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特許拒絶査定不服審判

2016-008086

動画を特定の視野で表示するシステム、方法、及びプログラム

審判番号
2016-008086
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-162720
請求日
2016年06月01日
審決日
2017年05月22日
公報発行日
2017年09月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社 ディー・エヌ・エー
  • 【請求人代理人】村越 智史
  • 【請求人代理人】今村 光広
審判長/審判官
  • 審判長 藤井 浩
  • 審判官 清水 正一
  • 審判官 渡辺 努
分類
P18 .121-Z (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-162720「動画を特定の視野で表示するシステム、方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月23日出願公開、特開2017- 41780〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 経緯 1.手続 本願は、平成27年8月20日の出願であって、平成27年11月13日(起案日)付けで拒絶の理由が通知され、それに応答して平成28年1月21日付けで手続補正がなされたが、平成28年2月23日(起案日)付けで拒絶査定がなされた。 本件は、上記拒絶査定を不服として平成28年6月1日付けで請求された拒絶査定不服審判であり、請求と同時に手続補正がなされたものである。 2.査定 原査定の理由は、概略、以下のとおりである。 [理由1] 本願の請求項1-4,6,11,15,16に係る発明(平成28年1月21日付け手続補正書による)は、下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 [理由2] 本願の請求項1ないし6,8ないし16に係る発明(平成28年1月21日付け手続補正書による)は、下記引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 ・請求項1-6,11,12-16について 引用文献1 ・請求項8について 引用文献1及び2 ・請求項9,10について 引用文献1ないし3 <引用文献一覧> 引用文献1:特開2014-183380号公報 引用文献2:特開2015-018013号公報 引用文献3:『ダークソウル2』から"ゆるいつながり"の演出要素をまとめて紹介!幻影や血痕が描く独特のオンラインプレイが更に強化,DENGEKI ONLINE 電撃オンライン,[online],2013年11月18日(周知技術を示す文献) 第2 本願発明 平成28年6月1日付けの手続補正は、平成28年1月21日付け手続補正書の請求項1,15,16の「前記第1のユーザの注視点を含む第1の範囲外の位置となるように、前記第1の位置を特定することを含むステップ」を「前記第1のユーザの注視点を含む注視領域外の位置となるように、前記第1の位置を特定することを含むステップ」とするものであるが、この補正により特定される事項は、平成28年1月21日付け手続補正書の請求項6の「前記第1の位置に前記第1の入力情報を配置するステップは、前記第1のユーザの注視点を含む注視領域外の位置となるように、前記第1の位置を特定することを含む」に対応するものであり、特許請求の範囲に係る技術事項は実質的に変更されていない。 よって、平成28年6月1日付けの手続補正は適法なものとして扱う。 本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成28年6月1日付けの手続補正によって補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載した事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 なお、本願発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。 (本願発明) (A)動画を特定の視野で表示するシステムであって、 (B)1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、 前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、読取可能な命令を実行することに応じて、 (C)第1及び第2のユーザを含む複数のユーザの各々の端末装置に、広角の視野を有する動画として構成されると共に視野全体に仮想空間が対応付けられている特定の動画を、前記複数のユーザの各々の視野で表示するステップと、 (D1)前記第1のユーザから第1の入力情報を受け付けたときに、前記第1のユーザの視野に含まれる前記仮想空間上の第1の位置を特定し、前記第1の位置に前記第1の入力情報を配置するステップであって、 (D2)前記第1のユーザの注視点を含む注視領域外の位置となるように、前記第1の位置を特定することを含むステップと、 (E)前記第1の入力情報の配置に応じて、前記第1の位置を視野に含む前記第2のユーザの端末装置に、前記第1の入力情報を表示するステップと、 (B)を実行する、 (A)システム。 