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特許拒絶査定不服審判

2015-022030

液化ガス処理システム及びその方法

審判番号
2015-022030
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-518838
請求日
2015年12月11日
審決日
2017年10月30日
公報発行日
2018年05月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド
  • 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 平岩 正一
  • 審判官 栗田 雅弘
  • 審判官 中川 隆司
分類
P18 .121-WZ (F17C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-518838「液化ガス処理システム及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月21日国際公開、WO2013/172641、平成26年8月21日国内公表、特表2014-520240〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)5月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年5月14日 大韓民国、2012年12月14日 大韓民国、2013年5月14日 大韓民国、2013年5月14日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって、平成26年12月17日付けで拒絶の理由が通知され、平成27年3月24日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、さらに同年4月13日付けで再度拒絶の理由が通知され、同年7月21日に意見書の提出とともに手続補正がなされたが、同年8月6日付けで拒絶査定された。 これに対して、平成27年12月11日に拒絶査定に対する審判請求と同時に手続補正がなされ、平成28年4月20日に刊行物提出がなされ、平成29年3月30日付けで当審から拒絶の理由が通知され、同年6月22日に意見書の提出とともに手続補正がなされたものである。 2 本願発明 本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成29年6月22日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1の記載は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 液化ガス貯蔵タンクから需要先まで連結された液化ガス供給ラインと、 前記液化ガス供給ライン上に設けられ、前記液化ガス貯蔵タンクから排出された液化ガスを加圧するポンプと、 前記需要先と前記ポンプとの間の前記液化ガス供給ライン上に設けられ、前記ポンプから供給される液化ガスを熱伝達媒体と熱交換させる熱交換器と、 前記熱伝達媒体を加熱する媒体ヒーターと、 前記媒体ヒーターから前記熱交換器まで連結された媒体循環ラインと、 前記ポンプの駆動程度に応じて、前記熱交換器に供給される液化ガスの流量を算出し、 前記液化ガスの流量及び前記需要先が要求する液化ガスの状態に基づいて、前記熱伝達媒体の必要熱量を計算する、熱量算出器と、 前記熱量算出器から前記熱伝達媒体の必要熱量の伝達を受け、前記算出された前記熱交換器に供給される前記液化ガスの流量に基づいて計算される熱伝達媒体の必要熱量に基づき、前記媒体ヒーターに流入される前記熱伝達媒体の流量または前記媒体ヒーターが前記熱伝達媒体に供給する熱量を可変するコントローラと、 を含むことを特徴とする液化ガス処理システム。」(以下「本願発明」という) 3 当審が通知した拒絶の理由 当審が平成29年3月30日付けで通知した拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 本件出願の請求項1ないし15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 刊行物1:特表2011-520081号公報 刊行物2:特開平8-296797号公報 刊行物3:韓国公開特許第10-2012-0007641号公報(周知技術を示す文献) 4 刊行物の記載事項 (1)当審が通知した上記拒絶の理由で引用した特表2011-520081号公報(以下「引用例1」という)には、図1~6とともに次の事項が記載されている(下線は理解の便のため、当審で付与)。 