特許拒絶査定不服審判
2015-019583
照明パネル
- 審判番号
- 2015-019583
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-501082外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年10月30日
- 審決日
- 2017年04月10日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ピクサラックス イノベーションズ ピーティーワイ リミテッド
- 【請求人代理人】名古屋国際特許業務法人
- 分類
- P18 .121-WY (F21V) / P18 .537-WY (F21V)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-501082号「照明パネル」拒絶査定不服審判事件〔平成22年9月30日国際公開、WO2010/108222、平成24年 9月13日国内公表、特表2012-521616号、請求項の数(19)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)3月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年3月25日、オーストラリア国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりある。
平成25年3月14日 :手続補正書の提出
平成25年12月6日付け :拒絶理由の通知
平成26年4月10日 :意見書、手続補正書の提出
平成26年9月16日付け :拒絶理由(最後の拒絶理由)の通知
平成27年3月24日 :意見書、手続補正書の提出
平成27年6月24日付け :補正の却下の決定、拒絶査定
平成27年10月30日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成27年12月3日 :手続補正書(方式)の提出
平成28年6月24日付け :拒絶理由の通知
平成28年9月28日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年12月22日付け :拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」とい
う。)の通知
平成29年1月16日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1-19に係る発明(以下、「本願発明1-19」という。)は、平成29年1月16日に提出された手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-19に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1は以下のとおりである。
「【請求項1】
それ自体が構造要素として機能する展示用照明パネルであって、
第1の面及び第2の面を有する透明なコアと、
接着剤の形態の第1の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第1の面に接着された、第1の保護層と、
接着剤の形態の第2の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第2の面に接着された、第2の保護層と、
前記複数の光放出ドットは、その密度またはサイズが、光源から遠ざかる方向に向かって前記パネルに沿って増大する、展示用照明パネル。」
第3 原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
本願発明1は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物である引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2008-41270号公報
引用文献2:特開平10-21720号公報
2.原査定の理由の判断
(1)引用文献の記載事項
ア.引用文献1の記載事項及び引用発明
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線部は当審で付与した。以下同様。)。
(ア)「【請求項1】
光源からの光が入射される入光面と、前記入光面から入射された光が出射される出光面と、前記出光面と対向する非出光面とを備え、前記出光面および前記非出光面の少なくとも一方には、前記出光面から光を出射させる複数の光偏向部が形成されており、前記出光面および前記非出光面の少なくとも一方における少なくとも前記入光面の近傍であって前記光偏向部を除いた部分には、光を拡散させる複数の筋状の光拡散部が形成されている、導光板であって、
