持基板2は、回路付サスペンション基板1の外形形状に対応して形成され、長手方向に延びる平面視略平帯状に形成されている。」
(2)「【0015】
配線部13は、長手方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。配線部13には、各配線10が幅方向に整列配置されている。
そして、この回路付サスペンション基板1は、図2に示すように、金属支持基板2と、金属支持基板2の上に形成される絶縁層としてのベース絶縁層3と、ベース絶縁層3の上に形成される導体パターン4と、ベース絶縁層3の上に、導体パターン4を被覆するように形成されるカバー絶縁層5を備えている。
【0016】
金属支持基板2は、金属箔や金属薄板から形成されている。また、金属支持基板2は、図1に示すように、磁気ヘッド搭載領域11、配線部13および外部側領域12において、それらの外形形状にそれぞれ対応して形成されている。また、金属支持基板2は、後で詳述するが、磁気ヘッド搭載領域11における厚みT1が、配線部13および外部側領域12における厚みT2に比べて、薄く形成されている。
【0017】
ベース絶縁層3は、図2に示すように、金属支持基板2の表面に、導体パターン4に対応する部分に形成されている。また、ベース絶縁層3は、磁気ヘッド搭載領域11、配線部13および外部側領域12にわたって連続して形成されており、金属支持基板2の周端部を露出している。
導体パターン4は、ベース絶縁層3の表面に形成されている。また、導体パターン4は、図1に示すように、長手方向途中、具体的には、配線部13において、長手方向に沿って並行状に設けられる複数(例えば、6本)の配線10a、10b、10c、10d、10eおよび10fと、磁気ヘッド搭載領域11におけるヘッド側端子部6と、外部側領域12における外部側端子部7とからなる配線回路パターンとして形成されている。」
(3)「 【0020】
カバー絶縁層5は、図2に示すように、ベース絶縁層3の表面において、配線10を被覆するとともに、端子部9を露出するように、形成されている。また、カバー絶縁層5は、磁気ヘッド搭載領域11、配線部13および外部側領域12にわたって、配線10に対応するように連続して形成されている。
また、回路付サスペンション基板1の端子部9の表面には、金属めっき層8が形成されている。」
(4)「 【0037】
さらに、カバー絶縁層5の形成は、例えば、合成樹脂を上記したパターンのフィルムに予め形成して、そのフィルムを、導体パターン4を含むベース絶縁層3の表面に、公知の接着剤層を介して貼着することもできる。
このようにして形成されるカバー絶縁層5の厚みは、例えば、2~25μm、好ましくは、3~10μmである。
【0038】
次いで、この方法では、図4(e)に示すように、カバー絶縁層5から露出する端子部9の表面に、金属めっき層8を形成する。
金属めっき層8を形成する金属としては、例えば、金、ニッケルなどの金属材料が用いられる。
金属めっき層8を形成するには、例えば、金属支持基板2を被覆するように図示しないめっきレジストを形成した後、例えば、電解めっきまたは無電解めっき、好ましくは、電解金めっきまたは無電解金めっきする。その後、めっきレジストを除去する。
【0039】
このようにして形成される金属めっき層8の厚みは、例えば、0.2~3μm、好ましくは、0.5~2μmである。
次いで、この方法では、図4(f)に示すように、ジンバル部21と配線部13の先端部25に対応する金属支持基板2を薄くする。
具体的には、ジンバル部21と配線部13の先端部25に対応する金属支持基板2の下部を除去する。」
(5)図1及び図2の記載は以下のとおりである。
図1
図2
ここで、図2によれば、「金属めっき層8」は、「ヘッド側端子部6」の先端面および上面を覆うように形成されていることが認められる。
そうすると、引用文献には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ハードディスクドライブの磁気ヘッド23を実装するスライダ24が搭載される金属支持基板2に、磁気ヘッド23とリード・ライト基板などの外部基板とを接続するための導体パターン4が一体的に形成されている回路付サスペンション基板1であって、
金属支持基板2と、金属支持基板2の上に形成される絶縁層としてのベース絶縁層3と、ベース絶縁層3の上に形成される導体パターン4と、ベース絶縁層3の上に、導体パターン4を被覆するように形成されるカバー絶縁層5を備え、
導体パターン4は、図1に示すように、長手方向途中、具体的には、配線部13において、長手方向に沿って並行状に設けられる複数(例えば、6本)の配線10a、10b、10c、10d、10eおよび10fと、磁気ヘッド搭載領域11におけるヘッド側端子部6と、外部側領域12における外部側端子部7とからなる配線回路パターンとして形成されており、