第3 当審の判断 1.引用例の記載事項 原査定において引用された引用文献1である特開2014-183380号公報(以下、「引用例」という。)には、「情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理システム、パノラマ動画表示方法、および、制御データのデータ構造」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 なお、下線は強調のために当審で付したものである。 (1)「【0032】 <第1の実施形態> [1.情報処理システムの構成] 以下、第1の実施形態の一例に係る情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラム、および動画表示方法について説明する。図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムの一例を示すブロック図である。図1において、情報処理システム1は、端末装置2、情報処理装置3、モニタ4、および操作装置7を備える。本実施形態における情報処理システム1は、画像(パノラマ画像)を生成して表示装置(端末装置2および/またはモニタ4)に表示するものである。 (中略) 【0037】 情報処理装置3は、画像を生成する処理等、情報処理システム1において実行される情報処理を実行する。本実施形態においては、情報処理装置3は、CPU(制御部)5およびメモリ6を有し、CPU5がメモリ6を用いて所定の情報処理プログラムを実行することによって、情報処理装置3における各種機能(図30~図33に示す情報処理)が実現される。なお、情報処理装置3は、上記の情報処理を実行することができればどのような構成であってもよい。本実施形態においては、情報処理装置3によって画像(パノラマ画像)が生成され、生成された画像は、表示装置である端末装置2および/またはモニタ4へ出力される。また、情報処理装置3は、パノラマ動画とともに出力すべき音声を生成してもよい。生成された音声は、端末装置2および/またはモニタ4へ出力される。」 (2)「【0040】 [2.パノラマ動画の再生] 次に、情報処理システム1において実行される、パノラマ動画を再生する処理について説明する。図2は、情報処理システム1において表示されるパノラマ動画(画像)の一例を示す図である。図2に示すように、本実施形態においては、端末装置2およびモニタ4にパノラマ画像が表示される。なお、他の実施形態においては、パノラマ画像は少なくとも1つの表示装置に表示されればよい。 【0041】 ここで、パノラマ画像とは、表示装置に表示される画像の視野角よりも広い視野角の画像である。つまり、パノラマ画像は、基本的にはその一部領域の画像が表示装置に表示される(ただし、本実施形態のように複数の表示装置が用いられる場合には、一部の表示装置においてパノラマ画像の全体が表示されてもよい。)パノラマ画像は、表示領域が変化することによって視線の方向が変化する画像であるとも言える。本実施形態においては、上下左右方向に関して全方向(360°)の視野角を有するパノラマ画像が用いられる(図3参照)。ただし、パノラマ画像には死角があってもよく、例えば視野角が180°程度であってもよい。また、本実施形態においては、パノラマ画像はカメラによって撮影された実画像(実写画像)であるが、その一部または全部が仮想画像(CG画像)であってもよい。 【0042】 本実施形態においては、パノラマ画像が表示装置(端末装置2およびモニタ4)に逐次表示されることによって、パノラマ動画が再生される。すなわち、複数のパノラマ画像によってパノラマ動画が構成される。複数のパノラマ画像にはそれぞれフレーム番号が付されており、パノラマ画像がフレーム番号順に表示されることによって、パノラマ動画が再生される。本実施形態においては、時間経過に伴って視点が移動するパノラマ動画が再生される。すなわち、図2に示すように道路上から周囲を見たパノラマ画像が表示され、道路を進んでいく(視点が道路に沿って移動する)パノラマ動画が再生される。 (3)「【0043】 図2に示すように、各表示装置(端末装置2およびモニタ4)には、パノラマ画像の一部の範囲が表示される。以下では、パノラマ画像のうちで表示装置に表示される範囲を「表示範囲」と呼ぶ。