前記光拡散部は、前記入光面から入射された光の進行方向に対して0度以上かつ45度以下の角度を成すように延びた条溝または突条である、導光板。」
(イ)「【0016】
面型照明装置12(図3、図4)は、カーナビゲーションシステム、TV受像機またはコンピュータディスプレイなどの液晶表示パネルを背面から照射するバックライトとして用いられるものであり、導光板10、光源14、反射板18、拡散板20a,20bおよび導光レンズ22等によって構成されている。
【0017】
導光板10(図1、図2)は、透明なアクリル樹脂(PMMA)やポリカーボネート(PC)等のような透光性材料によって形成された平板状の部材であり、その側端面には入光面10aが形成されており、表面(図1における上面)には出光面10bが形成されおり、裏面すなわち出光面10bと対向する面(図1における下面)には、非出光面10cが形成されている。また、非出光面10cには、出光面10bから光を出射させる複数の光偏向部26が設けられており、非出光面10cにおける光偏向部26を除いた部分には、光を拡散させる複数の筋状の光拡散部28が形成されている。
【0018】
この実施例における光偏向部26は、ドット状の「凹部」であり、光偏向部26の大きさは、出光面10bの全面に亘って出光量を均一にするために、入光面10aから遠ざかるにつれて大きくなるように設定されている。
【0019】
なお、光偏向部26は、出光面10bから光を出射させる機能を有するものであればよく、その形状は、特に限定されるものではない。つまり、光偏向部26の形状は、ドット状の「凹部」の他、ドット状の「突部」、「突条」または「条溝」等であってもよく、「突部」および「凹部」のより具体的な形状は、「半球状」または「四角錐状」等であってもよい。」
(ウ)「【0023】
光源14は、LED(発光ダイオード)等のような指向性を有する点光源であり、この実施例では、複数の光源14が入光面10aの近傍に並べて配設されている。なお、光源14は、冷陰極管等のような線光源であってもよく、複数の線光源(光源14)を並べて用いる場合でも、光源14間の領域の光量不足を光拡散部28によって解消できる。
【0024】
反射板18(図3、図4)は、導光板10から漏れ出た光を導光板10へ戻すものであり、白色PET等の光反射性に優れた材料で形成されており、非出光面10cに近接して配設されている。
【0025】
拡散板20a,20bは、光を拡散させて明るさのむらを解消するものであり、アクリル樹脂のような透光性材料に透明樹脂粒子等の光拡散手段を混入すること等によって形成されている。
【0026】
導光レンズ22は、光の方向を導光板10の出光面10bに対して略直交する方向へ修正するためのものであり、アクリル樹脂のような透光性材料により形成されている。
【0027】
そして、拡散板20a、導光レンズ22および拡散板20bが、出光面10bに近接してこの順で層状に配置されている。」
(エ)「【0028】
面型照明装置12を液晶表示パネル(図示省略)の背面に配置して光源14を点灯すると、光源14からの光は、入光面10aから導光板10の内部へ入射され、導光板10の壁面で反射されながら進行する。そして、光が光偏向部26に当たると、その光は所定方向へ偏向されるので、拡散されることなく導光板10の外部へ出射され、または、導光板10の内部へ反射される。」
(オ)「【0033】
なお、上述の実施例(図2)では、光拡散部28が非出光面10cだけに形成されているが、光拡散部28は、出光面10bおよび非出光面10cの少なくとも一方における光偏向部26を除いた部分に形成されていればよい。つまり、光拡散部28は、図5または図6に示すように、出光面10bおよび非出光面10cの双方に形成されてもよいし、図7に示すように、出光面10bだけに形成されてもよい。また、光偏向部26は、図2に示すように、非出光面10cだけに形成されてもよいし、図6に示すように、出光面10bおよび非出光面10cの双方に形成されてもよい。」
これらの記載事項(ア)~(オ)及び図面内容を総合し、本願発明1の発明特定事項に倣って整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「面型照明装置12であって、
出光面10bと非出光面10cとを備える透明な導光板10と、
前記出光面10bに形成されたドット状の突部からなる光偏光部26と、
前記非出光面10cに形成されたドット状の突部からなる光偏光部26と、
前記出光面10bに近接して層状に配置されている拡散板20a、導光レンズ22及び拡散板20bと、
前記非出光面10cに近接して配設されている反射板18と、を備え、
前記光偏光部26は、その大きさが、光源14が配設されている入光面10aから遠ざかるにつれて大きくなるように設定されている、面型照明装置12。」
イ.引用文献2の記載事項
