特許拒絶査定不服審判
2016-003163
放射能検査装置
- 審判番号
- 2016-003163
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-170886外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年03月01日
- 審決日
- 2017年03月06日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G01T) / P18 .537-WY (G01T)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-170886「放射能検査装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月20日出願公開、特開2014- 32026、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年8月1日の出願であって、平成27年6月17日付け(発送 同年同月23日)で拒絶理由通知がされ、同年8月18日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年11月25日付け(送達 同年12月1日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、平成28年3月1日に拒絶査定不服審判の請求がされた後、当審において、平成28年11月30日付け(発送 同年12月7日)で拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成29年2月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成27年11月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1ないし3に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開平9-211132号公報
2.特開平6-64714号公報
3.特開平4-48290号公報
放射能検査装置において、「搬入口の幅を、コンベアにより搬送される被検体の幅の2倍以下の所定の比をなす」ことは周知である(引用文献2段落「0001」、「0038」~「0046」、図6、7参照)。
引用文献1ないし3に記載された発明は、汚染された部品の放射線検査の技術分野で一致し、入口を有する検査設備に搬送しながら検査を行う課題の一致性から、引用文献1ないし3の記載に基づいて、本願請求項1ないし3に係る発明とすることは当業者にとって容易である。その際、測定物品を収納する容器の種類、測定物品と物品搬入口のサイズの比の具体的な値は当業者が適宜決定し得ることである。
そして、出願人が主張する、本願発明の構成を採用することによる、「位置ずれを小」さくすることと、「正確な放射能検査を実行」できる効果も、引用文献1-3の記載により、当業者の予測の範囲内である。
なお、本願明細書の記載を参酌しても、「搬入口の幅を…被検体の幅の1倍以上1.4倍以下」とすることによる臨界的な効果は認められない。
第3 本願発明
1 本願請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成29年2月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
被検体である米袋から放射される放射線を前記米袋の上方から検出する第1放射線検出器と、前記米袋の下方から検出する第2放射線検出器とが配設されたガントリー構造の装置本体と、
前記装置本体に形成された搬入口から前記装置本体内に検査を行うべき前記米袋を搬入するとともに、前記装置本体に形成された搬出口から検査を終了した前記米袋を搬出するコンベアと、
を備えた放射能検査装置において、前記米袋は、寸法に規格があり、幅は一定である袋に30キログラムの米を収納したものであり、前記搬入口の幅を、前記コンベアにより搬送される前記米袋の幅の1倍以上1.4倍以下としたことを特徴とする放射能検査装置。」
2 なお、本願発明2及び3の概要は以下のとおりである。
本願発明2及び3は、本願発明1を減縮した発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射性物質を取り扱う施設から搬出される衣類の汚染の有無を検査するランドリモニタ及びそれに用いられるキャリアに関する。」
