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特許拒絶査定不服審判

2016-001593

放熱材料及びその製造方法

審判番号
2016-001593
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-535652外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年02月03日
審決日
2017年03月21日
公報発行日
2017年05月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01L) / P18 .537-WY (H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-535652「放熱材料及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年4月4日国際公開、WO2013/046291、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)9月26日を国際出願日とする出願であって、平成26年1月15日付けで手続補正がなされ、平成27年2月20日付けで拒絶理由が通知され、同年4月27日付けで手続補正がなされたが、同年10月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年2月3日付けで拒絶査定不服の審判が請求され、同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成29年1月30日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年2月6日付けで手続補正がなされたものである。 第2 当審拒絶理由について 1.当審拒絶理由の概要 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。                 記 (1)請求項1ないし5の記載では、「線状構造体」、「ダイヤモンドライクカーボン層」、「被膜」、及び「充填層」の位置関係が不明確であり、「線状構造体」の「端部」及び「側面」のそれぞれが、何でどのように覆われるのかを明確に把握することができない。 (2)上記(1)で指摘した点が不明確であるから、請求項1ないし5に係る発明と発明の詳細な説明に記載の実施形態との対応関係(特に、第3実施形態に対応するのか第4実施形態に対応するのか)も不明である。 以上のとおりであるから、請求項1ないし5に係る発明は明確でなく、かつ、発明の詳細な説明に記載したものでもない。 2.当審拒絶理由の判断 (1)当審拒絶理由(1)について 平成29年2月6日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)によって、特許請求の範囲の記載は以下のとおりに補正された。(なお、下線は、審判請求人が補正箇所を明示するために付したものである。) 「 【請求項1】 第1の端部及び第2の端部を有する炭素元素の複数の線状構造体と、 前記線状構造体の、前記第1の端部及び側面のうち前記第1の端部に隣り合う一部を被覆する第1のダイヤモンドライクカーボン層と、 前記第1のダイヤモンドライクカーボン層の表面、及び前記線状構造体の前記第1のダイヤモンドライクカーボン層に覆われていない側面を被覆する被膜と、 側面の一部が前記被膜により被覆された線状構造体間に配置された充填層と、 を有し、前記複数の線状構造体の、前記第1の端部及び側面のうち前記第1の端部に隣り合う一部は、前記第1のダイヤモンドライクカーボン層により接続されていることを特徴とする放熱材料。 【請求項2】 第1の端部及び第2の端部を有する炭素元素の複数の線状構造体と、 前記線状構造体の、前記第1の端部及び側面を被覆する被膜と、 前記第1の端部及び側面を前記被膜により被覆された線状構造体の、前記第1の端部側の一端部及び側面のうち前記一端部に隣り合う一部を被覆する第1のダイヤモンドライクカーボン層と、 側面が前記被膜により被覆された線状構造体間に配置された充填層と、 を有し、前記第1の端部及び側面を前記被膜により被覆された複数の線状構造体の、前記一端部及び側面のうち前記一端部に隣り合う一部は、前記第1のダイヤモンドライクカーボン層により接続されていることを特徴とする放熱材料。 