引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】 透光性材料からなる導光板の少なくとも一側面に線状光源を有し、導光板の背面に配置した反射板と、前面に配置した拡散板により線状光源から発せられた光を導光板前面から照射させるバックライト装置において、導光板と反射板とが、光散乱物質の粒子を含む接着材層によって接合されており、光散乱物質の粒子を含む接着層を、その面積が線状光源からの距離が大になるにつれて大となるようドット状に設置されたバックライト装置。」
(イ)「【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置用バックライトに関し、特に導光板の端部に線状光源を配置したエッジライト型の液晶表示装置に関するものである。」
(ウ)「【0020】導光板1の下部には、図3に示す光散乱物質7を含んだ接着層6が形成されており、さらに下部に配置された反射板2と導光板1とが固定される。この接着層6は透明な接着剤の中に光散乱物質7を混入させたものであり、接着剤は熱融着性、紫外線硬化性、感圧性などのものを用いる。また、光散乱物質7は金属、樹脂、無機物等の粒子でありTiO2 、BaSO4、BaO2 などの物質を用いる。光散乱物質7を含んだ接着層6は図4に示すように点状に形成されており、導光板1内での占有面積は線状光源4から離れるにしたがって大きくなるよう形成される。」
(2)対比
ア.本願発明1と引用発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、引用発明の「出光面10b」は本願発明1の「第1の面」に相当し、以下同様に、「非出光面10c」は「第2の面」に、「透明な導光板10」は「透明なコア」に、それぞれ相当する。
イ.引用発明の「面型照明装置12」は、面型であり、併せて図3、4も参照すると、その全体形状はパネル状であるものと認められる。
したがって、引用発明の「面型照明装置12」と本願発明1の「それ自体が構造要素として機能する展示用照明パネル」は、「照明パネル」という限度で一致する。
ウ.上記(1)ア.(ア)(【請求項1】)に「前記出光面から光を出射させる複数の光偏向部」と記載され、上記(1)ア.(イ)(段落【0019】)に「光偏向部26は、出光面10bから光を出射させる機能を有するものであればよく」と記載され、上記(1)ア.(エ)(段落【0028】)に「光が光偏向部26に当たると、その光は所定方向へ偏向されるので、拡散されることなく導光板10の外部へ出射され」と記載されるように、引用発明の「ドット状の突部からなる光偏光部26」は、光を放出させる機能を有しているものと認められる。
また、図6を参照すると、引用発明の「ドット状の突部からなる光偏光部26」は、出光面10b及び非出光面10cの全面にわたって形成されている、すなわち、マトリックス状に形成されているものと認められる。
したがって、引用発明の「前記出光面10bに形成されたドット状の突部からなる光偏光部26」、「前記非出光面10cに形成されたドット状の突部からなる光偏光部26」は、それぞれ、本願発明1の「第1の複数の光放出ドットのマトリックス」、「第2の複数の光放出ドットのマトリックス」に相当する。
エ.引用発明の「拡散板20a、導光レンズ22及び拡散板20b」は、「(導光板10の)前記出光面10bに近接して層状に配置されている」ので、導光板10を保護する機能を有しているものと認められる。
したがって、引用発明の「拡散板20a、導光レンズ22及び拡散板20b」は、本願発明1の「第1の保護層」に相当する。
同様に、引用発明の「反射板18」は、「(導光板10の)前記非出光面10cに近接して層状に配置されている」ので、導光板10を保護する機能を有しているものと認められる。
したがって、引用発明の「反射板18」は、本願発明1の「第2の保護層」に相当する。
オ.引用発明の「拡散板20a、導光レンズ22及び拡散板20b」は、「ドット状の突部からなる光偏光部26」が形成された「出光面10bに近接して層状に配置されている」から、引用発明の「拡散板20a、導光レンズ22及び拡散板20b」は、ドット状の突部からなる光偏光部26を介して導光板10に近接して配置されているものと認められる。
同様に、引用発明の「反射板18」は、「ドット状の突部からなる光偏光部26」が形成された「非出光面10cに近接して配設されている」から、引用発明の「反射板18」は、ドット状の突部からなる光偏光部26を介して導光板10に近接して配設されているものと認められる。
したがって、引用発明の「前記出光面10bに形成されたドット状の突部からなる光偏光部26」及び「前記出光面10bに近接して層状に配置されている拡散板20a、導光レンズ22及び拡散板20b」と、本願発明1の「接着剤の形態の第1の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第1の面に接着された、第1の保護層」は、「第1の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第1の面に配置された、第1の保護層」という限度で一致する。