イ 「【0002】
【従来の技術】放射性物質を扱う,例えば原子力発電所,再処理施設,大学及び研究機関等のような施設においては、放射性物質の使用により衣服等が汚染する可能性がある。この種の衣服を施設外へ持ち出したり、この衣服を洗濯した後に再使用する際には、当該衣服(以下、被検体という)について放射性物質の有無を検査する必要がある。かかる検査を実施する装置として、ランドリモニタが用いられている。
【0003】この種のランドリモニタは、放射線検出器と、コンベア等の搬送装置とを備えており、被検体を放射線検出器の設置されたモニタ本体内に搬送装置により連続的に送り込んで放射線量の検査を実行している。
【0004】図9はこのようなランドリモニタの外形を示す斜視図であり、図10はこのランドリモニタの構成を模式的に示す断面図である。このランドリモニタにおいては、モニタ入口からモニタ本体1を介してモニタ外へ至る搬送路2を設け、この搬送路2に載せた被検体3をモニタ本体1内へ搬送する。
【0005】ここで、モニタ上部内壁1aに設けた複数の放射線検出器からなる上側検出器4及び搬送路2下方に設けた複数の放射線検出器からなる下側検出器5で被検体2の放射線を検出して検出信号をデータ処理装置6に送出する。データ処理装置はこれら検出信号に基づいて被検体3の放射能汚染の有無を判定する。検査の終了後、被検体3はモニタ外へ移送される。」
ウ 「【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係るランドリモニタ及びそれに用いられるキャリアについて説明する。
(第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施の形態に係るランドリモニタの構成を模式的に示す断面図であり、図2はこのランドリモニタに適用されるキャリアと上側及び下側検出器との構成を示す模式図である。このランドリモニタは、被検体10を収納して一定の形状に整形するキャリア11を用いるものであって、入口側搬送部21、内部搬送部22、位置センサ23、上側検出器24、下側検出器25、上側駆動部26、下側駆動部27、データ処理部28、汚染防止膜巻取部29及び出口側搬送部30を備えている。
【0021】ここで、入口側搬送部21は、キャリア11をモニタ本体31内に搬送するものである。内部搬送部22は、入口側搬送路21により搬送されたキャリア11をその両側面から挟持しながら検出位置に搬送するものであり、例えば横型のローラコンベアが使用可能となっている。
【0022】位置センサ23は、モニタ本体31内に設けられ、内部搬送部22により搬送されたキャリア11が検出位置に着いたことを検出し、位置検出信号をデータ処理部28に与えるものである。
【0023】上側検出器24は、モニタ本体31内の搬送路の上方に昇降可能に配置され、個々のブロックが夫々図2中の下側検出器25と同様の3つの放射線検出素子(図示せず)の集合体からなり、キャリア11内の被検体10から放出される放射線を検出し、放射線検出信号をデータ処理部28に与えるものである。
【0024】下側検出器25は、モニタ本体31内の搬送路の下方に昇降可能に配置され、図2に示すように、3つの放射線検出素子25ELの集合体からなり、キャリア11内の被検体10から放出される放射線を検出し、放射線検出信号をデータ処理部28に与えるものである。
【0025】上側駆動部26は、データ処理部28の制御により、上側検出器24を昇降駆動させるものである。下側駆動部27は、データ処理部28の制御により、下側検出器25を昇降駆動させるものである。
【0026】データ処理部27は、位置センサ23から受ける位置検出信号に基づいて上側及び下側駆動部26,27を制御し、また、上側及び下側検出器24,25から受ける放射線検出信号に基づいて被検体10の汚染の有無を判定するものである。さらに、データ処理部28は、下側検出器25から受ける放射線検出信号に基づいて汚染防止膜巻取部29を制御する機能をもっている。
【0027】汚染防止膜巻取部29は、主に下側検出器25をキャリア11から落下する汚染物質から保護するための汚染防止膜を巻架するものであり、データ処理部の制御により、汚染された汚染防止膜を巻取ってその未使用面を下側検出器25の上方に位置させる機能をもっている。なお、ここでは、上側検出器24をキャリア11内の被検体10の汚染物質から保護する汚染防止膜を巻架するものでもあり、データ処理部28の制御により、汚染された汚染防止膜を巻取ってその未使用面を上側検出器24の下方に位置させる機能をもっている。
