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特許拒絶査定不服審判

2016-007152

接点構造

審判番号
2016-007152
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-542959外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年05月16日
審決日
2017年06月13日
公報発行日
2017年07月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WYF(H01H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-542959「接点構造」拒絶査定不服審判事件〔2012年5月18日国際公開、WO2012/063869、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2011年11月9日(優先権主張平成22年11月10日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成27年7月17日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の同年9月25日に手続補正されたが、平成28年2月8日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。発送日:同年2月16日)され、これに対し、同年5月16日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正され、その後、当審において、平成29年1月18日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、その指定期間内の同年3月24日に手続補正されたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は、次のとおりである。 本願の請求項1ないし3に係る発明は、以下の刊行物に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.請求項1について 刊行物Aには、可動部材が「くびれ部分を有する」点が記載されていないが、該点は刊行物Bに記載されている(刊行物Aの段落[0027]、[図2]、[図3]、刊行物BのFIG.4、die Kontaktfeder 24、seitlich Einschnitte 27。)。 刊行物Aの回路保護デバイスも、いわゆるダブルブレーク又はダブルメイク接点構造である(刊行物Aの段落[0027]、[図3]。)。 2.請求項2について 請求項2に記載された発明特定事項は、刊行物Aに記載されている(刊行物Aの[請求項1]。) 3.請求項3について 請求項3に記載された発明特定事項は、刊行物Aに記載されている(刊行物Aの段落[0006]。) 刊行物A.国際公開第2009/128355号 刊行物B.西独国特許出願公開第3232679号明細書 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。 本願の請求項1ないし3に係る発明は、以下の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 刊行物1.国際公開第2009/128535号(拒絶査定時の刊行物A) 刊行物2.西独国特許出願公開第3232679号明細書(拒絶査定時の刊行物B) 第4 本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成29年3月24日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 それぞれが固定接点を有する2つの固定部材、およびそれぞれの固定部材の固定接点に接触する、またはそれぞれの固定部材の固定接点から離間する可動接点を有する可動部材を有して成る接点構造であって、 接点構造は、ダブルブレークまたはダブルメイク接点構造であり、 可動部材は、全体としてはストリップの形態であり、その一方の端部は、可動部材の上記接触および離間を可能ならしめるように支持され、可動部材の他方の端部は、可動接点を有して成り、 可動部材は、その両端部の間にくびれ部分を有し、 可動部材の長さが、5mm~20mmであり、 可動部材の幅が、3mm~17mmであり、 くびれ部分の幅が、可動部材の幅の0.3~0.6倍であり、 くびれ部分の長さが、0.5mm~15mmであることを特徴とする接点構造を有し、 さらに、回路開閉要素としてのバイメタル素子および可動接点を有する可動端子を有して成る回路開閉素子、ならびにPTC素子を有して成る 回路保護デバイス。 