同様に、引用発明の「前記非出光面10cに形成されたドット状の突部からなる光偏光部26」及び「前記非出光面10cに近接して配設されている反射板18」と、本願発明1の「接着剤の形態の第2の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第2の面に接着された、第2の保護層」は、「第2の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第2の面に配設された、第2の保護層」という限度で一致する。
カ.引用発明の「光偏光部26」は、図6も参照すると、面型照明装置12に沿って、「その大きさが、光源14が配設されている入光面10aから遠ざかるにつれて大きくなるように設定されている」ものと認められる。
したがって、引用発明の「前記光偏光部26は、その大きさが、光源14が配設されている入光面10aから遠ざかるにつれて大きくなるように設定されている」という構成は、本願発明1の「前記複数の光放出ドットは、その密度またはサイズが、光源から遠ざかる方向に向かって前記パネルに沿って増大する」という構成に相当する。
以上から、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「照明パネルであって、
第1の面及び第2の面を有する透明なコアと、
第1の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第1の面に配置された、第1の保護層と、
第2の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第2の面に配設された、第2の保護層と、
前記複数の光放出ドットは、その密度またはサイズが、光源から遠ざかる方向に向かって前記パネルに沿って増大する、照明パネル。」
そして、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違している。
<相違点1>
「照明パネル」に関し、本願発明1では、「それ自体が構造要素として機能する展示用照明パネル」であって、「接着剤の形態の第1の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第1の面に接着された、第1の保護層と、接着剤の形態の第2の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第2の面に接着された、第2の保護層と」を備えるのに対し、
引用発明では、そのように特定されていない点。
(3)判断
相違点1について検討する。
上記(1)イ.(ア)~(ウ)の記載事項及び図面内容を総合すると、引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「引用文献2に記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「光散乱物質7を含んだ接着層6によって導光板1と反射板2とが接合されてなる、液晶表示用バックライト装置。」
本願発明1の「展示用照明パネル」は、接着剤の形態の第1の複数の光放出ドットのマトリックスを介して第1の保護層を透明なコアの第1の面に接着し、かつ、接着剤の形態の第2の複数の光放出ドットのマトリックスを介して第2の保護層を透明なコアの第2の面に接着することで、それ自体が構造要素として機能するようにしたものであるところ、引用文献1及び引用文献2のいずれにも、第1の保護層と第2の保護層とを接着剤を介してコアに接着することで、照明パネル自体が構造要素として機能するようにするという技術的思想について、何ら記載も示唆もされていない。
また、引用発明の「面型照明装置12」は、上記(1)ア.(イ)(段落【0016】)に記載されるように、カーナビゲーションシステム、TV受像機またはコンピュータディスプレイなどの液晶表示パネルを背面から照射するバックライトとして用いられるものであるから、引用発明の「面型照明装置12」を、敢えて、それ自体が構造要素として機能するようにする動機付けもないといえる。
しかも、引用発明の「面型照明装置12」及び引用文献2に記載の技術的事項の「液晶表示用バックライト装置」は、展示用照明パネルでもない。
したがって、引用文献2に記載の技術的事項を参酌したとしても、引用発明において、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者にとって容易であるとはいえない。
(4)小括
以上から、引用発明において、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を想到することは当業者にとって容易とはいえないから、本願発明1は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
