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特許拒絶査定不服審判

2015-021894

変性二成分ゲル化系、使用方法及び製造方法

審判番号
2015-021894
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-186628外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年12月10日
審決日
2017年03月24日
公報発行日
2017年09月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .536-WZF(A61K) / P18 .537-WZF(A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第159条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-186628「変性二成分ゲル化系、使用方法及び製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月 9日出願公開、特開2014-  1236〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 5項目
【理 由】

第1 主な手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は,国際出願日である平成19年7月19日(パリ条約に基づく優先権主張 平成18年7月31日,アメリカ合衆国)にされたとみなされる特許出願(特願2009-522776号)の一部を新たに特許出願したものであって,平成27年8月5日付けで拒絶査定がされ,これに対して,同年12月10日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲及び明細書が補正され,平成28年10月24日付けで拒絶理由(以下「本件拒絶理由」という。)が通知されたものである。

第2 本願発明及び本件拒絶理由について

本願の請求項1~3に係る発明は,平成27年12月10日に補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載されている事項により特定されるとおりのものである。

また,本件拒絶理由の内容は,本審決末尾に掲記のとおりである。

第3 むすび

請求人は,本件拒絶理由に対して,指定期間内に特許法159条2項で準用する同法50条所定の意見書を提出するなどの反論を何らしていない。そして,本件拒絶理由を覆すに足りる根拠は見いだせず,本願は本件拒絶理由によって拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

以下,本件拒絶理由の内容を掲記する。

【理由1】 この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。

【理由2】 この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

記

1 理由1

(1) 請求項1に係る発明(本願発明1)について

本願発明1の解決課題は,本願の明細書(例えば【0006】,【0014】,【0015】)の記載からみて,心筋梗塞を起こした場合に,心室(例えば左心室)の壁を支え,それにより心筋梗塞後のリモデリングを制限し,また改良された細胞適合性を有する生体スカッフォールドを形成するための組成物を提供することにあると認められる。

しかし,本願の明細書には,上述したような課題を解決するに足りる生体スカッフォールドを形成するための具体的条件についての記載はない。

例えば,本願発明1の「少なくとも2つの求電子基により官能化された第1ポリエチレングリコールポリマー」や「少なくとも2つの求核基により官能化された第2ポリエチレングリコールポリマー」について,本願の明細書にはその例が記載されているが(【0012】など),ある特定の第1ポリエチレングリコールポリマー及び第2ポリエチレングリコールポリマーを選択したとき,生体スカッフォールドを形成するようなゲルを構成するために,第2緩衝液として「pH7.5~9.5」の範囲からどの程度のpH値,「140mM~150mM」の範囲からどの程度の濃度を選択し,第1緩衝液として「塩化水素及びクエン酸」のどちらを選択し,細胞接着部位を有する物質としてどのようなものを選択し,さらに,第1混合物と第2緩衝液とをどの程度の割合で組み合わせればよいかといった具体的条件(実施例等)についての記載が,本願の明細書にはみあたらない(本願発明1の組成物において,第1混合物と第2緩衝液とが組み合わされたとき何らかのゲルを構成するとは認められるものの,本願発明1を満たすすべての条件の場合において,上記ゲルが必ずしも生体スカッフォールドを形成するものであるということはできない。)。

そして,上述したような課題解決手段は本願の出願当時の技術常識であるということはできず,その設定をするためには当業者に期待しうる程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等が必要であるといわざるを得ない。

そうすると,本願の明細書の発明の詳細な説明は,本願発明1について,当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているものとはいえない。

(2) 請求項2及び3に係る発明(本願発明2及び3)について

本願発明1について述べたことと同様の理由により(上記(1)),本願は,本願発明2及び3について,いわゆる実施可能要件を満たさない。

2 理由2

(1) 請求項1について

ア 特許請求の範囲の記載が,いわゆるサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と明細書の発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断される。

上記を踏まえ本願発明1について検討するに,本願発明1は,上記1(1)で述べるところの課題を解決することを企図したものであるが,本願の明細書には,本願発明1に係る組成物が,心筋梗塞後の心臓のリモデリングを制限するなど,上記課題を解決できることを確認しうる程度の記載(例えば,実施例など本願発明1の効果を裏付ける記載)が存在しない。また,本願の明細書には本願発明1の構成を採用すれば必然的に上記課題を解決することが可能であると当業者が認識し得るような記載はなく,また出願時の技術常識もないことは,上記1(1)で述べたとおりである。

そうすると,本願発明1は,発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものではなく,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということもできず,本願の請求項1の記載はいわゆるサポート要件を満たさない。

イ なお,請求人は,平成28年5月9日付け上申書に添付する形で刊行物を提出し,当該刊行物を引用しつつ,生体スカッフォールドが心臓の生体構造の保存及び心膜再生のために有効であることが知られていた旨主張するが,提出された刊行物(甲1,甲2)はいずれも,そもそも生体スカッフォールドを構成する材料が本願発明1と異なるうえ,あらかじめ膜又はパッチの形態としたものを適用する技術を開示するものである。すなわち,これら刊行物に記載の技術は,本願発明1におけるような現場形成技術とはその属する範疇を異にするものであって,請求人の上記主張は,上記ア(ないしは上記1(1))で述べるところの拒絶理由に対する意見とはならない。

(2) 請求項2~3について

上記(1)で述べたことと同様の理由により,請求項2~3の記載はいわゆるサポート要件を満たさない。

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