【請求項3】 請求項1記載の放熱材料において、 側面の一部が前記被膜により被覆された前記線状構造体の、前記第2の端部側の他端部及び側面のうち前記他端部に隣り合う一部を被覆する第2のダイヤモンドライクカーボン層を更に有し、 側面の一部が前記被膜により被覆された前記複数の線状構造体の、前記他端部及び側面のうち前記他端部に隣り合う一部は、前記第2のダイヤモンドライクカーボン層により接続されていることを特徴とする放熱材料。 【請求項4】 請求項2記載の放熱材料において、 前記第1の端部及び側面を前記被膜により被覆された前記線状構造体の、前記第2の端部側の他端部及び側面のうち前記他端部に隣り合う一部を被覆する第2のダイヤモンドライクカーボン層を更に有し、 前記第1の端部及び側面を前記被膜により被覆された前記複数の線状構造体の、前記他端部及び側面のうち前記他端部に隣り合う一部は、前記第2のダイヤモンドライクカーボン層により接続されていることを特徴とする放熱材料。 【請求項5】 基板上に、第1の端部及び第2の端部を有し、前記基板側に第2の端部が位置する炭素元素の複数の線状構造体を形成する工程と、 前記線状構造体の、前記第1の端部及び側面のうち前記第1の端部に隣り合う一部を被覆する第1のダイヤモンドライクカーボン層を形成する工程と、 前記第1のダイヤモンドライクカーボン層の表面、及び前記線状構造体の前記第1のダイヤモンドライクカーボン層に覆われていない側面を被覆する被膜を形成する工程と、 側面の一部が前記被膜により被覆された線状構造体間に充填層を形成する工程と、 前記充填層を形成後、前記基板を除去する工程と、 を有し、 前記第1のダイヤモンドライクカーボン層を形成する工程において、前記複数の線状構造体の、前記第1の端部及び側面のうち前記第1の端部に隣り合う一部は、前記第1のダイヤモンドライクカーボン層により接続されていることを特徴とする放熱材料の製造方法。 【請求項6】 基板上に、第1の端部及び第2の端部を有し、前記基板側に第2の端部が位置する炭素元素の複数の線状構造体を形成する工程と、 前記線状構造体の、前記第1の端部及び側面を被覆する被膜を形成する工程と、 前記第1の端部及び側面を前記被膜により被覆された線状構造体の、前記第1の端部側の一端部及び側面のうち前記一端部に隣り合う一部を被覆する第1のダイヤモンドライクカーボン層を形成する工程と、 側面が前記被膜により被覆された線状構造体間に充填層を形成する工程と、 前記充填層を形成後、前記基板を除去する工程と、 を有し、 前記第1のダイヤモンドライクカーボン層を形成する工程において、前記第1の端部及び側面を前記被膜により被覆された複数の線状構造体の、前記一端部及び側面のうち前記一端部に隣り合う一部は、前記第1のダイヤモンドライクカーボン層により接続されていることを特徴とする放熱材料の製造方法。 【請求項7】 請求項5記載の放熱材料の製造方法において 前記基板を除去する工程の後、側面の一部が前記被膜により被覆された前記線状構造体の、前記第2の端部側の他端部及び側面のうち前記他端部に隣り合う一部を被覆する第2のダイヤモンドライクカーボン層を形成する工程を更に有する ことを特徴とする放熱材料の製造方法。 【請求項8】 請求項6記載の放熱材料の製造方法において 前記基板を除去する工程の後、第1の端部及び側面を前記被膜により被覆された前記線状構造体の、前記第2の端部側の他端部及び側面のうち前記他端部に隣り合う一部を被覆する第2のダイヤモンドライクカーボン層を形成する工程を更に有する ことを特徴とする放熱材料の製造方法。」 そして、本件補正後の請求項1においては、「前記第1のダイヤモンドライクカーボン層の表面、及び前記線状構造体の前記第1のダイヤモンドライクカーボン層に覆われていない側面を被覆する被膜」とあるように、「線状構造体」及び「第1のダイヤモンドライクカーボン層」と「被膜」との位置関係が明確に特定され、「側面の一部が前記被膜により被覆された線状構造体間に配置された充填層」とあるように、「線状構造体」及び「被膜」と「充填層」との位置関係も明確に特定されため、請求項1の記載全体として、「線状構造体」、「ダイヤモンドライクカーボン層」、「被膜」、及び「充填層」が図11に記載のような位置関係にあることが明確になった。 また、その結果、「線状構造体」の「端部」は「第1のダイヤモンドライクカーボン層」で覆われ、「線状構造体」の「第1のダイヤモンドライクカーボン層に覆われていない側面」は「被膜」で覆われることも明確になった。 同様に、本件補正後の請求項2の記載についても、「線状構造体」、「ダイヤモンドライクカーボン層」、「被膜」、及び「充填層」が図13に記載のような位置関係にあることが明確になり、「線状構造体」の「端部」及び「側面」は「被膜」で覆われることも明確になった。 また、請求項1に対応する製造方法の発明である請求項5、請求項2に対応する製造方法の発明である請求項6、及び、従属請求項である請求項3、4、7、8についても、本件補正によって「線状構造体」、「ダイヤモンドライクカーボン層」、「被膜」、及び「充填層」の位置関係等は明確になった。 