そして、本願発明2-19は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
第4 当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の概要
[理由1]
本願発明1は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
刊行物1:特開昭55-67783号公報
[理由2]
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(1)例えば、本願明細書の段落【0012】に「この実施形態の重要な特徴は、複数の接着剤ドット20のマトリックスが光を伝達、反射、屈折させる媒体として働き、且つ保護パネル25をコア11に堅固に固定する接着剤としても作用することで、このコアとドットマトリックスとを、例えば傷や湿気による損傷から保護する一方で、コアからの光の分配に影響を与えることなく使用可能な光伝達面を提供することである。この接着剤は、光を反射、屈折、または伝達する材料からなり、適切な接着剤として非常に様々な異なる種類の接着剤が存在することは当然である。」と記載されているように、接着剤ドット20のマトリックスが光を伝達、反射、屈折させる媒体として働くすることで、パネル10が照明パネルとして機能することが記載されている。
しかしながら、本願請求項1には、「接着剤の形態の第1の複数のドットのマトリックス」及び「接着剤の形態の第2の複数のドットのマトリックス」が光を伝達、反射、屈折させる媒体として働くする点について何ら記載されていない。
そうすると、本願発明1は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。
(2)本願請求項10に記載の「透明または半透明の保護パネルが前記第1の保護層及び前記第2の保護層の両方に接着される」とは、本願明細書の【発明を実施するための形態】又は図面のどこに対応しているのか不明である。
よって、本願発明1、10、及び、本願発明1を直接又は間接的に引用する本願発明2-9、11-20は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。
[理由3]
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(1)本願請求項17には、「請求項8に記載の展示用照明パネルの1つの縁に固定されるように構成された・・・道路標識。」と記載されているが、「展示用照明パネル」と「道路標識」とは互いに機能が異なるものであるから、本願発明17を想定することができない。
よって、本願発明17は、不明確である。
2.当審拒絶理由の判断
(1)理由1について
ア.刊行物の記載事項及び刊行物発明
刊行物1には、「表示装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)第1頁左欄12行目から同頁右欄3行目
「この発明は表示装置、特に昼夜とも明るい表示が可能な表示装置に関する。
例えば、液晶表示装置やエレクトロクロミック表示装置などの受動表示装置においては、昼夜とも明るい表示を行うのが困難で、昼間の表示が良ければ夜間の表示が悪いか、夜間の表示が良ければ昼間の表示が悪い場合が多く、いずれも良い表示を行おうとすれば高価につくなどの欠点があった。」
(イ)第1頁右欄20行目から第2頁左上欄10行目
「第1図の実施例において、10は表示素子で11は液晶表示素子である。20は夜間など暗いところでの表示を行うための発光素子でランプが用いられている。21が外囲器、22が発光フィラメントである。30は導光部でランプの光を矢印37の方向に導き、矢印38の方向に光を放出させ表示面全面に明るい表示を行わせるようにする。31は導光体、32は乱反射面、33は微粒子による接着層、35が微粒子による接着点、34が微粒子と微粒子の間に存在する空間である。40は反射面で41が例えばアルミ箔などで作られた反射板である。」
(ウ)第2頁左上欄11行目から同頁右上欄7行目
「この実施例において、導光体31は透明な材料例えばガラス、アクリルなどで作られるので、昼間の入射光1は殆んど吸収されることなく反射され表面にでて来るので極めて明るい(コントラストの高い)表示を行うことができる。暗いところ(夜間など)における表示は、ランプ20の光が透明な導光体31と微粒子35、空間34の総合作用によりランプと離れたところにも光が行きわたり全面明るい表示を行うことができる。微粒子の大きさは、乱反射面32の作り方によりかなり異るが、一般的には、直径0.15mm以下であれば十分であり、特に微粒子35が透明である場合は殆んど問題ないことが実験的に確かめられた。微粒子35の屈折率は重要で、高い程光の散乱効果が大きく夜間のランプ効果はよりよくなる。微粒子による接着層は光をより内部に導くのに極めて有効である。」