ア 「【0001】 本発明は、液化天然ガス(LNG)のような液化ガスを輸送する船舶用のデュアルフューエル(dual-fuel)エンジンないしはガスエンジンなどのエンジンにガスを供給するシステムに関する。 【背景技術】 【0002】 LNG船は、従来、蒸気タービン推進機を使用してきたが、現在は、低速ディーゼル、デュアルフューエル又はガス推進機に変わりつつある。 【0003】 下記では、ボイルオフガス(BOG)再液化システムと一体になったガス供給システムを説明する。新しいコンセプトには、先ず、中間閉ループを備えた「独立型」蒸発器(エバポレータ)が含まれ、更に、船舶を推進するエンジンに供給すべき気化LNGの冷却熱量を利用するために、蒸発器(オプティマイザ)をBOG再液化プラントに一体化することが含まれる。LNG中の冷却熱量を利用することによって、全体動力消費量が削減される。BOG再液化プラントが停止した場合、独立型蒸発器がガスエンジンに燃料供給する。 【0004】 BOG再液化プラントからの凝縮液、又はカーゴポンプによって供給される、カーゴタンクからのLNGは、少なくとも1つの高圧(HP)ポンプに送られて、蒸発器に供給される。通常、超臨界圧を超えるLNGが熱交換器内で加熱されて「ガス」になる。この熱交換器は、蒸発器又は気化器と称され、例えば図1及び図2を参照されたい。その後、高圧ガスは、図示されていない推進機関又はガスタービンに送られる。 【0005】 高圧ポンプの吐出圧は、設計状態で通常最大30MPa(300bar)である。LNGの温度は通常-140~-150℃である。高圧でのLNGは超臨界であり、液相と固相間の区別が不可能である。それにも拘らず、本書では、高圧で大気温度までLNGを加熱することを蒸発と呼ぶ。 【0006】 高圧ポンプの吐出圧は、設計状態で通常最大30MPa(300bar)である。LNGの温度は通常-140~-150℃である。 【0007】 本システムは、加熱源を用いて高圧のLNGを蒸発することに基づく。冷却筒水又は機械室からの蒸気をLNGとの熱交換器、即ち当該蒸発器に直接使用しないようにするために、中間媒体を用いる閉ループがLNGを加熱するために使用される。中間媒体は、ブライン混合物、グリコール混合物、炭化水素混合物、又は冷媒でもよく、以後「ブライン(brine)」と称する。図2に示されるように、その閉ループはLNG気化器、即ち蒸発器と、ブラインポンプと、図中に蒸気/熱湯蒸気機器と表示されている加熱源とを備える。これにより、気化器が内部漏洩した場合にLNGが機械室に至る危険が防止される。中間ループを使用する他の主な理由は、この中間ループが、凍結の可能性がある故に、より安全なシステムであることである。 【0008】 蒸発器は、その閉ループを含めて、BOG再液化プラントと共にカーゴ圧縮機室(CCR:Cargo Compressor Room)に設置してもよく、独立した場所、又はエンジンルームに設置してもよい。 【0009】 通常-160℃で約2~5barのLNGが、極低温ピストン式ポンプ(HPポンプ)で通常300barに加圧される。次いで、LNGは、熱交換器、即ち蒸発器内で蒸発し、通常+45℃に加熱される。必要なら、図示されていないが、脈動ダンパがポンプ及び/又は蒸発器の出口に設置される。」 イ 「【0011】 蒸発器内でLNGはブラインによって加熱される。ブラインは、エンジンからの熱湯(冷却筒水)、例えば機械室からの、蒸気、プロセス機器からの冷却水を用いて、蒸気/熱湯加熱器内で加熱される。中間媒体に応じて、海水を加熱源にすることもできる。 【0012】 加熱物質が蒸気の場合、ブラインは、通常90℃で蒸発器に入り、通常30℃で出て行く。加熱物質が冷却筒水の場合、ブラインは、通常75℃で熱交換器に入り、通常30℃出て行く。プロセス機器からの冷却水が使用される場合、温度レベルはより低い。 【0013】 蒸発器を出た後、中間流(ブライン)はポンプで熱交換器に送られて、通常90℃、或いは75℃に加熱される。ブラインが加熱されるこの熱交換器は、図中「蒸気/熱湯加熱器」と称される熱源である。」 ウ 図1及び図2には、カーゴタンクからガスエンジンまでつながった矢印線による経路が認められ、カーゴタンクからガスエンジンまで連結されたLNG供給ラインが設けられていることが見て取れる。 