よって、当審拒絶理由(1)は解消した。 (2)当審拒絶理由(2)について 上記(1)で述べたとおり、本件補正によって、各請求項に係る発明と実施形態との対応関係(特に、第3実施形態(図11)に対応するのか第4実施形態(図13)に対応するのか)も明確になった。 よって、当審拒絶理由(2)は解消した。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、当審で通知した拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第3 本願発明 本願の請求項1ないし8に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものである(上記第2の2.(1)参照。)。 第4 原査定の理由について 1.原査定の理由の概要 原査定の理由は、平成27年4月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3、5ないし7、9に係る発明は、下記引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項4、8に係る発明は、下記引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 記 引用文献1:国際公開第2011/111112号 引用文献2:米国特許出願公開第2010/0021736号明細書 引用文献3:特表2010-507098号公報 2.原査定の理由の判断 (1)引用発明 原査定で引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付与した。)。 ア.「[0001] 本発明は、発熱源と放熱部を有する放熱構造体とその製造方法に関する。」 イ.「[0022] 図1Aに示すように、カーボンナノチューブを形成するための成長基板11を用意する。成長基板11としては、シリコン基板などの半導体基板、アルミナ(サファイア)基板、MgO基板、ガラス基板、金属基板などを用いることができる。また、これら基板上に薄膜が形成されたものでもよい。例えば、シリコン基板上に膜厚300nm程度のシリコン酸化膜が形成されたものを用いることができる。 ・・・(中略)・・・ [0025] 図1Bに示すように、成長基板11上に、例えばホットフィラメントCVD法により、触媒金属膜12を触媒として、カーボンナノチューブ(CNT)13を成長する。カーボンナノチューブ13の成長条件は、例えば、原料ガスとしてアセチレン:アルゴンの混合ガス(分圧比1:9)を用い、成膜室内の総ガス圧を1kPa、ホットフィラメント温度を1000℃、成長時間を20分とする。これにより、層数が3~6層(平均4層程度)、直径が4~8nm(平均6nm)、長さが80μm(成長レート:4μm/min)の多層カーボンナノチューブを成長することができる。 ・・・(中略)・・・ [0027] こうして、成長基板11上に、成長基板11面に対して垂直配向した多数のカーボンナノチューブ13が形成される。なお、カーボンナノチューブはある程度以上の数密度になると、基板に対して垂直に成長するようになる性質を有する。上記の成長条件で形成したカーボンナノチューブ13の面内の数密度は、1×1011本/cm2程度であった。 [0028] 図1Cに示すように、ポッティング法により、熱可塑性樹脂であるホットメルト樹脂をカーボンナノチューブ13間を充填する充填層とする。例えば、厚み100μmに加工したホットメルト樹脂シート14を用い、カーボンナノチューブ13の上にホットメルト樹脂シート14を置く。ホットメルト樹脂は、例えば、ヘンケルジャパン社から入手可能なマイクロメルト6239ホットメルト充填材(溶解温度135℃~145℃、溶解時粘度5.5Pa・s~8.5Pa・s@225℃)を用いる。 ・・・(中略)・・・ [0031] 次いで、ホットメルト充填材がカーボンナノチューブ13間の間隙を充填したことを確認したら、冷却して再度ホットメルト樹脂を固化させる。加熱温度及び加熱時間は、ホットメルト樹脂の融解温度、融解時の粘度、樹脂シート厚、カーボンナノチューブ長などを考慮して決められる。 [0032] 図1Eに示すように、カーボンナノチューブ13及び充填層14を成長基板11から剥離し、カーボンナノチューブシートを得る。典型的には、カーボンナノチューブ13が充填層14に埋め込まれた構造が得られる。充填層14は、室温で固体であり、CNT集合体を充填層14で結合したCNTシートを取り扱うのは容易である。」 ウ.