図2においては、モニタ4には、視線方向が視点の進行方向(正面方向)となる表示範囲のパノラマ画像が表示される。本実施形態においては、モニタ4における表示範囲は、基本的には予め定められた所定範囲に固定され、一定条件下で変更されることもある(詳細は後述する)。 【0044】 一方、端末装置2における表示範囲は、端末装置2の姿勢に応じて変更される。例えば図2においては、端末装置2は正面方向(ユーザ(端末装置2)からモニタ4への方向)に対して右を向いた姿勢となっており、端末装置2には、上記進行方向に対して視線が右を向いた場合の表示範囲のパノラマ画像が表示されている。このように、情報処理システム1は、入力装置(端末装置2)に対する入力に基づいて、パノラマ動画のうちで表示装置に表示する表示範囲を決定する。これによれば、ユーザは、端末装置2に対する操作(姿勢を変化させる操作)によって視線方向(表示範囲)を自由に変化させてパノラマ動画を見ることができる。なお、他の実施形態においては、表示範囲はユーザの操作に応じて変化するように決定される任意の方法によって決定されてもよい。 【0045】 図3は、端末装置2の姿勢に応じて表示領域を決定する方法の一例を示す図である。本実施形態においては、図3に示すように、仮想空間に立体モデル21を配置し、その立体モデル21の内側に仮想カメラ22を配置する。そして、仮想カメラ22から見た立体モデル21(立体モデル21の内側面)の画像を生成する際に、パノラマ画像をテクスチャとして立体モデルの内側面に描画することで、パノラマ画像が生成される。このとき、パノラマ画像のうち、仮想カメラ22の視野範囲(図3に示す斜線領域23)が表示範囲となる。なお、本実施形態においては立体モデル21は立方体であるとするが、立体モデル21の形状は任意であり、例えば球体または柱状(例えば円柱)の形状であってもよい。 (中略) 【0048】 なお、本実施形態においては、モニタ4の視線方向(モニタ4に表示されるパノラマ動画の視線方向)と端末装置2の視線方向(端末装置2に表示されるパノラマ動画の視線方向)との関係が、モニタ4の向きと端末装置2の向きとの関係と概ね一致するように、仮想カメラ22の視線方向が制御される。具体的には、端末装置2がモニタ4の方を向く姿勢(基準姿勢とする)となる場合、仮想カメラ22の視線方向は、モニタ4のための仮想カメラと同じ方向(すなわち、所定の基準方向)となる。そして、端末装置2の姿勢が基準姿勢から変化した場合、その変化方向に応じた方向へ、変化量に応じた量だけ、仮想カメラ22の姿勢が変化する。これによれば、ユーザは、モニタ4によってある視線方向の風景を見ながら、端末装置2の向きを変化させることによって所望の視線方向の風景を見ることができる。また、端末装置2の姿勢の変化と仮想カメラ22の姿勢の変化とを一致させることによって、現実空間における端末装置2の向きと、仮想空間における仮想カメラ22の視線方向とが一致するので、ユーザは、パノラマ画像が表す空間をよりリアルに感じることができる。」 (4)「【0049】 [3.ユーザによるコメントの入力] 本実施形態においては、パノラマ動画の再生中において、ユーザはコメント(付加情報)を入力することができる(図4,図5参照)。また、入力されたコメントは、その後パノラマ動画が再生される際に、パノラマ動画とともに出力される(図10~図13参照)。なお、付加情報(コメント)は、画像として表示されてもよいし、音声として出力されてもよい。これによって、ユーザは、パノラマ動画を単に見るだけでなく、自分や他のユーザが入力したコメントと共にパノラマ動画を視聴することができる。したがって、本実施形態によれば、情報処理システム1は、パノラマ画像を再生する際により多くの情報をユーザに提示することができる。また、付加情報が提示されることによって、ユーザは、パノラマ動画のうちで自分が見た範囲を他のユーザに伝えたり、他のユーザが見た範囲を知ったりすることができる。以下、コメントの入力を受け付け、入力されたコメントを出力する方法の詳細を説明する。 【0050】 本実施形態においては、上記コメントのように、パノラマ動画に付加される情報を「付加情報」と呼ぶ。本実施形態においては、ユーザによって入力される付加情報はコメント(メッセージ)である。ただし、付加情報の内容はどのようなものであってもよく、例えば、後述する評価情報(パノラマ動画中に登場するオブジェクトに対する評価を表す情報)、あるいは、ユーザ情報等であってもよい。」 (5)「【0051】 (3-1)付加情報の入力 図4および図5を参照して、ユーザが付加情報(コメント)を入力する方法を説明する。情報処理システム1は、パノラマ動画の再生中において、端末装置2に表示されているパノラマ動画に対するコメントの入力を受け付ける。図4は、ユーザがコメントを入力する操作の一例を示す図である。本実施形態においては、情報処理システム1は、パノラマ動画が表示される画面上(タッチパネル12上)に対する入力(タッチ入力)を受け付ける。