また、図1及び図2からは、当該LNG供給ライン上に、HPポンプと蒸発器又は気化器とが設けられていることも見て取れる。 エ 上記摘記事項ア及びイ、並びに認定事項ウを、技術常識を踏まえて整理すると、引用例1には以下の発明が記載されていると認められる。 「カーゴタンクからガスエンジンまで連結されたLNG供給ラインと、 前記LNG供給ライン上に設けられ、前記カーゴタンクからのLNGを加圧する極低温ピストン式ポンプ(HPポンプ)と、 前記ガスエンジンと前記ポンプとの間の前記LNG供給ライン上に設けられ、前記ポンプから供給されるLNGを中間媒体により加熱する蒸発器又は気化器と、 前記中間媒体の加熱源である蒸気/熱湯加熱器と、 前記蒸気/熱湯加熱器と前記蒸発器又は気化器を備える閉ループと、 通常-160℃のLNGが前記蒸発器又は気化器内で通常+45℃に加熱されるように、前記蒸発器又は気化器から通常30℃で出て行く前記中間媒体を、ブラインポンプで前記蒸気/熱湯加熱器に送り通常90℃又は75℃に加熱する手段と、 を含むガス供給システム。」(以下「引用発明」という) (2)当審が通知した上記拒絶の理由で引用した特開平8-296797号公報(以下「引用例2」という)には、図1~3とともに次の事項が記載されている(下線は理解の便のため、当審で付与)。 ア 「【0004】図2において、1はLNG気化器、2は冷却水を循環させるポンプ、3はタービンの吸気を冷却する吸気冷却器である。LNG気化器1では、冷却水が冷却される代りLNGが気化されてNGとなりガスタービン燃焼器5に供給される。また、吸気冷却器3では、LNG気化器1にて冷却された冷却水によりガスタービンの軸流空気圧縮機4に流入する吸気を冷却すると共に冷却水自体は熱交換により昇温しポンプ2に至る。吸気冷却器3での吸気冷却用の低温冷却水を得るためには、冷却水の流量が制御される必要があり、そのため、LNG気化器1の出口に設置した温度検出器15で検出したLNG気化器出口冷却水温度が所定の目標温度になるように同温度調節計14で制御弁13が調節される。」 イ 「【0011】 【実施例】ここで、図1を参照して本発明の実施例を説明する。なお、図1において図2と同一部分には同一符号を付し説明を省略する。本実施例においては、LNG気化器1の入口側にLNG流量制御手段を備えている。この手段は、LNG流量検出器20と、この流量検出値と入力ライン22のLNG流量デマンドGLNG とを取り込むLNG流量調節計19と、この調節計19によって調節され開閉制御されるLNG流量制御弁21とからなる。ここで、入力ライン22に現われるのは、ガスタービンからのLNG流量デマンドであり、LNG流量設定値である。そして、流量調節計19では、LNG流量検出器20にて得た検出値がLNG流量デマンドGLNG と等しくなるようにLNG流量制御値21を調節する。 【0012】LNG気化器1の冷却水入口側には、LNG気化器入口冷却水温度検出器23が備えられ、この点での温度検出が行なわれている。演算器24は、入力ライン22でのLNG流量デマンドGLNG と前述の温度検出器23の冷却水温度検出値、及びLNG気化器出口冷却水温度目標値やLNG気化器出口NGガス温度目標値が入力され、後述の熱収支式[数1]によりガスタービン負荷変動によるLNG流量デマンド変動に応じて必要な冷却水量を与えるフィードフォワード計算値をライン25にて得るものである。 【0013】熱収支式は次のとおりである。 【数1】 GWC:冷却水流量フィードフォワード計算値 GLNG :LNG流量デマンド TNG:LNG気化器出口NGガス温度目標値 TLNG :LNG気化器入口LNG温度(定数) TWO:LNG気化器出口冷却水温度目標値 TWI:LNG気化器入口冷却水温度検出値 H(T、P):LNG温度T、圧力PにおけるLNGエンタルピ CW :水の比熱 こうして、この演算器24による熱収支式によってLNG負荷変化があってもその負荷に応じた冷却水流量を得ることができ、またLNG気化器入口冷却水温度が低下したとしてもその変化は熱収支式にて流量増加が得られる。」 ウ 「【0015】演算器30は、演算器24の出力である冷却水流量フィードフォワード計算値GWCをLNG流量デマンドGLNG の増加又は減少中のみ係数を乗算して真の冷却水量フィードフォワード設定値を得るものである。すなわち、一定周期で記憶されるLNG流量デマンドGLNG につき、 1○|GLNG (今回値)-GLNG (前回値)|≦εのときGW =GWCとし、 2○上記以外のときGW =GWC・Kとする。