【0028】出口側搬送部30は、モニタ本体31内から搬送されたキャリア11を出口に搬送するものである。一方、キャリア11は、柔軟性をもつ被検体10を収納して一定形状に整形するものであり、具体的には図2に示すように、互いに同一の長方形に形成された2つのフレーム部材12と、これら各フレーム部材12の内側に保持されるメッシュ部材13と、各フレーム部材12の一端部を夫々軸支して互いに開閉可能に連結する連結部材14とを備えている。
【0029】各フレーム部材12は互いに他のフレーム部材12との対向面にパッキン15を有している。なお、各パッキン15は、両フレーム部材12を互いに閉じたとき、夫々他のフレーム部材12と密着するように配置され、パッキン15同士が密着することはない。」
エ 図1、2及び9は、次のとおりである。
図1
図2
図9
オ 上記アないしウを踏まえて、上記エの図1のモニタ本体31を見ると、モニタ本体31は門型であって固定され、このモニタ本体31に対して内部搬送部22により搬送されるキャリア11が移動する構造であることが見てとれる。
(2)上記(1)によれば、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「被検体10を収納して一定の形状に整形するキャリア11を用いるものであって、入口側搬送部21、内部搬送部22、位置センサ23、上側検出器24、下側検出器25、上側駆動部26、下側駆動部27、データ処理部28、汚染防止膜巻取部29及び出口側搬送部30を備え、
前記入口側搬送部21は、キャリア11をモニタ本体31内に搬送するものであり、
前記内部搬送部22は、入口側搬送路21により搬送されたキャリア11をその両側面から挟持しながら検出位置に搬送するものであり、横型のローラコンベアが使用され、
前記上側検出器24は、モニタ本体31内の搬送路の上方に昇降可能に配置され、キャリア11内の被検体10から放出される放射線を検出し、放射線検出信号をデータ処理部28に与えるものであり、
前記下側検出器25は、モニタ本体31内の搬送路の下方に昇降可能に配置され、キャリア11内の被検体10から放出される放射線を検出し、放射線検出信号をデータ処理部28に与えるものであり、
出口側搬送部30は、モニタ本体31内から搬送されたキャリア11を出口に搬送するものであり、
前記モニタ本体31は門型であって固定され、このモニタ本体31に対して内部搬送部22により搬送されるキャリア11が移動する構造である、
ランドリモニタ。」
2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力施設において搬出物品の表面汚染を監視するのに用いられる物品搬出モニタに関する。」
イ 「【0004】なお、検査対象となる物品としては、書類,筆記用具等の小さな物品から測定器,工具等の大きな物品まである。大きな物品の場合には、搬送路4の上に直接載せられるが、小さな物品10の場合にはトレイ11に載せてモニタ本体内へ移送される。図4には上述した物品搬出モニタの基本的な動作フローが示されている。物品搬出モニタでは、被検物となる物品10をトレイ11に入れて搬送路4上に置き、この搬送路4により物品10をモニタ本体1内に移送する。」
ウ 「【0038】図6には第2実施例に係る物品搬出モニタの構成が示されている。なお、前述した第1実施例と同様の構成の部分には同一符号を付している。また測定物品の搬送に用いられるトレイ32は方形状をなすものとする。
【0039】本実施例の物品搬出モニタは、モニタ本体20′内における搬送路23よりも下方に、搬送に使ったトレイ32を垂直に立てた状態で物品挿入側へ返却するためのトレイ返却機構40が設けられている。
【0040】上記トレイ返却機構40は、トレイ32が有する厚さよりも若干大きな幅と、トレイ32の短辺の長さよりも若干大きな高さとを有する空間41が形成されており、その空間41のトレイ挿入側にトレイ挿入口42が開口し、空間41のトレイ取出側にトレイ取出口43が開口している。
【0041】上記空間41は、トレイ挿入側からトレイ取出側に向けて傾斜しており、空間41の底面であるトレイ摺動路が、回転軸を空間の長手方向に直交させた多数のローラ44で形成されている。またトレイ摺動路のトレイ取出し側の端部は、トレイ取出口43よりも所定量外部に突出しており、その先端にストッパ45が設けられている。トレイ摺動路上を滑ってきたトレイ32はストッパ45に当接して、モニタ本体20′の側面から所定量突出した状態で停止する。