【請求項2】 (1)PTC素子と可動端子とは電気的に並列に接続され、 (2)回路開閉素子は、バイメタル素子の動作温度(Top)における動作によって、電流を流すように位置する可動端子を移動させて可動接点を固定接点から離間させることによって、回路開閉素子を流れる電流を遮断でき、また、バイメタル素子の復帰温度(Tcl)における復帰によって、電流を遮断するように位置する可動端子を移動させて可動接点を固定接点に接触させることによって回路開閉素子に電流を流すことができ、 (3)バイメタル素子は、PTC素子と可動端子との間に配置されていること を特徴とする請求項1に記載の回路保護デバイス。 【請求項3】 請求項1または2に記載の回路保護デバイスを有して成る電気装置。」 第5 刊行物 1.刊行物1について 本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物1(国際公開第2009/128535号)には、「回路保護デバイス」に関して、図面(特に、図1ないし図3を参照。)とともに、次の事項が記載されている。下線は当審で付した。 ア.「[0006] 本発明は、回路開閉要素としてのバイメタル素子および可動端子を有して成る回路開閉素子、ならびにPTC素子を有して成る回路保護デバイスであって、 (1)PTC素子と可動端子とは電気的に並列に接続され、 (2)回路開閉素子は、バイメタル素子の動作温度(Top)における動作によって、電流を流すように位置する可動端子を移動させて回路開閉素子を流れる電流を遮断でき、また、バイメタル素子の復帰温度(Tcl)における復帰によって、電流を通電するように位置する可動端子を移動させて回路開閉素子に電流を流すことができ、 (3)バイメタル素子の動作温度(Top)は復帰温度(Tcl)より少なくとも20℃高く、 (4)PTC素子のトリップ温度(Ttr)は、バイメタル素子の動作温度より少なくとも10℃高く、 (5)バイメタル素子は、PTC素子と可動端子との間に配置されていることを特徴とする回路保護デバイスを提供する。本発明は、また、そのような回路保護デバイスを有して成る電気回路(電子回路をも包含する概念)を提供し、更に、そのような電気回路を有して成る電気装置(電子装置をも包含する概念)をも提供する。」 イ.「[0027] 本発明の回路保護デバイス1は、PTC素子10および回路開閉素子12を有して成り、回路開閉要素12は、バイメタル素子14および可動端子16を有して成り、可動端子16は、その端部付近に可動接点18、19を有する。可動端子16は、バイメタル素子14の作動によって矢印で示すように移動し、それに対向する固定端子20、21に設けた固定接点22、23に接触し、あるいはそれから離間する。 [0028] 図示した態様は、固定端子20の接点22に接触していた可動端子の接点18、および固定端子21の接点23に接触していた可動端子の接点19が、バイメタル素子14の温度が上昇することによって動作し、その結果、可動端子16が上向きに移動することによって端子20および21から離間した状態になっている。この状態では、回路3を流れる電流の全てはPTC素子10を流れ、その結果、PTC素子は発熱し、その熱によってバイメタル素子の動作状態が維持される。 [0029] 逆に、図1に示す状態から、バイメタル素子14の温度が低下してバイメタル素子14が復帰することによって、可動端子16が移動して接点18と22および接点19と23が相互に接触する。この状態では、回路3を流れる電流の実質的に全部が可動端子16側を流れ、PTC素子10側に殆ど流れない。 [0030] このように、バイメタル素子が動作した場合には、接点18と22および接点19と23とが接触した状態から離間し、逆に、バイメタル素子が復帰した場合には、離間状態にある接点18と22および接点19と23が相互に接触するようになる。このように接触した状態では、PTC素子10および回路開閉素子12が電気的に並列に接続されているか、あるいは電気的に直接的に並列に接続されていない場合には、並列に接続できるように構成されている。」 ウ.上記イ.の段落[0028]の「固定端子20の接点22に接触していた可動端子の接点18、および固定端子21の接点23に接触していた可動端子の接点19が、バイメタル素子14の温度が上昇することによって動作し、その結果、可動端子16が上向きに移動することによって端子20および21から離間した状態」との記載、及び、同段落[0029]の「バイメタル素子14の温度が低下してバイメタル素子14が復帰することによって、可動端子16が移動して接点18と22および接点19と23が相互に接触する。」