ここで、 GW :真の冷却水流量フィードフォワード設定値 GWC :冷却水流量フィードフォワード計算値 GLNG :LNG流量デマンド K :定数(K>1) ε :小さい定数 この演算器30により、LNG負荷変動時にも確実に気化熱源である冷却水流量が確保できる。」(表記の都合で「1○」及び「2○」はそれぞれ丸囲いした数字を表す) 5 当審の判断 (1)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「カーゴタンク」、「ガスエンジン」、「LNG」及び「ガス供給システム」は、それぞれ本願発明の「液化ガス貯蔵タンク」、「需要先」、「液化ガス」及び「液化ガス処理システム」に相当する。 引用発明の「前記カーゴタンクからのLNGを加圧する極低温ピストン式ポンプ(HPポンプ)」は、本願発明の「前記液化ガス貯蔵タンクから排出された液化ガスを加圧するポンプ」に相当する。 引用発明の「中間媒体により加熱する蒸発器又は気化器」、「前記中間媒体の加熱源である蒸気/熱湯加熱器」及び「前記蒸気/熱湯加熱器と前記蒸発器又は気化器を備える閉ループ」は、それらの機能・作用を勘案すると、それぞれ本願発明の「熱伝達媒体と熱交換させる熱交換器」、「前記熱伝達媒体を加熱する媒体ヒーター」及び「前記媒体ヒーターから前記熱交換器まで連結された媒体循環ライン」に相当することも明らかである。 そうすると、引用発明は、以下の点で本願発明と一致し、また相違する。 <一致点> 「液化ガス貯蔵タンクから需要先まで連結された液化ガス供給ラインと、 前記液化ガス供給ライン上に設けられ、前記液化ガス貯蔵タンクから排出された液化ガスを加圧するポンプと、 前記需要先と前記ポンプとの間の前記液化ガス供給ライン上に設けられ、前記ポンプから供給される液化ガスを熱伝達媒体と熱交換させる熱交換器と、 前記熱伝達媒体を加熱する媒体ヒーターと、 前記媒体ヒーターから前記熱交換器まで連結された媒体循環ラインと、 を含む液化ガス処理システム。」 <相違点1> 本願発明が、熱交換器に供給される液化ガスの流量を、「前記ポンプの駆動程度に応じて」算出しているのに対し、引用発明では、LNGを極低温ピストン式ポンプ(HPポンプ)で加圧してガスエンジンへ供給するが、ガスエンジンへのLNGの流量がどのように算出されているかは不明な点。 <相違点2> 本願発明が、具体的な制御を、「前記熱交換器に供給される液化ガスの流量を算出し、前記液化ガスの流量及び前記需要先が要求する液化ガスの状態に基づいて、前記熱伝達媒体の必要熱量を計算する、熱量算出器」と「前記熱量算出器から前記熱伝達媒体の必要熱量の伝達を受け、前記算出された前記熱交換器に供給される前記液化ガスの流量に基づいて計算される熱伝達媒体の必要熱量に基づき、前記媒体ヒーターに流入される前記熱伝達媒体の流量または前記媒体ヒーターが前記熱伝達媒体に供給する熱量を可変するコントローラ」とを用いて行うのに対し、引用発明では、「通常-160℃のLNGが前記蒸発器又は気化器内で通常+45℃に加熱されるように、前記蒸発器又は気化器から通常30℃で出て行く前記中間媒体を、ブラインポンプで前記蒸気/熱湯加熱器に送り通常90℃又は75℃に加熱する手段」により制御しているが、上記具体的な制御を行う「熱量算出器」及び当該「コントローラ」の個別構成については不明である点。 (2)判断 ア <相違点2>について 事案に鑑み、まず相違点2について検討する。 引用発明のガスエンジンは、引用例1の摘記事項アからみて船舶用のエンジンであり、このような船舶用エンジンは運転状況に応じて必要とするLNGの量が変化するものであるから、HPポンプの流量を変化させることは当然に行うことと認識できる。そして、当該HPポンプの流量が変化すれば、引用発明のブラインポンプ(引用例1の図2の「塩水ポンプ」)の流量も当然に変化させなければならないと認識できるものである。 しかしながら、その具体的な制御方法については、引用例1には示されていないが、引用発明を実施しようとすれば、当該技術分野で知られた制御方法を用いることは通常想到し得るところ、フィードフォワード制御を用いることが引用例2に示されており、引用発明においてそのような制御方法を用いることに困難性は認められない。 具体的には、引用例2には、LNG気化器について、演算器24及び演算器30により、LNG流量デマンドやLNG気化器出口NGガス温度目標値等を用いて、冷却水流量の計算値GWCを算出する技術が記載されている。