【0042】なお、トレイ摺動路の突出量とストッパ45の高さとは、トレイ取出口43からトレイ32を取出す際の取出し作業に支障をきたさない程度の大きさに設定する。以上のように構成された本実施例の全体の動作を図8に示す。本実施例では、物品挿入口に測定物品を載置するとモニタ内へ搬送され、前記第1実施例と同様に表面汚染の検査が行われる。
【0043】モニタ本体内での測定が終了して測定物体33がストッカ27へ移されると、残されたトレイ32が物品取出側で待機していた作業者48によって取出口46から取出される。そして物品取出側の作業者48によって、トレイ32が垂直に立てられた状態でトレイ挿入口42に挿入される。
【0044】トレイ摺動路はトレイ挿入側からトレイ取出側にかけて傾斜しているため、トレイ挿入口42に挿入されたトレイ32は、その垂直に立ったままの状態でローラ44上を滑ってストッパ45で停止する。
【0045】ここで、トレイを垂直に立てた状態でトレイ挿入口42に挿入し、かつトレイ取出口43から取出す場合と、トレイを水平状態にして同様の作業を行う場合とを比較すると、トレイが水平状態の場合には作業者の腰よりも低い位置でトレイの両端を両手で掴んで作業することから作業者は腰をかがめてトレイの挿入及び取出しの作業を行わなければならない。これに対して、トレイが垂直状態の場合には、作業者の手がトレイ32の頂点等の支点となる位置の近くにあり、図6及び図7に示すように、作業者47,48は腰を屈めることなくトレイの出入れができるものとなる。
【0046】またトレイを水平状態にする場合には、トレイの寸法がモニタ本体の幅方向に延びると装置全体の幅寸法をトレイ幅の2倍以上確保する必要がある。これは搬送路の真下には、物品昇降装置などの各種機器が配置されているため、トレイ返却機構を搬送路の真下からずれた位置に設ける必要があるからである。しかし、本実施例のようにトレイを垂直状態にする場合にはトレイ返却路における幅寸法の増大はほとんど無いため装置が大型化されない。」
エ 図6及び7は、次のとおりである。
図6
図7
(2)上記(1)によれば、上記引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「搬出物品の表面汚染を監視するのに用いられる物品搬出モニタにおいて、トレイを水平状態にする場合には、トレイの寸法がモニタ本体の幅方向に延びると装置全体の幅寸法をトレイ幅の2倍以上確保する必要がある点。」
3 引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「本発明は原子力発電所等の原子力施設で発生した放射性廃棄物をドラム缶等の容器に収納してなる放射性廃棄体を施設外に搬出するために必要な表面汚染検査等を実施するための放射性廃棄体検査設備に関する。」(1頁右下欄18行~2頁左上欄2行)
イ 「廃棄体底面と当該廃棄体を乗せて運ぶ移送装置との間には廃棄体と同時に移動する介在物が存在するため、廃棄体に表面汚染が存在する場合においても廃棄体と移送装置は直接に接触しないので、移送装置、ひいては検査装置に汚染が拡大されることなく、汚染の伝染は介在物の廃棄体との接触面という限られた場所に限定される。
放射性廃棄物を収納した廃棄体の容器としては一般にJISZ1600またはJISZ1601に規定されている200l容量を有するドラム缶が使用されているが、このような200lドラム缶の形状を有する廃棄体に対しては、請求項2に記載の如く、前記の介在物は、内径がJISZ1600またはJISZ1601で規定される200lドラム缶の公差も含めた外径よりも大であるような立った縁部を有する皿型のものとするのがよい。これにより、廃棄体と廃棄体の移送装置との直接的な接触を防止し表面汚染が拡大しないようにするという所期の目的の他に、当該廃棄体の移送装置および検査設備における取扱性を向上得る。」(3頁左上欄13行~右上欄12行)
ウ 「第1図は本発明に基づき、廃棄体をハンドリングする移送装置および一連の検査装置で構成された検査設備の具体的な実施例を示したものである。
以下第1図を参照しながら本実施例の動作を説明する。通常原子力発電所等の施設内で貯蔵保管されている200lドラム缶に放射性廃棄物を充填してなる廃棄体は4本一括した形でパレット1に乗せられている。廃棄体を乗せたパレット1はフォークリフト17の様なハンドリング装置により検査設備のドラム缶コンベア5のスタート位置の近傍に設けられたパレット受台2上に運搬設置される。このパレット受台2上に設置されたパレット1上の廃棄体3は昇降およびX-Y走行機能を有するデパレタイザー4により1本ずつ把持されて移動し、ローラコンベア型のドラムコンベア5の所定のスタート位置に運ばれる。この際、前もってドラム缶受皿8をドラムコンベア5上の上記所定のスタート位置に設置しておくことにより廃棄体3は前記ドラム缶受皿8上に乗せられる。