との記載から、固定端子20の2つの接点22、24が、可動端子16の2つの接点19、23と、相互に離間または接触すること、すなわち、接点構造がダブルブレークまたはダブルメイク接点構造となっていることが分かる。 上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「それぞれが接点22、23を有する2つの固定端子20、21、およびそれぞれの固定端子20、21の接点22、23に接触する、またはそれぞれの固定端子20、21の接点22、23から離間する接点18、19を有する可動端子16を有して成る接点構造であって、 接点構造は、ダブルブレークまたはダブルメイク接点構造であり、 可動端子16は、全体としてはストリップの形態であり、その一方の端部は、可動端子16の上記接触および離間を可能ならしめるように支持され、可動端子16の他方の端部は、接点18、19を有して成る接点構造を有し、 さらに、回路開閉要素としてのバイメタル素子14および接点18、19を有する可動端子16を有して成る回路開閉素子12、ならびにPTC素子10を有して成る回路保護デバイス1。」 2.刊行物2について 本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物2(西独国特許出願公開第3232679号明細書)には、「Elektromagnetisches Schaltrelais fur hohe Strombelastung(当審仮訳:「高電流負荷用電磁開閉リレー」。独文特有の文字のaウムラウト及びuウムラウトは、それぞれ「a」及び「u」に置き換えている。以下、独文に続く( )内の和文は当審仮訳であり、下線は当審で付した。)に関して、図面(特に、FIG3及びFIG4を参照。)とともに、次の事項が記載されている。 ア.「Der Flachstecker 9 ist・・・das erste Kontaktstuck 11,」(明細書第8ページ第36行ないし第9ページ第2行)(当審仮訳:接触コンセント9は、その延長部分9aにおいて、ベースプレート上で2度曲げられ、一つ目の接触部分11を支持し、) イ.「Das zweite Kontaktstuck 21 ist・・・Stromleitbleches 16 befestigt .」(明細書第9ページ第33行ないし第35行)(当審仮訳:二つ目の接触部分21は、この場合、直接、電気伝導版16の曲げられた突出部20に固定されている。) ウ.「Die Kontaktfeder 24 weist ・・・Langsachse erreichen.」(明細書第10ページ第17行ないし第23行)(当審仮訳:接触バネ24はさらに、該接触バネのアンカーへの固定側の端部と、接点となる端部との間の範囲に、横向きの切り欠き部27を有する。これによって、両方の接触部の同時でない結合の際には、現存する公差によって、もしくは異なる事象の後に、コンタクトバネ24のヒステリシスが縦軸の周りのねじれによって達成され得る。) 上記記載事項及び図面の図示内容を総合すると、刊行物2には、次の技術事項(以下、「刊行物2に記載された技術事項」という。)が記載されているといえる。 「一つ目の接触部分11と二つ目の接触部分21とに接触する接触バネ24が、その両端部の間に切り欠き部27を有する接点構造を有する高電流負荷用電磁開閉リレー。」 第6 対比・判断 1.請求項1に対して ア.対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、その機能または構造からみて、引用発明の「接点22、23」は本願発明1の「固定接点」に相当し、以下同様に、「固定端子20、21」は「固定部材」に、「接点18、19」は「可動接点」に、「可動端子16」は「可動部材」に、「バイメタル素子14」は「バイメタル素子」に、「回路開閉素子12」は「回路開閉素子」に、「PTC素子10」は「PTC素子」に、「回路保護デバイス1」は「回路保護デバイス」に、それぞれ相当する。 したがって、両者は次の点で一致する。 [一致点] 「それぞれが固定接点を有する2つの固定部材、およびそれぞれの固定部材の固定接点に接触する、またはそれぞれの固定部材の固定接点から離間する可動接点を有する可動部材を有して成る接点構造であって、 接点構造は、ダブルブレークまたはダブルメイク接点構造であり、 可動部材は、全体としてはストリップの形態であり、その一方の端部は、可動部材の上記接触および離間を可能ならしめるように支持され、可動部材の他方の端部は、可動接点を有して成る接点構造を有し、 さらに、回路開閉要素としてのバイメタル素子および可動接点を有する可動端子を有して成る回路開閉素子、ならびにPTC素子を有して成る回路保護デバイス。」 また、両者は次の点で相違する。 [相違点] 可動部材について、本願発明1は、「可動部材は、その両端部の間にくびれ部分を有し、可動部材の長さが、5mm~20mmであり、可動部材の幅が、3mm~17mmであり、くびれ部分の幅が、可動部材の幅の0.3~0.6倍であり、くびれ部分の長さが、0.5mm~15mmである」のに対し、引用発明は、その両端部の間にくびれ部分を有しない点。 イ.判断 まず、刊行物2に記載された技術事項について検討する。 本願発明1と刊行物2に記載された技術事項とを対比すると、その機能または構造からみて、刊行物2に記載された技術事項の「一つ目の接触部分11と二つ目の接触部分21とに接触する接触バネ24」は本願発明1の「可動部材」に相当する。 また、刊行物2に記載された技術事項の「切り欠き部27」は、上記明細書の第10ページ第17行ないし第23行)の記載によれば、接触バネ24の両方の接触部の同時でない結合の際に縦軸の周りのねじれを生じるものであることが理解できるから、本願発明1の「くびれ部分」に相当する。 そして、刊行物2に記載された技術事項の「高電流負荷用電磁開閉リレー」は、電磁力により接点を開閉するものではあるが、「回路保護デバイス」という限りにおいて、本願発明1の「回路保護デバイス」と共通する。 したがって、刊行物2に記載された技術事項は、本願発明1の用語を用いると、「可動部材が、その両端部の間にくびれ部分を有する接点構造を有する回路保護デバイス。」ということができる。 そうすると、刊行物2に記載された技術事項は、相違点に係る本願発明1の発明特定事項のうち、「可動部材は、その両端部の間にくびれ部分を有」することを備えているといえる。 次に、相違点に係る本願発明1の「可動部材の長さが、5mm~20mmであり、可動部材の幅が、3mm~17mmであり、くびれ部分の幅が、可動部材の幅の0.3~0.6倍であり、くびれ部分の長さが、0.5mm~15mmである」との発明特定事項(以下、「事項A」という。)について検討する。 本願明細書の段落【0008】の「上述のような『ダブルブレーク(またはダブルメイク)接点構造』において、通常、可動接点は可動部材としての金属ストリップの、可動端子として作用する端部に設けられている。回路保護デバイスをよりコンパクトにしようとする場合、固定端子(または固定接点)同士の距離をより短くすることが望ましいことになる。この場合、可動部材の幅も同時に短くなるが、その結果、接点同士の接触が2箇所で確実かつ十分に行われないことが生じ得る、即ち、いわゆる『片当たり』なる状態が生じ得る。この場合、一方の箇所においては接点同士の接触抵抗が大きくなり得るという問題がある。」との記載によれば、本願発明1は、「回路開閉要素としてのバイメタル素子14および接点18、19を有する可動端子16」を有してなる回路保護デバイスにおいて、コンパクト化のために可動部材の幅を短くした場合に生じる、接触の片当たりを防止することを課題とすることが理解できる。 そして、本願発明1の上記事項Aは、上記課題を解決するためのものといえる。 他方、刊行物1及び刊行物2には、上記課題や本願発明1の上記事項Aに関する記載や示唆はない。 そうすると、引用発明において、仮に刊行物2に記載された技術事項を適用したとしても、当業者が相違点に係る本願発明1の上記事項Aを容易に想到し得たとはいえない。 よって、本願発明1は、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2.本願発明2及び3について 本願発明2は、本願発明1をさらに限定した回路保護デバイスであり、また、本願発明3は、本願発明1または2の回路保護デバイスを有した電気装置であるから、本願発明2及び3は、本願発明1と同様に、引用発明及び刊行物2に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 平成29年3月24日の手続補正により、補正後の請求項1ないし3は、「回路開閉要素としてのバイメタル素子および可動接点を有する可動端子を有して成る回路開閉素子、ならびにPTC素子を有して成る回路保護デバイス」において、「可動部材は、その両端部の間にくびれ部分を有し、可動部材の長さが、5mm~20mmであり、可動部材の幅が、3mm~17mmであり、くびれ部分の幅が、可動部材の幅の0.3~0.6倍であり、くびれ部分の長さが、0.5mm~15mmである」という発明特定事項を有するものとなった。当該発明特定事項は、原査定における刊行物A及びBには記載されておらず、本願の優先権主張の日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし3は、当業者であっても、原査定における刊行物A及びBに基いて容易に発明できたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-007152

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