カバー絶縁層5は、図2に示すように、ベース絶縁層3の表面において、配線10を被覆するとともに、端子部9を露出するように、形成されており、
このようにして形成されるカバー絶縁層5の厚みは、例えば、2~25μm、好ましくは、3~10μmであり、
次いで、カバー絶縁層5から露出する端子部9の表面に、金属めっき層8を形成し、
このようにして形成される金属めっき層8の厚みは、例えば、0.2~3μm、好ましくは、0.5~2μmであり、
金属めっき層8は、ヘッド側端子部6の先端面および上面を覆うように形成されている、回路付サスペンション基板1」
第4 対比
(1)引用発明の「金属支持基板2」、「金属支持基板2の上に形成される絶縁層としてのベース絶縁層3」、「ベース絶縁層3の上に形成される導体パターン4」及び「ベース絶縁層3の上に、導体パターン4を被覆するように形成されるカバー絶縁層5」は、それぞれ本願発明の「金属支持基板」、「前記金属支持基板上に形成された絶縁層」、「前記絶縁層上に形成された配線層」及び「前記配線層上に形成されたカバー層」に相当し、引用発明の「回路付サスペンション基板1」は、本願発明の「サスペンション用基板」に相当する。
(2)引用発明の「導体パターン4」は、「磁気ヘッド23とリード・ライト基板などの外部基板とを接続するための導体パターン4」であって、「配線部13において、長手方向に沿って並行状に設けられる複数(例えば、6本)の配線10a、10b、10c、10d、10eおよび10f」と「磁気ヘッド搭載領域11におけるヘッド側端子部6と、外部側領域12における外部側端子部7とからなる配線回路パターン」であるから、本願発明と同様、「前記配線層は、記録再生用素子に接続する端子部を有する記録再生用配線層を備え」ているといえる。
(3)引用発明の「金属めっき層8」は、ヘッド側端子部6の先端面および上面を覆うように形成されているから、本願発明と同様、「前記端子部には、めっき部が形成され」、「前記めっき部が、前記端子部の先端面および上面を覆うように形成され」ているといえる。
したがって、本願発明と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「金属支持基板と、前記金属支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された配線層と、前記配線層上に形成されたカバー層と、を有するサスペンション用基板であって、
前記配線層は、記録再生用素子に接続する端子部を有する記録再生用配線層を備え、
前記端子部には、めっき部が形成され、
前記めっき部が、前記端子部の先端面および上面を覆うように形成されていることを特徴とするサスペンション用基板。」
[相違点]
本願発明では、「前記端子部における前記めっき部の厚さが、前記カバー層の厚さよりも大きい」のに対し、引用発明では、そのような特定がない点。
第5 判断
端子部には他方の端子部と接続するという機能が求められることは当然であるところ、そのような端子部にめっき部を形成するに際し、そのめっき部の厚さを、当該端子部が接続される側の端子部の位置に応じた厚さとすることは周知技術(例えば、原査定の引用文献3(特開2006-202358号公報(特に、段落21、段落25、図3))参照)である。
そして、引用発明は、厚さ2~25μmのカバー絶縁層5を形成した後、カバー絶縁層5から露出する端子部9の表面に厚さ0.2~3μmの金属めっき層8を形成するものであって、結果として、ヘッド側端子部6における金属めっき層8の厚さが、カバー絶縁層5の厚さよりも大きくなることを排除するものでもない。
そうすると、上記周知技術を引用発明に適用して、引用発明における「金属めっき部8」の「厚さ」を、接続される磁気ヘッドの端子部の位置に応じて必要な厚さに形成し、その結果、相違点に係る構成とすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。
また、「金属めっき部」の「厚さ」が、「カバー層の厚さより」も「大きい」ものとなるか「小さい」ものとなるかは、「磁気ヘッドの端子部」及びこの「端子部」に接続される「端子部」の位置関係と、「カバー層の厚さ」とによって必然的に定まるものであって、本願発明のように、「カバー層の厚さよりも大きい」とすることで、格別顕著な作用効果をもたらすということもできない。
したがって、本願発明は、引用発明に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-008904