図4においては、ユーザは、パノラマ動画が表示される画面に対して直接手書きでコメントを入力することができる。なお、付加情報(コメント)の具体的な入力方法はどのような方法であってもよく、他の実施形態においては、例えばキーボードやボタン等の操作部を用いて入力が行われてもよいし、端末装置2がマイクを備える場合には音声入力が行われてもよい。 (中略) 【0053】 また、付加情報を入力する際、情報処理システム1は、端末装置2のLCD11に表示されているパノラマ画像上における位置を指定する入力(位置指定入力)を受け付けてもよい。例えば、コメントの入力を行う前に、コメントの入力を行う位置をユーザにタッチさせるようにしてもよい。なお、詳細は後述するが、パノラマ動画とともに付加情報が表示される場合、上記位置指定入力による位置に関連づけられて付加情報が表示されてもよい。 (中略) 【0057】 入力範囲情報は、上記入力範囲および入力位置の少なくともいずれかを特定できればよい。本実施形態においては、入力位置を特定可能な情報が入力範囲情報として記憶される。上記入力位置は、例えば、上述した位置指定入力によって指定された位置であってもよいし、付加情報が入力された位置(手書きのコメントが入力された位置や、評価ボタン31の位置)であってもよいし、付加情報が入力された時点における表示範囲の所定位置(例えば中心位置)であってもよい。また、音声入力に関しては、例えば、ユーザの声をマイクによって検知された時点における表示範囲(または表示範囲の中心位置)を表す入力範囲情報が記憶されてもよい。」 (6)「【0062】 (3-3)付加情報の出力 以上のようにして付加情報を含む入力情報が記憶された状態でパノラマ動画が再生される場合、情報処理システム1は、パノラマ動画とともに付加情報を出力する。本実施形態においては、情報処理システム1は、パノラマ動画とともに出力される付加情報を上記入力範囲情報に基づいて制御する。典型的には、パノラマ動画の再生中において、上記入力時点が到来し、かつ、上記入力位置が現在の表示範囲に含まれる場合、付加情報がパノラマ動画とともに表示される(図10等参照)。なお、例えば入力時点が到来していない場合、あるいは、入力位置が現在の表示範囲に含まれない場合(現在の視線方向が付加情報の入力時とは別の方向を向いている場合)には、付加情報は表示されない。以下、付加情報を出力する方法について説明する。 (中略) 【0069】 (3-3-2)付加情報の出力態様 図10は、パノラマ動画とともに付加情報が表示される画像の一例を示す図である。付加情報を出力すると情報処理システム1が判断した場合、図10に示すように、端末装置2にはパノラマ動画上にコメント画像32が表示される。このように、本実施形態においては、パノラマ動画中に登場するあるオブジェクト(ここではビル)に対してコメントが入力されると、その後においてパノラマ動画が再生される際には、当該オブジェクトにコメントが付された状態でパノラマ動画が表示される。 【0070】 ここで、図10に示すように、コメント画像32は、パノラマ画像上における上記入力位置を指し示す。つまり、情報処理システム1は、現在の表示範囲に入力位置が含まれる場合、当該入力位置に関連づけて付加情報の画像を表示させる。これによれば、コメントが付された位置をユーザに対して明確に認識させることができる。例えば図10においては、ユーザは、コメントが付された対象となったビルがどれであるかを容易に把握することができる。なお、図11は、出力される付加情報の他の一例を示す図である。図11に示されるように、コメント画像32は入力位置に表示されてもよい。また例えば、コメントがタッチパネル12に対する手書き入力によって行われる場合には、手書きの文字が入力位置に(そのまま)表示されてもよい。なお、付加情報の画像は、入力位置に関連づけて表示されるが、必ずしも入力位置に表示されなくてもよい。例えば、入力位置にコメント画像32が表示されると、コメントを付した対象が見にくくなるおそれがある。そのため、コメント画像32は、(図10に示すように)入力位置から少しずれた位置に表示されてもよい。なお、本明細書において、「画像」とは、文字(テキスト情報)を表す画像を含む。」 2.引用発明 上記引用例に記載された発明について検討する。 (1)上記1.(2)によれば、引用例には、「表示される画像の視野角よりも広い視野角の画像であるパノラマ動画の一部領域の画像が端末装置に表示される情報処理システム」が記載されている。 (2)上記1.(1)の記載によれば、引用例の「情報処理システム」は、「CPUを有し、前記CPUが所定の情報処理プログラムを実行することによって」、情報処理システムの「各機能が実現される」ものである。 (3)上記1.(3)の段落0043,0045の記載によれば、引用例の「情報処理システム」は、「仮想空間に立体モデルを配置し、その立体モデルの内側に仮想カメラを配置して、パノラマ動画をテクスチャとして立体モデルの内側面に描画することでパノラマ動画が生成され、パノラマ動画のうち仮想カメラの視線方向に応じた視野範囲が前記端末装置に表示される表示範囲となる」ものである。 