「[0034] CNTの端部に、充填層より熱伝導度の高い金属層をコートした構造を用いることもできる。CNT端部に金属をコートすると、CNTと金属の間に良好な接触(電気的、熱的)が形成され、金属コートを対象物に接触させる時も良好な接触が得られやすい。 [0035] 図1BXに示すように、成長基板11の上に成長したCNT集合体13の上に、例えばスパッタリングによりAu等の金属層15を堆積する。数密度が高いCNT集合体13は隣接するCNT間の距離が狭く、CNTの側面には金属層15はほとんど堆積せず、CNTの端部のみが金属層15で覆われる。 [0036] 図1BYに示すように、1本のCNTを取り出すと、CNT13の端部が金属層15で覆われた形状となる。対象とする発熱源乃至放熱体に対して良好な熱的接触を形成することが容易になる。 [0037] 図1BXに示す状態の基板に対して、図1C-図1Eに示す充填材のポッティング処理を行なう。図1Fに示すように、CNT集合体13の一方の端部が金属15でコートされたCNTシート3が得られる。 図1BZに示すように、CNT集合体の1端面に金属層15を堆積した後、接着層16等を用いてCNT集合体13を成長基板11から剥離し、露出したCNT集合体13の他の端面にAu等の金属層17をスパッタリング等により堆積することもできる。CNT集合体の1端面に金属層15が形成され、他端面に金属層17が形成されることにより、各CNTの両端に金属層のコートがされる。 [0038] 図1Gに示すように、両端面に金属層を形成したCNT集合体13に充填層14をポッティングし、支持体から剥離してCNTシート3を得る。充填層14内に埋め込まれたCNT13は、両端に金属層15,17を備える。 このようにして、両端面に金属層のないCNT集合体13を有するCNTシート、一方の端面に金属層を堆積したCNT集合体13を有するCNTシート、両端面に金属層を堆積したCNT集合体13を有するCNTシートを得ることができる。」 ここで、上記イによれば、多数のカーボンナノチューブ13と充填層14とからなるカーボンナノチューブ(CNT)シートが記載されており、上記充填層14の材料であるホットメルト充填材がカーボンナノチューブ13間の間隙を充填した後に、上記ホットメルト充填材は固化されていることからみて、上記充填層14はカーボンナノチューブ13間に配置されているといえる。 また、上記イによれば、良好な熱的接触を得るために、上記カーボンナノチューブ13の一方の端部を金属層15で覆うことが記載されている。 そして、上記アによれば、上記カーボンナノチューブシートは、放熱のために用いられるものである。 したがって、上記アないしウの記載事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「多数のカーボンナノチューブ13と、 前記カーボンナノチューブ13の、一方の端部を覆う金属層15と、 前記カーボンナノチューブ13の間に配置された充填層14と、 を有するカーボンナノチューブシート。」 (2)請求項1に係る発明について (2-1)対比 請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と引用発明とを対比する。 引用発明における「多数のカーボンナノチューブ13」は、本願発明における「炭素元素の複数の線状構造体」に相当する。 また、引用発明において、上記「多数のカーボンナノチューブ13」の「一方の端部」に上記「金属層15」を形成する際には、カーボンナノチューブの端面だけでなく、側面のうち上記端面に隣り合う一部も覆うのが普通であるから、引用発明の上記「金属層15」は、本願発明の「第1のダイヤモンドライクカーボン層」が被覆している部分と同じ部分を覆っているといえる。そうすると、引用発明の上記「金属層15」と本願発明の上記「第1のダイヤモンドライクカーボン層」は、線状構造体の同じ部分を被覆する部材である点で共通する。 そして、引用発明の「カーボンナノチューブシート」は放熱のために用いられるものであるから、「放熱材料」ということができる。 そうすると、本願発明と引用発明は、 「第1の端部及び第2の端部を有する炭素元素の複数の線状構造体と、 前記線状構造体の、前記第1の端部及び側面のうち前記第1の端部に隣り合う一部を被覆する部材と、 前記線状構造体間に配置された充填層と、 を有する放熱材料。」 である点で一致し、次の点で相違する。 <相違点1> 線状構造体を覆う上記「部材」が、本願発明においては「第1のダイヤモンドライクカーボン層」であるのに対して、引用発明においては「金属層15」である点。 <相違点2> 本願発明においては、「前記第1のダイヤモンドライクカーボン層の表面、及び前記線状構造体の前記第1のダイヤモンドライクカーボン層に覆われていない側面を被覆する被膜」を有しているのに対して、引用発明においては、そのような被膜を有していない点。 <相違点3> 本願発明においては、上記「充填層」が、「側面の一部が前記被膜により被覆された線状構造体間」に配置されているのに対して、上記相違点2で指摘したとおり、引用発明は「被膜」を有しないから、引用発明においては、上記「充填層」が、側面の一部が被膜により被覆されていない「線状構造体間」に配置されている点。 <相違点4> 本願発明においては、「前記複数の線状構造体の、前記第1の端部及び側面のうち前記第1の端部に隣り合う一部は、前記第1のダイヤモンドライクカーボン層により接続されている」のに対して、上記相違点1で指摘したとおり、引用発明はそもそも「第1のダイヤモンドライクカーボン層」を有していないから、「第1のダイヤモンドライクカーボン層」による接続もされていない点。 (2-2)判断 まず、上記相違点2について検討する。 原査定で引用された引用文献2には、複数のカーボンナノチューブ(carbon nanotubes、CNTs)からなるカーボンナノチューブ層(CNT layer 12)の一端部にコーティング(coating 14)を設けること(FIGURE 3)や、上記コーティングの材料として、ダイヤモンドライクカーボン(diamond-like carbon)を用いること([0023])は記載されているが、上記ダイヤモンドライクカーボンによるコーティングの表面、及び上記カーボンナノチューブの上記ダイヤモンドライクカーボンによるコーティングで覆われていない側面を被覆する被膜を設けることまでは記載も示唆もされていない。 そして、本願発明は、「前記第1のダイヤモンドライクカーボン層の表面、及び前記線状構造体の前記第1のダイヤモンドライクカーボン層に覆われていない側面を被覆する被膜」によって、カーボンナノチューブの縦方向の機械的強度を向上することができ、アセンブリ時の圧縮耐性を向上することができるという効果を奏するものである。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 なお、原査定において、他の請求項に係る発明に対して引用された引用文献3にも、「前記第1のダイヤモンドライクカーボン層の表面、及び前記線状構造体の前記第1のダイヤモンドライクカーボン層に覆われていない側面を被覆する被膜」を設けることについては記載も示唆もされていない。 また、前置報告書において新たに提示された特開2010-118609号公報にも上記被膜についての記載や示唆はない。さらに、同じく新たに提示された特開2011-57466号公報には、カーボンナノチューブの内部に金属を充填する実施形態の変形例として、上記金属の充填後に上記カーボンナノチューブの外壁面に金属膜を形成することは記載されているが、上記カーボンナノチューブの内部に金属を充填することなく、上記金属膜を単独で形成することは記載も示唆もされておらず、かつ、上記金属膜をダイヤモンドライクカーボン層と組合わせることについても何ら記載も示唆もされていない。また、同じく新たに提示された米国特許出願公開第2010/0302740号明細書にはカーボンナノチューブの表面を金属コーティングすることは記載されているが、当該カーボンナノチューブはダイヤモンドライクカーボン層で被覆されておらず、上記金属コーティングをダイヤモンドライクカーボン層と組合わせることについては記載も示唆もされていないから、この文献を参酌しても、ダイヤモンドライクカーボン層の表面を金属コーティングすることまで導き出すことはできない。 したがって、原査定で引用された他の文献及び前置報告書で新たに提示された文献を参酌しても、本願発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (3)請求項2ないし8に係る発明について 請求項2ないし8に係る発明も、本願発明と同様に、「ダイヤモンドライクカーボン層」に加えて「被膜」も有しているから、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、あるいは、引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、請求項1ないし8に係る発明は、原査定で引用された引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第5 むすび 以上のとおり、当審で通知した拒絶理由、及び、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-001593

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