第2図は廃棄体3とドラム缶受皿8の相対的な対応関係を示したもので、ドラム缶受皿8は皿型であり、内径が廃棄体3として示す200lドラム缶の外径よりも若干大であるから、廃棄体3はドラム缶受皿8内に底部が納まることとなる。ドラム缶移送時の安定性を増すためドラム缶受皿8には外周に立った周縁部を設けることが望ましく、また廃棄体3を収納する際の相対的な位置決め精度を容易ならしめるため外周に設ける上記周縁部は上部が外側に開いたラッパ状とする方が良い。ドラム缶受皿は円型に限定せず、ドラム缶の外径よりも内径寸法が若干大きい角型であっても差し支えはない。
第1図に戻り、ドラムコンベア5上の所定のスタート位置でドラム缶受皿8上に載置された廃棄体3はドラム缶受皿8と同時にドラムコンベア5上を移動し、検査装置6に運ばれる。検査装置6においては廃棄体3の外観健全性および表面汚染密度の検査を実施する。検査装置6における検査が完了した廃棄体3は再びドラム缶受皿8に乗ってドラムコンベア5により検査装置7に移動される。検査装置7は廃棄体3の重量を測定するためのものであるが、廃棄体3とドラム缶受皿8の合計重量を測定するので、ドラム缶受皿8の重量を差し引く補正をする必要がある。ドラム缶受皿8の重量は既知であるからこの補正は容易に実施可能である。
検査装置7での検査が完了した廃棄体3はドラム缶受皿に乗ったまま、再びドラムコンベア5により検査装置9に移動される。検査装置9においては廃棄体3の表面線量率、1m点線量率および放射能濃度の測定検査を実施する。次に廃棄体3はドラム缶受皿8に乗ったまま再びドラムコンベア5上を移送され、検査装置10において廃棄体3の一軸圧縮強度を測定する。以上の一連の検査を完了した廃棄体3はドラム缶受皿8に乗ったままドラム缶コンベア5で再び移送され、ラベリング装置11において所定のマーキングおよびラベリングを施される。マーキングおよびラベリングの完了した廃棄体3はドラム缶受皿8と共に横行コンベア12により、ローラコンベア式の戻りドラムコンベア13上に移動され、ドラム缶受皿8に乗ったまま該戻りドラムコンベア13により、該戻りドラムコンベア13上の終点位置に運ばれる。この終点位置の近くにはパッケイジング装置14が設備されている。
パッケイジング装置14は昇降およびX-Y走行機能を有する廃棄体3の把持移動装置であり、戻りドラムコンベア13上の上記所定の終点位置に運ばれて来た廃棄体3を把持し、コンテナ16に収納する。コンテナ16は200lドラム缶を8本収容可能な様に構成されている公知の運搬用容器であり、これにドラム缶を収容し終わると、フォークリフト17により運び出される。
戻りドラム缶コンベア13上を終点位置まで廃棄体3と共に移動して来たドラム缶受皿8は、パッケイジング装置14の動作で廃棄体3と離れ、戻りドラムコンベア13上に残るが、その後、ドラム缶受皿コンベア15により再びドラムコンベア5上のスタート位置に戻され、新たな検査対象となる別の廃棄体3のために再利用される。
複数の検査を流れ作業で行ない処理能力を向上させるため上記ドラムコンベア5上のスタート位置から上記戻りコンベア13の終点位置までの一連の流れの中には2体以上の複数の廃棄体3が存在することがあるが(むしろ、それが普通である)、ドラム缶受皿8の員数を上記一連の流れ内で取扱う廃棄体3と同数以上とすることにより、前述したドラム缶受皿8のリサイクル運用は達成される。
ドラム缶受皿8が、万が一、廃棄体3により汚染を受けた場合は、当該ドラム缶受皿8は除染するか、又は廃棄して新しいものと交換する。」(4頁左上欄6行~5頁左上欄16行)
エ 第1図は、次のとおりである。
オ 上記アないしウの記載を踏まえて、上記エの第1図をみると、200lドラム缶の形状を有する廃棄体3は、ドラムコンベア5上を移動し、検査装置6の入口に運ばれる点がみてとれる。
(2)上記(1)によれば、上記引用文献3には、次の技術的事項(以下「引用文献3に記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「表面汚染検査等を実施するための放射性廃棄体検査設備において、放射性廃棄物を収納した廃棄体の容器としてJISに規定されている200l容量を有するドラム缶が使用され、前記200lドラム缶の形状を有する廃棄体3は、ドラムコンベア5上を移動し、検査装置6の入口に運ばれ、検査装置6においては廃棄体3の外観健全性および表面汚染密度の検査を実施する点。」