また、段落0044,0048の記載によれば、引用例の「情報処理システム」は、「ユーザの前記端末装置に対する姿勢を変化させる操作に応じて、視線方向を自由に変化させて、パノラマ動画のうちの前記端末装置に表示する表示範囲を決定する」ものであり、これにより、「現実空間における端末装置の向きと仮想空間における仮想カメラの視線方向とが一致するように」表示されるので、ユーザは、パノラマ画像が表す空間をよりリアルに感じることができるものである。 (4)上記1.(4)の記載によれば、引用例の「情報処理システム」は、「パノラマ動画の再生中において、前記ユーザは付加情報(コメント)を入力することができ、入力された前記付加情報(コメント)は、その後パノラマ動画が再生される際に、画像としてパノラマ動画とともに出力され、前記ユーザは自分や他のユーザが入力した付加情報(コメント)と共にパノラマ動画を視聴することができる」ものである。 (5)上記1.(5)の記載によれば、引用例の「情報処理システム」において、「付加情報(コメント)を入力する入力位置は、付加情報(コメント)が入力された時点における表示範囲の中心位置とする」ものである。 (6)上記1.(6)の段落0070の記載によれば、引用例の「情報処理システム」では、入力位置にコメント画像が表示されると、コメントを付した対象が見にくくなるおそれがあるため、「コメント画像は、前記入力位置から少しずれた位置に表示される」ものである。 また、段落0049に「なお、付加情報(コメント)は、画像として表示されてもよいし」と記載されているから、「コメント画像」が、「付加情報(コメント)」の画像であることは明らかである。 (7)上記1.(6)の段落0062の記載、及び、「付加情報(コメント)」は「コメント画像」として表示されるものであることによれば、引用例の「情報処理システム」は、「前記入力位置が現在の表示範囲に含まれる場合、前記コメント画像がパノラマ動画とともに表示される」ものである。 (8)まとめ 上記(1)ないし(7)によると、引用例には下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 なお、引用発明の各構成の符号は、説明のために付与したものであり、以下、構成(a)、構成(b)などと称する。 (引用発明) (a)表示される画像の視野角よりも広い視野角の画像であるパノラマ動画の一部領域の画像が端末装置に表示される情報処理システムであって、 (b)CPUを有し、前記CPUが所定の情報処理プログラムを実行することによって、 (c1)仮想空間に立体モデルを配置し、その立体モデルの内側に仮想カメラを配置して、パノラマ動画をテクスチャとして立体モデルの内側面に描画することでパノラマ動画が生成され、パノラマ動画のうち前記仮想カメラの視線方向に応じた視野範囲が前記端末装置に表示される表示範囲とし、 (c2)ユーザの前記端末装置に対する姿勢を変化させる操作に応じて、視線方向を自由に変化させて、現実空間における端末装置の向きと仮想空間における仮想カメラの視線方向とが一致するように、パノラマ動画のうちの前記端末装置に表示する表示範囲を決定し、 (d1)パノラマ動画の再生中において、前記ユーザは付加情報(コメント)を入力することができ、入力された前記付加情報(コメント)は、その後パノラマ動画が再生される際に、画像としてパノラマ動画とともに出力され、前記ユーザは自分や他のユーザが入力した付加情報(コメント)と共にパノラマ動画を視聴することができ、 (d2)付加情報(コメント)を入力する入力位置は、付加情報(コメント)が入力された時点における表示範囲の中心位置とするもので、画像として表示される付加情報(コメント)のコメント画像は、前記入力位置から少しずれた位置に表示されるものであり、 (e)前記入力位置が現在の表示範囲に含まれる場合、前記コメント画像がパノラマ動画とともに表示される、 (b)各機能が実現される、 (a)情報処理システム。 3.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)本願発明の構成(A)と引用発明の構成(a)との対比 引用発明の「表示される画像の視野角よりも広い視野角の画像であるパノラマ動画の一部領域の画像が端末装置に表示される」ことは、本願発明の「動画を特定の視野で表示する」ことに相当するから、引用発明の構成(a)の「情報処理システム」は、本願発明の構成(A)の「システム」と相違しない。 (2)本願発明の構成(B)と引用発明の構成(b)との対比 引用発明の「CPU」、「所定の情報処理プログラムを実行すること」は、それぞれ、本願発明の「1又は複数のコンピュータプロセッサ」、「読取可能な命令を実行すること」に相当し、それにより、情報処理システムの各機能が実現されるのであるから、引用発明の構成(b)は本願発明の構成(B)と相違しない。 (3)本願発明の構成(C)と引用発明の構成(c1)、(c2)との対比 引用発明の「端末装置」は「ユーザの端末装置」であり、本願発明の「第1及び第2のユーザを含む複数のユーザの各々の端末装置」は「ユーザの端末装置」であることには変わりないから、引用発明と「ユーザの端末装置」である点において共通するものである。 引用発明の「パノラマ動画」は、構成(c1)のように、ユーザの端末装置にパノラマ動画のうちの仮想カメラの視線方向に応じた特定の表示範囲を表示するものであって、パノラマ動画をテクスチャとして立体モデルの内側面に描画することでパノラマ動画が生成されるものであり、構成(a)に「表示される画像の視野角よりも広い視野角の画像であるパノラマ動画」とあるように、広角の視野を有する動画であるから、仮想空間の内側の全ての方向に描画されたパノラマ動画であり、「パノラマ動画」は「特定の動画」といえる。 すなわち、引用発明は『広角の視野を有する動画として構成される共に視野全体に仮想空間が対応付けられている特定の動画を』ユーザの端末装置に表示するものといえる。 また、構成(c2)のように、「ユーザの前記端末装置に対する姿勢を変化させる操作に応じて、視線方向を自由に変化させて、現実空間における端末装置の向きと仮想空間における仮想カメラの視線方向とが一致するように」、「端末装置に表示する表示範囲」が決定されるものであるから、ユーザの操作に応じて、視線方向に対応する表示範囲がユーザごとに決定されており、ユーザの視野で表示されるものであることは明らかである。 これらのことから、引用発明の構成(c1)、(c2)は、本願発明の構成(C)と「ユーザの端末装置に、広角の視野を有する動画として構成されると共に視野全体に仮想空間が対応付けられている特定の動画を、前記ユーザの視野で表示するステップ」という点で一致するものである。 ただし、表示が行われる「ユーザの端末装置」に関し、本願発明では、「第1及び第2のユーザを含む複数のユーザの各々の端末装置」であるのに対し、引用発明では、単に「ユーザの端末装置」である点、及び、動画の表示に関し、本願発明では、「前記複数のユーザの各々の視野で表示する」のに対し、引用発明では、「ユーザの視野で表示する」ものである点において両者は相違する。 (4)本願発明の構成(D1)と引用発明の構成(d1)、(d2)との対比 引用発明は、構成(d1)のように「付加情報(コメント)」を前記ユーザが入力するものである。 ここで、構成(d1)に「前記ユーザは自分や他のユーザが入力した付加情報(コメント)と共にパノラマ動画を視聴することができ」とあることから、引用発明は、少なくとも「ユーザ」及び「他のユーザ」を含む複数のユーザが付加情報(コメント)を入力しているといえ、自分である「ユーザ」を「第1のユーザ」、「他のユーザ」を「第2のユーザ」と称することは任意のことである。 したがって、引用発明の「ユーザ」を「第1のユーザ」と称すれば、引用発明のユーザが入力する付加情報(コメント)は、本願発明の「第1のユーザから受け付けた第1の入力情報」に相当する。 引用発明は、構成(d2)のように、付加情報(コメント)が入力された時点における表示範囲の中心位置が付加情報(コメント)を入力する入力位置とされ、その入力位置から少しずれた位置にコメント画像が表示される。 そして、前記付加情報(コメント)は、構成(d1)のように、その後パノラマ動画が再生される際に、パノラマ動画とともに出力されるものであり、「パノラマ動画」は、構成(c1)にあるように、仮想空間の内側の全ての方向に描画されるものであるから、コメント画像が表示される位置はユーザの視野に含まれる仮想空間上の位置に対応するといえ、その位置を「第1の位置」と称することは任意である。 よって、引用発明の「コメント画像が表示される少しずれた位置」は、本願発明の「前記第1のユーザの視野に含まれる前記仮想空間上の第1の位置」に相当する。 引用発明の構成(d1)の「入力された前記付加情報(コメント)は、その後パノラマ動画が再生される際に、画像としてパノラマ動画とともに出力され、前記ユーザは自分や他のユーザが入力した付加情報(コメント)と共にパノラマ動画を視聴することができ」るということは、本願発明の「前記第1の位置に前記第1の入力情報を配置する」ことに相当する。 以上のことから、引用発明の構成(d1)、(d2)は、本願発明の構成(D1)の「前記第1のユーザから第1の入力情報を受け付けたときに、前記第1のユーザの視野に含まれる仮想空間上の第1の位置を特定し、前記第1の位置に前記第1の入力情報を配置するステップ」と一致するものである。 (5)本願発明の構成(D2)と引用発明の構成(d2)との対比 本願発明の「注視点」とは、具体的には、本願の段落0057に「一実施形態では、図示するように、ユーザの視界Vの中心(ユーザの視線の方向と仮想空間との交点)を、ユーザが注視している注視点FPと定義し」と記載されているように、ユーザの端末装置にユーザの視野で表示される特定の動画の中心を含むものといえるから、引用発明の「入力位置は、付加情報(コメント)が入力された時点における表示範囲の中心位置とするもの」の「入力位置」と変わるものではない。 