(エ)第2頁右上欄10行目から同頁同欄18行目
「第2図には、別の実施例が示してある。この実施例は、微粒子による接着層36をもう一つ(33に加えて)設けた例で、ランプ効果はさらに増大する。特に微粒子35に混入物を入れるなどして総合の屈折率を高くすると導光体31が屈折率の大きな材料につつまれた構造となりランプの光は導光体の内部にとじこめられ、導光体のより内部(ランプと離れたところ)に到達し、夜間の表示をすぐれたものとする。」
以上の記載事項から次の事項が認定できる。
(オ)上記(エ)には、「第2図には、別の実施例が示してある。この実施例は、微粒子による接着層36をもう一つ(33に加えて)設けた例で」と記載され、上記(イ)には、「32は乱反射面」と記載されており、併せて第2図を参照すると、第2図に示してある別の実施例では、導光体31とは別体である、乱反射面32を有する部材を備えるものと認められる。
(カ)第2図を参照すると、導光体31は、対向する一方の面(乱反射面32を有する部材側の面)と、他方の面(反射板41側の面)とを有しているものと認められる。
(キ)上記(イ)には、「33は微粒子による接着層、35が微粒子による接着点」と記載され、上記(エ)には、「第2図には、別の実施例が示してある。この実施例は、微粒子による接着層36をもう一つ(33に加えて)設けた例で」と記載されており、併せて第2図を参照すると、乱反射面32を有する部材は、微粒子による接着層36を介して、導光体31の一方の面(乱反射面32を有する部材側の面)に接着され、かつ、反射板41は、微粒子による接着層33を介して、導光体31の他方の面(反射面41側の面)に接着されているものと認められる。
これらの記載事項(ア)~(エ)、認定事項(オ)~(キ)及び図面内容を総合し、本願発明1の発明特定事項に倣って整理すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる。
「対向する一方の面と他方の面とを有する透明な導光体31と、
透明な微粒子による接着層36を介して、前記一方の面に接着される乱反射面32を有する部材と、
透明な微粒子による接着層33を介して、前記他方の面に接着される反射板41と、を備える表示装置。」
イ.対比
(ア)本願発明1と刊行物発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、刊行物発明の「透明な導光体31」は本願発明1の「透明なコア」に相当し、以下同様に、「対向する一方の面」は「第1の面」に、「(対向する)他方の面」は「第2の面」に、それぞれ相当する。
(イ)上記ア.(ウ)には、「微粒子の大きさは、・・・直径0.15mm以下であれば十分であり」と記載されており、併せて第2図を参照すると、刊行物発明の「透明な微粒子による接着層36」及び「透明な微粒子による接着層33」は、ドット状であるものと認められる。
また、上記ア.(ウ)には、「ランプ20の光が透明な導光体31と微粒子35、空間34の総合作用によりランプと離れたところにも光が行きわたり全面明るい表示を行うことができる。」、「微粒子35の屈折率は重要で、高い程光の散乱効果が大きく夜間のランプ効果はよりよくなる。」と記載されており、併せて第2図を参照すると、刊行物発明の「透明な微粒子による接着層36」及び「透明な微粒子による接着層33」は、ランプと離れたところにも光が行きわたり全面明るい表示を行うことができるよう、導光体31の一方の面と他方の面とをマトリックス状に覆っているものと認められる。
したがって、刊行物発明の「透明な微粒子による接着層36」及び「透明な微粒子による接着層33」は、それぞれ、本願発明1の「接着剤の形態の第1の複数の光放出ドットのマトリックス」及び「接着剤の形態の第2の複数の光放出ドットのマトリックス」に相当する。
(ウ)刊行物発明の「乱反射面32を有する部材」は、「微粒子による接着層36を介して、前記(導光体31の)一方の面に接着される」、すなわち、導光体31を覆うものであるから、導光体31を保護する機能を有しているものと認められる。
同様に、刊行物発明の「反射板41」は、「微粒子による接着層33を介して、前記(導光体31の)他方の面に接着される」、すなわち、導光体31を覆うものであるから、導光体31を保護する機能を有しているものと認められる。
そうすると、刊行物発明の「乱反射面32を有する部材」及び「反射板41」は、それぞれ、本願発明1の「第1の保護層」及び「第2の保護層」に相当する。