第5 当審の判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「上側検出器24」、「下側検出器25」、「モニタ本体31」、「放射線」及び「ランドリモニタ」は、本願発明1における「上方から検出する第1放射線検出器」、「下方から検出する第2放射線検出器」、「装置本体」、「放射線」及び「放射能検査装置」にそれぞれ相当する。
イ ここで、引用発明は、キャリア11に収納する物を被検体10と呼ぶのに対して、本願発明1は、30キログラムの米を収納した袋(米袋)を被検体と呼ぶため、混同を生じる恐れがあり、以下では、引用発明のキャリア11に収納される物(被検体10)を「被検体物」と呼ぶとともに、本願発明1の米も収納される物の点で、同じ概念であるので、「被検体物」と呼ぶ。
すると、引用発明における「被検体物10を収納」した「キャリア11」は、本願発明1における「30キログラムの米(被検体物)を収納した袋(被検体)」と、被検体物を収納した被検体の点で一致する。
ウ 本願発明1における「ガントリー構造」とは、本願明細書の段落【0016】に、「ここで、ガントリー構造とは、門型の装置本体1が固定され、この装置本体1に対してコンベア4により搬送される米袋Rが移動する構造を指す。」と記載されているところ、引用発明の「モニタ本体31」も、「門型であって固定され、このモニタ本体31に対して内部搬送部22により搬送されるキャリア11が移動する構造である」から、「ガントリー構造」であるといえる。
そうすると、引用発明の「門型であって固定され、このモニタ本体31に対して内部搬送部22により搬送されるキャリア11が移動する構造である」「モニタ本体31」は、本願発明1における「ガントリー構造の装置本体」に相当する。
エ 引用発明の「入口側搬送部21」の、「キャリア11をモニタ本体31内に搬送するものであ」る構成は、本願発明1の「コンベア」の「前記装置本体に形成された搬入口から前記装置本体内に検査を行うべき前記米袋を搬入する」構成と、「前記装置本体に形成された搬入口から前記装置本体内に検査を行うべき被検体を搬入する」構成の点で一致する。
また、引用発明の「出口側搬送部30」の、「モニタ本体31内から搬送されたキャリア11を出口に搬送するものであ」る構成は、本願発明1の「コンベア」の「前記装置本体に形成された搬出口から検査を終了した前記米袋を搬出する」構成と、「前記装置本体に形成された搬出口から検査を終了した被検体を搬出する」構成の点で一致する。
そうすると、引用発明の「キャリア11をモニタ本体31内に搬送するものであ」る「入口側搬送部21」、「入口側搬送路21により搬送されたキャリア11をその両側面から挟持しながら検出位置に搬送するものであり、横型のローラコンベアが使用され」る「内部搬送部22」、及び、「モニタ本体31内から搬送されたキャリア11を出口に搬送するものであ」る「出口側搬送部30」は、本願発明1の「前記装置本体に形成された搬入口から前記装置本体内に検査を行うべき前記米袋を搬入するとともに、前記装置本体に形成された搬出口から検査を終了した前記米袋を搬出するコンベア」と、「前記装置本体に形成された搬入口から前記装置本体内に検査を行うべき被検体を搬入するとともに、前記装置本体に形成された搬出口から検査を終了した被検体を搬出するコンベア」の点で一致する。
オ 引用発明の「被検体物10を収納」した「キャリア11」は、「一定の形状に整形」するから、寸法に規格があり、幅は一定である、被検体物を収納したものであるといえる。
そうすると、「被検体物10を収納して一定の形状に整形」する「キャリア11」は、本願発明1の「寸法に規格があり、幅は一定である袋に30キログラムの米(被検体物)を収納したものであ」る「米袋」と、「寸法に規格があり、幅は一定である被検体に被検体物を収納したものであ」る「被検体」の点で一致する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「被検体から放射される放射線を前記被検体の上方から検出する第1放射線検出器と、前記被検体の下方から検出する第2放射線検出器とが配設されたガントリー構造の装置本体と、
前記装置本体に形成された搬入口から前記装置本体内に検査を行うべき前記被検体を搬入するとともに、前記装置本体に形成された搬出口から検査を終了した前記被検体を搬出するコンベアと、を備えた放射能検査装置において、