そして、引用発明は、入力位置から少しずれた位置にコメント画像が表示されるものであり、上記(4)において認定したように、コメント画像が表示される位置は「第1の位置」に相当するので、引用発明は、『注視点に関連した位置となるように、第1の位置を特定する』ものといえる。 したがって、上記(4)と同様に「ユーザ」を「第1のユーザ」と称すれば、引用発明の構成(d2)は、本願発明の構成(D2)と、「前記第1のユーザの注視点に関連した位置となるように、前記第1の位置を特定することを含むステップ」という点で一致する。 ただし、「注視点に関連した位置」に関し、本願発明では「注視点を含む注視領域外の位置」であるのに対して、引用発明では、「注視点」に対応する「入力位置」から「少しずれた位置」である点で、両者は相違する。 (6)本願発明の構成(E)と引用発明の構成(e)との対比 引用発明は、上記(4)において認定したように、少なくとも「ユーザ」(第1のユーザ)及び「他のユーザ」(第2のユーザ)を含む複数のユーザが付加情報(コメント)を入力しているといえるものの、構成(e)の「前記入力位置が現在の表示範囲に含まれる場合、前記コメント画像がパノラマ動画とともに表示される」ことは、第1のユーザの端末装置における機能であり、第2のユーザの端末装置に関する構成は有していない。 したがって、引用発明は、本願発明の構成(E)の「前記第1の入力情報の配置に応じて、前記第1の位置を視野に含む前記第2のユーザの端末装置に、前記第1の入力情報を表示するステップ」を有していない点で相違する。 (7)まとめ 以上(1)ないし(6)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 動画を特定の視野で表示するシステムであって、 1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、 前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、読取可能な命令を実行することに応じて、 ユーザの端末装置に、広角の視野を有する動画として構成されると共に視野全体に仮想空間が対応付けられている特定の動画を、前記ユーザの視野で表示するステップと、 前記第1のユーザから第1の入力情報を受け付けたときに、前記第1のユーザの視野に含まれる前記仮想空間上の第1の位置を特定し、前記第1の位置に前記第1の入力情報を配置するステップであって、前記第1のユーザの注視点に関連した位置となるように、前記第1の位置を特定することを含むステップと、を実行する、 システム。 [相違点] (相違点1) 表示が行われる「ユーザの端末装置」に関し、本願発明では、「第1及び第2のユーザを含む複数のユーザの各々の端末装置」であるのに対し、引用発明では、単に「ユーザの端末装置」である点。 (相違点2) 動画の表示に関し、本願発明では、「前記複数のユーザの各々の視野で表示する」のに対し、引用発明では、「ユーザの視野で表示する」ものである点。 (相違点3) 「注視点に関連した位置」に関し、本願発明では「注視点を含む注視領域外の位置」であるのに対して、引用発明では、「注視点」に対応する「入力位置」から「少しずれた位置」である点。 (相違点4) 引用発明は、本願発明の「前記第1の入力情報の配置に応じて、前記第1の位置を視野に含む前記第2のユーザの端末装置に、前記第1の入力情報を表示するステップ」を有していない点。 5.判断 (1)相違点1,2について 引用発明は、構成(d1)に「前記ユーザは自分や他のユーザが入力した付加情報(コメント)と共にパノラマ動画を視聴することができ」とあることから、少なくとも「ユーザ」及び「他のユーザ」を含む複数のユーザが付加情報(コメント)を入力している。 したがって、他のユーザも、自分であるユーザと同等の端末装置を有していることは容易に想定されることであり、引用発明の情報処理システムが備える「ユーザの端末装置」を、相違点1に係る「第1及び第2のユーザを含む複数のユーザの各々の端末装置」とし、動画の表示を、相違点2に係る「前記複数のユーザの各々の視野で表示する」ものとすることは、当業者が容易になし得ることである。 (2)相違点3について 引用発明の「注視点」に対応する「入力位置」から「少しずれた位置」には、「入力位置」から「少しずれた」距離より内側の位置は含まれないから、コメント画像の表示される位置は、「少しずれた」距離より内側の領域外の位置ということになる。 そして、その領域内に「注視点」に対応する「入力位置」があることから、そのような領域を、「注視点を含む注視領域」と称することに格別の点はない。 