(エ)刊行物発明の「反射板41」は板であるから、板状、すなわちパネル状であるといえ、併せて第2図を参照すると、刊行物発明の「透明な導光体31」及び「乱反射面32を有する部材」も同じくパネル状であるものと認められる。そして、上記ア.(ウ)の「ランプ20の光が透明な導光体31と微粒子35、空間34の総合作用によりランプと離れたところにも光が行きわたり全面明るい表示を行うことができる。」との記載、及び、第2図を参照すると、刊行物発明の「反射板41」、「乱反射面32を有する部材」及び「透明な導光体31」は、一体となって、ランプ20の光を行きわたして全面明るい表示を行う、すなわち、照明を行うものと認められる。
そうすると、刊行物発明の「表示装置」における、「反射板41」、「乱反射面32を有する部材」及び「透明な導光体31」は、一体となって、照明パネルを構成しているものと認められる。
したがって、刊行物発明の「反射板41」、「乱反射面32を有する部材」及び「透明な導光体31」を備える「表示装置」と、本願発明1の「それ自体が構造要素として機能する展示用照明パネル」は、「照明パネル」という限度で一致する。
以上から、本願発明1と刊行物発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「照明パネルであって、
第1の面及び第2の面を有する透明なコアと、
接着剤の形態の第1の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第1の面に接着された、第1の保護層と、
接着剤の形態の第2の複数の光放出ドットのマトリックスを介して前記第2の面に接着された、第2の保護層と、を備える照明パネル。」
そして、本願発明1と刊行物発明とは、以下の点で相違している。
<相違点a>
「照明パネル」に関し、本願発明1では、「それ自体が構造要素として機能する展示用照明パネル」であるのに対し、
刊行物発明では、そのように特定されていない点。
<相違点b>
「接着剤の形態の第1及び第2の複数のドット」に関し、本願発明1では、「前記複数のドットは、その密度またはサイズが、光源から遠ざかる方向に向かって前記パネルに沿って増大する」という構成を有しているのに対し、
刊行物発明では、そのように特定されていない点。
ウ.判断
相違点aについて検討する。
本願発明1の「展示用照明パネル」は、接着剤の形態の第1の複数の光放出ドットのマトリックスを介して第1の保護層を透明なコアの第1の面に接着し、かつ、接着剤の形態の第2の複数の光放出ドットのマトリックスを介して第2の保護層を透明なコアの第2の面に接着することで、それ自体が構造要素として機能するようにしたものであるところ、引用文献1には、刊行物発明の「反射板41」、「乱反射面32を有する部材」及び「透明な導光体31」を備える「表示装置」自体が構造要素として機能するようにするという技術的思想について、何ら記載も示唆もされていない。
また、刊行物発明の「表示装置」は、上記ア.(ア)に記載されるように、液晶表示装置やエレクトロクロミック表示装置などの受動表示装置に用いられるものであるから、刊行物発明の「表示装置」を、敢えて、それ自体が構造要素として機能するようにする動機付けもないといえる。
しかも、刊行物発明の「表示装置」は、展示用照明パネルでもない。
したがって、刊行物発明において、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者にとって容易であるとはいえない。
エ.小括
以上から、刊行物発明において、少なくとも相違点aに係る本願発明1の発明特定事項を想到することは当業者にとって容易とはいえないから、本願発明1は、当業者が刊行物発明に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
そして、本願発明2-19は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、当業者が刊行物発明に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、当審拒絶理由で通知した理由1によっては、本願を拒絶することはできない。
(2)理由2について
平成29年1月16日に提出された手続補正書により、補正前の請求項1の「接着剤の形態の第1の複数のドットのマトリックス」及び「接着剤の形態の第2の複数のドットのマトリックス」は、それぞれ「接着剤の形態の第1の複数の光放出ドットのマトリックス」及び「接着剤の形態の第2の複数の光放出ドットのマトリックス」と補正された。
また、同手続補正書により、補正前の請求項10の「透明または半透明の保護パネルが前記第1の保護層及び前記第2の保護層の両方に接着される」は、「層が前記第1の保護層及び前記第2の保護層のそれぞれに付け加えられる」と補正された。
以上の補正により、当審拒絶理由で通知した理由2は解消した。
(3)理由3について
平成29年1月16日に提出された手続補正書により、補正前の請求項17は削除された。これにより、当審拒絶理由で通知した理由3は解消した。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2015-019583