そして、引用例2の摘記事項イからは、当該冷却水流量の計算値GWCの具体的算出方法として、引用例2に記載された演算器24による熱収支式【数1】を見ると、LNG流量デマンド、LNG気化器出口NGガス温度目標値及びLNG気化器入口LNG温度から求められるLNGエンタルピ、LNG気化器を通過する冷却水が保有する熱量とから、冷却水流量フィードフォワード計算値を算出していることが理解される。 ここで、上記【数1】における上記LNG流量デマンドとは、LNG気化器に供給されるLNGの流量を意味しているから、本願発明の「熱交換器に供給される液化ガスの流量」に相当し、上記LNGエンタルピとは、ガスタービンが要求するLNGの状態を意味しているから、本願発明の「需要先が要求する液化ガスの状態」に相当するものである。 また、上記冷却水流量フィードフォワード計算値については、引用例2の摘記事項アから、冷却水がLNG気化器から吸気冷却器を経てポンプまで戻る流路における流量であることが理解されるととともに、引用例2の摘記事項ウには、演算器30において、上記演算器24の出力である冷却水流量フィードフォワード計算値GWCをLNG流量デマンドGLNG の増加又は減少中のみ係数を乗算して真の冷却水量フィードフォワード設定値を得ていることも記載されている。よって、引用例2の「真の冷却水流量フィードフォワード設定値」は、本願発明における「媒体ヒーターに流入される熱伝達媒体の流量」に相当する。 そうすると、引用例2の演算器24及び演算器30では、結果的に、熱交換器に供給される液化ガスの流量及び需要先が要求する液化ガスの状態に基づいて、熱伝達媒体の必要熱量を計算し、媒体ヒーターに流入される前記熱伝達媒体の流量を算出してフィードフォワード制御する事項を行っていると認められる。そして、上記演算器24及び演算器30は、当該事項を行う点では、本願発明の「熱量算出器」及び「コントローラ」と同様の演算制御機能を有しているものであり、このような演算制御機能を有するものについて、機能ごとに「熱量算出器」及び「コントローラ」のような装置名を付与することも、必要に応じて適宜成し得る設計事項にすぎない。 イ <相違点1>について 次に相違点1について検討する。 上記相違点2についての検討で示したように、引用例2に示されたフィードフォワード制御技術においては、ガスの流量はガスタービンからの「LNG流量デマンド」を用いており、この引用例2に記載された制御技術を引用発明に適用すれば、ガスの流量としては、ガスエンジンが必要とする流量を用いることとなる。 これに対し、本願発明では、液化ガスの流量は「ポンプの駆動程度に応じて」算出されており、そのポンプの駆動程度については、本願明細書の段落【0086】に「ポンプ30の駆動程度とは、ポンプ30のRPMを意味し」と記載されている。そして、本願発明においてポンプのRPMがどのように決定されるのかは、本願明細書からは不明であるが、技術常識からすれば、需要先20が要求するガスの流量に応じてポンプのRPMが決定されると考えざるを得ない。 してみると、相違点1は、引用発明に引用例2に記載された制御技術を適用した場合には、ガスの流量として、需要先が要求するガスの流量を直接用いることになるのに対し、本願発明では、需要先が要求するガスの流量を、一度ポンプのRPMという数値に置き換えた上で改めてガスの流量を算出する点で相違するということになるが、結果としてはガスの流量を得る点では変わりはなく、一度ポンプのRPMのようなポンプの駆動程度を用いることについて、その技術的な意義について意見書を参酌しても不明であり、ポンプの駆動程度を用いたことに困難性があったものとは認められない。 ウ 小括 よって、引用発明において、LNGを中間媒体を用いて加熱制御する手段として、上記引用例2に記載された演算器24及び演算器30が行う事項を適用するとともに、その適用時にLNG流量を算出で求めるようにし、演算器24及び演算器30を機能により「熱量算出器」及び「コントローラ」という装置名を付与することで、本願発明を構成することは、当業者であれば容易に想到する事項であると認められる。 また、本願発明によってもたらされる効果も、引用発明及び引用例2に記載された事項から、当業者であれば予測できる程度のものであって格別なものではない。 6 むすび したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、拒絶をすべきものである。 よって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきであるから、結論のとおり審決する。

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