前記被検体は、寸法に規格があり、幅は一定である被検体に被検体物を収納したものである放射能検査装置。」
(相違点)
(相違点1)本願発明1は、コンベアにより搬送されて、放射される放射線が検出される被検体物が「米」であって、「被検体」が「30キログラムの米を収納した米袋」であるのに対して、「ランドリモニタ」である引用発明は、上記の被検体物が「米」とは特定されず、上記の「被検体」が「キャリア11」であって、「米袋」とは特定されない点。
(相違点2)本願発明1の「搬入口の幅」は、「コンベアにより搬送される被検体の幅の1倍以上1.4倍以下とした」のに対して、引用発明の「入口」は、幅が特定されない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、引用文献1ないし3のいずれにも、コンベアにより搬送されて、放射される放射線が検出される被検体物を「米」とし、「被検体」を「30キログラムの米を収納した米袋」とすることの記載はない。
したがって、引用発明、引用文献2に記載の事項及び引用文献3に記載の事項を踏まえても、「米」を「30キログラムの米を収納した米袋」に収納し、コンベアにより搬送されて、放射される放射線を検出することを想起し得たとはいえない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとは認められない。
2 請求項2及び3について
本願発明2及び3も、本願発明1の「被検体である米袋」、「前記米袋は、寸法に規格があり、幅は一定である袋に30キログラムの米を収納したものであり、前記搬入口の幅を、前記コンベアにより搬送される前記米袋の幅の1倍以上1.4倍以下とした」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとは認められない。
第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号について
当審では、本願請求項1ないし3は、「搬入口の幅」に係り、「前記被検体は、規格により寸法が定められた袋内に検査対象物を収納したものであり、前記搬入口の幅を、前記コンベアにより搬送される前記被検体の幅の1倍以上1.4倍以下としたこと」を発明特定事項とするが、「被検体」に関して、「規格により寸法が定められた袋」及び「袋内に検査対象物を収納したもの」とのみ特定し、「検査対象物」が特定されないため、「袋」に関する「規格」も特定されず、「検査対象物」、「袋」及び「袋内に検査対象物を収納したもの」の大きさ、形状は何ら特定されないから、実体的に「搬入口の幅」を特定するものではなく、不明確な記載であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年2月6日付けの補正において、「被検体」を「米袋」と、「前記被検体は、規格により寸法が定められた袋内に検査対象物を収納したもの」を「前記米袋は、寸法に規格があり、幅は一定である袋に30キログラムの米を収納したもの」とそれぞれ補正された結果、この拒絶理由は解消した。
2 特許法第36条第6項第1号について
当審では、本願請求項1ないし3は、実体的に「搬入口の幅」を特定しないが、 本件明細書の発明の詳細な説明及び図面には、「被検体」、「規格により寸法が定められた袋」及び「袋内に検査対象物を収納したもの」として、「米袋R」、「その寸法に規格があり、その幅は一定である」「米袋R」及び「米袋R」に「30キログラムの米を収納した」ものがそれぞれ記載され、それ以外の記載は見当たらないから、「被検体」、「規格により寸法が定められた袋」及び「袋内に検査対象物を収納したもの」を、それぞれ、「米袋R」、「その寸法に規格があり、その幅は一定である」「米袋R」及び「米袋R」に「30キログラムの米を収納した」ものと特定しない、本願請求項1ないし3は、本件明細書の発明の詳細な説明及び図面に記載されたものではないとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年2月6日付けの補正において、「被検体」を「米袋」と、「前記被検体は、規格により寸法が定められた袋内に検査対象物を収納したもの」を「前記米袋は、寸法に規格があり、幅は一定である袋に30キログラムの米を収納したもの」とそれぞれ補正された結果、この拒絶理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし3に係る発明は、当業者が引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-003163