したがって、引用発明において、「注視点」に対応する「入力位置」から「少しずれた位置」を、相違点1に係る「注視点を含む注視領域外の位置」することに困難な点はない。 (3)相違点4について 上記(1)における判断を援用すれば、引用発明において、他のユーザ(第2のユーザ)の端末装置に、自分であるユーザ(第1のユーザ)が入力した付加情報(コメント)、すなわち「第1の入力情報」を表示することは、当業者が容易になし得ることである。 そして、引用発明は、構成(e)にあるように、コメント画像の表示される位置とは逆に少しずれた位置である「入力位置」が現在の表示範囲に含まれる場合に、付加情報(コメント)のコメント画像が表示されるものであるところ、付加情報(コメント)を表示する際には、付加情報(コメント)を入力する基準となる「入力位置」よりも、コメント画像の表示される位置である「入力位置から少しずれた位置」、すなわち「第1の位置」が現在の表示範囲に含まれる場合とするのがより適切であることは、明らかなことである。 したがって、引用発明において、「前記第1の入力情報の配置に応じて、前記第1の位置を視野に含む前記第2のユーザの端末装置に、前記第1の入力情報を表示するステップ」を有するものとすることに、困難な点はない。 (4)請求人の審判請求書の主張について 請求人は、本願発明の「注視領域」に関し、審判請求書の【請求の理由】の3.(4)(4-1)の「イ 相違点について」において、 「本出願明細書の図10(B)が示すように、本願発明においては、コメントに対応する入力表示は、注視点を含む注視領域にある建物と実質的に重ならないよう、当該注視領域外に配置されることが1つの大きな特徴であり、引用文献1に係る発明と本件発明とではそもそも解決手段である表示位置に係る点が本質的に異なります。」 「また、この「注視領域」の説明として、本出願の図10においても、同図の「建物」について、その「建物」全体を包囲するように形成されていることが開示されているため、この場合、当該「建物」の中心を注視点とし、当該「建物」を包囲するよう注視領域げ形成されるものであることは明らかであります。このように、注視され得る領域が対象物の大きさに応じて異なり得ることは明らかであります。」(下線は当審が付与した。) 等と主張している。 まず、上記「第2 本願発明」のとおり、本願発明である特許請求の範囲の請求項1に記載される発明においては、「注視領域」が、対象物の大きさに応じて異なり得るものであることについては特定されておらず、上記主張は特許請求の範囲の記載に基づく主張ではない。 さらに、本願の明細書によれば、請求人が、審判請求書の【請求の理由】の3.(4)(4-1)の「イ 相違点について」において、 「ここで、本願発明における「注視領域」は、本出願明細書の段落0057の「図10Aは、一実施形態におけるユーザの注視点FP及び注視領域FRを説明するための図である。一実施形態では、図示するように、ユーザの視界Vの中心(ユーザの視線の方向と仮想空間との交点)を、ユーザが注視している注視点FPと定義し、この注視点FPを中心とすると共に所定の長さの半径を有する円形の領域を注視領域FRと定義する。コメントを配置する位置は、例えば、注視点FPから移動する(離れる)方向を特定し、この特定された方向に注視領域FRの半径に相当する距離だけ移動した位置として特定される。注視点FPから移動する方向は、例えば、ランダムに特定される。図10Bに示すように、例えば、第2の動画再生画面70の表示領域71(視野V)に表示されている動画に現れるビルを見ている(注視点FPに当該ビルが表示されている)ユーザがコメントを入力した場合、注視領域FRの範囲外の位置は、当該ビルから離れる方向に移動した位置となり、当該ビルに重なり難い。」として開示されています」 と示しているように、本願発明における「注視領域」は、あくまでも「所定の長さの半径を有する円形の領域」と定義されているのみであり、「当該ビルに重なり難い」という程度の効果を奏するのみであって、当該ビルに「必ず重ならないこと」が記載されているわけではない。 したがって、請求人の上記主張は採用できないものである。 (5)効果等について 本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。 (6)上申書について 請求人は、平成28年10月3日付け上申書において、「注視点」を「視野の略中心である注視点」とする補正案を提示しているが、この点は、上記3.(5)において判断しているように、引用発明と相違するものではない。 (7)まとめ 以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のように、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-008086

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